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記者発表ルポ

山田洋次脚本・演出×今井翼主演で魂に響く人情喜劇の傑作!音楽劇『マリウス』製作発表記者会見レポート

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フランス、マルセーユの港町を舞台に、そこで暮らすおおらかな人々と、そこに生まれた若者の苦悩を描いたフランスの国民的喜劇の傑作が、山田洋次脚本・演出、今井翼主演の音楽劇『マリウス』として、3月6日から日比谷の日生劇場で上演される(27日まで)

フランスの人気作家マルセル・パニョルによる戯曲、『マリウス』『ファニー』『セザール』は、マルセーユ三部作と呼ばれる、フランスの国民的な古典喜劇。マルセーユ独特の陽気でのんびりと生きている市井の人々と、若者の恋と苦悩を港町の風情の中コメディタッチで描いた作品は、かつてコメディフランセーズでの上演が大ヒットとなり、長くロングランが続けら、映画化もされ今なお愛され続けている。
 
このフランスの古典喜劇を創作の源と呼ぶのは山田洋次監督。『男はつらいよ』シリーズ、『幸福の黄色いハンカチ』『息子』『学校』『たそがれ清兵衛』『隠し剣 鬼の爪』『武士の一分』『母べえ』『小さいおうち』など、数限りない傑作を世に送り出してきた名監督である。彼にとってこの戯曲は、舞台を日本に移した映画『愛の讃歌』(1967年・倍賞千恵子主演)や、『男はつらいよ』寅さんシリーズの原点となるなど、その創作活動に影響を与え続けてきた。
 
そんな作品が、満を持して山田洋次脚本・演出、今井翼主演の音楽劇『マリウス』として、日生劇場の舞台に登場することとなった。その製作発表記者会見が1月に行われ、山田洋次監督、安孫子正松竹株式会社副社長・演劇本部長、出演者を代表して主演の今井翼、瀧本美織、柄本明、林家正蔵が登壇。公演への抱負を語った。

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【登壇者挨拶】

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安孫子正
 今日はお寒い中ありがとうございます。日生劇場で3月に音楽劇『マリウス』という芝居を上演させて頂くことになりました。『マリウス』には演出の山田監督に大変な思い入れがおありと聞いておりますので、それは後程監督からお話頂くとしまして、『マリウス』の上演に際してはここにいらっしゃる素敵な俳優さんたちに出演して頂くことになりました。主演のマリウスの今井翼さんの多方面での大活躍は皆さんご存知のことと思いますが、私共松竹の芝居にも数多く出て頂いておりまして、その中でも山田監督の演出作品では『さらば八月の大地』で、新橋演舞場に出演して頂いております。また相手役のファニーには瀧本美織さんにご出演頂きますが、彼女も昨年演舞場の『狸御殿』に出て頂いて、本当に明るく素晴らしい舞台を見せて頂き、私共の身内のような感じでございます。更に柄本明さんは亡くなった勘三郎さんとの『浅草パラダイス』をはじめ、数多くの素晴らしい作品を一緒に作ってきて、戦友のような気持ちでおります。林家正蔵さんは、松竹の舞台はおそらく初めてでございますが、山田監督の映画にはなくてはならない常連の方と言うことで、これから上映される『家族はつらいよ』にもご出演頂いている、本当に素晴らしい俳優さんによって、フランスのマルセーユの港町で暮らす人々の物語『マリウス』を日生劇場でどのように作り上げて頂けるか、私も非常に興味を持っているところでございます。是非この公演が素晴らしい成果をあげますように、皆様にもお力添え頂きたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

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山田洋次 皆さん今日はよくいらしてくださいました。昔の話になりますが、僕らが映画を志ざした頃はリアリズムの時代で、社会主義的なリアリズムが世界中を席巻していて、僕たち映画人もリアリズムに憧れていました。でもそんな時代にあってもずっと僕の中に脈々と流れていたのは、学生時代に読んだマルセル・バニョルのマルセーユ三部作だったんです。この楽しい陽気な世界が故郷のように僕の中にずっとあって、渥美清さんを主役にしてこのドラマを作りたいという提案をして、はじめはテレビドラマのシリーズとして、僕が脚本を書いたのですが、その時に僕は渥美清さんだったらセザールだなと思いました。そして可愛い妹がファニーで、その恋人がマリウス、それがさくらと博になり、そこを核としてドラマを作っていけばいいのではないか?ということから「寅さんシリーズ」がスタートした訳なんです。そういう意味で僕にとってはとても忘れられない、奥の深い、深い鉱脈のような世界が、このマルセーユ三部作なんです。それから長い間僕は「マルセーユ三部作が芝居になれば良いんだが」と提案し、話してきて、それがこういう形で実現することになって、セザール、マリウス、ファニーそれぞれに素晴らしい俳優さんを得て、正蔵さんの役もこのトライアングルの4番目になるようなとても大事な役で、寅さんで言えばタコ社長のような役です、絶対にいなければならない役です。そういう人たちでこの芝居がやれるというのは、50数年前にワクワクしながら読んでいた世界を日本で上演できる、僕は今夢を見ているような気持ちです。「寅さん」では結局さくらと博は結ばれる訳で、それに寅さんも納得してホッとするんだけれども、マリウスとファニーは結ばれないので、セザールとしては悲しい結果で終わる。そういう意味でこの芝居は寅さんよりも、もっと苦い味わいがある。その苦みをどうやって明るい笑いで包むか、というところが勝負ではないかと思います。楽しくて笑い転げながらこの苦い味わいも感じて劇場を後にできるような芝居になったらいいなと思います。どうぞよろしくお願いします。

今井翼 皆様本日はお集りくださりありがとうございます。マリウスを演じます今井翼です。まずはじめにこうして再び山田監督のもとで芝居ができることを心より感謝しております。ありがとうございます。監督もおっしゃっていたように、監督が様々な作品を創作して来た中で故郷と言い表すこの作品を、今こうして自分が演じられることにただただ感謝しております。僕にとって監督というのは芝居の根幹から、僕の人生においてもとっても重要なことを教えてくださる、勝手ながらに僕は監督のことを恩師だと思っています。その恩師から『さらば八月の大地』の際に、芝居の楽しさ、更にその楽しさの向こうにある自分自身が具体的に向き合い、乗り越えるべき課題を教えて頂きまして、まさに今回の時間もそうなのですが、僕にとっては目の覚めるような時間を頂きました。芝居の魅力を改めて教えてくださったのが山田監督です。これほど素敵で素晴らしい役者の方々に囲まれて、また素晴らしいスタッフの方々のバックアップを頂ける、僕自身これまでジャニーズ事務所に入って色々な経験をさせて頂きましたけれども、改めてこれほど恵まれた環境で仕事が出来ることに心より感謝しています。松竹さんからはこの話すタイミングで、思いの丈を話してくださいと言われましたので、悔いなく話したいので(笑)もう少し思いをお話させて頂きます。今回は作品から派生した歌と踊りもあり、もちろん芝居というところが核になってくるのですが、(歌や踊りの)そういった部分ではこれまで自分が培ってきたものを活かし、芝居という部分では自分自身はまだまだ未熟だと思っていますので、だからこそこの作品としっかりと向き合って、この作品が持つ切なくも温かな人情喜劇というものを皆様には客席でお楽しみ頂き、尚且つ後に余韻としても味わって頂けるような作品にして行きたいと思っています。もうちょっと話したいので(笑)、すみません何度も言うようですけれども、僕はまだまだ役者として未熟でこうやって真ん中に立たせて頂くというのが、僕自身こそ信じられないありがたい話です。自分自身を客観視すれば、芝居をする上で真ん中に立つような肌ではないと思っておりましたが、ありがたいことに監督からこういった最高のチャンスを頂きましたので、僕は皆さんの胸をお借りして自分の新たな道のスタートとしてまずは一皮剥けられるように、覚悟して一生懸命挑みたいと思っております。それが僕の思いの丈です!皆様どうもありがとうございました。

