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新アニー/岡菜々子 山崎玲奈 

ミュージカルを愛する少女たちを生み出し続けている丸美屋食品ミュージカル『アニー』の、2019年公演の出演者を選ぶ最終オーディションと合格発表が、10月21日、麹町の日本テレビで行われた。

1977年にブロードウェイで開幕した『アニー』は、同年のトニー賞で7部門を受賞した傑作ミュージカル。日本では1986年の初演以来、全国で176万人が観劇した国民的作品として愛され続けている。2017年の公演で、『ジキル&ハイド』『ローマの休日』『ラ・カージュ・オ・フォール』『シスター・アクト〜天使にラブソングを〜』など優れたミュージカル、ストレートプレイの演出家として活躍する山田和也を演出に迎え、翻訳台本、振付、舞台美術、衣装などを一新。一層テンポ良い、現代に即してより観易くなったと好評を博したバージョンが、2019年公演として展開される。
 
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その主役のアニーをはじめとした7名の孤児たち、それぞれダブルキャストで舞台を務める14名を選ぶオーディションが今年も開催。幼稚園年長組から中学3年生までの子供を対象とした募集で、書類審査に合格した417名の中から、10月13日、14日、10月20日、21日で行われた、歌・ダンス・ワークショップ演技の実技審査を勝ち抜いた少女たち約50名が最終審査へと進み、家族と共に合格発表の瞬間を迎えた。

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列になって入ってきた子供たちは、長い審査で疲れもあるだろうにキビキビと行動し、ひとつひとつの説明に対しても「はい!」と大きな声を揃えて返事をするなど、最終審査にまで進んだのもうなづける立派な振る舞いで、こちらの背筋まで伸びるよう。それでも定位置について発表を待つ間は、両手を組み一心に祈る子供たちの姿が多く見られ、ここにいるだけでも皆がスペシャル、すごいことなんだよ!と思わず声をかけて歩きたい気持ちになった。

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まず演出家の山田和也からの講評があり「オーディションに参加してくださってありがとうございます。今日の合格発表が唯一のゴールではなく、合格した人にはここからがスタートですし、今日選ばれなかったとしても皆さんの可能性は無限にありますから、そのことを思っていてください。結果としてもちろん今日選ばれる人と選ばれない人に分かれるのですけれども、毎年見ていて思うのはほとんど実力の差はないです。ですから全体のチームのバランスなどを見ていって、我々も本当に苦しい決断をしております。本当は全員でやりたい。でもそうすると7チームくらいできて、1年中上演していなければならないので、それを避ける為に断腸の思いで、心を鬼にして選びました。繰り返しになりますが、ひとりひとりに優劣がある訳ではなくて、皆本当に素晴らしかったです。本当に努力をしてきたんだということがちゃんと伝わりましたし、その努力は絶対に無駄になりません。これから『アニー』をやるにしても『アニー』以外のことをやるにしても絶対に役に立ちます。だから胸を張っていてください。ご家族の皆様もご協力ありがとうございました。皆様のご支援、ご協力がなければ我々が『アニー』をやることはできません。ありがとうございました」と、子供たちひとりひとりに語り掛けるような、温かい言葉が印象的だった。
 
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そこからいよいよ合格発表の瞬間に。痛々しいほどの緊張が会場に内に走る中、モリー役・三浦あかり(みうら・あかり)石井瑠菜(いしい・るな)、ケイト役・塩原くらら(しおばら・くらら )斎藤藍(さいとう・らん)テシー役・舟久保美咲希(ふなくぼ・みさき)成石亜里紗(なるいし・ありさ)ペパー役・古矢茉那(ふるや・まな) 洞桃香(ほら・ももか)ジュライ役・梁世姫(やん・せひ)小池佑奈(こいけ・ゆうな)ダフィ役・山口紗來(やまぐち・さら)吉田葵(よしだ・あおい)の名前が呼ばれていく。

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思わず飛び跳ねる子供、どこか呆然として立ち上がる子供、顔をおおって泣き出す子供と、それぞれの喜びの表現はまちまちだが、隣で健気に拍手を贈りながら涙でいっぱいになる、名前を呼ばれなかった子供たちの心中を思うと、毎年のことながら胸が痛む。

そしていよいよ、アニー役が発表になる。2019年のアニーは埼玉県出身の小学4年生9歳の岡菜々子(おか・ななこ)、愛媛県出身で千葉県在住の小学6年生11歳の山崎玲奈(やまさき・れな)に決定した!

