14A00151

福岡県出身の俳優・作家・演出家の入江雅人と俳優・池田成志が、20年も前からあたためていた企画がついに実現、1月25日から俳優座劇場で上演中だ。(2月3日まで。2月8日〜10日は福岡・イズムホールにて上演)
出演者は、入江と池田に加えて田口浩正、坂田聡、尾方宣久、岡本麗といった実力派が顔を並べる。福岡出身の個性豊かな役者たちによる本物の福岡弁で、青春の終わりをセンチメンタルタッチに描く新作だ。

【あらすじ】
1980年、福岡。真夏の暑い夜。映画監督を志すしげお(池田成志)は、クラスメイトの向井(入江雅人)、香月(田口浩正)、長崎(坂田聡)、竜彦(尾方宣久)と、学校のはずれの部室で、秋の文化祭に上映するホラー映画を撮影していた。そこで彼らは不思議な出来事を体験する。
2021年、日本中がゾンビパニックに見舞われる。東京で暮らす向井と竜彦、地元残ったしげお、香月、長崎。かつての仲間たちにも運命の時が迫っていた。夏の終わり、帰郷した向井はしげおの家を訪ねる。友の願いを叶えるため、青春に終わり告げに。「しげちゃん、ドライヴ行くばい」そして車は走り出す。あの海に落ちる夕日を見るために…

DSC09442
DSC00143


入江雅人が一人芝居で何度か演じてきた物語を、彼らの高校時代からの前日譚を書き足して、どこか長閑な80年代と、ゾンビパニックに襲われた2021年という2つの時代を、福岡と東京を舞台に描き出している。
舞台上はパイプ椅子だけというシンプルさ。だがそこに6人の俳優が登場して動き出すと、福岡の高校生の青春と、そこから30年以上経って中年になった男たちそれぞれの人生、そして変わらない友情が生き生きと浮かび上がる。まさに役者を楽しむ舞台であり、役者で見せる芝居だ。

DSC09829
DSC09487

ゾンビパニックに日本中が巻き込まれるというシュールな設定が、バカバカしさと怖さとともに命の儚さを突きつけ、災害の多発している日本の現実にも重なって、絵空事ではない怖さがある。だがその重苦しさを、福岡弁のなんともいえないおかしみと温かさが救ってくれる。どこかシャイで突き放したような物言いにも聞こえるのだが、だからこそ愛情が伝わってくる不思議な言葉だ。

青春の輝きの中でいつも流れていた80年代のポップス、その音楽を沈んでいく夕日を目の前に聴く寂しさ切なさ…。センチメンタルなまでのノスタルジーにどっぷりと浸かりながら、生と死を見つめる男たち。入江雅人の、そして彼の作りたい舞台に集まった4人の男優と紅一点の岡本麗。それぞれの心意気がどのシーンにも命を通わせて、胸に沁みる舞台となっている。

 14A00292
  
〈公演情報〉
Mr.Irie_PR

『帰郷』
企画・作・演出◇入江雅人
出演◇池田成志 田口浩正 坂田聡 尾方宣久 岡本麗 入江雅人
●1/25〜2/3◎東京・俳優座劇場、
2/8〜10◎福岡・イズムホール
〈料金〉6,800円(全席指定・税込) 




【文◇榊原和子 写真提供◇エイベックス・エンタテインメント】


トムプロジェクトプロデュース『黄色い叫び』


kick shop nikkan engeki