稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

浪漫活劇譚『艶漢』第二夜

インタビュー

『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』でハムレット役を演じる。林遣都インタビュー

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シェイクスピア『ハムレット』のスピンオフ的作品で、『ロズ・ギル』の愛称で呼ばれて親しまれている『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』が、10月30日〜11月26日まで世田谷パブリックシアターにて上演される。
タイトルロールの2人はハムレットの学友だが、劇中では「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ…」という1行で片づけられてしまう。そんな2人を主人公に、イギリスの巨匠トム・ストッパードが書き下ろしたのが本作。ハムレットの悲劇に巻き込まれる彼らの不条理な運命を、知的ユーモアとアイロニーたっぷりに描き出している。
その物語で2人を翻弄する存在であり、裏主人公とも言えるハムレット役を演じるのが林遣都。
若手ながら映像では10年のキャリアで、昨年9月には、倉持裕作・演出の『家族の基礎〜大道寺家の人々』で初舞台、続けて今年7月〜8月には三谷幸喜作・演出の『子供の事情』に出演、舞台俳優としても注目を集めている。
そんな林遣都に、舞台という新しい表現の場について語ってもらった「えんぶ10月号」のインタビューを、別バージョンの写真とともにご紹介する。

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ヨーロッパの空気を感じてきたことで

──トム・ストッパードの戯曲『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』には、もう目を通しましたか?
松岡和子さんが翻訳されたものがあるのは知っているのですが、まだあえて読んでいないんです。やはり今回の演出の小川絵梨子さんの新訳に、真っさらな状態で向き合いたいと思っていて、小川さんがどんなふうに訳されるのかとても楽しみです。
──林さんの役はハムレットですね。シェイクスピアの『ハムレット』については?
まだ生の舞台は観たことはないのですが、DVDを見たり、シェイクスピアの戯曲本も読みました。ただ『ロズ・ギル』のハムレットは、少し違うキャラクターではないかと思っているので、まだ役については考えないほうがいいかなと。先日、ヨーロッパを旅する機会があり、戯曲の雰囲気を肌で知っておきたいと思っていたところだったので良い経験になりました。ちょうどシェイクスピア作品によく出てくるようなどんよりした曇り空で、そういう空気感だけでも味わえたのはよかったなと。それから何か芝居が観たいなと思って劇場にも足を運んだんですけど、結局、ミュージカルを観たりしました。
──まずは土地を体感してきたのですね。
やはり台詞を言うときに、具体的なイメージが浮かびやすくなるし、作品の世界に入っていくために、少しは役に立つのではないかと思っています。

毎日同じクオリティのものを届けるのが舞台

──林さんは、倉持裕さんの『家族の基礎〜大道寺家の人々』が初舞台で、いきなり難解な作品のエキセントリックな役柄を見事に演じていました。
あの作品はすごく楽しかったことしか記憶にないんです。もっとこの世界にいたいと思ったし、稽古序盤でそんな気持ちになるくらい楽しかったです。共演した役者さんたちが素晴らしく、倉持さんの物語がすごく面白かったからですが、とても良い経験をさせてもらいました。
──倉持作品特有の歪んだ人ばかり出てくる芝居ですから、演じる側も大変だったのではないかと。 
倉持さんがすごく細かくキャラクターとか背景とか説明してくださったので、わからないところはなかったです。結局みんなズルイ人間の集まりなんだ、ひどい奴らばかりなんだという(笑)、どこか笑える部分も多くて面白かったです。
──芸術家肌で頭の良い青年役が似合っていましたが、役も入りやすかったですか?
いえ、役自体を考えるのはもっと後の作業で、まず最初に舞台の基本的な見せ方、舞台での表現、それを周りの役者さんたちをよく見て、試して、広げていかなくてはいけないということを教えてもらいました。それは『子供の事情』でも、三谷さんが同じことをおっしゃって、そこは僕にとっては新しい経験でした。
──映像では10年のキャリアですが、舞台は違いましたか?
まったく違いました。倉持さんに「それでは表現が届かないからとにかく体を動かしてみろ」とよく言われました。松重(豊)さんがドンと真ん中にいてくださって、本番に向けて作っていく姿が、ブレがなくて、隙がなくて、どこからみても届いてくるので、「あ、参考にすべき姿だな」と。毎日同じクオリティのものを、お客様に届けなくてはいけないというのが松重さんの信念で、僕も、それを本番前の準備などで思い出しています。

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三谷幸喜になるとか小さい考えはいらない

──その初舞台を経て、三谷作品の『子供の事情』のホジョリンも好評です。
三谷さんにも稽古で沢山のことを教えていただきました。それに本番に入ってからの共演者の方々のパワーや変化がすごいので、自分の経験のなさを痛感しています。一瞬一瞬の台詞の発し方など圧倒されっぱなしです。
──ホジョリンは外見も三谷さんの少年時代に似ていて、作者を投影している役に見えるのですが。
僕自身も最初にこの役を演じると知ったとき、どこまで意識したらいいのかと思って、三谷さんに「どこまで本当の話なんですか」と伺ったら、即座に「まったく気にしなくていい」と。「ホジョリンという役を、読んだまんまでやってくれればいい、三谷幸喜になるとか小さい考えはいらない」と。だから三谷さんをやるという気持ちは全然なくなりました。ただ、描かれている背景を知ろうとは思ったので、三谷さんの小学校時代に流行っていたものや、好きだった映画や俳優、それを調べたり観たりしました。あの時代の空気を感じたかったので。
──ホジョリンは語り手でもあって、どこか俯瞰して見ていて、他の登場人物とはちょっと立ち位置が違いますね。
ある意味では本当にいたのかなというような、どこかファンタジックな部分があって、物語自体が少年の作り話かなという見方もできるんです。三谷さんも「そこは林くんの感覚ではっきり決めなくていい」と。立ち位置も「林くんと等身大の青年が小学校時代を振り返っているうちに、物語の中に入ってしまうような」と言ってくれたので、それから本の読み方が変わりました。

『ロズ・ギル』のハムレット役はとにかく美しくあれと

──林さんはこれまでの舞台2作だけでも、役の振り幅がとても広いですね。
それはたぶんこの顔のおかげで、それは親に感謝してるんですが、わりと色が白くて、抽象的な顔とか言われるので、この顔でいることで良い面があるんだと思います。
──普通の青年の顔なのに、役をまとうと個性が突出する気がします。舞台の経験で、映像へフィードバックするものはありますか?
これまでも映像の現場で、舞台をやっている方たちの凄さを感じていたのですが、実際に舞台で一緒になると全然違うエネルギーがあるんです。それに、演じる時間の違いというか、やっぱりカット割りがあって一瞬で演じるのと、物語の初めから終わりまでずっと演じるのとでは役への入り方が違うんです。そういう作り方を映像でもやっていくべきだなと思っています。
──舞台は長い稽古期間の中でいろいろ試行錯誤できますからね。
それは映像でも可能で、テストがあるし準備する時間があるので、その中でいろいろな選択肢を持てるし、色々なことを試せるんです。映像はカット割りで細かい動きまで決められていることもあるのですが、舞台で鍛えられることで対応できることが多くなるのではないかと思っています。
──またこの舞台を経てさらに魅力的になる林さんが楽しみです。最後に改めてハムレット役への意気込みを。
以前この作品を演じた古田新太さんが言ってくださったのですが、「『ロズ・ギル』のハムレット役はとにかく美しくあれ」と。その言葉を小川絵梨子さんの台本と演出の中で、追求していければと思っています。

