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鈴木おさむが作・演出を手がけ、廣瀬智紀と川栄李奈がW主演する舞台『カレフォン』が、10月4日に東京・オルタナティブシアターで開幕した。(10月21日まで。そののち大阪、廿日市、川越、仙台、七飯町、札幌公演あり)

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【ものがたり】
派遣OLとして働く茜(川栄李奈)は、上司に嫌味ばかり言われ、うまくいかない。「生きていても楽しくない」そんなことを思ったある日、古いスマホが突然鳴り出す。2年前に亡くなった恋人、駿(廣瀬智紀)から電話がかかってくる。彼のことを忘れようと必死だった茜の前に、スマホとなって現れた元カレ。彼のおかげで、茜は少しずつ前を向き、茜を取り巻く人々が一歩ずつ動き出す…!

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作品が上演されているのは有楽町駅前のビル、マリオンの7階にあるオルタナティブシアター。都会の真ん中にある劇場にふさわしいライトな感覚の、ちょっと笑えて、だが切なさいっぱいの“泣き恋”の物語だ。

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舞台美術はシンプルでカラフル。高さのあるホリゾントに映し出される丹沢ユウの漫画(原作:鈴木おさむ)が、この作品のファンタジー性を高める。主題歌の「Dear, you』は女子の恋心を絶妙に描くシンガーソングライターの大塚愛が書き下ろしたオリジナルで、作品世界を透明な歌声で表現している。

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スマホのカレとしてヒロインを励ます藤原駿を演じる廣瀬智紀は、挫折した過去を持つ青年が、ポジティブな茜との出会いで新たな夢を持つまでの過程を、丁寧に説得力を持たせて演じる。死者として登場するシーンでは異空間の空気をまとって気配を変えるなど、この作品の中心的存在としての役割りを十二分に果たしている。

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川栄李奈が扮する結城茜は、2年前までの明るく元気だった時期、恋人を失った暗い時代、そしてスマホからの駿の励ましで再びポジティブになり、周囲の人間たちまで変えていく現在まで、茜のたどる変化を熱く演じている。川栄の女優としての資質である親しみやすさや素直さは、茜の魅力と重なって、物語を牽引する力がある。

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茜が派遣された会社の社長の息子、桐生陸役は戸塚純貴が扮していて、ユニークなイケメンぶりを発揮。会社の改革に意欲的で真っ直ぐな青年だが、どこか周囲とズレたおかしさも醸しだすなど、エネルギッシュな活躍ぶり。
 
茜の同僚でやる気のない花田裕美役に柳美稀。モデル志望という女性の役にフィットするスタイルと華やかさがある。後半で見せる裕美の別の一面も思い切りよく演じていて、これが初舞台とは思えない存在感を見せた。

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茜たちが働くクレーム課の嫌味な上司・玉木健一役をはじめ、高校野球の監督、居酒屋の店長と3役を次々に演じ変える山崎樹範。一瞬でキャラをチェンジする見事な変身ぶりはさすが。なかでも玉木役での鬱屈はリアルで、嫌味だがどこか憎めない人間くささを感じさせる。

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そんな人々が、ときには繊細で傷つきやすい心をさらけ出しながらも、なんとか生きていこうとする、そこに人間というものの愛おしさが溢れる。作・演出の鈴木おさむが「女性を泣かせる」と宣言した作品だが、女性のみならず男性も泣かせる物語であり、同時に、前に進もうとする人たちの背中を、そっと押してくれるような優しい舞台が誕生した。

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【会見挨拶とインタビュー】
 
公演初日となった10月4日の昼に、公開ゲネプロと囲み取材が行われ、主演の廣瀬智紀と川栄李奈をはじめ、戸塚純貴、柳美稀、山崎樹範、作・演出の鈴木おさむが登壇した。

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──いよいよ初日ですが、
廣瀬 1か月みっちり稽古してきたので、それを、この『カレフォン』の世界観をどれだけお客さんに届けられるかという、ワクワクとドキドキでいっぱいです。

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川栄 5人しかいないので、稽古中も意見を言い合ったりとか、表情がわからないときはヤマシゲ(山崎樹範)さんがやってくれたり、和気藹々と、かつ団結しながらできたので、それが皆さんに伝わればいいなと思います。  
戸塚 今回、原作もありますので、その方々にも楽しんでいただける作品になっている思うので。
廣瀬 ちょっとテンションが低いね。戸塚の元気が。
戸塚 ビジネスだから、ビジネストークだから(笑)。
廣瀬 あ、ごめん(笑)。
戸塚 5人で、少ないからこそできる舞台になっていると思います。   