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発表に続いて全員が起立して主題歌『トゥモロー』を合唱する。喜びの涙、悲しみの涙の中で、朝がくれば良いことがある、悲しい時には胸を張って歌うと涙のあとも消えていく、という主題歌の持つ意味、この瞬間に選ばれた子供と、選ばれなかった子供が共に『トゥモロー』を歌う意味を考えさせられる気がした。この歌の持つ魔法こそが『アニー』をこれだけ長い間上演が続く、メガヒット作品へと昇華させた所以なのだろう。

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そして、合格者14名での記念撮影が行われた。様々なポーズに応じる全員が溌剌と元気いっぱいで、演出家の山田和也が取材陣に混じって撮影する一コマも。

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更に、新アニーの二人に、2018年版でアニーを演じた新井夢乃と宮城弥榮が祝福に駆けつけ、花束が贈られた。

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新井夢乃 岡菜々子 山崎玲奈 宮城弥榮 

続いて、新アニーの岡菜々子、山崎玲奈、演出の山田和也に囲みインタビューが行われた。

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岡菜々子、山田和也、山崎玲奈 

【囲みインタビュー】

──アニーに選ばれた今の気持ちを教えてくだい。
山崎 オーディションは2回目で、前はダンスで落ちちゃって悔しいと思って、ダンスを練習して今回臨んだら受かったのですごく嬉しいです。
 私はモリーと、ケイトで受けたことがあるのですが、二次審査くらいで落ちていたので、今回最終審査までいって受かれたので、心臓が飛び出しそうでした。
──どんなアニーになりたいですか?
山崎 観ている人が笑顔で、この子優しくて明るいアニーだなと思ってもらえるアニーになりたいです。
 元気良くて笑えて、皆に明るく元気で帰ってもらえる、勇気を与えられるアニーになりたいです。
──山田さん、この二人を選んだ決め手は?
山田 毎年その質問があって、毎年困るんですが、選ぶという感覚ではなくて、出会うという感覚なんです。きっと世の中にはアニーがいると思ってたくさんの子供たちに会うと、引き寄せられるかのようにこの二人に会ったというところがあって。(二人に)よく会ってくれました。フィルターをかけて見るのではなくて、アニーに出会いたいと思って見ると「あぁ、ここにアニーがいた」という感じなんです。毎年そうで今年もそうでした。
──そんな二人にはどんな声をかけますか?
山田 良かった、会えて。
──二人共何回目かの挑戦とのことですが、これまでどんな練習を積んできたのですか?
山崎 落ちてからバレエを週6回通い始めて、歌のレッスンも知りあいの先生に「アニーになりたい」と言ったら真剣に教えてくれて。歌を週1回、バレエを毎日行ったらダンスもまぁまぁ良い感じになってきて、歌も良い感じになったので、自信満々にアニーを受けられる!と思いました。
 今までダンスを週5回行っていたのを減らして、歌と演技に絞ってずっと練習していたら良くなってきて、もうちょっとというところでオーディションが来てしまったので、舞台に向けてもっと練習したいです。
──二人が思うアニーの魅力は?
山崎 自分が辛くて悲しいのに皆に笑顔で振る舞うところがすごいなと。明るくて皆が引き寄せられちゃう人だと思います。
 お父さんとお母さんを探していて、孤児で絶望的な暮らしをしているのに、挫けないで明るくて元気でずっと夢を持ち続けられるのがすごいなと思います。
──将来の夢はなんですか?
