「反応工程」組写真
宮本研 千葉哲也
  
新国立劇場では、毎シーズンに1本、全キャストをオーディションで選んで上演するフルオーディション企画を行っているが、その第2弾となる宮本研の作品『反応工程』の出演者が決定した。
フルオーディション企画は、作り手が新しい俳優と、俳優が新しい演出家と、劇場が新しい作り手たちと出会い、作品を立ち上げていくという、小川絵梨子が芸術監督としての柱の一つとして掲げている企画。第2弾として上演される宮本研の『反応工程』は、作家自身の経験をもとに、終戦前夜の軍需工場で生きる人々を鮮やかに描いた作品で、演出には、俳優としても演出家としても新国立劇場で多くの作品に携わってきた千葉哲也が手がける。
 
キャストオーディションは、18年10 月末より12 月中旬まで6週間開催、多数の応募者の中から14 人の出演者が決定した。
 
【役名と出演者】
猿渡:平尾仁
荒尾:有福正志
矢部:八頭司悠友
柳川:若杉宏二
牟田:高橋ひろし
太宰:内藤栄一
正枝:天野はな
田宮:久保田響介
林:清水 優
影山:奈良原大泰
木戸:河原翔太
節子:田尻咲良
清原:神農直隆
兵:神保良介

【コメント】
 
千葉哲也/演出家 
長年、演劇に携わってきて、劇団に所属したり、フリーで活動したりしながら、俳優を続ける人たちに出会ってきました。もちろん自分自身もそうでしたし、今もそうです。どうやったら舞台に立てるのか、模索していた時期もありました。小川絵梨子さんから、フルオーディション企画・第2弾のお話をいただき、誰もが平等にオーディションを経て舞台に出演する、というシステムに深く賛同し、是非ともやらせていただきたい、と思いました。
小川さんから、演目は出来れば日本の作品を、というご提案を頂戴し、たくさんの作品を読みました。そして、宮本研さんの『反応工程』に出会いました。工場という閉鎖された世界の中で戦争に巻き込まれた人々の日々が、そこにはありました。市井の人々には如何ともし難い、けれど、大きな大きな出来事に飲み込まれたとき、人に何が起きるのか、その中にいる人たちがどう変わるのか、そして変わらざるを得なかったのか。それを垣間見た気がしました。タイトルの一部でもある"反応"は、そのときの"日本"や"日本人"の反応をも指しているのだと感じました。
今回、1,300人を超える方々がオーディションにエントリーしてくださいました。本当に有り難う御座いました。その中から、書類選考を経て、430人の方にお目にかかりました。この様な大規模なオーディションは自分にとっても初めての経験であり、一次、二次、三次選考とかなりハードなスケジュールでしたが、皆様の、真剣で前向きな姿に、日々「感謝」という言葉しか出て来ない程、豊かで新鮮な時間でした。たくさんの発見と、将来ご一緒したいと思えるような大勢の方々に出逢い、本当に演劇の裾野の広さを実感すると供に、この仕事は出会いである事をより確信しました。
応募してくださった全ての方を礎に、「僕ら自身がある覚悟を持って作品を始動させる。」それが、皆様のご期待に添える『反応工程』になる事を信じております。

小川絵梨子/演劇芸術監督
フルオーディション第2弾『反応工程』にご参加下さった方々、本当にありがとうございました。昨年度から始めたこの企画ですが、本年度も予想を超える多くの方々からご応募を頂きました。劇場として深く感謝申し上げるとともに、参加して下さった方々から勇気を頂いたようにも感じております。
オーディションに参加することも、オーディションを信じることも、簡単なことではないと思います。その中で、真摯な思いと貴重なお時間を我々に分けて下さったことを本当に御礼申し上げます。
我々は劇場として、オーディションの必要性を信念に持ちつつ、感謝を持ってオーディションの意義や具体的な方法を探求し続けて参ります。この先もフルオーディションは続いて参ります。また興味を持って頂き、ご参加いただくことができましたら幸いです。千葉哲也さんと今回のキャストの方々の『反応工程』をどうか楽しみにして頂ければと思います。
重ね重ね、この度はありがとうございました。そしてどうか、これからも何卒よろしくお願い申し上げます。
 
〈公演情報〉
2019/2020シーズン演劇
『反応工程』
作◇宮本 研
演出◇千葉哲也
●2020年4月◎新国立劇場 小劇場
 




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