稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

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記者発表ルポ

宅間孝行・戸田恵子・松本利夫(EXILE)らが送る笑いと涙のノンストップ・エンターテインメント! タクフェス『ひみつ』記者会見レポート

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宅間孝行の作り上げる極上のエンターテイメントプロジェクト「タクフェス」。その第5弾『ひみつ』が、10月19日の鹿児島市民文化ホールを皮切りに、12月まで東京、大阪ほか全国10ヵ所を巡る。
 
本作は、宅間孝行による4年ぶりの新作書き下ろし。主人公「渚」を演じるのは、数多くの舞台やドラマに出演、またアニメのアンパンマンの声で人気を集めるなど、女優、声優、歌手などマルチに活躍中の戸田恵子。宅間孝行×戸田恵子は今回が初タッグとなる。共演には、劇団EXILE松組を立ち上げ、総合エンターテインメントを創出する演出家であり俳優の松本利夫(EXILE)が、渚の弟「八郎」として出演。さらに、福田沙紀、ベンガル、山崎静代(南海キャンディーズ)、東風万智子、武田航平、赤澤燈、岡本あずさ、越村友一、益田恵梨菜など豪華出演陣が脇を固める。その記者会見が、8月29日、都内で行われた。

【あらすじ】
ある秋の日。とある田舎町にある別荘に連れてこられた山之内夢(福田沙紀)は、車椅子に乗る年老いた一人の女性と出会う。そして突然、名前を名のることも出来なくなったその女性が、自分を産んだ母親だと告げられる。彼女の名前は、本橋渚(戸田恵子)。本橋家には3人の姉弟がいた。姉の渚と弟の五郎(宅間孝行)は“虹色渚ゴロー”という漫才師として大活躍していた。マネージャーでもある末弟の八郎(松本利夫)に支えられ、人気絶頂だったこの姉弟に、運命を一変させるとある事件が起きる。なぜ渚は夢と25年間別々に生きる道を選んだのか、そして本橋家の「ひみつ」とは…。
 
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赤澤燈、東風万智子、ベンガル、山崎静代(南海キャンディーズ)、武田航平
福田沙紀、宅間孝行、戸田恵子、松本利夫(EXILE)

【挨拶】
会見には、宅間孝行、戸田恵子、松本利夫(EXILE)、福田沙紀、山崎静代(南海キャンディーズ)、東風万智子、武田航平、赤澤燈、ベンガルが登壇し、作品にかける意気込みを述べ、質疑応答を行った。

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宅間孝行(本橋五郎・
本橋京太郎)
4年ぶりの新作です。今までは3年に1つ新作を作らないと怒られる気がして書き続けてきたのですが、去年迎えた3年目に、どうしても書くことができず『歌姫』というテレビドラマになった作品で逃げの一手を打ちました(笑)。今年はそうもいかないと追い込まれながら、心を込めて作った舞台です。まず、戸田さんとご一緒したいところから始まり、台本もない状況で、一緒に何をやったら面白いだろうと考えていたのですが、かつて映画監督の堤幸彦監督から「僕が仲の良い2人に夫婦漫才の芝居をやってもらいたい。その暁には僕が映画化したい」と言われました。映画にしてもらえるなら、夫婦漫才の話にしたらラッキーなことが起こりそうだなと思い立った作品でもあります(笑)。ちなみに、漫才師のような格好をしていますが、本編ではまったくこんな格好をしません(笑)。記者発表のために戸田さんと2人で着飾ってまいりました。全国10ヵ所を回ります。どうぞご期待ください。

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戸田恵子(本橋渚)
映画化の話は今聞いて驚いているのですが、初めてタクフェスに参加させていただきます。出演が決まった時から、たくさんの皆さんに、「ついにタクフェスに出るんだね」とお言葉を頂戴しました。みなさんがとても期待してくれていると思います。あまり地方公演に行くことがないのですが、今回は10都市を巡ります。地方の方からもお声がけいただいて嬉しい限りです。兄弟の役は、私は一人っ子だったので、それだけで嬉しくて三兄弟の情の深さを表現できる作品になればいいですね。

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松本利夫(本橋八郎)
再び宅間作品に出ることができて、感謝の思いでいっぱいです。そもそも宅間さんの作品の大ファン。劇団EXILE版の『歌姫』に主演させていただいたのがきっかけで、お酒をご一緒させていただいた時に、宅間さんに直談判をして、今回の出演が実現しました。お酒の力を借りて、ひょんなことから、4年ぶりの新作という記念碑的な作品に携わらせていただき光栄です。

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福田沙紀(山之内夢)
タクフェスに初めて参加させていただきますが、とにかく緊張してドキドキしています。どういった稽古、舞台になるのか、私も楽しみですし、最初に台本をいただいた時の衝撃を忘れずに突っ走っていけたら。目標にしているのは、お酒を好きになることです(笑)。というのも、宅間さんに開口一番に「大阪」は好きですかと言われて、意味がわからず、頷いてしまったのですが、あとで聞いたら、「お酒」を「大阪」に聞き間違えていたんです(笑)。この舞台もお酒がポイントになるのかな。

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山崎静代(本橋元子)
タクフェスは2度目で、前回は『夕 ゆう』に出演させていただいて、その時にみんな団結して部活みたいな稽古をしていて、青春しているなと感動しました。福田さんもおっしゃっていましたが、私は『夕 ゆう』でお酒に目覚めました。めちゃめちゃ鍛えられて強くなってきたのが私の強みです。台本を読ませていただいて、いろいろ考えられる作品で「愛」がテーマになっています。動物も好きですが、イボイノシシじゃなくて、人間に生まれてきたことがよかったなと思わせてくれます(笑)。

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東風万智子(漆原さん)
タクフェスは初めてですが、東京セレソンデラックスの『くちづけ』に出演させていただいて以来2度目です。とてもいいお話で、悲しい部分や切ない部分もあり、笑いもある盛りだくさんのお話だと思います。素敵な作品を作れたら嬉しいですね。

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武田航平(レイジ)
宅間さんの台本を読んで思わず涙を流しました。私の役は少々変わっていて、ちょっとチャラい役なので、それを全うできればと思います。キャストの皆様と全国を回って感動できる作品にできるように頑張ります。

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赤澤燈(漆原一馬)
タクフェスに出ることを目標にここまでやってきて、ようやく出演できるので嬉しいです。初めて台本をもらった時は、美容室の予約を取っていて、美容室で読みながら号泣してパーマを当ててもらいました。僕は渚と五郎に憧れているヤンキーで、タクフェスに憧れていた自分自身に重ねて頑張りたいと思います。

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ベンガル(長妻社長)
古き良き日活のギャングみたいな格好をしていますが、渚と五郎の芸能プロの社長という役です。台本を読ませていただき、後半になると根が深くずっしりと来るものがありました。喜劇の基本はシリアスなので、暗く作れば作るほど最後の最後に面白くなるような気がしています。何十年と舞台をやってきたのですが、みなさんとは初めてなので楽しみにしております。
 
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【質疑応答】
──本作のタイトルは『ひみつ』ですが、ご自身に秘密はありますか。
戸田 お料理に多く使っている秘密の隠し味があります。黒酢にレーズンをつけたものを常備しています。レーズンはチリ産がオススメで、なかなか売っていないので、チリ産のレーズンを見つけたら買うようにしています。市販の黒酢にただレーズンを1ヶ月ほど入れておくだけですよ。サラダやマカロニサラダに黒酢をかけてなおかつレーズンを入れることで美味しくなります。みなさんとは仲良くなってこれからお配りしたいですね。お酒にも合うと思いますよ。
松本 今日はお酒というワードがよく出てくるので、お酒の秘密があります。僕はEXILEで活動していますが、ヒゲがあって、顔が黒くて、髪の毛がテカテカして無骨という印象をお持ちの方が多いのですが、お酒は可愛らしいレモンサワーを飲みます。なので、EXILEのみんなで飲む時に、その町でレモンが全部なくなるという噂がたち、しかも事実だった。記録としては2,500杯飲んだという秘密があります。地方に行くと19人という大所帯なので、新幹線のお酒もなくなるという噂もあり、それも事実でした(笑)。

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福田 私はお酒コップ半分で酔えちゃうので衝撃です!秘密の休日の時間ですね。私は夕寝をしています。16時ぐらいから19時ぐらいにかけて、窓を開けて、外の音を聞いて風にあたっていると気持ちよくて寝てしまいます。赤ちゃんは夕寝をするそうですが、赤ちゃんに戻ったような気持ちもしますね。
山崎 秘密の場所、ですね。一人旅が好きです。誰一人歩いてないところが好きです。奄美大島の宮古崎という岬で笹が生い茂っているところがあるんです。崖の上の草原のようなところで、誰もいなくて、すごく気持ちよくて…野糞をしたんですが。
宅間 やめなさい!沙紀ちゃんと真逆だよ(笑)。僕は秘密のドラマがありまして、連続ドラマを書いていた時に、プロデューサー達とちょっとした喧嘩をしたんです。オンエアはされましたが、どうしても許せなくて、おじいちゃんの名前で書いたことがあります。どんな作品かは「ひみつ」です。
──今回も難しい役どころになると思いますが、役作りで苦労されているところはありますでしょうか。
戸田 基本は他力本願です。私は、あまり役作りをしたことがなくて、稽古が始まって、皆さんと一緒に作り上げていくのがやり方です。わからないことは宅間さんに聞いて、人生のことはベンガルさんに聞いて、お酒のことは松本さんに聞いて、みんなの手を借りてやってきたいと思います。悩みながらだと思いますが、初めての役どころのチームですし、慣れてきて旅が終わったら、家族同然になると思いますよ。
 
