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鈴木おさむが作・演出を手がけ、廣瀬智紀と川栄李奈がW主演する舞台『カレフォン』が、10月4日から東京・オルタナティブシアター他で上演される。(10月21日まで。そののち大阪、廿日市、川越、仙台、七飯町、札幌公演あり)
 
主人公の結城茜は派遣OLとして働いているが、うまくいかない日々に悩んでいる。そんなある日、クローゼットにしまってあった古いスマホが突然鳴り出し、そこから聞こえたのは、2年前に病気で亡くなった恋人の声だった──。
切なく泣けるこのラブファンタジーは、女子の恋心を絶妙に描くシンガーソングライターの大塚愛が主題歌を書き下ろすなど、話題満載の舞台だ。
 
この犁磴恋疂語で、スマホとなって恋人を励ます藤原駿役を演じる廣瀬智紀に、作品への取り組み、俳優としての最近の活躍などについて、じっくり話してもらった「えんぶ10月号」のインタビューを別バージョンの写真とともにご紹介する。

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癒しを求めている人の心が
温まってくれたら

──キャッチコピーが「泣き恋」ということで、切ない恋物語になりそうですね。
今回、(鈴木)おさむさんが、「ラブファンタジーで、ガッツリ少女漫画テイストの作品に」とおっしゃっているように、とてもファンタジックなお話だと思います。その要素を一番担っているのが僕の役どころかなと思っています。
──鈴木さんとはドラマの『私のホストちゃん』からの長いお付き合いですが、間近で見て鈴木さんの才能をどう感じていますか? 
すごく幅広い才能を持っていらっしゃる方で、5月に公開になった初監督作品の『ラブ×ドック』にも出させていただいたのですが、女性の心をグッと掴むような素敵な世界観が描かれています。作・演出される舞台も色々拝見していて、結構ロマンチックな作品も多いし、かと思えば『美幸』のような、人間が触れずにいたいような部分を追求する作品を作ったり、本当に凄い方だなと。
──今回も、ロマンチックな中にも人間心理をきめ細かく描く部分がありそうですね。
観ている方が感情移入しやすい作品になると思います。川栄さん演じる茜はOLですから、仕事や会社で色々なことがあるのですが、お客様もきっと同じような経験があると思うんです。そういう時に励ましてくれる「スマホのカレ」みたいな存在がいたらいいなと思っていただけたら、僕としては嬉しいです。
──鈴木さんの鋭いアンテナで、今の時代にはこういうラブファンタジーが必要だと思ったのかもしれませんね。
若い人に限らず、癒しを求めている方が沢山いらっしゃると思います。この舞台がその癒しになれたらいいし、観た方々を勇気づける、元気づける作品にしたいなと。まず作品が面白いのは大前提なんですけど、面白いだけでなく、良い世界に迷い込めたなという感覚になっていただき、心温まって帰ってくださったらと思っています。
 
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体会系なので
簡単にへこたれないんです

──廣瀬さんはデビューしてまもなく10年目に入ります。着実にフィールドを広げてきましたが、最初は役者志望ではなかったとか?
役者になったきっかけはスカウトで、当時は何か表に出られる仕事で自分にもできることはないかと模索していたところだったので、運命的なものを感じました。ただ、事務所に入ったからといって仕事がすぐあるわけではなくて、結局どの世界でも仕事をするための努力は必要なんだと気づいたんです。初舞台から右も左もわからないままやってきて、その中で自分なりに経験を積んで、今はこうして色々な仕事をさせていただいていますが、どこかで努力を怠ったらそこで止まっていただろうなと。繋がりもそうですよね。一生懸命やったら繋がる世界だというのは凄く感じていて、結構自分に甘いタイプなので、自分にも言い聞かせて奮い立たせている部分もあるんです(笑)。
──外見に似ず、意外に根性とかファイトとか、内に秘めていそうですね。
ずっとサッカーをやっていたので、結構メンタル的なものは鍛えられているかもしれません。体育会系なので簡単にへこたれないんです。凄くポジティブに生きられるし(笑)。
──意外性で言えば『スカーレット・ピンパーネル』で、ミュージカルも出来る役者さんなんだと。
あの作品は、もっともっとやりたかったと思うくらい楽しくて、歌うことも楽しかったです。最近気づいたんですけど、僕、合唱が好きだったんです。中学生の頃、合唱祭みたいなのがあって、そういう時も進んで指揮者に立候補して。 
──指揮したのですか? 凄いですね。
三拍子か四拍子くらいの簡単な指揮ですから。みんなで歌うとか、みんなで何かをやる作業が好きだったんだと思います。だから舞台もずっと好きでやってるのかなと。ただ、歌うことも仕事にするとなると好きだけじゃできないので、そういうところは1つ1つスキルアップしていきたいですね。やっぱりミュージカルは難しいですから。

