稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

『Like A Room 002』

稽古の現場

カムカムミニキーナ平成最後の公演『偽顔虫47』〜名探偵浅草小五郎と演劇探偵団〜 稽古場写真が到着!

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ハイテンションでテンポのよい笑い、壮大な物語へと観客を引き込む独特の作風、演劇ならではの奇想天外な世界…作・演出の松村武の博覧強記な才能と劇団員の個性豊かな表現力で、次々に演劇の地平を広げている劇団カムカムミニキーナ。
今年5月には北陸の地からインスピレーションを受け、彼の地にまつわる「蝶」と「貝」をキーワードに作劇した『蝶つがい』で、幻想と現実が交錯するファンタジックな カムカムワールドを展開した。
そのカムカムミニキーナが、12月15日からレトロな街浅草で、大正・昭和を背景にノスタルジックなミステリー『偽顔虫47』を上演する。 

【メッセージ】 
平成二年に旗揚げした我々カムカムミニキーナは、まさに平成という時代と共に歩んでまいりました。
その平成が来年で終わり、新しい時代がやってきます。
この年末は平成最後の年の瀬、そして平成時代最後の劇団公演となります。
かつて1か月24時間演劇『鈴木の大地」など、フェスティバル的演劇を多数やってまいりましたカムカム。
久々に「2本立てプラス1day即興LIVE」という、お祭り騒ぎで師走の浅草を駆け抜けます。
この節目にお送りする物語は、まさに時代の節目となった大正〜昭和の時代。
浅草を舞台に展開する迷宮ミステリーの世界…
暗闇の時代が迫りくる帝都浅草。謎の怪人が操る恐怖の偽顔虫。
次々と渦巻く陰謀に挑む、名探偵浅草小五郎と僕らが演劇探偵団。

【『偽顔虫47』は2本立て+1day LIVE】

1本目「上巻 闘魂炎上の段」〜吉良上野介vs47人の少女過激団〜
田舎から浅草に上京した47人の少女歌劇団 
彼女達には仇討ちという秘かな使命があった。
そんな中、政府の有力者吉良氏の娘が何者かに誘拐される・・・

2本目「下巻 霊魂拡散の段」〜ゴースト軍曹の復活に踊る虫酸夫人〜
世論を押し切り政府によって強硬開催される世界浪漫博覧会
墓場から蘇った正義の軍曹がその妨害を画策する。
一方、偽顔虫によって変性した吉良夫人は、人間離れした能力を示し始める・・・

3本目「特典LIVE巻  一夜漬夢の段」〜フジミの宴、平成最後の年越しの夜〜  
すべてが終わったかに見えて百年以上の時が経つ平成最後の大晦日
生きる亡霊たちが集い、その場しのぎの絡みをしながら、
歌ったり踊ったり、泣いたり笑ったり、意外な人も乱入したりしなかったり
この日はお客様もご一緒に楽しんでいただくLIVEと銘打ち、
演劇というよりは、もう演劇とかでなくてもいいだろって感じで
何かしら、劇世界を肴に楽しみましょうかね。

※各公演1本だけ観ても楽しめる作品になっております!通しで見ればより楽しく!!

 
 【稽古場フォト】
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ダンディな演技派・客演の姜暢雄 

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客演というよりもはや常連・清水宏 

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かの人気グループの華・杏子も客演!

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カムカムの看板女優といえばこの人・藤田記子

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病からめでたく帰還!作・演出の松村武

〈公演情報〉
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劇団カムカムミニキーナvol.67
『偽顔虫47』〜名探偵浅草小五郎と演劇探偵団〜
作・演出◇松村武
出演◇藤田記子 亀岡孝洋 長谷部洋子 渡邊礼 田原靖子 未来 栄治郎 元尾裕介 菊川耕太郎  柳瀬芽美 大倉杏菜 福久聡吾 スガチヅル 清水芳成 梶野春菜 岩坪成美  宇野仁美 松田るか 丸山雄也 リュウ・シンヤ
松村武
ゲスト出演者◇姜暢雄 清水宏 杏子