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はやしけんと○滋賀県出身。07年、映画『バッテリー』で主演デビュー。同作にて日本アカデミー賞ほか数多くの新人賞を受賞。以降、瑞々しい存在感と演技力で幅広い映画、ドラマで活躍する。16年『家族の基礎〜大道寺家の人々〜』で初舞台。最近の出演作は、ドラマ『精霊の守り人』『べっぴんさん』『火花』『アオゾラカット』、映画『しゃぼん玉』『ナミヤ雑貨店の奇蹟』、舞台『子供の事情』など。


〈公演情報〉
シス・カンパニー公演
『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』
作◇トム・ストッパード
翻訳・演出◇小川絵梨子
出演◇生田斗真 菅田将暉/林 遣都 半海一晃 安西慎太郎 松澤一之 立石涼子//小野武彦  ほか
●10/30〜11/26◎世田谷パブリックシアター 
〈お問い合わせ〉シス・カンパニー 03-5423-5906(平日11:00〜19:00)




【文/宮田華子 撮影/岩田えり】


浪漫活劇譚『艶漢』第二夜
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大人の男と女の情緒を巧みに描く。劇団ふくふくや第18回公演『くるんのぱー』 山野海、塚原大助、岩田和浩、司茂和彦インタビュー

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ふくふくやの第18回公演『くるんのぱー』が、11月1日より、下北沢の駅前劇場にて上演される(12日まで)。
劇団ふくふくやは、1999年春、女優の山野海(脚本の時は竹田新名義)を中心に設立。公演ごとに多様な客演を迎え、「30〜50代の男と女」をじっくりと描く、大人の芝居を上演してきた。
下北沢を中心に活動を続け、2009年には第19回下北沢演劇祭に参加し多くの反響を呼ぶ。その後も劇団員が映画・TVなど幅広いメディアに活動の場を増やし、劇団・個人の両極で更なる飛躍を遂げている。2014年の第15回公演『フタゴの女』(下北沢駅前劇場)では、ゲストに小泉今日子、渡辺哲を迎え、観客動員3,000人を記録。現在、様々な方面から注目を浴びている。
また山野海は、作家・竹田新としても活躍、塚原大助主宰のゴツプロ!では作・演出を務め、ゴツプロ!の旗揚げ公演『最高のおもてなし!』は今秋、幻冬舎から小説化されることが決まっている。
今回の『くるんのぱー』は、ふくふくやへ書き下ろす竹田新の新作で、彼女のライフワークと言うべき三本木麗子一座シリーズの最新作だ。その作品について、山野海、塚原大助、岩田和浩、また劇団ふくふくやの演出を全作品の手がけている司茂和彦に、語り合ってもらった。

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塚原大助、岩田和浩、 山野海、司茂和彦

女剣劇の一座とその家族たちの物語

──今回の作品『くるんのぱー』はどんな作品なのでしょうか?
山野 三本木麗子一座シリーズと名付けていて、16年前に『てれすけ』という作品を書いたのが始まりです。浅香光代さんがやっていらっしゃったような、女が男役をこなす女剣劇一座の話で、いわゆる股旅物の時代劇が全盛だった頃の流れをくむ、三本木麗子という女座長の一座とその家族たちの話です。そのシリーズを何作か書いているうちに、福島マリコさんと知り合って、6年ほど前に『ずんばらりん』(2011年)という作品を書きました。東の大衆演劇のトップスター三本木麗子と、西のトップスター鏑木丸子、幼馴染みで腐れ縁の2人を中心に据えた作品です。彼女たちは、お互いを親友とは決して認めないで、喧嘩したりしつつも持ちつ持たれつの関係を続けていく。今回はその2人について新たに書いたストーリーです。2人が旅芝居を続けながら、いろんな土地で様々な問題に巻き込まれていく、笑いあり涙ありのお話となっています。
──女剣劇の一座を書こうと思ったのは?
山野 私が子役をやっていた頃に、「新国劇」という劇団がありました。辰巳柳太郎さんと島田正吾さんという二枚看板の名優がいらっしゃった。彼らの男芝居、男が男に泣くような『国定忠治』『瞼の母』などに子役で出ていたんです。今は歌舞伎でしか聞かない掛け声「大向こう」も、「新国劇」でもたくさんありました。お芝居をわかっていらっしゃるお客さんが観にいらして、「日本一!」「これが見たくてやってきました!」と、掛けてくださるんです。そういうことが歌舞伎だけでなく、普通のお芝居の一部に組み込まれていたことを、現代の人たちに知ってほしかった。今回は『瞼の母』を劇中劇として使います。そこで当時のことをわかってくださるような仕掛けになっています。それから、私が子役の頃から見てきた俳優さん、いわゆるザ・俳優、心優しくてなんとなく照れ屋の俳優たちを観ていただきたかった。心配しているとき「心配してるよ」と言うのではなく、「バカじゃないの!頑張れや」と言うような、表の言葉に隠された裏の本当の気持ちを、お互いが感覚で受けとめ合っていた時代、その当時の人たちを書きたいなと思ったんですね。
──昨年「ゴツプロ!」に書き下ろした『キャバレーの男たち』とも、共通の時代背景がありますね。
山野 戦中・戦後、あの人たちのエネルギーが今の時代に必要な気がします。学校で習う方程式ではなくて、みんなが必死になって生きる必死さが必要なんです。笑わなくちゃ生きていけない、茶化さなかったら死んでしまう、そういう熱いエネルギーのほとばしりがある時代が好きなんです。

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塚原大助が育てられた思い入れ深い役

──演出は司茂和彦さんですね。演出プランをお聞きしたいのですが。
司茂 演技は役者さんに任せています。我々が楽しくないと観ているお客さんも楽しくないですから、のびのび楽しくやってもらえればと思っています。ふくふくやのお芝居のテーマは「愛」だと思っていますし、演しものによって、親子の愛や兄弟の愛、今回は弟子と師匠の愛といった形があるんです。それを伝えるためにも、リラックスして観ていただいて、泣いて笑って、くだらねえなと言いながら、でもお客さんの心に残るような演出を考えています。
──役者の皆さんは、今回の台本を読んでどんな印象を?
塚原 このシリーズは6年ぶりなので、ようやく故郷に帰ってきたという印象です。
山野 塚原だけはずっと私の息子、多多役をやっていたんです。
塚原 台本の初見で故郷に錦を飾るような感覚が押し寄せて嬉しかったですね。
岩田 僕は『ずんばらりん』はお休みしていて、たまたまシリーズで1本だけ休んだのがそれだったのですが。僕が初めてふくふくやに出演したのが、この三本木麗子シリーズだったので運命を感じています。今回の僕の役は新しい役で、これまで出てない役なんですが、でも、帰ってきたなと感じる登場人物はたくさんいるので楽しみです。
司茂 そうだよ。よく帰ってきたな!
全員 (笑)。
──それぞれの役について詳しく聞かせてください。
塚原 僕の多多という役は、おやま(女形)になるように育てられたので、普段の言葉から女形言葉なんです。今回でこの役は3度目で、6年前の『ずんばらりん』までは、この役をやるのが苦しかったんです。というのも多多というキャラクターはとても純粋で、ほんとに愛情深くて優しくて、天使みたいな子なんです。そういう多多の持っている愛情に追いつけなくて、すごく苦労したんですね。でも稽古を重ねている中で、少しずつ追いつき始めた感覚がありました。この役に苦しみぬいた過程が僕の生き方を変えてくれたし、成長させてくれた。この役に育てられたといってもいいですね。塚原大助という役者としても人間としても思い入れ深い役です。多多の持つ優しさや人を思う気持ちは、今の自分の根っこにありますし、そこからいろんなものを吸収してきた自負があります。そのおかげでゴツプロ!も立ち上げられた。ですから6年前とは違う、純粋な心は持っているけれど、それがもっと深くなって、大人になった多多を表現できれば嬉しいですね。
岩田 僕の役は三条きよしという演歌歌手で、しかもヒット曲が1曲しかないという、よくあるような話なんですが(笑)。実はその曲のせいで過去に傷を抱えて、それゆえに1曲しかヒットしなかったわけです。でもヒットした曲だからその歌は歌い続けなくちゃいけない葛藤がある。人として上手に成長できていないまま、とうとう40歳になってしまって、そして久しぶりに兄弟子と出会ったことによって物語が進んでいきます。今までにあまりない役ですね。劇団の中では若いせいか、誰かの下につく役が多かったのですが、最近は年齢に見合った役を演じられるようになりました。今回も同じような役どころですが、心が幼い部分や、売れたからこそ経験して辛さや喜びもあると思うので、それを表現できたらと。やりがいがある役だと思います。
山野 私は三本木麗子役です。女剣劇一座に育ち、照れ屋な部分もありますが、男っぽい性格…完全に男ですね(笑)。そうやって育ってきたのですが、50歳になって、ある男の人と同棲をします。昔は、男なんていてもいなくてもと思っていたのが、50歳になって初めて、男と向き合うことがどういうことなのか気づきます。スパッと恋にいけるかもしれませんが、今まで男として生きてきたので、男の人に素直になれなかったり、逆に怖かったり、そういう揺れが出てくるんですね。実年齢と同世代なので、新しい挑戦だと思っています。
──挿入歌の作詞・作曲は『キャバレーの男たち』と同じ石川よしひろさんですね。
山野 三条きよしの一曲しか売れなかった曲を、石川さんに作詞・作曲をしていただいて、コブシをぐいぐい回す演歌(笑)を書いていただきました。とても難しい要望に応えてくださって、素晴らしい歌ができました。

