稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

ミュージカル『GRIEF7』

インタビュー

人気シリーズ おん・すてーじ『真夜中の弥次さん喜多さん』三重(みえ) 間もなく開幕! 藤原祐規・佐藤祐吾 インタビュー

弥次喜多本番3020

しりあがり寿による漫画を原作にした舞台、おん・すてーじ『真夜中の弥次さん喜多さん』シリーズの第三弾、おん・すてーじ『真夜中の弥次さん喜多さん』三重(みえ)が、6月21日からシアターGロッソで上演される。(24日まで)
脚本・演出を川尻恵太が手掛け、奇想天外な世界観を歌あり踊りあり笑いありで見事に再現したその舞台は、毎回好評を博している。
その公演で、初演から弥次郎兵衛役の唐橋充と共にW主演として喜多八を演じている藤原祐規、そして今作が初出演となる佐藤祐吾に、作品への意気込みを語ってもらった「えんぶ6月号」のインタビューを別バージョンの写真とともにご紹介。

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藤原祐規・佐藤祐吾

改めて原作を読み返すと
「これをやっていたのか!」と

──『三重』上演が決まってどう感じましたか。
藤原 次はどうなるんだろう? と思いました。『双(ふたつ)』が決まったときもそうだったのですが、すごく嬉しい半面、どこをどう舞台化するのかなっていう。3作目なので「こういうものができる」というイメージはついていますが、それでも改めて原作を読み返すと「これをやっていたのか!」みたいな感覚もあるので。また挑戦者の気持ちでがんばっていきます。
 
──「こういうものができる」は、初演より『双』のほうが広がりましたか?
藤原 広がった気がします。だから今回はさらに、今までになかった感想も持って帰ってもらいたいな、とも思っていて。全体じゃなく1シーンとかでもいいんですけど、『真夜中の弥次さん喜多さん』の新しい一面を見せたい。そこはがんばっていきたい部分ですね。

──佐藤さんは出演が決まっていかがですか?
佐藤 『真夜中の弥次さん喜多さん』は原作も舞台もすごく好きな世界観なんです。やりっぱなしみたいな部分が面白くて。ただそれをどう演じるのか、現段階ではビジョンが全然浮かばないので(笑)、楽しみ6割・不安4割という感じです。『双』に出ていた(石田)隼くんに連絡したら「何かあったら祐規さんを頼れ!」と言われました。
藤原 連絡はもらいました。「不安がっている」と。
 
──そういうとき、藤原さんはどうするんですか?
藤原 一緒に飲みに行って話を聞いてあげるとかですかね。ただ新キャストは全員同じ不安を抱えていると思います。

──何が求められる現場ですか?
藤原 脚本・演出の川尻さんはアイデアがすごく豊富な方なので、その場で「こうやってみようか」ということも多いんです。だからアイデアを出すことももちろん大切だけど、対応力も求められるんじゃないかな。
佐藤 僕はこういう感じの舞台が初めてなので…どうなるのかな。自分の殻を破るのは楽しみです。

弥次さんと喜多さんが
芯の通った二人でいること

──藤原さんは、これまでの2作はどうやって作ってきたのですか?
藤原 やっぱり最初は「どうやればいいんだろう」っていうのはありましたよ。ただ、初演の途中で、弥次さんと喜多さんが芯の通った二人でいれば、この世界観は構築しやすいんじゃないかと気付いて。二人に軸があるからこそ、周りがどれだけむちゃくちゃやっても耐えられるし、そういうふうにしたいとも思って作りましたね。
佐藤 正直、弥次さん喜多さんのことが原作を読んだときは、よくわからなかったんですよ。でも舞台で観て、「あ、弥次さんと喜多さんがいる」と思いました。
藤原 お、ありがとうございます。
佐藤 そういう意味でも、原作が好きな人もお芝居が好きな人も楽しめる作品なんじゃないかと思います。
 
──そういう作品に初挑戦するのはいかがですか?
佐藤 僕は昨年、OFFICE SHIKA REBORN『パレード旅団』という作品で、「鹿殺し」さんの“劇団魂”をイチから教わって芝居観が変わったばかりで。だから今回、自分がどんなお芝居ができるか楽しみでもありますね。

──藤原さんは楽しみにしていることはありますか?
藤原 今回も唐橋さんとやれることですね。唐橋さんって人間的には弱点だらけな人なんですけど(笑)、演劇が大好きで、経験があって、技術があって、そして魅力があるので、また一緒にやれることがとても幸せです。


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藤原祐規・佐藤祐吾

ふじわらゆうき〇三重県出身。主に舞台・声優として活躍中。主な出演作品は、舞台『最遊記歌劇伝』シリーズ、舞台『PERSONA3 the Weird Masquerade』シリーズ、ミュージカル「しゃばけ」シリーズ、アニメ『CHAOS;CHILD』、『アイドル事変』、『曇天に笑う』などに出演。
 
さとうゆうご〇埼玉県出身。俳優、声優として舞台やアニメで活躍中。主な出演作品は、ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン、ライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』。舞台『弱虫ペダル』〜箱根学園新世代、始動〜、OFFICE SHIKA REBORN『パレード旅団』、舞台『ハンドシェイカー』、アニメ『あめこん!! 雨色コンベンション』、『雨色ココア』、『Promised Town』など。

