稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

『ストリップ学園』

記者発表ルポ

さらなる進化を遂げて演舞場に凱旋公演! スーパー歌舞伎供悒錺鵐圈璽后拈什酥表レポート

CIMG7909

新橋演舞場で2年前に初演、その後、大阪、博多を経て、よりバージョンアップした『ワンピース』が、本年10月〜11月に待望の東京凱旋公演を行う!
 
2015年10〜11月に新橋演舞場で初演された『ワンピース』は、国民的人気漫画『ONE PIECE』の世界観を、市川猿之助が伯父の市川猿翁の「スーパー歌舞伎」の流れを汲んで、「スーパー歌舞伎ll(セカンド)」として立ち上げた舞台。人気デュオ・ゆずの北川悠仁が書き下ろしたテーマ曲「TETOTE」も得て、大きな話題となり、舞台と劇場が一体となる盛り上がりを見せた。また文化庁芸術祭優秀賞、大谷竹次郎賞、AMD Award優秀賞にも輝くなど、高い評価を得ている。その人気演目が、大阪松竹座と博多座での公演を経て、いっそうの進化を遂げ、新橋演舞場で再演されることが決まった(10/6〜11/25まで)。

脚本・演出は、スーパー歌舞伎でも数々の脚本を手がけた劇団扉座主宰の横内謙介。猿之助は演出と出演を兼ね、また猿翁もスーパーバイザーとして名を連ねている。
原作でいう〈頂上戦争編〉に当たる物語だが、注目のキャストは、初演からのメンバー、大阪・博多公演で加わったメンバーが再び集結している。
主人公ルフィと女海賊ボア・ハンコックに猿之助。白ひげには、初演当時は市川右近だった市川右團次。麦わらの一味ゾロをはじめ、ボン・クレー、スクアードには原作の大ファンという坂東巳之助。麦わらの一味サンジ、イナズマに中村隼人。サディちゃん、マルコに尾上右近。麦わらの一味ナミ、サンダーソニアに坂東新悟。アバロ・ピサロに市川寿猿。麦わらの一味チョッパー(Wキャスト)に右團次の息子である市川右近が初参加。はっちゃん、戦桃丸に市川弘太郎。ベラドンナに坂東竹三郎。ニョン婆に市川笑三郎。ジンベエ、黒ひげに市川猿弥。麦わらの一味ニコ・ロビン、マリーゴールドに市川笑也。マゼランに市川男女蔵。つるに市川門之助。また歌舞伎俳優以外ではエースを演じる平岳大が初役のシャンクスにも挑む。そして麦わらの一味ブルック、赤犬に嘉島典俊。イワンコフ、センゴクに浅野和之。いずれも自身の演じるキャラクターに負けない個性豊かな面々だ。

また今回は、若手を抜擢した新企画として特別マチネ「麦わらの挑戦」も上演される。通常公演とは役が変わり、猿之助はシャンクスの1役で、尾上右近がルフィとハンコックを、新悟がサディちゃん、隼人がマルコを演じる。

CIMG7875
横内謙介、市川猿之助
 
この製作発表記者会見が、7月25日に都内で行われた。会見には市川猿之助、横内謙介、安孫子正松竹株式会社取締役副社長が出席。それぞれから挨拶の後、質疑応答に移った。

【挨拶】

CIMG7819

横内
 2年前の記者発表の時は、これはおそらく歌舞伎界と漫画界を敵に回してしまう恐ろしい試みで、この船に乗ってしまった私は何なんだろうと、ウソップのような気持ちでいました。当時、台本の第1稿は出来ていましたが猿之助さんはお忙しく、深く打ち合わせもできず、さらに原作を読んでいないという発言までなさり「そんなこと言っちゃダメだ〜」というウソップの台詞が出てくるぐらいハラハラしました(笑)。我々の、特に私の『ワンピース』の理解不足で、ジャンプ編集部と何度かやり取りがありましたが、国内だけどちょっとした異文化交流だったと思います。
紆余曲折があって千秋楽を迎え、とても嬉しかったのは、歌舞伎界のお客様にも漫画界のお客様にも大きなところで受け入れてくださり、「想像の斜め上を行く」という、力になる言葉をいただきました。思った以上に歌舞伎と『ワンピース』の相性がいいと褒めていただきましたが、そもそも『ワンピース』の世界がどこかで日本の文化の源流みたいなものを分かち合って、ここで再会しただけなのかもしれないと思います。正直(幕を)開ける時に精一杯で、大阪まで時間があったので、そこでの練り直しがかなり大きくて、別なものというくらいの進化をしました。我々の『ワンピース』への理解も深まり、やるべきことはこれだったと、やりながら気づいたこともありました。
僕でいうと、たった一言台詞があるような小さな役にまでファンがいて、想いがあると肌で感じました。もう一回原作に立ち返り、役を考えると、並びの俳優さんたちが名前をもらって、原作があるというところで、もう一つ輝きを増して臨んでくれて、そこがもう一つ上に上がった瞬間なのかなと思いました。なので、これを大阪と博多の最中に「これをもう一回最初に観て下さった方に見せないといけないね」と。まだ進化させますが、この機会をいただけて嬉しいと思います。また少しでも多くの方に観ていただきたいです。

CIMG7835

猿之助
 歌舞伎は名作と現在謳われているものも、初演からその形があったわけではない。何回も繰り返し上演されて、あらゆる俳優の工夫を経て、究極形が出てきた。やっぱり再演を重ねることは、素晴らしい作品を生み出すには必要だと思います。伯父の(市川)猿翁から常々言われることは、新作は一回作るのはわりと簡単にできるが再演を重ねるような新作を作るのは実は難しいと。私は常にものを作るに当たり、興味本位、一回限りの話題という作品作りは避けて、なるべく後世に残るものをと作ってきました。『ワンピース』が再演になったことが、すべての答えだと思います。
このあいだ尾田先生とお話したとき、「君は何をやってもルフィにしか見えないから大丈夫だ」と言葉をいただきました。最初はディテールにこだわります。歌舞伎でも先輩に習った時は細部にこだわります。でもそれだけではだめで、次の発展段階は自由にやること。役の心さえちゃんと掴んでいれば何をやったっていいという、究極の教え。再演にあたり、みんな役が自分のものになっていると思うので、その心をしっかり掴んだ上に自由に羽ばたいてみたいと思います。
演出も、九州でも大阪でもやったことがないことを東京バージョンでお見せしようと。また今回、若手を抜擢することを認めていただいて、とても喜んでおります。歌舞伎は若手を、役者を育てることも非常に大事で、それに力を入れていることがわかっていただけると思います。主役が違うことで世界観も違ってきますので、両方を楽しんでいただきたい。

【質疑応答】

──歌舞伎の源流というお話でしたが、演出でそのあたりを感じられたことは。
横内 2.5次元シアターがいま流行っていて、基本は顔のいい青年たちがコスプレをして、漫画的な美しさで表現するんですが、歌舞伎の役者さんたちの力というのは、原作をコピーするのでなく一回解体して別のものにして提示する。猿之助さんがルフィそのものと言ったって、近くで見るとそうそう少年でもない(笑)。ところが芝居になると、少年だったり超能力者だったりを自分の中で再構築されて、形だけコスプレするのでなく芝居することでやる力がある。この一座の腕ききの方はもちろんですが、若手の人たちも名前をあげてキャラクターを示された瞬間に並びの手下1、2ではなくなる。歌舞伎は形と言いますが、気持ちが出てくる装置がうまく作動した時にこの人たちは輝くんだなという体験をしました。
マルコという役があって、初演ではわき役でした。ところが再演で尾上右近を入れるというので、見せ場を作れという話になり(笑)、書き換えるのかということになるんですが、この役も不思議で。中村勘九郎さんが最初の声をやってくれているのですが、稽古場で雑談する機会があり、誰が好きなのか聞いたらマルコだと。あいついいんだよね、と。気になって読み直すと確かにかっこいいのかもしれないと、右近さんの役はマルコにしようと。もともとコスプレっぽく役も作っていましたが、役が尾上右近という俳優を得て、役者が命を吹き込んでくれた瞬間に、漫画の人物がその場にいるという感覚。漫画にすり寄るのでなく、俳優たちがかみ砕いて具現化していく姿の力強さを感じました。他の2.5次元をディスるわけではないですが、俳優たちへのメッセージとしても、この人たちがやってる仕事は凄いことではないかと思います。

CIMG7851

──ともに浅草歌舞伎でやってきた仲間のお二人(勘九郎と七之助)は、お父様のなさったことを引き継いで、猿之助さんは猿翁さんの立ち上げたスーパー歌舞伎を引き継いでセカンドとしてなさっていて、ともに活躍の場を別にもって歌舞伎界を動かしていることについてはどう思いますか。
猿之助 初演の時は、中村屋兄弟が「ワンピースに出たい!どうしても出たい!何の役でもいいから!」…まぁ、勘九郎さんはマルコという指定がありましたが(笑)。お互いそうそう自由の利く身でもないですが、何らかの形で関わってもらいたい、幕開きのナレーションでもぜひやっていただきたいんだけどと言ったら、本当に喜んで関わってくれた。そういうのは、変な話、たとえば僕も勉強してきたし、一緒に勉強してきたし、勉強があるからこそああいう形でも皆さんが喜んでくれる。これがあんまり歌舞伎界に一生懸命にならず、うだつの上がらない人だったら、そういう人にナレーションをやってもらってもエッ?となるけど、勘九郎、七之助と名前が出た時にワッと言ってくださるのは、やっぱり、苦しい思いをしてちゃんと勉強してきたからこそ。本当に感慨深いものがあります。そして彼らに限らず、平さんだって浅野さんだって、右團次さんも名前は変えたって白ひげは絶対出ますよという心意気が嬉しいなと。僕は一人でなくみんなで作っていると思ってます。そういうと、みんなが「そういうところがルフィだ」って言うんだけど、僕は気にしたことがないんだけど。今回も独り占めしないで、いい役はみんなに振ろうと、なるべくいろんな機会を与えています。
──「麦わらの挑戦」で抜擢された若手に期待することは。
猿之助 今回、巳之助君、隼人君、右近君、新悟君が入ってくれましたが、右近君は右近君で僕と主役で比べられる。彼のほうがルフィに年齢は若いけど、若けりゃ歌舞伎の役の上で若いかというとそうじゃない。年を重ねれば重ねるほど若いという歌舞伎術、演技を彼が学んでくれるか。そして主役が若手になったことで、それを支える隼人君、巳之助君、新悟君は100パーセント以上の実力を出さないと面白くない。先輩とばっかりやると勉強にならない。カバー力が必要なので、主役が変わったことで難しいと思います。そのことで彼らが何かを掴んでくれればいいと、僕は泣く泣くワンキャストにしました(笑)。