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普通に生きていたら会えない人たちに会いにきてほしい

──作家・竹田新さんの世界は、時代性を感じさせつつキャラクターに感情移入できるところが魅力ですね。
山野 竹田新として言えば、その時の感情を、あるいは昔に置き去りにしてきた感情を考えながら書いています。ふくふくやだから、他の公演だからとか、テーマを変えているわけではなくて、どんな公演でも、出てくださる俳優に寄せて書かせていただくことが多いので、観ている方も感情移入しやすいのかもしれませんね。
──3人からご覧になった作家・竹田新さんは?
塚原 今回の本を読んだ時も、とても面白いんですよね。遊んでいるんです、とても雑に。
山野 雑と言わないでよ(笑)。
塚原 みんなで遊んでいたいと思わせてくれますね。それをどこまで楽しめるかが勝負です。今回は13人という大所帯で、ゴツプロ!のメンバーも全員出ていますし、初日の本読みから、その空気感が出ていたので、このままいけば、きっとお客様も満足してくださると思います。そして、女優・山野海はバケモノです。福島マリコと山野海は僕の中ではバケモノ女優ツートップです(笑)。
司茂 ふくふくやの一番初めの芝居は3人でスタートして、もともと山野海を成長させるというコンセプトでした。
山野 すごい昔の話だね〜(笑)。
司茂 彼女がお芝居をしたいけど、なかなかその場所がない、そのチャンスもない。だったら自分が書いて主役でやってしまえと立ち上げた劇団です。それが、いつの間にか山野海を慕う俳優さんたちが増えて、劇団が転がっていくようになりました。彼女の魅力がそうさせているんですよね。初めの頃の台本は、暗いことばかり書いていた時期もあった。けれど、それを消化して、いろいろな経験を積み重ねてきた。彼女の良さが次第に出てきて、今は役者さんも演じることが楽しいだろうと思います。言葉づらだけではなくてその奥に隠されている心理や気持ち、そこを表現していく躍動感が、竹田新の脚本にはあるんです。
岩田 台本だけでも人物が動いているんですよね。当然ワクワクするし、これで稽古を続けたらどうなるんだろうと楽しみでしょうがない。そして女優の山野さんには演技では負けてられないと思うのですが、ある意味天才ですからね。
山野 私が言わせています(笑)。
岩田 どの人物にも味があるんです。
──皆さんの演技が楽しみです。最後に読者に見どころをお願いいたします。
山野 女剣劇一座の楽屋裏がかなり出てきます。そこに生きる役者と役者ではない人たち。そして大人たちの恋の仕方、怒り方、泣き方。みんなが右往左往しているところを見てください。
塚原 ふくふくやのメンバーにゴツプロ!のメンバーも出ますが、ゴツプロ!では描かれないキャラクターが出演していますので、ゴツプロ!しか観たことのない人は驚くと思いますよ。けれど、「普通に生きていたら会えない人たちだね」と褒め言葉をいただいたような人たちです。大人たちがめちゃくちゃ遊んでいますし、普通に生きていたら会えない人に会えるチャンスなので、ぜひ劇場にいらしてください。
司茂 肩肘張らずに遊びにきていただければと思います。
岩田 今回プロデューサーとしても携わらせていただいていますが、企画書を作った時から、この作品はお祭りだと思っています。錚々たる面々で大いに騒いで、僕も楽しみたいし、お客様も楽しませたい。皆さん、お祭りに参加して損はないですよ!

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前列/ 山野海、司茂和彦  後列/塚原大助、岩田和浩

やまのうみ○東京、新橋生まれ。女優・劇作・脚本家。劇団ふくふくやを主宰し、竹田新の名義で脚本も手掛ける。1985年から1998年まで激弾B級(現・激弾BKYU)に所属し、1999年劇団ふくふくやを立ち上げ、女優として全公演に出演。また全作品の脚本を執筆。2009年、ドラマ『救命病棟24時』で人気に。2013年、NHK大河ドラマ『八重の桜』へレギュラー出演。2016年、ゴツプロ!第1回公演『最高のおもてなし!』で演出家デビューを果たす。

つかはらだいすけ○東京都出身。ふくふくやの『だてっこき』(2007年)に客演したのをきっかけに劇団員となる。2016年にゴツプロ!を旗揚げ、2018年1月には本多劇場、近鉄アート館で新作『三の糸』の上演が決まっている。主な出演作品は舞台『フツーの生活』(44 Produce Unit) 『あつ苦しい兄弟』(劇団道学先生) 『ぼくはだれ』(RISU PRODUCE)『贋・四谷怪談』(椿組) 『世襲戦隊カゾクマン供(プリエールプロデュース)。

いわたかずひろ○茨城県出身。劇団ふくふくやの『すかしっぺ』(2008年)、『おろろん。』(2009年)に客演。以降、劇団員として参加。ドラマ『セーラーゾンビ』(TX)『梅ちゃん先生』(NHK)『新警視庁捜査一課9係#CASE7』(テレビ朝日)『下流の宴』(NHK)土曜プレミアム『これでいいのだ!赤塚不二夫伝説』、『ようこそ、わが家へ』、『民衆の敵』(CX)など映像でも活躍中。

しもかずひこ○1999年、劇団ふくふくや結成以降、全作品の演出を手掛ける。ミュージシャン石川よしひろのライブの演出、44 Produce Unit『自由を我らに』、劇団七福人『グズたま』など外部での演出も多数。
 