〈公演情報〉
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おん・すてーじ 『真夜中の弥次さん喜多さん』三重(みえ)
原作◇しりあがり寿
脚本・演出◇川尻恵太(SUGARABOY)
出演◇唐橋 充 藤原祐規/佐藤祐吾 芹沢尚哉 深澤大河 大海将一郎 岩 義人 田代哲哉 コロ(ピヨピヨレボリューション)  松本寛也 湯澤幸一郎 ほか
◎6/21〜24◎東京ドームシティ シアターGロッソ
〈お問い合わせ〉http://www.clie.asia/on_yajikita/



【取材・文/中川實穂 撮影/友澤綾乃】


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劇団青年座『安楽病棟』に看護師役で出演する若手女優 世奈インタビュー

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帚木蓬生の小説を原作に、青年座が本多劇場で『安楽病棟』を上演する。脚本は劇作家・演出家・俳優として大きな注目を集めているシライケイタ。今回、初めて青年座に脚本を提供する。また演出は青年座気鋭の演出家磯村純が手がける。この若い二人をリーダーに、青年座老若男女21名の俳優たちによって演じられる。

【ものがたり】
お地蔵さんの帽子と前垂れをひたすら縫い続ける女性。サーモンしか食べない女性。
深夜引き出しに放尿する男性。老人会の催しでおてもやんを踊る女性。
様々な症状の老人たちが暮らす認知症病棟。人生の終幕を生きる彼らにも輝かしい時があった。
医師や看護師の介護により、日々を懸命に生きるある日、一人の老人がなくなった。その後、相次いで起こる患者の急死。それらの死に疑惑を抱いた若い看護師は、事実の裏に隠された終末期医療に対するある思いを知り、そして・・・。

シライケイタによると「小説の中で描かれている認知症病棟の患者たちの生活空間を軸に、”小説から演劇へ”三次元に立ち上げ、魅力的な演劇作品として転生することを目指す」という。そして本作の最大のテーマである「安楽死問題」に真正面から向き合い、「生と死」について深く考察し、「日本、世界、そして人間のこれから」を観客と共に考える契機になることを望む。
そんな舞台で、若い看護師の役を演じるのが世奈。入団4年目、今年の4月、準劇団員から劇団員に昇格したばかりで、青年座期待の若手女優である。 

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看護の現場を見学
その大変さとやり甲斐を感じて

──世奈さんはこの作品で、看護師の役を演じるのですね。
山口という、まだ看護師になってまもない女性を演じます。山口は、この病棟に来て数ヶ月なので、慣れていなくて、色々なことが初めてで、動揺したりわからないことが出てきたりします。それを先輩に質問したり、教えてもらったりする中で、患者さんの現実の姿や、認知症病棟の日常なども、お客様に伝えられればと思っています。
──認知症の患者さんが沢山出てきますが、まだ20代前半の世奈さんにとっては、どこか遠い話ではないですか?
いえ、すごく実感のある話です。私は祖父母と二世帯住宅で一緒に住んでいて、祖父母はちょうど作品に出てくる患者さんたちと同じ年代なんです。今はとても元気ですが、これから先、この中に登場する患者さんたちのようになるかもしれないと思うと、他人事ではないと思いますし、見ていてすごく切なくなったりします。
──世奈さん自身のそういう気持ちが、新人の山口の新鮮な感受性に、うまく重なりそうですね。
そうなるといいのですが。山口はとにかく素直で真っ直ぐで、感じたことに対して正直なんです。でも、ただ明るいだけではなくて、信念を持って看護師を目指した女性なので、その芯を持って役を作っていきたいと思っています。
──確かに看護するには体力も必要ですし、とくに「認知症病棟」は綺麗事では片づけられないような現実もあると思います。
この作品に出演するにあたって、看護の現場を見学させてもらったんです。想像以上に現場は大変で、私はこの台詞を言っているけど、ちゃんとわかってなくて言っていたなと考えさせられました。ただ、その大変さも含めてやり甲斐を感じて働いていらっしゃるんです。そこに改めて感動しました。私もそのやり甲斐を感じている山口になろうと思いました。
──劇中で、先輩看護師の城野が、患者さんににっこりされたり、喜ばれることで自分も救われているというようなことを口にしますね。
そうなんです。「ケアすることで自分もケアしてもらっている」と。とても素敵な言葉だなと感動しました。それに、これも原作に出てくる言葉で、「患者さんとして接するよりも、一期一会、人と人との出会いとして考えると、すごく愛着が湧く」と。この作品には20人以上の登場人物が出てくるのですが、その1人ひとり、生き方も違いますし、それぞれの人生があるんですよね。そのことをすごく感じさせてくれますし、私自身、この人の人生をもっと知りたいという気持ちにさせられるんです。1人ひとりがとても面白くて、お客様もたぶんご覧になるのに忙しいのではないかと(笑)思うくらいです。
──脚本はシライケイタさんが書かれていますが、「生と死」を捉える中で、年を取っても「恋愛」や「性」とは無縁ではないという話も出てきます。
私の台詞なのですが、「寿命ある限り、命の火を燃やし尽くすぞという執念を感じます」という言葉があって、本当にその通りだと思います。年齢に関係なく人間の中で燃え続けているものだと思います。

