らまのだ『青いプロペラ』宣材 s

世田谷パブリックシアターによる、若い才能の発掘と育成のための事業「シアタートラム ネクスト・ジェネレーション」は、1年に1度、公募により選ばれた団体にシアタートラムでの上演機会を提供、劇場が全面的にサポートを行っている。これまで、快快、FUKAIPRODUCE、羽衣、てがみ座、スズキ拓朗、開幕ペナントレース、泥棒対策ライト、to R mansion など、現在演劇界で活躍中の多くの才能を輩出してきた。第11回目となる今年は、緻密に構成された会話劇で、人間の本質的な不合理さ・悲哀を時に滑稽に描きつつも、丁寧に浮かび上がらせ、その作劇・演出手腕が注目を集める「らまのだ」が登場する。
 
「らまのだ」は、劇作家・南出謙吾の戯曲を森田あやのプロデュースによって上演することを目的に、2015 年より活動を開始した。惨めが滑稽に、滑稽が悲哀に見えてくるような、焦点をずらしたやりとりで浮かび上がる、不合理な人間の存在そのものを炙り出す作風が特徴だ。
劇作を務める南出謙吾は、過去、AAF戯曲賞・OMS戯曲賞等で最終選考に選出、2015年第2回希望の大地の戯曲北海道戯曲賞で『終わってないし』にて優秀賞を受賞。同年『ずぶ濡れの鳩』(現『青いプロペラ』)で第21回日本劇作家協会新人 戯曲賞最終候補に選出され、その翌年『触れただけ』にて同戯曲賞を受賞した。また、演出家である森田あやは、青年座研究所にて演劇を学び、「らまのだ」旗揚げ後、『青いプロペラ』『明後日まで内緒にしておく』の評価にて、日本演出者協会主催「若手演出 家コンクール2016」で優秀賞を受賞している。「らまのだ」は近年のネクスト・ジェネレーション選出団体とは異なり、一見して目を奪われるような特殊な手法こそとっていないが、オーソドックスでありつつも、その驚異的な集中力によって、誠実に、丹念に練り上げられた作品の数々で、観客の感情を大いに揺さぶり、一歩一歩着実に、演劇界での評価を高めている団体だ。

今回の『青いプロペラ』は、2015年11月「らまのだ」旗揚げ公演として上演された。全編、劇作家・南出謙吾の出身地である石川県の方言が使用され、軽快な現代口語劇でありながら、ノスタルジーに満ちた故郷の原風景を、深い余韻とともに鮮やかに描き出している。決して広いとは言えない地域社会の中で、否応なく交じり合う人々の温かみと冷たさと、どこか滑稽で何気ない「平温」な日々を通して、抗いがたい時代の変遷を、絶妙なバランスで舞台上に立ち上げる。
またその緻密な作品世界を担う俳優たちは、劇団はえぎわに所属し、松尾スズキやケラリーノ・サンドロヴィッチ作品、最近では劇団☆新感線の『メタルマクベス』disc1にも出演した富川一人、宝塚歌劇団出身で数多くの舞台で活躍、初演にも出演した田中里衣、舞台『野球』に出演の記憶も新しい林田航平、映像や舞台で活躍中の福永マリカほか実力派の出演者が揃っている。加えて、今回はスチールパンバンド「STARS ON PAN」による生演奏が上演を彩る。この一見不思議なコラボレーションが、実際の上演でどのような劇的効果を生むのか、期待が集まる。

【あらすじ】
山あいの小さな町の老舗スーパー「マルエイ」は、隣町の大型ショッピングセンターの出店に揺れている。反対運動も繰り広げるも従業員たちに切迫した様子は無く、どこかその運命を受け入れているようにすら見える。だが、かつては、マルエイも、地元商店街に壊滅的な打撃を与え、ここに出店したのだ。
 