〈公演情報〉
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ふくふくや 第18回公演
『くるんのぱー』
作◇竹田新
演出◇司茂和彦
作詞・作曲◇石川よしひろ
出演◇山野海 塚原大助 岩田和浩 かなやす慶行 中村まゆみ 浜谷康幸 清水伸 福島マリコ 関口アナム 佐藤正和 渡邊聡 泉知束 44北川
●11/1〜12◎駅前劇場
〈料金〉前売り4,000円/当日4,200円/福ふく割り【1日夜、2日夜のみ】3,500円
(全席指定・税込)
☆終演後トークショー開催→【3日昼、5日昼、10日昼のみ】
〈お問い合わせ〉『くるんのぱー』制作部 070-6562-4480(11:00〜19:00/日曜休)
http://fukufukuya.net/kurun.html




【取材・文・撮影/竹下力】



ミュージカル『魔界王子』
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ロック・ミュージカル『ロッキー・ホラー・ショー』のカリスマ! ROLLYインタビュー

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伝説のカルト・ロック・ミュージカル『ロッキー・ホラー・ショー』が5年ぶりに上演され、11月7日からの六本木ブルーシアター公演を皮切りに、12月31日の大阪公演まで5都市6劇場で公演を行う。
初演は1973年のロンドン。場所はロイヤル・コート・シアターにある小劇場のシアター・アップステアーズ。座席はわずか63席。しかし、チープで、セクシャルで、アナーキーで、グラム・ロックな音楽がきらめく舞台は瞬く間に大ヒット。イギリス・カンパニーを引き連れた日本初上陸は75年、同時期に映画化もされ、『ロッキー・ホラー・ショー』ブームが巻き起こり、以来、さまざまなカンパニーで上演されてきた。

【あらすじ】
友人の結婚式の勢いに乗せられ、自分たちも婚約してしまったブラッド(小池徹平)とジャネット(ソニン)。ふたりは恩師に報告しようと、嵐の夜、車を走らせていた。しかしタイヤがパンク。助けを求めた彼らは、人里離れた荒野に建つ古い城にたどり着く。困り果てた二人の前に現れたのは、不気味な執事リフラフ(ISSA)と使用人のマジェンタ(上木彩矢)やコロンビア(アヴちゃん)たち。その異様な雰囲気に呑まれて戸惑う二人をそっちのけに、城の中ではノリノリのパーティーが始まる。
さらに、黒いガーター&ストッキング姿も妖艶な城の主・フランク“N”・フルター(古田新太)が登場。いかにも性倒錯者然の彼は、この城で秘密の実験をしている科学者であるという。その実験とは、人造人間を創り出すこと。まさにこの夜は、彼の輝かしい実験が最終段階を迎えようとしていたのだった…。

主人公のフランク・フルターに、2011年の劇団☆新感線版から引き続いてこの役をつとめる古田新太。演出は、いのうえひでのりからバトンを渡された河原雅彦。“ロッキー・フリーク”を自称してはばからない2人が新タッグを組む。
さらにキャスト陣として、ミュージカル界でも活躍目覚ましい小池徹平とソニン。抜群のダンスと歌唱力を誇るISSA。アーティストでもある上木彩矢。注目のバンド女王蜂から舞台初挑戦となるボーカルのアヴちゃん。新感線きっての肉体派吉田メタル。舞台・ドラマ・バラエティーと幅広く活躍する武田真治など、グラム・ロックの香りも濃厚な多彩な顔ぶれが集まった。
そして、1995年の主演フランク・フルター役をはじめ、毎回この作品に携わり、今作ではナレーター・音楽監督・演奏までこなすROLLY。まさに『ロッキー・ホラー・ショー』のカリスマ的存在の彼に、この作品への想いを語ってもらった。

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ロックンロールと女装、これこそ僕のアイデンティティー
 
──1973年に初演された作品ですが、本作との出会いはいつ頃でしたか?
『ロッキー・ホラー・ショー』との出会いを話すと幼い頃の話から始めないといけない大切な作品です。幼稚園に行く前の頃、同時にいろいろ吸収しようとしていた多感な時期でした。家は電気屋さんを営業していて、女性従業員の方が住み込みでいらっしゃいました。お風呂に入るのも従業員のお姉さんに入れていただいたりした家だったんですよ。その方達が読んでいたんでしょうね。「スクリーン」「キネマ旬報」など映画雑誌がたくさんありました。僕はそれを盗み見るように貪り読んで、ハリウッド女優の、グレタ・ガルボ、マレーネ・ディートリヒ、マリリン・モンローなどのグラビア写真を見て、「こんな風になってみたい」と思ったんです。今思うとそれは男性としての女性への憧れではなくて、女性のアクセサリーをつけたり衣装を着たりする女性性への憧れでしょうね。ですから、ある日、従業員さんの下着を身につけて、鏡の前でハリウッド女優のポーズをつけたらこれまでに経験した事がない程のハイな気分になったわけです。お化粧をして、下着をつけてポーズをとっていることが、おぼろげにタブーを犯している実感がありました。タブーを犯すことが快感につながることに目覚めてしまったんです。まあ、家族にバレてこっぴどく怒られたわけですが(笑)。
──確かに、そうなるでしょうね。
その事件以降、例えば姉は、おやつの配分を決めるときは、僕だけ量が違うんです。不公平じゃないかと文句を言うと、窓を開けて、「一雄(ROLLYの本名)はなあー!」と叫んで、近所中に響き渡る声で僕が変態だということを知らしめようとした。姉にこのことで一生ゆすられるのだろうなと思った暗い幼年時代。そういう時期があって、中学生の時に、ロックが好きになって、「Queen」に目覚めました。フレディ・マーキュリーが当時、グラム・ロック的なメイクをして中性的なファッションをしていましたから、僕が「スクリーン」「キネ旬」の女優たちを見ていた時期と同じで、タブーを犯している人だと思って憧れるのは当然といえば当然だった。それから、高校生の時に、「淡路東映」という町の小さな映画館で『ロッキー・ホラー・ショー』『ファントム・オブ・パラダイス』、デヴィッド・ボウイの『地球に落ちて来た男』の三本立てを観たんです。
――すべてロックンロール映画ですね。昨年亡くなられたデヴィッド・ボウイさんもグラム・ロックの元祖ですから、ROLLYさんも影響を受けたのでしょうね。
ええ。特に映画『ロッキー・ホラー・ショー』のオープニングの、黒バックにピンクの口紅をつけた唇が喋るイントロから始まって、フランク・フルターが登場した時に、今まで好きだったロックンロールと女装という倒錯的なものが合体して、これが僕のアイデンティティーとさえ思いました。それから、劇中の音楽を何度も聴き、ビデオを何回も観た覚えがあります。

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『ロッキー・ホラー・ショー』に出たいとプロデューサーにアピール