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パワフルな大先輩たちに囲まれて
負けていられない日々

──そんな患者さんたちを、今回は青年座の大先輩の方々が演じているわけですが、同じ稽古場で見ていていかがですか?
皆さんすごく生き生きとされていて、すごくパワフルで刺激を受けています。最高齢は児玉謙次さんなのですが、いつもダジャレをおっしゃって楽しませてくださるし、ほとんどの先輩と初めてご一緒するのですが、面白いし、お元気で、この方たちから沢山のことを吸収させていただきたいと思います。負けていられないなと(笑)。
──年齢は違っても俳優同士ということでは対等ですね。
山口がお薬をあげるシーンなどでも、皆さん、毎回違うことを試されたり、「今日はこうしてみましょうか」と一緒に作っていってくださるんです。ですから私もアプローチを変えてみるとか、日々、色々なことを試していけるのが楽しいです。
──山口の上司にあたる看護主任の浅井は津田真澄さんが、先輩看護師の城野は小暮智美さんが演じています。それぞれ青年座を代表する女優さんですね。
津田さんは私の初舞台『天一坊十六番』をはじめ、私が出演した青年座の公演は全部ご一緒して、本当にお世話になっています。小暮さんは今回初めてご一緒するので、すごく楽しみです。お二人ともすごい女優さんで尊敬していますし、思い切り飛び込んでおいでと言ってくださるので、全力でぶつかっていきたいと思っています。

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研究所に入らないまま
準劇団員の試験に合格!

──世奈さんは入団してから4年目で、今年4月、正式に劇団員になったそうですが、演劇を志した動機は?
もともと通っていた学校には「スピーチコンテスト」という、朗読や話を覚えて発表するイベントがあったんですが、そこに何回か出たことがあって、自分はこういうことが好きなんだなという気持ちがありました。
──楽しかったのですね?
楽しかったです(笑)。母にも「全然緊張してなかったね」と言われるくらい伸び伸びやれたし、聞いてくれる人たちの反響が良いと嬉しくて。それで、これを続けるためにはどこに入ればいいのかなと迷っていたときに、たまたま母が見たテレビで舞台芸術学院が紹介されていて、直感でここに行きたいと思い決めたんです。
──舞台芸術学院(以下、舞芸)に入ってから、ダンスや歌、お芝居などを勉強したわけですね。
そうです。そこで初めて基本を色々学びました。ダンスも歌も好きでしたが、やはり演技すること、いわゆる「上演実習」が一番好きでした。
──そして舞芸を卒業したあと青年座に入団するわけですが、その経緯は?
青年座に入るためには、まず研究所に入らないといけないと思って、舞芸の方に受験の相談をしたところ、研究所を卒業しなくても準劇団員として入る試験もあると教えていただいたんです。そこで、まず準劇団員の試験も受けてみようと。まさか合格するとは思わなかったので,本当に嬉しかったです。
──研究所を経ずに準劇団員に合格するケースは珍しいそうですね。それだけ期待されての入団ということですが。
もちろんプレッシャーも大きいですが、それ以上にとても光栄なことだと思っています。
──同期には『砂塵のニケ』で主役に抜擢された那須凜さんもいるなど、皆さん優秀ですね。
入団同期は私を入れて6人(演技部5人、演出部1人)で、その中の5人は研究所からでしたから、最初はそこにどうやって入っていこうとドキドキしました(笑)。でもみんな優しくて、すぐ受け入れてくれて、私も知らない人たちだからこそ自分を思い切り出せたところもあって、どんどん仲良くなれました。
──切磋琢磨し合う部分もあるでしょうね。
本当にすごく刺激を受けています。入団1年目は稽古場付きで、いつも一緒にいたのでわからなかったのですが、そのあとはバラバラになって、それぞれ別の公演に出るようになると、お互いのことがすごく気になるんです。がんばっているのを観ると嬉しくなりますし、私もがんばろうと思います。お互いに高め合って一緒に上がっていきたいです。

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この物語の何が正しいとか
間違っているとかではなく

──入団してから青年座では3作品に出ていますが、これまでで印象深い役はありますか?
昨年、演劇鑑賞会の例会で首都圏ブロックを巡演した『からゆきさん』に参加したのですが、その中で演じたモモヨという役が、自分の中ではとても印象に残っています。からゆきさんたちの中でもまだ若くて、明るくて天真爛漫な女の子なのですが、運命は切なくて。あの役は出会えてよかったし、どこか縁を感じながら演じていました。もっともっとやってみたいと思える役です。
──『からゆきさん』は青年座の財産の1つですね。青年座に入ってから観た中で一番好きなもの、あるいは気になっている作品は?
そんなに沢山観ているわけではないのですが、やはり『ブンナよ、木からおりてこい』はすごく好きです。あの作品は青年座だからこそ創られた作品で、青年座の俳優たちだからこそ演じられる作品だと思います。さまざまな生き物の生と死が出てきますが、それは色々な世代の俳優がいる青年座だからこそで、ブンナはネズミの死から命を引き継ぎますが、そこは60年の伝統を次の世代に引き継いでいく青年座の歴史と一緒です。人が受け継いでいくものとか、そこに流れている魂など、観る人の心にすごく伝わるものが多い作品だと思います。
──その青年座で、これから世奈さんはどんな女優さんになっていきたいですか?
引き出しを沢山持っている女優さんになりたいです。今までは明るくて元気のある役を演じる機会の方が多かったのですが、そうでない役も演じる力を身に着けていきたいです。作品ごとに別人のようになれる役者さんをみると格好良いなと。どんな役もできるようになりたいし、それには色々な自分を見つけること、日々起きる感情を覚えておくことが大事かなと。そういう役がきたときにバンと出していけるようにしておきたいです。
──まずはこの『安楽病棟』での、世奈さんの山口に期待しています。では最後に観にくるお客様へのアピールを。
この作品はたぶん、どんな方にとっても他人事ではない話だと思います。何が正しいとか間違っているとかではなく、ご覧になってこの作品に描かれている空気を共有して、それぞれに何かを感じていただければと思います。ぜひ劇場へいらして、一緒に『安楽病棟』を体感していただければ嬉しいです。
 

