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伊賀忍者の末裔の婚活物語を描いて、捧腹絶倒の舞台を展開している人気シリーズ『伊賀の花嫁』。その第三弾の新作『伊賀の花嫁 その3「ズルい女」編』が、2019年2月2日〜11日まで日本橋の三越劇場で上演される。
伊賀の里を守る為、花嫁さんを探しに東京に出て来た青年・三四郎を中心に、笑い満載、何でもありの”伊賀ワールド”が展開されていく。そんな舞台のレギュラーキャストとして共演を重ねてきた町田慎吾、瀬下尚人、水谷あつしが、新作への期待と意気込み、更に三人の固い絆について語ってくれた。

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 瀬下尚人・町田慎吾・水谷あつし

それぞれが演じる
濃いキャラクターたち

──『伊賀の花嫁』シリーズ待望の第三弾ということですが、これまでの流れとそれぞれのキャラクターをお話し頂けますか?
町田 僕が演じる三四郎は伊賀の里の忍者の末裔で、花嫁さんを探さないと伊賀の里が途絶えてしまうということから東京に出てきたのですが、秋葉原でアイドルオタクになってしまった!というお話です。1作目は幼馴染に対して「これは恋なのか?!」と惑い、前作の2作目は熟女の方に恋をしたんです。で、果たして今回は?というお話です。
水谷 その三四郎と秋葉原で出会ったのが、僕の演じる「TO」と呼ばれているトップオタクです。昔で言うところのアイドルの親衛隊のリーダーで、家庭を顧みずに「追っかけ」をやっていたが為に借金を抱えて。そこでJURIさん(瀬下の愛称)が演じる涼風せいらさんがやっているゲイバー?
瀬下 ショーパブスナックかな?
水谷 そこで働かせて頂いている役です。
瀬下 僕は今お二人の話を聞いていて、よくストーリーを覚えているなと(爆笑)。いや、そんな風に話が飛んでしまうくらい面白い舞台なんですよ!今聞きながら設定を思い出していましたが(笑)、私がママを務める店で(水谷)あつしさんが従業員として働いてくれていて、三四郎君のこともあるところで拾ってしまったんです。大好きな野生児だったので(笑)。でもいくら粉かけてもアイドルオタクだから来ないので、歯がゆくて仕方がなくて「この子をなんとかしたい!」と旅公演にまで出かけて出会いを仕掛けるのですが、なかなか花嫁さんが見つからない…という設定です。

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──その三四郎さんが今回はモテモテになるお話ということなんですね?
町田 そうらしいんです(爆笑)。
水谷 幅広い年齢の女性にモテるみたいだよね。
町田 でも「ズルい女」というタイトルなので、そこは一筋縄ではいかないんだろうなと。
瀬下 ご覧になって頂くとタイトルの真相がわかると思います。 
──そんな新しい展開もとても楽しみですが、これまでの公演を通じて役作りはどのように?
町田 僕は元々忍者なので、忍者の時とオタクの時との空気感がパッと切り換えられたら面白いだろうな!と思ってそこは意識してやっていました。知り合いの本当のオタクの方が観てくださって、「良かった!」と褒めてくださったので、間違っていないんだ!と嬉しかったです。
水谷 僕はオタクと言っても「親衛隊長」で、毎回オタクの歴史を滔々と語る役なんです。とにかく早口で良く喋る感じと、ママの前ではしっとりと見せている。というのも、もう「アキバのオタクは卒業しなさい!」と言われて、表向きは卒業しているように振る舞っているのですが、隠れてコソコソと二人でオタクを続けているので(笑)。
町田 今座っているのと同じくらいの近距離であつしさんとお芝居をすることが多いのですが、汗びっしょりになっていらっしゃる、そのエネルギーを感じて毎回刺激を受けています。
瀬下 町田君は身体能力が高いのですが、僕とあつしさんは変態能力が高くて(笑)。変態というのは、僕の中では褒め言葉で、今回集まった役者さんは皆変態と言いますか(笑)、とにかく濃い方達ばかりなので。僕自身ショーパブ出身で、周りにオネエキャラな方達はたくさんいらっしゃって、新宿二丁目でもよく遊んでいた時代があったんです。そういうところのママさんたちは、まぁ、ママさんと言っても髭が生えているママさんですが、悩みを相談すると皆親身になってくれて、器がとても大きいんです。そういう諸先輩方から役作りのヒントを頂いたり、ある部分ではなぞったりもしています。更に一癖も二癖もある方達ばかりですから、そういう面を面白おかしくやっていこうと、バックボーン作りをたくさんしましたね。