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 初舞台なので、ちょっと思考回路が停止するほど緊張しています。自分の出せるものを出し切ってがんばっていけたら。
山崎 柳さんは今言ったように初舞台ですが、僕は今年に関して言うと、舞台はもう5本目なんです。ですから多少の温度差はあります(笑)。  
鈴木 今回は女性が観に来て、絶対に泣けるラブストーリーをと思って作りました。稽古してて、昨日もリハしたんですけど、女性のスタッフがかなり“爆泣き”してる様子を見て、これは結構いけるんじゃないかなというのは感じました。恋愛でキュンとするようなシーンも沢山あります。でも1カ月稽古してみて、川栄さん、こう見えても、意外と心の中におじさんが棲んでいるということがわかりました(笑)。その、心の中のおじさんを捨てて、恋愛を思いっ切りやっていただけたら、大成功するんじゃないかとは思ってます(笑)。
川栄 このキャストは男性が女性っぽくて、女2人が男っぽいんです。だから逆にバランスいいなって思ってます(笑)。

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──物語の発想はどんなきっかけで。
鈴木 僕は携帯もスマホを昔のやつ捨てられないんです。結婚する前のガラケーとかも取ってあって、それにはやっぱり、恋愛の記録もあるじゃないですか? それを物語にできないか、と思ったのが発想です。
──それが原因で揉めるようなことはなかったですか?
鈴木 いや、ないですよ! もし揉めてたら物語にしないです(笑)。 
──皆さんは?
戸塚 取っておきます。
山崎 取っておいて正直、ね〜(笑)。
 すぐ捨てます。ポイって(笑)。

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廣瀬 なんだかんだ取っておきますね。
川栄 捨てます(笑)。
鈴木 男のほうがめめしいんです(笑)。思い出にひたりたいんです。
──泣ける舞台ということですが、川栄さんものすごく泣くそうですね。
川栄 すごい泣きます(笑)。1リットルくらい(笑)。舞台が近いので前のほうのお客さんはリアルに物語を感じていただけるんじゃないでしょうか。 
──主題歌が大塚愛さんですが。
鈴木 前にドラマで「プラネタリウム」という曲を使わせてもらって、ああいう世界観で、全体が少女漫画っぽい感じになるといいなと。結婚されてお母さんになられて、そういう大塚さんが書く少女の歌っていいんじゃないかと。二つ返事でOKしていただいて。素晴らしい曲ですよね。
川栄 本当に素敵です。
鈴木 それ聞いただけで泣いちゃうくらいで。

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──稽古中の様子は?
川栄 仲良しですよね。
全員 仲良しです!
廣瀬 最初はね、みんな探り探りなよそよそしいところもありましたけど、途中から一気に仲良くなって。キャストのみんなでご飯とかも行かせていただいて、それをきっかけに仲良くなれた感じです。
川栄 稽古の終わったあとに、ちょっと胸キュンシーンがあるのを、戸塚くんとヤマシゲさんが、こうしたらいいよと、抱きしめ合ったりしながら、「こうしたほうがいいよ」と(笑)。
鈴木 主演の2人が照れるんですよ(笑)。クリスマスとか抱きしめるシーンとか照れるんです。だから「ちょっとお手本見せてくれ」と2人に。
廣瀬 すごい、ためになりました。
山崎 基本的には私が川栄さん役をやって、
廣瀬 身長差がね。

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山崎 僕ならこうしてほしいと理想の女性像を伝えるのですが、おさむさんからは「それだとコントだな!」と言われました。
鈴木 川栄さんがすごいゲラなんですよ。稽古中も誰かがアドリブを入れたりするとすぐ笑ってしまうんです。
──アドリブは本番でも?
鈴木 あります。毎日違うのを入れるところもあります。
川栄 本番では我慢します。演者が笑うのは一番ダメだと戸塚くんに教わったので(笑)。

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──最後に意気込みを。
廣瀬 先ほどおさむさんがおっしゃったように、最近泣いてないとか、心がほっこりしたい人はもちろん、この作品って、ラブファンタジーというテーマですが、それ以上に人間ドラマがすごくあります。登場人物のキャラクターや生き方が妙にリアルなんです。現実的なので、登場人物のどなたかに、やはり感情移入とか、わかるなという瞬間が沢山でてくると思います。そういう方たちが、一歩前に進める作品になればいいなと思いますし、僕は駿という茜をサポートする役なんですけど、そういう存在が近くにいたらいいなと、そう思っていただいたら嬉しいなと思います。この舞台を観て、存分に泣いて、存分に笑って、また明日からの活力になればいいなと思っています。ぜひ、劇場に遊びにきてください。よろしくお願いいたします。

〈公演情報〉
カレフォン画像
 
『カレフォン』
作・演出◇鈴木おさむ
音楽◇大塚愛
出演◇廣瀬智紀 川栄李奈/戸塚純貴 柳美稀 山崎樹範
●10/4〜21◎オルタナティブシアター
〈料金〉8,500円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉イベントインフォメーション 0570-550-890(平日13:00〜17:00)  
●10/27・28◎梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
●10/31◎はつかいち文化ホールさくらぴあ
●11/3◎ウェスタ川越大ホール
●11/6◎仙台電力ホール
●11/11◎七飯町文化センターパイオニアホール
●11/13◎わくわくホリデーホール(札幌市民ホール) 
〈公演HP〉https://www.krph.jp



【取材・文/榊原和子 撮影/友澤綾乃】



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