観劇予報

えんぶ4月号

稽古の現場

味方良介、文音、多和田秀弥、黒羽麻璃央が鮮烈に新しい輝きを放つ!『熱海殺人事件 NEW GENERATION』稽古場レポート

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極寒の日々の中にも梅の蕾がほころぶ2月、紀伊國屋ホールの「つかこうへい」の季節がやってきた。
今年は、平均年齢23.3歳という若さにあふれた3人の男優、味方良介、多和田秀弥、黒羽麻璃央が名作『熱海殺人事件』に挑戦することで、大きな注目を集めている。

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名作『熱海殺人事件』は、1973年に文学座に書き下ろされ、当時の若者の熱狂的な支持を受け、翌年、この戯曲でつかこうへいは、史上最年少での岸田國士戯曲賞を受賞している。その後もキャストごとにバージョンを変えながら、つかと『熱海』と紀伊國屋ホールはともに生き続けてきた。
そして2010年、つかこうへいの死後は、その魂と意思を受け継いだ演出家の岡村俊一による『熱海殺人事件』が、装いも新たに毎年のように上演され、様々なバージョンでスターを生み出し続けてきた。今回は、副題に “NEW GENERATION”と銘打たれているように、新世代を体現する俳優たちで、この名作を新しく生まれ変わらせる。

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主人公の木村伝兵衛部長刑事役に挑むのは味方良介。昨年のつか作品『新・幕末純情伝』で桂小五郎を熱く演じた演劇界注目の若手男優で、初演の三浦洋一、そして風間杜夫、阿部寛、池田成志といった錚々たるメンバーが演じてきた大役を、史上最年少の24歳で演じる。

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富山から派遣された刑事・熊田留吉役は、『手裏剣戦隊ニンニンジャー』から2.5次元舞台まで卓抜な演技力で幅広く活躍する多和田秀弥。

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犯人・大山金太郎役にはミュージカル『刀剣乱舞』で主演を務め、映像でも活躍中の黒羽麻璃央。

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紅一点の水野朋子婦人警官役は、1986年の映画版でヒロインを演じた志穂美悦子を母親に持つサラブレッド女優・文音。

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このフレッシュなメンバーたちで、2月18日から3月6日まで『熱海殺人事件』を上演する。
その稽古も佳境に入ったある日、その通し稽古に立ち会うことができた。
 
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【あらすじ】
舞台になるのは東京警視庁の木村伝兵衛部長刑事の捜査室。伝兵衛の取り調べの中で、熱海で工員の大山金太郎が幼なじみの女を絞め殺したというチンケな事件を、婦警の水野朋子と富山県警から赴任してきたばかりの熊田刑事が、部長刑事とともに一人前の犯人に仕立て上げていく…。


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大音響のチャイコフスキーの「白鳥の湖」をBGMに幕が開くと、木村伝兵衛が黒電話でがなりたてている。どこか憑かれたかのように陶酔的にも見える顔つきだ。その表情が一瞬にしてクールさと柔らかな笑顔を取り戻し、富山から赴任してきた熊田刑事を迎える。そこから物語は、水野朋子婦警や犯人・大山金太郎を加えて、物語の本筋部分へと入っていく。

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味方良介はソフトで若々しい伝兵衛だ。つば広帽子をかぶっている佇まいは粋でダンディー。木村伝兵衛部長刑事の取り調べ室では「ダンディー、おしゃれ」であることが重要だ。だからマイアミなんてアナクロな喫茶店を調査報告書に書き込むことは許せない。そんなポリシーがよく似合う味方・伝兵衛は、どこか爽やかでもあって、先達たちが演じた暑苦しいまでに自己主張する木村伝兵衛に比べると、少し俯瞰した眼差しを持つような、いってみれば優しさと包容力で事件をコントロールしていく木村伝兵衛像にも思える。長ゼリフを強引にまくし立てるところ、決めゼリフ、レトリック満載の言い回しなども、鮮やかにメリハリをきかせる。すでに言葉が完全に身体に入っているような余裕すら感じさせ、この大役に気負うところがなく真ん中に力強く立っている姿が頼もしい。
 
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熊田留吉の多和田秀弥は、長身で都会的な持ち味の中にのぞく素朴さが生きて、富山から出てきた野心家の若手刑事役を体当たりで演じている。伝兵衛の取り調べ方法に抵抗しながらも、次第に影響されていく素直さも見せながら、思い通りにならないとすぐに懐から銃を取り出し、ロシアンルーレットだ!と拳銃をぶっ放す。伝兵衛や水野婦警との丁々発止のやりとりではスピード感と勢いがあって、若さと野心と直情に燃えている。富山方言だけでなく、劇中で多和田自身の出身地、関西弁をまくしたてる場面もあり、笑わせ、泣かせ、ちょっとアホなところも可愛い熊田刑事だ。

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セリフが完全に消化されているという意味では、水野朋子婦人警官の文音も例外ではない。どこまで本音でどこまで芝居かわからないような、木村伝兵衛との曖昧な関係の中で、瞬間瞬間に立場を変えることで婦警としての水野の"できる女刑事"ぶりが見えてくる。文音はその切り替えを表情や声音で伝えてくる。スレンダーでよく動く体と清潔感のある佇まいが、今回のNEW GENERATIONバージョンの紅一点にふさわしく、後半の金太郎との再現場面のアイ子役では涙を誘う。