CIMG7894
 
──原作はお読みになられましたか。
猿之助 それは僕のルフィを見れば、誰しも100パーセントわかることだと思います。
──2年前の会見で、ルフィの手を伸ばしたくないと伺って、その後、手を伸ばすという演出についてはどうですか。
猿之助 実写化される時に話題になるのはそういうところですね。僕らが心配したのが、『ワンピース』を知らない方々が入ってこれるのかということで、最初はたとえば「能力が上がる実」をいちいち説明したりしていましたが、上演を重ねていくとそういうところが全部要らないなと。いきなり手が伸びても不思議に思わない。それが世界観に溶け込んでいるので、すんなり入ってきて、余計な説明がどんどん要らなくなるんです。もちろん手を伸ばすことで喜んでくれますが、それが非常に重要な部分を占めているわけではない。尾田先生が書かれている人間の変わらないもの、ドラマのほうが感動するので、能力の面は彩りでしかない。それはお客様の反応、特に『ワンピース』好きの人の反応からも思わせていただいたので、今回は説明に使ってきた時間をドラマに込められるので、より普遍的なものをお見せできるかなと思います。
──演出のプランが、おぼろげでもあれば教えてください。
猿之助 この作品はもともと行き詰った時に、ゆずの北川悠仁さんに相談して、やろうと決めた時に主題歌を提供してくれて。今回の舞台の発想は、全部彼らのステージからヒントをもらっています。幸か不幸か、5月に20周年のライブを見てしまって、やっぱり刺激を受けると新たなことをやってみたくなるので、そこで使われた演出を取り入れてみたいなと。ライブ会場と演舞場という違いはありますが、無理にお願いして何とか組み込めるかなと。最新技術を使ったことをやってみたい。多分、映像を使った演出にはなると思います。あとは上演時間をなるべく短いほうがいいので、終わってもお客様が銀座の街を楽しんで帰れるような上演時間にしたいので、濃密にしたいと思います。

CIMG7903

【囲みインタビュー】
 
CIMG7921

──初演の時から、これはもう絶対再演という気持ちは。
猿之助 再演はあるだろうなとは思ってました、なんとなく。
──それは初演の公演中の手応えで?
猿之助 観られなかったというお声が多かったので。その後、大阪と九州でやりますよと言いましたが「そこまでは観に行けないので、東京でもう一回」という方がね。
──ご自身の意気込みも初演の時とは変わると思いますが。
猿之助 一回目を観た方もいらしてくれるので、その期待をいい意味で裏切るというのと、初めて観る方にも感動していただけるような作品をみんなで作っていきたいなと考えています。
──尾田先生がルフィにしか見えないと言った役を、他の方にも譲ることに関しては。
猿之助 やっぱり、自分が一番いい状態の時に次の担い手に渡すというのは、歌舞伎が長く続くための使命だと思うので。僕がシャンクスに回った時、若手の彼らがどうなるかお手並み拝見というところでしょうね。
──ハリウッドでもドラマ化がありますが、実写化の先駆者としてはどうですか?
猿之助 自分のほうがいいという自信はもってますから。歌舞伎のほうが、日本のアニメの、尾田先生の世界観により合ってるんじゃないかと自負はしてますが、どんなものができるか楽しみでもありますね(笑)。
──漫画も読まれたそうですが、ルフィ以外でこの役が好きというのは。
猿之助 今はもうルフィしか考えられませんね。それだけやらせていただきたくて、やっぱり愛着がありますのでね。僕が死ぬ時、当り役にたとえば「義経千本桜・佐藤忠信、ルフィ」とかね、いいじゃないですか(笑)。僕は一生の宝物だと思ってます。
──改めて公演に向けて。
猿之助 今回再演になりますが、バージョンアップでなく、また新しい『ワンピース』ということで作っております。一度観た方は「本当にこれが同じ作品なの?」という驚きをもって、また、初めての方は『ワンピース』がこんな世界だったのかということもありますので。初日に向かって、また新たな進化に関する情報が飛び出すかも楽しみにしていただきたいと思います。

〈公演情報〉
shinbashi_201710f_6324ae888378bb23f8c0c67b85149df6

スーパー歌舞伎供悒錺鵐圈璽后
原作◇尾田栄一郎(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)
脚本・演出◇横内謙介
演出・出演◇市川猿之助
スーパーバイザー◇市川猿翁
出演◇市川猿之助 市川右團次 坂東巳之助 中村隼人 尾上右近 坂東新悟 市川寿猿 市川右近 市川弘太郎 坂東竹三郎 市川笑三郎 市川猿弥 市川笑也 市川男女蔵 市川門之助 平岳大 嘉島典俊 浅野和之ほか
●10/6〜11/25◎新橋演舞場
〈料金〉通常公演/1等席16,500円 2等A席9,500円 2等B席5,000円 3階A席5,000円 3階B席3,000円 桟敷席17,500(全席指定・税込)
特別マチネ「麦わらの挑戦」/1等席14,500円 2等A席8,500円 2等B席4,500円 3階A席4,500円 3階B席2,500円 桟敷席15,500円(税込)
〈お問い合わせ〉
チケットホン松竹 0570-000-489または03-6745-0888
〈公式HP〉http://www.onepiece-kabuki.com 
 



【取材・文・撮影/内河 文】






『向日葵のかっちゃん』お得なチケット販売中!






kick 

shop 

nikkan 

engeki 

創立95周年を祝して華やかに!OSK日本歌劇団・新橋演舞場公演『夏のおどり』記者懇親会レポート

IMG_9420

今年創立95周年を迎えたOSK日本歌劇団が、劇団員38名を擁して華やかに繰り広げる豪華レビュー2本立て公演『夏のおどり』が、新橋演舞場で上演される(8月31日〜9月3日まで)。

関西を拠点に活躍するOSK日本歌劇団は、近年東京での公演にも大きな力を注いでいて、新橋演舞場での公演も今回で3回目となる。栄えある創立95周年を記念して創られた『夏のおどり』は大阪松竹座で『春のおどり』として上演された和洋2本立てのレビュー作品を、一部手直しし、新橋演舞場の舞台機構を駆使して繰り広げられる公演。
第1部は尾上菊之丞作・演出・振付による『桜鏡〜夢幻義経譚』。日本人に愛され続ける歴史上の人物であり、ヒーローである源義経の生涯を華やかに、かつスピーディに描いた和物レビュー。第2部は中村一徳作・演出の『Brilliant Wave〜100年への鼓動〜』。波をテーマに、創立100周年への栄光の道を歩みはじめたOSK日本歌劇団が、その伝統を受け継ぐ高度なダンス力を中心にした洋物レビューとなっている。

IMG_9409
悠浦あやと、真麻里都、桐生麻耶、高世麻央、楊琳

そんな、これぞOSK!という豪華レビューの上演を前に、6月24日都内で記者懇親会が行われ、松竹株式会社取締役副社長安孫子正、OSK日本歌劇団トップスター高世麻央、男役スター桐生麻耶、楊琳、真麻里都、悠浦あやとが出席。公演への抱負を語った。

【出席者挨拶】
 
IMG_9239
安孫子 松竹の安孫子でございます。今日は本当にお暑い中お集まり頂きましてありがとうございます。OSKの公演を8月31日〜9月3日まで新橋演舞場で今年も上演させて頂くことができます。本当にこれはとても素晴らしいことで、松竹としても東京でOSKの公演ができますことを光栄だと思っております。95年の歴史を持つOSKですが、当初大阪松竹の創業者の1人である白井松次郎の手によってOSKが生まれました。そして長い歴史を誇る訳ですが、大変残念なことに一時松竹の手を離れて活動されておりましたけれども、平成に入りましてOSKが解散という状況、難しい時期を迎えました。その時に再度松竹で色々とさせて頂きまして、平成16年に大阪のOSK発祥の地であります松竹座で、OSKのレビュー公演をすることができました。それが今日まで伝わっております。その間本当に努力を重ねられて、特に解散から再び松竹とのご縁がある間、今はトップの高世さん、また、桐生さんはじめ皆さんが努力して、当時20名の団員が大変な努力をしながら存続に駆けずり回って、そして今日の礎を作ってくださいました。今、伺いましたら、楊さん、真麻さん、悠浦さんはその後の入団ということで、当時のOSKの先輩の苦しさというものを実際には体験していないのですけれども、でも今日のOSKの歴史を語る時、その時を克服してきた辛さと喜びが、今のOSKの皆さんの心の支えになっていることと思います。
今回の公演ですが、東京での新橋演舞場の公演は3回目になります。松竹座で『春のおどり』として上演せて頂いた公演を、一部手直しをさせて頂いて『夏のおどり』ということで上演させて頂きます。私も観させて頂きましたが、本当に素晴らしいレビュー作品で、レビューは色々な方たちが取り組んでおられますけれども、私は掛け値なしにOSKが日本一のレビューの劇団だと思っております。
今日おいで頂いた方々にも演舞場の公演を観て頂ければ、そう納得して頂けると思いますけれども、1部では日本物のレビュー、2部では洋物のレビューがございまして、OSKという素晴らしい技術を持った集団が力を発揮しております。この公演を皆様に観て頂くことによって、是非レビューの楽しさというものを大勢の人たちに伝えていきたいと思っております。その為にも是非皆様方のお力を頂きまして、1人でも多くの方がOSKの素晴らしいレビューを観に来てくださいますように、お力添えを頂きたいと思います。そして何よりもここに来て頂いている方々にまずOSKのファンになって頂いて、2度3度と観て頂けると、更にレビューの魅力がわかってくるというのが、私の実感でございますので、是非どうぞよろしくお願いいたします。今日は本当にありがとうございました。

IMG_9254
高世
 皆様こんにちは。OSK日本歌劇団の高世麻央でございます。本日はお忙しい中お時間頂戴しましてありがとうございます。本日は申し訳ありません、少々声変わりをしておりましてお聞き苦しい点はあるかと思いますが、想いはたくさんですので、私たちの舞台に賭ける想いを少しでもお伝えできたらと思っております。よろしくお願い致します。
おかげ様にてOSK日本歌劇団は今年創立95周年を迎えさせて頂きました。先日の大阪松竹座での『春のおどり』の公演、大阪松竹座で大正11年に生まれた劇団が、今こうして95周年を迎えられた時に、また大阪松竹座の舞台で公演させて頂いていること、昭和5年から歌い継がれております「桜咲く国」というテーマソングを、今も歌わせて頂けていることを奇跡のように思っております。今回もまた昨年に引き続き、歴史ある新橋演舞場という素晴らしい劇場で、私たちOSKの公演をさせて頂けること、松竹様のお力をお借りして、東京のお客様にOSKを観て頂けると思いますと、今、すごくワクワクしております。今回は安孫子様の方からお話がありましたように、1部は『桜鏡〜夢幻義経譚』2部は『Brilliant Wave〜100年への鼓動〜』ということで、1部2部共に、素晴らしいOSKらしい作品を創って頂きました。95周年に、100年に向かって歩んでいくOSKの躍動的な作品となっております。本当に色々な魅力が詰まっておりますので皆様のお力をお借りして1人でも多くの方に観て頂けたらと思っております。今日は皆様よろしくお願い申し上げます。

IMG_9268
桐生
 おはようございます。桐生麻耶です。本日はありがとうございます。昨年新橋演舞場の舞台に立ったことが遂この間のような感じが致しまして、1年というのは本当に早いなという風に思っております。今回は38人で新橋演舞場の舞台に立たせて頂くのですが、松竹座で公演をした後、実際に本番を経験したからこそ見える課題というものがございまして、その課題にもう1度トライできるということは、私たち舞台人にとりましてはとても最高なことなんです。これからお稽古に入っていくわけですけれども、その課題をよりクリアにして、もっと良い舞台を東京に観に来てくださるお客様にお伝えできたらなと思っております。また、先ほども、高世さんと私は存続の会の頃からというお話がありましたが、大袈裟に聞こえるかも知れませんが、1度しかない人生というのを、今私たちはOSKに賭けているのであろうな、ということを最近よく思うようになりました。もちろん人が生きているということは、幼くても年配になっても何時でも素敵なことだと思いますが、その中でも世間で言う一番良い時期をOSKの団員として過ごさせてもらって、尚かつこんなに素敵な舞台に自分たちの表現ができる幸せを噛みしめている日々なので、今回の演舞場の公演もしっかりと悔いのないように務めたいと思いますので、是非皆さん何度でも観に来て頂けたら嬉しいです。今日はありがとうございます。