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せな○東京都出身、2015年入団。主な出演舞台は、2017年『からゆきさん』全国公演(モモヨ役)、2016年『横濱短篇ホテル』全国公演(カオリ役)、2016年『天一坊十六番』 青年座劇場(合唱隊)、以上青年座公演。外部公演は、2017年『僕の東京日記』本多劇場(土橋郁代役)、2016年『フィルメーナ・マルトゥラーノ』青年座劇場(ディアーナ役)。

〈公演情報〉
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劇団青年座232回公演
『安楽病棟』
原作◇帚木蓬生「安楽病棟」(新潮文庫刊)
脚本◇シライケイタ
演出◇磯村純
出演◇児玉謙次、名取幸政、山野史人、永幡洋、長克巳、嶋崎伸夫、堀部隆一、石母田史朗、鹿野宗健、岩倉高子、阪上和子、藤夏子、山本与志恵、吉本選江、五味多恵子、野沢由香里、津田真澄、小暮智美、井口恭子、世奈、橋本菜摘 
●6/22〜7/1◎本多劇場
入場料(全席指定・税込)一般5,500円 初日3,500円
※O65(65 歳以上)5,000円 U25(25 歳以下)3,500円 グループチケット20,000円(同一日5枚)
※青年座のみ取扱い・当日受付精算のみ・O65 割引、U25 割引は身分証提示
〈お問い合わせ〉劇団青年座 0120-291-481(チケット専用 11時〜18時、土日祝日除く)

 


【取材・文/榊原和子 撮影/友澤綾乃】





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「ジョンソン&ジャクソン」の新作『ニューレッスン』まもなく開幕! 大倉孝二・ブルー&スカイ・池谷のぶえ インタビュー

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大倉孝二とブルー&スカイによる演劇コンビネーション「ジョンソン&ジャクソン」が、新作『ニューレッスン』を掲げてみたび登場! 今回はいとうせいこう、池谷のぶえという強力なゲスト俳優2名を招き、ナンセンス演劇ファン待望の公演となる予感が。
「稽古中に出演者4人で話し合う場を設けたい」と語るジョンソン&ジャクソンが目指す「自称・くだらない演劇」とは!? えんぶ6月号に掲載されたスペシャルな座談会をご紹介する!

「僕らの理想に理解がある人」を選びました!

──ゲストのいとうせいこうさん、池谷のぶえさんはどのような経緯で決まったのでしょうか?
大倉 僕もブルー&スカイも「少人数でやりたい」という意見は一致していて、あとは人選。
ブルー 僕らがやっていることをよく知ってくれている人を。
大倉 要は「僕らの理想に理解がある人」を選びました。男2人なので、まず女性を入れたいねということで、僕が「池谷さんが良いと思う」と言ったら、ブルー&スカイも「俺もそう思っていた」と。
池谷 有り難いことです。
大倉 池谷さんが決まり、更に誰を呼ぶか? が悩みどころでした。しばらくして、ブルー&スカイが「せいこうさんが出たいと言っていたのを聞いたことがある」と言いだした。最初は「そんなの絶対ウソだよ」とか話していたけれど、結果引き受けてもらえて。
ブルー ダメもとでした。
──出演オファーを受けた際、池谷さんはどんなお気持ちでした?
池谷 すっごく嬉しかった。嬉しかったのと同時に、前にジョンソン&ジャクソンに出て以来(※14年の『窓に映るエレジー』)、ナンセンスには出ていなかったので、少し怖いというか「……忘れてないかな?」と。この2人が求めるナンセンスはそんじょそこらのナンセンスではないでしょうから。でも日程も大丈夫だったし、これは是非やりたいなと。

出演者4人で稽古以外の時間を設けたい

──現時点の構想で構いませんので、『ニューレッスン』に関するお話を聞かせて下さい。
ブルー 今回は稽古をするだけでなく「もっとくだらなく出来ないか?」とか、そういう話し合いが出来たらいいなと考えています。出演者4人で稽古以外の時間を設けたい。
大倉 それありきの人選でした。これが面白いかどうかをジャッジしてもらえる人、という意味合いもあります。
池谷 そんな。恐れ多い。
大倉 もちろん人それぞれ好みがあるので、全部ジャッジして欲しいとは思ってないけれど。でもブルー&スカイが言ったような時間は是非作りたい。
ブルー エチュードをやってから台本を書き下ろすのではなく、台本は大倉さんと僕が書きます。それをやってみて「どうかな?」という話し合いをみんなで。
池谷 「見たこともないような“何か”を探せたらいいね」という話は聞いています。これは見たことがあるとか、そういうことはみんなでチェックしていく。
ブルー それを稽古場でやりたいです。