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そして、開幕から20分、お待ちかねの犯人・大山金太郎役、黒羽麻璃央が登場する。今回はイケメントリオと評されるほど美形揃いの『熱海』だが、ここまでイケメンな大山金太郎は、かつていただろうかというほどカッコいい登場ぶり。黒のサングラスが実によく似合う。それだけにそのあとのダサい素顔の金太郎とのギャップをどう見せるかと心配もあったのだが、なんと、あのイケメン大山はどこに?と思うほど、トロくて泥臭くて田舎出まるだしの工員へとみごとに変身してみせる。また、後半の水野婦警との再現シーンではとにかく泣かせる。泣いていいのだ、彼の存在は、人間の体にある感情を表に出すことを許してくれる存在なのだから。そんな金太郎の純情と狂気を、黒羽は全身で表現、容姿の良さというハンディを軽々と超えた役者魂を見せてくれる。

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この若い俳優たちを指導する岡村俊一は、つか作品の本質と、そこで生きるためにはどうしたらいいかを、適切なアドバイスと方向性で伝えるとともに、自由で懐の深い『熱海殺人事件』という作品を通して、俳優自身の魅力を、引き出し、育てようとしているのを強く感じる。この通し稽古でも、若さの爆発的な表現を信じて制御はしていないように見える。それどころか一緒に笑い、泣いて、怒って、ともに激しく生きて律動しようとしている。まるでそれが「つかこうへい」の舞台そのものだとでもいうように。
そしておなじみ定番の劇中曲以外にも最近の大ヒット曲を持ち込んだり、時事ネタ、メタファー、アドリブ、コント(?)、なんでもありの、息もつかせぬスピーディな展開の中で、この名作世界の真髄に一気に運んでいってくれる。
 
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この戯曲を、つかこうへいが書いてから40年以上経った。『熱海殺人事件』の内包する様々な問題、職業、国籍、経済などの格差や差別はなくならず、いや、むしろ深いゆがみやひずみとなってこの国の根底を揺らしている。だからこそ今、時代に楔を打ち込む作品として、『熱海殺人事件』の上演の意味を改めて感じるのだ。
その作品を、これから人生を戦う若く瑞々しい肉体を持った俳優たちで演じる。そう、まさにNEW GENERATIONの若者たちが演じる青春の舞台だからこそ、登場人物たちの生きる社会への怒り、悲しみ、そして切なさが、つかこうへいの言葉とともに、2017年の日本を撃つにちがいない! 新世代による『熱海殺人事件 NEW GENERATION』、必見の舞台である。

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2月19日更新 公演レビュー掲載しました。
http://kangekiyoho.blog.jp/archives/52019949.html



〈公演情報〉
 flyer

『熱海殺人事件 NEW GENERATION』
作◇つかこうへい
演出◇岡村俊一
出演◇味方良介、文音、多和田秀弥、黒羽麻璃央  
●2/18〜3/6◎紀伊國屋ホール
〈料金〉6,500円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東京音響 03-5774-3030
〈公式サイト〉http://www.rup.co.jp/atami.html
 

【構成/榊原和子 取材・文・撮影/竹下力】


ユナク(超新星)、ソンジェ(超新星)、イ・ジフン出演。韓国ミュージカル『INTERVIEW』




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トラッシュマスターズが演劇を切り口に現代を照射する新作!『たわけ者の血潮』上演中!

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現代社会が抱える問題を取り入れた骨太な人間ドラマでさまざま演劇賞を受賞するなど、発表する作品がつねに注目を集める作・演出家、中津留章仁。その最新作『たわけ者の血潮』が、主宰する劇団トラッシュマスターズによって、2月2日から開幕した。(12日まで座・高円寺1、2月18日・19日は福岡ぽんプラザホールで公演)

今回の作品は2015年に安保法制決議をタイムリーの扱った『そぞろの民』と同様に、「日本の民主主義とは何か?」を問いかけ、繁栄を求める一方で、格差やヘイトスピーチ、レイシズムなどが広がる現代日本の病理に深くメスを入れるものとなっている。
この舞台の初日が数日後に迫っているという時期に、稽古場に入ることができた。
 
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物語の舞台となる菅原家の居間は、どこか開放的で自由で、文化的なサロンのようにも見える。そこに出入りする登場人物たちは、その日、上演されたばかりの舞台の感想を皮切りに、日本や世界で起きていることや、自分たちの事情を語り合う。その中で、それぞれの立ち位置や思想が、中津留章仁の鋭い人間洞察によって赤裸々に浮かび上がってくる。

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川初夏、高橋洋介
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川初夏、林雄大、林田麻里、長谷川景、多田香織、森下庸之

翻訳家・菅原伊代理(川初夏)の家のリビングとして組まれたセットでは、重厚感のある家具が目に入る。中央に大きなソファがあり、下手側の一段高くなったところがこの家の主人で市議会議員である茂之(高橋洋介)の書斎となっている。
芝居はおもにこのアクティングエリアで行われるが、奥の通路も視界に入るようになっていて、家族たちの動きを見せ、それに伴う物語の進行に陰影を与えている。
 
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星野卓誠、林田麻里
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林雄大、長谷川景、林田麻里、森下庸之、多田香織

翻訳家の家で展開される話ということで、演劇人とその関係者が次々に登場する。
伊代理の弟で劇作家・演出家の阿久津一樹(星野卓誠)、伊代理の娘で女優の愛理(多田香織)、同じ劇団の俳優・藤丸英都(長谷川景)、新聞社に勤める劇評家の神戸(林田麻里)、その同僚記者の糸井(倉貫匡弘)。
それぞれ立場が違う人々が語る演劇論、その中で今の日本の演劇が抱える問題とともに、あらゆる表現の根幹に関する話へと切り込んでいく。