●12/15〜20◎浅草九劇
「上巻 闘魂炎上の段」〜吉良上野介vs47人の少女過激団〜

●12/22〜28◎浅草九劇
「下巻 霊魂拡散の段」〜ゴースト軍曹の復活に踊る虫酸夫人〜

●12/29◎浅草九劇
「特典LIVE巻  一夜漬夢の段」〜フジミの宴、平成最後の年越しの夜〜  

〈各公演料金〉5,000円 (全席指定・税込) 
○12/29のみ特別LIVE巻チケット4,500円(税込)
○通し券 上巻1ステージと下巻1ステージの組み合わせ  9,000円(税込)
(上巻下巻とも日時を選択して指定。取扱は劇団のみ)
○U25 3,900円(税込)
(25歳以下の限定割引。当日年齢のわかる身分証を提示。取扱は劇団のみ)
2018年10月27日(土)AM10:00  前売開始
〈お問い合わせ〉カムカムミニキーナ
 




『Like A Room 002』


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ケラリーノ・サンドロヴィッチの新作KERA・MAP#008『修道女たち』間もなく開幕! 稽古場レポート

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結成25周年を迎えた劇団ナイロン100℃の公演として、本年4月に『百年の秘密』を再演、7月には新作『睾丸』上演と、次々にクオリティの高い舞台を発表。まさにとどまるところ知らない作・演出家、ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)。その最新作、KERA・MAP#008『修道女たち』が、10月20日〜11月15日、東京・下北沢 本多劇場で上演される。(そののち11月23・24日@兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール、12月1・2日@北九州芸術劇場 中劇場で公演)

今回のテーマは、KERAにとって「未知の領域となる宗教」(えんぶ10月号のロングインタビューより)。タイトル通り、信仰に生きる女性たちが登場する物語だ。
 
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キャストは、村の女に鈴木杏、修道女6人は、緒川たまき、伊勢志摩、伊藤梨沙子、松永玲子、犬山イヌコ、高橋ひとみ、そして村の男の鈴木浩介、みのすけ。7人の女優陣と、2人の男優がどんな物語を繰り広げるのか、膨らむ期待を胸に、9月下旬に行われた公開稽古を見学した。

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『修道女たち』の背景は、「時代設定は100年以上前の予定」(えんぶロングインタビューより)で、場所は修道女たちが巡礼にやってくる山の麓の「山荘」となっている。
この「何時ともわからない時代の架空の場所」というシチュエーションは、KERA作品のカテゴリーで言えば、昨年の『ちょっと、まってください』や、今年の『百年の秘密』に連なるKERA的ファンタジーの系列にあって、いわばシュールな展開でも成立させてしまう大きなファクターになっている。そしてこの『修道女たち』も、そんなシュールさを予感させた。

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最初の稽古場面は山荘の内部。外は銀世界、部屋では暖炉が燃えている。その前でテオ(鈴木浩介)が手紙を読んでいる。そこにドアを開けて外からオーネジー(鈴木杏)が帰ってくる。薪置き場に薪を取りに行っていたのだ。

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オーネジーは巡礼にくる修道女たちとの再会に気もそぞろで、テオが話しかけてもほとんど上の空。ただ2人の会話から親しい関係性であることはうかがえる。オーネジーは無邪気なのか冷淡なのか…少女の可愛さと女の残酷さを矛盾なく併せ持つ鈴木杏にぴったりの嵌まり役だ。
山荘へやってくる修道女たちに窓を開けて呼びかけるオーネジー。修道女たちが到着し、オーネジーは迎えに飛び出していく。その直後、ある異変が…物語の展開がますます気にかかる。

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次のシーンまでの合間に、この日に出来上がった台本部分の本読みが行われる。緒川たまき、伊勢志摩、伊藤梨沙子、松永玲子、犬山イヌコ、高橋ひとみ、6人の修道女たちの会話で、初見の台詞だが、すでに役柄が入っているキャストたちは、それぞれの役に乗せて読み上げていく。
演出家KERAは、台詞の意図や言い方のニュアンスなどを細かく指示、その場面の方向を示していく。2回ほどの本読みの中で場面が見えてくるのは、やはり実力派の役者揃いだからだろう。

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次の稽古場面はこの作品のオープニング部分。これからいよいよ巡礼に出かける修道女たち。
修道院長のシスター・マーロウは伊勢志摩が演じていて、実直で慈愛を感じさせるキャラクターだ。しっかりもののシスター・ノイは犬山イヌコ。オーネジーと親しいシスター・ニンニは緒川たまき。ニンニは繊細で優しい女性だが、それだけではないようだ。シスター・アニドーラは松永玲子で、この6人の中では比較的冷静にものごとを捉えているように見える。

