西田家城
西田大輔・家城啓之

カリスマDJ・ジーザスが本番に来ない! しかし、番組を中止にするわけにはいかないとDJ不在のまま生放送がスタート。はたして無事にOAを終えられるのか…?
そんなラジオ局を舞台にした西田大輔によるシチュエーションコメディの傑作『ジーザス・クライスト・レディオスター』が新たに甦る。
5度目の再演となる今回は脚色に家城啓之が加わり、よりパワーアップ。西田大輔×家城啓之のコラボはどんな化学反応を起こすのか。ふたりに聞いた「えんぶ12月号」のインタビューをご紹介する。

悪人のいない世界が
素敵だなと思いました

──家城さんが他の人の書いた作品を脚色するのは今回が初めてと聞いてます。やはりオリジナルを書くのとは感覚が違いますか?
家城 違いますね。特にこれは何度も再演が行われていて、すでに出来上がっている作品。台本を読んでも「これでいいじゃん」という完成度で、一体どこから手をつければいいんだろうと悩みました(笑)。ただ整理するだけじゃ僕が参加する意味がない。西田さんが何を思って書いたんだろうということを想像しながら、とことん西田さんの台本と向き合いました。
西田 初めてこの作品を書いたときに思っていたのが、今までやってないことをやろうということでした。もともとシチュエーションコメディは大好きだったんですけど、18のときに三谷(幸喜)さんの舞台を観て、あまりの面白さに僕がどれだけ頑張っても二番煎じになると思って、自分では書かないと決めたんです。その封印を解いたのがこの作品。僕にとっても思い入れのある作品のひとつです。

──この作品の魅力を説明すると?
西田 この物語の主役は、人ではなく状況なんです。すごくバカバカしいことをやっているんだけど、本人たちは至って真面目。だからこそ観ていて胸を打つ瞬間があるんですよね。いろんなドタバタを乗り越えてOAが終わる頃には、お客さんがつい寂しいなって思ってしまう。そういうところが演劇にも合っているなって思います。
家城 登場人物に悪い人がいないんですよ。途中で自殺志願の女の子から電話がかかってきて、若い彼女の命を守るためにみんなが悪戦苦闘する。ズルい人や怠けている人はいるけれど、何だかんだみんな正直者。悪人がいない世界というのは素敵だなと思いました。

新しい空気を持った
作品になっています

──今回の脚色のポイントを教えてください。
家城 ラジオってリスナーと一緒につくっているところが大きいから、その分、すごく距離が近い。以前、10代向けの番組を任せていただいたとき、10代のみんなに「夢を持て」とかキラキラしたことを話す自分がすごく恥ずかしくて、リスナーに嘘をつかないためにも、ちゃんと自分の生活態度から改めていこうと思わされました。ラジオにはリスナーの人生だけじゃなく、関わる人の人生さえ変える力がある。今回の脚色では、そういった想いを盛り込ませてもらいました。
西田 家城さんがアレンジされた台本を読んで、ラジオならではの臨場感が増したなと思いました。この空気感を書けるのは、やっぱり実際にラジオ番組をやっている家城さんだからこそ。家城さんらしい笑いもふんだんに盛り込まれていて、今までとは違う、新しい空気を持った作品になっていると思います。 
 
──では最後に師走の忙しい中、劇場に足を運ぶ読者のみなさんにメッセージをお願いします。
西田 これは、ただ一生懸命に生きている人たちの物語。間口が広い分、ふらっと立ち寄って観るにはぴったりの作品だと思います。世代を問わず、いろんな方に楽しんでもらえるお話になっていると思うので、ぜひお気軽にお越しください。
家城 僕はラジオをやっているとき、いつも「人生が上手くいっていない人」に向けて話そうと思っていて。この作品も気持ちは同じです。年末って世間が盛り上がっている分、人生が上手くいっていない人は余計に沈みそうになりますよね。そんな方にこの作品を観て、気持ち良く新年を迎えてほしいです。

【プロフィール】 
にしだだいすけ○東京都出身。脚本家、演出家、俳優。96年、AND ENDLESSを結成。15年3月、新たな創造の場として、DisGOONieを設立。最近の主な作・演出作品は、『ONLY SILVER FISH』、もののふシリーズ 最終章『駆けはやぶさ ひと大和』、舞台『真・三國無双 官渡の戦い』(構成・演出・振付)、ミュージカル『薄桜鬼』(演出)、舞台『ジョーカー・ゲーム』、舞台『野球-飛行機雲のホームラン-』など。初監督映画『ONLY SILVER FISH』が11/24よりシネ・ルーブル池袋ほか全国順次公開中。

やしろひろゆき○千葉県出身。演出家、脚本家、ラジオパーソナリティ、元お笑いタレント。1997年、林克治とともにお笑いコンビ・カリカを結成。2011年9月、相方の芸人引退に伴いコンビを解散。芸名をマンボウやしろに改め、ピン芸人として活動。2016年7月、芸人引退と脚本家転向を発表。最近の主な作品は『さがり』(脚本・演出)、『世界の何処かにいる自分』(演出)、『1010愛して』(脚本・演出)、THE YASHIRO CONTE SHOW『魔王コント』(脚本・演出)、『ReLOVE』(脚本・演出)など。


〈公演情報〉
ジーザス〜画像
 
『ジーザス・クライスト・レディオスター』
原作・演出◇西田大輔
脚色◇家城啓之
出演◇板倉俊之(インパルス) 染谷俊之 八木将康(劇団EXILE)   中島早貴 安川純平 宮平安春 小槙まこ 大地洋輔(ダイノジ)  小野寺ずる 肘井美佳 辻本耕志 山崎樹範
●12/12〜24◎紀伊國屋ホール
〈お問い合わせ〉サンライズプロモーション東京0570-00-3337(全日10時〜18時)




【取材・文/横川良明 撮影/田中亜紀】



『新春浅草歌舞伎』


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