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川初夏、林雄大、森下庸之、多田香織、長谷川景、林田麻里
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 星野卓誠、倉貫匡弘、林田麻里

この一家の中で演劇とは無縁な存在が、この家の主人で市議会議員の茂之と、引きこもり同然で、ある法案へのデモ活動に参加する長男の康生(森田匠)。父と息子は政治的な立場では対立している。
また茂之の弟で公務員の紀之(林雄大)や、愛理の恋人で広告代理店勤務の大木(森下庸之)もこの家に出入りしていて、彼らの思想や信条も、上演された舞台への感想などを介して見えてくる。
そしてこの一家に大きな影を落としている亡き祖母、大女優だった阿久津佳苗という存在。この家の長男の康生が抱いている祖母への思いは、終盤になってこの一家に大きな揺さぶりをかけることになる。

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川初夏
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川初夏、星野卓誠、倉貫匡弘、林田麻里

そんな熱く息詰まるような稽古の合間に、作・演出の中津留章仁と、今回約2年ぶりにトラッシュマスターズに出演する女優・林田麻里に話を聞くことができた。

【中津留章仁インタビュー】 

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日本人の言葉の問題を、演劇の「発語」を切り口に描く

──この作品は演劇を切り口にテーマが展開されていきますが、そのモチーフとなったのは?
最近、新劇の劇団に書いて演出することが多くなって、僕がうちの劇団でやってきたことを、そのまま新劇の俳優さんに要望できるかというのが近年のテーマになっているのですが、そこで感じたことがあって。それは、数年前から他の作・演出家と話している中でも出てきていた話で、乱暴な言い方をすると日本の俳優はヘタだと。言葉をどう捉えていくかが日本の俳優は乏しいのです。その原因は色々あって、日本語の特徴である主語を抜くとか、動詞が後ろにくるとか、いわゆるスタニフラフスキーシステムに嵌まらないのです。そこで僕は、日本語用にアレンジして使うというのをここ数年やっていて、「発語」に特化したワークショップなども始めています。
──その「発語」の話などは、そのまま劇中で出てきますね。
僕がいつも俳優にダメ出ししているようなことが、台本の中に入っています。それと、たとえばネットの、いわゆるネトヨクとかパヨクとか言われる論争、そういう言葉とか文字の扱いについても取り上げてみようと思ったんです。話は逸れますが、たとえば野田(秀樹)さんが出てきた時代は、言葉の解釈を広げていた時代だと思うんです。昔、あるテレビ番組で野田さんが「人間は皮膚感覚で発語しないといけない」というようなことをおっしゃっていたのですが、そういう意味では、その後の日本社会は皮膚感覚の表面的な部分だけが一人歩きしてしまった。その結果、今の日本で言葉に関してどういうことが起きているかということを、芝居で表現しようと。俳優と劇団の話にしながら、人間が言葉を吐くときにどう間違っているか、どういう誤解があり、コミュニケーションの不全に陥っているかを、この芝居で見せようと思いました。
──今回の台本に様々な立場の人が出てきますが、自分の言葉に必ずしも自覚的ではないというようにも描かれていますね。
どこかから引っ張ってきた言葉を自分の意見でいう、そういう人が沢山いるのが今の日本です。思想がなく拠り所がない人間が、ネットや社会に参加するためにわかりやすい「ヘイトスピーチ」に集まる。でもほとんどの人間にとって、その思想は自分のものではなくて、二次的なものでしかないんです。
──そういう人間たちを暴いて見せていくような作品になるのですね。
共感を寄せたくなる登場人物がイヤに見えるように作ってあります。「あ、こういう人が自分だと思いたくない」という、そういう瞬間を作るのが僕の仕事なので、「ここまでよかったのに、なんでこうなる?」というように作っています。以前、ブレヒトと共通するものがあると言われたことがあって、いわゆる異化効果ですね。共感したいけど突き放されるということを大事にしています。
──最後に改めてメッセージを。
今、この社会を覆っているモヤモヤしたよく分からないもの、色々な複雑な思い、ちょっと言葉にできないような空気、それをこの芝居で、「こういうことか」と発見してもらって、少し整理してもらえるのではないかと思っています。そういう意味では、みんなが一番見たいものがここにあるのではないかと。あと、僕の今回のキャッチコピーは「鮮やかな手口」なんです(笑)。言葉や思想、人間、色々なものを鮮やかに暴く手口を観ていただければと思っています。

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【林田麻里インタビュー】

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言葉の話、演劇や世界の話、そして表現と自由の話が詰まっている