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まだ修道院に入ったばかりのシスター・ダルとシスター・ソラーニは母娘の関係で、高橋ひとみと伊藤梨沙子が演じる。二人の関係にも何か一筋縄ではいかない空気が漂う。この6人の修道女たちが、これからどんなふうに絡み合い、物語を動かしていくのか。まだ見えてない顔もありそうな6人だけに、より興味がそそられる。

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修道女たちが出発しようとしているところに登場するのが、みのすけが演じるテンダロ。テンダロとシスター・ニンニの会話からある出来ごとが展開されるが、物語の背後にあるどこか不穏なもの、それが一気に姿を現したようなインパクトある場面となった。

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修道女たちの浮き世離れしたような会話の中に人間くさい欲望や衝動がうかがえたり、素朴な村の風景の中に不穏さが垣間見えるような、『修道女たち』の作品世界。修道女たち、いや宗教というものを通して、またケラリーノ・サンドロヴィッチが未知の領域に踏み込んでいく。それを目撃する確かな予感を感じた稽古場となった。
 
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【KERAのコメント 『修道女たち』フライヤーより】 
宗教とは無縁な私が聖職者の物語を描きたいと欲するのは何故なのだろう。理由はいくつでも挙げられる。
 第一に、禁欲的であらねばならぬというのが魅力的。奔放不覊な人間を描くよりずっと面白い。「やっちゃいけないことばかり」というシチュエーションは、コントにもシットコムにももってこいだ。
 第二に、宗教的モチーフが、シュールレアリズムやマジックリアリズム、或いは不条理劇と非常に相性がよい。不思議なことがいくら起こっても、「なるほど、神様関係のお話だからな」と思ってもらえる。
 時間が無くて二つしか思い浮かばなかったが、かつて神父を登場人物にした舞台をいくつか描いてきた私が、満を持して修道女の世界に挑む。しかも複数だ。修道女の群像劇である。どんなテイストのどんなお話になるかは神のみぞ知る。ご期待ください。

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〈公演情報〉
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KERAMAP #008『修道女たち』
作・演出◇ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演◇鈴木杏 緒川たまき 鈴木浩介 伊勢志摩 伊藤梨沙子 松永玲子/みのすけ 犬山イヌコ 高橋ひとみ
●10/20〜11/15◎下北沢 本多劇場  
〈料金〉7.400円(全席指定・税込) 学生割引券  3.800円チケットぴあ前売のみ取扱・税込) 
〈東京公演チケット一般好評発売中!〉
●11/23〜24◎兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
●1/1〜2◎北九州芸術劇場 中劇場
〈お問い合わせ〉キューブ  03-5485-2252(平日12時〜18時)



【取材・文/榊原和子 撮影/友澤綾乃】


舞台『銀河英雄伝説』


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太鼓芸能集団 鼓童が新作公演『巡‐MEGURU‐』特別公開リハーサル公開!

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太鼓芸能集団 鼓童が、新作公演『巡‐MEGURU‐』で、11月からの全国ツアーを行う。
鼓童は太鼓を中心とした、伝統的な音楽芸能に無限の可能性を見いだし、現代への再創造を試みる集団で、クラッシック・ロック・ジャズ等、異なるジャンルの優れたアーティストとの競演、世界の主要な国際芸術祭、映画音楽等に参加し、佐渡島における鼓童の創造的な活動・ライフスタイルやその理念は、世界のアーティストや芸術関係者から注目を集めている。
 
本新作公演 『巡-MEGURU-』 は、鼓童メンバーの住吉佑太が初めて演出を担う。住吉は2010年に鼓童研修所に入所した当初より、演出として参加していた坂東玉三郎氏の指導を受け、2013年から鼓童のメンバーとして、「大太鼓」やソリストに抜擢されました。また、演奏だけではなく作曲やアレンジなどでも才能を発揮し、鼓童のサウンドメーカーと称されている。
 
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 住吉佑太

本作の楽曲も全て新作で、住吉が生まれ育った香川に伝わる獅子舞や徳島の阿波踊り、栃木や群馬に伝わる八木節や岩手に伝わる鬼剣舞など、多くの郷土芸能をさりげなく織り込み再創造することにより、住吉特有の音楽世界が鼓童の太鼓音楽をさらに広げていく。ほかにも鼓童が長年演奏してきた「三宅」をさらに昇華させた楽曲、西洋音楽的なアプローチで作り上げたリズムアンサンブルや即興曲等、全て本作の為に作曲され、今までにない試みが凝縮されている。この新たな才能が、鼓童を未知なる世界へ飛躍させていくことになるだろう。

