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来年2019年1月に上演する『新春浅草歌舞伎』の出演者、尾上松也、中村歌昇、坂東巳之助、坂東新悟、中村種之助、中村隼人、中村橋之助という人気若手俳優たちの取材会が行われ、それぞれに抱負を語った。

過去には市川猿之助、片岡愛之助、中村獅童、中村勘九郎、中村七之助など、今や大劇場で活躍する面々も切磋琢磨した「新春浅草歌舞伎」。若手歌舞伎俳優の登竜門として、毎年1月に浅草で開催され、次代を担う花形俳優たちが古典から新作まで多彩な演目で主要な役を勤めるほか、出演俳優たちが日替わりでユーモア溢れるトークを繰り広げる「お年玉(年始ご挨拶)」など、歌舞伎を身近に感じられる公演として好評を博している。
 
2019年は尾上松也、中村歌昇、坂東巳之助、坂東新悟、中村種之助、中村隼人、中村橋之助というパワーみなぎる若い7人が集結。また上置きとして今回も中村錦之助が出演、舞台を引き締める。
今回の演目は、第1部(11:00開演)は「戻駕色相肩」「源平布引滝 義賢最期」「芋掘長者」、第2部(15:00開演)は「寿曽我対面」「番町皿屋敷」「乗合船惠方萬歳」というラインナップになっている。

【演目解説】
●「戻駕色相肩(もどりかごいろにあいかた)」
京都・紫野に、浪花の次郎作と吾妻の与四郎が駕籠を担いでやって来る。やがて二人は上方と江戸のお国自慢を始め、そのうち二人の懐から連判状と香炉が落ちて……。最後は次郎作が石川五右衛門、与四郎が真柴久吉だったことがわかり、意外な展開が楽しい浄瑠璃節の舞踊の名作。
●「源平布引滝 義賢最期(よしかたさいご)」
平家全盛の時代。源義朝が敗死したあと、平家に味方して病で引き籠もっていた弟の木曽義賢。源氏再興の志があることを下部折平(実は源氏の多田蔵人)に明かす。そこに平清盛の使者が白旗詮議に現れ……。仏倒しなど悽愴な迫力と立廻りが見どころの義太夫狂言の名作。
●「芋掘長者(いもほりちょうじゃ)」
松ヶ枝家の息女緑御前に恋い焦がれた芋掘藤五郎は、婿選びの舞の会に乗り込むが、踊れないので舞上手の友人・治六郎が面を着けて見事な踊りを披露する。すると緑御前から面を取って舞うように所望され……。「身替座禅」「棒しばり」の作者・岡村柿紅の舞踊劇で、平成17年に十世坂東三津五郎が新たに振りを付け、45年ぶりに復活させた面白味あふれるおとぎ話。
●「寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)」
工藤左衛門祐経の館に、父の敵と祐経を狙う曽我十郎と五郎の兄弟が現れる。だが祐経は、まずは紛失した重宝友切丸を見つけよと諭す。家臣の鬼王新左衛門が駆けつけると祐経は、兄弟と狩場での再会を約束して別れる……。歌舞伎の様式美と格式美に満ちた一幕。
●「番町皿屋敷(ばんちょうさらやしき)」
町奴との喧嘩に明け暮れる旗本・青山播磨に、縁談が持ちかけられるが、腰元のお菊と恋仲の播磨にはその気はない。だが播磨の本心が気になるお菊は、家宝の皿をわざと割ってしまう……。皿屋敷伝説を踏まえつつも、近代の恋愛物語として新たに作られた岡本綺堂の新歌舞伎。
●「乗合船惠方萬歳(のりあいぶねえほうまんざい)」
新年を迎えた隅田川のほとり。大勢を乗せた渡し船がやって来る。そこで萬歳と才造を皮切りに順番に踊り始め、それぞれ芸達者ぶりが披露される……。江戸・正月の風物詩、三河萬歳を取り入れたご祝儀舞踊。

