稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

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インタビュー

伊坂幸太郎の同名小説『死神の精度』で若いヤクザ阿久津役に挑む! 植田圭輔インタビュー

死神植田さん2

伊坂幸太郎の同名小説を初めて舞台化、大きな反響を呼んだ『死神の精度』が、9年ぶりに再演される。09年の初演は和田憲明が脚本・演出を手がけ、「伊坂ワールド」のみごとな立体化として、伊坂ファンからも演劇ファンからも圧倒的な好評を得た。その再演となる今回の公演が8月30日に東京・あうるすぽっとで幕を開ける。(9月9日まで。そののち倉敷、名古屋、兵庫、山形、仙台、盛岡公演あり。)
 
今回も引き続き和田憲明が演出を担当、ラサール石井のほかは新キャストで個性豊かな顔ぶれが揃った。
主人公のミュージックが好きな死神・千葉には萩原聖人。死神のターゲットとなるヤクザ・藤田にラサール石井。藤田を慕う若いヤクザ・阿久津に植田圭輔。藤田に対抗するヤクザ・栗木と、もう1人の死神など複数の役を細見大輔が演じる。
この舞台で、ベテラン陣とともにたった4人で伊坂幸太郎の世界に取り組むことになる植田圭輔は、2.5次元作品で人気になり、今年春の芥川賞受賞作の舞台『火花』の好演で一気に注目を集めている若手演技派。そんな植田に、この作品と俳優としてのこれまでこれからを聞いた「えんぶ8月号」のインタビューを、別バージョンの写真とともにご紹介する。
 
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いつも通りの自分でないと
ここにいる意味がない

──まず出演が決まったときの気持ちから聞かせてください。
この作品の話をいただく前に、演出の和田憲明さんと一度お話させていただいたんです。それで出演するかどうか決まるということで、その時はなんとなくやれないような気がしていたんです。でも出演の決定がきて、共演の方々もその時点でわかっていたので、この4人の中に自分が入るのかと、これは相当の試練だなと思いました。
──和田さんの演出は厳しいと言われていますが、前回出演していたラサール(石井)さんとはなにか話しましたか?
ポスターの撮影でお会いしたのですが、「いやあ、とにかく大変だよ」とおっしゃって(笑)、「一緒に乗り越えよう」と言っていただきました。
──役柄は、ラサールさん扮する藤田を慕っている若いヤクザの阿久津ですが、どう取り組もうと?
阿久津の表立って見える部分と、考えていることとか生きている上で積み上げてきたものはまた別で、彼が何を目標として生きているかということは、物語の後半でわかってくるのですが、けっこう作品のトリガーというか、キーになっているなと。物語そのものを阿久津というキャラクターが動かす瞬間もかなりあるので、その覚悟というか、そういう重要な役をいただいたということに関して、感謝と恐れみたいなものはあります。でも正直なところ和田さんがどんな演出をされるのかまだわかってないし、たぶんボコボコにされるんだろうなと(笑)。だったら自分で何も決めていかないほうがいっそラクなので。もともと一役者の固定観念とかあまり必要じゃないと思っていて、今回、本当にすごい方々との公演で、大切な役どころをいただいたからこそ、いつも通りにいくべきではないかと。じゃなきゃ自分がここにいる意味がないし、もしダメだったらすぐ直せばいいくらいの気持ちでいようと思っています。

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地獄を見た上で笑わせる
芸人さんの神々しさ

──今12年目で、次々に主役も演じていますが、ここまで続けてくるために力になったことは?
ちょっと観点が違うかもしれないんですけど、バイトですね。東京へ来てから4〜5年、中華レストランで働いてて、時間帯責任者にもなったり。
──責任をまかされるなんてすごいですね。
いや、まかされたくなかったんですが(笑)。自分はお芝居をしに東京に来てるのにと思ったし。でもそのバイト時代があるから、役者としてハングリー精神を持ち続けられたので、それがなかったらちょっと腐ったような人間になっていたかもしれない。だからバイトが役に立ったかなと。
──そこまでして続けたいと思ったこの仕事の面白さは?
びっくりするくらい自分じゃない役をやっているときとか面白いなと。基本的に自分はネガティブで打たれ弱くて、いつも人と比べてて。それは絶対に人には見せないんですが、そういうタイプの人間なので。たとえば強気な役だったり、すごく温厚で人に優しいとか、まったく自分にはない人格で生きることができるのは面白いなと。本当に素はつまらない人間なんです(笑)。
──今年の春に出演した『火花』ですが、これまで多く出演してきた2.5次元が絵を大事にする作品だすると、リアルな表現でいわば真逆かなと。
ところが僕自身はやっぱりいつもと変わらないという感覚で、映像なら映像のやり方、舞台なら舞台版のやり方、『火花』みたいな作品にはそのやり方があって、それに準じているだけで、別にお芝居を種類で分けたことはないので。極論で言えば「ウソはつきたくない」ということでしかやってないし、違いは感じないんです。
──『火花』では素に近いものが見えた気がしました。でもそれは植田さんにしてみれば役でそうなったと。
そうです。ただ相手が石田(明)さんでしたから、石田さんの出方でいろんな乗っかり方があるべきだと考えながらやってました。そこから自分の素っぽい部分も出ていたのだと思います。
──俳優としての石田さんはいかがでした?
とても役者さんでした(笑)。稽古で最初の一言をかわしたとき「めっちゃ役者さんや」と思いましたから。あの現場においては「生業としてはお笑い芸人をやっている役者さん」という感じで、その役者さんがやるお笑い芸人の役ですから、それはすごいはずだなと。
──役者同士としてはぶつかりやすかった?
ぶつかりやすかったです。感じてることや考えていることが、わりと一緒だったので、それは本当によかったなと。
──『火花』が好評で、役者・植田圭輔がやってきた方法は間違っていなかったと確認できたのでは?
そうですね。ただ実感としてはそれどころではなくて、お笑いに関して、漫才師であるということに関して、乗り越えることに一生懸命でした。
──たしか大阪出身でしたね。お笑い芸人役へのプレッシャーも普通ではなかったでしょうね。
命がけでお笑いをやっている人たちなんです。本当に貧乏覚悟で、それは役者も一緒ですが、でも芸人さんの見る地獄は本当に地獄だなと。売れるなんて一握りで公園でネタ合わせをやってる人がほとんどで。なんのためにやってるんだと思ったり、腐ったりするでしょうし。そういう地獄を見た上で、ああやって人前で笑わせている。神々しいです。

