稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

『ストリップ学園』

インタビュー

風琴工房としての最終公演『ちゅらと修羅』開幕! 詩森ろばインタビュー& 稽古場フォト

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詩森ろばが主宰する風琴工房の最終公演『ちゅらと修羅』がザ・スズナリで12月7日に開幕した(13日まで)。この公演を終えたあと、2018年からは、劇作家・演出家の詩森ろばと俳優の田島亮のユニットとして、新しい名前「serial number(シリアルナンバー)」で活動していくことになっている。

今回の『ちゅらと修羅』は、昨年、流山児★事務所への書き下ろした『OKINAWA1972』に続いて沖縄が舞台となっている。太平洋戦争では唯一の陸上戦の場所となり、その後は基地問題を抱えて、戦後日本のしわ寄せを一手に引き受けてきた沖縄。『OKINAWA1972』では、沖縄問題を沖縄裏社会と核密約という視点から描きだした。

今回は、映画『標的の村』で大きな反響を呼んだ東村・高江のヘリパッド基地移設反対闘争をベースに、沖縄戦から現在までなにも変わらない沖縄の現状を、タイムスリップSFものという、斬新かつ新しい方式でエンターテインメイントとして上演する。 

タイトルの「ちゅら」は、沖縄の言葉で「美しい」という意味。「修羅」は「醜い果てしない争いのたとえ」となる仏教用語。沖縄というひとつの場所に、どんな時も同時に存在してきた「ちゅら」と「修羅」を横断するスリリングな演劇として作り上げる。
そんな作品の稽古も大詰めという時期に、稽古場で詩森ろばに話を聞いた。

 

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ヤンバルの過去、近い過去、現在、そして未来
 

 ──流山児★事務所への『OKINAWA1972』に続いて、沖縄が背景になる作品ですね。
最初は続けて書くというつもりはなかったのですが、『OKINAWA1972』のために取材に行ったことで、沖縄という場所の深さに魅せられてしまったんです。沖縄は、ソーシャルな問題で言えば、戦後の日本の抱えるジレンマのようなものが集約された場所ですし、地理的なことで言えば、本土から離れた南にある島ということで、人も暮らしぶりもちょっと異なっている。そこが魅力でもあり、だからこそ本土側の勝手な理屈を押しつけられてしまう。そのイメージは以前から持っていたんですが、実際に行ってみて実感として感じることになったわけです。そして、これはどういうことなのかちゃんと考えたいなと。私は書くことで考えられるので、書こうと思ったわけです。 

──沖縄は江戸時代までは独立した「琉球王国」でしたから、今も民族的な誇りを持っていますね。日本はその誇りを色々な形で踏みにじってきた歴史があります。
日本人の意識としては、従属させた国だという意識を勝手に持っているわけですよね。日本人だけではなく、ある民族が他の民族を制圧して従属させるという構図は世界中にありますし、日本国内でも先住民族の土地を奪ってきた歴史があるわけです。私が生まれた東北にもアイヌの方たちが住んでいたわけですから。そういう国と国、民族と民族の埋まらない構図を、沖縄では目の当たりに突きつけられるわけです。 

──この作品の登場人物は13人ということですが、その1人1人の物語ということでしょうか?
というよりも群像劇で時代が飛ぶんです。おおまかに分けると4つの時代が出てきて、全員がその時代に移動していくので、1人1人の物語というより、全員で1つの大きな物語を想像させるという構造になっています。 

──具体的には、どんな時代が出てきますか?
一番さかのぼる時代は1945年です。最初は糸満などの沖縄戦の激戦地を描こうと思っていたのですが、最終的にヤンバルの歴史にこだわることにしましたので、沖縄戦もヤンバルの沖縄戦です。  

──ヤンバルというのは高江がある地域で、沖縄本島の北部の森林山岳地帯ですね。
独特の文化があるところで、そもそも明治以前は、そんなに人が住んでいなくて、明治以降に都市部で生活が困難だった貧しい人たちが入植した地域なんです。そこに、さらにヤンバルの自然に魅せられた人たちがやってきたりして、村ができた。村民は自分たちで切り拓いて村を作ってきたという意識は強いと思います。そのヤンバルのさまざまな時代を、物語の主人公の原田知己という青年が横断します。彼は目撃者であり、ナビゲーターとしての役割を担っていて、ずっと同じ構造を大和から押しつけられている沖縄の歴史と、大和文化と全然関係なく根づいているヤンバルの文化や美しさ、その両方を体験していきます。 

