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シアタークリエで7月14日から上演中の『大人のけんかが終わるまで』で演出を手がけている上村聡史が、来年8月に再びシアタークリエで、『ブラッケン・ムーア 〜荒地の亡霊〜』の演出を担当。またその舞台で、岡田将生が主演をつとめることが発表された。
本作は、ローレンス・オリヴィエ賞を受賞したイギリスの劇作家、アレクシ・ケイ・キャンベルが贈るサスペンスドラマの日本初演版となる。
 
舞台は1937年のヨークシャー。ハロルド・プリチャードは代々裕福な炭鉱主で、権威的で頑なな男だ。ある日、プリチャード家に10年ぶりにエイブリー一家が訪ねてくる。かつては仲良くしていた両家だが10年前、プリチャード家の1人息子エドガーが古い炭鉱跡に落ちて死んで以来、疎遠になり、今回はそれ以来はじめてのエイブリー一家の訪問だった。息子の親友だったテレンスに会って、息子のことばかり話し始めるエリザベス。気の毒に思った一家はこの邸に数日、滞在することになった。だがその夜から、深夜になるとテレンスは恐ろしい叫び声をあげてうなされるようになる。エドガーの亡霊が憑依し囁いてくると言うのだ――。
サスペンスタッチに物語が展開しつつも、最後に意外などんでん返しが待ち受ける、親子愛・夫婦愛の真実を描いたウェルメイドな戯曲で、2013年にロンドンで初演を迎え、その後、再演を続けている。
 
今回の日本版演出を手がける上村聡史は、文学座出身で、第22回読売演劇大賞最優秀演出家賞や第56回毎日芸術賞をはじめ数々の演劇賞を受賞している。戯曲を深く読み込み立体化する演出家として幅広く活躍中。アレクシ・ケイ・キャンベルの戯曲は、これまで『信じる機械』『弁明』の2作を演出している。
 
出演者には映像や舞台で活躍する経験豊富な俳優たちが揃った。
10年前に亡くなった親友の亡霊にとりつかれる青年テレンスを岡田将生。息子エドガーを亡くした母親エリザベス・プリチャードには木村多江、父親で炭鉱主のハロルドには益岡徹。またテレンスの母親バネッサ・エイブリーに峯村リエ、父親ジェフリーに相島一之。炭鉱夫ジョンとプリチャード家かかりつけのギボンズ医師に立川三貴、プリチャードの家政婦アイリーン・ハザウェイには前田亜季が扮する。

原題の「ブラッケン・ムーア 」とは、ワラビの荒野で、劇中では何十年も前に閉鎖された炭鉱跡を指し、近代以降、物質的・合理的という名のもとに人間が封印してきた精神性・神秘性も同時に表している。
亡くなった少年が伝えたかった真実とは何なのか、驚愕の結末が待っている。

【コメント】

岡田将生
上村聡史さんの演出に興味があり、台本も魅力的だったので「演劇」を学べるのではと思い、出演を決めました。上村さんと色んなアイデアを共有し、この舞台を通してまた一つステップアップできればと思っています。木村多江さんとの共演は初めてなのですが、品があり古風で知的な印象の木村さんが息子を亡くした母親の役をどう演じるのか楽しみです。また、自分自身がこの公演中に30歳を迎えるので、その節目に舞台に立てるのは光栄なことですし、大切な舞台にしたいと思っています。ぜひ劇場でこのブラッケン・ムーアの真実を観ていただきたいです。

木村多江
主演の岡田将生さんはじめ、才能のある役者の方々とご一緒したかったですし、また、この作品の登場人物たちのような、哀傷に満ちて抜けだせない人たちの想いを伝えたくなったので、出演を決めました。共演者の方々とどんな化学反応が起こるか楽しみですし、公演に向けて、普遍的な人の心、止まってしまった時計の針を繊細に演じたいと思います。

益岡徹
登場人物の対立、共感、過去の悲劇、秘密と真相の暴露、告白、そして最後の、、、、、サスペンスの面白さにあふれた本だったので出演を決めました。
テレビドラマや映画ではご一緒した事のある方がほとんどですが、舞台ではみなさん初めての共演です。演出の上村さんも初めてですので、皆さんと濃い時間を過ごすことになります。来年の夏の上演ですが、体調を整えて、良い初日を迎えられるように頑張ります。

上村聡史
○どのような作品を創り上げたいか
サスペンスというかミステリー、またはホラーといった背筋がゾッとする、お盆の季節にピッタリなお芝居になるかと思います。1937年の第二次世界大戦前夜のヨーロッパを舞台にした作品ですが、演出者として、今の日本でこの作品を上演できることに責任と喜びを感じています。そして、何よりも“想像”や“記憶”といった人間として誰もが持ちうる力を素敵に感じる作品にできるよう努めたいと思います。こう書くと「怖い話なの?」それとも「感動的な話なの?」と困惑されるかもしれませんが、それこそがこの作品の醍醐味で、是非とも、その魅惑的なバランスにご期待いただければと思います。
○出演者へ期待すること
物語のキーになるのはエドガーという10年前に亡くなった当時12歳の息子です。そのエドガーの霊が乗り移ってしまう、かつての友人テレンスに岡田将生さん、エドガーの母エリザベスに木村多江さん、そして、エドガーの父で実業家ハロルドに益岡徹さん。岡田さんには、怒号と悲哀を繰り返しながら現世に再生する魂の叫びを、木村さんには魂を救済する母性と喪失に取り憑かれた寂寥感を、益岡さんには家族への過ちという葛藤と、右傾化していく時代の畏怖に対峙する冷徹さを。これらの文芸的な詩情を、舞台芸術というライブで体現していただきたいと思いました。そして、峯村さん、相島さん、立川さん、前田さんと、さまざまなタイプの作品で、的確にそのさまざまな劇世界を、声、身体を通し、お客様に真摯に伝える皆様に集まっていただきました。皆さんとは初めての仕事となりますが、演出者としては、この出演者皆がどういう化学反応を起こすのかが大変楽しみです。そして、この台本の面白さと相まって、物語を語る上で重要ともいうべき“静謐な熱量”を感じるアンサンブルになるのではないかと期待しています。

〈公演情報〉
『ブラッケン・ムーア〜荒地の亡霊〜』
作◇アレクシ・ケイ・キャンベル
翻訳◇広田敦郎
演出◇上村聡史
出演◇岡田将生 木村多江 峯村リエ 相島一之 立川三貴 前田亜季 益岡徹
●2019/8/14〜27◎日比谷 シアタークリエ 
〈前売〉2019年6月 一般前売開始予定