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「試練と選択」に
負けず嫌いで立ち向かう

──『火花』、そして今回の『死神の精度』と、役者・植田圭輔への注目度が高くなっています。そんな自分をどう認識していますか?
自分が世間からどう見られているかまったくわかってないのですが、たしかに取り巻く環境が変わってきているので、それに順応できるスキルを身につけたいなと。目の前にあることを1つ1つ大切にと思っていますが、冷静に客観的に見て、「試練と選択」の年なのかなと、今、感じています。
──わりと厳しい認識なんですね。 
ちょっと背水の陣的な勝負どころかなと。1つ越えられなかったら役者やめようと思うくらいの場所かなと捉えています。
──『火花』ではみごとに乗り越えたわけですが、乗り越えるためのモチベーションは?
負けず嫌いですね。生まれたときから負けず嫌いだったらしくて、僕は本来左利きなんですが、箸は右手なんです。ファミレスとかで食事していると左利きだと隣とぶつかるんですよね。たぶん2歳か3歳のとき「左手邪魔やなあ」と親に言われたのがきっかけで右で食べるようになったんです。その負けず嫌いが、今も自分の核にあるのだと思います。
──その負けず嫌いでこの作品も乗り越えてください。最後に公演のアピールを。
そうそうたる方々の中に自分も入れてもらえたことが嬉しいです。自分にとってもお客様にとっても、この作品を知ることができてよかったと思っていただける作品になるように、そういう作品作りを先輩たちとともにやっていけたらと思っています。ぜひ観にいらしてください。
 
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うえだけいすけ〇大阪府出身。第19回「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」のファイナリストに選出され、翌2007年に俳優デビュー。舞台は『K』ミュージカル『ヘタリア』『おそ松さん on STAGE』劇団シャイニング from うたの☆プリンスさまっ♪『天下無敵の忍び道』ミュージカル『しゃばけ』『文豪ストレイドッグス』舞台『火花〜Ghost of the Novelist〜』などに出演。舞台のみならず、ドラマ『弱虫ペダル』や、声優として TV アニメ『王室教師ハイネ』のハイネ役など幅広く活躍中。初のCD「START LINE〜時の轍〜」が発売中。

〈公演情報〉
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石井光三オフィスプロデュース
『死神の精度〜7Days Judgement』
原作◇伊坂幸太郎『死神の精度』(文春文庫刊)
脚本・演出◇和田憲明
出演◇萩原聖人 植田圭輔 細見大輔 ラサール石井
●8/30〜9/9◎あうるすぽっと 
〈料金〉6,800円 U25  4,000円(全席指定・税込) 
〈お問い合わせ〉石井光三オフィス 03-5797-5502(平日 12:00ー19:00)
9/11〜30◎倉敷、名古屋、兵庫、山形、仙台、盛岡




【取材・文/宮田華子 撮影/國田茂十】



『死神の精度』


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TOKYOハンバーグ、初のひとり芝居公演『枳殻の容』 大西弘記・永田涼香インタビュー

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小林大輔  永田涼香  大西弘記

女子サッカー一色の高校3年間を過ごし、今ではTOKYOハンバーグの看板女優に成長した永田涼香と、小学生の頃からサッカーを始め、高校は名門校の三重県立四日市中央工業高校でサッカーに打ち込んだTOKYOハンバーグの主宰で劇作家・演出家、大西弘記がタッグを組んで、初のひとり芝居に挑む。
2人のもう一つの共通項である関西弁で紡ぐ、ある女性の物語。
なぜ、いま、この作品を上演するのか。稽古初日の7月中旬、稽古に入る直前に話を聞いた。

親友に捧げる弔い試合ならぬ、弔い芝居。

——企画書には、「平滑筋肉腫で闘病する男の、その日が来るまでを見守り続けた女の物語」とありますが、なぜこの題材になったのですか。
大西 ぼくには高校3年間、同じクラスでサッカー部でも一緒に過ごした関本恒一という親友がいて。彼は大坂出身だったんですけど、監督からスカウトされて、ぼくの地元の三重県立四日市中央工業高校のサッカー部に来ていて。3年間そこで青春をともにしたんです。高校を卒業して、彼がプロに入って活躍するのが嬉しくて、試合に応援にも行ったし、彼もぼくのお芝居を観に来てくれたりしたんですけど、彼は約1年半の闘病の後、2016年に亡くなってしまい・・・。弔い試合じゃないですけど、いつか彼のことを作品にしたいなと思っていました。
 けど、関本を直接的に書くのは、ちょっと苦しいし、劇作家としてひねりもないなと思って。関本には無念ながらにも、遺していった結婚を約束した相手がいて。その人の視点で関本を書いたらどうなんだろうって思って。同時にうちの永田のひとり芝居をしようと考えていて。最初、何にするかいろいろ案があったんですけど、これがちょっといいんじゃないかと思って。関本と結婚する約束をしていた、祐美子ちゃんにその話をしたら、「ぜひ書いて欲しい」って。関本のお母さんにも「本当にうれしいです」って言っていただけて。今、いろんな人に連絡をして作品にしようとしているところで、ぼくなりの追悼です。
——特に、この作品に向けて、準備をしていることなどはありますか?
永田 題材が、深いとか、単純に重いとかじゃなくて、誰でもありうる、命に関わることだから。それを当ててくださるっていうことは、23年間しか生きてきてないですけど、わたしが経験してきたこと、今まで生まれてから生きてきた力が、命っていうものと、ちゃんとぶつかれるんじゃないかと思ってくださったのかなと感じるので、そこは応えたいです。


ひとり芝居は、必ず成長するんです。

——ひとり芝居をやろうと思ったのはどうしてですか?
大西 (永田)涼香は今、すごく成長している最中で。今年の5月も主役をやったんですけど、この成長期にどんだけしんどいことをさせられるかと考えていて。決して飛び抜けた才能があるとか、本人を前にして言うのもアレですけど、すごい美人とかいうわけでもなく。愛嬌があるのが一番だと思うんだけど。若いうちからそういうことを経験させることによって、今回のひとり芝居がどこまでできるかは分かりませんが、後からついてくる、得るものっていうのはきっとある。
——ひとり芝居は大変かなと想像しますが、いかがですか?
永田 独白はわりと覚えやすいんですけど、会話の部分のセリフがあんまり入ってこなくて。相手がいないと大変だなぁって思っているところです。いつもは相手がいて、相手のために芝居をするのが当たり前ですけど、相手がいないというのは難しいなぁって。
——キャッチボールの相手がいないんですもんね。
永田 相手のことまですごく自分で想像してやらないといけないから。
大西 ちょっと器用だったら、やれちゃいますからね。でも涼香はどっちかと言うと不器用なタイプなんで、相手を探すという作業から入ったのは、単純に言うと嘘っぽくは見えないと思います。上手には見えないけど、嘘っぽくなく本当に見えるように追求していくっていうのが前からの課題ではあって。だいぶできるようになってきているので、楽しみなところです。