IMG_9283
 楊琳でございます。今日はよろしくお願い致します。私はただシンプルに本当にたくさんの方に観に来て頂きたいと思います!ですので最大限皆様のお力をお借りして、ご助力頂けたら嬉しいです。どうぞ本日はよろしくお願い致します。

IMG_9308
真麻
 真麻里都でございます。よろしくお願いします。楊も申しました通り、まだ東京の方の中でOSKを観たことがないという方がたくさんいらっしゃると思います。東京ばかりでなく、北海道から沖縄までたくさんの方にOSKの名前を知って頂きたいと思いますので、その為にも私たちは頑張りたいと思います。8月31日から9月3日まで、新橋演舞場で私たちOSK爛漫の桜を咲かせますので、どうぞ皆様よろしくお願い致します。

IMG_9317
悠浦
 悠浦あやとです。本日はありがとうございます。この劇団創立95周年という節目の年に、私がこうして劇団員として携わることができるというのは本当にすごいことだなと思っています。95年前ってどういう時代だったんだろう、どういう風に劇団ができていったんだろう、という風に今改めて95年前を考える時がありまして、今更なのですが、95年前の日本を勉強させて頂いたら、女性がレオタードを着てバレエを踊るという自体が斬新なことで、とても貴重な団体だったんだなと思いました。もちろん女性がスポットライトを浴びる自体が厳しい時代だったのかと思いますが、そのような中で先輩方が強い意志を持って劇団をつないでこられたのだと、わからないことも多くありつつも、感じるものがありました。今は映像などで世界中の舞台を観られる時代になっている中で、もしかしたら私たちの舞台はアナログなものかも知れませんが、こうしてお客様が毎日劇場に足を運んでくださって、スタッフさんと共にその日、その時、人間同士が力を合わせて作るという、ある意味今の時代にとって貴重な存在なのではと、今、私は思っています。そうしたアナログではあるけれども、皆様がリアルタイムで同じ劇場空間の中で観よう!と思ってくださる舞台を、私たちも十分楽しんでたくさん表現したいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。

IMG_9357

【質疑応答】

──皆さんそれぞれ和ものレビュー『桜鏡〜夢幻義経譚』で演じられる役柄と、演じる上で大切にしている点、また、洋ものレビュー『Brilliant Wave〜100年への鼓動〜』で、特にここが見どころ!というポイントを教えてください。
高世 私は第1部では源義経を演じさせて頂きます。弁慶と出会う五条橋のシーンもあり、そこでは牛若丸の時代も演じさせて頂きます。牛若丸から成長した義経までということで、どんどん時が経って、歴史上の出来事を1時間のレビューに収めるので、本当に早い展開なのですが、皆さんがよくご存じの歴史上の人物ですので、そのイメージを壊さずに、かつ私なりの牛若丸であり義経であるというもの追及させて頂きたいと思っています。今回は壇ノ浦の場面もございまして、先日は大阪松竹座、今回は新橋演舞場の舞台機構をふんだんに使った演出で、もちろん危険も伴いますので、非常に集中した中でやらせて頂いておりますが、やはり合戦ということで歌舞伎と同じ拵えで甲冑をつけさせて頂いたりしながらも、OSKらしい歌や踊りを踊らせて頂きます。その中で、回り舞台、花道、スッポン、と舞台が動くだけでなく、全ての登場人物が動いていく、自分たちでやらせて頂いてもワクワクするような演出を頂いています。特に義経の生きざまが、ヒーローなんですけれども、どこか自分とリンクするような部分がございまして、フィナーレナンバーや、様々な人との出会いと別れを感じる場面では、毎回涙が出てきてしまって、歌うことがてきないのではないか?と思うほど感極まる瞬間もございますので、それをまた新橋演舞場の舞台で皆様にお伝えできるという楽しみもありますし、皆様にも私の演じる義経をお楽しみ頂けたらと思っております。

IMG_9338

2部の見どころは、選べません! それくらい幕開きから最後まで素晴らしい場面ばかりで、作・演出の中村一徳先生が「95周年を迎えたということは100周年への道が始まっているということなんじゃないか」と言ってくださいまして、テーマが「波」なのですが、小さな波、大きな波、激しい波、穏やかな波、初めてお聞きした時にはどんなレビューになるんだろう、と思いましたが、ダンスに定評のあるOSKですので、ダンス、ダンス、ダンス、ラインダンスだけでなくて、OSKのダンス力をふんだんにご覧頂ける作品に仕上がっております。もちろん自分自身にはこの場面を観て欲しいというところはあるのですが、私だけでなく38名全員の群舞力ですとか、今までの色々な経験があっての今のOSKのパワーみたいなものを観て頂きたいと思います。本当に言葉がつたなくて申し訳ないのですが、どの場面も切っても、切ってもと、金太郎飴のように(笑)楽しんで頂きたいですし、OSKをご存知ない方も本当にOSKを好きになって頂ける要素がたくさん詰まっています。中詰めにございます「100年への輝く波」というところは、もう皆でドレッシーな、男役も変形燕尾で踊らせて頂くのですが、変形燕尾で踊るような振りではないくらい、全員が舞台をところ狭しと駆け回らせて頂きますし、踊りだけではなく、私が歌わせて頂いている「ひとつひとつの歴史が紡いできた、またそれを伝えていこう」という「紡ごう」という歌詞がすごく素敵で、そういう歌詞なども含めてすべてのものをご堪能頂きたいと思っております。

IMG_9398

桐生
 私は1部の方では弁慶役をさせて頂きます。義経との絆が自分の中では、高世さんは私の1期上の方なんだすけれども、そういう部分と重なっていくところがあっても良いのではないかな、と思いながら演じております。「弁慶を演じられるのは桐生さんしかいない」と皆さんに言ってもらいまして、それは、なんというか(両側のメンバーを見て)、正直嬉しいというのか…いえ、嬉しいです(爆笑)。頑張りたいと思います。洋舞の方は、本当にユニゾンが多く、その中でもOSKレビューの特徴ではないかと思うリフトがありまして、今回はラテンの場面で7組ぐらいが、肩の上に女役さんを乗せるんです。これは女性と女性なのに、なんということをさせるのか!(笑)という振りがあるのですが、おそらく振付の先生が信頼してくださっているからそういう振りがつくのではないかと思いますし、それを観てお客様が楽しんで頂けて「さすがOSKだな」と思って頂けるので、ついた振りだと思っておりますので、そこのメンバーたちは失敗しないようにと、毎回やっております。他にもリフトの場面がたくさんありますので、私はそういうところを観て頂けたらなと思っております。

IMG_9353

 私は第1部では那須与一を演じます。この場面は「平家物語」の中でもとても有名な扇の場面なので、扇を射貫けなかったら死ぬという緊張感と覚悟を、全身で表現できたらなと思います。また日舞のフィナーレで高世さんが花道から出ていらっしゃるのですが、その時に履かれているキラキラの足袋(全員笑)、滅多にないそうです、キラキラの足袋って!それを作・演出の尾上菊之丞先生が「これだけはこだわりたい!」とずっとおっしゃっていて、舞台稽古には間に合わず、本当に初日ギリギリに間に合った特注の足袋なので、そういう細かいところも観て頂きたいと思います(高世爆笑)。見るとすごいなと思ったので、私もすごく見てたので!
高世 足袋だけ?(笑)
 いえ、全身をくまなく! 是非そこも目玉にして頂きたいと思います(笑)。洋物のレビューはどこが目玉というか、全部が目玉だと思います。例えはおかしいですが、夏は気温が暑いものですが「なぜ演舞場だけこんなに気温が高いのか?!」と気象庁が言うくらい(笑)身体中からパワーを出してヒートアップして行きたいと思います。気象庁公認でどうぞよろしくお願いします!(会場爆笑)

IMG_9354

真麻
 (笑いの中で楊を見ながら)この後に話すのって…(笑)。ええ、1部は平教経をさせて頂きます。とても衣装が煌びやかで、大きなお衣装を着させて頂いていて、平家方は4人しかいず、内3人は公達なので、私1人で戦場に出るという(笑)、でも平家を背負って甲冑も着させて頂いております。先生から言って頂いた言葉に「平家側なので、動きに気品が出るようにして欲しい」というのがありまして、私、戦場で気品のある動きってしたことがないので、今まで勇ましい武者という役が多かったこともあって、どうしたらいいんだろうと、すごく悩みましたので、まず姿勢にすごく気をつけている毎日です。最後に飛び込みもさせて頂いていて、両腕に源氏方を抱えて飛び込むので、千秋楽まで怪我なくやりきりたいと思っております。そして2部の見どころは、皆が言うようにどこもすべてなのですが、私は敢えて言うならフィナーレの黒燕尾。白のシャツの正式な黒燕尾を着たのも久しぶりだなと思いましたし、しかも階段に男役がズラッと並んでというのは本当に久しぶりのことなので、そこをすごくゾクゾクしながらやりたいですし、それを感じて頂けたらなと思っております。
 
IMG_9370

悠浦
 私は佐藤継信という役をさせて頂きます。見るからに侍!という感じで、高世さんの危機一髪のところを私が身を挺して、左目を挺して命を助けるという役柄です。まず外国人の方などにも「サムライ!」と言って頂けるような、カッコいい死に様を観て頂けたらなと思っております。第2部は桐生さんもおっしゃっていましたが、リフトがふんだんに組み込まれてまして、これはやはり男役と女役というものがあるからこそできるものだと思っております。ご覧になったお客様から「女性同士なのにどうやって持ち上げているの?」「どうやって回しているの?」と言って頂くことも多いのですが、それは企業秘密ということで(爆笑)。でもそれは先輩方に教えて頂いて、女性同士でも大技をするというのは、私たちが受け継いでいるものなので、それも見どころだなと思っています。