──沖縄戦でヤンバルはどんな状況だったのでしょう?
ヤンバルの戦争は、そこまで激しくなかったと勝手に思っているひとも多いと思いますが、今回きちんと調べてみると、やはりとても苛酷な状況にあった。生き残った人たちは、8月15日以降に生き地獄のような状態を味わうことになるんです。アメリカが沖縄を占領した1945年6月くらいから、生き残った人は捕らえられて捕虜収容所に入れられます。酷い扱いを受けて、マラリアや飢えでどんどん死んでいく。戦争そのものでの死者よりも、収容所での死者が多かったくらい悲惨な状態だったのです。

 

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全体を通すと13人の思想史が見えてくる

──原田という青年は何がきっかけで沖縄へやってくるのですか?
最初はヘリパッド基地反対闘争のことを知って、「なぜこんなことが起こるんだ」と、ただ許せないない気持ちでくるわけです。そしてヤンバルに入って、色々な時代を見ることで自分の考えを深めていくと同時に、自分の罪も知っていく。また、今、自分自身にも火の粉が降りかかっていることにも気づくんです。そして沖縄だけでなく、むしろ本土の人たちのほうに降りかかる火の粉みたいなものにも気づいて、そこから自分の生き方をまた考えていきます。 

──13人の登場人物には、それぞれ背景があるのですか?
それぞれが背負っているものがあって、1人1人のディテールはいつもの作品ほど細かくは書き込まれていないのですが、物語全部を見るとその人の背景が見えてくるという仕組みになっています。 

──その13人を見ていくと今の日本と沖縄の姿が見えてくるということでしょうか。
そうですね。構造そのものがテーマである、というちょっと変わった物語なんです。日本と沖縄の関係、日本とアメリカの関係、それが人の生活を、自分たちが考えてる以上に侵食してきている、その有り様を感じていただけると思います。 

──それぞれが関わり合う必然も見えてくるわけですね。
セリフにもあるのですが、「市民運動に関わるとよけいな軋轢もあるし、失わなくてよかった人間関係もあったりする。でも、他ではないような深い人間関係を味わうことがある」と。そういう関係を持っているような人たちの話なので、ちょっと羨ましくもあったりするんです。沖縄の運動って、独自の運動なんですよね。メディアなどでいわゆる左翼運動的な捉え方をされて、誹謗中傷を受けることも多いのですが、長い長い歴史の経験からもっと大人で、仲間内でお互いの思想を糾弾し合うようなことをやっててもしょうがないんだ、思想はどうあれ、まず基地は反対していこうよというような成熟したものを感じます。同じ1つの目的さえ持っていれば座り込みの現場にも、誰が来てもいいんです。私も「お前は何をしにきたんだ」とか言われたことがないし、半日しか居られないのに行ってもいいんだろうかと思ったんですけど、1時間でも2時間でも全然かまわないから、来て、見て、話してほしいと。「楽しんでって」と言うんです。そういう感覚は、行って体験して初めて知ることですよね。長い長い虐げられた歴史の中で熟成されていった、大人の文化としての市民運動で、それをこの作品の中でも見せたいと思いました。


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生きていくことと反対闘争は彼らにとって等価

──自分の生活とか自分の生きる土地を守るという、すごくシンプルな気持ちで、思想とかに縛られないのでしょうね。
目的が同じなら色々な人がいていいし、「楽しくやりましょうよ、どうせずっとやっていかなくてはいけないんだから。」という、ものすごい覚悟があるんです。それは行かないとわからなかったことでした。

