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立教大学にて10月7日、「新派130年記念シンポジウム『新派再考』」が開催された。
11月に舞台化される『犬神家の一族』出演の喜多村緑郎、河合雪之丞、脚色・演出の齋藤雅文が座談会に参加。会場は補助席が用意されるほどの観客で埋めつくされ、シンポジウムは盛会裏に執り行われた。

本年2018年は、新派創始130年の記念の年。1888(明治21)年に新しい演劇の流れとして起こり、歌舞伎を「旧派」とし、「新派」は始まった。以来、明治・大正・昭和の日本人を丹念に描き出し、大衆に愛され続けて、新派は130年を迎えた。
今回のシンポジウムでは、日本演劇にとって「新派」とは何か、新派という演劇ジャンルが何を表現してきたか、それらがどのように受容されてきたかを再考し、新派の未来について登壇者が語るという形で進められた。

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まず、近代日本演劇研究の第一人者である、明治大学の神山彰教授が「新派の領分と風俗」というテーマで、新派独特の小道具や衣裳、舞台装置、音楽的効果を紹介しながら、新派がいかに明治以降の日本のエンターテイメント文化の中心として存在したかを述べた。
特に、なぜ花柳界を描く作品が大衆に愛されきたかを紹介すると、会場からは笑いが起き、興味深い話が続いた。
続いて、新派を研究する立教大学の後藤隆基兼任講師が、「関西新派の多様性」というテーマで、130年前の新派の勃興期からを年表を用いながら、現在ではなかなか話題にされることのない明治時代の関西での新派の動きを紹介。
3人目として、立教大学文学部で近代文学を教える金子明雄教授が、「新派と歌舞伎のあいだ  五世中村芝翫の家庭小説劇」というテーマで、明治時代の歌舞伎と新派の関係性を、スライドを用いて、当時のプログラムなどを示しながら、新派の名作を紹介した。
そして、本シンポジウムのメインとして設定された座談会に、喜多村緑郎、河合雪之丞、齋藤雅文が登壇。司会を神山彰に、「新派130年とその未来」というテーマで、約2時間に及ぶ座談会を行った。
歌舞伎界から新派に移籍した喜多村緑郎と河合雪之丞は、歌舞伎と新派の演技術について述べ、新派への熱い想いを語った。新派文芸部の齋藤雅文は、新派の演出法についても述べるなど、役者や演出家が、経験と実感を伴った話を時間の許す限り語り合い、補助席をも埋めつくした満場のお客様からの拍手で会を終えた。

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喜多村緑郎
今日のお話を聞いていて、改めて考えさせられました。新派の名作や埋もれている作品、新派に合う作品をこれからも上演していくために、どうしたらいいのか、お客様に喜んでもらうためにいま何をすべきか、新派に入って以来、24時間考えています。そのためにも、『犬神家の一族』のような作品でみなさまにまず興味を持っていただきたいて、新派を知っていただきたいと思っています。

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河合雪之丞
新派の女方の一番の特徴は、やはり女優さんと同じ舞台に立つ、ということです。その分だけ、新派では女方の魅力を出す必要を感じています。新派は日本語の美しさを感じることのできる芝居をつくってきましたので、いつでも心がけるようにしています。

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齋藤雅文
新派にはセリフだけでは表現されないような登場人物の内面も、音楽が静かに鳴ることによって伝えることができる。劇団の座付き作家として、これまでの新派の特性を踏襲しながら、新たなバリエーションとして作品づくりをしています。一作一作手応えを感じる作品、お客様に楽しんでいただける作品をつくっていきたい。

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また、新派を振り返る中で、師匠である市川猿翁のスーパー歌舞伎、復活狂言の制作過程にも話題が及び、喜多村は「劇場に入ってからは必ず朝まで稽古をしていた」と思い出を語り、河合は「これ、僕出ていたんだ」と、猿翁が子役時代には新派にも出ていた写真を見せてもらったエピソードを語った。

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11月に上演される『犬神家の一族』については、河合から「あの(スケキヨの)足も出てくるようですし、映画では描かれなかったエピソードも盛り込まれた『犬神家の一族』になります」とアピールした。

【シンポジウム概要】
立教大学主催「新派130年記念シンポジウム『新派再考』」
2018年10月7日(日)13:00〜15:00
立教大学・池袋キャンパス
太刀川記念館3階カンファレンス・ルーム
喜多村緑郎(新派役者)
河合雪之丞(新派役者)
齋藤雅文(演出家/新派文芸部)
神山彰(明治大学教授)
金子明雄(立教大学教授)
後藤隆基(立教大学兼任講師)

〈公演情報〉
11月新派特別公演『犬神家の一族』
原作◇横溝正史「犬神家の一族」(角川文庫刊)
脚色・演出◇齋藤雅文
出演 ◇水谷八重子、波乃久里子、喜多村緑郎、河合雪之丞、佐藤B作 ほか
●11/1〜10◎大阪松竹座
●11/14〜25◎新橋演舞場

初春花形新派公演『日本橋』
作◇泉鏡花
演出◇齋藤雅文
出演◇喜多村緑郎、河合雪之丞、高橋惠子、勝野洋 ほか
●1/2〜25◎三越劇場

〈劇団新派HP〉https://www.shochiku.co.jp/shinpa/index.html



 資料提供/松竹】


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