IMG_9373
 
──高世さんがトップになって9月で3年になると思いますが、この3年間でのOSKの成長をどうご覧になっていますか?
高世 9月で前トップの桜花昇ぼるさんからトップを引き継がせて頂いて3年になりますが、3年って本当に早いなと言うのが実感でございます。トップに就かせて頂いてから、90年を超えるOSKのトップという責任をどう果たせるのかを精一杯考えていて、肩にも力が入っていたと思います。その中からどうやったらOSKの、全員の魅力を皆様にもっともっとお届けできるか、もちろん演出家の先生、振付家の先生等々のご指導があり、私たち1人1人の魅力を引き出してもくださいますが、それでもやはり舞台に立ちましたら、その舞台をどうやったらより良くしていけるか、というのは自分たちで作り上げなければなりませんから、どうしたら全員の力がより発揮できるのかには、まだまだ課題がございます。でも特殊な劇団であるからこそ私が感じていることは、歌劇の「男役」「娘役」というのはすぐにはできないものなのですが、人数が増え若いエネルギーの1人1人が、男役として、娘役として作ろうとしていく努力と、一口に「男役」「娘役」と言いましても、同じではなくそれぞれ1人ずつカラーが違います。どうしたらその1人1人の良さがより引き出せるかが、私自身の課題でもあると思っています。個々の魅力を知っているからこそ、それをもっと引き出したいですし、それを通して私自身も輝く、全員が輝くことがOSKの妙味になるのではないかと思っています。トップにならせて頂いた時に「OSKをどんなカラーにしていきたいですか?」というご質問をたくさん頂いたのですが、正直「それはわかりません!」と思ってもいて、カラーというのは、自分たちが前に歩いていくことによって後からついてくるものだと思っています。95周年を迎えたということがまさにそうだと思います。90周年の時にもすごく感動しまして、95周年の時にはどうなっちゃうんだろう?感動のあまり泣いてばかりいるのかな?と思っておりましたが、ここまでの歴史があるからこそ今できることをしようという気持ちになっています。3年前にはできなかった表現が、もしかしたら今はできるのではないかと思いますし、こうしたいと決めたくはないんです。
OSKにはまだまだ可能性があると思うので、自分自身も1人のエンターティナーとして、95周年の歴史はもちろん引き継いだ上で、今の自分にしかできないもの。先ほどアナログかも知れないという言葉もありましたが、OSKではできないと思われていたものを、どうしたらOSKでできるのかを目指して歩んできて、今の95周年のOSKがあると私は自負しておりますので、皆で創りたいと思っています。私が一番変わったなと思うのは、OSKは色々な公演をしておりますが、ここにいるメンバーをはじめ大きな舞台でまた集まった時に、1人1人の笑顔から私は大きなパワーをもらうんです。これまでの経験があるからこそ、今、こうして皆で舞台に立てることが幸せですし、自惚れではないですが、皆が素晴らしいと思います。皆仲は良いんです。でもそれだけではなく、良い意味のライバルでもあることが、力になっていると思うので、私も今回の舞台含め、もっともっと皆の良さを引き出して頑張りたいと思っています。時間はあっという間に経ってしまいますので、今を精一杯生きるということが今感じることです。

IMG_9341

──今の時間で皆さんの和気藹々とした雰囲気は伝わりますが、その中で高世さんの「ここが素敵!」というところをどなたかお願いします。
桐生 (全員から「桐生さんお願いします」と促されて)ええ、ではすみません、代表して桐生で。高世さんがトップになられて全体的に上品になりました(爆笑)。いえ、別に前が品がなかったという訳ではなく!(笑)、桜花さんには無限の宇宙のような雰囲気があったのですが、高世さんには月のイメージがあって。桜花さんが「ホット!(コーヒー)」であれば、高世さんが「お紅茶」でしょうか(笑)。そして、これはトップになられた3年間ではなく、もっと前から常に思っていることなのですが、いつも私たちが考えていることのもっと先を考えてお稽古してらっしゃいます。これはもう変わらず、私たちを引っ張っていってくださる原動力になっていると感じます。

IMG_9347

──1年ぶりの東京の公演となりますが、関西の公演との違いは何か感じられますか?
高世 やはりお客様の反応は場所によってすごく変わるというのは常に感じています。昨年、新橋演舞場の舞台に立たせて頂いた時、東京のお客様はたくさん様々の舞台や、レビューもご覧になられている方も多いと思いますが、その中でもOSKの舞台もとても堪能して頂けて、舞台と客席との空間や、頂く拍手から、お客様の熱量を感じました。大阪の公演では「私たちがOSKを育てています!」というくらいの、温かな拍手に包まれていて「お客様に楽しんで頂けるだろうか?」とお稽古に励んできたものが、幕が開いた時に「良かった!こんなに楽しんで頂けている!」という実感になるんです。それはやはり大阪の劇団であるということもあると思いますが、それとはまた別の熱量を新橋演舞場では感じさせて頂けていて「あぁ、大阪から来た劇団なのね」という空気ではなく、東京のお客様にも受け入れて頂き、楽しんで頂けているのを感じます。私は今年の2月に『鬼の城』という作品で東京に来させて頂きました。他のメンバーは皆、お芝居の公演も東京でさせて頂いているのですが、私自身はお芝居で東京に来させて頂くのは初めてで、OSKのお芝居の作品をどう受けとめて頂けるのかが、楽しみであるのと同時に、どこか心配でもあったのですが、とても楽しんで頂けて大阪の舞台とは違う反応があるのが、ライブならではでダイレクトに伝わりました。昨年の新橋演舞場の公演の千秋楽では皆さんがスタンディンクをしてくださって、私は思わず舞台から「また演舞場に帰ってきたいです!」と言葉にしてしまったほど、この舞台に帰りたい!と思っての今回なので、感激もひとしおですし、やはり今、そこを超えるように今回の舞台も務めたいです。あまりちゃんとした答えになっていないかも知れませんが、そうですねやはり「お珈琲」と「お紅茶」の違いでしようか?(爆笑)。

終始和やかな笑いに包まれた懇親会はこれで終了。公演への期待がますます高まる時間となっていた。

IMG_9418


〈公演情報〉
6b5de6fbe831a3e935a84e7b252746da-212x300
OSK日本歌劇団『夏のおどり』
○第1部『桜鏡〜夢幻義経譚〜』
 作・演出・振付◇尾上菊之丞
第2部『Brilliant Wave〜100年への鼓動〜』
 作・演出◇中村一徳
出演◇高世麻央、桐生麻耶、楊琳、真麻里都、悠浦あやと ほか OSK日本歌劇団
●8/31〜9/3◎新橋演舞場
〈料金〉S席(1、2階席) 9,500円 A席3階席) 5,000円全席指定・税込 
〈お問い合わせ〉チケットホン松竹 0570-000-48910時〜18時 
〈公式ホームページ〉 http://www.osk-revue.com/


【取材・文・撮影/橘涼香】



『向日葵のかっちゃん』お得なチケット販売中!






kick 

shop 

nikkan 

engeki

主役はザコたち! 舞台『北斗の拳−世紀末ザコ伝説−』製作発表レポート

DSC_0970

大ヒット漫画『北斗の拳』が来年35周年を迎える。その初めての舞台化が、9月6日〜10日、シアターGロッソにて上演される。
 『北斗の拳』は、199X年、世界は核の炎に包まれるというディストピアな世界で、武論尊の原作・原哲夫の作画で、80年代『週刊少年ジャンプ』(集英社)黄金期の一世を風靡。アニメ化もされ、主題歌であるクリスタルキングの名曲「愛をとりもどせ」は大ヒットとなった。
 
今回は、川尻恵太(SUGARBOY)の脚本と、村井雄の演出で、主役はなんと“ザコ”。主人公ケンシロウや彼の兄のトキ、さらに長兄のラオウなどの中心人物ではなく、ザコによる、ザコのための、ザコだけの舞台。そのためタイトルも『北斗の拳−世紀末ザコ伝説−』と銘打たれている。
出演者は、磯貝龍虎、河合龍之介、寿里、林野健志などに加えてスーパー日舞の花園直道、またガールズユニット「A応P」の水希蒼、声優の千葉繁も声で出演する。舞台のOPENING LIVEは「愛をとりもどせ」で、クリスタルキングwith A応Pが担当する。
 
DSC_0974
ムッシュ、林野、花園、寿里、河合、磯貝、水希

この舞台の製作発表会が7月上旬に行われ、キャストの磯貝龍虎、河合龍之介、寿里、林野健志、花園直道、水希蒼が登壇。そしてOPENING LIVEを担当するクリスタルキングのムッシュ吉崎が登壇した。
その後、大相撲5月場所で横綱の稀勢の里らが巻いた『北斗の拳』仕様の化粧回しを紹介。

DSC_1158

さらに、北斗4兄弟の3男ジャギがシークレットゲストとして登場、製作発表会を大いに盛り上げた。

DSC_1200
Akemi、ムッシュ、林野、花園、シークレツトゲスト、寿里、河合、磯貝、水希
 
【質疑応答】

磯貝龍虎、河合龍之介、寿里、花園直道、林野健志、木希蒼 (A 応 p)  、ビジュアルを担当するAkemi.S.ミラーが登場。

──この作品の出演が決まった時の心境を話してください。
水希
水希
 『北斗の拳』は母がとても好きで、姉がヒロインのユリアという名前にちなんでつけられるぐらい。小さい頃から、馴染みのある作品なので、キャストとして出演できること、「A応P」として出演できることが楽しみです。

磯貝JPG
磯貝
 ドキドキして震えていましたね。原作は大好きで、本がふやけるほど読みました。ザコの死に様が好きで、ラオウにビンタされて頭が吹き飛ばされるのが好きですね。そんなザコをやるかもしれませんね(笑)。

河合
河合 『北斗の拳』(1983年)と同い年なんです。まさか、このタイミングでと驚きながら、記念すべき作品に出演させていただいて光栄です。

寿里
 寿里 お話をいただいた時は、正直、ザコの舞台って「何だろう?」と思いました(笑)。ただ、設定自体はとても面白くて、お芝居としてみなさんに届けられることを嬉しく思います。死に様に集中して、選ばれたザコとして、ザコ中のザコをやらせていただきます。

花園
花園
 普段は着物を着て紋付袴の和装でやっていますから、まさか、『北斗の拳』のオファーをいただけるなんて…。日本舞踊で古典舞踊からマイケル・ジャクソンまで踊りましたが、どういう風に絡むのか想像がつかないのですが、綺麗な歌舞伎の所作で死にたいと思います。

林野
林野 
最初にお話をいただいた時に、とうとうやるんだなと思いました。あの筋肉量と、世紀末感をどう表現するのかなと思った時に、ザコ役という話をいただいた。原作は主役のケンシロウが気持ちいいほどザコを倒してくれるのが楽しかったので、どんな舞台が展開されるか待ち遠しいですね。

ムッシュ
ムッシュ
 『北斗の拳』は83年に連載されましたが、私が歌い始めたのは、84年にテレビアニメされてから、ぶれずにずっと歌い続けました。そうして2017年にこの公演のOPENING LIVEのオファーがあって、よかったなと思っております。私の歌から舞台が始まるので、ザコ歌手になれたら光栄ですね。
──ザコになるためにどのような役作りをしていこうと思っていますか。
水希 女性のザコは想像がつかないし、「A応P」で歌っている時は男勝りの性格なので、そこを前面に出して挑もうと思っています。
磯貝 ザコは刃物を扱いますよね。まずは、でかいノコギリを使えるところから頑張っていこうと思います。そしていつでも死ねる準備を心がけていきたいですね。
河合 一番反響があったのが身内の役者たちからです。うらやましがられて、すでに入れ知恵をもらっているんです。自分たちの代表としてちゃんとやってくれよと言われているので、みんなの期待に恥じないザコを演じたいと思います。
寿里 まずは、公園に行って子供を追いかけ回すというザコさ加減を出します(笑)。ザコだから、現代社会に染まってもいいと思います。長いものに巻かれ、偉い人にはゴマをする、そんな役作りをしつつ、火炎放射器の免許を取らなくちゃいけないけど、どこで取ればいいのやら……後は筋肉ですね。ザコもあの筋肉を見れば相当な努力家だとわかりますから(笑)。
花園 僕は細い方なので、ステーキを週3回は食べておりまして、5キロぐらい太りたいと思っています。
林野 体がでかいので、人を投げたり、引きずり回すことをするかもしれないので、パワーのある体を作りたいと思います。そして、死ぬ時の声は高い声と低い声を使いこなせたらいいですね。漫画にはない裏のストーリーが展開されると思うし、どんな変化球が来るのかわからないので想像力を膨らませて稽古を心待ちしたいと思います。