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11月からの全国ツアーに先駆け、4月22日、鼓童の本拠地である新潟県佐渡市の両津文化会館にて、『巡-MEGURU-』の特別公開リハーサルを行い、そのレポートが届いた。

【公開リハーサルレポート】
鼓童の新時代が始まった。
2012年から昨年まで、新作公演を連続演出してきた坂東玉三郎に代わり、今回は玉三郎の下で才能を開花させた鼓童メンバーのひとりで、弱冠26歳の住吉佑太が演出を担当。自身の作曲によるテーマ曲『巡』を中心に、ポップな現代性に富む、全10曲を初披露した。
主旋律にマリンバを使用する大胆さが印象的な『巡』は、「太鼓への固定概念を取り払い、若い人たちにもおもしろがってもらいたい」という住吉の願いを反映した、軽快で親しみやすいノリが基調。気ら犬泙任梁榛未淵凜.螢─璽轡腑鵑鯏験させながら、間に鼓童の看板レパートリー『三宅』を進化させた『祭宴』(作曲は中心メンバーの中込健太)など、和太鼓乱打のグルーヴ感溢れる作品をはさみ、圧倒的な迫力で、客席の期待を凌駕してみせた。
「いろいろ課題はありますが、まずはよかった。みなさんの意見を伺って、完成を目指します」と住吉。今年11月の本番に向けて、確かな手応えを感じたようだ。
(文:演劇ジャーナリスト 伊達なつめ)

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〈公演情報〉
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鼓童『巡-MEGURU-』
演出◇住吉佑太    
出演◇鼓童
●11月より日本全国ツアー 
●12/19〜23◎文京シビックホール大ホール
〈お問い合わせ〉鼓童 0259-86-3630  

 


『銀河鉄道999』お得なチケット販売中
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 【撮影:岡本隆史】 

紀伊國屋ホール2月恒例つか作品『熱海殺人事件』味方伝兵衛と石田刑事が激突!?

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新宿・紀伊國屋ホールの2月の恒例となっているつかこうへい作品、今年は『熱海殺人事件』の上演45周年を記念して、副題に「CROSS OVER 45」と銘打っての上演となる。
1973年に文学座に書き下ろされたこの戯曲は、当時の若者の熱狂的な支持を受け、翌年、つかは史上最年少での岸田國士戯曲賞を受賞している。その後もキャストごとにバージョンを変えながら、『熱海』は紀伊國屋ホールとともに生き続けてきた。そして2010年、つかこうへい死去。だがその魂と意思は演出家の岡村俊一に引き継がれ、紀伊國屋ホールでの『熱海殺人事件』は、装いも新たに毎年のように上演され、様々なバージョンでスターを生み出し続けてきた。
 
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今回、2度目の木村伝兵衛部長刑事役をつとめるのは味方良介。昨年、史上最年少24歳でこの大役を演じ、新世代の伝兵衛、若さと熱さで勢いのある伝兵衛として清新な風を吹かせ、次代のスターへの大きなステップとした。

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富山から東京警視庁に栄転してきた熊田留吉刑事には、2016年に、これもつかの名作の1つ『新・幕末純情伝』で、坂本龍馬役に挑み、花も実もある役者ぶりを披露したNON STYLEの石田明。


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取り調べ室の紅一点、水野朋子婦人警官役には、AKB48を退団して今作が本格的な女優デビューとなる木ゆりあ。

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そしてこの物語の核心を握る犯人・大山金太郎には、a-X’sの敦貴と匠海がWキャストで競演する。

【あらすじ】
舞台になるのは東京警視庁の木村伝兵衛部長刑事の捜査室。伝兵衛の取り調べの中で、熱海で工員の大山金太郎が幼なじみの女を絞め殺したというチンケな事件を、婦警の水野朋子と富山県警から赴任してきたばかりの熊田刑事が、部長刑事とともに一人前の犯人に仕立て上げていく…。

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その『熱海殺人事件』の稽古場が、1月下旬のある日、プレスに公開された。
まず目を引くのはあちこちをハサミの入った衣裳。演出の岡村俊一いわく「稽古しすぎでボロボロになったという設定」なのだそうだが、ボロボロというより最先端のファッションにも見えるのは、役者たちのカッコ良さゆえか。