──今回の役柄は新聞記者で評論家を目指している女性ですね。
こういう役は初めてです。台本を読んだら知的で冷静さがあって、そして彼女自身の考えはあるとは思いますが、ストレートに主張しない。いわゆるバランサーで、色々な人の価値観をわかりたいし、わかるはずだと思っている人です。でも彼女自身も、自分のことがわかっているのか、その発している言葉とのズレも表現していけたらと。
──2年ぶりのトラッシュマスターズの印象は?
今回は中津留さんの目指すものや演出が、これまでとまったく変わっているのを感じます。ですから私としては、稽古場での共通言語を失っているというところからのスタートでした。中津留さん自身もおっしゃっていますが、「発語」に関しての演出が増えていて、以前とは使う脳が違います。まずその言葉の意味とその「発語」はイコールなのかと、そこから始まりました。そういう意味では、またトラッシュマスターズが進化していて、今までが役を作る作業だとしたら、もっと人間そのものを作るような作業です。
──その人間を作るという意味を、もう少し詳しく教えてください。
中津留さんはよく「その言葉は幹のほうではしゃべらないで」とおっしゃるのですが、その「幹」というのが私でいうところの役作りで、「この人はこういう人物だ」という、私自身の評価でしゃべるのはやめろという事なんです。つまり、その役作りが足枷になって「発語」が自由でない、せばまっているということだと思います。それから、「とにかくアクションをしろ」とおっしゃっていて、その言葉の意味ではないニュアンスを含んで相手に何かの影響を与えろと。「今のはアクションになってない。言っているだけだ」と言われます。話しながらも相手の様子を受動する事が始まっていて、そこから考え、欲求が生まれ、そしてまた発語する。人間とはその連続であるという事ではないでしょうか。
──女優・林田麻里にとって、また得るものが多そうですね。
沢山あります。トラッシュマスターズの変化は前回出演した『儚みのしつらえ』の時から感じてはいたのですが、そのあとの作品も、客席から観ながら進化を感じていました。その進化に付いていくのは大変ですが、私を拡げてくれる現場です。この作品には、言葉の話、演劇や世界の話、そして表現と自由の話が詰まっています。観てくださる方にもきっと身近に感じていただけると思います。
 
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〈公演情報〉
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TRASHMASTERS vol.26 『たわけ者の血潮』
作・演出◇中津留章仁
出演◇星野卓誠 倉貫匡弘 盒桐硫陝/慌射杷掘/硬直◆…甲川景 川初夏/林雄大 多田香織[KAKUTA] 林田麻里
●2/2〜12◎座・高円寺1 
●2/18〜19◎福岡ぽんプラザホール
〈料金〉一般[前売・当日共]4,000円 U25[25歳以下の方]2,500円(全席指定・税込)
※U25券は劇団前売り取り扱いのみ。当日受付にて身分証を提示。
〈お問い合わせ〉SUI 03-5902-8020 ※東京公演[11:00-17:00平日]
トラッシュマスターズ 090-7411-6916 trash@lcp.jp



【取材・文・撮影/榊原和子】

ユナク(超新星)、ソンジェ(超新星)、イ・ジフン出演。韓国ミュージカル『INTERVIEW』




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熱狂の舞台『ALTAR BOYZ』開幕前稽古場レポート!

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エッジィで知的な数々の作品を輩出してきたニューヨークのオフ・ブロードウェイで、で2005年のベストに輝いたロック&ダンス・ミュージカル『ALTAR BOYZ』が、日本初演メンバーの集結したTeamLEGACYと、フレッシュなメンバーと振付で挑むTeamGOLDの2チーム体制で上演されることになった(2月3日〜2月16日東京・新宿FACE、2月18日大阪・森ノ宮ピロティホール〈TeamLEGACYの出演〉、更にTeamLEGACY×TeamGOLDによる合同スペシャル公演が、2月24日〜2月26日東京・品川プリンス・ステラボールで上演)。

神と司祭に使える美しき5人の使徒たちがボーイバンド(ダンスボーカルグループ)を結成し、福音の歌とダンスで愛を説き、観客たちの魂を救うという設定の舞台は、人種差別、移民差別、ゲイ差別など、時代の難問を知的な比喩に変えて、展開されて2時間を駆け抜ける熱いもの。日本では、2009年東京・大阪・名古屋で初演、作品ファンも増え、今回、5回目の公演を迎える。LIVE SOUNDに乗って、SONG×DANCE×ACT!美しきアルターボーイズの熱狂が再びやってくるとあって、大きな期待と注目が集まっている。

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そんな作品に取り組むメンバーたち、「Team LEGACY」の東山義久、植木豪、中河内雅貴、森新吾、良知真次、「Team GOLD」の大山真志、法月康平、松浦司、常川藍里、石川新太、それぞれのチームの稽古は佳境に入り、連日熱い真剣勝負が繰り広げられている。その中から、「Team GOLD」の稽古の一コマを報告する。

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この日は、通し稽古のあと、演出の玉野和紀から細かいダメ出しが行われていた。玉野の台本の手元にはチェックを入れた付箋が山のように積まれていて、細かい指示の1つ1つにメンバーたちもメモを取りながら真剣に聞き入っている。

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そこから、繰り広げられるナンバーを追って、細かい振り固めの作業がはじまった。今回「Team GOLD」の振付はすべて一新されていて、躍動的でダンサブルな振付はスピード感にあふれ、ダイナミックな迫力に満ちていながら、実に細かいこだわりが込められていることが伝わってくる。

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特に印象的だったのは「何も間違っていないし、一生懸命で素敵だけれど、抜くところと見せるところのメリハリをつけよう」という指示。中でもアクセントに力強く入ることが何度も確認され、腕を突きだす振り1つにもただ突き出すのではなく、上からえぐるようになど、実に細かいニュアンスが加えられていく。

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しかも驚くのは、実際に通して踊ってみると、1カウントごとにすべて動きが入っているほど早く、その1つ1つを流さずに振動と反動を使ったアップダウンで進めるように、という要求がいかに身体全体の筋肉と瞬発力と神経を使うかがわかり、その地道な作業の積み重ねに圧倒される。

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それでいて、通す時には「間違うことを恐れないで良いから、ニュアンスとアクセントを大事に」という指示が飛び、細かい振付をメンバー5人それぞれが身体に入れて、更に魅せるところまで昇華していくことを目指していることが見て取れた。

