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宅間孝行が仕掛ける極上のエンターテイメント「タクフェス」。その 第6弾として『あいあい傘』が10月から11月にかけて東京・大阪をはじめ10会場で上演される。
2007年の初演以来、観客からの再演希望も多かった作品で、今回11年ぶりに上演されることになった。また、発売中の小説「あいあい傘」、10月26日全国公開の映画『あいあい傘』と、複数メディアの同時展開も行われることでも、大きな話題となっている。

舞台はとある田舎町。25年前に失踪した父と、その父を探す娘の、交差する想い──。
親子、そして家族の在り方が問われるこの時代に、あって当たり前、時には鬱陶しく思ってしまう親子の絆や愛を、真っ直ぐに見つめ直す作品だ。

この舞台で、作・演出を手がけ、役者としてはテキ屋の清太郎とその父の虎蔵を演じる宅間孝行。お茶屋「恋園庵」に出入りする酒屋の船田くんを演じる大薮丘。「恋園庵」の娘・麻衣子を演じる前島亜美。そんな3人が、『あいあい傘』の作品世界について語った「えんぶ10月号」のインタビューを、別バージョンの写真とともにご紹介する。

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大薮丘・宅間孝行・前島亜美

日常で何を大事にするか、
そこを大切に

──11年ぶりの上演ですが、再演するにあたって書き直したそうですね?
宅間 僕には珍しくかなりリライトしました。登場人物も少なくなってます。リライトしながら思ったんですが、これはすごく舞台向きの作品だなと。筋立てなどの大きな展開で見せるものではなく、人間関係とか会話で見せていく。だから役者さんたちは大変だろうなと。でも、そのぶんやり甲斐があると思います。
──そういう作品だから芝居の出来る方が多い座組なんですね。大薮さんと前島さんも若手の中では演技派で期待されていますが、お二人がそれぞれ演じる役は?
大薮 僕は酒屋の船田くんです。弱気な男の子で、芯は持っているんですが、なかなか思ったことを言葉に出せないんです。ストーリーの中で、そんな船田くんが変わるきっかけになる場面があって、たぶん難しいだろうなとは思うんですけど、楽しみでもあります。
前島 私は神社のそばのお茶屋「恋園庵」の娘で麻衣子です。神社の巫女をしています。この物語の主軸となっているのは2つの家族の話なのですが、こちら側の家族の娘として、麻衣子が抱えている想いや過ごしてきた時間があると思うので、それを人間関係や会話の中で見せていければいいなと思っています。
──お二人はタクフェスの舞台を観たことは?
前島 私は以前、別の舞台で知的障碍の少女をやらせていただいたとき、参考になりそうな作品のDVDなどを沢山観たんです。その中にタクフェスの『くちづけ』があって、ちょっと衝撃的なくらい心を打たれまして、自分が人と向き合っていく中で、とても影響を受けた作品だったんです。ですから、今回タクフェスに出演させていただくことになって、本当に嬉しいし、本当に幸せです。

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大薮 僕も同じで、劇場で『くちづけ』や『ひみつ』を観たんですけど、めちゃくちゃ引き込まれてしまって。初めはゲラゲラ笑って、宅間さんのアドリブというか、それが凄くて、大笑いしてたら、いきなりシリアスな会話に変わって、感情が入って泣きそうになって。あれ、なんなんでしょうね、凄かった! だから今回の話を聞いたときは、飛び上がりたいくらい嬉しかったです。
──宅間さんは演出家として、このお二人に期待するものは?
宅間 俳優さんってどうしても台詞へのアプローチになることが多いんですが、そうじゃなく、今回の芝居で必要なのは、「そういう人」であってほしいということで。二人が持っているものでいいので、例えば船田くんの役なら、いじめられてるというシチュエーションは誰にでも少なからずあることで、そこを突き詰めて考えればいいし。麻衣子なら、親に愛されてないんじゃないかという想いがあって、でも愛されたくてみたいな、若干ゆがんでるところがあるわけです。そういう人たちが色々な局面で、どう立ち振るまうかということですよね。だから僕らが日常で何を大事にするか、そこを大切にしていたら、そんなに難しくはないと思います。例えばお客さんを小気味よく定期的に笑わせなくてはいけないとか、そういうことになったらそれは難しいけど(笑)。
──でも宅間さんは、場面によってはいきなり振ってきますよね?
大薮 あれ恐いですよね(笑)。
宅間 (笑)大丈夫。船田くんも麻衣子も別に笑いを担当するわけではないので。でもみんな、タクフェスの舞台に立つと、なぜか笑いを欲しがりになっていくんだよね(笑)。