山崎 色々な幅広い演技ができる女優になることです。
 歌もダンスも演技もできて、ミュージカルにもテレビにも出られる女優さんになりたいです。
──憧れの女優さんはいますかす?
山崎 高畑充希さんです!
 私も同じです!
──自分とアニーが似ていると思うところはありますか?
山崎 言われるのは「家族思い」というところで、アニーもすごく家族のことを思っているから、そこが一番似ているかな?と思います。
 やんちゃな男の子みたいなゲームをするのが好きなので、そういうやんちゃなところが似ているかな?と思います。
──合格したらご褒美がもらえるとか、ご家族と約束していましたか?
山崎 すごくしています(笑)、もうたくさんあります。引っ越してきたので地元に帰ることと、ディズニーが大好きなので、ディズニーの年間パスポートをもらえることになっています。
 すごーい!! 私はおばあちゃんにオーディション中は太っちゃうからやめていたおはぎを作ってもらうのと、お母さんにはディズニーランドのホテルに泊まってディズニーランドに行くことです。
──平成最後のアニーで、公演中に新しい元号のアニーになるのですが、その記念すべき年のアニーになったことについては?
山崎 自分も平成生まれですし、平成生まれでアニーを受けた人はいっぱいいて、残念ながら出られなかった人もいるので、自分が生まれた平成最後のアニーとして頑張ります。
 平成が終わって次の元号になるから「平成最後のアニーになるの?」とお母さんに言ったら「受かったらそうなるよ」と言われて驚いたので、そうなれてすごく嬉しいです。
──山田先生稽古までにこの子たちにやってきて欲しいことはありますか?
山田 おはぎ食べてもいいけど太らないでね(笑)。とりあえずちょっとゆっくりのんびりした方が良いんじゃないかと思いますが、アニーというのは明るかったり、人の気持ちがよくわかるというのももちろんあるんですが、ずるがしこいとか、したたかだとか、物怖じしないという部分もきっとあるので、この子たちの中にある、普段は隠している抜け目ないところを思い出してくれると嬉しいです。
──長いオーディションで大変だったこと、また楽しかったことは?
山崎 ダンスがすごく難しかったです。私はダンスが苦手で、覚えることや表現することが大変だったのですが、それを隠して笑顔で踊ることを目標にして、笑顔で踊りました。
山田 ダマされた!(爆笑)
 私はワークショップ演技審査が『アニー』のことをやると思っていので、全く違うことをやるのでびっくりしたのと、楽しかったのはやっぱりワークショップでハードロックとかをやったことです。
──ダンスや歌は何年くらいやってきたのですか?
山崎 歌は赤ちゃんの頃から好きだったので3歳くらいから「リトミック」をやって、それからピアノに移り変わって、10歳でまた歌の練習をしました。ダンスは今年から頑張りました。
 私は3歳くらいでテレビでゴールデンボンバーの真似をしたり、学校の帰りに歌ったりしていました。レッスンは色々なところで習いました。
──では一言づつ意気込みを。
山崎 アニーに選ばれたので、優しくて明るい憧れのアニーになりたいです。
 皆を笑顔にして、アニーの曲をお客様に覚えて帰ってもらえるように、気持ちをこめて歌いたいです。
山田 観に来てね!


〈公演情報〉 
丸美屋食品ミュージカル『アニー』2019
脚本◇トーマス・ミーハン
作曲◇チャールズ・ストラウス
作詞◇マーティン・チャーニン
翻訳◇平田綾子
演出◇山田和也
音楽監督◇佐橋俊彦
振付・ステージング◇広崎うらん
●2019/4/27〜5/13日◎新国立劇場 中劇場
〈公式サイト〉http://www.ntv.co.jp/annie/
※その後、地方公演予定あり


【取材・文・撮影/橘涼香】




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