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瀧本美織 
皆様こんにちは。今日はこんなにたくさんの方にお集り頂きまして本当に嬉しく思っています。ありがとうございます。こんなに素晴らしいお話を頂いたことに恐縮しています。本当に今ここにいることが信じられないです。素晴らしい監督、キャストの方々、このような環境に身を置くことができて本当に光栄だと思っています。台本を読んですごく切なくてもどかしい、大人でさえも可愛らしく見えてくる登場人物、その愛くるしさですとか、思い通りにならない切なさの中で愛ある決断をしていったりですとか、マリウスとファニーの愛ももちろんなのですが、親子の愛情だったりなど、色々な愛の形を楽しんで頂ける作品になるんじゃないかなと思っています。本当に120%、200%の力を出して、情熱をぶつけていきたいと思います。思いの丈でした(会場笑い)。

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柄本明
 セザールをやらせて頂きます柄本です。思いの丈ということなのですが、思いの丈ということは?と今ずっと考えていたのですが(笑)、山田監督とは映画をいくつかさせて頂いておりまして、また山田門下生になって頑張りたいと思います。稽古の過程で思いの丈を膨らませて、なんとか劇場で思いの丈を発散できればなと思っております。どうぞよろしくお願い致します。

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林家正蔵
 パニス役の林家正蔵です。どうぞよろしくお願い致します。思いの丈を話させて頂きます(笑)。監督の映画に出させて頂いて、その休憩時間に『マリウス』の話は、本当にたくさん山のように伺いました。作品に対する監督の思いの深さ、監督が求めている美しいもの、楽しいもの、面白いものがすべてこの作品に詰まっていると言われました。ですから本当にこの舞台に出られるのが夢のようでございます。5月に公開される『家族はつらいよ2』に出演している橋爪功さんはじめ皆さんにお会いした時に、この舞台に出ることを申し上げましたら、橋爪さんが「羨ましいな!役者として監督の演出で『マリウス』に出ることは大変な名誉だと正蔵君、わかった方がいいんじゃないか」と言われて「あぁそうなんだ」と思いました。そして「他に誰が出るの?」と訊かれましたので「柄本さんが」と言いましたら「柄本さんには気をつけろ」と(笑)、こういう風に言われました。一昨日夏川結衣さんからも電話がかかってきました。夏川さんからは「監督が本当に大切にしている作品なんだから、正蔵さん『家族はつらいよ』から出るのはあなただけなんだから、命がけでパリスという役をやってくださいね」という言葉を頂きました。そして妻夫木聡君からも「頑張ってください、応援しています!」という熱いメッセージを頂きました。ただ蒼井優ちゃんだけ「頑張ってね!」とケラケラ笑っていました(爆笑)。そんなことで、よろしいでしょうか(笑)。本当に一生懸命やります。台詞もたくさんあります。今から大変です。大役なので柄本さんどうぞよろしくお願い致します。


【質疑応答】

──山田監督、主要キャストの皆様の配役をどのようにして決められたのでしょうか?
山田 キャスティングという仕事は監督、演出家の仕事の中でもかなり大事な仕事で、3分の1以上のエネルギーと才能が費やされるのではないかと思います。逆に言えば良い脚本があって、良いキャスティングができればその作品の成功はほぼ約束されていると言っても過言ではないような気がします。そういう意味でとっても考えながら、苦労しながら、準備しながら選び抜いた人たちで、皆さん相当に芸達者な人たちでありますから、この人たちを生かすアンサンブルはきっと素晴らしい、美しいものになるに違いないと確信しています。役のイメージと俳優さんのイメージ、もちろん俳優さんのスケジュールもありますから、そんなことの中で選び取っていった考えられる限りの1番良い俳優さんを選べたと思っております。

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──山田監督、この作品には学生時代に出会い、寅さんシリーズが生まれるきっかけにもなったとのこと
ですが、今回改めて音楽劇として挑戦されようと思ったきっかけは? 
山田 長い間、何十年も僕の中では故郷のように帰っていく作品であり続けた訳ですから、日本でも戦後何度も舞台化されていて、僕はそれは観ておりませんが、この作品を舞台にするのだったらこういう方法が良いのではないか?というようなことはずっと思っていた訳です。僕は映画監督でしたからなかなかそんな機会はありませんでしたけれども、僕の中ではずっといつか舞台にできたらいいなと思っていました。それが2013年に『さらば八月の大地』で、僕は初めてと言ってもいい、大きな劇場での舞台の演出をやって、映画の演出も舞台の演出も1番芯のところではあまり変わらないんだなと思ったりしたこともあったので、またこんな仕事があったら、と思っていた時に、この『マリウス』に至った訳です。何かドラマチックなきっかけがあって、ということではなかったのですが、プロデューサーの人たちにも演劇部の人たちにも、『マリウス』の話はしていたものですから、それがだんだん盛り上がっていって、やろうじゃないかということになったということです。
──今井さん、恩師である山田監督にこの場をお借りしてお伺いしておきたいことはありますか?
今井 それはこれから本稽古に入る訳ですから、そこで自分が抱く疑問、それ以上に監督から教われることと言うのをこれから楽しみにしています。前回勘九郎君とご一緒した『さらば八月の大地』で、稽古の前、こういった会見の場に挑む前に、監督から演じる上で、どう考え、なぜ動くか、といったとってもシンプルなようで非常に奥の深い指導を頂けたことが、僕はすごくありがたいと思っていますので、またこれから自分が覚悟をもって挑ませて頂く稽古の中で、色々と教わることができたらと思っています。
──今の時点で演じられる役の人物像と、大切にしたいところを教えてください。
今井 繰り返すようなのですが、これは現場に入らないとわからない点があると思います。その中で自分の準備として、それは準備にしか過ぎないという考えもあるのですが、僕はせっかくこれだけの機会を頂いたものですから、昨年末に1人でマルセーユに行って来まして、日本を発つ前に監督とコンパクトな打ち合わせを行った際に頂いたお言葉を持って、パリからマルセーユに向かっていく列車の中で考えたことと、それからマルセーユでマリウスという気持ちを重ね合わせて過ごした時間から、今度はマルセーユを背にパリに戻る時というのは、何か不思議な、その地に行かなければ抱けなかった思いが抱けたような気がしたんです。それとこれも1つの勉強として、当時のフランス映画『マリウス』もそうですし、監督がこの作品を山口県に移して描かれた映画『愛の讃歌』も観ておりまして、そういったところからこの作品の持つテーマ、とてもピュアな中にもじわっとくる温かさとかを、自分の中で解釈して、でも1番はやっぱり現場に入って、監督から具体的に頂く言葉と、皆さんとご一緒するところで見つけることができればと思っています。