──そして、1995年の時に、フランク・フルター役で初主演を果たします。
ロック・バンドの「すかんち」でデビューしてから、『ROLLY HORROR SHOW』という曲を作りましたし、デビューした時から常に、『ロッキー・ホラー・ショー』を意識していました。いつか自分がピンクのビスチェを着て、フランク・フルターのような格好をして、舞台で思いっきり歌ったり踊ったりする。それを姉に見せつけることによって、姉のゆすりから脱出することができるんじゃないか。
──そこにたどり着くわけですね。
とはいうものの、役者を経験したことはないですし、演劇学校にも劇団にも行っていない。チャンスが訪れたのは、1993年の中野サンプラザで公演したROCK OPERA『ハムレット』に出演させてもらった時です。X JAPANのTOSHIさんが主演で、山本リンダさんや、劇団☆新感線の右近さん。そして今回もロッキー役で出ている吉田メタルさんといった方々で作る『ハムレット』がありました。
──錚々たるメンバーですね。ROLLYさんの役はなんだったのですか?
僕の役は、デーモン小暮閣下の演じる墓掘り人の恋人「好奇心」という役。ただ、役に没頭すればいいだけではなくて、稽古中に、自分なりに『ロッキー・ホラー・ショー』感を出そうと演じましたね。僕のソロの曲《人生なんか屁のようなもの》は歌詞がすでにあって、音楽監督の加藤和彦さんから「自分で作曲してもいいよ」とおっしゃってくれた。加藤さんは、僕に『ロッキー・ホラー・ショー』的な楽曲を作るチャンスをくれたんです。嬉しかったです。
──どんな曲だったのでしょう?
シャンソン風の歌で、リハーサルの時にピアノの人にメロディを口頭で伝えて弾いてもらいました。そして、近くにティッシュペーパーが置いてあったので、それを持って泣きながら、ステージの上からティッシュをハラハラ落とす演出を勝手にして歌ったんです。それをみていた当時のプロデューサーの草刈清子さんが、「この子ならできる!」と思ってくださったらしいんです。僕も草刈さんがどういう人か存じ上げていましたから、稽古の合間に、偶然を装って立ち話をしたんです。すると、「ところでティッシュペーパーのシーンは演出家の人から言われたの?」とおっしゃられる。僕は「『ロッキー・ホラー・ショー』が大好きで、それらしい演出ができたらなと思ったんです。僕はいつかフランク・フルターを演じたいんです」と。それから毎日のようにこのことをお伝えしました。そうしたら『ハムレット』の1年後に電話がかかって来て、「パルコ劇場で、あなたの主演で『ロッキー・ホラー・ショー』をやりましょう!」と。念願かなったのが95年で、それから5年間、フランク・フルターをつとめました。

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古田新太からの優しい誘いに感動して

──ROLLYさんの才能と素晴らしい人との出会いがあったからこそですね。今回、フランク・フルターをつとめるのは古田新太さんですが、古田さんの印象はいかがですか。
いのうえひでのり版の2011年のとき、「いのうえひでのりさん演出で『ロッキー・ホラー・ショー』をやろうと思っている。役は変わるけど一緒に出ないか」と誘ってくれたんです。自分が好きな作品の好きな役を、先に演じてしまった僕を嫌わずに、逆に自分がフランク・フルターの時に呼んでくれるなんて、素敵な人だなと思いました。それから彼はこうもおっしゃった。「1986年の日本版で初めてフランク・フルターを演じた藤木孝さんも誘いたい。『ロッキー・ホラー・ショー』が好きな人間ばかりでやりたいと思っているんだ」と。古田さんの優しさにとても感動しましたね。それで、エディ役と日本語の歌詞を担当させていただきました。ロングランだったし、舞台は感動的な出来栄えで、さすがいのうえさんだと唸りました。僕もエディ役以外にもアンサンブルや映画版のように大きな唇を動かす役、通行人など、5役ぐらい演じました。
──今回の出演は、どなたからの声がけだったのですか。
古田さんがもう一度一緒にやりたいとおっしゃったんです。ひょっとしたら、ここまで『ロッキー・ホラー・ショー』の舞台に出ているのは僕だけですから、話が通じる奴がいて欲しかったのかもしれませんね。僕はどんな役でもかまわないんです。前作では、作詞をする時に全員分のデモテープを作ったほどですから、音楽もストーリーも全て知り尽くしています。だから役が違っても心は迷わない。今回はナレーター役ですが、アメリカのFOXでリメイク版『Rocky Horror Picture Show: Let's Do The Time Warp Again』(2016年)が作られましたね。その作品で、フレディ・マーキュリー亡きあと「Queen」でボーカルをしているアダム・ランバートが、エディ役を演じています。そしてナレーター役は、1975年の映画版でフランク・フルター役を演じた僕の憧れのティム・カリーがやっています。また、時代を超えて、音楽と音楽が、僕らの運命を繋げてくれたような奇跡を感じます。
──改めてこの作品と楽曲の魅力を語っていただくとしたら?
ナンバーの1つ《サイエンス・フィクション・ダブル・フィーチャー》という曲名に象徴されるような、B級SF映画を二本立て続けで観るような感覚なんです。つまり、リチャード・オブライエンさんが子供の時に体験した古い映画のパロディですよね。ありとあらゆるパロディが含まれていて、オールディーズなロックンロールが劇中歌になると、グラマラスで、シンプルなロックンロールになり、親しみやすい楽曲になる。同じく《タイムワープ》《スイート・トランスヴェスタイト》といった、みんなで一緒に歌えるロック・ミュージカルの定番が流れます。途中で僕が『ハムレット』で歌ったようなシャンソンもありますから、チープで懐かしい感じがいいんです。
――今回の演出の河原雅彦さんはどんな印象ですか。
いのうえ版は映画『ロッキー・ホラー・ショー』を、いかに舞台で表現するのかに重点を置いていました。例えば、ステージ上がプールになって人が泳いでいるのをLEDライトで表現していましたが、河原版は、原点に戻って、もともとロンドンの場末の劇場でやっていたような感じを出そうとしていると思います。11年版で最高にゴージャスなものをやっているので、これを超えるには、アラブの大富豪をスポンサーにつけないとできません(笑)。 

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アヴちゃんだけでなく女王蜂のメンバーも演奏で出演

──大人気ロックグループのボーカル「女王蜂」のアヴちゃんが、コロンビア役で舞台初出演するのも楽しみです。
今回は、女王蜂の他のメンバーにも出演してもらうんです。2011年の時、音楽も豪華だったので、今回はどうしようかと音楽監督として色々悩みました。まずは、腕のいいスタジオ・ミュージシャンに声をかけていたのですが、考えてみるとアヴちゃんが、『ロッキー・ホラー・ショー』をやっている間、女王蜂の他のメンバーは何もすることがないぞと。だったら女王蜂のメンバーも演奏で出演すればいいんだと。
──それは女王蜂ファンも楽しみですね。
スタジオ・ミュージシャンだったら、ステージの見えないところで演奏することになっていたと思いますが、女王蜂が演奏するのなら、大々的に演奏者も見えていてもいいじゃないか。しかも、それが普通のロック・バンドではなくて、日本一『ロッキー・ホラー・ショー』がに似合うヴィジュアリストたちですからね。アヴちゃんの出演が決まったあと、たまたま僕が出演中の舞台『ビッグ・フィッシュ』の楽屋に女王蜂が来たので、他のメンバーに、一緒に泥水をすすってみないか(笑)と誘って二つ返事で快諾していただきました。今までやって来た『ロッキー・ホラー・ショー』よりも、よりロッキンなルックスになるんじゃないかな。
──ROLLYさんのナレーター役も楽しみです。
ナレーターの役は、これまで藤木孝さん、細川俊之さん、瑳川哲朗さん、壤晴彦さんなど、ベテランの尊敬する俳優さんたちが演じています。今回は河原さんが、僕もギターを弾いてほしいと言うので、ナレーターもやるけれどギターも弾くというのは、今までにない見どころだと思います。
──まさに八面六臂の活躍ですね。最後に作品のアピールをいただければ。
偶然か必然か、古田新太=フランク・フルターみたいですよね?この人はフランク・フルターをやるべき人だったんです。僕らは50代で、ひょっとしたらこれが最後の『ロッキー・ホラー・ショー』になるかもしれない。5年後には別のフランク・フルターが生まれているかもしれませんが、僕たちは今回でラストかもしれないので、ぜひ劇場に観にきてください。

