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元プロ野球選手で野球解説者の桑田真澄が野球監修を手がける舞台『野球 飛行機雲のホームラン〜Homerun of Contrail』が、西田大輔の作・演出、安西慎太郎の主演で7月27日から、サンシャイン劇場にて上演中だ。(8月5日まで。そののち大阪公演もあり)

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【あらすじ】
1944年夏、戦局が深刻化し、敵国の競技である野球は弾圧され、甲子園大会は中止されていた。甲子園のグラウンドに立つ夢を捨てきれないまま予科練への入隊した少年たちは、「最後の1日」に出身校同士で紅白戦を行うーー。
甲子園優勝候補と呼ばれた強豪・伏ヶ丘商業。実力派は未知だが有力と思われる会沢商業。野球への憧れ、強い仲間への憧れーー「憧れ」を通して、人が生きていく力、「生きたい」という希望を描く。

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舞台は、主人公の穂積均(安西慎太郎)と良きライバルであり豪腕投手として知られる唐澤静(多和田秀弥)、それぞれの出身校である会沢商業と伏ヶ丘商業の紅白戦の試合の進行状況を軸に、登場人物たち個人個人の背景や、当時の日本の状況が織り込まれていく。

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「全国中等学校野球大会の中止」という知らせに落胆する球児たち。そんな彼らに赤紙(召集令状)が届き、容赦なく戦争に巻き込まれていく。

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敵性スポーツである野球は試合も禁じられ、用語も、ストライクは「よし」、ボールは「だめ」、セーフは「安全」など、言い換えて使用しなくてはならない。そんな理不尽な国策に、少年たちは愛する「野球」を奪われていたが、ある理由で一度だけ紅白戦が許されることになる。 

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劇中の大半を占める試合シーンは、まるで映画のカット割りのように全方位から工夫を凝らした演出で、みごとなまでに試合の臨場感を伝えてくる。
ある場面は投手の背後にバッターボックスを配し、ある場面では捕手と打者が言葉で牽制し合う様子を2人にズームするような演出で見せる。フライやゴロを捕らえ、走者を刺すまでの野手たちのフォーメーション、ベースへ滑り込む走者と審判の息詰まるような一瞬の間合い、どのシーンも野球というスポーツが持つ緊迫感と迫力がリアルに表現され、球がグラブに収まる瞬間のズシンとした手応えまで、観る側に伝わってくる。
 
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俳優たちは野球経験者だけでなく、今回初めて野球に触れた者もいるというが、この舞台に全身全霊をかけて取り組む姿は、当時の球児たちが「最後の1日」に、ひたすら愛する「野球」に打ち込む姿に重なり、どのシーンも涙なしには見られない。

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できるなら試合終了したくない、いつまでもいつまでも球を追い続けていたい…そんなささやかな願いさえ許されない時代の残酷さ、不条理。そして、自らその想いを断ち切って、空に海に若い命を散らしていく球児たち。その最期が潔ければ潔いほど、虚しくやりきれない想いが胸を締めつける。
笹川美和によるテーマソング「蝉時雨」が、逝く夏と若者たちへのレクイエムとなって、舞台を切なくしみじみと彩っている。

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【初日挨拶】

公演の初日に先駆けて公開舞台稽古が行われ、出演者たちから一言ずつ挨拶があった。 
また、安西慎太郎による始球式が行われた。 

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田中良子 村田洋二郎 永田聖一朗 伊崎龍次郎 白又敦 松本岳 小西成弥 松井勇歩 林田航平
西田大輔 小野塚勇人 多和田秀弥 安西慎太郎 内藤大希 永瀬匡 藤木孝 

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安西慎太郎(穂積均
作品の時代背景なとして色々ありますが、劇場の客席、舞台上も舞台袖も、すべてが舞台というか空間を使って表現しているので、僕たちの全力プレーを観てほしいという思いがあります。

多和田秀弥(唐澤静)
この時代背景の中で少年たちが、大好きだった野球に打ち込む姿、熱意、輝きを、この舞台を通してお客様と体感できるようにがんばりたいです。そして西田さんがおっしゃっていた「新しい演劇が出来ているんじゃないか」という実感が自分にもあるので、あとはフルパワーで、全力で力を入れていきたいと思います。