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瀧本
 やっぱりこれから動きの中で変わっていく、感情が変化していくところもとてもあると思うのですが、ファニーはとても快活でマリウスとのやりとりの中で、マリウスより年下なのですけれども、ちょっと上と言いますか、やはり女性の方が精神年齢って上に見られたりしますでしょう?そういう感じがすごく出ていて、マリウスをからかったりするところが可愛らしいなと思ったり、そうした微笑ましいシーンから、愛する人と離れて行く覚悟をするというのは並大抵のことではないと思うので、そういう覚悟をもって演じられたらいいなと思うのと、芯の強さをいつもブレないように持っていられたらいいなと思っています。
柄本 本を読んで感じたことはもちろんあるのですが、稽古を始まってやはりわからないというところがあるのが1番大切と言いますか、台詞を言ってわからないところが監督の演出のもとでどうなっていくのか。きっとそこから生まれるものがあると思っています。
林家 わからないところだらけでございまして、本当に本を読んでどういう役なんだろうと日々考えているのですが、ただ今日監督から早速ヒントを頂きまして「タコ社長のような」という。タコ社長、タコ社長、と思って臨んでいきたいなと思います。タコ社長(笑)。

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──今回音楽劇ということで、ミュージカルナンバーが何曲くらいあって、どういう傾向の歌なのかと、振付がフラメンコの方ですが、そのあたりどのようになるのかを教えてください。
山田 フラメンコは、僕は翼君のフラメンコを見せて頂いてびっくりしたんです。素晴らしいんですよね。なんでこんなにフラメンコが上手いんだろうと思いましたら、彼がフラメンコという芸術に憧れてスペインに単身留学して、スペイン語を学んでフラメンコを学んだ。そういう一途な情熱というのがあるので、彼にとってフラメンコは特別なんだなと感じた訳です。その翼君を主演にするということで、フラメンコをちょっとでも活かしたいなと思って、フランス、マルセーユの物語で、スペインは近い訳だし、同じ地中海沿岸の国ですから、当然マルセーユにも、特に1930年代のお話なのでジプシーもいるでしょう。街のあちこちにいて踊りを踊って観客からお金を得たこともあったと考えられるし、1930年代の映画を観ると、そういう人たちが登場しているので、ジプシーの踊りに魅せられてマリウスが自分でも先生について踊っている、という設定を考えた訳です。その次に、マリウスが踊るということがあるとすれば、歌うということもあるのではないか、翼君は歌もきちっと歌える訳です。その時に瀧本美織という、やはり歌を的確に歌える人が得られたので、芝居が歌に変わっていくということができれば非常に楽しくなるのではないかと。そんな風なところで、もちろん台本にもここから歌になると書いてありますし、作曲家にもお願いして曲を書いてもらったりもしていますが、これは稽古をする中でまた変えていくことが色々あるのではないかなと思っています。ここからを歌ったみたらどうなるだろうか、ではどんな曲がいいのか、を作曲家にも立ち会ってもらって、一緒になって歌や踊りを創り上げていくことができたら楽しいのではないかなと思いました。そんな訳なので、全編に渡って歌があるものではないので、ミュージカルではないですが、音楽劇というところがちょうど良いのではないかと思って、そういう舞台にしたいと思っています。

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※えんぶ4月号(3/9発売)では、「今井翼・瀧本美織 対談」を掲載します。お楽しみに!


〈公演データ〉
音楽劇『マリウス』
脚本・演出◇山田洋次
原作◇マルセル・バニョル
音楽監督◇長谷川雅大
出演◇今井翼、瀧本美織、綾田俊樹、林家正蔵、柄本明 他
●3/6〜27◎日生劇場
〈料金〉S席12,500円、A席7,500円、B席4,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉チケットホン松竹 0570-000-489(10時〜18時)
松竹ホームページ http://www.shochiku.co.jp



【取材・文・撮影/橘涼香】





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『エッグ・スタンド』萩尾望都&倉田淳 特別対談・製作発表記者会見レポート

ZENTAI
今年3月、劇団スタジオライフが萩尾望都原作の『エッグ・スタンド』を舞台化する。
上演に先駆け都内にて、萩尾と脚本・演出の倉田淳の対談が行われた。
スタジオライフは『トーマの心臓』『11人いる!』『マージナル』など数々の萩尾作品を取り上げているが、『エッグ・スタンド』は初上演となる。
40年ぶりの続編となる『ポーの一族』連載開始、そして2016年朝日賞受賞で大きな話題を呼んだ萩尾の登場とあって多くの報道陣が詰めかけ、熱気の中で対談が始まった。 

『エッグ・スタンド』は第二次世界大戦中、ナチス占領下のパリを舞台として少年ラウル、キャバレーの踊り子ルイーズ、レジスタンスの青年マルシャンを中心に描く人間ドラマ。
萩尾が原作を発表したのは1984年。
萩尾は「親の世代が太平洋戦争を経験したので、興味があって(戦争に関する)本を読んでいた。20歳くらいのころアラン・レネ監督の『二十四時間の情事』を見て、“戦争の悲しみは個々人に落ちてくる”と非常にショックを受けた。そういう作品が描きたいなと思ったんです」ときっかけを話す。 
「パリを脳内旅行しながら描き上げた」という本作。
印象的なタイトルについては「卵ってもともと壊れやすいものじゃないですか。世界全体が不安定なもので、ちゃんとエッグ・スタンドの上に乗せて守らないと壊れてしまう。そういう危機感があったんだと思う」とタイトルが意味するところを語った。
それを受けて倉田は「あやうい空気が漂う今の時期だからこそ、この作品を上演する意義がある」と上演を決意した理由を述べる。
「登場人物の心情が(心に)響いて響いて仕方がない」と萩尾作品の持つ美しく繊細なドラマに心を寄せる倉田。
「登場人物の奥行きの深さに打ちのめされます」と舞台化での苦労を語ると、萩尾は「スタジオライフなら、観客を冬のパリに連れていってくれるはず。倉田マジックで何か感じる舞台にしていただけると思う」と絶大な信頼と期待を明かした。
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また、40年ぶりの続編となった『ポーの一族』について、萩尾は「夢枕獏さんが会う度に“ 『ポーの一族』の続編が読みたいなあ”とずっとおっしゃるのを聞いていたら、だんだん“描こうかな”と洗脳されました(笑)。描けるかどうか不安だったんですけど、還暦を過ぎて、“描くなら今だ”と。何か言われたら“すみません、還暦を過ぎたから許して”と言おうと思って(笑)」と笑顔を見せた。現在、月刊フラワーズ(小学館)で連載中の『ポーの一族』の番外編「春の夢」も、『エッグ・スタンド』も第二次世界大戦が舞台。
萩尾は「ちょうど似た時期なんですよね」と意外な共通点を語った。

続いて、『エッグ・スタンド』製作発表記者会見が行われた。
スタジオライフ代表の藤原啓児は「萩尾先生のご厚意に恥じぬよう、出演者一同精一杯務めていきたいと思います」。
脚本・演出の倉田は「この作品は第二次世界大戦のナチス占領下のパリという状況にありながら、人間がどう生きていかなければいけないかという普遍が描かれている。真摯に、一言一言を大事に取り組ませていただこうと思います」と上演への熱い思いを述べた。

続いて、メインキャストが意気込みを語った。
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ラウル役(Noirチーム)の松本慎也が「上質なフランス映画に自分が入り込めたような感覚になる。登場人物たちの繊細な感情のやり取りを生身の僕たちが舞台で演じられるように、密な稽古をしています」。

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ラウル役(Rougeチーム)の山本芳樹は「萩尾先生の作品はスタジオライフの原点。その分大変で難しいこともあるが、ワクワクしながら取り組んでいる」と稽古の様子を語る。