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ろーりー○大阪府高槻市出身。1990年にバンド「すかんち」のヴォーカル&ギターとしてデビュー。「恋のマジックポーション」「恋のミラクルサマー」などが大ヒット。俳優にも挑戦。コミカルな舞台からミュージカルまで幅広くこなす。主な舞台に『ロッキー・ホラー・ショー』、『星の王子さま』、『TOMMY』、『三文オペラ』、『ビッグ・フィッシュ』など。
 
〈公演情報〉
PARCO presents
RICHARD O'BRIEN'S
『ロッキー・ホラー・ショー』
脚本・作詞・作曲◇リチャード・オブライエン
演出◇河原雅彦
訳詞・音楽監督◇ROLLY
振付◇牧宗孝(MIKEY from 東京ゲゲゲイ)
出演◇古田新太 小池徹平 ISSA ソニン 上木彩矢 アヴちゃん(女王蜂) 吉田メタル 東京ゲゲゲイ(BOW・MARIE・YUYU・MIKU) 戸塚慎 若井龍也 佐藤マリン ROLLY 武田真治
演奏◇女王蜂(ひばりくん、やしちゃん、ルリちゃん)ながしまみのり、大塚茜
【東京公演】
●11/7〜12◎Zeppブルーシアター六本木
〈料金〉11,000円 U-25チケット6,000円〈観劇時25歳以下対象・当日指定席引換・要身分証明書〉(全席指定・税込)
●11/16〜12/3◎サンシャイン劇場
〈料金〉S席11,000円 A席9,000円 U-25チケット6,000円〈観劇時25歳以下対象・当日指定席引換・要身分証明書〉(全席指定・税込)
【北九州公演】
●12/9・10◎北九州芸術劇場 大ホール
〈料金〉S席9,500円 A席7,000円 ユース5,000円〈24歳以下・枚数限定・要身分証提示〉 高校生チケット1,500円〈枚数限定・窓口前売りのみ取扱い・購入時/入場時用学生証提示〉(全席指定・税込)
【仙台公演】
●12/16・17◎仙台サンプラザホール
〈料金〉S席10,000円 A席8,500円 U25チケット5,500円(全席指定・税込)
【松本公演】
●12/23・24◎まつもと市民芸術館 主ホール
〈料金〉S席9,500円 U18チケット7,000円(全席指定・税込)
【大阪公演】
●12/28〜31◎森ノ宮ピロティホール
〈料金〉12,500円(全席指定・税込)

〈お問い合わせ〉パルコステージ 03-3477-5858(月〜土11:00〜19:00/日・祝11:00〜15:00)



【取材・文・撮影/竹下力】




ミュージカル『魔界王子』
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名作舞台『オーファンズ』いよいよ開幕! 細貝圭、佐藤祐基、加藤虎ノ介インタビュー

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三人の孤児たちの深い孤独を描き、何度も上演されている名作舞台『オーファンズ』が、10月14日、15日に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールで、そののち10月18日〜22日、東京・青山の草月ホールで上演される。
蝕まれた心が愛によって癒されていくというテーマで書かれた、ライル・ケスラー脚本によるこの傑作戯曲は、1983年にロサンゼルスで初演。日本では劇団四季により86年に日本初演、以来、さまざまなカンパニーや俳優たちによって上演されている。また、米国の映画版では名優のアルバート・フィニーやマシュー・モディーンが演じている。
今回この作品に挑むのは、『「デルフィニア戦記」第1章』『新・幕末純情伝』『パタリロ!』などに出演して活躍中の細貝圭、『鷗外の怪談』『AZUMI 幕末編』『わらいのまち』などで注目の佐藤祐基、映像で活躍し、舞台は『国語の時間』や『休暇 Holidays』などで強い印象を残す加藤虎ノ介。そして上演台本と演出はマキノノゾミという豪華な顔合わせとなる。

【あらすじ】
フィラデルフィアの廃屋で暮らすトリート(細貝圭)とフィリップ(佐藤佑基)の孤児兄弟は、凶暴な性格の兄トリートが臆病な弟フィリップを外の世界に出さず、トリートの稼ぎだけで生活をしていた。そこに、そこにやくざ者のハロルド(加藤虎ノ介)が迷い込んできて、彼もまた孤児だったことから、3人に疑似家族のような日々が訪れる。ハロルドはかつて自分がされたことを返すかのように、若い2人にさまざま事を教えていく。フィリップの中でトリートの存在は少しずつ薄れていき、やがてトリートは孤独感にさいなまれてしまう……

孤児(オーファン)との共生によって再生する孤児たち(オーファンズ)。この舞台を演じる細貝圭、佐藤祐基、加藤虎ノ介に稽古が始まる直前の時期に取り組みを聞いた。 

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細貝圭、加藤虎ノ介、佐藤祐基

自分たちがやるなら、また違うものになるはず

──作品についてはどんな形で知っていましたか?
細貝 昨年、他のカンパニーで上演されたことで知っていました。
加藤 僕はその公演を観たんですが、面白かったです。話をいただいて、すぐ、あの作品だと。
佐藤 僕も観ていないんですけど、名前だけは知っていました。
──ご自分の役柄についてどう感じていますか?
細貝 孤児の兄弟で、僕の演じるトリートが、弟のフィリップの親がわりとなって育てているんです。トリート自身は小さいときに親をなくして、愛情を受けずに育った。だから一番孤独なんですけど、強く生きなきゃいけないという信念と、弟への愛、自分なりの曲がった愛なんですけど、それで一生懸命生きている。それがとても切ないんですけど、どこか共感出来ます。それなのに手塩にかけて育てていたつもりのフィリップが、ハロルドの出現で、自分の手元からどんどん離れていく。そのやりきれなさというのもわかる気がします。
佐藤 フィリップは今までやったことのないジャンルの役です。わりと強い役をやることが多かったので。今回は良い経験で、贅沢な場を与えてもらったなと思っています。色々なアプローチの仕方はあると思いますが、すごく純粋にやりたいと思いますし、兄弟2人の空気感を大事にしていければと。
細貝 じゃ、公演終わるまで一切、俺に逆らっちゃダメだからね。
佐藤 なんでよ〜(笑)。俺のほうが本当は学年1つ年上なんだからね。いいもん、加藤さんに救ってもらおう(笑)。
加藤 ははは(笑)。
──加藤さんは作品を観ているということですが。
加藤 でもキャストの年齢も雰囲気も違いますから、自分たちがやるなら、また違うものになると思っています。今回の台本にちゃんと向き合うという感じですね。この2人とはそんなに年も離れていないので、わりと兄貴感覚になるのかなと。ハロルドは2人よりは長く世間を生きていて、それなりの経験はしている。そこは自然に出せるかなと思っています。

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せっかく情報収集したのに役に立ってない(笑)

──お互いにこれまで共演したことは?
佐藤 細貝くんとは何回か一緒に出ているんですが、そんなにがっつり芝居してないんです。
細貝 3回かな。密にやるのは今回初めてです。
佐藤 加藤さんとは初めてなので新鮮です。
細貝 僕は、この前、加藤さんと仲の良い役者さんと共演したので、一方的に情報を入れてるんです(笑)。意外だったのはお酒飲まれないという。
佐藤 え、まったくですか?
加藤 うん、飲まない。
細貝 そしてゲームが好きらしいと。
加藤 ゲームは最近あまりやってない。
細貝 えーっ、せっかく情報収集したのに役に立ってない(笑)。
──役者の先輩として見た場合はいかがですか?
細貝 この作品は兄弟の成長物語で、加藤さんのハロルドは、その中でメンタルな部分を引っ張ってくれる人なので、そこはもうそのまま加藤さんに乗っかっていきたいですね。
佐藤 加藤さんは映像で見ていて、すごく深いお芝居をする方という印象があるので、そのまま先輩にしがみついていこうと思っています。
──加藤さんはおふたりについては?
加藤 僕は情報収集はしてなかったんですけど(笑)、すごく感じの良い方たちですから、きっと楽しく公演が終わるんじゃないかと思っています。とにかくイジメないでほしいなあ(笑)。
細貝 (笑)3人きりですから仲良くしましょう!  気になったらお互いに聞いたり、ディスカッションすることになるといいですね。
加藤 あんまり論理的な話はできないからね(笑)。
佐藤 細貝くんは論理的だよね。
細貝 よく言うよ〜(笑)。そんなところ一切ないから。
加藤 僕は細かく説明とかされるとアタマが真っ白になるからね(笑)。