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大変なぶん役者にはやり甲斐のある作品に

──お二人は舞台のどこが好きですか?
大薮 僕は芝居を観るのがすごく好きで、映画も沢山観るんですけど、結局、生きてる人間を観るほうが興奮するし、僕もああいう芝居がしたいなと、刺激をすごく受けるんです。でもそう思っても、なかなかその通り出来ないし、出来てるかもわからない。自分の芝居が良かったのか良くないのかも、よくわからないんです。でも今回もそうですが、出たいなと思ったり、好きな作家の方や演出家の方の作品に出られることは、本当に幸せなので、今回も立ち向かって行きたいと思っています。
前島 私はこの世界にはグループ活動から入って、小さい時から歌ったり踊ったりしてきたんですけど、そういう輝いている世界は自分に向いてないなと思う気持ちがあったところに、演劇と出会ってすっかり演劇が好きになってしまって。素晴らしい作品に出会ったときは、本当に生きていてよかった! と思うし、自分の人生を肯定してもらえるし、心を動かされるって素晴らしいなと思います。とにかく勉強しようと思って舞台を見まくっていて、今回も沢山学ばせていただきたいと思っています。
──こういう若い役者さんを迎えて、タクフェスとしても新鮮な公演になりそうですね。
宅間 お二人もですが、ほとんどが初めての役者さんばかりなんです。だからいい意味でどうなるかわからないと思っているし、役者さん次第で大きく変わりそうな気がしています。初演より役が少なくなっているぶん、それぞれの役の厚みが増しているので、役者さんたちは、やりようによってはすごくやり甲斐があるんじゃないかな。

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──そんな舞台『あいあい傘』のアピールを、改めていただきたいのですが。
大薮 脚本がすごく面白くて、宅間さんの演出でさらに面白なるに違いないと思っているので、それをちゃんとお客様に伝えないとという気持ちです。タクフェスは本当にお客様が楽しめる舞台なので、今回も一緒に楽しんでもらえるように頑張ります。
前島 先日、映画版も試写で拝見したのですが、号泣しながら見ました。すごく心打たれたので、舞台版も頑張りたいと思っています。家族と親子とか人との繋がりが素敵な作品なのでそこを伝えたいし、東京だけでなく色々な場所で公演できる舞台はそうはないので、そこも嬉しいです。
宅間 映画版も公開されますが、違うところ、逆に映画を補完してるところもあります。キャストの違いでまた変わるので、シェイクスピアではないですけど、演じる人が変わることでどう見えるか、映画版と見比べると、より一層この舞台も楽しめるかもしれません。小説も出ていますし、色々な『あいあい傘』の世界を楽しんでください。

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【プロフィール】
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たくまたかゆき○東京都出身。脚本家、演出家、俳優。1997〜1999年東京セレソン。その後、2012年まで劇団「東京セレソンデラックス」、以降は「タクフェス」を主宰。作家・演出家・監督・俳優として映像や舞台で活躍、辻本茂雄とのユニット「つじたく」でも活動中。劇団作品の映像化が多く、ドラマ『歌姫』『間違われちゃった男』(脚本.監督)、映画『くちづけ』(脚本.出演)など。映画『あいあい傘』(脚本・監督)が10月26日より全国ロードショー。
 
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おおやぶたか○石川県出身。高校卒業後上京、俳優としてデビュー。主な出演舞台は、三ツ星キッチンプログレス公演『魔法のスープ』(主演)、テトラクロマット『風は垂てに吹く』(主演)、 ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン、ウォーキング・スタッフプロデュース『D51-651』、Nana Produce Vol.9『真空家族』など。年末に『明治座大合戦祭, 歳が暮れ・るYO』に出演予定。

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まえしまあみ○埼玉県出身。2010年アイドルグループSUPER☆GiRLSのメンバーとしてデビュー。2017年SUPER☆GiRLSを卒業。女優として映像や舞台で活躍中。最近の主な出演舞台は、『デスノート The Musical』『クジラの子らは砂上に歌う』『幸福な職場』『煉獄に笑う』『デパート』『BLOODY POETRY』『バクステ』など。声優としても活動、NHKオーディオドラマ「夜露姫」などに出演。

〈公演情報〉
あいあい傘画像
 
タクフェス第6弾『あいあい傘』
作・演出◇宅間孝行 
出演◇星野真里 宅間孝行 
鈴木紗理奈 竹財輝之助 弓削智久 大薮丘 前島亜美 
越村友一 柿澤仁誠(Wキャスト) 佐田照(Wキャスト)  
モト冬樹  
川原亜矢子 永島敏行
10/5(プレビュー公演)◎志木市民会館パルシティ
10/8◎仙台電力ホール
10/21◎鳥栖市民文化会館 大ホール
10/24◎栃木県足利市民プラザ・文化ホール
11/2〜11◎サンシャイン劇場
11/15◎りゅーとぴあ・劇場
11/18◎はつかいち文化ホールさくらぴあ大ホール
11/23・24◎道新ホール
11/30〜12/4◎梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
12/6〜9◎ウインクあいち
〈お問い合わせ〉ネルケプランニング 03-3715-5624(平日11:00〜18:00)




【取材・文/宮田華子 撮影/友澤綾乃】



『光より前に 〜夜明けの走者たち〜』


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