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ルイーズ役の曽世海司(Noirチーム)は「この作品を演じて、戦争で割を食うのは庶民だなということを感じた。ルイーズという若い女性の役をやらせていただくが、彼女が今生きているという瞬間を大事に演じたい」。

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ルイーズ役(Rougeチーム)の久保優二「何一つ妥協することなく、自分の中にあるものをすべて絞り出しながら演じたい」とコメント。

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マルシャン役(Noirチーム)の岩大は「マルシャンのような大人の男はほぼ初めてに近い役どころ。マルシャンが原作の中に描かれていない過去に何があったか模索しながら、少しずつ形になるように挑んでいます」。

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マルシャン役の笠原浩夫(Rougeチーム)「稽古をやればやるほど、重さをひしひしと感じている。マルシャンとしてはその重さを現代に通じる身近なものとして感じていただけるようにしたい」と役作りを明かした。

1996年の『トーマの心臓』初演から21年。萩尾望都作品とスタジオライフの縁は深い。
「萩尾先生が作った美しい台詞を舞台で口にできるのは役者として幸せなこと」(松本)、
「初めて演じたのが『トーマの心臓』のユリスモール。役者としての僕を形成しているものの多くが、萩尾先生の作品との出会いにある」(山本)、
「演じないとわからない気づきや奥行きがある」(曽世)、
「萩尾先生の作品を演じると感情の幅がどんどん広くなる。今いる自分は萩尾先生の作品とスタジオライフのおかげ」(久保)、
「萩尾先生の作品は役のしみこみ方が全然違う」(岩)、
「『トーマの心臓』初演でオスカーを演じて、役者としての寿命が何年か伸びたかな(笑)。僕にとってはターニングポイントになった」(笠原)と口々に語り、萩尾作品を演じる意義の大きさが改めて感じられた。

劇団スタジオライフ公演『エッグ・スタンド』は3月1日〜20日新宿シアターサンモール、3月24日〜25日、大阪ABCホールにて上演される(ダブルキャストでの上演)。

(文/大原 薫)

【公演データ】
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スタジオライフ『エッグ・スタンド』
[東京公演]2017年3月1日(水)〜20日(月・祝) シアターサンモール
[大阪公演]3月24日(金)・25日(土) ABCホール・[OSAKA SPECIAL EVENT] 3月26日(日)ABCホール
原作◇萩尾望都(「エッグ・スタンド」小学館文庫「訪問者」収録)
脚本・演出◇倉田淳
キャスト◇ラウル:松本慎也 / 山本芳樹、ルイーズ:曽世海司 / 久保優二、マルシャン:岩大 / 笠原浩夫
船戸慎士 奥田努 仲原裕之 宇佐見輝 澤井俊輝 若林健吾 田中俊裕 千葉健玖 江口翔平 牛島祥太 吉成奨人 藤原啓児




ユナク(超新星)、ソンジェ(超新星)、イ・ジフン出演。韓国ミュージカル『INTERVIEW』




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ソンジェ(超新星)、イ・ジフン、イ・ゴンミョンが登場! ミュージカル『INTERVIEW』 製作発表レポート&独占インタビュー

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イ・ジフン、ソンジェ(超新星)、イ・ゴンミョン 

2016年5月、韓国で行われた2週間のトライアウト公演で、多くの観客の期待と高い評価を集めたミュージカル『INTERVIEW』-お願い、誰か僕を助けて-は、9月に京都で初演を迎えると、日本でも大きな評判を呼んだ。
その後行われた2ヶ月の韓国公演でも話題になり、韓国ミュージカルアワーズの最優秀新人演出賞を受賞。2017年2月には、ニューヨークのオフブロードウェイ公演(米国人俳優による)が正式決定しており、この度、ファンの熱烈なオファーに応え、3月に東京六本木のZeppブルーシアターでの再演が決定した。
 
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主人公の解離性多重人格者・シンクレア役を、ユナク(超新星)とソンジェ(超新星)、イ・ジフンが、トリプルキャストで務める。シンクレアをインタビューする作家ユジン・キム役は、韓国を代表する人気ミュージカル俳優であるイ・ゴンミョン、イ・ソングンのダブルキャスト。そして殺害されたシンクレアの姉ジョアン役は、次世代のミュージカルスターとして注目を集めるキム・ジュヨンが演じる。その製作発表会が行われ、また、ソンジェ(超新星)、イ・ジフン、イ・ゴンミョンに特別インタビューをすることができた。

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【あらすじ】
生き残るため、自分も知らないうちに自らを破壊し、愛という名で殺人を犯してしまった1人の少年。少年は10年後、最悪感という名で、また殺人を犯してしまう。
ひとつの自己というものがありうるのか、永遠と変わらない本質的な自己?自分が永遠に自分でいられる自体が妄想かもしれない。平凡な人でも様々な人格が共存する。ファイター、芸術家、もしくは幼稚のような子供……。
2001年、ロンドンの小さなある事務所を叩くノックの音とともに、10年前の殺人事件の真犯人を探すインタビューが始まる。

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【製作発表】
 
2月7日、都内でこの『INTERVIEW』-お願い、誰か僕を助けて-の製作発表会が行われ、公演プロデューサーのシン・ジョンハと、出演者のソンジェ(超新星)イ・ジフン、イ・ゴンミュンが登壇した。

シン・ジョンハ(プロデューサー)

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『INTERVIEW』は、日本で初演することができた私たちにとって意味のある作品です。というのも、京都の初演ではたくさんのお客様が足を運んでくださり、高い評価を得ることができ、そこから韓国2ヶ月公演、オフブロードウェイの進出を決めることができたからです。今回は、もう一度、よりたくさんのお客様に観ていただこうと東京での再演を進めてまいりました。私たちのプロデュースする韓国ミュージカルは、大阪で『カフェイン』が上演、3月には本作、5月には『メイビー、ハッピーエンド』、9月には『ON AIR〜夜間飛行〜』の再演が決まっており、ますます注目が集まっております。今後も、いい俳優、いい作品でみなさんの前に立ちたいと思います。ご期待ください。
 
イ・ジフン(シンクレア役)
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今作が韓国で公演された時、たくさんのお客様、関係者のみなさんから好意的な意見をいただきました。私もその一人で、特にシンクレアは5人の人格を持っている人物で、俳優としても様々な人物を演じ分けなければならないので、チャレンジングだし、ぜひやりたいなと思っていました。いざシンクレア役が決まって、台本を読んでみると、果たしてできるのかなと悩みましたね(笑)。聞いてみると、この作品でシンクレア役を演じる皆さんが、僕と同じような反応を示したそうです。
僕はこれまでに、7人のシンクレア役を演じた俳優に会ってきていますが、僕で8人目のシンクレアになります。普段は大体2ヶ月の稽古期間がありますが、今作は3週間しかありませんので、厳しい稽古になると思います。それでも、ソンジェも短い期間でやり遂げましたので、先輩である僕も必ずやり遂げます。今の段階は台本を一生懸命読み込んでいるところですが、感情に正直であろうと思っています。人は生きていくために様々な場面で感情を抑制します。しかし、シンクレアの場合は、5人の人格をもちあわせ、抑制せずに、感情を正直に出すという性格です。ですから、感情を正直に表現するということに集中していきたいです。