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──松本さんはご自身でも作・演出されていますが、今後プラスにしたいところはありますか。
松本 劇団EXILE松組を2015年に立ち上げさせていただいて、プロデュースと演出と主演をこなしたのですが、死ぬほど大変な時がありました。そんな時に、宅間さんとご飯に行かせていただいてご相談させてもらい、その時のアドバイスが今でも生きています。稽古場から宅間さんが何を見て、何を感じて、どんなアンテナを張りながら、どういう景色を見ていくのか盗み取ってやろうと思っています。稽古場から気合を入れて、「タクフェス」がいつのまにか「マツフェス」になるように頑張りたいです(笑)。
──豪華キャストですが楽しみにされていることはありますか。
福田 脚本を読ませていただいた時に、手を途中で何度も止めたぐらい苦しくて、涙も止まらなくて、上を向くことが多かった作品でした。脚本でこれだけ衝撃を受けましたので、宅間さんの演出も楽しみにしています。人間関係に向き合える作品だと思うので、愛を持って、作品を作っていけたらいいですね。
 
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【囲みインタビュー】
この『ひみつ』記者発表会で囲みインタビューが行われ、宅間孝行、戸田恵子、松本利夫 (EXILE)、福田沙紀、山崎静代(南海キャンディーズ)、ベンガル、東風万智子が登壇した。

──なぜ新作に4年もかかったのでしょうか。
宅間 苦しい思いをして、1ヶ月ぐらい仕事を入れない時期があるほど脚本を書くのは大変です。正直そこから逃げていたということになりますね(笑)。
──ストーリーはいつ書いたのですか。
宅間 シナリオハンティングで、しずちゃん(山崎静代)の痕跡があった奄美大島に行きましたが、成果も得られず、今回は一切でてきません(笑)。鹿児島からツアーの幕を開けるので、設定を奄美にしておけばよかったと後悔しています。ストーリーは今年の頭から1ヶ月半ほどで書きました。

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──戸田さんは宅間さんからオファーが来た時の心境は。
戸田 ありがたいと思ったんです。けれど、そんなにご期待に添えるほどの女優ではないので、その気持ちに応えられるように、120…115%の力を出したいと思います。
宅間 下がりましたね(笑)。
戸田 とにかく出てよかったとみなさんに感動していただきたいし、これまでで一番良かったタクフェスだったと言われるようにしたいです。
──役柄についてはどうお考えですか。
戸田 家族の情を表現することはあまりないので、とにかく新しいことにチャレンジすることが多い舞台だと思います。役柄にしても座組みにしても楽しみで、地方公演もたくさんありますので、今はすべてが楽しみです。
──松本さんはタクフフェスに参加していかがでしょう。
松本 変な話ですが、お酒の力を借りてここにいるので、みなさんと美味しくお酒を酌み交わせたらと思います。
福田 お酒はついていけませんが、稽古についていけたら。
宅間 おいおい!めちゃくちゃな集団になってるよ。ねえ、しずちゃん?
山崎 そんなもんですよ。
宅間 嘘つけ!『夕 ゆう』の時はボクシングをやっていたから、毎日走りに行って、えらいな、真面目だなと思っているんだからね。

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福田
 ツアーが九州からなので焼酎が有名ですね。
宅間 いつのまにか題名が『おさけ』になりそうですね(笑)。
ベンガル どっかに酒ないの?(笑)
──山崎さんは2度目のタクフェスです。
山崎 初めて共演させていただく先輩もいるし、いろいろ盗みたいなという思いがあります。舞台は一番勉強になるんです。何回も同じところを稽古して深く考えていくので。まだまだ自分の知らない引き出しを増やしたいと思います。

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──ベンガルさんはタクフェスに参加されていかがでしょう。
ベンガル 戸田さんもおっしゃっていましたけど、自分からあえて何もしない。それは怠け者ではなくて、演劇は周りの人が自分を作ってくれると思います。僕の尊敬している俳優さんもみんなの芝居を見ながら役を作っていく。芸能プロの社長は知らないわけではないのですが、周りの力を借りながら掴んでいきたいですね。
──東風さんはいかがでしょう。
東風 メイドみたいな格好をしていますが、メイドではないです(笑)。しっかりとしたストーリーもありますし、コメディのお芝居に参加することは少ないので、みなさんのお力を借りて、楽しくお客さんに笑っていただけるようにしたいです。
──最後に宅間さんから意気込みを。
宅間 4年ぶりの新作ですが、笑いあり涙ありの作品になっています。そしてタクフェスは始まる前や公演後、恒例のチェキ会や発表会があるなど盛りだくさんの仕掛けになっています。松本さんのすごいダンスも見られますし、ベンガルさんにもね(笑)。ライバルはディズニーランドとUSJです。1日のフリーパスが7,800円ぐらいですから、この公演のチケット代8,000円を出していただいても、おやすみの日には劇場に行きたいなと思っていただけるようにしたいです。劇場でお待ちしております。
 
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〈公演情報〉
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タクフェス第5弾『ひみつ』
作・演出◇宅間孝行
出演◇戸田恵子 福田沙紀 武田航平 赤澤燈 岡本あずさ 山崎静代(南海キャンディーズ) 東風万智子 松本利夫(EXILE) 越村友一 益田恵梨菜 三谷翔太(Wキャスト) 松本純青(Wキャスト) ベンガル 宅間孝行
●10/19◎鹿児島市民文化ホール
●10/24◎北國新聞赤羽ホール
●10/26◎富山県教育文化会館
●10/28◎りゅーとぴあ・劇場
●10/31〜11/12◎サンシャイン劇場
●11/16◎足利市民プラザ
●11/19◎周南市文化会館
●11/24〜11/26◎刈谷市総合文化センター
●12/1〜12/2◎道新ホール
●12/6〜12/10◎梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
〈お問い合わせ〉東京/サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(全日10:00〜18:00)
 


【取材・文・撮影/竹下力】



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松本幸四郎の名前では最後の現代劇!『AMADEUS 松本幸四郎inアマデウス』製作発表レポート

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音楽家の葛藤、“神”に挑む人生を賭けた戦いの物語──松本幸四郎、最後の現代劇『AMADEUS』が幕を開ける!
ロンドン初演は1979年、すぐにブロードウェーでも上演され、トニー賞5部門の受賞に輝いたピーター・シェファー作の『アマデウス』。音楽史では永遠の謎とされるモーツァルトの死を題材に、同時代の宮廷楽長アントニオ・サリエーリによる暗殺説を軸として展開する、音楽家の葛藤、苦悩を描くこの作品は、84年の映画化でもアカデミー賞8部門受賞の快挙を成し遂げた。
 
この『AMADEUS』を松本幸四郎が初演したのは、襲名翌年の82年。初演以来、上演を重ねている本作が、9月24日から10月9日までのサンシャイン劇場を皮切りに、大阪松竹座(10月13日〜22日)、福岡(10月24、25日)での再演が決まり、公演中に450回の節目も迎える。来年、二代目松本白鸚の襲名が決まっている幸四郎にとって、現在の名前ではこれが最後の現代劇であり、大きなメモリアル公演となる。

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宮廷楽長として揺るぎない地位と名声を築きながら、若きモーツァルトの才能に衝撃を受け、彼に天賦の才を与えた“神”に人生を賭けた戦いを挑むアントニオ・サリエーリ役は、初演以来この役を演じ続けている幸四郎。時に人品卑しく、子供じみた男だが、素晴らしい楽曲を次々に生み出すヴォルフガング・アマデウス(神の寵児の意)・モーツァルト役は、これまで江守徹、市川染五郎、武田真治が演じてきたが、今回はジャニーズWESTの桐山照史。『ブラッドブラザース』などの舞台で、チャーミングなキャラと演技力の高さで注目されている。
天才であり変人であるモーツァルトの妻で、悪妻の悪名高いコンスタンツェ役は、藤真利子、渡辺梓、藤谷美紀、馬渕英俚可(当時は英里何)、内山理名に続き、今回は舞台やミュージカルを中心に活躍し、出産後初舞台となる大和田美帆。

この公演の製作発表が8月19日に都内で行われた。会見には松本幸四郎、桐山照史、大和田美帆、安孫子正松竹株式会社取締役副社長が出席。挨拶の後、質疑応答に移った。

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【挨拶】
 
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松本幸四郎
 『AMADEUS』の製作発表にこうして再び出席させて頂く事、大変嬉しゅうございます。幸四郎という名前になった翌年に上演させて頂き、以来30数年、今度は奇しくも来年、幸四郎という名前に別れを告げますので、その最後の現代劇という事で、また出演させて頂く事になりました。感無量です。毎回モーツァルト、コンスタンツェには素晴らしい俳優さん、女優さんが出て下さいますが、この度は桐山照史君がモーツァルト、大和田美帆さんがコンスタンツェ役。桐山君は『ブラッドブラザーズ』を拝見して、俳優として素晴らしい素質だなと思い、大和田さんは『ア・ソング・フォー・ユー』でしっかりした演技をされていました。大変楽しみです。これから長い長い稽古に入り、我々俳優にとって忍耐の時期です。忍耐が実を結び、素晴らしい『AMADEUS』が花咲きますように、皆様のお力を頂きたいと思います。

桐山照史
 この出演のお話を頂いた時、僕が生まれる前からされている舞台ですし、モーツァルトという偉人をさせて頂くプレッシャーよりも、また舞台に立てる喜びのほうが多かった。桐山照史が出たからには新しい風を吹かせてみせますとビッグマウスを叩きましたが、先日の本読みで、僕の前に幸四郎さんが座られて、緊張のあまり100回くらい噛んでしまい、まず第一の挫折を味わってます(笑)。これから稽古を重ねて、でも背伸びをしてもしょうがないので、幸四郎さんに一から甘えていきたい。モーツァルトとコンスタンツェが出てくる時には、ちょっと変わったスパイスになれるように頑張ります。

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大和田美帆
 先ほど照史君も仰いましたが、私達が生まれる前から上演され続けている作品に出させて頂くという事がとても光栄です。個人的にはコンスタンツェという役に元々興味があり、天才と言われた人、しかし変人とも言われているモーツァルトの妻って、どんな気持ちだったんだろう、どんな人だったんだろう。世界三大悪妻とも言われていますので、本当はどんな人なんだろうと調べた事もあり、今回とてもご縁を感じています。精一杯務めさせて頂きます。