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中村橋之助、中村種之助、坂東新悟、中村隼人
坂東巳之助、尾上松也、中村歌昇 
 
【出演者コメント】

尾上松也
『新春浅草歌舞伎』の中心を勤めるようになって5年目、毎年みごとなリーダーシップを発揮している尾上松也。今回は「義賢最期」の義賢、「芋掘長者」魁兵馬「対面」曽我五郎時政、「乗合船」通人と4役を勤める。
松也コメント
「義賢最期」では念願だった義賢役ということで大変ありがたく思っております。また「寿曽我対面」の曽我五郎は2度目なので成長をお見せできれば。「芋掘長者」は御園座で三津五郎のおじさまが演じれた時に腰元を勤めました。今回は(息子の)みっくん(巳之助)と一緒ということで嬉しいです。「乗合船」は、全員が一緒に出られる演目をやりたいと話し合って決めました。今回は全員がフル稼働して、いつも以上に全員野球という感じです。お客様に楽しんで帰っていただけるよう全員で勤めます。

中村歌昇
昨年に続いての出演で、今回が5回目となる。播磨屋一門で古典の基礎を固めながら、弟の種之助との勉強会「双蝶の会」もすでに4回目、勉強熱心で知られている。今回は、「戻駕色相肩」次郎作、「寿曽我対面」曽我十郎祐成、「芋掘長者」菟原左内、「乗合船」若旦那を勤める。
歌昇コメント
「戻駕」は今年の5月、大阪松竹座で勘九郎のおにいさんと演じました。そのときは与四郎で、今回は浪花の次郎作を勤めます。勘九郎のおにいさんの次郎作がとても素敵でしたので、今回させていただけるのはすごくワクワクしています。隣りで感じたあの魅力が少しでも出せればと。「対面」の曽我十郎は、ああいう柔らかい立役をやる機会が今まであまりなかったので、今回勉強させていただけるなと思っています。

坂東巳之助
6年連続8回目の出演。父・十代目三津五郎が演じた古典や舞踊に次々に取り組んで、大きな成果をあげている。今回は「芋掘長者」芋掘藤五郎、「寿曽我対面」小林朝比奈、「乗合船」萬歳鶴太夫を演じる。
巳之助コメント
「芋掘長者」は父と中村芝翫のおじさまが復活させた演目で、その息子同士である橋之助さんとやらせていただけることをたいへん嬉しく思います。明るく楽しい舞踊劇なので、新春初笑いをしていただければ。「対面」の小林朝比奈は初役で、非常に歌舞伎らしい演目で、その中でも歌舞伎以外ではお目にかかれないキャラクターなので、歌舞伎ならではの面白さを感じてもらえればと。「乗合船」は松也のおにいさんのおっしゃったように全員が揃うというのは非常に嬉しいです。

坂東新悟
昨年に続き6回目。女方を中心に時代物、世話物の古典、新作まで幅広い作品に真摯に取り組んでいる。今回は「義賢最期」小万、「芋掘長者」息女緑御前、「寿曽我対面」大磯の虎、「乗合船」白酒売を勤める。
新悟コメント
「義賢最期」は前に待宵姫を演じましたが、そのときから小万という、義賢の最期を見届ける切ない役をいつかやってみたいと思っていました。松也おにいさんの演じる義賢の情の深い演技をしっかりと受け止められるように勤めたいです。「芋掘長者」は腰元で二度出ています。今回は巳之助のおにいさんの芋掘に緑御前でご一緒できて嬉しいです。「寿曽我対面」の大磯の虎は、立女方の貫禄が必要な役で、一朝一夕でできるものではないのですが、そういうものを勉強できるのも浅草ならではだと思います。