DSC_1096

──OPENING LIVEで「A応P」さんと歌を披露されますね。
ムッシュ 楽しみですね。女性とのコラボは4組目です。いろんなバージョンがあるのですが、うら若き乙女たちと一緒にやれることにワクワクしています。来年は古希(70歳)ですから、孫と一緒にやっているような感じですね(笑)。
──ケンシロウやラオウといった主役級のキャラクターがいますが、どのキャラクターにどんな殺され方をしたいですか。
寿里 アミバ(ケンシロウの兄のトキに変装した悪役)に殺されることかな(笑)。
磯貝 ケンシロウの「北斗残骸拳」で残り5秒で死ぬと言われ、人生が走馬灯のように駆け巡る死に際を楽しみたいと思います。
花園 シン(ケンシロウのライバル)にケンシロウの胸にある北斗七星を意味する7つの傷をつけられたいですね。これだと主役のケンシロウになっちゃいますね(笑)。
──原作で好きなザコエピソードはありますか。
寿里 名台詞ですが、ケンシロウがとても大きな悪役のおばあさんに「そんな大きなババアがいるか」というようなことを突っ込むシーンが好きですね。
林野 ザコが死ぬ時の断末魔のイメージが強烈にあって、北斗神拳を受けて、死んでいく声が好きですね。
寿里 僕らが伝説の「あべし」「ひでぶ」と言ったら光栄ですね。恐れ多くて使えない。逆に「もずく」とかになっちゃうかも(笑)。

DSC_1094

──これまでのザコ役経験や、プライベートでのザコエピソードを。
水希 ザコ役の経験はないのですが、私が「A応P」のメンバーで一番ザコです。みんなからの扱いがひどいけれど、私は嬉しいです。
磯貝 見た目が大きくて、力持ちで優しい村一番の男前といった役が多いので、ザコの経験はほとんどないですね。ただ、私生活はお酒を飲んだらまっすぐ家に変えられないザコですね。
河合 ゾンビの役をやったことがあります。これまでにいろんな死に方をしていますね。けれどザコは新鮮ですね。
寿里 学生の時に、公衆電話で電話していたら、不良に絡まれそうになって、やっつけられる前にノールックで財布を出しました(笑)。争い事が嫌いだし、身長が大きくなってから絡まれないんですけどね。
花園 スカルの面をつけて呪って最後はやっつけられるという舞踊劇はやっていますが、ザコは初めてですね。昔、公園で友達とコーラを飲んでいたら鳩がいっぱい集まってきて、野球の優勝パレードみたいに鳩にいっぱい吹きかけていましたね。
寿里 ザコですね。
花園 反省しています。
林野 『サイケデリック・ペイン』という舞台で、クラッシュという役を演じた時は、モヒカンにして、左手がかぎつめで、刀を持っていたんです。ザコかどうかはわかりませんが、見た目はいかついのに、おバカな役所を演じました。舞台上を変なセリフを言いながら走り回るのが楽しかったです。
ムッシュ テレビに出ている時はほぼザコです。低い声で人相の悪いサングラスをかけた歌手なんてザコっぽいじゃないですか。元祖ザコです(笑)。
──Akemiさんは、マイケル・ジャクソンさんやスーパーモデルjasmineさんのビジュアルを手がけ、ニューヨークで活躍もされています。ぜひこの舞台に参加したいということでしたね。
 
アケミ
Akemi
 ニューヨークでの25年間はまさに戦いでした。今回は、ザコの世界を表現させていただきますが、ニューヨークにはたくさんのザコがるつぼのように集まっているから、今回のお話はとても嬉しいですね。
──世紀末を舞台にしていますが、どのように美しさを表現しようと思いますか。
Akemi 美というのは魂の問題だと思うんです。1989年にニューヨークにわたりまして、ニューヨークコレクションから、マイケル・ジャクソンやドミンゴさんと、色々お仕事をしてきました。共通点は魂です。なので、みなさんの個性がザコに現れるように一緒になって考えていきたいと思います。ニューヨークではブロードウェイやリンカーンセンターでもビジュアルを担当したことがありますが、この舞台をブロードウェイに届かせたいですね。
──確かに日本にしかなさそうな設定の舞台ですね。
Akemi すごくショッキングですが現代的でもありますね。それを日本人が表現して、アメリカに持っていくのが楽しみです。

DSC_1093
 
──最後に意気込みを。
水希 とても緊張していますが、作品をきちんと伝えられるようなザコを演じます。
磯貝 最高のザコと言われるように頑張ります。
寿里 作品が楽しくなるのは間違いないですが、中身も素敵なものになるように頑張りたいと思います。
河合 役者みんなでがんばってザコを演じたいと思います。
花園 本番が終わるまで『北斗の拳』一色に染まって見事なザコになれるように頑張ります。
林野 ジャギ様の衣装がかっこいいので、僕らはどうなるのか楽しみですね。世界観も楽しみにしてください。女性もザコの生き様を観ていただけるし、子供さんも観ていただけると思いますよ。
ムッシュ 8公演、精一杯歌わせていただきます。
Akemi 本当にいい機会をいただき、日本から海外にスタートする舞台です。頑張りたいと思います。

DSC_1246

〈公演情報〉
舞台『北斗の拳−世紀末ザコ伝説−』
原作◇武論尊
脚本◇川尻恵太
演出◇村井雄
出演◇磯貝龍虎、河合龍之介、寿里、花園直道、林野健志、水希蒼(A 応 p ) ほか   (五十音順)
●9/6〜10◎シアターGロッソ
〈料金〉ザコシート6,999円 世紀末シート(前方エリア・特典付)9,999円 リングサイドシート(ステージエリア一部客席・特典3点付)19,999円(全席指定・税込)

(C)武論尊・原哲夫/NSP 1983, c北斗の拳−世紀末ザコ伝説−製作委員会2017 版権許諾証GP-907
 
 

【取材・文・撮影/竹下力】




えんぶ6号、7/10発売!






kick 

shop 

nikkan 

engeki 

男女4人が織りなすハイスピード毒舌ラブコメディ『ミッドナイト・イン・バリ〜史上最悪の結婚前夜〜』製作発表レポート

IMG_7044

バリでの結婚式を明日に控えたカップルと、新婦の母親、新郎の父親という、個性が強すぎる男女4人が織りなす、怒涛の会話劇『ミッドナイト・イン・バリ〜史上最悪の結婚前夜〜』が、日比谷のシアタークリエで上演される(9月15日〜29日まで。のち、10月〜11月初旬に全国ツアー公演もあり)。

現在放映中のNHK朝ドラ『ひよっこ』などの人気ドラマの数々を手掛ける脚本家の岡田惠和が、舞台だからこそどうしても描きたかった会話劇として書き下ろしたこの作品は、バリでの結婚式を翌日に控えた派遣社員・加賀美幸子(栗山千明)と、フリーターの木暮治(溝端淳平)、幸子の母・敏子(浅田美代子)、治の父・久男(中村雅俊)が、リゾートホテルの一室で赤裸々な言葉をぶつけ合いながら、ある驚きの結末を迎えるという、笑いあり、ドキドキあり、涙ありのラブコメディ。テーマはずばり「結婚」本当にこの人と結婚していいのか?という、結婚前夜の男女の心の揺れを描きながら、愛する「他人」と一緒に生きることの意味を温かく問いかけるものとなっている。演出は『神様のカルテ』『偽装の夫婦』等を監督した、深川栄洋が担当。初めての舞台演出から、どんな化学反応が生まれるのか、大きな期待が高まっている。

IMG_6677
岡田惠和、浅田美代子、溝端淳平、栗山千明、中村雅俊、深川栄洋
 
そんな舞台の製作発表会見が6月末都内で行われ、ウッディ・アレンのアカデミー賞受賞映画『ミッドナイト・イン・パリ』と1文字違いながら、全く関係がない「バリ」を舞台にしている作品の、「バリ」の雰囲気を存分に表す為、脚本の岡田惠和と演出の深川栄洋はアロハシャツ姿、更に出演の栗山千明、溝端淳平、浅田美代子、中村雅俊は、劇中では着用しない、この日だけの特別なコスチューム、煌びやかなバリの民族衣装に身を包んで登壇。作品への抱負を語った。

【登壇者挨拶】

IMG_6693
岡田 はじめして。岡田惠和です。こんな会見でアロハとか着せられたのはじめてですけど(笑)、出演の4人の方に会ったら、すっかり普通の人でした(笑)。素敵なキャストでとても楽しい舞台を目指しております。例えば恋人だったり、夫婦だったり、好きな人と来ても、帰り道に2人にイヤな空気がただようことのないお芝居になっていると思いますし、とても濃い4人のみの会話劇ということで、自由に書かせて頂きました。素敵なキャストに集まって頂いて楽しみにしております。是非お見知りおきをお願いします。すみません、ややこしいタイトルをつけて(笑)。とにかく気持ちの良い、笑って泣いて楽しめる、そして男と女と夫婦とみたいなことが、観ている内にじんわりくるような舞台になっていると思います。楽しみにして観て頂きたいと思います。ありがとうございました。

IMG_6732
深川 深川と申します。いつもは映画やテレビを演出している人間なのですが、今回はじめて舞台を演出させて頂きます。非常に緊張していますし、楽しみでもあります。2年くらい前に岡田さんから「舞台をやらないか?」とお誘いを頂いて、本当にやるのかなぁという風に思いながら、不思議な感覚で時間を過ごしていたら、あっという間にこの日になってしまいました。1ヶ月半くらい前に4人の役者さんたちとお会いする機会があって、その時はポスターを撮ったのですが、その時皆さん(ポスターの)衣装で撮影してらしたので、今日こういう衣装になるとは僕は思っていなくて、度肝を抜かれましたけれども(笑)、舞台美術のような衣装だなと思いました。8月から稽古が始まりますので、その時まで色々なことを考えながら、お客様に色々お見せできるように、ちょっとチャレンジして行きたいと思っています。岡田さんの脚本が4人とも膨大な台詞量で、この台詞を覚えるだけでも本当に大変だろうなと思っていましたが、その台本にない部分もちょっとつけ加えて、もっと大変にして行こうかなと思っております(笑)。それは歌であったり、演奏であったり、踊りであったり、そういったものもぶっ込んでみようかなと思っています。毎日、毎日、何が起こるかわからないような舞台が、毎日繰り広げられると思いますので、9月を楽しみにお客様に待って頂ければと思います。どうぞよろしくお願い致します。

IMG_6770
栗山
 皆様今日はお集まり頂きましてありがとうございます。栗山千明です。私は5年ぶりの舞台になるのですが、それだけで正直緊張しております。で、今プレッシャーもかけられてしまったので、大変なところもあるのですが、素敵な共演者の皆様に支えて頂きながら、楽しくお芝居に取り組めたらなと思っております。色々欠点のある役どころなのですけれども、その欠点がとても人間らしく、愛されるキャラクターとして描かれているストーリーだと思います。脚本が本当に面白いからこそ、きちんと演じて皆さんに楽しんで頂けるように務めたいと思いますので、どうぞ皆様お楽しみになさってください。よろしくお願いします。