【質疑応答】

──35年前から演じられてきて、改めての作品の魅力と、演じられるサリエリ(サリエーリ)のこういう所が好きというところは。また幸四郎最後の『AMADEUS』とありますが、数年後には(二代目松本)白鸚の『AMADEUS』も期待していいのでしょうか。
幸四郎 大変気の早いお話を(笑)。でも役者はそう言って頂けるのが生きがいです。ありがとうございます。このお芝居は皆様よくご存じで、映画にもなりましたし、私は長年やっておりまして、モーツァルトに対するサリエリの嫉妬がテーマだと思われがちですが、人間って、私のように長く生きていますと、自分の中にちっちゃな神をみつける人生のような。それぞれの中に小さな小さな神というものがあるような気がして、それを信じる時もあれば、その小さな神様から信じられるような人間にならなきゃいけないなと思うこともあります。そんな思いを繰り返して参りました。長い間、歌舞伎をはじめ、『ラ・マンチャの男』とか色々やって、色々な経験をして参りました。サリエリの言葉がいちいちモーツァルトに対する嫉妬だけかと思ったら、実は自分もそういう気持ちに何度も何度もなったんだなと。その時に、いつも自分の心にあるのは小さな神様。神様から信じられるような人間になって、神様を信じようと。これは外国のお芝居なので、バックにキリスト教が大きく影響していますし、イタリア人の宗教観も随所に出てきます。(記者に)初演からご覧ですか?(「はい」と記者)これは油断もなりませんね(笑)。そういうお客様もいらっしゃいますので、頑張りたいと思います。

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──途中から演出が高麗屋さん(幸四郎)に変えられましたが、今回は演出をどう変えられるか。
幸四郎 正直申しまして、演出はピーター・ホールという人が致しまして、その助手であったジャイルス・ブロックさんという方が日本に参られて、それ以来の演出です。私がその後を引き継ぎましたが、元になるのは二人の演出家のオリジナル版で、自分は演出というよりアレンジャー。いつもお稽古では、最初のうちは演出家として何だかんだいっぱしの事を言いますが、(桐山と大和田に)二人ともよく聞いて下さい、最初は大変厳しいような事を申しますが、そのうち初日が近づくと役の事で頭いっぱいになって演出がそっちのけになるので、だんだん優しくなって参ります(二人とも笑う)。私はそういう演出を今までして参りました。というのは、演出だけ、役者の芸、演技だけが目立ちすぎてもいけない。お客様がご覧になり、良い芝居だったね、あの役者も良かったし演出も良かったね、という事だと思うんです、お芝居は。そういう事をいつも念頭に置いてやっております。
──今回モーツァルトとコンスタンツェの顔ぶれが変わり、お二人の印象と、それを受けて桐山さんと大和田さんがどう感じられたか。
幸四郎 私はお二人をみた時、二人とも役になりきってる。俳優の中によく、普段は面白いんだけど舞台に立つと何だかつまんなそうな俳優さんっているんですね。自戒の念を込めて思いますが、逆でないと役者はいけない。普段はもう死んでていいんです(笑)。舞台の上に立ってる間だけは、自分は芝居をしているのが嬉しくて楽しくてしょうがない、これが私の生きがいです、みたいなことを感じさせる演技が、二人にはあります。そして二人が、歌舞伎座にご挨拶に来て下さった時、稽古は好きですか、嫌いですかと聞いた時、好きですと二人とも仰った。桐山君は凄く達者な役者だと思ったので「ご自分のアイディアで演技をしたの、それとも演出家のですか」と聞いたら「演出家の先生から、一から教えて頂きました」と。演出家にとって大変嬉しい俳優。大和田さんは、ミュージカルでしたから歌も歌ってらして、舞台の上にもこういうしっかりした良い女優さんが出てきたなと。松本紀保、私の娘がご一緒だったんです。期待しております。
桐山 僕もちっちゃな頃からテレビで何度も拝見している幸四郎さんとご一緒できるという緊張が凄くあって。歌舞伎座に挨拶に行かせて頂いた時、凄く緊張していましたが「桐山君の目はモーツァルトの目」と言って頂いて。それは良かったと。稽古の段階でも色々な事を言って頂きたいし、舞台は2年ぐらい経って忘れている所も多々あるので、全部甘えたいと思います。プライベートは死にます、舞台の上で輝きます(笑)。頑張ります。
大和田 私もプライベートは本当にしっちゃかめっちゃかですが(笑)、舞台上で輝ければと思います。個人的な話ですが、小さい頃から本当に舞台が好きで、19歳で初めて舞台に出させて頂いてから、ありがたいことに毎年何本か出させて頂いて…それが出産を機にストップして、初めて好きな事を続けていた事をお休みする期間を頂いた。初めは、舞台に立てない、お仕事ができない自分が苦しくて、泣いて暮らしてたんです(笑)。今となっては、休んだ事で余計大好きになり、やっぱりこれを一生やっていきたいと思った最中にお話を頂いたので、実は昨日立ち稽古初日だったんですが、今まで緊張とかであんまり感じた事がなかったですが、台本が目の前にあり、やるべき事があり、キャスト、スタッフの方が揃って、稽古場に居られるという喜びだけで、帰りの車で泣いてしまって。そのぐらい、今コンスタンツェという役を与えて頂いた事に感謝ですし、女優生命を賭けて挑みたい気分なので、お手柔らかにとは思いますが、厳しいご指導を楽しみにしています。

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──小さな神をと思い始めたのはいつ頃か。今回さらに深堀して演じ切りたい所は。
幸四郎 神を意識し始めたのは、台本を渡されて読ませて頂いてから、サリエリの神は何だったんだろうなと。サリエリが最後に言う「名もなき人のための自分は守護者だ」、あれがサリエリにとっての神じゃなかったのでしょうか。小さな神と申したのは、神様じゃないかもしれない。生まれて死ぬまで色々な事がある。良い事も悪い事も、悲しい事も嬉しい事も辛い事も、その時にその人がどういう決断をしたか、小さな決断から大きな決断までの連続のようなものが人生だと思えて、そういう意味での神ですから。あとは、大きな声では言えませんが、音楽と演劇の違いこそあれ、こんな事は日常茶飯事でございます。我々の世界には「コンチクショウ、憎らしいなあ、しかし自分にはできない」、そんな思いが毎日です。お二人はそんなことないでしょうけど(笑)。自分がやる上で、とてもじゃないけどこの芝居は他人事ではない芝居なのです。先だって、ジャズピアニストの小曽根真さんと対談しましたが、周りの事、地位や名誉にとらわれず一途にやっていく、自分を貫き通すというのはモーツァルト的だと仰った。振り返ると、歌舞伎の家に生まれ、今日まで『AMADEUS』をさせて頂いて、それを貫いてきた気がします。ご覧になったお客様お一人お一人の中に、冷たかった心の中に、何か温かいものがともるような、お帰りがけに「よし、自分も頑張るか」というようなお芝居のような気がしてなりません。それにはモーツァルトさん、コンスタンツェさんが、サリエリをやり込めるぐらい(でないと)。モーツァルトは下品な言葉を吐きますが、それがあのモーツァルトなんですから。一面性でなく、下品な一方の崇高さ。この世のものと思えない、人間業じゃない崇高さを感じさせて、それは演技プランとかじゃなく、持って生まれた立ち居振る舞い、佇まい。アトモスフェアという言葉がありますが、それをぜひお二人に掴みとって、それで立ち向かわれると、サリエリがまたそれに応えるようにやる。お互いの戦いが低い次元だと単なる嫉妬劇ですが、中に入っているのがモーツァルトのあの素晴らしいメロディがある。サリエリというお芝居の真骨頂だと思います。下品な言葉を吐いている人に崇高さがあるというのが、一見矛盾してますが、そういう所があるお芝居だと思います。
──モーツァルトは天才かつ変人ですが、共通点は。
桐山 天才とか思った事は本当にないですが、モーツァルトと、恐れ多いですが似てると思うのは「何とかなるやろ」と。ジャニーズWESTでコンサートをして緊張した時でも、心のどこかで、自信じゃないですが「何とかなるやろ」という所があるのは、ちょっと似てるかなと思います。変人な所は一切一緒じゃございません、真面目な人間です(笑)。

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写真撮影に移る直前、会場の明かりが消えて真っ暗になると「HAPPY BIRTHDAY」の歌が! この日は偶然にも幸四郎の75歳の誕生日であり、サプライズの誕生祝いが行われた。公演ロゴをあしらったケーキにロウソクがともり、桐山・大和田からは真紅の薔薇の花束が贈呈され、取材陣からも満場の拍手が送られた。幸四郎は「今日は私の57歳の…ちょっと間違えました(笑)、75歳の誕生日を祝って頂き、ありがとうございます。たしか染五郎という名前の最後が『スウィーニー・トッド』を帝劇でやって、それから幸四郎になった。それから38年経って、『AMADEUS』というお芝居に、桐山さん、大和田さんという素敵な俳優さん、女優さんと一緒に最後の幸四郎の誕生日を祝って頂きありがとうございます。来年からは名前が変わり、1歳になりますので、また一からお芝居に取り組みたい」と、感極まった表情で礼を述べた。

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〈公演情報〉
『AMADEUS 松本幸四郎inアマデウス』
作◇ピーター・シェファー
演出◇松本幸四郎
出演◇松本幸四郎 桐山照史(ジャニーズWEST) 大和田美帆ほか
●9/24〜10/9◎サンシャイン劇場
●10/13〜22◎大阪松竹座
●10/24〜25◎久留米シティプラザ
〈料金〉東京公演 S席12,500円 A席7,000円(税込)
大阪公演 1等席(1、2F)13,000円 2等席(3F)7,000円(税込)
福岡公演 S席(1F-3F)11,000円 A席(3F-4F)8,800円 B席(4F)6,000円 学生券5,000円(当日座席指定)(税込)
〈お問い合わせ〉チケットホン松竹 0570-000-489または03-6745-0888(東京)06-6530-0333(大阪)



【取材・文・撮影/内河 文】



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さらなる進化を遂げて演舞場に凱旋公演! スーパー歌舞伎供悒錺鵐圈璽后拈什酥表レポート

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新橋演舞場で2年前に初演、その後、大阪、博多を経て、よりバージョンアップした『ワンピース』が、本年10月〜11月に待望の東京凱旋公演を行う!
 