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もちろん稽古場なので、手持ちのマイクに電源は入っていないが、大山真志の歌声などはまるでマイクが入っていると錯覚するかのように力強いのにはじまり、それぞれ個性的な美しい声が響き、実際に衣装をつけて、マイクも入った時の迫力が想像できるようで、ワクワクする。

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何よりも、日本全国が冷蔵庫に入っているかのようなこの真冬に、半そでのTシャツで汗を飛び散らせながら踊る面々は、当然暖房も入っていない稽古場で、更に暑さに耐えかねたように窓も全開にする状態。それもそのはず、まるで当然のように振り固めは1分の休憩もなく続いていくのだ。この厳しさに耐えられる情熱と、技術と、パワーがあるメンバーだけが、ライブの要素が多い『ALTAR BOYZ』の舞台に立つことができるのだなと、寒風の吹き込む稽古場の熱気に感嘆した。 

この努力のもと、新たな『ALTAR BOYZ』、更に高みを目指す舞台が生まれることだろう。そんな確信が高まる熱い時間だった。
 
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〈公演情報〉
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BEST OF OFF BROADWAY MUSICAL
『ALTAR BOYZ』
作◇ケビン・デル・アギラ
作詞・作曲◇ゲイリー・アドラー マイケル・パトリック・ウォーカー
演出◇玉野和紀
出演◇
「TeamLEGACY」東山義久 植木豪 中河内雅貴 森新吾 良知真次
「TeamGOLD」大山真志 法月康平 松浦司 常川藍里 石川新太
●2/3〜16◎新宿FACE
〈料金〉「TeamLEGACY」8,500円 (全席指定・税込 ※会場にて1ドリンク代500円別途必要)
〈料金〉「TeamGOLD」7,000円 (全席指定・税込 ※会場にて1ドリンク代500円別途必要)
 プレビュー公演 6,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉キョードー東京 0570-550-799 (11時〜18時)
●2/18◎森ノ宮ピロティホール ※「TeamLEGACY」キャスト
〈料金〉8,800円 (全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉キョードーインフォメーション 0570-200-888(10時〜18時)
●2/24日〜2/26日◎東京・品川プリンス・ステラボール(TeamLEGACY×TeamGOLDによる合同スペシャル公演)
〈料金〉8,800円 (全席指定・税込 ※会場にて1ドリンク代500円別途必要)
〈お問い合わせ〉キョードー東京 0570-550-799 (11時〜18時)




【取材・文・撮影/橘涼香】



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ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』公開稽古 古川雄大・大野拓朗・生田絵梨花・木下晴香 囲みインタビュー

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ジェラール・プレスギュルヴィックの作・音楽による『ロミオ&ジュリエット』が初演されたのは、2001年のパリのパレ・デ・コングレ。その後、各国を巡演し、世界的な大ヒットになったのは記憶に新しい。日本でも宝塚歌劇団が2010年に初演、そののちも何度も上演されている。

今回のミュージカル『ロミオ&ジュリエット』は、2011年に初演、13年の再演が好評を博し、この度の3演目では、潤色・演出の小池修一郎の指揮のもと、ほぼ全配役を刷新。さらに衣装、音楽、演出を含め、装い新たな『ロミオ&ジュリエット』が、2017年1月15日から3月5日まで、東京と大阪で上演される。そんな公演の舞台稽古と囲み取材に立ち会うことができた。

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【あらすじ】
イタリアのヴェローナのキャピュレット家とモンタギュー家は古より憎しみあい争いを続けてきた。その争いに終止符を打とうとヴェローナ大公は「今後、争いごとを起こしたものを処する」と言いわたす。そんなある日、キャピュレット家ではひとり娘のジュリエットに大富豪パリス伯爵を求婚者として紹介しようと舞踏会を開催。そこへ、モンタギュー家のひとり息子のロミオがベンヴォーリオとマーキューシオと共に忍び込む。その舞踏会でロミオとジュリエットは、運命的な出会いを果たし、一目ぼれの恋に落ちた。彼らは、両家の諍いを乗り越え、バルコニーで愛をかわし、そしてロレンス神父のもと密かに結婚式をあげるのだが……。

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この日の公開稽古で観劇できたのは、「いつか」「バルコニー」「世界の王」という3曲を歌うシーンだったが、それだけでも、壮大でいて緻密、パセティックでありながらロマンティックな、ジェラール・プレスギュルヴィックの歌の世界観を見事に表現していることがわかる。

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最初の「いつか」は、ロミオ役の古川雄大、ジュリエット役の木下晴香がデュエット。愛の重要性を説くという内容の歌なのだが、イントロから甘酸っぱく、そして雄大なストリングスが曲を引っ張っていく。
ロミオの古川は、繊細でいて震えるような深いバリトンを稽古場中に響かせて、聴くものの動きや息までも一瞬止めてしまうほどの求心力。古典的な美しさもある容姿が、シェイクスピアの中の青年そのもので、かつて演じた経験も糧にして余裕のある役作り。もうすでにそこには、ジュリエットへの愛のために、幾多の困難に戦いを挑む、激しく勇ましいロミオが存在していた。
 
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ジュリエット役の木下は、舞台初挑戦だが、演出の小池修一郎が「テレビの歌番組で観て高校生ながら突出した歌唱力と新鮮さに懸けました」と言っていたように、抜群の歌唱力で圧倒する。可憐でありながら恋に誇らしげに、それでいて愛を求めて弱くもなるジュリエットの姿がそのものだ。