IMG_6780
溝端 皆さんこんにちは、溝端淳平です。今日生まれてはじめて、こういう衣装を着させて頂き、女性のドレスでこう布を羽織っておられますけど、僕も今日すごく肩に布が欲しいです(笑)。女性の気持ちが少しわかって良かったなと思っています。この作品は本当に濃密な会話劇で、欠落しているものがあるけれども、とってもチャーミングな4人の話です。本当に笑いどころもあり、ハートフルなところもあり、気楽に観て楽しんで、笑いながら帰って頂ける舞台になるんじゃないかな?と思っております。精一杯頑張りますので、皆さん9月は観に来てください。よろしくお願いします。

IMG_6818
浅田
 こんにちは、浅田美代子です。最初にこの台本を頂いた時に「わぁ、面白い」と思って何も考えずに「やります!やりたいです!」と申し上げたのですが、よく考えたら18年ぶりの舞台で、今更本当に緊張しています。ただ、私が初舞台を踏んだのが、ここ(シアタークリエの前身の)、元の芸術座だったんです。なので初心に戻ってと言いますか、そういう気持ちで一生懸命頑張りたいと思います。本当に個性豊かな4人の話なので、台本だけでも楽しいんですけれども、その後の演出がどうなるのかというのも、今から稽古がとても楽しみです。どうぞよろしくお願いします。

IMG_6866
中村
 皆さんこんにちは、中村雅俊です。デビューしてから、長いキャリアの割りには舞台をほとんどやっていないです。そういうものですから、今回の舞台は非常に緊張しております。でも台本を頂いて読んだ時にですね、あまりにも面白いストーリーで、とても笑えたり、最終的には感動できる脚本だったので、これは、この脚本に便乗するしかないいうことで、安心しています。深川監督とは以前に『60歳のラブレター』という映画を一緒にやらせてもらって、とても才能ある方でして、撮影の最中も「こんな演出をするんだ」という風に、細かいところに至ってもすごく出演者のオジサン、オバサンたちが、とても感心して感動しました。その方とまた一緒にやれるという喜びがあります。内容は先ほどから出てますけれども、本当に台詞の量が多いので人一倍頑張らないといけないなと思いながら、頑張りますので皆さんどうぞよろしくお願い致します。

IMG_6976

【質疑応答】

──台本がとても面白いというお話が出ていますが、出演者の皆さん「ここが特に面白い!」という場面や、ぐっと来た台詞などはありますか?
栗山 ネタバレじゃないのですが、楽しみにして頂きたいなという気持ちが一番なのですが、それぞれが思っていることをぶつけあって、それがすごく笑いとして面白いところもあり、最終的には胸にしみる家族の愛みたいなものを残してくれる、そういうところかな?と思います。
溝端 僕の役の治は、栗山さんの役の幸子と夫婦になるんですけれども、僕の役を見ていて面白いのは、基本的に爆弾処理班なんですね(笑)。爆発しないように静かに丁寧に丁寧に扱うんですけれども、(栗山と浅田を示して)ここ2人が爆発してしまって、結局僕がそれに巻き込まれるみたいな、その健気に一生懸命なんとか平和にと一番苦労している性格が、治の良さで、可愛さでもあります。それに(対して)思ったこをハッキリ言い合う2人もチャーミングだったりするので、そこがとても素敵なシーンだなと思うところです。

IMG_6917
 
浅田 私も母と2人で暮らしていたことがあったので、女同士の親子って本当にここまで言うか!?っていうところがあって、それがすごく出ていたので、そこが懐かしかったりもしました。でも結局仲直りするのですが、他人のお婿さんはオロオロするので、溝端さんのファンの方が今回は「そんなにしないで」と言うのではないかと思うくらいの(笑)、やりとりをするので、そういうところを楽しみにしています。
中村 この会場にくる時に4人でエレベーターに乗っていたんですけれども、僕を見た皆さんから「王様みたい」と言われまして(笑)。淳平がですね「とうに女に飽きて、若い男に走っている王様みたい」という風に言って「その若い男が自分だ」という風に言いまして(笑)。
溝端 あの(この衣装を)準備して頂いていて申し訳ないのですが、ちょっとオカマっぽいなと思って(笑)。
中村 (笑)まぁ、今日そういうことがあって、舞台の中でもちょっとそういう言葉があったり、そういう疑惑もあったりして、あんまり言うとアレなんですけど、そういう中で、実はこのお芝居の中では淳平は僕の息子なんです。それで母親がいないという事情を言った時に、どうして母親側ではなくて、父親である俺の方についてきたかということを皆に説明するところが、ちょっと自分では泣けますね。どうしても母親ではなくて、父方に「治を残してくれ!」というところに、岡田さんの台詞とでグッと感動的なシーンで、それは皆さん認めるところだと思います。

IMG_6921

──岡田さん、深川さん、それぞれ出演者の方への想いや、思い出などのエピソードがありましたら教えてください。
岡田 4人しかいない舞台ですので、1人1人に想いが強いのですが、栗山さんには、内面をすごく持て余していて、中途半端で、でも幸せになりたいけどこいつで本当にいいんだろうか?みたいな感じの、極普通にいる女の子を可愛らしく、しかも強く演じて頂けたらという思いでいます。溝端さんはこの役はたぶん悩まれるだろうな、と思っておりました。一見すると本当に魅力のない、先ほど爆弾処理班とおっしゃっていましたが、とりあえずその場を何事もなく乗りきろうというタイプの男なので、でもそこにとても深い愛があるというのを観て頂ければわかると思います。雅俊さんと浅田さんは、実は僕、2人共サインを持っているんです。自分がこの世界に入る前からの偉大な先輩で、中村雅俊さんが『俺たちの旅』というドラマを撮っていらした時に、自分の家が吉祥寺の近くだったものですから、何度も何度も撮影を見に行って2回サインしてもらいました。そして浅田さんは覚えておられるかどうかわかりませんが、僕のいた中学校の隣にあるテニスクラブでシャンプーのCMを撮ってらして、その時にサッカー部だった僕は壁越しにサインをしてもらいました。感慨深いものがあります。中村雅俊さんの役は一見すると本当にチャラいんですけれども、なんと言うか芯のある愛があって、本当にこの役を雅俊さんにやって頂けるというのが、逆に光栄で、こんなにピッタリの人はいないんじゃないか、と言ってしまうとすごく失礼なのですが、でもとても楽しみにしております。浅田さんはご本人もさっきおっしゃっていましたが、母親としての可愛さと娘に対するものと、途中からだんだん自分の青春というか、女の子としての生き方に戻っていく感じが、可愛らしく出して頂けるんじゃないかな?と楽しみにしております。
中村 びっくりしました。『俺たちの旅』って40年くらい前なので、その時に何歳だったんですか?
岡田 中学三年くらいです。
中村 中三ですか!すごいよね。
浅田 シャンプーのCMは、もう40何年ぶりかな?
岡田 そうですね。

IMG_6968

深川 僕は先ほども出ましたけれども、初めて作ったメジャー映画が『60歳のラブレター』で、その時の主演が中村雅俊さんで。僕は中村さんの子供の世代になるんですけれども、そういった子供の目で父親や母親たちを見た映画を作ってみようと思って、チクチクチクチク言われたくないことも言いながら、芝居をして頂いたんです。でもそういうことを申し上げても「へぇ、俺そんな芝居してた?」と言いながらも、僕の言葉を受けてくれて、次のテイクに反映させてくれた。そういう包容力のある、ナイスガイってこういう方のことを言うんだろうなと思う役者さんで。ずっとその後僕もキャリアを積んで腕が上がったかどうかはわからないのですが、キャリアを積んだ中で中村さんとまたやれるのが嬉しいなと思っています。
他の3人の方達とは初めてやらせて頂くのですが、僕が頭の中で思っているパブリックイメージ、皆さんが世間に与えている印象とはちょっと違う役なんじゃないかという風に思っています。いつもバラエティ番組で面白いことを言える浅田さんが、あ、こんな怖い瞬間があるんだ、というドキッとする台詞を吐いたり。栗山さんはとても綺麗で完璧なスタイルをしている方が、家の中ではどうなんだ?男の人に手こずらないはずだよな、と思うんですけれども、あ、こんなイライラや、悪態もつくんだ。普段あまり見せてはいけないものを、今回は見せても良いんだなという風に思いながら取り組ませて頂こうかなと思っています。溝端さんはまたすごく好青年というニュアンスで僕は受け留めていて、どんな仕事でも誠心誠意やられるんだなと思っていました。この間戦隊ものの宣伝をされているのを見て、これだけのキャリアを積んだら、もうこういうものはやらなくてもいいんじゃないかな?と思われるものでも、もちろん戦隊ものも素晴らしいのですが、でもそういうものでも誠心誠意やっておられて。じゃあこういう情けないような、誰からも相手にされない、扇の要の役ではあるんですけれども、扇の要故の哀しさといったところが出てきてくれて、溝端さんの役の本当の言葉って誰も聞いていないなと、お客様も終盤まで思うと思うのですが、その本当のことがお客様の前に明かされた時に感動につながっていく。
そういうキャラクターなので、それぞれが自分の得意としているフィールドではなく、お出掛けして芝居をしている。そういう感覚が今回の芝居にはあるのかなと。それぞれが実は持っているけれども、世の中に出ていない。中村さんもちょっと天然ボケの役なんですが、中村さん自身にもそういうところが実はあるなと、映画を作っている時にも感じたので、そういう面をスポイルして膨らませて、お客様に面白がって頂けることをやろうかなと思っています。お出掛けした先にどういう風な港に着くのかっていうのを、1ヶ月間稽古の中で見つけて、より精度を上げてエンターテイメントにしたいなと思っています。

IMG_6976

──皆さんバリ風のお衣装がとても素敵ですが、バリに通じる南の島の灼熱の思い出などはありますか?
浅田 バリは神々の国っていう神聖な感じがします。私は昔樹木希林さんと2人でバリ島旅行をしたことがあるんですが、私はバリの可愛いものとか買いたくてしょうがないんだけれども「いいの、買わなくて!もう持ってるでしょう」とさんざん言われて(笑)。なのに最後の空港で「美代ちゃん欲しがってたのあるよ」と言われたんですけど「もう、いいです!」って言ったり(笑)。あと、希林さんが凄かったのは、その時に自分が着ていたアロハとか、頂き物のお扇子などを全部トランクに詰めて、その時は西城秀樹さんの別荘を借りていたんですが、そこのお手伝いさんたちにあげたら、あっという間になくなって。「ね、美代ちゃん、これで後々役に立つでしょう」って言われたのを覚えています。それで自分のトランクは空にして帰りました。バリの景色などよりも、そっちの方が印象に残っています(笑)。
溝端 希林さんの話以上のものはちょっと出てこないですよね。ハードルが上がっちゃったから。皆さんバリに行ったことありますか?

IMG_6905

中村 俺はなくて、サイパンが多かったかな。俺は30代はウィンドサーフィンに凝っていて、ずっとやっていたんだよね。その時は「歳を取ってからもウィンドサーフィンやるぞ!」って言ってたんだけれども、今はすっかりゴルフになっちゃって(笑)。今は全くやっていないんですけれども。そもそもウィンドサーフィンをやったきっかけは、サイパンに行った時に作家の村上龍さんと2人で「ちょっとやってみようぜ!」って言ってやったんですけれども、乗ってすぐに戻ってこれなくなって、ずっと沖の方まで2人で流されてしまって。レスキューを頼んだんだけれども、ビーチの方からはこっちが見えなくて、一瞬ですが、村上さんと2人で死ぬかと思いましたが、レスキューが来てくれて無事ビーチまで…という、そのくらいの話ですね(笑)。
溝端 僕はスキューバダイビングを去年初めて仕事でさせて頂いて、洞窟の中、水が入っている薄い天井のある中に入って、それって危険なんですね。インストラクターの方がすごく近くについてくれて、色々やってくれていたら、急に掴まれてバッーと上にあげられて、緊急浮上というものがすごく怖かったという思い出があります…、たいした話じゃないですね(笑)。南国、栗山さんは行かれますか?