作品全体に「こういう奴もいるんだよ」という空気を

大倉 ブルー&スカイがチラッと言っていたのは、ギャグっぽくしないで、やりとりの面白さでくだらなくしたいという。最近よく言っているよね?
ブルー 今回やるかどうか分からないですけど、いま興味があるのは、台詞のフレーズが面白いとかではなく、不条理劇というか、理屈がオカシイ感じ。それが好き。
大倉 ナンセンスはやりとりが断絶されるんですよ。成立しているけど、ちょっと噛み合っていない、どう考えてもヘンだ、そういうことを狙っていると俺は受け取っているのだけれど。
ブルー そうです。
池谷 実現したら面白そう。
ブルー それは僕の心の隅にあることなので、そうならないかもしれません。
大倉 さっき言った「せいこうさんと池谷さんに僕らを指南して欲しい」みたいなことも含めて、今回、僕らがやりたいことと芝居の内容をだぶらせて考えている節があります。例えば、人に認められなかったり、人と分かち合えないような感覚ってあるじゃないですか。そういうモノを持っている人達がくだらない意思の元に集まって……みたいなイメージ。
池谷 へーえ、面白いね!
大倉 やらないかもしれないけど。
池谷 え、そうなんだ(笑)。
大倉 「くだらない」と言われるものは好き嫌いが分かれるし、面白みの分からない人には「何これ!?」となっちゃう。
池谷 ほんとそうですよね。
大倉 でも僕らはそれしかやりたくない位の勢いだから。それを「どうせ分かってもらえない」みたいにやるとイヤな感じになるけれど、そうじゃなくて「こういう奴もいるんだよ」という空気が作品全体にあったらいいなと。

自分達がやるのであれば、くだらないこと以外やりたくない

大倉 わざわざ自分達がやるのであれば、くだらないこと以外やりたくない。ブルー&スカイは、多分それ自体もやりたくない。
ブルー くだらない芝居はやりたいよ。
大倉 そうなの? やりたくないかと思っていた。
──「ナンセンス」や「くだらない演劇」に対する情熱は、今も昔も衰えていない?
ブルー 衰えていると思いますけど、いざやるとなれば、情熱は変わらないです。
大倉 それに関して、ブルー&スカイは真面目だし熱いです。
ブルー くだらない芝居が一番感動出来る。僕にとって、ですけど。
──池谷さんはどうですか? 情熱。
池谷 ブルー&スカイくんと出会い、旗揚げした劇団がたまたまナンセンスの濃い劇団になっていたので、「本当にそれが好きか?」と問われたら、正直疑わしい部分もあります。あるけれど、他所の公演でバカバカしいお芝居を観た時に、面白かったら悔しいし、ヘタクソだったら怒っちゃう。そういう、何て言うのかな? ナンセンスに対する監視癖(へき)みたいな、「ステキなものにしないと許さないぞ!」という感覚はありますね。ナンセンスを「好き」に置き換えることは難しいけれど、聖域を荒らされたら悔しいという想いは強いです。大好きとは全然思わない。苦しさもありますし。
大倉 こんなにカタルシスのないものは他にないですよ。モヤモヤしながら。
池谷 そう! 全く達成感がない。
大倉 やった感、やりきった感になりづらいものだよね。笑いの性質上、流れがあってドカンみたいなものではないから。やりながら、もやもやモヤモヤ。
──それでも、一番やりたいのはナンセンス。
大倉 僕はそうですね。

それくらい気概のある演劇界であって欲しい

──最後にこの公演の「目標」などを教えて下さい。
大倉 とりあえずチケットが売れたらイイなぁという目標が。あと、観に来てくれる人は「この4人のナンセンスに期待したい」と思うかもしれませんが、その期待に応えるというより、それと全く違うもの、更にひとつ超えるものを、稽古の中から生み出したい。一番やりたいことはそれですね。
ブルー 公演が終わった後に、もっと長く生きたくなるような達成感が……。
大倉 公演が終わると死にたくなっちゃうから?
ブルー それは公演に限らず。「人生って何だろう?」とか。
大倉 やめてくれるかな、そういうの。
ブルー そういう感覚がいまだにあるので、元気が出れば。
池谷 リハビリ公演になっちゃう。
大倉 1人しか得しねぇじゃん(笑)。
池谷 私、「くだらない!」と思った瞬間、何故か泣けてくることがあるんです。どういう涙か分からないのですが、今回も最終的に泣けたらいいなと。お客さんも泣かせるくらい。くだらなすぎて、みんなで泣けばいい。あと、こういう芝居に対して何かしらの立派な賞が貰えると嬉しいです。それくらい気概のある演劇界であって欲しい。
ブルー せいこうさんなら賞が貰えそうですけど。
池谷 え?
ブルー せいこうさん本人が賞を作ってもおかしくない。
大倉 自分が出ている作品に賞をあげるの? 興ざめだよ、そんなの。
池谷 あはははは。


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池谷のぶえ・ブルー&スカイ・大倉孝二

おおくらこうじ○74年生まれ、東京都出身。俳優。95年にナイロン100℃のオーディションに合格。以降、劇団の看板俳優の1人として多くの公演に出演する。劇団外でも様々な舞台作品、映像作品に出演。14年にブルー&スカイと「ジョンソン&ジャクソン」を結成。今作『ニューレッスン』が3度目の公演となる。

ぶるーすかい○73年生まれ、東京都出身。劇作家、演出家、放送作家、俳優。94年に「劇団猫ニャー(後に「演劇弁当猫ニャー」と改名)」を結成、04年の解散まで全作品で作・演出を担う。14年に大倉孝二と「ジョンソン&ジャクソン」を結成、15年に「フロム・ニューヨーク」を結成する。