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次の「バルコニー」は、清々しいイントロが印象的なアコースティックギターのナンバーで、2人の間にある純粋な愛を、ギターのスタッカートが美しく表現する。ここはロミオ役の大野拓朗と、ジュリエット役の生田絵梨花のデュエット。『ロミオ&ジュリエット』でも最も知られていると言っていい、ロミオがバルコニーで愛を告白する有名な場面で、さらにキスシーンもあり、感情の揺れやそれに伴う動きが要求される難しいシーンだ。
ロミオ役の大野の歌声は、迫力があって豪快そのもの。4年間この役が来るのを待ちわびていたという彼の熱気がほとばしって、愛のために危険も顧みず、ジュリエットの窓辺に昇っていくロミオの姿に、思いをぶつける大野自身の像が重なる。

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またジュリエットの生田絵梨花は、危険を冒して会いに来てくれたロミオへの喜びと、家族に見つかるかもしれないという危機感の間で揺れ動くジュリエットの気持ちを、伸びやかな歌と演技で鮮やかに表現してみせた。

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最後の「世界の王」は、大勢のダンサーやキャストが集まって歌うナンバー。
ロミオ役の古川雄大を中心に、ベンヴォーリオ役の馬場徹、マーキューシオ役の平間壮一とともに、アンサンブルやダンサーたちが入り乱れて歌い踊る。
この曲は、モンタギュー家のロミオたちが、キャピュレット家との争いにうんざりしながら、大切なのは諍いを超えて一つになることだと宣言する現代的なテーゼであり、シェイクスピア時代から今に至るまで続いている永遠のテーマだ。

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前の2つのナンバーとは違い、体を思わず動かしたくなるアクロバティックな曲で、ダンサーたちが、振付けのKAORI alive、AKIHITO、小㞍健太による現代的なダンス、つまりブレイク・ダンスや、ヒップホップ・ダンスを激しく踊りながら歌う。アップテンポな曲調で、踊りながら歌うその激しさは、呼吸できないのではないかと心配になるほど。

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ベンヴォーリオ役の馬場徹は、激しい動きをしながらも、歌詞がはっきりと聞き取れる澄み渡った声が印象的。また、マーキューシオ役の平間壮一の独特なシャウトは、ロバート・プラント、フレディ・マーキュリーといったロックスターのようで格好いい。
 
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このエネルギーとパワーが要求される曲を、大勢のダンサーたちとともに全身で歌い踊り抜く古川・馬場・平間。曲が終わった瞬間の、全員の激しい呼吸音が耳にいつまでも残っていた。

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この3曲だけでなく。観終わった後に、思わず口ずさみたくなるような、ポップで現代的な歌が散りばめられたミュージカルだけに、劇場に足を運んで、聴いて、観て、感動してほしい名作舞台だ。


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【囲みインタビュー】

このミュージカル『ロミオ&ジュリエット』の公開舞台稽古で、囲みインタビューが行われ、古川雄大、大野拓朗、生田絵梨花、木下晴香が登壇した。

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古川雄大
キャストやスタッフはみなさん実力派なので、稽古場にいるだけで、刺激をいただいている毎日です。改めて、ロミジュリ・チームに入れて幸せですね。再演の時にロミオをやらせていただきましたが、心も体もいっぱいいっぱいで、余裕がなくて至らない点ばかりで落ち込みました。ただ、あれからいろいろなミュージカルに出させていただいて、努力し、修業し、自信を取り戻すことができたので、いまはやる気に満ちています。見どころは全部ですが、あえてあげるとすれば、ダンスですね。振付けの方が3人いて、とてもパワフルなものから繊細なものまで、バラエティ豊かで魅力的です。演出の小池修一郎先生には何度もお世話になっていますが、今回は特に力が入っていて、細かく的確な指摘がたくさんあり、勉強させていただいています。3演目ということで、新演出でキャストも入れ替わり、セットも衣装も変わって、新しい『ロミオ&ジュリエット』が生まれようとしています。みんなで一丸となっていいものを作ろうとしていますので、ご期待ください。
 
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大野拓朗
4年前の初演の時から大好きな演目で、初演と再演も個人的に観劇しています。生涯で一番回数を観たミュージカルが、この『ロミオ&ジュリエット』だと豪語しています(笑)。初演のCDもすぐに購入して、カーステレオで毎日聴いて歌っているのがストレス解消法で、日々の楽しみでした。初めて参加させていただいて、しかも自分がロミオとしてその曲を歌えるのは、ものすごく光栄なことです。古川くんが言ったように、演出が大幅に変わっているのに、ダンサーさん、キャストさんたちのパワーは変わらないというか、より熱くなっているんです。それは曲の良さもあって、ノリが良かったり、感動的だったり、メロディがものすごく綺麗だったりと、どの曲を聴いても頭に残るし、観終わった後に、あの曲は良かったな、歌いたいなと口ずさむ曲ばかりだからだと思います。僕は小池先生の演出の美的感覚が、ミュージカル・ファンとして大好きで、とくに視覚の美しさが先生は抜群だと思っています。自分が演出を受けてみると、体の開き方、動き方、すべてを丁寧にご指導していただいているので、美しく演技できる方法を体に覚え込ませている段階です。その稽古を乗り越えて、観に来てくださった方々の一生の思い出に残るような素敵な舞台にしたいです。