IMG_6899
 
栗山 そうですね。まぁ本当に小さい頃にお仕事でちょっと行ったかな?というくらいですかね。
中村 確かにヨーロッパとかのイメージだよね。
浅田 あと、ニューヨークとかね。
栗山 いえ、そんなオシャレな感じではないですけれども(笑)。イメージとしては、気候も暖かいですし、ゆったり時間が流れているような、そんな感じの場所で、気分も開放的になるのかな?と思うと、この舞台がバリだということが、私の中で結びつくかなと思っています。
──岡田さん、現在放送中のNHKの朝ドラ『ひよっこ』の脚本を書かれていて、朝ドラは普通のワンクールのドラマの4、5倍の脚本を書かないといけないと思うのですが、そういう中で創作期間が実際どのくらい重なっていたかはわかりませんが、掛け持ちの御苦労というのは?
岡田 ありがとうございます!今日はそれを声を大にして言っておきたかったのですが、今日も実はこっそりここに来ていまして(笑)、実は朝から脚本書いていないといけなかったんですけれども。この舞台は約2年近く前に書いたものです。なので、NHKの仕事とは全くかぶっておりません。で、そこから深川君にお願いして、脚本に合わせて1人ずつキャストを決めさせて頂いたので、非常に制作期間が長いものになっています。なので、熟慮をする時間はたっぷりあったと思うので、素敵な作品になるのではないかと思っています。

IMG_6962

──『スタンド・バイ・ユー〜家庭内再婚〜』以来の舞台脚本ですが、舞台でしか描けないものというのは?
岡田 僕は演劇人と言える存在ではないので、演劇的空間というものがどんなものなのか、まだわからずにやっておりますが、テレビドラマを書いている時も会話劇を書くのが好きで、よく書いているのですが、どうしてもそこには常識の範囲の時間制限みたいなものがあって、2人だけで喋っているシーンが10分、15分続くというのはちょっとあり得ないので、どうしても尺の中で納めて行くんですけれども、自分の中ではこれ無限に行けるんだけどな、というようなシーンがやっぱりあって。それが舞台という空間の中だと、尺を気にせずにやれることが一番大きなことかなという気がしています。なので本当に会話劇で書いていて、台本が進まずに会話ばっかりという気がして「いつになったら終わるんだろう」と言うくらいの分量になるのですが、舞台の中では2人だけのシーンは、本当にそこにいる2人だけがやって頂けるという緊張感に向けて、会話劇を書けるというのが非常に楽しいことです。
──栗山さん、久しぶりの舞台ですが、特に気をつけることなどは?
栗山 本当に舞台自体の回数、場数を踏んでいないので、正直舞台のリズムみたいなものを思い出すと言いますか、身に着けていかなくてはいけないなと思うのはもちろんです。あとはモチベーションを保って、毎回新鮮な気持ちでやるということを最低限守って、務めたいなと思っています。

IMG_7068




〈公演情報〉
0000000076932

『ミッドナイト・イン・バリ〜史上最悪の結婚前夜〜』
脚本◇岡田惠和
演出◇深川栄洋
音楽・演奏◇荻野清子
出演◇栗山千明、溝端淳平、浅田美代子、中村雅俊
●9/15〜29◎日比谷シアタークリエ
〈料金〉9.200円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777(9時半〜17時半)
〈公式ホームページ〉http://www.tohostage.com/midnight/

全国ツアースケジュール 
 
●10/3日◎静岡・富士市文化会館 ロゼシアター
〈お問い合わせ〉富士市文化会館 ロゼシアター 0545-60-2500 
●10/5◎愛知・愛知県芸術劇場
〈お問い合わせ〉キョードー東海 052-972-7466
●10/7〜8◎大阪・サンケイホールブリーゼ
〈お問い合わせ〉ブリーゼチケットセンター 06-6341-8888 
●10/10◎福岡・久留米シティプラザ
〈お問い合わせ〉ピクニックチケットセンター 050-3539-8330 
●10/12◎鹿児島・鹿児島市民文化ホール第2
〈お問い合わせ〉ピクニックチケットセンター 050-3539-8330 
●10/14◎山口・ルネッサながと
〈お問い合わせ〉 ルネッサながと 0837-26-6001 
●10/17◎岡山・岡山市民会館
〈お問い合わせ〉 岡山市民会館 086-223-2165 
●10/19◎愛知・豊川市文化会館 
〈お問い合わせ〉(公社)豊川文化協会 0533-89-7082 
●10/22◎新潟・りゅーとぴあ
〈お問い合わせ〉りゅーとぴあチケット専用ダイヤル 025-224-5521 
●10/24◎岩手・岩手県民会館
〈お問い合わせ〉岩手県民会館 事業課 019-624-1173 
●10/29◎千葉・印西市文化ホール
〈お問い合わせ〉印西市文化ホール 0476-42-8811 
●10/31〜11/11◎金沢・北國新聞赤羽ホール
〈お問い合わせ〉一般財団法人北國芸術振興財団 076-260-3555 


【取材・文・撮影/橘涼香】



“栗山千明、溝端淳平出演『ミッドナイト・イン・バリ』お得なチケット販売中!"






kick 

shop 

nikkan 

engeki

新派の喜多村緑郎・河合雪之丞、同期の2人が送る『黒蜥蜴』爆笑トーク! 

DSC_2258
 
三越劇場開場90周年を記念して「三越劇場のあゆみ〜90年そして未来へ〜」が、4月26日から5月2日まで開催されている。歌舞伎、演劇、落語、コンサートなど様々な演目の歴史を展示するイベントだ。その1つとして、六月花形新派公演『黒蜥蜴』に出演する喜多村緑郎と河合雪之丞のトークショーが行われた。

DSC_2185
 
原作の『黒蜥蜴』は1934年に月刊誌「日の出」に連載された江戸川乱歩の小説で、これまで三島由紀夫を含め多くの劇作家が挑んで来た。今作は、齋藤雅文によるオリジナルストーリーで、新派版『黒蜥蜴』。名探偵の明智小五郎(喜多村緑郎)と、この世の美しいものすべてを手に入れようとする女盗賊・黒蜥蜴(河合雪之丞)の物語。さらに、実力派の永島敏行、新派初参加となる劇団EXILEの秋山真太郎、今年、新派入団を果たした尾上松也の妹・春本由香の出演で、三越劇場開場90周年の歴史を刻むにふさわしい舞台が誕生する。

【あらすじ】
舞台は昭和初期。国宝級のダイヤ「クレオパトラの涙」を保有する宝石商岩瀬の娘早苗(春本由香)が誘拐された。「お嬢さんを私からお買い戻しになるお気持ちはありませんか。代金。『クレオパトラの涙』1個…」という置き手紙を残して。刑事の片桐(永島敏行)の目の前で堂々と誘拐を成功させたのは、社交界の花形で暗黒街を牛耳る女王の黒蜥蜴。彼女の目的は、世界中の美しいものを盗むこと。手下の雨宮潤一(秋山真太郎)と共に人を殺めることも厭わず、数多くの罪を犯していた。そんな黒蜥蜴の前に、名探偵の明智小五郎が立ちはだかる。その末に待っているものは…。

DSC_2146

【トークショー】
 
──三越劇場90周年に向けてのメッセージを。
喜多村 90年間残っている劇場は、日本では類を見ないと思います。90年という歴史の重みを感じますね。歌舞伎の第一線で活躍された、例えば亡くなった6代目の中村歌右衛門さんや、たくさんの名優が立った舞台に、こうして我々も立たせていただける嬉しさを噛み締めています。そこで僕の念願である『黒蜥蜴』を上演できるのは本当にありがたいことだと思っています。
河合 戦前・戦中・戦後を眺めてきた劇場で、我々が同じ舞台に立っていられるということの素晴らしさを実感しています。三越劇場でしか観られないお芝居を、制作・俳優を含めて作り続けて、これからの100年周年、200周年と歴史を築いていく努力をしたいですね。
──1923年の関東大震災の文化的な復興の意味合いで作られた劇場でもあります。こけら落としには初代の水谷八重子さんが、ファッションショーのモデルとして登場されました。お二人は、三越の商い初めの鏡開きでご登場されています。
喜多村 ここ2年間は、鏡開きをさせていただいていますので、よく来てるなという感覚になりますね。
河合 我々が三越劇場に出演するために楽屋入りする時は、この中央ホールを通らないんですよね。三越劇場の名物「天女(まごころ)像」は歴史も感じますし、拝見すると気持ちが引き締まりますね。鏡開きの時とイメージが違うので素敵な雰囲気になっていますね。
──「天女像」は木造で翡翠がちりばめられています。
喜多村 やっぱり翡翠だ。しゅん(雪之丞の愛称)ちゃんはガラス玉だって言い張ったんですよ(笑)。
河合 お客様には裏も回って見て堪能していただきたいですね。

DSC_1947 
 
──お二人とも国立劇場の歌舞伎俳優養成場の同期ということで、仲が良いですね。
喜多村 プライベートはほぼ一緒ですね。昨日もうちの近所で、僕の妻と3人でご飯を食べるぐらい(笑)。
河合 美味しい焼き鳥屋さんがあるんです。
──どれくらいのおつきあいになるんですか。
喜多村 31年ぐらいですね。親兄弟よりも長く一緒にいます。僕の人生の中では一番長く一緒にいる人間です。
河合 お互い悪いところばかり気になりますけどね(笑)。言葉に出さなくてもわかるような間柄です。舞台上でも、こういう風に芝居をしたらこういうリアクションが返ってくるとわかるんですよ。打ち合わせをしなくても通じ合える。長く一緒にお芝居したり、プライベートでも一緒にいることの良さがあると思います。
喜多村 いい方に作用すればいいけど。たまにプライベートで喧嘩する時に限って夫婦役で出ないといけない(笑)。そういう時はきついですね。
河合 僕はそう思わないけど。めんどくさいなって思います。
喜多村 喧嘩なんてしょっちゅう。月に何回するんだろう。
河合 喧嘩しかしてない気がしますね(笑)。
喜多村 喧嘩するほど仲が良いというのはそういうことかな? しかも、どうして喧嘩したのか原因を忘れちゃうんです。
河合 些細なことで必ず喧嘩に発展する。
喜多村 100%なるね。こんな場所で、こんなこと自慢してどうする(笑)。
──仲が良い証拠ですね。
喜多村 不思議ですね。ありがたいと思うこともありますから。しょうがないよね。運命(さだめ)だね。
河合 運命って(笑)。
喜多村 15歳ぐらいから一緒にいるから運命ですよ。