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一見関係ない話が、
見事につながるカタルシス

──その中で今回の第三弾の舞台に期待されていることは?
瀬下 キャストの数が多くて、『伊賀の花嫁』初参加の方々もたくさんいらっしゃるので、それぞれがどう構築していらっしゃるかな?がね。
水谷 楽しみですよね!
町田 オムニバス形式で作られていて、全く違うお話が続いていくように見えて、最後にそれがひとつになって、皆で夏まゆみ先生振付の曲で騒いで踊って終わる、という大きな流れがあるので、今回もオムニバスの部分がどうなっていくのか、凄く楽しみです。
瀬下 一見関係ない話に見えるんだけども。
水谷 しかも観ている方はオムニバスだって特に感じないくらいらしいんだよね。
瀬下 最終的につながるからね。
水谷 それがあまりにも見事だからね。皆が最後に同じ場所で出会って終わるから。
──そこが樫田脚本の妙味なのですね。
水谷 樫田正剛先生の本が本当に面白いんです。しかも初稿からほとんど修正がないくらい完成されているので、安心して乗っかるだけですね。
──演出の面ではいかがですか?
瀬下 役者全員と相談しながらやっていくよね。
水谷 基本的にはまず「好きにやれ」と役者に投げてくれるんです。そこからまとめあげてくださるから。
瀬下 役者の発信するものも柔軟に受け留めてくれるしね。
水谷 それにとにかく稽古します。幸せなくらい稽古を重ねてくれるので、何かに不安を残して舞台に立つことがないんです。だからお客様は「アドリブなのかな?」と思われる台詞も、実はきっちり稽古している。
瀬下 「ここはアドリブで」と日替わりのお任せになっている箇所も、少しあるんだけれども、台本通りのところとの区別がつかないよね。
──町田さんはとても役に入り込む方と伺っていますが、そういう緻密な稽古は助けになりますか?
町田 やることがきちんとわかるまで稽古をするので、後は何も考えないでいられます。
瀬下 基本的に喜劇ですし、役者たち皆振り切って演じているので、これまでの二作もお客様に大声を出して笑って頂けました。もうラストシーンなんて皆で踊っちゃうくらいの、一体感のある作品になっていると思います。

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一生続けていける
三人の出会いと絆

──是非、お互いの魅力についても伺いたいのですが。
町田 僕は全信頼をおいているので、お二人といるとただただ安心です。
水谷 今日の取材の為に各自集まったんですが、全く同じ時間にドアの前にいたっていう(爆笑)。
瀬下 オートロックの建物なので、ほんの10秒もズレたらもう一度扉を開けてもらわないといけないところだったのに、三四郎君がドアを開けて、閉まりかけたところに俺が来て、また閉まりかけたところにあつしさんが来て、1回の開閉で三人が揃ったんだよね!(笑)。
水谷 何かが合っているんだと思う。稽古中で疲れていても、この三人で揃うと元気になれるくらい。お互いに認め合って、それぞれのポジションもわかっているので、そこから膨らましていくのが楽しいですね。
瀬下 最高だよね!
町田 僕はあつしさんとは先にお仕事をさせて頂いて、JURIさんの舞台は一方的に観ていましたけど、共演させて頂いたのは『伊賀の花嫁』が最初で。その初めの時に、自分から話しかけるんじゃなくて、JURIさんから話しかけてもらえるようになろう!を目標にしていたので、「まっちー」(町田の愛称)って言ってもらった時「やったー!」って凄く嬉しかったです。僕の中では相手の方から話しかけてもらうってとても大きなことなので。
瀬下 いや、だって見ていて本当に興味が湧く人だから。例えばお酒の席だったら盛り上がるのも当たり前なんだけど、まっちーはお酒が飲めないでしょう?その中でもこれだけ仲良くなれたというのは、このまま一生続けられる仲なんじゃないかと思います。良い出会いだったと思う。だったって終わってないけど(笑)。
町田 嬉しいです!ありがとうございます!
水谷 最初の舞台の時にシリーズ化されるとは思っていなかったものね。
瀬下 やれたら良いねとは言ってたけどね。
水谷 それが遂に三作品目でしょう?最初が銀座の博品館。次が六本木の俳優座。そして今度が日本橋の三越劇場。ママのお店という設定の舞台が、こうして東京の老舗の劇場を次々に制覇しているのも面白いなと。毎回僕とJURIさん二人の前説から始まるんだけど…って、前説で良いんだよね?(笑)
瀬下 一応フリートークとは書いてあるけど(笑)、前説だね。
水谷 毎公演なんの打ち合わせもせずに「せーの!」で出て行って10分くらい二人で喋っているんですが。