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色々なことで人の心を
動かせるように 

──そしてもう1つ、大きなキャリアになった『髑髏城の七人Season月』はいかがでしたか。
どの作品も向き合い方は変わらないでいたいと思うのですが、やっぱり『髑髏城〜』は向き合った期間が一番長かったりするので、人生の中では忘れることのない、きっとひと時も忘れない経験だろうなと。あと…幸せだったんです、凄く。座長の宮野真守さんをはじめ、カンパニーの方々がみんな仲良くて、本当に1つの大家族のように作品に臨めていた。だから終わっちゃうのは淋しかったし、ずっとやってたいなと。『髑髏城〜』に恋してましたね、ずっと。
──カンパニーの中でも愛されキャラだったと聞きます。どこに行っても愛されるタイプなのですね。
いえ、迷惑ばかりかけてます(笑)。この世界に入った頃は、個性の強い人が多い中で、自分をどう出せばいいのかわからなかったのですが、無理しないで自然体でいようと。『弱虫ペダル』の巻島裕介を演じてからそう思えるようになりました。やっぱりオリジナルというか、自分のままでいいじゃん? と。それから結構、天然とか言われたりするんですが(笑)。でもふわふわしてるように見えるなら、逆にそれを武器に、舞台上でガラッと違う印象を出せばいいんじゃないかと思っています。
──この先俳優として目指すものはありますか。
あえて挙げるなら時代劇ですね。『髑髏城〜』をやってから、より興味が湧いたので、大河ドラマのような大作で大きな役をやれる実力を身に着けていきたいです。それと最近思い始めたのが、例えば新感線の役者さんみたいに、映像作品とかに出ても戻る場所、劇団ではないですけど、そういうホームグラウンドを自分も持ちたいなと。戻れるようなチームがあって、そのチームで公演とかイベントとか、それこそボランティア活動もできたらいいなと。世の中に有用なそういうチームを作りたいなというのがあって。夢なんですけど。
──指揮者もですが、意外とリーダー気質がありそうですね。
いやいや! 僕じゃなくて誰かがそういうのを作ってくれたらいいなって(笑)。でも昔は、自分なんてという気持ちがあったのですが、最近、自分でもやろうと思えばできるかなと。同じ世代で演出をしている方もいるし、自分のやりたいことを追求する姿勢は大事だなと。色々なことで人の心を動かせるようになりたいんです。そしてできれば、誰かの背中を押したり、前に進むきっかけを作れたらいいなと常々思っているんです。
──この『カレフォン』もそういう意味では、沢山の人を励ます作品ですね。
本当にそうです。鈴木おさむさんの温かい部分、ロマンチックな部分、乙女心(笑)みたいなところがふんだんに現れています。キャスト5人、カンパニー一同、心を合わせて、観てよかったと思って頂けるものを作りあげますので、ぜひ観にきてください!

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ひろせともき○埼玉県出身。テレビ朝日系ドラマ『私のホストちゃん』で注目を集める。主な出演作は、ドラマ『エイジハラスメント』『男水!』『掟上今日子の備忘録』。映画『セブンデイズ』(主演)『天秤をゆらす。』(主演)『探偵は、今夜も憂鬱な夢を見る。』(主演)主題歌も担当『HiGH&LOW THE MOVIE2/3』映画『刀剣乱舞』が2019年公開予定。舞台『私のホストちゃん』『弱虫ペダル IRREGULAR~2つの頂上~』(主演)『ダイヤのA』『WORLD〜beyond the destiny〜』(主演)ミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』『髑髏城の七人Season月』ミュージカル『スサノオと美琴〜古事記〜』(主演)など。

〈公演情報〉
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『カレフォン』
作・演出◇鈴木おさむ
音楽◇大塚愛
出演◇廣瀬智紀 川栄李奈/戸塚純貴 柳美稀 山崎樹範
●10/4〜21◎オルタナティブシアター
〈料金〉8,500円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉イベントインフォメーション 0570-550-890(平日13:00〜17:00)  
●10/27・28◎梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
●10/31◎はつかいち文化ホールさくらぴあ
●11/3◎ウェスタ川越大ホール
●11/6◎仙台電力ホール
●11/11◎七飯町文化センターパイオニアホール
●11/13◎わくわくホリデーホール(札幌市民ホール) 
〈公演HP〉https://www.krph.jp



【取材・文/宮田華子 撮影/友澤綾乃】



『光より前に 〜夜明けの走者たち〜』


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