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この日の稽古は、これから伝兵衛の取り調べ室へ犯人大山金太郎が引き出されるという場面。
味方良介はとにかく堂々として、押し出しのよさといいダンディぶりといい、まさに自信満々の伝兵衛像そのまま。1年前にこの大役をみごとに演じきった自信で、鮮やかにメリハリをきかせ、熊田とのやりとりにも余裕すら感じさせる。この作品を体で理解し、迷いなく真ん中に立っていて頼もしい。

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水野朋子婦警を演じる木ゆりあは、これまでの水野像と比べると若さを前面に押し出し、かつ現代的だ。どこまで本音でどこまで芝居かわからないような、木村伝兵衛との曖昧な関係性を保ちながら、婦警としての役割もきちんとこなしていく。キュートでフレッシュなのに、頼りがいもありそうな女性像だ。

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熊田留吉の石田明は、富山から出てきた野心家の刑事で、伝兵衛の取り調べにことごとく反発。苛つくと懐から銃を取り出し、ロシアンルーレットで脅かすなど、やたら熱く泥臭い男だ。ロシアンルーレットを自分へ発砲してしまうという定番のギャグも、芸人として鍛えてきた石田ならではの派手な見せ方でカラッとした笑いになる。このパワフルな石田の熊田刑事が、味方伝兵衛にどこまで喰らいつくか。役者同士の熱い切磋琢磨も、相当期待できそうだ。

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そして、オレンジのつなぎにサングラスというインパクトの強いスタイルで登場する、お待ちかね、犯人・大山金太郎。今回はa-X’sの敦貴と匠海が日替わりで演じることになっているが、どちらも若さと清潔感があって、演出の岡村の「史上最強の美しい大山金太郎」という言葉も頷ける。サングラスから黒縁のダサイ眼鏡に変わるギャグシーンも、どこかほのぼのと可愛らしい。だがこのあと事件の真相へと捜査が迫っていく中で、見えてくる金太郎の心の闇を2人がどう演じるか。そこも今回の見どころの1つだろう。

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この公開稽古の短い時間のなかでも、名作に挑む俳優たちのエネルギーの凄まじさは十分伝わってくる。つかこうへい戯曲から放たれる速射砲のような言葉と、そこに込められた毒とレトリック。そこからは痛烈な社会批評と人間のロマンと愛がこぼれ落ちてくる。そんな熱い魂の作家、つかこうへいの想いを引き継いだ紀伊國屋ホールで、今年も上演される45周年目の『熱海殺人事件』。いよいよ2月17日に初日を迎える。

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敦貴、石田明、味方良介、木ゆりあ、匠海

〈公演情報〉
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『熱海殺人事件 CROSS OVER 45』
作◇つかこうへい
演出◇岡村俊一
出演◇味方良介/木ゆりあ/敦貴(a-X’s)・ 匠海(a-X’s)[Wキャスト]/石田明   
●2/17〜3/5◎紀伊國屋ホール
〈お問い合せ〉東京音協 03-5774-3030 (平日11:00〜17:00)



【取材・文/榊原和子 撮影/友澤綾乃】




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蒼井優・生瀬勝久によるジャン・アヌイの『アンチゴーヌ』間もなく開幕!稽古場写真&コメント

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新国立劇場 小劇場で1月9日より上演される舞台『アンチゴーヌ』の稽古場写真が到着した。
この作品はソフォクレスのギリシア悲劇「 アンティゴネー」をもとに、フランスの劇作家ジャン・アヌイの書き下ろした代表的悲劇で、時代を超え世界中で上演され続けている。今回は栗山民也演出のもと、岩切正一郎の新訳、蒼井優や生瀬勝久など豪華俳優陣の競演で現代によみがえらせる。

法と秩序を守り、権力者として政治の責任を貫こうとする冷静な王クレオンに対し、自分の良心にまっすぐに従い、自己の信念を貫くアンチゴーヌ。2つの相対する立場と信念は、そのまま国家と個人・現実と理想の対決でもあり、それぞれが抱える想いは通じ合うことなく、物語は悲劇へと進行する。クレオンとアンチゴーヌの対決を通して、生きることの矛盾や人間存在の本質を目撃することとなる。