中村種之助
昨年に続いて6回目の出演になる。若手ながら舞踊の名手で、兄の歌昇との「双蝶の会」でも熱心に勉強している。「戻駕色相肩」吾妻の与四郎、「義賢最期」矢走兵内、「番町皿屋敷」腰元お菊、「乗合船」才造と色合いの違った4役を演じる。 
種之助コメント
4役どれもまったく違う役ですが、“なんでもやる“と“なんでもできる”は違うと思いますので、お客様に、あれは良かったけどこちらは、と言われないように、それぞれに良かったと言っていただけるようにがんばります。浅草では色々踊らせていただいているのですが、常磐津は初めて、「戻駕」も「乗合船」もその風情がだせればと思います。お菊の役は細かな心理描写が必要になってくるので、先輩の教えを守りながら、生きる女性として見られるように勤めたいです。

中村隼人
「新春浅草歌舞伎」には8年連続8回目とキャリア十分、すらっとした二枚目の立役スターだ。今回は「義賢最期」下部折平、「番町皿屋敷」青山播磨、「寿曽我対面」鬼王新左衛門、「乗合船」大工と4役に取り組む。
隼人コメント
「義賢最期」の下部折平は義賢と語り合う場面がありますが、浅草で時代物で松也にいさんとこんなに絡む役というのは初めて。胸を借りて稽古したいと思います。「番町皿屋敷」の播磨は初めて勤めます。父(二代目中村錦之助)も何度も勤めた役です。播磨の心理描写が難しいのですが、お菊への真っ直ぐな思い、そしてプライドを傷付けられたあとの心理を表現したいと思います。最後の「乗合船」は全員揃ってお正月らしく華やかにと思っています。

中村橋之助
前回出演の2016年以来3年ぶり。橋之助を襲名してからは初参加となる。今回は「義賢最期」進野次郎宗政、「芋掘長者」友人の治六郎、「番町皿屋敷」放駒四郎兵衛、「乗合船」女船頭の4役を勤める。
橋之助コメント
僕は浅草には国生として二度出演していますが、今回は橋之助を襲名して初めてです。3年前、松也のおにいさんが打ち上げで、橋之助になってまた帰ってきてね、と言ってくださって、今回、橋之助として初めて呼んでいただけたのがとても嬉しいです! 「芋掘長者」は父と三津五郎のおじさまが踊った演目で、巳之助のおにいさんの胸を借りて、息を合わせて踊りたいです。夜の部の「乗合船」では小学生以来初めての女方。目指すのは父のような立役ですが、女方にもすごく興味があって、女船頭をさせていただきますので、皆さんに教えていただきながら、自分に惚れるくらいの気持ちで女方を楽しみたいです。

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2019年の『新春浅草歌舞伎』は、義太夫狂言あり、華やかな舞踊やコミカルな舞踊あり、歌舞伎のいろいろな魅力、楽しさを感じられる演目が揃っている。新しいグッズ販売や、メンバーが企画に関わったお弁当も販売されるという。若いパワーあふれる「新春浅草歌舞伎」が、浅草の初春をより一層賑やかに飾ってくれそうだ!

〈公演情報〉
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『新春浅草歌舞伎』
第1部 
 お年玉(年始ご挨拶) 
 一、「戻駕色相肩」(もどりかごいろにあいかた)」
 二、「源平布引滝 義賢最期」(よしかたさいご)
 三、「芋掘長者」(いもほりちょうじゃ)
第2部
 
お年玉(年始ご挨拶)  
 一、「寿曽我対面」(ことぶきそがのたいめん)
 二、「番町皿屋敷」(ばんちょうさらやしき)
 三、「乗合船惠方萬歳」(のりあいぶねえほうまんざい)
 
出演◇尾上松也 中村歌昇 坂東巳之助 坂東新悟  中村種之助  中村隼人 中村橋之助
/中村錦之助 ほか
●2019/1/2〜26◎浅草公会堂
〈料金〉1等席9,000円 2等席6,000円 3等席3,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉チケットホン松竹0570-000-489 (10:00〜18:00)または03-6745-0888 



【取材・文/榊原和子 撮影/友澤綾乃】


『Like A Room 002』


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