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シンクレアは本当にセリフが多いのですが、よく覚えているセリフがあるんです。「ユジン・キム先生、出版社からいらっしゃったんですって?」というセリフです。これが一番最初と最後のシーンに出てくる、この舞台のスタートと終わりを知らせるとても重要なセリフだからです。こんな特別な公演ができるようになったのは、日本の皆さんのお力添えが大きいと思います。来ていただけるみなさんにプレゼントを差し上げる気持ちで演じたいですね。もちろん、新幹線に乗ってはるばる東京へいらっしゃる方にも新しいシンクレアをお見せしたいです。
 
ソンジェ(シンクレア役)
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5人の人格を持っている役ですから、5人を演じるということになります。解離性障害になってしまったのは、子どもの頃、虐待を受けた少年が、生き残っていくための手段だったからですね。そう言う意味で色々なメッセージを持っている作品です。去年この作品に出演した時は、本当に大変な思いをしました。僕の場合はたくさんの先輩方、演出家にアドバイスをいただき、それが精神的な大きな力になりました。それから参考になりそうな映画をたくさん見ました。大変な役ですが、イ・ジフン先輩は、演技はもちろん、素晴らしい俳優ですので、必ずやり遂げられると思います。ただ、先輩が稽古でいかに大変な思いをしている姿を見せてくれるか楽しみですね。きっと頭をかきむしりながら、挫折したり絶望したりすることになります(笑)。
劇場でどうなっているか、僕が演じるシンクレアや、イ・ジフン先輩の演じるシンクレアも楽しみにしてください。僕は囚人服を着て目を閉じている最後に歌を歌うのですが、その歌詞が個人的に気に入っています。みなさん拍手してくれれば歌おうかな(笑)。
(予想以上に大きな歓声と拍手。目を閉じて朗々と歌う)

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残すところあと3週間です。先輩方、初参加のイ・フジン先輩と共に、京都を超える作品になるように一生懸命準備していきたいと思います。ぜひ劇場に足を運んでください。

 イ・ゴンミュン(作家ユジン・キム役)
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ユジン・キム役は真実を追い求める男です。連続殺人の真実を追い、多重人格者であるシンクレアの真実を追っている。そして解離性多重人格障害という精神疾患の真実を追っている。何より、観客のみなさんの視線と重なる重要な役です。なぜ、この人物はこんな殺人を起こしてしまったのか? どうして多重人格になってしまったのか? それを観察するキムの視線が観客のみなさんの持つ視線と似ているからです。京都の公演はダブルキャストでしたが、ソンジュはとてもスッキリした端正な人格を表現していました。それに比べてユナクは荒々しい人格を表現しました。スッキリした感じ、荒々しい感じが、2人の違いだとすると、新しく加わったイ・ジフンさんが表現される人格は……(イ・ジフンを見つめ)とても紳士的な人格になりそうな気がします(笑)。この3人の俳優さんが交代しながらシンクレアを演じますので、私自身も楽しみにしています。

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印象に残っているのは、僕の最初のセリフですね。レコーダーを口に近づけて「今日はぜひ真実に近づきたいと思っている」と言います。このセリフは、ユジン・キムという役をうまく説明してますよね? まだ時間があるので、しっかり稽古に取り組んでいきたいです。このミュージカルはとても特別な作品です。ぜひ劇場で確認してください。


【質疑応答】
 

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──ソンジェさんは、シンクレア役の違いをどう考えていますか。
ソンジェ ユナクの演じるシンクレアは僕とは違った演技なので、刺激を受けました。やはり同じレベルの演技でありながら、違う印象を与えることができるので、観客の皆さんにとっても面白くなったと思います。今回も今までと違う姿をお見せできればいいですね。
──同じ役をこなす違う俳優たちと稽古をしていくのは楽しいでしょうね。
イ・ゴンミュン ダブルキャスト、トリプルキャストの妙味だと思います。やはり俳優ごとに僕に対して投げかけてくるフィーリングが違います。イ・ジフンが僕に投げるセリフ、あるいはソンジェが僕に投げるセリフを返すときは違う演技になるわけですから、稽古も楽しいですね。違う俳優とのやり取りが2時間続くので、公演会場の空気そのものが違ったものになります。しかし、本当に面白いのは、同じ台本で、同じセリフを言う点なんですよ。というのも、正確に決まったセリフで、内容を正しく皆さんに伝える目的は変わりません。それを直線だったり右回りだったり左回りだったり、その方法が違うことが面白いということなんです。公演ごとに違う印象を受けることになると思います。みなさん、待ってますよ(笑)。
イ・ジフン 舞台のメカニズムで大切なのは、毎日決められたスケジュールで同じことをみなさんの前で演じることですが、今作は、毎日違う表現になっていくので、それがダブルキャスト、トリプルキャストの持つ面白さではないかと思います。もちろん、ワンキャストであっても毎日違う演技を見せられるように努力しています。というのも、昨日と今日が違うように、毎日違う人生を生きているわけですから。

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──シンクレア役で苦労した点や楽しかった点。
ソンジュ 一番大変だったのは、少し乱暴な人格であるジミーのときです。僕自身は、あまり大声を出したり、怒鳴ったりしないので、この人格を表現するときは叫ぶので難しかったです。怒るということは大きなエネルギーを発散させることなので、慣れるのに時間がかかりました。それに比べて、落ち着いた性格のノー・ネームという性格は、比較的に僕に合っていると思いました。とはいえ、幼い男の子や女の子も出てきて、それはそれで難しかったので、結論的には全部が難しかったかな(笑)。
イ・ジフン 個人的に楽しみにしているキャラクターはジミーですね。以前、『ジャック・ザ・リッパー』に出た時に、最後に切り裂きジャックに豹変する時を演じる気持ちよさが、ジミーというキャラクターを演じる時に感じられるからです。このキャラクターは、自分の中の鬱憤を吐き出せるような気がしています。もちろん大変でもあります。『ジキルとハイド』のハイドのように暴力性を持った性格なので、エネルギーを思いきり発散させなければいけない。5人の役を演じるのに、ジミーだけでエネルギーをすべて消耗してしまうでしょうから。とはいえ、演じることを楽しみにしています。

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──初めて観ることになる方達に魅力をお伝えください。
イ・ゴンミュン シンクレアの多重人格をすぐさまチェンジしていく俳優たちの演技ではないかと思います。彼は俳優であれば誰でも一度は演じてみたい役です。様々な人格を次々と変えていかなければならない機会は、そう沢山ありませんから。そういう意味では、観客にとっても観られる機会が少ないのではないと思います。その点が魅力ですね。
ソンジュ 重みのある作品ですが、愛情の深い作品になっていると思います。いろんなことを感じさせ、考えさせられる作品になっています。ですので、ご覧になってくだされば、決して後悔しない、観てよかったなという作品であることを確信しています。
イ・ジフン 今作は、人が生きていく上での辛さを教えてくれます。人はなんとなく人生を生きて、ほんの些細なことでも感謝することを忘れがちではないか。シンクレアという人物が抱えている特別な状況が、いかに辛くて大変かを感じれば、観客の皆さんが感じている些細で当たり前なことでも、本当にありがたいことだと感じるのではないかと思います。

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(ここでユナクが映像で登場)

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ユナク
 記者会見があるのはわかっていたのですが、撮影日で行けなくてごめんなさ〜い! ぜったい、みなさんがもう1回観たいと思える舞台にします。僕、ソンジェ、イ・ジフン先輩、イ・ゴンミュン先輩、超スケールが大きい作品で凄まじいミュージカルですから、フルパワーで演じ切りますので、ぜひ来てくださいね!