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生田絵梨花
再演を観てから、ずっとやりたいと思っていた『ロミオ&ジュリエット』で、ジュリエットを演じられることにびっくりしています。今までは、ジュリエットの儚さや切ない部分が多く見えていたのですが、演じれば演じるほど「芯の強さ」を出して行く必要があると思いました。ジュリエットの葛藤を常に考えて強く演じられたらと。今回はアイドルとして参加しているわけではないので、ラブシーンがあっても身をゆだねる覚悟です(笑)。ファンからは応援の言葉や気遣いの言葉をくれるので、その信頼を演技で恩返ししていけたらと。このミュージカルの私のオススメは音楽です。ただ、歌う側としては、シェイクスピアの長ゼリフが歌詞になっているので情報量も多いし、転換のスピードが早いので、ちゃんと気持ちがついていくようにしたいです。これからの稽古でもっと気持ちを爆発させるようになれたらいいですね。私たちの歌を乃木坂46のメンバーも楽しみにしていて、私以上にドキドキしているぐらいです(笑)。何回も観に行くよって言ってくれています。嬉しいですね。小池先生の演出は、直さなくてはと思っていたところは、必ず指摘してくださるし、気づかなかったところまでダメ出しをしてくださるので、毎日お話ししていると、新しい発見ばかりです。必死についていって身につけたいと思います。現代版の『ロミオ&ジュリエット』ですので、自分の中にあるシェイクスピアのジュリエットのイメージを一度壊して、稽古場でいろいろ試して、今の私たちのエネルギーをぶつけていきたいと思います。

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木下晴香
初めてこんなに大きな舞台に立たせていただくので、楽しみと不安と戸惑いでこんがらがった状態で稽古場に入りました。けれど、優しい先輩や先生にフォローしてもらいながら、毎日自分の課題と向き合って戦って千秋楽まで乗り切りたいです。自分とジュリエットの同じところと違うところをしっかり研究して毎日取り組んでいますが、わからないところは、生田さんに相談しながら作り上げています。ジュリエットは強い意志を持っている女性で、その部分を素直に演じていけたらと。稽古場ではダンスに衝撃を受けました。キャストもダンサーの皆さんも、エネルギーに溢れていて、すごい迫力ですから、楽しみにしていただきたいな。小池先生の演出は、細かく動きをつけてくださるので、わかりやすいのですが、最初は段取りを覚えるだけで必死でした(笑)。でも、自然に演技ができるように、これからどんどん稽古を頑張っていきたいと思っています。

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〈公演情報〉
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ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』
原作◇ウィリアム・シェイクスピア
作・音楽◇ジェラール・プレスギュルヴィック
潤色・演出◇小池修一郎
出演◇古川雄大/大野拓朗、生田絵梨花/木下晴香、馬場徹/矢崎広、平間壮一/小野賢章、渡辺大輔/広瀬友祐、大貫勇輔/宮尾俊太郎 ほか
●2017年1/15〜2/14◎TBS赤坂ACTシアター
〈料金〉S席13,000円、A席9,000円、B席5,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉梅田芸術劇場(東京) 0570-077-039
●2017年2/22〜3/5◎梅田芸術劇場メインホール
〈料金〉S席13,000円、A席9,000円、B席5,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉梅田芸術劇場メインホール 06-6377-3800
〈公式サイト〉http://romeo-juliette.com




【取材・文・撮影/竹下力】









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傑作戯曲『スルース〜探偵〜』合同取材会レポート

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新納慎也、西岡馬、音尾琢真、深作健太

ヒッチコック監督の『フレンジー』、アガサクリスティ原作の『ナイル殺人事件』など、数々の映画脚本でも知られるアンソニー・シェーファーによる傑作戯曲『スルース〜探偵〜』が、パルコ・プロデュース公演として11月25日〜12月28日、新国立劇場・小劇場にて上演されるが、この作品の合同取材会が11月16日、東京・新宿区内の稽古場にて行われた。

本作品は1970年に書かれたサスペンスで、ロンドンとニューヨークでロングランを重ねたのち、71年にはトニー賞演劇作品賞やエドガー賞を受賞。72年にローレンス・オリビエ、マイケル・ケインの出演で映画化され、アカデミー賞3部門でノミネートされている。日本では73年に劇団四季によって初演され、その後も繰り返し上演されている傑作だ。
登場人物は、ミステリー作家のアンドリュー・ワイクと、その妻の浮気相手である若い男のマイロ・ティンドル。イギリス的ブラックユーモアとウィットの効いた会話によって進むストーリーは、虚実入り混じる騙し合いの中に数々の伏線を潜ませ、あっと驚くトリックと逆転に次ぐ逆転の連続という、サスペンスの醍醐味を存分に味わえる。

【STORY】
マイロ・ティンドルはある日、著名なミステリー作家のアンドリュー・ワイクから呼び出しを受ける。実はマイロは、アンドリューの妻とひそかに付き合っていたのだ。不倫の追及を受けるものと思っていたマイロだったが、アンドリューは「浪費家の妻にはほとほと困り果てていた」「私にも素敵な愛人がいる」と切り出し、自宅の金庫に保管している宝石を泥棒に扮して盗んで欲しいと言い出した。宝石には盗難保険がかかっているため、双方に利益があるという言い分であった。あまりにも虫の良い話だったが、金銭的に厳しいマイロはアンドリューの筋書きどおりに、珍妙な手順で宝石を盗み始めるが…。