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──10分はかなりの長尺ですね!
瀬下 あつしさんとはお互いに芸人魂があると思うんです。落語家さんの枕ではないけれど、昨日あったことをちょっと取り入れて、ちゃんと時間枠いっぱい話し続けることかできるから。
水谷 その内容が毎回違うのもあって、お客様にも「また観たい」と言って頂ける。もちろん他の様々なシーンもそうですけれども、幕開きにそんな空気を創り出すことができているかな?と。
──それは凄く素敵なライブ感ですね!それが三越劇場の、百貨店がハレの日の場所だった時代を感じさせる劇場に広がるのも楽しみです。
水谷 三越劇場にかかる演目って格式が高い作品が多かったと思うので、そこにこの新宿二丁目的な作品が上演されるというのもね!
瀬下 これまでの空気を打ち壊すようなね。新年ですからおめでたいですし。
町田 初演をご覧になったお客様にこの作品は楽しんで良いんだ!ということが浸透していって、二作品目では最後の方のシーンで皆が立って一緒になって騒ぐのが恒例になったので、三越劇場でもあの光景が見られたら嬉しいなと思います。 
──そうなることを楽しみにしています!では改めて意気込みと公演を楽しみにされている方達にメッセージをお願いします。
瀬下 どんな方がご覧になっても大笑い間違いなしなのは保証します!『伊賀の花嫁』を一度観て頂ければ「演劇ってこんなに面白いの?」という衝撃が走ると思うんです。お金を払って頂いて劇場に足を運んで頂く、その甲斐のある生のライブを観て頂けますし、心の底から笑って頂けるので是非いらしてください!
水谷 今回の出演者はベテランから若手まで幅広い人材が集まっていますし、ハヤテさんという凄い身体能力の方もいらして、ある意味で演劇を越えているとも言えるくらいの面白さがラストシーンまで詰まっています。市川美織さんや加護亜依さん等、元アイドルの方もいらっしゃるので、ファンの方が観ても面白さがたくさんあると思うので、楽しみにしていてください!
町田 同じだなと思って(笑)。とにかくまず観て頂きたい!と強く思っています。きっと新しいものを観た!という感覚になって頂けると思いますし、お客様に喜んでもらえる作品になるように全力を尽くしますので、一緒に楽しんで最後に騒ぎましょう!三越劇場でお待ちしています! 

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■プロフィール
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まちだしんご〇東京都生まれ。94年芸能活動を開始。15年3月よりフリーとなり、同年9月『AZUMI 幕末編』で再スタート。17年『戦国御伽絵巻「ヒデヨシ」』にて紀伊國屋ホール初主演を務める。舞台を中心に活動中。主な主演作品に『伊賀の花嫁』『あちゃらか』『時分自間旅行』『となりのホールスター』『みどり色の水泡にキス』等があり、『プリンス・オブ・ストライド』ではシリーズ全ての振付を手掛けている。 

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せしもなおと〇長野県出身。高校卒業後に上京し、Tap Tipsでダンスやタップダンスなどを身につける。86年、今村ねずみ、石坂勇と共にTHE CONVOYを立ち上げ、初期作品より参加。THE CONVOY SHOWではタップダンスの振付も担当。05年からは、立川談慶と異色ユニット「だんじゅり祭り」を開催。THE CONVOYとしての活動以外に、舞台を中心にソロでとしても活動している。近年の主な舞台作品に『陣内の門 1st ACT』THE CONVOY SHOW『星屑バンプ』『ONE!』方南ぐみ『あたっく No.1』『THE 面接』等がある。

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みずたにあつし〇横浜市出身。18歳で東京キッドブラザーズ入団。看板俳優として全国公演で活躍。在団中萩本欽一氏のバラエティー番組にレギュラー出演。退団後はテレビドラマ、映画と映像作品にも進出している。近年の主な舞台作品に『リア王』『炎の蜃気楼昭和編 紅蓮坂ブルース』『ハムレット』『THE面接』『まっ透明なAsoべんきょ〜』朗読劇 『予告犯』『アクトカンタービレseason1 Smoky Dog』等がある。1月10日〜宮本亜門演出の舞台『画狂人 北斎』に出演。 


〈公演情報〉
伊賀の花嫁その3
 
『伊賀の花嫁 その三「ズルい女」編』
脚本・演出◇樫田正剛
音楽◇三沢またろう
振付◇夏まゆみ
出演◇町田慎吾 瀬下尚人(THE CONVOY)水谷あつし
飛鳥凛 市川美織 岡森諦(扉座) 鶏冠井孝介 加護亜依 高木トモユキ(扉座) 高橋直純 武田知大 
なかじままり 根本正勝 ハヤテ 藤浦功一 松田将希 山元由湖 米花剛史 ワンチョル(Apeace)  
アンサンブル 岡本真奈 大竹口拓海 (五十音順)
●2019/2/2〜11◎三越劇場
〈料金〉前売・当日6800円(全席指定・税込) ※未就学児入場不可
〈お問い合わせ〉三越劇場 TEL:0120-03-9354 (全日10:00-18:30) 
〈方南ぐみホームページ〉https://hounangumi.info



【取材・文/橘涼香 撮影/友澤綾乃】





方南ぐみ企画公演『伊賀の花嫁』


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