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【独占インタビュー】

製作発表のあとソンジェ(超新星)、イ・ジフン、イ・ゴンミョンに独占インタビューをすることができた。 

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──この作品と役柄をそれぞれどう思っていますか。
イ・ゴンミョン 真実を掘り下げていくキムを演じていますが、真実というものは愛情です。その愛情が子供にとっていかに大切か、つまり、子供の時に愛情を受けられないと、いつか怪物になってしまうということを描いています。ですから、作品は少し暗くはありますが、愛をテーマにしていますので、ぜひ、観ていただきたい作品です。
イ・ジフン シンクレアは平凡な子供だったんです。ただ、お父さんお母さん、お姉さんの愛情が欲しかった。それが得られなくて捨てられてしまったが故に、悲しみや怒りを抱くようになり、解離性障害になってしまって、色々な現象が起きてしまいます。この作品で、平凡な彼がなぜそうなったのか、という質問が観客に投げ掛けられればと思います。先輩がおっしゃったように、愛情がテーマになっているんです。その愛情が、人を生かしも殺しもするとても大きな作品です。だからあえて愛を求める子供の性格を演じたりするわけです。
ソンジェ すごい!同じです(笑)。
 
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──音楽を含めてこの作品の魅力とは?
イ・ゴンミョン 音楽が大きなポイントになっています。他の作品であれば、作曲家が作品に合わせて楽譜にし、それを俳優が受け取って歌う。この作品は、作曲家がピアノで作ったある程度の曲を、俳優とともに息を合わせて、こうすれば良くなるという点があれば、修正して発展させていく。だから、俳優と演出家と作曲家で作品を作っていくので、音楽が私たちのドラマの中に溶け込んでいるんですね。観ていただければ、いつ音楽が始まって、いつ終わったのかわからないほど、本当に上手く音楽が劇中に溶け込んでいますよ。

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──お互いの印象を一言で表すとしたら?
イ・ゴンミョン ソンジェは誠実だね。イ・ジフンは良い意味で慎重かな。
イ・ジフン イ・ゴンミョン先輩は石のような人。それだけ重みもあって、頼り甲斐のある強さがあります。ソンジェは、一見すると柔らかくてソフトですけど、実はすごい根性を持ち合わせています。なぜなら、シンクレア役をやり遂げた人だから(笑)。そして10年近くも日本で活動を続けていること自体、根性がないとできないですよね。
ソンジェ お二人のことを言うのは畏れ多くて…。あえて言うとすれば、イ・ゴンミョン先輩は沢山の人から尊敬を受けていて、絶対にその価値のある人だなと思います。イ・ジフン先輩はいつかこうなりたいと思える人です。ジフン先輩と同じ歳ぐらいになった時に、同じ道を歩いていたいですね。
イ・ジフン なれるさ(笑)。
──チームワークが良いですね。まさに「チーム力」でこの作品が出来ているんですね。
一同 その通りです!(笑)
 
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〈公演情報〉
ミュージカル『INTERVIEW』-お願い、誰か僕を助けて- 東京公演
出演◇ユナク(超新星)/ ソンジェ(超新星) / イ・ジフン
イ・ゴンミョン/ イ・ソングン
キム・ジュヨン
●3/1〜5◎Zeppブルーシアター六本
〈料金〉13.000円(全席指定・税込) 
〈お問い合わせ〉東京音協 03-5774-3030(平日11:00〜17:00)
〈公演HP〉https://www.shinswave.com 〈公演情報〉



【取材・文・撮影/竹下力】


ユナク(超新星)、ソンジェ(超新星)、イ・ジフン出演。韓国ミュージカル『INTERVIEW』




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坂東玉三郎×鼓童の共演第二弾 『幽玄』!製作発表レポート

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歌舞伎俳優の坂東玉三郎と太鼓芸能集団鼓童が『アマテラス』(2006年初演)に続く待望の共演第二弾『幽玄』を、上演することが決まった。5月16日から始まるBunkamuraオーチャードホールでの東京公演を皮切りに、5月26日から新潟、5月31日から愛知、9月2日から博多、9月21日から京都で上演する。

佐渡を拠点に世界で活躍する鼓童と玉三郎との出会いは2000年。2003年には『鼓童ワン・アース・ツアー スペシャル」で玉三郎氏の演出を受け、2006年に『アマテラス」で初共演が実現。当代随一の立女形と、日本を代表する和太鼓グループの共演は、たちまち一大センセーションを巻き起こし、翌年には歌舞伎座で再演。2013年の再々演では東京・福岡・京都で計67公演全てが完売するという伝説の舞台となった。
 
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すでに15年以上にわたって、その自由自在な発想と類い稀なる審美眼で鼓童の創作活動に大きな変革をもたらしてきた玉三郎。今回のテーマは『幽玄』と題し、世阿弥が見た世界を「羽衣」、「道成寺」、「石橋」など能の代表演目を題材にして表現することに挑戦。不世出と評される玉三郎の優雅な舞いを、太鼓界を牽引し続けてきた鼓童が斬新な切り口で囃す。そこに花柳壽輔はじめ、花柳流舞踊家の出演も決まり、見どころに華を添える。能の代表的な演目を題材に、玉三郎の舞踊が、魂を揺さぶる鼓童の太鼓の響きと、能楽にインスパイアされた妙なる音色と一体になって、奥深くも情感豊かなイマジネーションの新たな地平へといざなう。

【会見】

この公演の製作発表会見が、2月1日にBunkamuraオーチャードホールのビュッフェにて、坂東玉三郎と鼓童メンバーが登壇で行われた。
 
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青木孝夫(株式会社北前船 代表取締役社長)
鼓童は坂東玉三郎さんとの共演2作目『幽玄』を5月より公演致します。鼓童は2000年に坂東玉三郎さんと出会い、創立25周年の2006年に玉三郎さんとの共演の『アマテラス』という神話を題材にした作品を上演させて頂きました。玉三郎さんと共演ということは鼓童にとっては、夢のようなお話だったのですが、また今年このように実現することが出来ました。この17年間の玉三郎さんのご指導により鼓童が成長した姿をお見せできると思います。
テーマが『幽玄」ということなので、前作と比べ、さらに鼓童のメンバーたちに表現の緻密さと深さを求められることになると思います。一昨年から玉三郎さんのご指導に加え、主に能楽の先生方、花柳流の家元にもお力添えをいただき、とても充実した稽古をさせて頂いています。
世阿弥が言っている「珍しきが花」というように、鼓童の演奏によって、天地をつなぎ、宇宙にも届くような演奏をし、今までにないような作品が生み出せればと思っています。