──そういう人たちだと、人間として共感を持てますね。
共感というより敵わないという感じですね。共感なんておこがましい。まったく敵わないという印象を持ちました。高江のブログで思わず笑ったことがあって、7月22日の工事の強制執行を前に緊迫したブログが続く中、たいへんな闘いをしているはずの女性が、7月15日のブログで7月23日には「昆虫観察会」があると書いているんです。彼女たちにとっては等価なんですね。基地闘争のほうが偉いとかではなく、子供たちがヤンバルで生きていく、自分の次の世代によりよい生活を残すということが一番大事で、「なんで闘争してるからって川遊びにいっちゃいけないの」と。一番偉いのは人の生活なんです。というか偉いとかじゃなく、生きていくことが一番大事なことだという、その哲学がすごいんです。だから『標的の村』の中でも、小さい子が、「お父さんたちが疲れちゃったら私が運動をやっていきたい。」と言うんですよね。9才くらいの子が言う。痛ましさに震えるシーンですが、その凛とした顔があまりに美しくて、たった9歳の子に負けたと思います。23日の昆虫観察会は無事できたんでしょうか。それとも封鎖されてしまった高江で、諦めるしかなかったのでしょうか。 

──映画の『標的の村』は2012年の作品で、そこから5年の間に、トランプ大統領就任や北朝鮮の脅威など、時代はよりキナ臭さを増しています。それだけにこういう作品を上演する必要も切実になってきました。
同時に、5年前だったら考えもしなかったと思うのですが、こういう作品を上演することに、どこか恐さも感じます。演劇にも規制がかかってくるような、そういう時代になってきたのかなと。 

──日々流動的な政治状況を、どこまで反映させるかも難しいところでしょうね?
そこは本当に難しいです。物語は、原田が高江のヘリパッド基地工事が強制執行された2016年7月22日に、その場にやってくることから始まります。だからまさに2016年、2017年の話で、できるだけ現在進行形の「今」を入れたい。ただニュースは毎日更新されていきます。「辺野古移転問題」も知事は反対派だと思っていたら、資材を辺戸岬の奥の方から搬入する許可を出してしまったり、10月に私たちが取材に行ったときも、米軍の輸送ヘリが高江に墜落して、現場が封鎖されていたり、状況は日々変化していて、そういう現実をどこまで物語に入れ込むか悩みましたが、今のこの時点ということで書くしかないと思いました。


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この人たちが生きて、虐げられているのはイヤだと

──『標的の村』の中で、位牌作りの職人の方が、集中しないとできない仕事なのに、なにごとかあったら現場に行かなければいけなかったり、反対闘争に関することで国から訴えられていて裁判所から呼び出されたり、仕事ができないと。そういう状況は少し想像力を働かせると、明日の私たちでも起こりうることだなと。
そうなんですよね。でも彼らのすごさは、そういう状況のなか、闘い方を作り出し、地域の中で繋がっていることで、もし東京の人間がいきなりそういう状況に放り込まれたら、なすすべもなく無力になったり、ただ孤立してパニックになるんじゃないかと思います。この作品は沖縄の物語ですが、自分たちの話だと思って観てほしいと思い、東京から沖縄に行く原田という役を作ったんです。そして、私は沖縄問題の悲惨さをただ描きたいのではなくて、この人たちが生きて、虐げられているのはイヤだと。そういうものを演劇は作らなければいけないと思っていて、そういう作品になっているといいなと思っています。

──先ほど杉山至さんの美術の模型も見せていただきましたが、すごく面白いですね。ヤンバルに囲まれた高江の集落にも見えるし、ヘリパッドにも見えるし、みんなが座り込む広場にも見えるという。
至さん、すごいです。アンコールワットにガジュマルの樹に浸食されたタブロームという寺院があるのですが、そのイメージでとお願いしたら、まわりをヤンバルの森にして、素敵な装置を作ってくれました。

──最後に観る方へのメッセージを。
色々な世代の方に観てほしいですけど、とくに若い方に観てほしいです。重い話かもしれませんが、演劇の手法をすべて使い切り、楽しく観られると思います。大好きな人たちのことを書いた作品なので、楽しくて、胸に迫って、演劇の楽しみが全部つまった作品にしたいんです。ぜひいらしてください。

 

【プロフィール】
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しもりろば○岩手県出身。1993年、劇団風琴工房旗揚げ。以後すべての脚本と演出を担当。03年『紅き深爪』で劇作家協会新人戯曲賞優秀賞受賞。13年『国語の時間』(作・演出)で読売演劇大賞優秀作品賞を受賞。16年NPO法人いわてアートサポートセンター主催公演『残花─0945 さくら隊 園井恵子─』と風琴工房企画製作公演『insider』で第五十一紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞。最近作は風琴工房『アンネの日』(作・演出)、劇団俳優座『海の凹凸』(作)。来年の6月にserial numberの旗揚げ公演が控えている。 