【コメント】
 劇作家・南出謙吾 
「らまのだ」は純粋なストレートプレイ。純粋なんです。舞台芸術の、演劇の表現手法は、繰り返され、多様化し、身体表現にポストドラマ、無言に反復にダンス、手法や才能に溢れ、感覚に豊かに訴えかけてくる。楽しくてスリリング、あるいは崇高。それらを羨み妬み横目で見つつ、我慢を重ねて磨き削った作品が「らまのだ」です。選んでいただけてとてもうれしい。蚊帳の外じゃなかった。メガネにかなった。
社会の腹立たしさや報われなさの中にうごめく、人の営みをただただ丁寧に拾う作業、作品を、あの集中力のある劇場で観てもらえる。おかしく痛々しい、温かみと冷たさの共存した世界を、いかがでしょうかと、お披露目できる。
『青いプロペラ』は故郷石川県を舞台にした石川弁の作品です。雪国の暮らしの息づかい、やたら鼻濁音の多い方言の味わい、そして「らまのだ」の素朴な手法を、手触りを、そっとなぞって撫でてみて欲しい。
こぶしを振り上げこうだ!どうだ!ではなく、いかがでしょうか、という想いなのです。
 
演出家 ・森田あや
「3年でシアタートラムに行く!」バカみたいに無謀な話ですが、「らまのだ」を始める時、劇作家南出と二人でこんな目標を立てました。夢を見ていました。今年の11月で旗揚げ公演からちょうど3年。まさかの有言実行です。
3年前。旗揚げ公演『青いプロペラ』を渋谷の倉庫を改装した客席数60に満たない会場で上演しました。当時のわたしは演出を手掛けるのも初めてで、最初で最後かもしれないつもりでエイヤー!と走ってみました。小さな空間にはお客様がぎゅうぎゅうで、そんな客席に私たちらまのだの出発を、私の演出としての出発を見届けてもらったように感じ、とてつもなく愛おしく感じました。そして、あの時の、あの感覚は、今も私を突き動かし、ここまで連れてきてくれました。
あの作品を、決して楽ではなかったあの創作過程も含めて、今、もう一度、創ってみる。そんな機会を頂きました。あれから少しばかり失敗や挫折、喜びや達成感を感じる経験を経て、ちょっとだけ演出として演劇と関わることを楽しみ始めたわたしは、ずっと欲しかったオモチャを手にした子供ようにワクワクしてます。特別な作品の再演が叶い、しかもその会場は私たちの憧れていた場所。シアタートラムでの上演は夢が叶ったと言うだけでは足りないくらいステキなことです。
私たちは決して派手ではないんです。巧みに騙したり、驚かせたり…ありません。私たちがこの3年間で信じて創ってきたものを、臆せずに、媚びずに、謙虚に、丁寧に紡ぎ出せたら。冷たくてあったかい。そんな曖昧で繊細な手触りが‘らまのだ’なんだと思います。
3年前、夢の中にあった場所で、私たちの原点の作品を創る日がやってきます。張り切ってまいります。

■プロフィール
南出謙吾○石川県出身。劇作家・演出家・俳優。大阪では劇団りゃんめんにゅーろんを主宰している。第15回・第18回 OMS 戯曲賞、第10回・第12回 AAF 戯曲賞、2008年名古屋市文化振興賞戯曲部門において、最終選考に選出。2015年、第21回日本劇作家協会新人戯曲賞で『ずぶ濡れの鳩』(現『青いプロペラ』)が最終選考選出、第2回希望の大地の戯曲北海道戯曲賞で『終わってないし』にて優秀賞を受賞。2016年、『触れただけ』にて第22回日本劇作家協会新人戯曲賞受賞。

森田あや○神奈川県出身。桐朋学園短期大学演劇科を中退。青年座研究所にて演劇を学ぶ。TPT『袴垂れはどこだ』(福田善行作/千葉哲也演出)、青年座スタジオ公演『雷鳴』 (梁石日原作/江原吉博・睫效5喊А森睫效1藹)、トラッシュマスターズ『砂の骨』 (中津留章仁脚本・演出)などに出演。日本演出者協会主催「若手演出家コンクール2016」にて優秀賞受賞。
 
〈公演情報〉
脚本◇南出謙吾
演出◇森田あや
出演◇富川一人(はえぎわ)  田中里衣 林田航平 福永マリカ
今泉舞 斉藤麻衣子  井上幸太郎 猪股俊明
●11/29〜12/2◎シアタートラム
〈料金〉一般3,500 円  高校生以下1,750 円 U24 1,750 円(全席指定・税込) ほか各種割引あり
〈一般発売日】  2018/9/30(日)
〈お問い合わせ〉世田谷パブリックシアターチケットセンター 03-5432-1515  (10:00〜19:00) 





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