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お客さんにどれだけ想像してもらえるか。

——冒頭部分の台本を読ませていただきましたが、いろんな方が登場していて、世界の広がりを感じました。
大西 いつもと違う題材ですし、ひとり芝居を書くのも初めてで。ひとり芝居にもいろいろな手法があるんですけど、今回はオーソドックスに対話をしているセリフと独白で、どこまで涼香が演じる祐美子という役から、実際には登場してこない、ぼくの亡くなった親友が、お客さんに想像してもらえるかなぁって思いながら書いています。
——台本を読んでみて、永田さんはいかがですか?
永田 最初は難しいなぁって思ったんですよ、単純に。どうやっていない人を伝えられるんだろうって。
大西 ひとり芝居って言っても、相手がいて話している言葉ですからね。今、台本を書いていてもひとり芝居を書いている感じもしないですし。やっぱりその、セリフの中では、ただ独り言を言っているわけではなく、誰か、相手の言葉があって、セリフを発しているわけですから。状況を説明し過ぎないのも不親切だと思うので、どこまで書いたら、お客さんに寄り添って行けるかなって。あとは永田涼香がどこまでがんばっていけるかなって。
永田 寄り添うとありましたが、普通、登場人物が複数いたら、誰かに感情移入して観ていくじゃないですか。主人公に限らず、脇役でも、「この人の気持ち分かるなぁ」って思いながら物語を追っていくと思うんです。でもひとり芝居だとわたししかいないから、わたしに感情移入するしかない状況なので、そこはグッと引きつけて行かないといけないなと。
——なるほど。台本が関西弁で書かれていましたが?
永田 今回、運命的だと思ったのは、祐美子さんは三重県の伊賀上野という地域のご出身で、そこは大阪が隣なので言語が関西弁なんだそうです。ひとり芝居の台本は標準語かなぁと思っていたら、大西さんから「関西弁で書いてるよ」って聞いた時、わたし大阪出身だから、すごいうれしくて。それで勝手に親近感も湧きました。
 本当に大西さんと出会ってここまで来て、このタイミングで芝居をやることになって、やるべくしてやることなのかなって。これからたぶん、この作品は始まっていくなと思います。8月5日の千穐楽がゴールではなく、そこからどんどんどんどんこの作品が続いて行くような気がしています。
大西 照明や音響などのスタッフさんはいつもやってくれてるメンバーですし、今回は劇団員の(小林)大輔が舞台監督として稽古場に常駐してくれるので、安心して作品に打ち込める環境は整っています。
小林 自分は役者なんで、今回の作品は特に観てみたいですね。劇団の仲間として、劇場で始まったらお客さんが永田涼香を観る空間になるよう、スタッフとしてがんばります。永田涼香のために。

【プロフィール】

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大西弘記(左)
三重県伊勢市出身。2006年、自らの作品を上演するために、TOKYOハンバーグを立ち上げる。近年、外部公演への脚本提供・演出なども手がけている。

永田涼香(中)
1994年大阪府出身。中学時代に演劇部、高校では女子サッカー部。高校卒業後、桐朋学園芸術短期大学に入学。卒業後はフリーの役者として活動後、2016年、TOKYOハンバーグに入団。

小林大輔(右)
1980年長野県出身。大駱駝艦白馬村野外公演、龍昇企画+温泉ドラゴン合同企画、ハイリンドなど多くの舞台に出演後、2017年、TOKYOハンバーグに入団。趣味はヨガ。

【公演情報】
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TOKYOハンバーグ『枳殻の容』
8/2〜5◎下北沢 小劇場 楽園
作・演出◇大西弘記
出演◇永田涼香


【取材・文・撮影/矢崎亜希子】


『最遊記歌劇伝-異聞-』


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フレッシュなメンバーで『新・幕末純情伝』FAKE NEWS 上演中! 味方良介・小松準弥・田中涼星 インタビュー

幕末3人全身

つかこうへい生誕70年にあたる今年、命日でもある7月10日を挟み、つかの本拠地、紀伊國屋ホールで生誕70年記念特別公演として『新・幕末純情伝』FAKE NEWSが、7月7日から紀伊國屋ホールで上演されている。(30日まで。近日中に舞台写真も掲載! )

幕末の京都を舞台に「新撰組の沖田総司が実は女だった」という、つかこうへいのユニークな着想で、1989年8月渋谷のPARCO劇場で幕を開けて以来、『熱海殺人事件』『飛龍伝』と並ぶつかの代表作の1つとして、幾度となく上演され続けてきた。
今回は演出に、日本のトレンディドラマの産みの親である河毛俊作を迎え、紅一点の沖田総司役にはNGT48元キャプテンの北原里英が初舞台として挑戦している。
そんな新しい『新・幕末純情伝』に向けて、坂本龍馬役の味方良介、土方歳三役の小松準弥、桂小五郎役の田中涼星に熱い抱負を語り合ってもらった「えんぶ8月号」のインタビューを、別バージョンの写真とともにご紹介する。

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小松準弥・ 味方良介・田中涼星


台本を読んでいると
石田龍馬の顔が出てくる

──味方さんは前回は桂小五郎役で、今回いよいよ坂本龍馬役です。
味方 嬉しかったんですけど、前回、石田(明)さんの龍馬をそばで観ていて、その記憶が頭にこびりつきすぎて(笑)。台本を読んでいても石田さんの顔が出てくるし(笑)、石田さんにも「俺は泥臭さの最高峰を行ったと思ってる。味方がどうくるか楽しみだ」と言われて。でもタイプは違うので、味方流の龍馬ができればと思っています。とにかくゼロスタートです。
──そして、つか作品に初参加のお二人ですが。
小松 僕は4年ぐらい前に初めて『新・幕末純情伝』を観て、まだ演劇経験も浅かったので、すごい迫力で熱い芝居だなという印象しかなかったんです。でも、そんな僕でも「つかこうへい」という名前は知っていて、その方の作品に出させていただくという緊張はありますが、今後の自分の糧にしていきたいと思っています。演じる土方歳三は、人間の弱さとかダメなところが集約されているような人物で、それこそ泥臭さの極みを出したいと思っているので、そこに挑戦したいですね。
田中 僕はつかさんの作品はまだ観たことなくて、でもこれまで凄い方々が出演されているので、そのプレッシャーもありつつ楽しみでもあります。味方さんが前回されていた桂小五郎役を演じますが、台本を読んだら「わっ」と衝撃を受けて。
味方 どこに衝撃を受けたの?
田中 やっぱり「じゃりじゃり」ですね(笑)。
味方 砂を食べるんだよね(笑)。桂は超体力を使う役で、ゼロからいきなりトップギアで、袖から出ていって、戻ってきたら目が真っ赤で全身汗だくになってるという(笑)。
田中 やっぱりそうですか。相当大変だろうなと思っていたけど(笑)。良介くんには共演したとき色々教えてもらったので、今回も教えてもらいたいなと。
味方 いや、今回そんな余裕ないから(笑)。

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ダメになりそうでも
途中で引かない!