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【あらすじ】
古代ギリシャ・テーバイの王オイディプスは、長男エテオークル、次男ポリニス、長女イスメーヌ、次女アンチゴーヌという、4人の子を残した。
エテオークルとポリニスは、交替でテーバイの王位に就くはずであったが、王位争いを仕組まれて刺し違え、この世を去る。その後、王位に就いたオイディプスの弟クレオン(生瀬勝久)は、亡くなった兄弟のうち、エテオークルを厚く弔い、国家への反逆者であるとして、ポリニスの遺体を野に曝して埋葬を禁じ、背く者があれば死刑にするよう命じた。
しかし、オイディプスの末娘アンチゴーヌ(蒼井優)は、乳母の目を盗んで夜中に城を抜け出し、ポリニスの遺体に弔いの土をかけて、捕えられてしまう。クレオンの前に引き出されるアンチゴーヌ。クレオンは一人息子エモン(渋谷謙人)の婚約者で姪である彼女の命を助けるため、土をかけた事実をもみ消す代わりにポリニスを弔うことを止めさせようとする。
だが、アンチゴーヌは「誰のためでもない。わたしのため」と言い、兄を弔うことを止めようとしない。そして自分を死刑にするようクレオンに迫る。懊悩の末、クレオンは国の秩序を守るために苦渋の決断を下す。

タイトルロールのアンチゴーヌを演じるのは蒼井優、パルコプロデュース公演にはこれが初出演、10年前から繰り返し読んで思い入れのある戯曲に挑む。アンチゴーヌと対立するクレオンには、映像・舞台に幅広く活躍し、圧倒的な存在感と演技力を放つ生瀬勝久。さらに、梅沢昌代、伊勢佳世、佐藤誓ら実力派俳優陣が脇を固め、人間が社会の中で生きる矛盾と葛藤を危ういくらいスリリングに映し出し、この作品の世界観を作りあげる。

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間近に迫ってきた初日を前に、本番さながらに四方を観客が取り囲む十字型のセットを組み、日々熱い稽古をしている様子が伝わる稽古場の様子と蒼井優、生瀬勝久、梅沢昌代、伊勢佳世、佐藤誓、渋谷謙人、そして演出の栗山民也、翻訳の岩切正一郎からのコメントを紹介する。
 
【コメント】
 
蒼井優(アンチゴーヌ役)
ジャン・アヌイの『アンチゴーヌ』という戯曲に出会ったのは19歳のとき。アンチゴーヌの強さがとても魅力的で、それから折に触れ、読み返してきた作品です。
その作品に今回、栗山さんの演出で出演できることをうれしく思っています。ただ、これまでは自分がアンチゴーヌを演じるつもりで読んだことはまったくありませんでした。だから今回初めて、自分が演じる前提で台本を読み、稽古に取り組んでいますが、激しい台詞の応酬シーンを稽古したあとには知恵熱が出て(笑)。そういうところからも、アンチゴーヌという女性が持つ熱量の大きさを実感しています。
それだけ挑みがいのある戯曲に、生瀬さんを始めとする素晴らしいキャストのみなさんと挑めることが心強いですし、今回は十字型になっている特設ステージでの上演。お客様には、とても近い距離から私たちの演技をご覧いただけると思うので、一緒に『アンチゴーヌ』の世界を形作っていただけたらと思います。

生瀬勝久(クレオン役)
今回、アンチゴーヌ役を蒼井さんが演じますが、話される言葉のひとつひとつが明確で、理路整然とものを考える方ですね。栗山さんが彼女でアンチゴーヌを、と思われたのも納得できますね。稽古で彼女と相対してみると、彼女はアンチゴーヌの純粋かつ強い台詞を自分のものにすることで、言葉に説得力を与えているのだな、と感じます。
この作品は古代ギリシャで書かれた戯曲を原典に、フランスの劇作家ジャン・アヌイが1940年代に執筆したもの。今も読み継がれる古典が元になっているだけあって、人間の真理が深く描かれています。
こう言うと難しく感じられるかもしれませんが、描かれるのは本当にシンプルで普遍的なテーマ。どなたがご覧になっても、それぞれに感じるところのある作品に仕上がっていると思います。老若男女を問わず、ご覧いただいた方には観劇のあと、自分の中になにが生まれたのかを確かめてみていただけたらうれしいですね。