2015年10〜11月に新橋演舞場で初演された『ワンピース』は、国民的人気漫画『ONE PIECE』の世界観を、市川猿之助が伯父の市川猿翁の「スーパー歌舞伎」の流れを汲んで、「スーパー歌舞伎ll(セカンド)」として立ち上げた舞台。人気デュオ・ゆずの北川悠仁が書き下ろしたテーマ曲「TETOTE」も得て、大きな話題となり、舞台と劇場が一体となる盛り上がりを見せた。また文化庁芸術祭優秀賞、大谷竹次郎賞、AMD Award優秀賞にも輝くなど、高い評価を得ている。その人気演目が、大阪松竹座と博多座での公演を経て、いっそうの進化を遂げ、新橋演舞場で再演されることが決まった(10/6〜11/25まで)。

脚本・演出は、スーパー歌舞伎でも数々の脚本を手がけた劇団扉座主宰の横内謙介。猿之助は演出と出演を兼ね、また猿翁もスーパーバイザーとして名を連ねている。
原作でいう〈頂上戦争編〉に当たる物語だが、注目のキャストは、初演からのメンバー、大阪・博多公演で加わったメンバーが再び集結している。
主人公ルフィと女海賊ボア・ハンコックに猿之助。白ひげには、初演当時は市川右近だった市川右團次。麦わらの一味ゾロをはじめ、ボン・クレー、スクアードには原作の大ファンという坂東巳之助。麦わらの一味サンジ、イナズマに中村隼人。サディちゃん、マルコに尾上右近。麦わらの一味ナミ、サンダーソニアに坂東新悟。アバロ・ピサロに市川寿猿。麦わらの一味チョッパー(Wキャスト)に右團次の息子である市川右近が初参加。はっちゃん、戦桃丸に市川弘太郎。ベラドンナに坂東竹三郎。ニョン婆に市川笑三郎。ジンベエ、黒ひげに市川猿弥。麦わらの一味ニコ・ロビン、マリーゴールドに市川笑也。マゼランに市川男女蔵。つるに市川門之助。また歌舞伎俳優以外ではエースを演じる平岳大が初役のシャンクスにも挑む。そして麦わらの一味ブルック、赤犬に嘉島典俊。イワンコフ、センゴクに浅野和之。いずれも自身の演じるキャラクターに負けない個性豊かな面々だ。

また今回は、若手を抜擢した新企画として特別マチネ「麦わらの挑戦」も上演される。通常公演とは役が変わり、猿之助はシャンクスの1役で、尾上右近がルフィとハンコックを、新悟がサディちゃん、隼人がマルコを演じる。

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横内謙介、市川猿之助
 
この製作発表記者会見が、7月25日に都内で行われた。会見には市川猿之助、横内謙介、安孫子正松竹株式会社取締役副社長が出席。それぞれから挨拶の後、質疑応答に移った。

【挨拶】

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横内
 2年前の記者発表の時は、これはおそらく歌舞伎界と漫画界を敵に回してしまう恐ろしい試みで、この船に乗ってしまった私は何なんだろうと、ウソップのような気持ちでいました。当時、台本の第1稿は出来ていましたが猿之助さんはお忙しく、深く打ち合わせもできず、さらに原作を読んでいないという発言までなさり「そんなこと言っちゃダメだ〜」というウソップの台詞が出てくるぐらいハラハラしました(笑)。我々の、特に私の『ワンピース』の理解不足で、ジャンプ編集部と何度かやり取りがありましたが、国内だけどちょっとした異文化交流だったと思います。
紆余曲折があって千秋楽を迎え、とても嬉しかったのは、歌舞伎界のお客様にも漫画界のお客様にも大きなところで受け入れてくださり、「想像の斜め上を行く」という、力になる言葉をいただきました。思った以上に歌舞伎と『ワンピース』の相性がいいと褒めていただきましたが、そもそも『ワンピース』の世界がどこかで日本の文化の源流みたいなものを分かち合って、ここで再会しただけなのかもしれないと思います。正直(幕を)開ける時に精一杯で、大阪まで時間があったので、そこでの練り直しがかなり大きくて、別なものというくらいの進化をしました。我々の『ワンピース』への理解も深まり、やるべきことはこれだったと、やりながら気づいたこともありました。
僕でいうと、たった一言台詞があるような小さな役にまでファンがいて、想いがあると肌で感じました。もう一回原作に立ち返り、役を考えると、並びの俳優さんたちが名前をもらって、原作があるというところで、もう一つ輝きを増して臨んでくれて、そこがもう一つ上に上がった瞬間なのかなと思いました。なので、これを大阪と博多の最中に「これをもう一回最初に観て下さった方に見せないといけないね」と。まだ進化させますが、この機会をいただけて嬉しいと思います。また少しでも多くの方に観ていただきたいです。

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猿之助
 歌舞伎は名作と現在謳われているものも、初演からその形があったわけではない。何回も繰り返し上演されて、あらゆる俳優の工夫を経て、究極形が出てきた。やっぱり再演を重ねることは、素晴らしい作品を生み出すには必要だと思います。伯父の(市川)猿翁から常々言われることは、新作は一回作るのはわりと簡単にできるが再演を重ねるような新作を作るのは実は難しいと。私は常にものを作るに当たり、興味本位、一回限りの話題という作品作りは避けて、なるべく後世に残るものをと作ってきました。『ワンピース』が再演になったことが、すべての答えだと思います。
このあいだ尾田先生とお話したとき、「君は何をやってもルフィにしか見えないから大丈夫だ」と言葉をいただきました。最初はディテールにこだわります。歌舞伎でも先輩に習った時は細部にこだわります。でもそれだけではだめで、次の発展段階は自由にやること。役の心さえちゃんと掴んでいれば何をやったっていいという、究極の教え。再演にあたり、みんな役が自分のものになっていると思うので、その心をしっかり掴んだ上に自由に羽ばたいてみたいと思います。
演出も、九州でも大阪でもやったことがないことを東京バージョンでお見せしようと。また今回、若手を抜擢することを認めていただいて、とても喜んでおります。歌舞伎は若手を、役者を育てることも非常に大事で、それに力を入れていることがわかっていただけると思います。主役が違うことで世界観も違ってきますので、両方を楽しんでいただきたい。

【質疑応答】

──歌舞伎の源流というお話でしたが、演出でそのあたりを感じられたことは。
横内 2.5次元シアターがいま流行っていて、基本は顔のいい青年たちがコスプレをして、漫画的な美しさで表現するんですが、歌舞伎の役者さんたちの力というのは、原作をコピーするのでなく一回解体して別のものにして提示する。猿之助さんがルフィそのものと言ったって、近くで見るとそうそう少年でもない(笑)。ところが芝居になると、少年だったり超能力者だったりを自分の中で再構築されて、形だけコスプレするのでなく芝居することでやる力がある。この一座の腕ききの方はもちろんですが、若手の人たちも名前をあげてキャラクターを示された瞬間に並びの手下1、2ではなくなる。歌舞伎は形と言いますが、気持ちが出てくる装置がうまく作動した時にこの人たちは輝くんだなという体験をしました。
マルコという役があって、初演ではわき役でした。ところが再演で尾上右近を入れるというので、見せ場を作れという話になり(笑)、書き換えるのかということになるんですが、この役も不思議で。中村勘九郎さんが最初の声をやってくれているのですが、稽古場で雑談する機会があり、誰が好きなのか聞いたらマルコだと。あいついいんだよね、と。気になって読み直すと確かにかっこいいのかもしれないと、右近さんの役はマルコにしようと。もともとコスプレっぽく役も作っていましたが、役が尾上右近という俳優を得て、役者が命を吹き込んでくれた瞬間に、漫画の人物がその場にいるという感覚。漫画にすり寄るのでなく、俳優たちがかみ砕いて具現化していく姿の力強さを感じました。他の2.5次元をディスるわけではないですが、俳優たちへのメッセージとしても、この人たちがやってる仕事は凄いことではないかと思います。

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──ともに浅草歌舞伎でやってきた仲間のお二人(勘九郎と七之助)は、お父様のなさったことを引き継いで、猿之助さんは猿翁さんの立ち上げたスーパー歌舞伎を引き継いでセカンドとしてなさっていて、ともに活躍の場を別にもって歌舞伎界を動かしていることについてはどう思いますか。
猿之助 初演の時は、中村屋兄弟が「ワンピースに出たい!どうしても出たい!何の役でもいいから!」…まぁ、勘九郎さんはマルコという指定がありましたが(笑)。お互いそうそう自由の利く身でもないですが、何らかの形で関わってもらいたい、幕開きのナレーションでもぜひやっていただきたいんだけどと言ったら、本当に喜んで関わってくれた。そういうのは、変な話、たとえば僕も勉強してきたし、一緒に勉強してきたし、勉強があるからこそああいう形でも皆さんが喜んでくれる。これがあんまり歌舞伎界に一生懸命にならず、うだつの上がらない人だったら、そういう人にナレーションをやってもらってもエッ?となるけど、勘九郎、七之助と名前が出た時にワッと言ってくださるのは、やっぱり、苦しい思いをしてちゃんと勉強してきたからこそ。本当に感慨深いものがあります。そして彼らに限らず、平さんだって浅野さんだって、右團次さんも名前は変えたって白ひげは絶対出ますよという心意気が嬉しいなと。僕は一人でなくみんなで作っていると思ってます。そういうと、みんなが「そういうところがルフィだ」って言うんだけど、僕は気にしたことがないんだけど。今回も独り占めしないで、いい役はみんなに振ろうと、なるべくいろんな機会を与えています。
──「麦わらの挑戦」で抜擢された若手に期待することは。
猿之助 今回、巳之助君、隼人君、右近君、新悟君が入ってくれましたが、右近君は右近君で僕と主役で比べられる。彼のほうがルフィに年齢は若いけど、若けりゃ歌舞伎の役の上で若いかというとそうじゃない。年を重ねれば重ねるほど若いという歌舞伎術、演技を彼が学んでくれるか。そして主役が若手になったことで、それを支える隼人君、巳之助君、新悟君は100パーセント以上の実力を出さないと面白くない。先輩とばっかりやると勉強にならない。カバー力が必要なので、主役が変わったことで難しいと思います。そのことで彼らが何かを掴んでくれればいいと、僕は泣く泣くワンキャストにしました(笑)。