──味方さんが25才で、小松さん24才、田中さん23才というフレッシュなメンバーですが、先輩としてつか作品へのアドバイスはありますか。
味方 とにかく一生懸命やる、がんばる(笑)。熱く熱く熱く、絶対に途中で引かない、自分がダメになりそうでも押し込んでいく、そこが大事かなと。最初にバーンと行くと普通落ちるんですが、落とさないで上げて行く。もうダメだと思ったところにもう1回踏み込む、みたいなことですね。
小松 『熱海殺人事件』とか観ていても、テンポとかエネルギー量が凄いなと。まずそれに付いていきたいし、自分は何も持ってなくてゼロからなので、どんどん食らいついていきたいです。
田中 今、話を聞いていたら、僕もこの作品で自分の限界を超えられるかもしれないと。桂という役も台詞も初めて出会うことばかりで、ちょっとがんばらないといけないなと。
味方 ちょっとじゃだめだから。
田中 すいません(笑)。全力でがんばります!
──お互いの印象はいかがですか?
味方 小松くんは初めてなんですが、『熱海殺人事件』で一緒だった多和田(秀弥)と同じ事務所だから話は聞いてて、「すごい良い子だから」と。実際良い子です。
小松 ありがとうございます。僕は味方さんの舞台は観ていて、すごいな、素敵だなと思っていたんですが、多和田くんに、「聞いたら教えてくれるから頼っていったらいい」とアドバイスしてもらったので、付いていきたいなと。
味方 たいへんだよ、お酒いっぱい呑むから(笑)。稽古時間より長くお酒呑んでるから(笑)。
2人 (爆笑)。
田中 共演したときも、とにかくリードしてくれるしフレンドリーなので、色々聞きやすいんです。勝手に兄貴みたいだなと。
味方 勝手だな。やめてもらえる?(笑)
田中 (笑)優しいし、頼もしい兄貴です。

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沖田総司が輝くように
会場中に愛されるように

──小松さんと田中さんは俳優5年目で、それぞれ舞台からスタートしているのですね。
小松 僕は蜷川幸雄さんの『ロミオとジュリエット』(2014)で、アンサンブルでしたが、最初のセリフを言う役で、出来なくて稽古時間を2時間くらい使わせてしまいました。蜷川さんは稽古中は確かに厳しいんですけど、普段は優しくてすごく愛のある方だったので、全然つらくなかったです。すごく良い経験でした。
田中 僕も初舞台の『K』で出来なさすぎて、演出の末満健一さんに本番のマチソワの間に稽古をつけてもらうという状態で、出来ない自分が口惜しかったです。でも千秋楽には「よくがんばった」と褒めてもらって。根性だけはつきました。
──味方さんはキャリア豊富ですが、つか作品に出て一番良かったことは?
味方 諦めること、ですね。舞台が始まったらとにかく進む、行く、しかないんです。それまではへんな計算とかあったんですけど、始まったら頭で考えても追いつかない。もちろん台詞には意味があるんですけど、とりあえず大きな声で言ってみる。そうすると何か生まれる。その感覚が正解だったりするんです。その気迫がカンパニー全体にも必要で、誰か1人でもカッコつけようと思ったら、みんなでそいつをぶっつぶしに行くという(笑)。戦いですからカッコつけたら負けなんです。
──新参加の二人も鍛えられそうですね。
味方 でも田中くんは一緒に出たときもカッコつけてなかったよね。
田中 共演した作品はすごいスピードで喋る場面もあって、なりふりかまわずやるしかなかったんです。力が抜けて楽しかったです。
小松 僕は『ALATA』が良い経験になっています。殺陣の手数が1000手以上あって。
味方 (早乙女)友貴くんの役だよね。
小松 はい。しかも稽古時間があまりなくて不安でしたけど、「もう考えるのやめよう」と思って、舞台に体を預けました。それでなんとか乗り越えたので、そういう感覚を学べたのは大きかったです。
──三人のぶつかり合いが楽しみです。最後に改めて意気込みを。
田中 今回、初めてのつか作品です。自分の全力で踏み込んでいきます。
小松 これまで先輩方の築き上げてきた作品なので、自分の魂をぶつけていきたいです。人の弱さとか愛とか、そういうものに全身全霊で向かっていきたいと思います。
味方 お客様には前回のイメージが残っていると思いますが、それを全部壊して、今回が一番記憶に残るようにしたいです。みんなでつかさんの言葉を大事に、座長で沖田総司役の北原里英さんが輝くように、会場全体が沖田を愛するような、そんな作品になるようがんばります。

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小松準弥・ 味方良介・田中涼星

みかたりょうすけ○東京都出身。舞台を中心に活躍中。2011年デビュー。最近の主な出演作品は、『新・幕末純情伝』、舞台版『こちら葛飾区亀有公園前派出所』、『熱海殺人事件』、〜崩壊シリーズ〜『リメンバーミー』、舞台『幽劇』、『ウエアハウス〜Small Room〜』、『ミュージカル「黒執事」-Tango on the Campania -』、『熱海殺人事件』、舞台『Take me out』など。
 
こまつじゅんや○宮城県出身。2014 年、NINAGAWA×SHAKESPEARE LEGEND機悒蹈潺とジュリエット』で舞台デビュー。2016年『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』シリーズをきっかけに俳優として本格始動。最近の出演舞台は、超進化ステージ『デジモンアドベンチャーtri.〜8 月1日の冒険〜』、『ポセイドンの牙Version蛤』サムライ・エンターテインメント『アラタ〜ALATA〜』など。

たなかりょうせい○新潟県出身。2014年、舞台『K』で本格役者デビュー。15年〜16年ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズンにおいて青学・乾貞治役を約2年間務める。近年の舞台作品は、ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』シリーズ、Live Musical『SHOW BY ROCK!!』シリーズ、舞台『幽劇』、ミュージカル『Dance with Devils』シリーズなど。2018年秋に映画『BLOOD CLUB-DOLLS』が公開予定。

〈公演情報〉 
新・幕末純情伝PR
『新・幕末純情伝』
FAKE NEWS
作◇つかこうへい 
演出◇河毛俊作
出演◇北原里英 味方良介 小松準弥 田中涼星 
増子敦貴 松村龍之介 細貝圭 ほか
●7/7〜30◎紀伊國屋ホール
〈お問い合わせ〉東京音協 03-5774-3030 (平日11:00〜17:00)







しあわせの雨傘


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最強の二人が強力な仲間を連れて帰ってくる! 『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!2018』 福井晶一・原田優一・鯨井康介・上口耕平 インタビュー