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男だけの芝居にテンションが高くなるマキノさん

──加藤さんは、演出のマキノノゾミさんとは同じ時代に、関西演劇界で活躍していましたね。
加藤 今回、マキノさんに初めて演出していただくんですが、若い頃、一方的にマキノさんの劇団「M.O.P.」を拝見していて、一生縁がない方かなと思っていたんです。僕は劇団MOTHERで、わりと自由度の高い演劇で、あちらはかちっとしたお芝居をしていらっしゃって、全然ちがう芝居の世界でしたから。それが、役者を続けてきたことで、こうしてご一緒できるわけで、やはり嬉しいですね。この出演のお話がきたとき、作品が面白いのはもちろんわかっていたんですけど、マキノさんの演出ということで惹かれた部分も大きいんです。
──おふたりはマキノさんとは?
佐藤 初めてです。僕は鈴木裕美さんの演出した『ブラウニング・バージョン』(2005年)が初舞台だったんです。その公演は「テレンス・ラティガン3作連続上演」という企画で、他の2作をマキノノゾミさんと坂手洋二さんが演出していらっしゃって、マキノさんは、稽古場でお見かけしたことがあったんです。すごく大きな方だなという印象でした。それで今回、裕美さんに「今度マキノさんとやらせていただくんですよ」と伝えたら、「あら!」と。それしか言ってもらえませんでしたが(笑)。
細貝 僕は2年前くらいに、知り合いに飲みに誘われたその席でお会いしました。でもきっと覚えていないだろうなと思いつつ、この間、取材でお会いしたとき聞いてみたら、やっぱり覚えていらっしゃいませんでした(笑)。演出家としては、翻訳劇も沢山演出されていて、きっちりしたお芝居を作る方という印象ですね。
──取材で、この公演についてお話をしたそうですが、いかがでした?
細貝 男だけの芝居ということで、めちゃめちゃテンションあがってました。そういう作品はこれまで少なかったそうですし、ご自分が観てない作品だからこそ、今回は思いがあるというようなことを話されていて、それは嬉しいなと。あれだけの演出家の方がそんなふうに前のめりで取り組んでくださるのはすごく嬉しいですよね。
加藤 僕もその取材では一緒でしたが、この作品は今までたくさん上演されているけれど、自分たちならではの舞台にしたいとおっしゃっていました。そういう意味では、今までの『オーファンズ』公演も、それぞれに違いと良さがあったと思いますし、我々もまた、自分たちの『オーファンズ』になると思います。演出家と役者が違えば、当然、別の舞台になると思うし、良い舞台になればいいなというだけですね。

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『オーファンズ』の歴史に、ちゃんと爪痕を残したい

──三人芝居ですが、それはいかがですか?
細貝 僕は『スワン』(2014年)という作品が三人でした。密な空間で芝居するのは緊張しますね。
佐藤 僕は初めてですが、面白そうだなと思いました。問題はセリフの分量ですよね。フィリップは食べ物とか薬とかの固有名詞をずっと言うんですが、そこがちょっと大変です。イメージを入れておかないと難しい。ばーっと口に出していくので、言い慣れておきたいですね。
細貝 トリートのセリフは、わりと感情を真っ直ぐに出せばいいので、素直にいこうと思っています。
加藤 僕は今回、セリフをきちんと入れて稽古に臨もうと、それを自分に課しているんですが、長台詞があるのでどうなるか(笑)。
細貝 加藤さんは、たぶんセリフは一番多いですよね。
──三人芝居の濃密な空間を楽しみにしています。最後に意気込みを。
加藤 翻訳劇ですが、かまえることなく観られるものにと、マキノさんも話していますが、僕自身も翻訳ものはちょっと近寄りがたいところがあって、外国の人間を演じることの恥ずかしさもあるんです。でも今回、そこを払拭していければと。日本人が観ても素直に共感できと思える作品なので、翻訳劇という壁を感じさせないものにしたいですね。話が面白いのですぐこの世界に入れると思います。
佐藤 僕は、役者として色々挑戦する部分が大きいので、久しぶりにちゃんと悩めるなと思っています。役の持っている色とか空気は初めてですし、自分にとっては大きな挑戦です。これまで強者と弱者でいえば強者をやることが多かったんですが、フィリップは弱者側で、純粋で、個である孤独や悲しさもあると思いますが、その中で柔らかさをどう表現できるかと思っています。心を自然にひらいていくところは、演じがいがあります。
細貝 僕は33歳になった直後の舞台になるんです。ちょうどデビュー10年で、このタイミングで骨太な作品でマキノさんの演出で、しかも三人芝居ですから、すごく嬉しいです。オープンマインドで、どんどんエネルギーをぶつけていって、この三人だからできる芝居にしたいし、今までの『オーファンズ』の歴史に、ちゃんと爪痕を残したいですね。

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細貝圭、加藤虎ノ介、佐藤祐基

ほそがいけい○東京都出身。幼少期から14年間米国で生活し、2008年にミュージカル「テニスの王子様」でデビュー。最近の出演作品は、舞台『新・幕末純情伝』、『パタリロ』、『TRICKSTER』、『剣豪将軍義輝〜星を継ぎし者たちへ〜』、テレビ『サヨナラ、えなりくん』(EX)、など。

さとうゆうき○東京都出身。大学在学中にオーディションに号各、04年にデビュー。06年『仮面ライダーカブト』で主人公の一人、加賀美新を演じる。その後、映像と舞台で活躍中。最近の出演作品は、映画『新宿スワン2』、テレビ『模倣犯』、舞台『鷗外の怪談』『GO WEST』『AZUMI 幕末編』『蒼い季節』『わらいのまち』など。

かとうとらのすけ○大阪府出身。大阪で舞台を中心に活動中、NHK朝の連続テレビ小説『ちりとてちん』(07年〜08年)で徒然亭四草役に抜擢され、脚光を浴びる。最近の出演作品はドラマ、『おみやさんSP2』(EX)『ブランケット・キャッツ』(NHK)など。舞台は『国語の時間』『OPUS/作品』『休暇 Holidays』など。

この公演の稽古場レポートはこちら
http://kangekiyoho.blog.jp/archives/52038188.html
 
〈公演情報〉
オーファンズキービジュアル
 
『オーファンズ』
作◇ライル・ケスラー  
翻訳◇小田島恒志 
上演台本・演出◇マキノノゾミ
出演◇細貝圭 佐藤祐基 加藤虎ノ介
●兵庫公演 10/14・15◎兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
〈料金〉6,000円(税込・全席指定)
〈お問い合わせ〉芸術文化センターチケットオフィス 0798-68-0255(10:00〜17:00月曜休)
●東京公演 10/18〜22◎草月ホール
〈料金〉6,500円(税込・全席指定)
〈お問い合わせ〉サンライズプロモーション東京:0570-00-3337(全日10:00〜18:00)