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──原作はお読みになられましたか。
猿之助 それは僕のルフィを見れば、誰しも100パーセントわかることだと思います。
──2年前の会見で、ルフィの手を伸ばしたくないと伺って、その後、手を伸ばすという演出についてはどうですか。
猿之助 実写化される時に話題になるのはそういうところですね。僕らが心配したのが、『ワンピース』を知らない方々が入ってこれるのかということで、最初はたとえば「能力が上がる実」をいちいち説明したりしていましたが、上演を重ねていくとそういうところが全部要らないなと。いきなり手が伸びても不思議に思わない。それが世界観に溶け込んでいるので、すんなり入ってきて、余計な説明がどんどん要らなくなるんです。もちろん手を伸ばすことで喜んでくれますが、それが非常に重要な部分を占めているわけではない。尾田先生が書かれている人間の変わらないもの、ドラマのほうが感動するので、能力の面は彩りでしかない。それはお客様の反応、特に『ワンピース』好きの人の反応からも思わせていただいたので、今回は説明に使ってきた時間をドラマに込められるので、より普遍的なものをお見せできるかなと思います。
──演出のプランが、おぼろげでもあれば教えてください。
猿之助 この作品はもともと行き詰った時に、ゆずの北川悠仁さんに相談して、やろうと決めた時に主題歌を提供してくれて。今回の舞台の発想は、全部彼らのステージからヒントをもらっています。幸か不幸か、5月に20周年のライブを見てしまって、やっぱり刺激を受けると新たなことをやってみたくなるので、そこで使われた演出を取り入れてみたいなと。ライブ会場と演舞場という違いはありますが、無理にお願いして何とか組み込めるかなと。最新技術を使ったことをやってみたい。多分、映像を使った演出にはなると思います。あとは上演時間をなるべく短いほうがいいので、終わってもお客様が銀座の街を楽しんで帰れるような上演時間にしたいので、濃密にしたいと思います。

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【囲みインタビュー】
 
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──初演の時から、これはもう絶対再演という気持ちは。
猿之助 再演はあるだろうなとは思ってました、なんとなく。
──それは初演の公演中の手応えで?
猿之助 観られなかったというお声が多かったので。その後、大阪と九州でやりますよと言いましたが「そこまでは観に行けないので、東京でもう一回」という方がね。
──ご自身の意気込みも初演の時とは変わると思いますが。
猿之助 一回目を観た方もいらしてくれるので、その期待をいい意味で裏切るというのと、初めて観る方にも感動していただけるような作品をみんなで作っていきたいなと考えています。
──尾田先生がルフィにしか見えないと言った役を、他の方にも譲ることに関しては。
猿之助 やっぱり、自分が一番いい状態の時に次の担い手に渡すというのは、歌舞伎が長く続くための使命だと思うので。僕がシャンクスに回った時、若手の彼らがどうなるかお手並み拝見というところでしょうね。
──ハリウッドでもドラマ化がありますが、実写化の先駆者としてはどうですか?
猿之助 自分のほうがいいという自信はもってますから。歌舞伎のほうが、日本のアニメの、尾田先生の世界観により合ってるんじゃないかと自負はしてますが、どんなものができるか楽しみでもありますね(笑)。
──漫画も読まれたそうですが、ルフィ以外でこの役が好きというのは。
猿之助 今はもうルフィしか考えられませんね。それだけやらせていただきたくて、やっぱり愛着がありますのでね。僕が死ぬ時、当り役にたとえば「義経千本桜・佐藤忠信、ルフィ」とかね、いいじゃないですか(笑)。僕は一生の宝物だと思ってます。
──改めて公演に向けて。
猿之助 今回再演になりますが、バージョンアップでなく、また新しい『ワンピース』ということで作っております。一度観た方は「本当にこれが同じ作品なの?」という驚きをもって、また、初めての方は『ワンピース』がこんな世界だったのかということもありますので。初日に向かって、また新たな進化に関する情報が飛び出すかも楽しみにしていただきたいと思います。

〈公演情報〉
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スーパー歌舞伎供悒錺鵐圈璽后
原作◇尾田栄一郎(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)
脚本・演出◇横内謙介
演出・出演◇市川猿之助
スーパーバイザー◇市川猿翁
出演◇市川猿之助 市川右團次 坂東巳之助 中村隼人 尾上右近 坂東新悟 市川寿猿 市川右近 市川弘太郎 坂東竹三郎 市川笑三郎 市川猿弥 市川笑也 市川男女蔵 市川門之助 平岳大 嘉島典俊 浅野和之ほか
●10/6〜11/25◎新橋演舞場
〈料金〉通常公演/1等席16,500円 2等A席9,500円 2等B席5,000円 3階A席5,000円 3階B席3,000円 桟敷席17,500(全席指定・税込)
特別マチネ「麦わらの挑戦」/1等席14,500円 2等A席8,500円 2等B席4,500円 3階A席4,500円 3階B席2,500円 桟敷席15,500円(税込)
〈お問い合わせ〉
チケットホン松竹 0570-000-489または03-6745-0888
〈公式HP〉http://www.onepiece-kabuki.com 
 



【取材・文・撮影/内河 文】






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創立95周年を祝して華やかに!OSK日本歌劇団・新橋演舞場公演『夏のおどり』記者懇親会レポート

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今年創立95周年を迎えたOSK日本歌劇団が、劇団員38名を擁して華やかに繰り広げる豪華レビュー2本立て公演『夏のおどり』が、新橋演舞場で上演される(8月31日〜9月3日まで)。

関西を拠点に活躍するOSK日本歌劇団は、近年東京での公演にも大きな力を注いでいて、新橋演舞場での公演も今回で3回目となる。栄えある創立95周年を記念して創られた『夏のおどり』は大阪松竹座で『春のおどり』として上演された和洋2本立てのレビュー作品を、一部手直しし、新橋演舞場の舞台機構を駆使して繰り広げられる公演。
第1部は尾上菊之丞作・演出・振付による『桜鏡〜夢幻義経譚』。日本人に愛され続ける歴史上の人物であり、ヒーローである源義経の生涯を華やかに、かつスピーディに描いた和物レビュー。第2部は中村一徳作・演出の『Brilliant Wave〜100年への鼓動〜』。波をテーマに、創立100周年への栄光の道を歩みはじめたOSK日本歌劇団が、その伝統を受け継ぐ高度なダンス力を中心にした洋物レビューとなっている。

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悠浦あやと、真麻里都、桐生麻耶、高世麻央、楊琳

そんな、これぞOSK!という豪華レビューの上演を前に、6月24日都内で記者懇親会が行われ、松竹株式会社取締役副社長安孫子正、OSK日本歌劇団トップスター高世麻央、男役スター桐生麻耶、楊琳、真麻里都、悠浦あやとが出席。公演への抱負を語った。

【出席者挨拶】
 
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安孫子 松竹の安孫子でございます。今日は本当にお暑い中お集まり頂きましてありがとうございます。OSKの公演を8月31日〜9月3日まで新橋演舞場で今年も上演させて頂くことができます。本当にこれはとても素晴らしいことで、松竹としても東京でOSKの公演ができますことを光栄だと思っております。95年の歴史を持つOSKですが、当初大阪松竹の創業者の1人である白井松次郎の手によってOSKが生まれました。そして長い歴史を誇る訳ですが、大変残念なことに一時松竹の手を離れて活動されておりましたけれども、平成に入りましてOSKが解散という状況、難しい時期を迎えました。その時に再度松竹で色々とさせて頂きまして、平成16年に大阪のOSK発祥の地であります松竹座で、OSKのレビュー公演をすることができました。それが今日まで伝わっております。その間本当に努力を重ねられて、特に解散から再び松竹とのご縁がある間、今はトップの高世さん、また、桐生さんはじめ皆さんが努力して、当時20名の団員が大変な努力をしながら存続に駆けずり回って、そして今日の礎を作ってくださいました。今、伺いましたら、楊さん、真麻さん、悠浦さんはその後の入団ということで、当時のOSKの先輩の苦しさというものを実際には体験していないのですけれども、でも今日のOSKの歴史を語る時、その時を克服してきた辛さと喜びが、今のOSKの皆さんの心の支えになっていることと思います。
今回の公演ですが、東京での新橋演舞場の公演は3回目になります。松竹座で『春のおどり』として上演せて頂いた公演を、一部手直しをさせて頂いて『夏のおどり』ということで上演させて頂きます。私も観させて頂きましたが、本当に素晴らしいレビュー作品で、レビューは色々な方たちが取り組んでおられますけれども、私は掛け値なしにOSKが日本一のレビューの劇団だと思っております。
今日おいで頂いた方々にも演舞場の公演を観て頂ければ、そう納得して頂けると思いますけれども、1部では日本物のレビュー、2部では洋物のレビューがございまして、OSKという素晴らしい技術を持った集団が力を発揮しております。この公演を皆様に観て頂くことによって、是非レビューの楽しさというものを大勢の人たちに伝えていきたいと思っております。その為にも是非皆様方のお力を頂きまして、1人でも多くの方がOSKの素晴らしいレビューを観に来てくださいますように、お力添えを頂きたいと思います。そして何よりもここに来て頂いている方々にまずOSKのファンになって頂いて、2度3度と観て頂けると、更にレビューの魅力がわかってくるというのが、私の実感でございますので、是非どうぞよろしくお願いいたします。今日は本当にありがとうございました。