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たった二人の出演者、ピアノと帽子と小道具だけの舞台装置で展開される作品の中に、ミュージカルの歴史と、ミュージカルを愛する心が詰まっている傑作『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!2018』が、7月18日〜29日新宿村LIVEで待望の再演の幕を開ける。
『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!』は観客を「プロデューサー」や「スポンサー」に見立てた「バッカーズ・ オーディション(舞台作品のプレゼン)」の形式をとり、劇中劇に登場する20以上の役柄をたった二人の役者で演じるユニークな着想の作品。すでに世界6か国で上演され、それぞれの国で最高のコメディ作品との絶賛を受け、今もなお上演が続いている。日本では2017年3月、情報と人種の境界線を越え、国境と宗教の壁も突き破り、人類と世界平和を守ろうとして夢半ばで力尽きた印刷機の発明者・グーテンベルクの仮想物語を、全世界に伝播しようと立ち上がった、 互いを天才と称して止まない最強友情コンビ、作家=ダグ・サイモンを福井晶一。作曲家=バド・ダベンポートを原田優一のキャストで初演され、帽子をかぶり替えるだけで、20以上の劇中劇の登場人物を次々と演じ分ける二人の熱演が大評判となった。
今回の上演はその好評を受けての再演で、初演コンビはもちろん、新たにダグを鯨井康介、バドを上口耕平のNewコンビが登場。2チーム制での上演に大きな期待が集まっている。
そんな作品でタッグ組む、福井晶一、原田優一、鯨井康介、上口耕平が、初演の思い出や作品への想い、またバッカーズ・オーディションに実際に挑むとしたら?の夢や、公演への意気込みを語ってくれた。

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上口耕平、鯨井康介、福井晶一、原田優一
 
客席の反応と共に
創り上げられた初演の舞台

──大好評だった舞台の待望の再演ということで、まず福井さんと原田さんから、初演の思い出や手応えのあたりから、お話し頂けますか?
福井 大好評だったんですかね(笑)。
原田 僕たちとしてはただ必死にやっていただけだったんですね。海外での上演版の資料等も敢えて見なかったんです。骨組みはもちろん同じなのですが、日本版として板垣(恭一)さんが台本を書き換えて下さったので、例えばアジアでは韓国で上演して大評判になったという情報は知っていますが、内容については一切見ず聞かずで、自分たちのものを作ろうとしたので。
福井 本当に一からだったよね。
原田 だからまさに手探りで始めたので、お客様が入ってようやく完成したというか。稽古場では「ホントにこれ面白いのかな?大丈夫かな?」というのが大きかったし、福井さんと板垣さんだけを信じて、「あ、今板垣さんが笑ってくれたから大丈夫か?」みたいな(笑) 。
福井 そうそう!
原田 だから結構僕は、幕が開くまでは恐怖でしたね。

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──そうすると、お客様の反応から得心していった部分も?
原田 そうですね。「あ、反応来てる!笑ってる!」で、ホッとしてノッていけたし、逆にここで笑いがくるであろうと想定されたシーンで、客席がシーンとしたままだったりすると、二人で凍るっていう(笑)。
福井 あった、あった!(笑)。
原田 本当に二人で、お笑いのコンビじゃないですけど、ネタを考えてやってるような感覚に陥ることも多かったので、実際にお客様が湧いてくださったのは嬉しかったですし、予想以上に大きな反応が頂けたなという感触はありましたね。
福井 本当に僕にとっては、多くのチャレンジの舞台だったんです。これまで小劇場に立ったこと自体がほとんど無かったですし、二人だけのミュージカルで、出演者二人とピアノの桑原(まこ)さんだけというね。必然的に稽古場も少人数でしたから、一つひとつ作り上げていって。今、優ちゃん(原田)が言った通りで、舞台に行くまでどういう反応が来るかわからなかったし。ただ板垣さんがずっと笑ってくれてるっていう(笑)その安心感はありましたし、振付のだいちゃん(当銀大輔)もすごく笑ってくれてたんで、それだけを信じてやっていました。でもやっぱり舞台に行っても色々なハプニング、予測不可能な事が起こって(笑)。帽子を替えるだけで役を演じ分けるので、とにかくやる事がたくさんあって、手順や作業に追われて本当にてんやわんやしながら、二人で「今日はどういう事が起こるんだろう」と思いながらやっていましたね。でもそれでいて、何より楽しい現場でしたし、幕を開けて見たらお客様もとても喜んでくださったので、その思い出がやはり一番でした。
──そんな作品に、今回もう1組のダグ&バドとして入られる鯨井さんと上口さんは、今、どんなイメージや魅力を感じていますか?
上口 僕はこの作品の楽曲それぞれ、音楽がすごく好きです。まずメロディーラインがとても好きだなというのが単純にあるんですけど、様々な色の楽曲があるので、楽曲だけでもおもちゃ箱みたいなんです。その中に色々な役が入っていて、今は歌稽古がメインの段階なのですが、稽古をしながらどんどん楽曲の魅力にハマっていっているので、これから稽古が進むにつれて、更に好きなところが増えて行くんだろうなと思うと楽しみですね。
鯨井 曲がすごく素敵だというのは僕も感じているのですが、もうひとつ、この作品は僕が個人的にイメージしていた「ミュージカル」というものの概念よりも、本の上での自由度が高いんですね。「ここは自由にどうぞ」という演者に任せられている部分が台本に組み込まれているので、「こういう台本がミュージカルの世界にあるんだ」と、少し驚いた面もあります。だからこそ二人だけで演じる作品ですし、二人で作り上げて行くものが大切になるんだろうな、というのが今の印象です。

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新たに書き下ろされた
2パターンの台本

──今回は2チームでの上演ですが、初演のお二人は、新たに取り組んでみたいことなどはありますか?
原田 まず、再演で板垣さんが書いて下さった台本が変わったんですね。流れは一緒なんですけど2チームあるという事で、経験者の我々と新たなお二人という、環境も個性も違う2チームそれぞれに沿ってというか、今までの出演作等も考慮された別の台本を書いてもらっているので。
──台本自体も2パターンあるのですね?
原田 そうなんですよ。それぞれ全然キャラクターが違うので。経験者の僕らにとっても、台本に新たなネタがあって、と、ミュージカルでネタって言っちゃっていいのか!?なんですが(一同爆笑)。まぁそこから広げていければ良いかなと思いますし、実は僕らも良い感じに前回の事を忘れてるので(笑)。
福井 特に俺がね(笑)。
原田 いやいやいや(笑)同じ、同じ!良い具合に抜けているので、また一から作れるかなと思っています。
──この1年半でお二人共、多くの舞台を務めていらしたから、その蓄積も大きいでしょうし。
原田 そういう意味では、ちょうど良い時期だったのかなと。適度に覚えていすぎず、抜けすぎてもいずというね。
福井 まだ歌稽古を数回やっただけなんですけど、何かまた僕らとは違うキャラクターの二人、上口君と鯨井君がいてくれることによって、改めて僕たちの色が自分たちでもわかったという部分があります。二人はまだこれからどんどん作っていく段階でしょうが、それでも彼らがそっちに行くなら、自分たちはこっちで行った方がいいんだなとか、そういう方向性を2組いることで教えてもらえる、発見することがたくさんあるので、この新しい環境にも新たなものを引き出してもらいながら、一から作り直して深めていけたら良いなと思います。