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永瀬匡(岡光司)
いよいよ初日が始まりますが、毎日毎日、この日が最後だとそういう勝負なので、1球1球、1日1日を全力で演じていきたいと思います。

小野塚勇人(菱沼力)
ついに初日の幕が上がるので、どういう反応なのかすごく楽しみなのですが、細かい技術とかうまさとかは置いておいて、僕たちの熱量とか、その1日に青春を懸けた男たちのストーリーを、存分に感じていただければ嬉しいです。

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松本岳(田村俊輔)
素晴らしい舞台です! 以上です!(笑) 

白又敦(早崎歩)
僕はこの舞台のために頭を丸めて来ました。そのくらい気合が入っています。ぜひ楽しんでください。

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小西成弥(浜岡喜千男)
1公演1公演、1試合1試合にすべてを懸けて、すべてを出し切って、お客様に良い作品を届けられるように頑張りたいと思います。
 
伊崎龍次郎(佐々木新)
初日に西田さんがおっしゃった「全員野球で行く」と。スタッフさん含めてそうなったと思います。ぜひ僕たちの全員野球を楽しんでいってください。

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松井勇歩(堂上秋之)
1分1秒がかけがえのない作品になっていると思います。皆様の心と記憶にずっと残るような、作品を届けたいと思います。

永田聖一朗(大竹明治)
僕は伏ヶ丘商業のキャプテンなので、みんなをまとめていけるように1公演1公演がんばっていきます。

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林田航平(菊池勘三・海軍少尉)
今回は野球を知らない教師を演じるのですが、誰よりもプレーを楽しんで、大切に、この素晴らしいナインの子たちを温かく見守っていけたらと思っています。

村田洋二郎(穂積大輔・海軍中尉)
この作品は、カッコいい衣装やカッコいいウィッグはありません。生身の人間が演じます。そして、ド派手な殺陣や歌はありません。やることは野球だけです。それだけで人の心を打つような作品になっていると思います!

田中良子(唐澤ユメ)
稽古場でこんなに泣いたことはないな、というくらいに彼らの野球を見ていて涙が流れました。それが伝わるといいなと思っています。

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内藤大希(島田治人)
僕はwキャストなので、皆様より早く客席で1幕を見せてもらいましたが、本当に、めちゃめちゃ面白かったです! よろしくお願いします。

藤木孝(遠山貞明・海軍中佐)
野球を熱烈に愛する遠山貞明中佐を演じます。この作品は西田さんの大傑作だと思います。そして、劇場でしか味わえない、演劇でしか実現できない演出も見どころだと思います。がんばって演じます。どうぞよろしくお願いいたします!

西田大輔(作・演出)
「反戦」という言葉をメッセージにするのではなく、野球で、僕らなりのやり方でメッセージを伝えられたらと思い、ここまで頑張ってきました。普段、演出としては、自分の作品には冷静であることを心がけているのですが、それさえも忘れるくらいの俳優の熱と、制作陣の熱意が、ウソのないお芝居を作ってくれたんだと思います。本当に1球1球が、舞台上で1球落としたら終わってしまうような緊張感と、覚悟を持って、たった1日の野球の試合に臨みます。本当に演劇でしかできないことを、俳優とスタッフの皆さんと作り上げてきました。色々な方に観ていただければ嬉しいです。
 
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〈公演情報〉
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舞台『野球』飛行機雲のホームラン〜Homerun of Contrail
作・演出◇西田大輔
出演◇安西慎太郎/多和田秀弥 永瀬匡 小野塚勇人 松本岳 白又敦 小西成弥 伊崎龍次郎 松井勇歩 永田聖一朗 林田航平 村田洋二郎 田中良子/内藤大希/松田凌/藤木孝
●7/27〜8/5◎サンシャイン劇場
●8/25・26◎梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
〈料金〉8,900円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉
東京/サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(全日10:00〜18:00)
大阪/キョードーインフォメーション0570-200-888(全日10:00〜18:00)

【取材・文/榊原和子 撮影/友澤綾乃】




『最遊記歌劇伝-異聞-』


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