DSC_1909
 
─初めて三越劇場に出演された時は。
河合 三越劇場に初めて出させていただいたのは、1997年の2月の自身の舞踊リサイタルですね。我々の一門は、個人的にリサイタルをすることもあるんですが、皆さん地元があるんです。例えば市川笑三郎さんだったら岐阜といった具合に。私は東京の人間なので、東京の劇場でやらないといけないですから、三越劇場で個人的なリサイタルをやらせていただいたんです。ご縁を感じますね。
喜多村 僕は、同じ国立劇場養成所出身という縁で市川笑也さんと一緒に、しゅんちゃんのそのリサイタルで後見をしたのが初めてです。素敵な小屋ですよね。うちの師匠(二代目猿翁)は、劇場の空間も、すべてがお客様を迎える場でなければならないとおっしゃってますが、歌舞伎座や演舞場、他の劇場も趣があるように、三越劇場は、ロココ調のモダンなイメージの日本を代表する劇場だと思います。
──座席数が514席です。お客様との距離が近いですね。
河合 客席数が500ぐらいの良さは、お客様と役者との距離感ですね。身の引き締まった思いで細かな演技もきちっとお客様に伝わるように演じるのは、すごく大事なことだと勉強させていただきました。演舞場に出させていただく時も、その気持ちを忘れないで、舞台に立つことを大切にしています。
──昨日のトークゲストに星由里子さんがいらっしゃいましたが、三越劇場ではあまりお化粧は濃くしないとおっしゃっていました。
喜多村 確かに三越の時は、化粧にすごく神経を使いますね。お客様との距離が近いぶん、普段も怠けているわけではないですが、神経を使いますね。お客様の息遣いまで聞こえてきますからね。
──喜多村さんは2016年から新派、雪之丞さんは今年から入団されました。
喜多村 2011年の1月公演の『日本橋』(三越劇場)で、初めて参加させてもらって、そこから新派に出させていただいているので、歌舞伎から新派に来たぞという気合いの込もった感覚はないです。皆様のおかげで、自然と歌舞伎から新派に移行させてもらいました。ただ、喜多村先生の名前を継がせてもらうと、今までとは違うものを背負った感覚があります。外から見ていた新派と、入ってからの新派と違う感覚を抱くようになりました。
河合 歌舞伎から女形をやらせていただいますが、新派に移籍させていただいてからも、女形を演じる上での意識は変化していないです。でも、歌舞伎は日本中で歌舞伎に対するイメージがあると思いますが、新派はなに?というところから、お考えになる方が大勢いらっしゃると思います。新派を歌舞伎と同じくらい皆さんに認識していただけるようにしたいですね。我々が踏み台となって、次世代の方がどこに行っても、新派の人たちだと言ってもらえるように、我々が努力していかないといけないという責任感は感じております。

DSC_1998 
 
──『黒蜥蜴』の見どころを。
喜多村 明智小五郎をさせていただきます。子供の頃から、「少年探偵団」「怪人二十面相」を読んでいました。『黒蜥蜴』は歌舞伎に入ってから読んで、これは歌舞伎でやったら面白いなと考えたのが20年ぐらい前。それから数年経って、膝の怪我をして、歌舞伎の舞台に立てない時があって、自主公演で音楽とミックスさせた朗読劇をした時期がありました。そこでも、『黒蜥蜴』をやりたいなとは考えて、自分で脚本を書いたりしたんです。その時は森村誠一さんの時代小説をやらせていただいたんですが、今回ご縁があって、『黒蜥蜴』を上演できるとなった時に、僕の書いた脚本でやりたいなと思ったんですが、うちの座付きの齋藤雅文さんが、明治座で浅野ゆう子さんでおやりになった台本と僕の台本を照らし合わせると意外と共通点が多くて、今回は齋藤先生の本でやらせていただくことになりました。齋藤先生の脚本は三島先生と違って、原作に忠実ですし、原作に出てこないポイントとなる役もでてきます。エンターテインメントも追求して芸術性もプラスした、きっちりとしたお芝居になっています。東京のホテル、大阪の通天閣の場面などサスペンスの場面もありますし、さらにスピード性がミックスされています。もちろんじっくりお芝居をご覧になられてもいいですし、ビジュアルだけでも面白い場面がたくさんありますので、そこを見どころにしていただければいいかな。
河合 全部喋っちゃった!
喜多村 ごめんなさい(笑)。
河合 見どころ満載でございます。
喜多村 何が重要かといったら、しゅんちゃんの黒蜥蜴の美しさですから。それは我々にはどうすることもできないですから、しゅんちゃんがアピールしてください。
河合 頑張りたいと思います。この間も長時間かけて、打ち合わせをさせていただいて、衣装、カツラ、小道具も我々の意見をとり入れながら、楽しいお芝居を追求しています。歌舞伎も、新派も、ミュージカルを観たことない方々でも楽しんでいただけるように、作り上げたいですね。一度と言わずに二度三度と劇場に足を運んでくださればと思います。
喜多村 僕は1月から台本作り、大道具、照明、衣装、音楽の打ち合わせに参加させていただいて、もう終わったような感覚です(笑)。ただ、ゴールデンウィーク明けから全員揃っての稽古になります。これからが本当の勝負所です。
河合 ネタバラシはしたくないのに、バラシたいなと思うぐらい面白い。三越劇場でしか観られない、ここでしか上演できない『黒蜥蜴』です。


DSC_2221

【囲みインタビュー】
 
──イベントを終えられていかがでしょうか。
喜多村 「天女の像」の吹き抜けのところで、『黒蜥蜴』の宣伝をさせていただいたのは嬉しいことですね。
河合 みなさまに直接お目にかかってお話をさせていただいて、『黒蜥蜴』の魅力をお伝えできて楽しいですね。
喜多村 あと5時間ぐらいやりたいですね。
河合 そう(笑)。
喜多村 想いがいっぱい詰まっている公演なので、直にお客様にお話させていただけるのでありがたかったです。
──喜多村さんがおやりになりたかった演目だったのでしょうか。
喜多村 そうです。台本にした時に、新派にうってつけだという確信がありました。
──これまでの新派にはないような舞台ですね。
喜多村 はい。ただ、僕は子供の頃から「ルパン」が大好きで、無国籍的な要素が江戸川乱歩の『黒蜥蜴』にあるなと実感して、今回なんとかやらせてもらえないかとお願いして実現できました。
河合 でも、初演が先代の水谷八重子さんだもんね。
喜多村 そう。その時は三島先生の本です。
河合 ご縁だね。
──新派としては初めてなんですね。
喜多村 新派としては初めてです。齋藤先生の全くのオリジナルなので、新派のオリジナル作品になります。ただ、「これは新派だ。これは歌舞伎だ」ではなく、『黒蜥蜴』という舞台に、全員が出せるものを出し切ろうというコンセプトで作ります。蓋を開けて見て、どういうジャンルになるのかは、我々もわからない未知の領域に入っていく感覚になります。
河合 今までの枠にとらわれない作品で、逆にいうと枠にとらわれないお客様にも観ていただきたいですね。
──トークショーでは喧嘩のエピソードがありましたが今回もありそうですね。
喜多村 あるでしょうね(笑)。今回は明智と黒蜥蜴で、お互いずっと稽古場にいるので、一緒にいるほど喧嘩が起こりやすくなりますね。
河合 稽古が終わったら、なるべく一緒にご飯行かない方がいいね。
喜多村 そんなこと言わないで! ご飯食べながらの芝居の話をするのが楽しみで稽古してるんだから。嫌がられるんですけど(笑)。
河合 芝居がすごい好きなんですよ。だから嫌がられるパターンの人です(笑)。確かに大事だけど、私は純粋に食事を楽しみたいな。
喜多村 いや、しゅんちゃんと話をするのが楽しいんです。しゅんちゃんには正直な意見をぶつけられるので、食事会はやりますよ。それによって喧嘩が始まるリスクがあるんですけれど(笑)。
河合 まあね(笑)。
喜多村 ぶつかりあえば、より面白いものが生まれるという、2人の人生はずっとそうでしたから。
──若い座組みだと思いますが、どのように引っ張っていこうとお考えですか。
喜多村 永島(敏行)さんは、『狐狸狐狸ばなし』で、ご一緒させていただきましたので、知らない仲ではない。きちんとポイントを抑えてくださいますから安心しています。とにかく、主役の人間は若い人たちを引っ張るには、ああしろと命令するよりは、自分たちの背中を見せないといけないですね。
河合 秋山(真太郎)さんでも、(春本)由香ちゃんでも、若い方達は、こういった新しい芝居で、ご自身の魅力を存分に出してもらえれば絶対にいい作品になると思います。遠慮しないでやってほしいよね。
喜多村 そうだね。許容量よりも弾けて欲しいぐらいですね。役者は爆発する時が必要で、それが彼らにとって第一歩になると思います。しゅんちゃんも言っていましたけど、次の世代にバトンを渡す仕事もありますから。『黒蜥蜴』は劇団新派にとっても、我々にも、若い劇団員にとっても新しいスタートです。道具や照明、衣装、音楽、すべてのものに携わらせていただいて、ワクワクとドキドキが常にあります。

DSC_2234 
 
──制作にも携わっていかがでしたか。
喜多村 楽しいですね。1月の『華岡青洲』の時も、しゅんちゃんに膝枕してもらうシーンがあるんです。ふと上を見上げると照明が吊ってあるバトンが見える。あそこには、この色の照明はどうだろうと考えているうちに、セリフを忘れてしまったという失敗も(笑)。袖で待って入る時も、この袖をどう有効活用しようと考えたり楽しいですね。
──雪之丞さんは、お名前に慣れましたか。
河合 春猿さんとか、しゅんちゃんと、いまだに言われるし、逆に河合さんと後ろから声をかけられても振り向けない自分がいます(笑)。テレビでも春猿さんと言っていただいてたんですが、この間、河合さんと苗字で紹介していただいた時は、嬉しかったですね。
喜多村 わかる! その嬉しさ。
河合 違和感がない。
喜多村 僕もやっと慣れましたね。
──最後に意気込みを。
喜多村 僕の中では数十年温めていた作品だったので、それができる喜びと、失敗できない緊張感が混ざり合っています。ただ、とてつもないものができる予感があるんです。新しいものができるときは賛否両論絶対あります。だから、それにめげずにどんどん新しいものを作っていきたいと思いますので、お芝居を観たことのない方、新派がお好きな方、歌舞伎のお好きな方、若い方、いろんな方に観ていただきたいですね。ビジュアル的にも、綺麗なしゅんちゃん、綺麗な女の子、かっこいい男性、渋い人など、素晴らしい絵をご覧になっていただける芝居になっています。日本の戦前の無国籍の絵巻物をみていただけると思います。ぜひいらしてください。
河合 みんなが楽しく思いっきりはっちゃけたら、お客さんにも喜んでもらえるので、今までに観たことのない何かをご覧になれると思いますので、大勢の方に観に来ていただいて、1つのテーマパークに数時間入り込んでしまったようなお芝居にしたいと思っております。


〈公演情報〉
kurotokage_201706fl

六月花形新派公演 
『黒蜥蜴』
原作◇江戸川乱歩  
脚色・演出◇齋藤雅文  
出演◇喜多村緑郎 河合雪之丞/秋山真太郎(劇団EXILE) 春本由香/永島敏行 他
●6/1〜24◎三越劇場
〈お問い合わせ〉チケットホン松竹 0570-000-489、三越劇場 0120-03-9354



【取材・文・撮影/竹下力】




おん・すてーじ『弥次さん喜多さん』双 




kick 

shop 

nikkan 

engeki 

記事検索
演劇キックラインナップ

演劇キック

観劇予報

宝塚ジャーナル

演劇人の活力源

日刊えんぶ

えんぶ情報館

えんぶショップ

えんぶミロクル

えんぶfacebook

広告について