0036

──そういう先輩チームに対して、新チームのお二人が楽しみにしていることは?
上口 今の段階で、もう楽しくてしょうがないですよね?
鯨井 楽しいですよ!先輩お二人がおっしゃったように、やっぱりお客様と一緒になった時に初めて完成する、まぁ、どの作品でももちろんそうだと思いますが、中でも特にこの作品はそういう面が強いので、その開けた瞬間、僕らがどう感じて、どう舞台が完成するか。逆に1ミリも受けないかもしれないですけど(笑)。
上口 それは怖いな!(笑)。
鯨井 その恐怖もありますけど(笑)でもそのドキドキ感が役者としては楽しみというか、生の反応を肌で感じられるのが楽しみです。
──やはり、日によって客席の反応も違いますでしょう?
原田 全然違うんです。お客様の年齢層によってもウケるところが違いますし(笑)。だから僕らと彼らでは、またそれぞれ反応も変わってくると思いますね。
──そういう意味では、コンビのお二人の信頼感が何より大切になりますね。
鯨井 上口さんと初めてご一緒させて頂くのですが、会話していても色々なポイントで話が合って、盛り上がれるところが多いので、まだ稽古がはじまって短いですが、この人となら良いチームワークで一緒に作れると思えているので、今、すごく楽しいです。
上口 すごく嬉しい事言ってくれた!今めっちゃテンション上がりました。
鯨井 やった!(笑)だから二人で舞台を楽しんで、お客様の反応も楽しんで、もちろんそれは、僕らがどれだけ自信を持って作り上げられるか、そこにかかってくることなんですけれど、やはり開幕が楽しみですね。


0027

出たとこ勝負組と
真面目組という2チーム

──両チームそれぞれに、是非エールの交換をお願いします。まずは先輩チームから。
原田 エールだって〜!僕らがエール欲しいのに(笑)。
福井 実力ある二人なので、全然心配してないです。楽しみでしょうがない。
原田 本当にそうですよね!
福井 やっぱり頭が良いし、ちゃんと考えて来てるし。僕なんてもうパッパラパーだから(笑)。
上口 どういうエールですか、それは!(笑)
鯨井 すごいエールですよ!(笑)。
福井 いや、僕は結構フィーリングで作っちゃう方だから。でもちゃんと組み立てて来てるんだろうなというのがすごくわかるから。
原田 そこが一番違うかもしれないですね。僕らは結構出たとこ勝負組だから(笑)。
上口 僕らはわりと真面目なんです(笑)。
福井 うん、それは伝わる。すごく計算されてる感じがするから、組み立て方が違うというか、それが見ていて面白い。僕らなんかはうまく板垣さんが導いてくれたところもあったけれど、二人はすごく考えてるから、板垣さんと一緒に更に面白いものになるんじゃないかなと。
──初演の感想の中に、どこまでが台詞で、どこからがアドリブかわからないという声がありましたね。
原田 それ、僕らもわかってなかったぐらいで(笑)。
福井 途中でわかんなくなっちゃう(笑)。
原田 「あー、今やっと本線に戻ったかな?」みたいな(笑)。
福井 戻れなくなったりね(笑)。
原田 そうそう、戻れなくなったりとか!でもそれにスリルがあって、二人だけの恐怖を分かち合えるというのが面白味でもあり、本番の最後の方ではそれも楽しめたかなと。もちろん初日なんかは楽しめるどころの話じゃなくて、お客様との会話がまずあまり出来なかったなという反省があったくらいでしたが、でも最終的には会場がコンパクトなだけに、お客様との交感、コール&レスポンスもできるようになって、多分お客様もそれでノッて来て下さったというのがあると思うので、今回はその余裕を大切に頑張りたいと思います。だから二人も楽しんでください!
鯨井・上口 ありがとうございます!

0068

鯨井 僕らとしては、まず再演にあたって初演の映像を頂いたんですね。で、稽古を前に何度も見る訳です。だから今、ご一緒していて「本物がいる!」という気持ちで(笑)。「映像で見ていた方達が目の前で同じ歌を歌っている!」みたいな。
上口 僕らは公演を重ねてからの映像を見せて頂いたので、色々やっぱりお二人がアレンジされているじゃないですか。でも鯨井君はメチャクチャ映像を見て覚えていて、歌稽古でそのアレンジされた通りに歌うから「それ譜面と違うよ、福井さんの歌い方だよ」って(笑)。
鯨井 「だから、福井さんがそう歌ってるんだからこうだろう」と。
上口 大ファンみたいな(笑)。
鯨井 「それ、福井さんだから出来る事だからやめて!」と言われて「すいませんでした!」って(笑)。
上口 僕ら、学ぶところはそこが頼りだったので、稽古場も見せて頂きたいなと思っているのですが。
鯨井 盗めるところは盗んで「俺には無理だな」というところを変えて行こうか、と思っています(笑)。
福井 いや、そもそも台本も違うし(笑)。
──台本も2パターン作ってくださるというのは、すごく細やかなお仕事ですね。
原田 本当にありがたいですし(一同口々に同意)、板さん(板垣)のことなので、立ち稽古が始まって「やっぱりこうかな?」と、更に中身が変わっていくと思うんです。だから全然違うものになる、2パターンが別物のように楽しんで頂けると思います。

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それぞれの好きな役柄と
バッカーズ・オーディションの夢

──劇中に20以上の役柄が登場しますが、演じていて特に好きな役はありますか?
原田 1番は修道士で、2番はヘルベティカというグーテンバーグの相手役です。ヘルベティカはとても素敵なソロナンバーを歌っていて、僕は自分のコンサートでも歌うくらい好きな曲なので、修道士とヘルベティカですね。
福井 僕はグーテンバーグが軸になっていて、自分のキャラクターも含めて思う存分振り切ってやれる役かな(笑)と思ってますけど、あとは「見習い修道士」という役があって、それはちょっと普段だったら絶対自分がやらないキャラクターをさせてもらっているので、やっていて楽しいです。
上口 僕もやっぱりヘルベティカは純粋に可愛いなと。まあ、あんな良い子はいないと思うんですけど、それだけに憧れの念を持ってやりたいと思います。
鯨井 じゃあ、ヘルベティカ役を演じている上口さんには、ご本人の理想像が投影されている?
上口 あぁそうか!そう言うとそうなっちゃうか。でもそうかも。
原田 だから宝塚の逆版みたいな感じでしょう?理想のかっこいい男を演じる女、理想の可愛い女を演じる男みたいな。
上口 そうですね!その表現はわかりやすいですね!
鯨井 僕は酔っ払いです!はい!(キッパリ言い切るので一同笑)