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高世
 皆様こんにちは。OSK日本歌劇団の高世麻央でございます。本日はお忙しい中お時間頂戴しましてありがとうございます。本日は申し訳ありません、少々声変わりをしておりましてお聞き苦しい点はあるかと思いますが、想いはたくさんですので、私たちの舞台に賭ける想いを少しでもお伝えできたらと思っております。よろしくお願い致します。
おかげ様にてOSK日本歌劇団は今年創立95周年を迎えさせて頂きました。先日の大阪松竹座での『春のおどり』の公演、大阪松竹座で大正11年に生まれた劇団が、今こうして95周年を迎えられた時に、また大阪松竹座の舞台で公演させて頂いていること、昭和5年から歌い継がれております「桜咲く国」というテーマソングを、今も歌わせて頂けていることを奇跡のように思っております。今回もまた昨年に引き続き、歴史ある新橋演舞場という素晴らしい劇場で、私たちOSKの公演をさせて頂けること、松竹様のお力をお借りして、東京のお客様にOSKを観て頂けると思いますと、今、すごくワクワクしております。今回は安孫子様の方からお話がありましたように、1部は『桜鏡〜夢幻義経譚』2部は『Brilliant Wave〜100年への鼓動〜』ということで、1部2部共に、素晴らしいOSKらしい作品を創って頂きました。95周年に、100年に向かって歩んでいくOSKの躍動的な作品となっております。本当に色々な魅力が詰まっておりますので皆様のお力をお借りして1人でも多くの方に観て頂けたらと思っております。今日は皆様よろしくお願い申し上げます。

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桐生
 おはようございます。桐生麻耶です。本日はありがとうございます。昨年新橋演舞場の舞台に立ったことが遂この間のような感じが致しまして、1年というのは本当に早いなという風に思っております。今回は38人で新橋演舞場の舞台に立たせて頂くのですが、松竹座で公演をした後、実際に本番を経験したからこそ見える課題というものがございまして、その課題にもう1度トライできるということは、私たち舞台人にとりましてはとても最高なことなんです。これからお稽古に入っていくわけですけれども、その課題をよりクリアにして、もっと良い舞台を東京に観に来てくださるお客様にお伝えできたらなと思っております。また、先ほども、高世さんと私は存続の会の頃からというお話がありましたが、大袈裟に聞こえるかも知れませんが、1度しかない人生というのを、今私たちはOSKに賭けているのであろうな、ということを最近よく思うようになりました。もちろん人が生きているということは、幼くても年配になっても何時でも素敵なことだと思いますが、その中でも世間で言う一番良い時期をOSKの団員として過ごさせてもらって、尚かつこんなに素敵な舞台に自分たちの表現ができる幸せを噛みしめている日々なので、今回の演舞場の公演もしっかりと悔いのないように務めたいと思いますので、是非皆さん何度でも観に来て頂けたら嬉しいです。今日はありがとうございます。

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 楊琳でございます。今日はよろしくお願い致します。私はただシンプルに本当にたくさんの方に観に来て頂きたいと思います!ですので最大限皆様のお力をお借りして、ご助力頂けたら嬉しいです。どうぞ本日はよろしくお願い致します。

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真麻
 真麻里都でございます。よろしくお願いします。楊も申しました通り、まだ東京の方の中でOSKを観たことがないという方がたくさんいらっしゃると思います。東京ばかりでなく、北海道から沖縄までたくさんの方にOSKの名前を知って頂きたいと思いますので、その為にも私たちは頑張りたいと思います。8月31日から9月3日まで、新橋演舞場で私たちOSK爛漫の桜を咲かせますので、どうぞ皆様よろしくお願い致します。

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悠浦
 悠浦あやとです。本日はありがとうございます。この劇団創立95周年という節目の年に、私がこうして劇団員として携わることができるというのは本当にすごいことだなと思っています。95年前ってどういう時代だったんだろう、どういう風に劇団ができていったんだろう、という風に今改めて95年前を考える時がありまして、今更なのですが、95年前の日本を勉強させて頂いたら、女性がレオタードを着てバレエを踊るという自体が斬新なことで、とても貴重な団体だったんだなと思いました。もちろん女性がスポットライトを浴びる自体が厳しい時代だったのかと思いますが、そのような中で先輩方が強い意志を持って劇団をつないでこられたのだと、わからないことも多くありつつも、感じるものがありました。今は映像などで世界中の舞台を観られる時代になっている中で、もしかしたら私たちの舞台はアナログなものかも知れませんが、こうしてお客様が毎日劇場に足を運んでくださって、スタッフさんと共にその日、その時、人間同士が力を合わせて作るという、ある意味今の時代にとって貴重な存在なのではと、今、私は思っています。そうしたアナログではあるけれども、皆様がリアルタイムで同じ劇場空間の中で観よう!と思ってくださる舞台を、私たちも十分楽しんでたくさん表現したいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。

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【質疑応答】

──皆さんそれぞれ和ものレビュー『桜鏡〜夢幻義経譚』で演じられる役柄と、演じる上で大切にしている点、また、洋ものレビュー『Brilliant Wave〜100年への鼓動〜』で、特にここが見どころ!というポイントを教えてください。
高世 私は第1部では源義経を演じさせて頂きます。弁慶と出会う五条橋のシーンもあり、そこでは牛若丸の時代も演じさせて頂きます。牛若丸から成長した義経までということで、どんどん時が経って、歴史上の出来事を1時間のレビューに収めるので、本当に早い展開なのですが、皆さんがよくご存じの歴史上の人物ですので、そのイメージを壊さずに、かつ私なりの牛若丸であり義経であるというもの追及させて頂きたいと思っています。今回は壇ノ浦の場面もございまして、先日は大阪松竹座、今回は新橋演舞場の舞台機構をふんだんに使った演出で、もちろん危険も伴いますので、非常に集中した中でやらせて頂いておりますが、やはり合戦ということで歌舞伎と同じ拵えで甲冑をつけさせて頂いたりしながらも、OSKらしい歌や踊りを踊らせて頂きます。その中で、回り舞台、花道、スッポン、と舞台が動くだけでなく、全ての登場人物が動いていく、自分たちでやらせて頂いてもワクワクするような演出を頂いています。特に義経の生きざまが、ヒーローなんですけれども、どこか自分とリンクするような部分がございまして、フィナーレナンバーや、様々な人との出会いと別れを感じる場面では、毎回涙が出てきてしまって、歌うことがてきないのではないか?と思うほど感極まる瞬間もございますので、それをまた新橋演舞場の舞台で皆様にお伝えできるという楽しみもありますし、皆様にも私の演じる義経をお楽しみ頂けたらと思っております。

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2部の見どころは、選べません! それくらい幕開きから最後まで素晴らしい場面ばかりで、作・演出の中村一徳先生が「95周年を迎えたということは100周年への道が始まっているということなんじゃないか」と言ってくださいまして、テーマが「波」なのですが、小さな波、大きな波、激しい波、穏やかな波、初めてお聞きした時にはどんなレビューになるんだろう、と思いましたが、ダンスに定評のあるOSKですので、ダンス、ダンス、ダンス、ラインダンスだけでなくて、OSKのダンス力をふんだんにご覧頂ける作品に仕上がっております。もちろん自分自身にはこの場面を観て欲しいというところはあるのですが、私だけでなく38名全員の群舞力ですとか、今までの色々な経験があっての今のOSKのパワーみたいなものを観て頂きたいと思います。本当に言葉がつたなくて申し訳ないのですが、どの場面も切っても、切ってもと、金太郎飴のように(笑)楽しんで頂きたいですし、OSKをご存知ない方も本当にOSKを好きになって頂ける要素がたくさん詰まっています。中詰めにございます「100年への輝く波」というところは、もう皆でドレッシーな、男役も変形燕尾で踊らせて頂くのですが、変形燕尾で踊るような振りではないくらい、全員が舞台をところ狭しと駆け回らせて頂きますし、踊りだけではなく、私が歌わせて頂いている「ひとつひとつの歴史が紡いできた、またそれを伝えていこう」という「紡ごう」という歌詞がすごく素敵で、そういう歌詞なども含めてすべてのものをご堪能頂きたいと思っております。

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桐生
 私は1部の方では弁慶役をさせて頂きます。義経との絆が自分の中では、高世さんは私の1期上の方なんだすけれども、そういう部分と重なっていくところがあっても良いのではないかな、と思いながら演じております。「弁慶を演じられるのは桐生さんしかいない」と皆さんに言ってもらいまして、それは、なんというか(両側のメンバーを見て)、正直嬉しいというのか…いえ、嬉しいです(爆笑)。頑張りたいと思います。洋舞の方は、本当にユニゾンが多く、その中でもOSKレビューの特徴ではないかと思うリフトがありまして、今回はラテンの場面で7組ぐらいが、肩の上に女役さんを乗せるんです。これは女性と女性なのに、なんということをさせるのか!(笑)という振りがあるのですが、おそらく振付の先生が信頼してくださっているからそういう振りがつくのではないかと思いますし、それを観てお客様が楽しんで頂けて「さすがOSKだな」と思って頂けるので、ついた振りだと思っておりますので、そこのメンバーたちは失敗しないようにと、毎回やっております。他にもリフトの場面がたくさんありますので、私はそういうところを観て頂けたらなと思っております。

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 私は第1部では那須与一を演じます。この場面は「平家物語」の中でもとても有名な扇の場面なので、扇を射貫けなかったら死ぬという緊張感と覚悟を、全身で表現できたらなと思います。また日舞のフィナーレで高世さんが花道から出ていらっしゃるのですが、その時に履かれているキラキラの足袋(全員笑)、滅多にないそうです、キラキラの足袋って!それを作・演出の尾上菊之丞先生が「これだけはこだわりたい!」とずっとおっしゃっていて、舞台稽古には間に合わず、本当に初日ギリギリに間に合った特注の足袋なので、そういう細かいところも観て頂きたいと思います(高世爆笑)。見るとすごいなと思ったので、私もすごく見てたので!
高世 足袋だけ?(笑)
 いえ、全身をくまなく! 是非そこも目玉にして頂きたいと思います(笑)。洋物のレビューはどこが目玉というか、全部が目玉だと思います。例えはおかしいですが、夏は気温が暑いものですが「なぜ演舞場だけこんなに気温が高いのか?!」と気象庁が言うくらい(笑)身体中からパワーを出してヒートアップして行きたいと思います。気象庁公認でどうぞよろしくお願いします!(会場爆笑)