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梅沢昌代(乳母・コロス役)
私は今回、アンチゴーヌに仕える乳母、そしてコロスの二役を演じます。乳母はアンチゴーヌというお姫様の側にいる存在なので、栗山さんからは「浅草っぽい庶民感は出さないように」という指示をいただいて(笑)。そこを意識して稽古をしているところです。
私自身、この戯曲に触れて思うところがありましたが、これをご覧になるお客様方も、今の世の中や自分の生き方に対して、なにか疑問を見つけられるような気がします。みなさんの心の中で尾を引くような作品になるよう、今回の役を務めたいと思います。

伊勢佳世(イスメーヌ・コロス役)
栗山さんの演出を受けるのは今回が初めてなので、とにかく栗山さんのイメージに必死でついていく日々。でも、栗山さんの演出を受けることで、今まで自分の中にはなかった感覚を発見する瞬間もあって楽しいです。
今回演じるイスメーヌは、アンチゴーヌに残された唯一の家族。イスメーヌにはアンチゴーヌを見守りたいという気持ちがある。稽古を通じてそう感じるようになってきました。彼女のそういう部分を(蒼井)優さんと共有し、大事にしながら演じたいです。

佐藤誓(衛兵役)
この作品は特設ステージで上演されますが、舞台装置については栗山さんから、交差点をイメージしたものだと伺いました。この作品にふさわしいステージになっていますが、舞台のとても近くに客席がありますし、周りをお客様に囲まれながら演技をするのは緊張しますが、楽しみでもあります。
栗山さんの頭の中には衛兵を含め、作品のイメージができあがっているので、そこにどれだけ近づけるかが勝負。庶民として生きる衛兵の姿をしっかり演じたいと思います。

渋谷謙人(エモン・第二の衛兵役)
初めて台本を読んだときから、アンチゴーヌに惹かれるエモンの気持ちが自分の中にスッと入ってきたので、そこを手がかりに稽古を進めることができました。本当に素敵な台詞がたくさんある台本です。それを俳優たちが発したときに生まれるものを、ご覧になる方々に確かめていただけたら、と思っています。

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岩切正一郎(翻訳)
稽古を観たときに、アンチゴーヌ役の蒼井さんを主旋律に、ジャン・アヌイの言葉がポリフォニックに響いてきて、台詞をより際立たせる栗山さんの演出の力を感じました。
アンチゴーヌは裸足で野原に入ったり、さわやかな空気を感じたくて朝早く起きたり、自然を一瞬のうちに深く感じることが自分の生き方だと思っている女性。一方クレオンは、社会の中でささやかな幸福を噛みしめるように生きる大人の男性です。2人の対立から今の時代、聞こえにくくなっている声、「Non」の声を聞き取る。そこに私は、今この作品を上演する意味を感じています。

栗山民也(演出)
『あわれ彼女は娼婦』(’16年)を演出した際、蒼井優が自分の全身に問いかけながら演技し、声や感情の流れ方を役に重ねられる俳優だと知った。『アンチゴーヌ』をやるなら彼女だと思った。そして、声に奥行きのある生瀬勝久も、この作品にふさわしい俳優だと思った。
世界や人間にはひとつの絶対的な答えなどない。「YES」と「NO」の間には、無数の解答が隠されている。そこから自分自身はなにをどう選ぶのか。この戯曲にはその命題がたくさん含まれている。
このカンパニーには稽古で、その場でしかできないことを追求する俳優が揃った。彼らの感性と全身を使って、かつて存在した人々の言葉と行動を今に響かせて、この戯曲に含まれた命題に挑んでいる。
この世界の多くの問題は、方程式では解くことができない。だからこそ、この演劇を通じて、1人で世界に立ち向かった少女の、その問いの意味について考えたいと思っている。

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〈公演情報〉
パルコ・プロデュース2018 
『アンチゴーヌ』
作◇ジャン・アヌイ  
翻訳◇岩切正一郎   
演出◇栗山民也 
出演◇蒼井 優、生瀬勝久、梅沢昌代、伊勢佳世、佐藤 誓、渋谷謙人、富岡晃一郎、高橋紀恵、塚瀬香名子
●1月9日〜1月27日◎新国立劇場 小劇場〈特設ステージ〉
〈料金〉9,800円 U‐25チケット 5,000円(全席指定・税込)
●松本、京都、豊橋、北九州公演あり
〈お問い合わせ〉パルコステージ 03-3477-5858(月〜土 11:00〜19:00/日・祝 11:00〜15:00)





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