いけたにのぶえ○71年生まれ、茨城県出身。俳優。94年にブルー&スカイらと共に「劇団猫ニャー(後に「演劇弁当猫ニャー」と改名)」を結成し、看板女優として活躍。劇団解散後も多数の舞台作品、映像作品に出演する。ジョンソン&ジャクソンへの参加は第1回公演『窓に映るエレジー』に続き2度目。

〈公演情報〉
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ジョンソン&ジャクソン
『ニューレッスン』
作・演出◇ジョンソン&ジャクソン(大倉孝二 ブルー&スカイ) 
出演◇大倉孝二 いとうせいこう ブルー&スカイ 池谷のぶえ
●6/21〜7/1◎CBGKシブゲキ!!
●7/6〜8◎ABC Hall
〈お問い合わせ〉キューブ 03-5485-2252(平日12:00〜18:00) http://cubeinc.co.jp/stage/info/jj2018.html




【取材・文/園田喬し 撮影/大倉英揮】



『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!2018』

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新派ならではの耽美な乱歩ワールド 新派『黒蜥蜴 ─全美版─』間もなく開幕! 喜多村緑郎・河合雪之丞・春本由香 インタビュー

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喜多村緑郎と河合雪之丞コンビにより、昨年6月、江戸川乱歩の妖艶な美の世界を描き出し、大好評を博した新派版『黒蜥蜴』。今回は完全な美を表す『黒蜥蜴 ─全美版─』として、クラシカルな雰囲気も作品にぴったりな三越劇場で再び上演される。(6月2日から23日まで)
本年4月には、喜多村と河合の自主公演として『怪人二十面相〜黒蜥蜴 二の替わり〜』を上演、劇中で解き明かされた謎もあり、新派ならではの乱歩ワールドの広がりに大きな期待が高まっている。
そんな公演に向けて、名探偵・明智小五郎を演じる喜多村緑郎、タイトルロールの黒蜥蜴を演じる河合雪之丞、そしてドラマを運ぶ重要な役割を担う令嬢・早苗を演じる春本由香が、初演で感じた手応えや再演への意気込みを語り合ってくれた「えんぶ6月号」のインタビューを、別バージョンの写真とともにご紹介する。

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喜多村緑郎・河合雪之丞・春本由香

新派の世界観にベストマッチした
江戸川乱歩の世界

──大好評の舞台の再演ですが、初演の熱気をどう感じていましたか?
 
喜多村 元々、江戸川乱歩の世界は新派に絶対に合うだろうと思っていて、いつかやりたいと温めていた企画でした。上演した三越劇場の雰囲気やレトロな趣は独特で、袖が狭いなど制約はあるのですが、むしろそれを逆手に取って劇場全体を使おうと。また、演出の齋藤雅文先生のアイディアと、僕らの師匠である市川猿翁に叩き込まれたスーパー歌舞伎のノウハウを組み合わせていけば、すごいものができる! と確信していました。そういう全てのタイミングがうまく合った公演でした。
 
河合 『黒蜥蜴』は三島由紀夫さんの脚色の印象が強いと思うのですが、それを原作の乱歩の世界に寄せた新演出の『黒蜥蜴』をご覧頂くことによって、新派の世界観の中で新しいものを創り上げていこうという、お客様へのメッセージ性があったんだな、ということを舞台に立って改めて感じました。
 
春本 私と同年代の若い方にも新派を観て頂きたいという気持ちは常にあったのですが、やはり古典作品は「難しそう」というイメージが先行するのかなという思いがありました。でもこの『黒蜥蜴』は、幅広い世代の方に観に来て頂き易い作品だと感じましたし、日々一生懸命に勤めておりました。

5年、10年と繰り返し再演できる
完成度の高い作品に!

──新派に新たな世界が広がった感動が大きかった初演ですが、再演に当たって「全美版」という副題もつき、ポスタービジュアルも白を基調にした新鮮なものになりました。
 
喜多村 黒蜥蜴が美を追い求める究極の心情は白だなと、そう感じた初演のラストシーンのイメージを引き継いでいます。3月には『黒蜥蜴』に至る物語である『怪人二十面相』も上演させて頂きましたので、更にブラッシュアップして、この先、5年、10年と再演を繰り返せる作品になるようにしていきたいと思っています。
 
河合 特に今回は『怪人二十面相』を経たことによって、何故この女性が女賊・黒蜥蜴になっていったのか、その謎が明らかになっています。でも『二十面相』では、その若い黒蜥蜴を由香が演じたから、お客様の中には6月の「全美版」でも、由香が黒蜥蜴を演じるのかな? と思っている方もいらっしゃるかもしれない(笑)。
 
春本 そうですね(笑)。
 
河合 私がやるけど(笑)。でも憧れの人には似てくるので、『二十面相』で私が演じた美弥子に憧れた若かりし頃の黒蜥蜴の由香が、あんな女性になりたいと頑張って、今回の黒蜥蜴になった、ということでいいかなと。
 
春本 私が雪之丞さんの魅力を見習っていきたいと思っている気持ちと同じですね。
 
河合 由香には折角新派に入ったからには、女方芸のできる女優さんになって欲しいので、そういう意味でもこのつながりを大事にね。
 
春本 はい、私も「全美版」では、また新たな気持ちで早苗役を深めたいです。
 
喜多村 僕の明智小五郎も『二十面相』で若い時からの流れができたので、シリーズ物としても楽しんで頂けると思うし、ここから更に多くの可能性が広がると思っています。そんなふうに僕が大きな未来像を描いているとき、雪之丞はそこへ到達する為には若手にこう指示を出せばいいと細かい部分を埋めてくれる。この人がいなかったらと思うとゾっとするくらい、なくてはならない一心同体の存在で。これからも共に、お客様に楽しんで頂ける、新派の良さを知って頂ける舞台を目指していきたいですね。
 