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真麻
 (笑いの中で楊を見ながら)この後に話すのって…(笑)。ええ、1部は平教経をさせて頂きます。とても衣装が煌びやかで、大きなお衣装を着させて頂いていて、平家方は4人しかいず、内3人は公達なので、私1人で戦場に出るという(笑)、でも平家を背負って甲冑も着させて頂いております。先生から言って頂いた言葉に「平家側なので、動きに気品が出るようにして欲しい」というのがありまして、私、戦場で気品のある動きってしたことがないので、今まで勇ましい武者という役が多かったこともあって、どうしたらいいんだろうと、すごく悩みましたので、まず姿勢にすごく気をつけている毎日です。最後に飛び込みもさせて頂いていて、両腕に源氏方を抱えて飛び込むので、千秋楽まで怪我なくやりきりたいと思っております。そして2部の見どころは、皆が言うようにどこもすべてなのですが、私は敢えて言うならフィナーレの黒燕尾。白のシャツの正式な黒燕尾を着たのも久しぶりだなと思いましたし、しかも階段に男役がズラッと並んでというのは本当に久しぶりのことなので、そこをすごくゾクゾクしながらやりたいですし、それを感じて頂けたらなと思っております。
 
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悠浦
 私は佐藤継信という役をさせて頂きます。見るからに侍!という感じで、高世さんの危機一髪のところを私が身を挺して、左目を挺して命を助けるという役柄です。まず外国人の方などにも「サムライ!」と言って頂けるような、カッコいい死に様を観て頂けたらなと思っております。第2部は桐生さんもおっしゃっていましたが、リフトがふんだんに組み込まれてまして、これはやはり男役と女役というものがあるからこそできるものだと思っております。ご覧になったお客様から「女性同士なのにどうやって持ち上げているの?」「どうやって回しているの?」と言って頂くことも多いのですが、それは企業秘密ということで(爆笑)。でもそれは先輩方に教えて頂いて、女性同士でも大技をするというのは、私たちが受け継いでいるものなので、それも見どころだなと思っています。

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──高世さんがトップになって9月で3年になると思いますが、この3年間でのOSKの成長をどうご覧になっていますか?
高世 9月で前トップの桜花昇ぼるさんからトップを引き継がせて頂いて3年になりますが、3年って本当に早いなと言うのが実感でございます。トップに就かせて頂いてから、90年を超えるOSKのトップという責任をどう果たせるのかを精一杯考えていて、肩にも力が入っていたと思います。その中からどうやったらOSKの、全員の魅力を皆様にもっともっとお届けできるか、もちろん演出家の先生、振付家の先生等々のご指導があり、私たち1人1人の魅力を引き出してもくださいますが、それでもやはり舞台に立ちましたら、その舞台をどうやったらより良くしていけるか、というのは自分たちで作り上げなければなりませんから、どうしたら全員の力がより発揮できるのかには、まだまだ課題がございます。でも特殊な劇団であるからこそ私が感じていることは、歌劇の「男役」「娘役」というのはすぐにはできないものなのですが、人数が増え若いエネルギーの1人1人が、男役として、娘役として作ろうとしていく努力と、一口に「男役」「娘役」と言いましても、同じではなくそれぞれ1人ずつカラーが違います。どうしたらその1人1人の良さがより引き出せるかが、私自身の課題でもあると思っています。個々の魅力を知っているからこそ、それをもっと引き出したいですし、それを通して私自身も輝く、全員が輝くことがOSKの妙味になるのではないかと思っています。トップにならせて頂いた時に「OSKをどんなカラーにしていきたいですか?」というご質問をたくさん頂いたのですが、正直「それはわかりません!」と思ってもいて、カラーというのは、自分たちが前に歩いていくことによって後からついてくるものだと思っています。95周年を迎えたということがまさにそうだと思います。90周年の時にもすごく感動しまして、95周年の時にはどうなっちゃうんだろう?感動のあまり泣いてばかりいるのかな?と思っておりましたが、ここまでの歴史があるからこそ今できることをしようという気持ちになっています。3年前にはできなかった表現が、もしかしたら今はできるのではないかと思いますし、こうしたいと決めたくはないんです。
OSKにはまだまだ可能性があると思うので、自分自身も1人のエンターティナーとして、95周年の歴史はもちろん引き継いだ上で、今の自分にしかできないもの。先ほどアナログかも知れないという言葉もありましたが、OSKではできないと思われていたものを、どうしたらOSKでできるのかを目指して歩んできて、今の95周年のOSKがあると私は自負しておりますので、皆で創りたいと思っています。私が一番変わったなと思うのは、OSKは色々な公演をしておりますが、ここにいるメンバーをはじめ大きな舞台でまた集まった時に、1人1人の笑顔から私は大きなパワーをもらうんです。これまでの経験があるからこそ、今、こうして皆で舞台に立てることが幸せですし、自惚れではないですが、皆が素晴らしいと思います。皆仲は良いんです。でもそれだけではなく、良い意味のライバルでもあることが、力になっていると思うので、私も今回の舞台含め、もっともっと皆の良さを引き出して頑張りたいと思っています。時間はあっという間に経ってしまいますので、今を精一杯生きるということが今感じることです。

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──今の時間で皆さんの和気藹々とした雰囲気は伝わりますが、その中で高世さんの「ここが素敵!」というところをどなたかお願いします。
桐生 (全員から「桐生さんお願いします」と促されて)ええ、ではすみません、代表して桐生で。高世さんがトップになられて全体的に上品になりました(爆笑)。いえ、別に前が品がなかったという訳ではなく!(笑)、桜花さんには無限の宇宙のような雰囲気があったのですが、高世さんには月のイメージがあって。桜花さんが「ホット!(コーヒー)」であれば、高世さんが「お紅茶」でしょうか(笑)。そして、これはトップになられた3年間ではなく、もっと前から常に思っていることなのですが、いつも私たちが考えていることのもっと先を考えてお稽古してらっしゃいます。これはもう変わらず、私たちを引っ張っていってくださる原動力になっていると感じます。

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──1年ぶりの東京の公演となりますが、関西の公演との違いは何か感じられますか?
高世 やはりお客様の反応は場所によってすごく変わるというのは常に感じています。昨年、新橋演舞場の舞台に立たせて頂いた時、東京のお客様はたくさん様々の舞台や、レビューもご覧になられている方も多いと思いますが、その中でもOSKの舞台もとても堪能して頂けて、舞台と客席との空間や、頂く拍手から、お客様の熱量を感じました。大阪の公演では「私たちがOSKを育てています!」というくらいの、温かな拍手に包まれていて「お客様に楽しんで頂けるだろうか?」とお稽古に励んできたものが、幕が開いた時に「良かった!こんなに楽しんで頂けている!」という実感になるんです。それはやはり大阪の劇団であるということもあると思いますが、それとはまた別の熱量を新橋演舞場では感じさせて頂けていて「あぁ、大阪から来た劇団なのね」という空気ではなく、東京のお客様にも受け入れて頂き、楽しんで頂けているのを感じます。私は今年の2月に『鬼の城』という作品で東京に来させて頂きました。他のメンバーは皆、お芝居の公演も東京でさせて頂いているのですが、私自身はお芝居で東京に来させて頂くのは初めてで、OSKのお芝居の作品をどう受けとめて頂けるのかが、楽しみであるのと同時に、どこか心配でもあったのですが、とても楽しんで頂けて大阪の舞台とは違う反応があるのが、ライブならではでダイレクトに伝わりました。昨年の新橋演舞場の公演の千秋楽では皆さんがスタンディンクをしてくださって、私は思わず舞台から「また演舞場に帰ってきたいです!」と言葉にしてしまったほど、この舞台に帰りたい!と思っての今回なので、感激もひとしおですし、やはり今、そこを超えるように今回の舞台も務めたいです。あまりちゃんとした答えになっていないかも知れませんが、そうですねやはり「お珈琲」と「お紅茶」の違いでしようか?(爆笑)。

終始和やかな笑いに包まれた懇親会はこれで終了。公演への期待がますます高まる時間となっていた。

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〈公演情報〉
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OSK日本歌劇団『夏のおどり』
○第1部『桜鏡〜夢幻義経譚〜』
 作・演出・振付◇尾上菊之丞
第2部『Brilliant Wave〜100年への鼓動〜』
 作・演出◇中村一徳
出演◇高世麻央、桐生麻耶、楊琳、真麻里都、悠浦あやと ほか OSK日本歌劇団
●8/31〜9/3◎新橋演舞場
〈料金〉S席(1、2階席) 9,500円 A席3階席) 5,000円全席指定・税込 
〈お問い合わせ〉チケットホン松竹 0570-000-48910時〜18時 
〈公式ホームページ〉 http://www.osk-revue.com/


【取材・文・撮影/橘涼香】



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主役はザコたち! 舞台『北斗の拳−世紀末ザコ伝説−』製作発表レポート

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大ヒット漫画『北斗の拳』が来年35周年を迎える。その初めての舞台化が、9月6日〜10日、シアターGロッソにて上演される。
 『北斗の拳』は、199X年、世界は核の炎に包まれるというディストピアな世界で、武論尊の原作・原哲夫の作画で、80年代『週刊少年ジャンプ』(集英社)黄金期の一世を風靡。アニメ化もされ、主題歌であるクリスタルキングの名曲「愛をとりもどせ」は大ヒットとなった。
 
今回は、川尻恵太(SUGARBOY)の脚本と、村井雄の演出で、主役はなんと“ザコ”。主人公ケンシロウや彼の兄のトキ、さらに長兄のラオウなどの中心人物ではなく、ザコによる、ザコのための、ザコだけの舞台。そのためタイトルも『北斗の拳−世紀末ザコ伝説−』と銘打たれている。
出演者は、磯貝龍虎、河合龍之介、寿里、林野健志などに加えてスーパー日舞の花園直道、またガールズユニット「A応P」の水希蒼、声優の千葉繁も声で出演する。舞台のOPENING LIVEは「愛をとりもどせ」で、クリスタルキングwith A応Pが担当する。
 