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坂東玉三郎
鼓童とは、2006年の『アマテラス』で共演し、その後、2012年から4、5作と様々な作品を創らせて頂きました。そして2017年『アマテラス』に続く共演作として「幽玄」を上演します。
これまで、色々な作品を創ってまいりましたが、他の作品のお稽古の中で、ここにいる石塚充さん、中込健太さん、そして本日はいらっしゃいませんが、代表の船橋裕一郎さんたちと、「あなたちはどんな作品が創りたいの?」という話になったんです。そうしましたら、「“日本のもの”を創りたい」と答えたんです。ただ、日本の様式を創るのはとても大変難しいという話をしました。もちろん和太鼓は日本のものであります。和太鼓の世界であれば、それなりのものができますが、日本の様式をもった美しさのある舞台を創るのは、難しいと思っているからです。しかし、それから色々と考えまして一昨年から“日本のもの”に向かって創りはじめました。
“日本のもの”というと、これまでもやってきたじゃないかと言われそうですが、極端に日本的なものというと世阿弥の世界かなと思います。歌舞伎は、世阿弥よりも(年月が)もっと下りますからね。太鼓というのは太古からあります。日本の独特の芸能の世界、舞台芸術というと、「能楽」を題材にした方がいいと思いました。
私が歌舞伎的なものやればそれで済むのでしょうが、鼓童さんとやるからにはあえて「幽玄」という世界。鼓童(の作品)とも歌舞伎とも違った世界に行きたいと思います。
──内容について。
玉三郎 第一幕で「羽衣」の物語をやらせて頂きます。第二幕は、はじめ「石橋」だけと考えていましたが、やはり私が歌舞伎の世界からやってきたということもあり、「道成寺」の世界です。私が着ております衣装あるいは様式は、歌舞伎的な雰囲気を持ち込みたいと考えています。

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──玉三郎さんの演じる役は?
玉三郎 「羽衣」では、天女を演じます。「道成寺」では、花子を演じます。「石橋」は、獅子として登場します。他にも天女のワキツレ等、花柳流の家元さんやお弟子さん、そして鼓童のメンバーにも出て頂く予定です。
──稽古で苦労している点は?
玉三郎 今回鼓童のメンバーは能楽の楽器を用いて、演奏する訳ではございません。その様式をもらって、翻訳していくわけです。ですので、その点は大変です。歌舞伎にも能楽にも決まり事はあります。しかし、観阿弥、世阿弥の頃は違って、もっと自由だったと思うのです。ただ、決まり事を壊すだけ、自由で楽しければよいというものでもありません。その線引きをしていくのが稽古です。鼓童は、ちゃんとお稽古をしている人たちです。あまりにも芸能の幅が広くなってしまったために修行できる時間と場所が限られている。でも、佐渡というところに入って、ずっと稽古をし、自分たちを理解していくことができる。
この鼓童という素材でどれだけお客様が楽しんで頂けるものをできるか、というのが私の課題です。

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石塚充(鼓童)
こんなにも早く、玉三郎さんと舞台の上でご一緒させて頂く機会を与えて頂き、さらにオーチャードホールをはじめ、全国各地の名だたる劇場で、上演をさせていただくことは、この上ない喜びであり、そして、身が引き締まる思いです。
今回は日本の伝統芸能を題材にしているということで、これまでよりも敷居が高く、難易度の高く、大変難しい作品にはなるかと思いますが、それをお客様にはシンプルに楽しんで頂けるように、皆さまの記憶に残るような素晴しい作品になるよう精一杯務めさせて頂きます。
能楽の稽古は、まず正座が大変ですね(笑)。また、普段鼓童の作品は人間が生活をしている様や呼吸が通った音楽を演奏しますが、能楽は「人間じゃないところに行く」という印象です。先生方の呼吸等を見ていると、人間であるということを超えて行くという印象があります。
玉三郎さんがいらっしゃる前の鼓童は、しきたりのようなものがありました。そこへ玉三郎さんがいらして、何故そうしなきゃならないのかという疑問を投げかけられるんです。否定をするでも肯定をするでもなく、いつもニュートラルな状態で、発想として自分たちには無いことをおっしゃるんです。おかげで、今の鼓童は風通しがよくなり、明るく自由になったと思います。

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中込健太(鼓童)
今まさに能楽の勉強を皆でしていますが、同じ太鼓でもこんなにも表現が違うものなのかと難しさを感じているところです。いつも玉三郎さんとご一緒するとき、玉三郎さんは今まで気付かなかったような太鼓の響きを気付かせてくださいます。今回もどんな新しい太鼓の響きが発見出来るのか楽しみです。
 

〈公演情報〉
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坂東玉三郎×鼓童特別公演 『幽玄』
演出・出演◇坂東玉三郎
出演◇太鼓芸能集団 鼓童 花柳壽輔 花柳流舞踊家
●5/16〜20◎Bunkamuraオーチャードホール
〈料金〉 S席¥13,000 A席¥10,000 B席¥6,000 C席¥3,000(全席指定・税込)
前売開始:2月4日(土)
〈お問い合わせ〉
チケットスペース 03-3234-9999
Bunkamura 03-3477-3244(10:00〜19:00)
●5/26〜28◎新潟 新潟県民会館
●5/31〜6/2◎名古屋 愛知県芸術劇場 大ホール
●9/2〜18◎福岡 博多座
●9/21〜23◎京都 ロームシアター京都メインホール
〈お問い合わせ〉鼓童 0259-86-3630


【撮影:岡本隆史】



『アルジャーノンに花束を』




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シアターコクーン公演『世界』初日前会見レポートと3公演中止のお知らせ

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渋谷のBunkamuraシアターコクーンで、1月11日に開幕する予定だった舞台『世界』が、出演者の鈴木砂羽にインフルエンザの陽性反応が出たため、初日となる本日11日と12日、13日の3公演を中止することに10日夜決まった。
初日前日の10日は、16時から初日前会見を、その後、公開舞台稽古が行われる予定だったが、公開舞台稽古は中止。会見は、演出で出演者の赤堀雅秋、主演の風間杜夫をはじめ、大倉孝二、早乙女太一、広瀬アリス、青木さやか、和田正人、福田転球、梅沢昌代の9人で行われた。

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赤堀雅秋、和田正人、梅沢昌代、青木さやか、福田転球
広瀬アリス、早乙女太一、風間杜夫、大倉孝二

【あらすじ】
千葉県船橋市、郊外のうら寂れた一角のとある家族を中心とした物語。
足立家の人々。誰彼かまわず噛みつく父・義男(風間杜夫)は工場を経営しているが、実質は息子の健二(大倉孝二)にまかせている。愚痴や噂話を喋り続けるばかりの義男の妻・節子(梅沢昌代)は、ある日突然に離婚を切り出し、家を出る準備を進めている。健二は8年前に妻・美紀(青木さやか)と結婚したが、スナックのママ宏子(鈴木砂羽)と浮気中。
自宅に隣接する工場では、義男が知人の親に頼まれ、預かった引きこもり青年・辺見(早乙女太一)と、工場同様くたびれた風情の従業員の服部(福田転球)が働いている。
彼らが仕事終わりにたむろするのは宏子と夫・坂崎(赤堀雅秋)が営むスナックである。
一方、美紀のパート先であるスーパーの店員・諸星(和田正人)は、風俗嬢のあずみ(広瀬アリス)に片思いをしている。
親子の確執、夫婦の問題、浮気、離婚、嘘など様々な波紋が広がっていく中、逃れられない小さな人間関係の機微、生々しい日常は、細い糸で結び合い絡まって……。


映画『葛城事件』の監督としても注目されている赤堀雅秋が、『殺風景』『大逆走』に続いてシアターコクーンで取り組む第3弾で、地方都市で町工場を営む家族を軸に、多彩なキャストとともに描きす"世界"のはじっこ。人生は喜劇である。