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──この作品は「バッカーズ・オーディション」という、まだ日本ではそこまでメジャーな形ではないシステムを取り上げている面白さもありますが、もしも皆さんがバッカーズ・オーディションに挑むとしたら、これをやってみたい!という作品や役どころなどはありますか?
原田 やはり今どうしても舞台作品は大都市中心でしか上演できないので、全国色々な場所に廻りたいな、という気持ちは強いです。この作品などは帽子とピアノと机があればいいから(笑)、それに最適だと思うので、全国各地で観てもらえたら嬉しいなと思いますね。先日も『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』でご一緒した大先輩の女優さんが二人芝居をするにあたって、相手の役者さんとそれこそバッカーズ・オーディションじゃないですが「買ってください」とプレゼンして、全国を廻ったというお話もお聞きしましたので、そういうのもありなんだなと。
福井 僕は、日本のものを作品にしたいですね。そういうものがもし作れたら、より共感してもらえたり、笑いにもつながると思うので。
上口 そういう意味では、日本には世界に発信しているアニメーションの文化があって、今2.5次元などアニメを題材にしたものがどんどん世界に出て行っていますよね。そこを更に発展させて、色々な才能の方が集まって、例えば「ロックミュージカル『ドラえもん』」とか、「ロックミュージカル『北斗の拳』」とかが、オリジナルで作れたらいいなと思います。
鯨井 あー『北斗の拳』とかかっこいいですよね〜。
上口 無茶苦茶ロックですからね『北斗の拳』は。
鯨井 あんな風にに分かりやすい愛と正義と、というのものがあったら確かに面白いと思います。
上口 バッカーズ・オーディションって、そもそも「これ買ってくれよ」という気持ちが前向きですよね。日本では劇団さん等はそういう方向性で作られていると思いますが、僕自身はそういうポジティブさ自体をすごく学びたいなと思います。原田さんたちは自分たちでもどんどん作られているので、そこを更に攻めてプレゼンしていく形に持って行けたら素敵だなと思います。

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ミュージカル上級者から
はじめての人まで楽しめる

──では改めて、この2チームによる新たな『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!2018』を楽しみにしている皆様に、意気込みとメッセージをお願いします。
鯨井 では先輩に締めて頂くということで、我々から。今回の再演で新たに参加させて頂きますので、自分達らしいカラーが出る作品になれば良いなと思っています。「良い作品だったら買うよ!」ぐらいの気持ちで(笑)、劇場に来て頂けたら嬉しいです。僕たちも全力で頑張りますので、よろしくお願いします!
上口 同じ気持ちです!とにかく僕たちは全力でプレゼンしますので、どうか気楽に、テーマパークに来るような感覚でエンジョイしにいらして頂けたら嬉しいので、よろしくお願いします!
原田 再演なんですけれども、初演という気持ちでやりたいので、「初演は観ていないんだけどついていけるかしら?」というようなご心配をなさることなく、全く気構えずにいらして頂ければ。この作品は上級編ミュージカルというものではなくて、むしろ初級の「ミュージカルってこういうものだよ」というところも盛り込まれている作品なので、もちろんミュージカル大好きな方も初めての方も、更に、舞台観劇が日常にある人も無い人も、これを機会に是非観に来て頂きたいなと思っています。是非一緒に楽しんで頂ければ。これだけ「盛り上がれるよ!笑えるよ!」と言うと、「お一人様だからどうしよう」と心配なさる方が多いのですが、お一人様の方が逆に多いくらいなので、是非気軽にいらして頂きたいと思います。
福井 皆さんと一緒なんですけど、ミュージカルを良く知っているコアな方にも、ミュージカルをまだ知らない方にも楽しんで頂ける、ミュージカルの仕組みを「バッカーズ・オーディション」という形で見せていく、すごくわかりやすい作りになっていますので、是非1人でも多くの方に観て頂きたいと思っています。本当に楽しい作品なのですが、笑いだけではなくて、グーテンバーグが誰でもが文字を読める世界を目指して、印刷機を発明したからこそ、今僕たちがこうやって台本をもらってお芝居ができる。それはグーテンバーグの平和を願った祈りのおかげ、という意外と感動もできる作品なので(笑)、笑って最後はちょっとほろっとするこの舞台を、是非多くの方に観て頂きたいと思います。

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■プロフィール
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ふくいしょういち〇 北海道出身。95年より劇団四季に所属。 劇団時代は多くの作品で主演を務め、12年に退団後、ミュージカルを中心に舞台活動を展開しつつ、17年には1stソロアルバム 「Blessings」をリリース。コンサート活動も精力的に行なっている。近年の主な舞台作品に『レ・ミ ゼラブル』、『ジャージー・ボーイズ』、『SNOW  MANGO』『マタ・ハリ』、『ロマーレ〜ロマを生き抜いた女 カルメン〜』等がある。9月『ジャージー・ボーイズ』再演への出演が控えている。 
 
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はらだゆういち〇埼玉県出身。9歳よりTV、舞台、映画、ライブ、ダンス・イベントに多数出演。安定感のある ソフトな歌声と幅広い役をこなせる器用さを持ち、ミュージカルを中心に活動中。 主な出演作に『ミス・サイゴン』、『レ・ミゼラブル』、『GEM CLUB』、音楽劇『瀧 廉太郎の友人、と知人とその他の諸々』、『TARO URASHIMA』等。 近年では演出も手掛け、オフブロードウェイ・ミュージカル『bare』やオリジナ ルミュージカル『デパート!』、自身も出演する『KAKAI歌会』などで好評を得ている。10月『マリー・アントワネット』への出演が控えている。 

0057
くじらいこうすけ〇 埼玉県出身。アニメの主役で声優デビューの後、ミュージカル『テニスの王子様』海堂薫役に抜擢され注目を集める。近年では多数の舞台で主演を務めており、高い演技力に定評がある。 16年12月演劇ユニット「トンダカラ」を結成。 代表作にオフブロードウェイ・ミュージカル『bare』主演『弱虫ペダル 新インターハイ篇〜箱根学園王者復格(ザ・キングダム)〜』、『瀧廉太郎の友人、と知人とその 他の諸々』等がある。9月朗読劇『予告犯』への出演が控えている。 

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うえぐちこうへい〇和歌山県出身。02年ドラマ「ごくせん」でデビュー。 高校時代から数々のダンスコンテストに入賞、キレのあるダンスには定評がある。 近年はミュージカルを中心にジャンルを問わず活躍中。主な出演作に『DAY ZERO』、『FUN HOME』、『パジャマ ゲーム』、『天使にラブ・ソングを 〜シスター・アクト〜』、『スカーレット・ピンパーネル』『Color of Life』、『ダンス オブヴァンパイア』等がある。10月『タイタニック』への出演が控えている。 
 

〈公演情報〉
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『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!2018』
原作◇アンソニー・キング&スコット・ブラウン
日本語上演台本・訳詞・演出◇板垣恭一
出演◇福井晶一&原田優一、鯨井康介&上口耕平 (2チーム制出演)
●7/18〜29◎新宿村LIVE
〈料金〉5,800円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉 .gutenberg@consept_com


 
【取材・文/橘涼香 撮影/岩田えり】



『あなたの初恋探します』


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桃尻犬 みのりの公演『熊ん子リバーバンク』はバイオレンスコメディ!まもなく開幕!