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ムッシュ、林野、花園、寿里、河合、磯貝、水希

この舞台の製作発表会が7月上旬に行われ、キャストの磯貝龍虎、河合龍之介、寿里、林野健志、花園直道、水希蒼が登壇。そしてOPENING LIVEを担当するクリスタルキングのムッシュ吉崎が登壇した。
その後、大相撲5月場所で横綱の稀勢の里らが巻いた『北斗の拳』仕様の化粧回しを紹介。

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さらに、北斗4兄弟の3男ジャギがシークレットゲストとして登場、製作発表会を大いに盛り上げた。

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Akemi、ムッシュ、林野、花園、シークレツトゲスト、寿里、河合、磯貝、水希
 
【質疑応答】

磯貝龍虎、河合龍之介、寿里、花園直道、林野健志、木希蒼 (A 応 p)  、ビジュアルを担当するAkemi.S.ミラーが登場。

──この作品の出演が決まった時の心境を話してください。
水希
水希
 『北斗の拳』は母がとても好きで、姉がヒロインのユリアという名前にちなんでつけられるぐらい。小さい頃から、馴染みのある作品なので、キャストとして出演できること、「A応P」として出演できることが楽しみです。

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磯貝
 ドキドキして震えていましたね。原作は大好きで、本がふやけるほど読みました。ザコの死に様が好きで、ラオウにビンタされて頭が吹き飛ばされるのが好きですね。そんなザコをやるかもしれませんね(笑)。

河合
河合 『北斗の拳』(1983年)と同い年なんです。まさか、このタイミングでと驚きながら、記念すべき作品に出演させていただいて光栄です。

寿里
 寿里 お話をいただいた時は、正直、ザコの舞台って「何だろう?」と思いました(笑)。ただ、設定自体はとても面白くて、お芝居としてみなさんに届けられることを嬉しく思います。死に様に集中して、選ばれたザコとして、ザコ中のザコをやらせていただきます。

花園
花園
 普段は着物を着て紋付袴の和装でやっていますから、まさか、『北斗の拳』のオファーをいただけるなんて…。日本舞踊で古典舞踊からマイケル・ジャクソンまで踊りましたが、どういう風に絡むのか想像がつかないのですが、綺麗な歌舞伎の所作で死にたいと思います。

林野
林野 
最初にお話をいただいた時に、とうとうやるんだなと思いました。あの筋肉量と、世紀末感をどう表現するのかなと思った時に、ザコ役という話をいただいた。原作は主役のケンシロウが気持ちいいほどザコを倒してくれるのが楽しかったので、どんな舞台が展開されるか待ち遠しいですね。

ムッシュ
ムッシュ
 『北斗の拳』は83年に連載されましたが、私が歌い始めたのは、84年にテレビアニメされてから、ぶれずにずっと歌い続けました。そうして2017年にこの公演のOPENING LIVEのオファーがあって、よかったなと思っております。私の歌から舞台が始まるので、ザコ歌手になれたら光栄ですね。
──ザコになるためにどのような役作りをしていこうと思っていますか。
水希 女性のザコは想像がつかないし、「A応P」で歌っている時は男勝りの性格なので、そこを前面に出して挑もうと思っています。
磯貝 ザコは刃物を扱いますよね。まずは、でかいノコギリを使えるところから頑張っていこうと思います。そしていつでも死ねる準備を心がけていきたいですね。
河合 一番反響があったのが身内の役者たちからです。うらやましがられて、すでに入れ知恵をもらっているんです。自分たちの代表としてちゃんとやってくれよと言われているので、みんなの期待に恥じないザコを演じたいと思います。
寿里 まずは、公園に行って子供を追いかけ回すというザコさ加減を出します(笑)。ザコだから、現代社会に染まってもいいと思います。長いものに巻かれ、偉い人にはゴマをする、そんな役作りをしつつ、火炎放射器の免許を取らなくちゃいけないけど、どこで取ればいいのやら……後は筋肉ですね。ザコもあの筋肉を見れば相当な努力家だとわかりますから(笑)。
花園 僕は細い方なので、ステーキを週3回は食べておりまして、5キロぐらい太りたいと思っています。
林野 体がでかいので、人を投げたり、引きずり回すことをするかもしれないので、パワーのある体を作りたいと思います。そして、死ぬ時の声は高い声と低い声を使いこなせたらいいですね。漫画にはない裏のストーリーが展開されると思うし、どんな変化球が来るのかわからないので想像力を膨らませて稽古を心待ちしたいと思います。

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──OPENING LIVEで「A応P」さんと歌を披露されますね。
ムッシュ 楽しみですね。女性とのコラボは4組目です。いろんなバージョンがあるのですが、うら若き乙女たちと一緒にやれることにワクワクしています。来年は古希(70歳)ですから、孫と一緒にやっているような感じですね(笑)。
──ケンシロウやラオウといった主役級のキャラクターがいますが、どのキャラクターにどんな殺され方をしたいですか。
寿里 アミバ(ケンシロウの兄のトキに変装した悪役)に殺されることかな(笑)。
磯貝 ケンシロウの「北斗残骸拳」で残り5秒で死ぬと言われ、人生が走馬灯のように駆け巡る死に際を楽しみたいと思います。
花園 シン(ケンシロウのライバル)にケンシロウの胸にある北斗七星を意味する7つの傷をつけられたいですね。これだと主役のケンシロウになっちゃいますね(笑)。
──原作で好きなザコエピソードはありますか。
寿里 名台詞ですが、ケンシロウがとても大きな悪役のおばあさんに「そんな大きなババアがいるか」というようなことを突っ込むシーンが好きですね。
林野 ザコが死ぬ時の断末魔のイメージが強烈にあって、北斗神拳を受けて、死んでいく声が好きですね。
寿里 僕らが伝説の「あべし」「ひでぶ」と言ったら光栄ですね。恐れ多くて使えない。逆に「もずく」とかになっちゃうかも(笑)。

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──これまでのザコ役経験や、プライベートでのザコエピソードを。
水希 ザコ役の経験はないのですが、私が「A応P」のメンバーで一番ザコです。みんなからの扱いがひどいけれど、私は嬉しいです。
磯貝 見た目が大きくて、力持ちで優しい村一番の男前といった役が多いので、ザコの経験はほとんどないですね。ただ、私生活はお酒を飲んだらまっすぐ家に変えられないザコですね。
河合 ゾンビの役をやったことがあります。これまでにいろんな死に方をしていますね。けれどザコは新鮮ですね。
寿里 学生の時に、公衆電話で電話していたら、不良に絡まれそうになって、やっつけられる前にノールックで財布を出しました(笑)。争い事が嫌いだし、身長が大きくなってから絡まれないんですけどね。
花園 スカルの面をつけて呪って最後はやっつけられるという舞踊劇はやっていますが、ザコは初めてですね。昔、公園で友達とコーラを飲んでいたら鳩がいっぱい集まってきて、野球の優勝パレードみたいに鳩にいっぱい吹きかけていましたね。
寿里 ザコですね。
花園 反省しています。
林野 『サイケデリック・ペイン』という舞台で、クラッシュという役を演じた時は、モヒカンにして、左手がかぎつめで、刀を持っていたんです。ザコかどうかはわかりませんが、見た目はいかついのに、おバカな役所を演じました。舞台上を変なセリフを言いながら走り回るのが楽しかったです。
ムッシュ テレビに出ている時はほぼザコです。低い声で人相の悪いサングラスをかけた歌手なんてザコっぽいじゃないですか。元祖ザコです(笑)。
──Akemiさんは、マイケル・ジャクソンさんやスーパーモデルjasmineさんのビジュアルを手がけ、ニューヨークで活躍もされています。ぜひこの舞台に参加したいということでしたね。
 
アケミ
Akemi
 ニューヨークでの25年間はまさに戦いでした。今回は、ザコの世界を表現させていただきますが、ニューヨークにはたくさんのザコがるつぼのように集まっているから、今回のお話はとても嬉しいですね。
──世紀末を舞台にしていますが、どのように美しさを表現しようと思いますか。
Akemi 美というのは魂の問題だと思うんです。1989年にニューヨークにわたりまして、ニューヨークコレクションから、マイケル・ジャクソンやドミンゴさんと、色々お仕事をしてきました。共通点は魂です。なので、みなさんの個性がザコに現れるように一緒になって考えていきたいと思います。ニューヨークではブロードウェイやリンカーンセンターでもビジュアルを担当したことがありますが、この舞台をブロードウェイに届かせたいですね。
──確かに日本にしかなさそうな設定の舞台ですね。
Akemi すごくショッキングですが現代的でもありますね。それを日本人が表現して、アメリカに持っていくのが楽しみです。

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──最後に意気込みを。
水希 とても緊張していますが、作品をきちんと伝えられるようなザコを演じます。
磯貝 最高のザコと言われるように頑張ります。
寿里 作品が楽しくなるのは間違いないですが、中身も素敵なものになるように頑張りたいと思います。
河合 役者みんなでがんばってザコを演じたいと思います。
花園 本番が終わるまで『北斗の拳』一色に染まって見事なザコになれるように頑張ります。
林野 ジャギ様の衣装がかっこいいので、僕らはどうなるのか楽しみですね。世界観も楽しみにしてください。女性もザコの生き様を観ていただけるし、子供さんも観ていただけると思いますよ。
ムッシュ 8公演、精一杯歌わせていただきます。
Akemi 本当にいい機会をいただき、日本から海外にスタートする舞台です。頑張りたいと思います。

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〈公演情報〉
舞台『北斗の拳−世紀末ザコ伝説−』
原作◇武論尊
脚本◇川尻恵太
演出◇村井雄
出演◇磯貝龍虎、河合龍之介、寿里、花園直道、林野健志、水希蒼(A 応 p ) ほか   (五十音順)
●9/6〜10◎シアターGロッソ
〈料金〉ザコシート6,999円 世紀末シート(前方エリア・特典付)9,999円 リングサイドシート(ステージエリア一部客席・特典3点付)19,999円(全席指定・税込)

(C)武論尊・原哲夫/NSP 1983, c北斗の拳−世紀末ザコ伝説−製作委員会2017 版権許諾証GP-907
 
 

【取材・文・撮影/竹下力】




えんぶ6号、7/10発売!






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