河合 32年一緒に舞台をやってきて、新派に来て改めて、周りを引っ張っていく喜多村の力を感じています。そこに全員の力を合わせて、前回の『黒蜥蜴』を必ず上回る「全美版」をお届けしますので、是非劇場に足をお運びください。

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喜多村緑郎・河合雪之丞・春本由香
 
きたむらろくろう○新潟県出身。1988年国立劇場第九期歌舞伎俳優研修修了。歌舞伎座『忠臣蔵』で初舞台。市川段四郎門下として市川段治郎を名乗り、後に三代目市川猿之助(現猿翁)の部屋子となりスーパー歌舞伎で主演を勤める等活躍。2011年二代目市川月乃助を名乗る。『日本橋』で新派公演に初参加。16年『糸桜』より劇団新派に入団後、新派の大名跡である喜多村緑郎を二代目として襲名。新派の可能性を広げて躍進中。

かわいゆきのじょう○東京都出身。1988年国立劇場第九期歌舞伎俳優研修修了。歌舞伎座『忠臣蔵』で初舞台。三代目市川猿之助(現猿翁)門下となり二代目市川春猿を名乗り、後に部屋子となる。美貌の女方として活躍し、スーパー歌舞伎II『ワンピース』ではナミ役を勤めた。2010年『滝の白糸』で新派公演に主演として初参加。17年『華岡青洲の妻』より劇団新派に入団、河合雪之丞と名を改め、喜多村との名コンビで更なる活躍を続けている。
 
はるもとゆか〇東京都出身。新派俳優の祖父・春本泰男、歌舞伎役者の父・六世尾上松助、元新派女優の母・河合盛恵、歌舞伎役者の兄・二代目尾上松也という、歌舞伎、新派の役者一家の長女として誕生。その家庭環境から、当然のように女優の道を志し、2016年9月二代目水谷八重子の部屋子として、劇団新派に入団。新橋演舞場「九月新派特別公演」『婦系図』の妙子役でデビュー。次々と大役を務め、劇団新派のホープとして躍進を続けている。

〈公演情報〉
黒蜥蜴PR

六月花形新派公演
『黒蜥蜴─全美版─』
原作◇江戸川乱歩
脚色・演出◇齋藤雅文
出演◇喜多村緑郎 河合雪之丞
春本由香 伊藤みどり 秋山真太郎(劇団EXILE)  今井清隆 ほか
●6/2〜23◎三越劇場
〈料金〉9,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉
チケットホン松竹 0570-000-489(10時〜18時)
三越劇場 0120- 03-9354 (10時〜18時30分)
チケットweb松竹(24時間受付)
https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/2018_kurotokage/


【取材・文/橘涼香 撮影/友澤綾乃】

 



『大人のけんかが終わるまで』


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「リボンの騎士」を上演する弱小演劇部の闘い! 扉座公演『リボンの騎士−県立鷲尾高校演劇部奮闘記2018−』 高木トモユキ・砂田桃子 インタビュー

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『ワンピース』の脚本・演出などでおなじみの横内謙介が主宰する劇団扉座。その劇団公演『リボンの騎士−県立鷲尾高校演劇部奮闘記2018−』が、6月に厚木と高円寺で上演される。
本作品は、手塚治虫の「リボンの騎士」を上演しようとする高校演劇部の熱く涙ぐましい奮闘を描くドラマで、横内謙介が20年前に旧セゾン劇場に書き下ろし、井ノ原快彦主演、河毛俊作演出で評判となった。今回はオーディションによって選抜した若き俳優たちと扉座メンバー、そして横内自身の演出で、2018年版として上演される。 
弱小演劇部が一念発起、手塚治虫の「リボンの騎士」を部員たちで上演しようとするが、次々と襲いかかる困難に打ちのめされていく…。
現実の厳しさを噛みしめつつ、友情を結び合い、淡い恋に揺れながら、少しずつ大人になっていく高校生たち。その姿を「リボンの騎士」の登場人物たちと交錯させながら描き出す青春群像劇だ。
この公演で中心メンバーとして参加する扉座の人気俳優2人、高木トモユキと砂田桃子に、本作にかける抱負を語ってもらった「えんぶ6月号」のインタビューを別バージョンの写真とともにご紹介する。

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高木トモユキ・砂田桃子

扉座のよさプラス
新しい何かを見せたい

──この作品についてはどんな形で知っていましたか?
高木 扉座の公演ではなかったのですがオーディション公演というのが2011年にあって、それに扉座の役者も何人か出ていたので、その時に観ています。横内さんの作品らしくマンガのキャラも出てきて、メインは演劇部の子たちの話でみんなで作品作りをするんです。僕もまだ若手でしたから、演劇部の生徒に感情移入しながら観ていました。
砂田 劇団のオーディションには毎回この『リボンの騎士』が入ってて、演劇部の主人公の女の子の長台詞があるんです。私はオーディションでは他の作品の台詞を選びましたが(笑)、横内さんの授業で『リボンの騎士』の長台詞にも挑戦しました。主人公の想いが詰まった良い台詞で、その分とても難しかったのを覚えています。
 
──今回はお二人が座組を引っ張っていく立場ですね。
高木 そうですね、自覚はあります。いつも扉座はゲストが必ずいるのに、今回は僕らと若手、あとは高校生役のオーディションで受かった人たちだけです。かなりの人数が出ますし、ほとんど初めて会う人ばかりですが、そういう人たちから受ける刺激で、いつもの扉座のよさプラス、新しい何かを見せられればいいなと思います。できれば先輩たちに「俺たちにはできないものを作ったな」と言ってもらえるようにしたいなと。
砂田 私は劇団の若手公演には、一度も出てないんです。だから今回は本公演でも若手公演的な新鮮さがあるので、すごく楽しみです。

責任ある立場を任され
これから劇団の主軸に
! 