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ろりえの徳橋みのりが桃尻犬と共同製作して、7月6日(金)〜8日(日)下北沢OFFOFFシアターで『熊ん子リバーバンク』を上演する。作・演出は桃尻犬主宰の野田慈伸で“ギリギリでテンパりきってる人の群れの中で生きてる、なんかやばい感じ”のバイオレンスコメディ!になるという。桃尻犬の前回作品『メロン農家の罠』にいたく感動して、雑誌”えんぶ”でカラー6Pの特集を組んでしまった張本人えんぶ編集長が、公演立ち上げまでの経緯や作品の中味に興味津々! 企画発案者で主演(?)の徳橋みのりと、作・演出を担当する野田慈伸(桃尻犬主宰)に、インタビューを敢行した!


とにかく、野田慈伸作品に出たい!

——この企画はどういういきさつで始まったんですか?
徳橋 桃尻犬の前回公演『メロン農家』に出演して、すごく面白かったので、「次、いつやるんだ?」「またやりたい!」とはちょくちょく言ってたんですけど、野田さんは「そうだねー」みたいなこと言って1年経ってしまったので。「あ、これはすぐにはやらないぞ」と思って。で、「とにかくどうしたらやってくれるんだ?」って訊いたら「劇場を取ってくれたらやる」って言われたんで、年明けに下北沢の喫茶店に呼び出して、その場で劇場の空き状況を聞いて、劇場を取って。それから企画の内容を話をしました。
——小劇場っぽいエピソードですね(笑)。
徳橋 とにかく、野田さんに作・演出をやってもらおうっていうのと、それに自分も出してもらおうっていう魂胆でした。


今回は例外的な作品

——劇場を取って、下北沢の喫茶店でどんなお話をされたんですか?
徳橋 まず桃尻犬の公演にするのか、2人の企画公演にするのかっていうのを話して。わたしは野田さんにやって欲しいので、それだったら、桃尻犬の方が繋がるのでみたいな感じで。こう、ひとつずつ決めていきました。
野田  公演期間が仕込みから全部で3日しかないので。
徳橋 のりうちです。
野田 桃尻犬はけっこう舞台を建て込んだりしてるんですけど、今回はそれができないので。少人数で、抽象的というか、素舞台でやれる芝居にしようかな、と。
徳橋 最後にぼんやり誰呼ぶ? みたいのも話して、その日は解散した気がします。
——いつも作品を作るときは出演者から考えていくんですか? 
野田 いや、僕が作品を作る場合、先に決めるのは物語ですね。だから今回は例外的です。

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テーマはずっとやりたかった「暴力」

——イメージはできているんですね?
野田 テーマ的は、暴力についてずっとやりたかったんですけど、それだけで1時間半とか2時間近くやると、作品として難しいかなというのはずっと思っていて。だから今回は、ちょうど尺も短いし、少人数でできるんで。テーマにも合うし、ちょうどいいかなと。
——いつもとは少し違う作り方になるんですね。
野田 そうですね。最近、ちょっと怖くて(笑)。世の中が。普通に生活していても、そこらへんにいる人とかが、怖いなーって思う瞬間がけっこうあって。これって、皆そうなんじゃないかなって思っていて。だからそこで共感が得られるんじゃないかなと思った部分はありますけど。台本は、まだ、その、・・・手を付け始めみたいな段階ですが。(編注:このインタビューは6月2日に行われました)

勝手に「バイオレンスコメディ」に

——企画書にはバイオレンスだけど、コメディとも書いてあるりますね。
徳橋 わたしが勝手に書いたんです。
——(笑)。
野田 でもコメディにはなるかなぁと。
——コミカルな部分はいつも出てきているように思いますよね。
徳橋 野田さんが興味を持つことが、暴力とかちょっと性に寄ったりしているので。普通の方に薦めるときに、そのまま出しづらい。宣伝、つらいぞと思って。許可を取らずに「バイオレンスコメディ」って言いました。
野田 今回、表現の出し方としては笑いになると思うんですけど、それをお客さんに受け入れてもらえるように落とし込むのは、挑戦だなと思っていますね。

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今回の作品で何か現状を表せたら

ーー具体的に頭の中にあるお話は?
野田 ・・・。具体的にはあんまり決まってないんですけど、まだ(笑)。普通の生活をしている人達のところに、急に人が訪ねてきて、その人達によって、理不尽に暴力に巻き込まれるっていう話に、しようかなって思ってますが・・・。それとあと、なんかあんまり最近、自分がうまく行ってないので、いろいろ(笑)。
徳橋 そうなの、何が? 
野田 人生?(笑)。
徳橋 30歳だしね。
野田 そうそう、今年30歳になったんで。色々思うところがあって。そういううまくいかないことも、肯定にしろ、否定にしろ、今回の作品で何かできていればなぁとは思います。
——まぁ30歳でうまくいく人いたら気持ちが悪いですよね。
野田 そうですかね(笑)。
——正しい人生を歩んでいるんじゃないんですか?
徳橋 順調に(笑)。


ギリギリの状態が書けさえすれば

——作品の中で、今、考えてる見所や、具体的にこんなことがしたい、みたいなことはあるんですか?
野田 えっと、リバーバンクっていうタイトルなんですけど、川岸。背水の陣みたいな。川岸に追い詰められてる人たちの、なんか。で、川の中に熊がいるイメージなんですけど(笑)。ギリギリの状態が書ければなと思います。ギリギリの状態が書ければ、それは、その状態だけでおもしろいと思うんですけど。そこが書ければなぁと思ってます。
——徳橋さんは追い詰められる人? 追い詰める人?
野田 たぶん、両方ですね。みんな追い詰めながら追い詰められるみたいな感じになれば面白いんじゃないかなと思うんですけど。
——どうですか?
徳橋 企画者なんですけど、客みたいな意識もあるんで、どういうふうにしてくるんだ? っていう。何を出されても多分、喜んでしまう気がするので。・・・がんばってください(笑)。物さえあれば、あとはどうにでもがんばれます。


熊ん子って?

——言い足りないこととか何かありますか?
野田 熊ん子っていうのはご存じですか?
——えっ、
野田 日本で2個目に売り出された電動こけしの商品名らしくて。
——あー!
野田 すごい、100万個くらい売れたらしくて。めちゃくちゃ大ヒット商品らしいですよ。一番始めに売り出された電動こけしの名前は、踊るアラビア女っていう名前だった。
——じゃあ、いいタイトルですね。なおさら面白そうですね。徳橋さんはいかがですか?
徳橋 色々あるんですけど、企画書を書いたりとか、こんなに自分の名前を前面に出して公演をすることはないので・・・、思っていることを包み隠さず全部言ってるんで、本当に面白いと思いますので、ぜひ観に来てください!
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野田慈伸(桃尻犬)  徳橋みのり(ろりえ)
【公演情報】

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桃尻犬 みのりの公演『熊ん子リバーバンク』
作・演出◇野田慈伸(桃尻犬)
出演◇徳橋みのり(ろりえ) 海老根理 小林義典(クロムモリブデン)
橋爪未萠里(劇団赤鬼) 野田慈伸(桃尻犬)
7月6日(金)〜8日(日) 下北沢OFF・OFFシアター
問い合わせ momoziriken@gmail.com

【取材・文/坂口真人 撮影/矢崎亜希子】
 


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