【取材・文/榊原和子 撮影/安川啓太】



ミュージカル『魔界王子』
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大幅に役をチェンジして挑む再演! カムカムミニキーナ 『>(ダイナリィ)〜大稲荷・狐色になるまで入魂〜』山崎樹範・藤田記子 インタビュー

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一昨年、カムカムミニキーナが旗揚げ25周年を記念して上演した『>(ダイナリィ)〜大稲荷・狐色になるまで入魂〜』が、役柄を大幅に入れ替えて、再演される。
安倍清明と狐の謎を秘めた団体とそれを探る演劇探偵団という、めくるめく歴史ロマンの面白さに加えて、バックステージの役者と劇中の登場人物がメタ演劇的に入り交じる上演形式サラウンド・スケルトンで、カムカムの可能性と底力を示した傑作舞台だ。

【あらすじ】
未だ見ぬ母が屋根裏に隠した異国語の日記…ダイアリィ。
そこに無数に記された謎の記号「>」…ダイナリィ。
迷える少女がルーツを探るうちに紛れ込んでいく昭和の闇。
暗躍するはお稲荷様の嫁入り行列…オイナリィ。
平安の世より続く妖狐と陰陽師安倍清明の因縁。
人を変えてしまう恐るべき狐憑きの力。
その獣の超力を我が物にせんと企む軍人、商人たち。
闇に葬られた歴史を解き明かしていくのは、現代を生きる売れない前衛劇団。
即興劇による閃きと創作で真実に肉迫する、名づけて演劇探偵メソッド!
稲荷信仰の孕む霊気と狂気が、時代を超えた日本人の宿命を揺さぶる。
残された最後の手段は…愛ナリィ?

この作品で、一昨年に続いて座長をつとめる山崎樹範と、劇団の看板女優としてますますパワフルに存在感を発揮する藤田記子が、今回の『>(ダイナリィ)』の見どころを話してくれた「えんぶ10月号」のインタビューを、別バージョンの写真とともにご紹介。

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藤田記子・山崎樹範

団長役が変わったことで、みんなの役も変わって

──再演で大きく役が変わるそうですね。
藤田 私が言いだしたんです。初演は良い作品になったし、良い評価も頂いたんですが、再演の話を聞いたとき、どうせなら劇中の団長の役を、公演の座長でもある山崎くんにやってもらったらと。
山崎 松村さんに提案して。僕はびっくりしました。
藤田 山崎くんの前回の役も面白かったし、山崎くんならではの役だったけど、そろそろ清水(宏)さんがやるような役もやってみたほうがいいので。
山崎 その役が変わったことで、どんどん押し出されるように、みんなの役も変わって。俺の役は藤田さんになって。
藤田 そこは私には予想外の展開で、結局一番大変なところが来て。役替わりを言い出した以上、やるしかないなと。
──今回、山崎さんが演じることになった団長役ですが、どう捉えていますか?
山崎 自分で局面を動かせる役だなと。初演で演じた劇団員の役は、与えられたことに対してどう反応するか、流れの中でどう動くかという面白さがありましたが、団長の役は、自分の意志で物語の舵を切っていく。そこが役としては魅力的な部分ですね。
──今までの山崎さんのキャラクターにはあまりないような。
山崎 ないですね。だからこの役で説得力が出せたらすごいし、出したいです。
藤田 私もすごいプレッシャーで。あんなに走り回る役は久しぶりなんです。最近劇団では、お母さんとかお祖母さんの役どころになっていたので、まず体力的にすごく心配ですね。鍛えます。

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松村さんの懐の深さで20年以上続けられた

──それぞれ20年以上の劇団歴ですが、カムカムだから良かったということは?
藤田 つまらないとか面白くないとか、きついとか散々言われて育ってきたことが、今となっては、強さになっていますね。
山崎 カムカムで生き残れたら、他へ行っても通用しますから。
──山崎さんはメディアへの出演も多くて、つかず離れずきたわけですが、そのことで逆に劇団活動が続いている部分もあるのでしょうね
山崎 それはありますね。僕は劇団では末っ子長男気質というか、松村さんと八嶋(智人)さんは、役者としてのお父さんとお母さんだとは思って、散々わがまま言ってきたし、八嶋さんに本気で怒られるまで、劇団とちゃんと関わらなかったりしましたから。でもやっぱり僕を生んでくれたのはここで、それは一生変わらないことなので。今は2年に1回というペースがちょうどいいし、逆に2年に1回しか出られないのだから、その1回は大切にしないといけないなと思うようになりました。
──そういうペースで付き合えるのも、松村さんの懐の深さかなと。
山崎 結局、全部受け入れてくれますからね。来るものは拒まず去る者は追わずで。僕がしばらく休みますと言った時も「わかった」と。
藤田 器が大きいんです。作品のスケールもですけど、人としても大きい。
──それでいて過激で、劇団外でも演出されていますが、劇団で一番実験的なことをしている気がします。
藤田 それは松村さんも明言していて、カムカムは自分が一番興味あることを全部つぎ込むところ、実験する場所だと言ってますから。
──役替わり再演というまた過激な実験で楽しみです。最後に意気込みをぜひ。
藤田 この作品は、狐憑きの話と演劇探偵をする劇団の話が出てくるのですが、私は狐の側から劇団の側になるので、新しい作品に取り組む気持ちでがんばりたいと思います。
山崎 今回は本当の座長というか、真ん中をやってみろという負荷をかけられて、この歳で、こんなチャレンジやらされるとは思ってなかったですが、有り難いし、役者としてまた次に行くチャンスだと思っています。がんばりますのでぜひ観にきてください。

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藤田記子・山崎樹範

やまざきしげのり○東京都出身。95年より劇団に参加。ドラマ、映画、バラエティなどで活躍中。最近の主な出演作品は、映画『龍三と七人の子分たち』『幸福のアリバイ〜picture〜』、ドラマ『トットちゃん』『しあわせの記憶』『めおと蝶』、劇団以外の最近の舞台は『崩壊シリーズ〜リメンバー・ミー』『剣豪将軍義輝〜星を継し者たちへ〜』『テレビのなみだ』など。映画『火花』が11月に公開、NHKBSプレミアム『ワンワンパッコロ!キャラともワールド』レギュラー出演中。

ふじたのりこ〇東京都出身。94年、劇団カムカムミニキーナに入団。ダイナミックな演技で、舞台に大きなうねりをもたらす女優として、多方面で活躍中。08年には劇団拙者ムニエル澤田育子との演劇ユニット「good morning N°5」を立ち上げる。最近の出演舞台は『青木さん家の奥さん供戞悒ぅ鵐肇譽薀鵐垢虜廖戞悗匹匹畧磧戞愧羚颪良垰弋弔別鮨諭截昂遒good morning N°5『豪雪』を上演した。

〈公演情報〉
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カムカムミニキーナ
『>(ダイナリィ)』〜大稲荷・狐色になるまで入魂〜
作・演出◇松村武
出演◇山崎樹範 藤田記子 松村武/成清正紀(KAKUTA) 広澤草 豊原江理佳 本間茂樹/清水宏 ほか
●11/2〜12◎座・高円寺1
〈料金〉一般 5,000円 スペシャル割 4,000円(11/2・4・7の各19時、11/8の14時と19時公演)U-25割引 3,500円(要当日身分証、劇団のみ取り扱い) (全席指定・税込)
 〈お問い合わせ〉 カムカムミニキーナ 090-6328-1076 (平日12時〜18時)




【取材・文/宮田華子 撮影/安川啓太】


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