──お二人の演劇歴も伺いたいのですが、高木さんは扉座に入ってもう14年目になりますね。
高木 まさにホームです。扉座でなかったら役者をやってないと思います。サッカーをしていて、そこから役者になったのですが、演技とか全然わからなくて困っていたら、ある先輩に扉座の研究所に入るように薦められて。何もわからない僕を一から育ててくれたのが扉座で、これからその恩返しをしていきたいと思っています。
 
──その中で役者として変化した大きなきっかけなどありますか?
高木 『夜曲』という作品で虎清役をさせてもらったときですね。本番で死んで倒れていたら、お客様の泣いてる声が聞こえてきたんです。それまでお客様の声なんて耳に入らなかったので、びっくりしたし嬉しかったですね。自分のやっていることでお客さんが感動している。演劇をやってよかったと思いました。
 
──砂田さんはまだ4年目ですが、なんと大学の工学部卒なんですね。
砂田 そうなんです。高校演劇をやっていて、大学時代は地元の社会人劇団で活動していました。東京で演劇をやりたいけど、どこに入ったらいいのかわからなくて。それで知り合いの裏方さんに相談したら、扉座に横内謙介という天才がいるからそこがいいよと。それまで扉座公演は観ていなかったんですけど、受けようと決めて、親の反対を押し切って上京したんです。
高木 反対されたんだ! 
砂田 地元で就職すると思ってたみたいで。研究所には入れたのですが、もしそのあと扉座に残れなかったら富山に帰ろうと決めていたんです。でも残してもらえて、そのうえこうして色々な役をつけてもらって、本当に幸せだなと思います。
 
──最後に改めてこの公演への抱負を。
高木 今回の公演で責任ある立場を任されましたが、これからも主軸にならなくてはいけないという意識を持って、劇団の底上げになるような役者を目指していきたいです。
砂田 トモ(高木)さんがいてくださると稽古場の雰囲気が全然違うんです。先輩後輩関係なく、がんばれよと声をかけてくれるので。私も今回は、オーディションメンバーや扉座の劇団員など、高校生役をやる子たちがみんな年下で。
高木 先輩だ!(笑)。
砂田 いつも先輩方に支えられていたので。今回は皆さんの支えになろうと思っています。
高木 演劇も団体競技なので、ちゃんと同じ方向を向いていることが大事で、それが強ければ強いほど、この作品の言葉が刺さると思います。お客様と一体になって、会場を盛り上げていきたいですね。

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高木トモユキ・砂田桃子 

たかぎともゆき○静岡県出身。02年扉座研究所入所。04年扉座入団。劇団公演だけでなく外部出演や映像など、俳優としての活動の場を広げている。最近の外部舞台は、『かたき同志』(明治座、15年)『おトラさん』(明治座、16年)ミュージカル『刀剣乱舞』〜幕末天狼傳〜(17年)、ミュージカル『刀剣乱舞』〜結びの響、始まりの音〜(18年)など。
 
すなたももこ○富山県出身。金沢大学工学部物質化学工学科を卒業後、12年扉座研究所入所。14年扉座入団。扉座での主な出演作品は、『おんな武将・NAOTORA』(14年)、『いとしの儚-100 Days Love-』(15年)、『郵便屋さんちょっと2016』『歓喜の歌』(16年)、『郵便屋さんちょっと2017〜P.S.I love you〜』『江戸のマハラジャ』(17年)など。

〈公演情報〉
#26

手塚治虫 生誕90周年記念公演
横内謙介 劇作生活40周年記念公演 第1弾
劇団扉座第62回公演
『リボンの騎士−県立鷲尾高校演劇部奮闘記2018−』
脚本・演出◇横内謙介 
原作◇手塚治虫 
作品提供・協力◇手塚プロダクション 
振付◇ラッキィ池田・彩木エリ(イカキック)
出演◇小笠原彩、小川蓮、加藤萌朝、KAHO、河北琴音、菊地歩、北村由海、紺崎真紀、白金翔太、菅野亜未、砂田桃子、中嶋紗耶香、野田翔太、藤川泰汰、松本旭平、三浦修平、安田明由、八尋由貴、山川大貴、吉田美佳子 / 新原武、高木トモユキ、伴美奈子
●6/16・17◎厚木市文化会館 小ホール
〈料金〉前売4,200円/当日4,500円 学生券1,500円(全席指定・税込)
●6/20〜7/1◎座・高円寺 
〈料金〉前売・当日共4,500円 学生券2,000円(全席指定・税込) 
〈お問い合わせ〉扉座03-3221-0530(平日12:00〜18:00/土・日・祝休・公演中12:00〜16:00 6月28日休)



【取材・文/宮田華子 撮影/安川啓太】
 

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