【取材会インタビュー】

この日の合同取材会に登壇したのは、演出の深作健太、出演の西岡馬、新納慎也、音尾琢真の4名。西岡演じる老作家アンドリュー・ワイクと対峙するマイロ・ティンドルの役には、新納慎也(探偵バージョン)とTEAM NACSの音尾琢真(スルースバージョン)の2人がWキャストで挑む。新納と音尾はこの日が初対面。ダブルキャストという形でのキャスティングもそれぞれ初めてで、さらに実年齢でも同学年とあって、会見前から微妙な牽制が始まり、記者たちを沸かせる中で合同取材会は始まった。

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深作健太(演出)
僕自身大好きなこの『スルース』という作品を、十代の頃から尊敬している俳優の西岡馬さん、そして新納慎也さん、音尾琢真さんという素晴らしい方々とご一緒させていただき本当に嬉しく思います。日々白熱した稽古場で、芝居が育っていくのを実感しています。西岡さんの相手役は新納さん、音尾さんのWキャストですが、演出や衣装だけでなく根本的なキャラクターまで全て違うものになっています。上演時間もかわってくるのではないかというくらい、それぞれが違ったアプローチをしているので、それにより西岡さんの芝居も変わっています。稽古場では、まるで2人の俳優さんの格闘技を見ているような感覚で見守っています。本番をぜひ楽しみにしていてください。

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西岡馬
この『スルース』は、70 年代に映画を見てからずっとやりたいと思っていた作品です。ですが、なかなか実現されることなく年月がたってしまい、若い男マイロ・ディンドルの役はもう無理かなと諦め、老作家アンドリュー・ワイクの役でも実現させたいと思っていたところに、このお話をいただきました。神様からのプレゼントだと思っています。私の人生の中でこの役ができることが光栄と思うくらい熱が入っています。登場人物が少ない作品なので相手役が重要にですが、ぜひこの方でと思っていたおふたりと今回ご一緒することができ、幸せです。新納さんの公演と、音尾さんの公演、どっちがお薦めかをよく聞かれます。そのどちらもお薦めです!  違う作品だと思って楽しんでいただきたい。『スルース』とはずばり探偵という意味ですが、この舞台に探偵は出てきません。探偵はご覧いただく観客の皆さんなのです。探偵のように推理して、想像しながら見ていただきたいと思います。この作品はある女性を巡るお話で、それは私アンドリューの妻であり、おふたり(新納・音尾)にとっては愛人でもあるのですが、この女性も出てきません。でも、舞台に出てこないこの女性の姿形がお客さんの脳裏に浮かんで見えたら、この作品は成功だと思っています。ぜひ劇場に足をお運びください。

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新納慎也(W キャスト:探偵バージョン)
これまで大人数での芝居が多かったので、この作品のように少人数で、濃密な作品に出演してみたいと思っていたのです。でも、稽古の顔合わせの時に西岡さんが、僕が演じるマイロ・ディンドルをずっとやりたいと思っていたと聞いて、プレッシャーで逃げ出そうかと思いました(笑)。W キャストでの出演は初めてで、W キャストってどんな気持ちなんだろう?と想像していましたが、こんな気持ちなんだと最近は実感しています。でも説明できません!(笑)在稽古が真っ最中で、毎日楽しくて叫びたいくらいで、細胞が生き生きしている感じがします。この傑作推理劇の引き込まれる展開を、ぜひ新国立劇場の濃密な空間で、同じ空気を吸いながら感じてほしいと思います。ただ、僕の演じる探偵ーバージョンを見に来て「面白い」と思ってくれたお客さんは、音尾さんの演じるスルースバージョンも見に行けますよね。でも、その逆はできないのです……スルースバージョンが面白くても、もう探偵バージョンは観れない! ですから、後悔しないためにも探偵バージョンを先に見ておく方がいいと思いますよ(笑)。

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音尾琢真(W キャスト:スルースバージョン)
新納さんと同じく、僕もWキャストは初めてです。西岡さん、新納さんは先に稽古に入っていて、すごく不安なのでとりあえず台詞だけは早く覚えようと頑張って覚えたら、最初の稽古で皆さんにすごく褒めてもらえたのです! ところが、音尾は大丈夫だと思われたのか、逆に稽古日数を減らされてしまいました。制作スタッフの皆さん、大丈夫じゃないです!(笑) 濃密な稽古を僕にもさせて下さい!(笑)新納さんは今日が初対面ですが、同じ役を演じる同士、そして同じ歳ということでますますライバル心が芽生えています! お互いの本番を見るか、稽古を見るかなど探り合っていたら、西岡さんが「見ちゃえばいいんだよ!相手の良いトコ取りすれはいいんだよ!」とおっしゃっていました(笑)。そんな西岡さんですが、僕と新納さんそれぞれを相手に稽古する超人であり、大きな器で受け入れてくれる懐の深い、怪物のような俳優さんです。必ず最高の作品になると思うのでぜひご覧ください。


〈公演情報〉
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パルコ・プロデュース公演 
『スルース〜探偵〜』
作◇アンソニー・シェーファー  
演出◇深作健太
出演◇
探偵バージョン/西岡馬 新納慎也、
スルースバージョン/西岡馬 音尾琢真(TEAM NACS)
●11/25〜12/28◎新国立劇場・小劇場
●2017/1/14◎福岡 ももちパレス(スルースバージョン)
●2017/1/16◎名古屋 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール(スルースバージョン)
〈お問い合わせ〉パルコ・ステージ・インフォメーション 03-3477-5858(月〜土11:00〜19:00/日・祝11:00〜15:00)




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