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【会見】
──まず赤堀さんに伺います。今回、ご自分の原点に戻って市井の人々を描くということですが、現時点の手応えを。
赤堀 作者からあまり手応えがあるというのもあれですが、面白いか面白くないかは、観た方に委ねるとして、作者にとってはとても愛おしい作品になったという予感はしています。見どころはいっぱいありますが、こういうコクーンのような商業演劇の大きな劇場で、今までありそうでなかったような作品というか、一見なんでもないような日常の積み重ねなんですけど、それで観終わったあとに観客の皆様に、今まで味わったことのないような感情が湧き起こるような、そういう作品になればいいなと思っています。あと、魅力はこのキャストの皆さんで、作品同様、見たことがあるようでない風間さんだったり大倉さんだったり、早乙女さんはまったく見たことないような、そういう役者さんを目撃していただければと思っています。

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──風間さんは今回、赤堀作品に初参加ですが、その感想と、また演じる義男という役が「ゲスの極み」と言われていますが。
風間 (笑)赤堀さんのコクーンでの2作品は残念ながら拝見できていないので、まったく白紙の状態で挑みました。市井の人々というか、日常を生きている庶民の姿が実に丁寧にデッサンされていまして、出てくる人みんな、良い人は出てきません。腹に一物というかクセのある人物たちですが、自分の生活を見回してみても、近しいというかリアルなお芝居です。僕はこの作品、とっても大好きで、早く皆さんに観ていただきたいという気持ちでいっぱいです。役どころは「ゲスの極み」といわれてますが(笑)、ダメ男です。奥さんの梅沢昌代さんが僕と離婚したいというので、そこから僕はバランスを崩してます。自分を大きく見せようとする人間で、やたらうんちくを言ったり、訳知り顔で人と接したり、よくいる人間で、小さい見栄っ張りな人間です。そんなジジイが万引きをしてしまいまして、それをきっかけに、この男もダメだというのがわかるという、そういうお芝居です。
──大倉さんはそんな風間さんの息子役ですが、過去の赤堀さんの2作品にも出演していますね。
大倉 僕の役は過去の2作品では、持ち味というかはっちゃけた役だったんですけど、今回はそれをすべて封じ込められて、なんでもない人間を生きれるよう稽古で作ってきました。本番が始まったらひたすら稽古で積み上げたものを誠実にやっていこうと思っています。(新しい大倉さんが観られる?)そうですね、そうであってほしいです。

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──早乙女さんは引きこもり青年で町工場で働くことになった青年役です。こういう日常劇は初めてではないかと。また辺見という役は言葉遣いなどもダメで、今の青年の象徴だそうですが。
早乙女 こういう役をやらせていただくのは初めてで、学生から社会を知らずに働きに出て、学校のノリのままで仕事場に来ているような、中身もない一番自分が毛嫌いしていたような人間を自分がやるというので、それは楽しかったです。でも、言葉遣いが自然にしゃべれなくて、そこをなんとかナチュラルにしゃべれるようにがんばりました。赤堀さんとの作品作りは、これまでやってきた舞台と全然違っていて、普段のような白塗りもできないし(笑)、刀も持ってないので、裸のままの自分を見せているような感覚です。稽古場でも毎日、すごく繊細なお芝居なので、緊張感しながらやってました。
──広瀬アリスさんは初舞台ということですが、デリヘル嬢の役です。
広瀬 以前、稽古に入る少し前なんですが、赤堀さんにお会いして、他愛もない世間話をしたんです。20分〜30分したら「もう、大丈夫です」とおっしゃって。その時に私の中の何かを見て人物像を描くのかなと勝手に思っていたのですが、それがデリヘル嬢だったので、なんか「うーん」という気持ちになりました(笑)。初舞台なので、わからないことだらけで、正面からぶつかっていこうという気持ちで毎日やってきました。(手応えは)まだ、緊張の方が勝ってしまっているので、まだ毎回、舞台に立つと手が震えてしまいますね。頑張ります。 

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──大倉さんの健二の妻、美紀役の青木さやかさんは、赤堀作品にファンだったそうですね。
青木 私は赤堀さんの作品が大好きで、映画の『葛城事件』など何回も見ているんです。赤堀さんの演出を受けられること、風間さんはじめ皆さんと一緒にお稽古場に居られることも、なんて幸せだろうと思っております。他の方々のお稽古を見ていると、本当に可笑しくて、なんか自分の中に蓋をしていた感情がばーっと出てくるような気がしていて、それが「生きててよかったな」と感じるような瞬間があって、友だちにも「絶対観にきてね」と言ってます。舞台を観るというのは、そういう気持ちになれる瞬間がいいので、ぜひ皆さまに見に来ていただきたいと思っています。美紀という役は、とても不器用な私には難しいなと思いながらやってます。でも、稽古場で見ているときに出てきた感情が、やってても出てくるときがあって、そういうなるといいなあと思っています。
──デリヘル嬢あずみの常連客で、俳優を目指しながらスーパーに勤めている諸星役の和田正人さん。オファーのとき、赤堀作品は出演するのが怖かったと言っていたそうですが。
和田 言ってましたか?(笑)たぶん生きてる限り役者としての仕事を続けていけたらと思っているのですが、壁にぶつかったり途中で挫折したり色々あると思うんです。それを乗り越えていくためにも1回壊したいなと。壊されて壊されて何かが生まれてくると、そう思ったときに、赤堀さんとご一緒させていただくことに期待感があって、怖かったんだと思います。実際、稽古では「死んだほうがラクになるんじゃないか」と思ったことが何度かありました。昔、陸上やってたときでもそう思ったことはなかったんですが。でも無事に本番を迎えられてよかったんです。

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──町工場に勤める服部役は福田転球さん、第一弾『殺風景』には出演されていましたが、今回はいかがですか?
福田 『殺風景』はかなりハードな作品で、かなり非日常的な作品でしたが、今回は、それこそ日常的で、でも少し非日常的です。皆さん、「こんなことあるな」「私もこんなことあるわ」という作品になってるんじゃないかと思っております。ダメな人が非常に多い作品なので、「そんなとこ行ったらあかんやないか」とか「なぜそこに行ってるんや」とか、いっぱい突っ込めるところがあるという感じで、すごく楽しめると思います。
──風間さんの義男の妻、節子役の梅沢昌代さん。夫婦役は2回目だそうですが。
梅沢 私の父も同じヨシオで、大正生まれで、味噌汁がちょっとしょっぱいとお膳をひっくり返しているような人だったので、全然違和感はないのですが(笑)。昔の女の方はそれを我慢していたのですが、今の女の人は違いますからね。あとの20年は自由に生きたいという役なので、観ている女性の方々は「うんうん」と頷いてくださると思います。私は稽古場が大好きで、赤堀さんと共演はしたことがあるのですが、演出は初めてでしたから、出番がなくてもずっと稽古場にいて観ていました。しごかれている方が(笑)変わっていくのを見ながら、すごく素敵な現場で、大事な時間をいただきました。

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〈公演情報〉
シアターコクーン・オンレパートリー2017
『世界』
作・演出・出演◇赤堀雅秋
出演◇風間杜夫、大倉孝二、早乙女太一、広瀬アリス、青木さやか、和田正人、福田転球、梅沢昌代、鈴木砂羽
●1/11〜28◎Bunkamuraシアターコクーン
〈料金〉 S席10,000円 A席8,000円 コクーンシート5,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉Bunkamuraチケットセンター 03-3477-9999
●2/4、5◎森ノ宮ピロティホール
〈お問い合わせ〉キョードーインフォメーション 0570-200-888(10:00〜18:00) 


【1月11日、12日、13日休演のお知らせとチケット払い戻し方法】





【取材・文・撮影/榊原和子】

 


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