 
 

【稽古場フォトとキャストたち】

IMGL1558田島亮

彼は原田知己。トウキョウでオキナワに関わるとある映画を観て、やむにやまれぬ感情に囚われ、この地にやって来た。そして彼は、基地闘争の現在とオキナワの歴史を目撃することになる。


IMGL1443坂元貞美

彼はタラマチョウエイ。人は親しみを込めてチョウさんと呼ぶ。自然と生きるためにこの地に移住したが、ヘリの轟音がそれを拒んだ。ただフツウに暮らす。そのために彼の戦いは続く。


_MG_9831_1杉木隆幸 

彼はクニシロハマジ。道を歩けば、大人からも子供からもハマジ、ハマジと声がかかる。幼い頃から、オキナワはこのままでいいのかという違和感を持ち続け、いつしか運動の最前線に生きる道を選んだ。
 

IMGL1503中野英樹

彼はイラブマサヨシ。飄々とした人柄で、地域住民からの人望も篤い運動の中心人物。広い視座と人懐こい性格を併せ持ち、政治的にも精神的にも、この村をささえている。


IMGL1479西山水木

彼女はウトバァ。オキナワの生き証人。太平洋戦争を生き抜き、オキナワのために戦い続けている。彼女の魂は、いついかなる時もオキナワの運命と共にある。


IMGL1606林田麻里

彼女はアマンミクニ。通称アマミク。琉球開祖の女神の名前で仲間から呼ばれる彼女は、カメラだけを唯一の武器に精神的な主柱として人々の心を支えている。 


IMGL1587熊坂理恵子

彼女はイラブナミエ、通称ナビィ。ナビィは鍋、彼女のオバァの名前。昔のオキナワの人は大切な日常品や珍しいものの名前を女性につけた。オキナワの苛酷な運命を生きる彼女をひとはオバァと同じ名前で呼ぶ。


IMGL1626ししどともこ

彼女はイラブリンダ。通称リンリン。オキナワの運命と帯同するため、トウキョウからこの地に戻ってきた。綻んだ人の結び目を結びなおすために彼女は立ち上がる。


IMGL1453岩原正典 

彼はハテルマリュウタ。リュウタ先生と慕われる教師として、全校併せても10名余の生徒を教える。しかし、そのわずかな生徒たちも、学校に来るのがままならないありさまとなっている。
 

IMGL1477藤尾勘太郎

彼はコチンダマツル。通称マツリ。生まれながらの戦士。しばしばトラブルを引き起こし、周りを困惑させている。


IMGL1583白井風菜

彼女はアカミネアカリ。オキナワの太陽の如き天真爛漫な原始の娘。彼女にとっては、戦うことが、ほんの幼い頃からの日常であった、


IMGL1553井上裕朗

彼はキタヤマタカシ。ヤマトからやってきた男。クレバーかつ粘り強い考察と行動力を、政治的交渉に結びつけ、恐るべき真実を暴き出す。キーパーソンである。


IMGL1462佐野功
そして私はセジ。琉球神道において霊力そのものを指し、剣につけば霊剣となり、人につくと超人となる。この物語において唯一の「ヒトデナイモノ」である。

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〈公演情報〉
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『ちゅらと修羅』

脚本・演出◇詩森ろば

出演◇田島亮、坂元貞美、西山水木、中野英樹、井上裕朗、林田麻里、杉木隆幸(ECHOES)、熊坂理恵子、佐野功、岩原正典、ししどともこ(カムヰヤッセン)、藤尾勘太郎(犬と串)、白井風菜

●102/7〜13◎下北沢 ザ・スズナリ

〈料金〉一般前売4200円 当日4500円 学生2000円 障がい者2000円 平日はじめて割 4200円(全席指定・税込)

※『標的の村』特別上映回セット券 5500円(12/10 昼の回のみ。演劇のみチケットもあり)

http://windyharp.org

 

 


【取材・文/榊原和子 撮影/友澤綾乃】



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青年座へ中津留章仁が書き下ろした新作『断罪』いよいよ開幕! 田上 唯インタビュー

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まもなく 50 年を迎えようとしている青年座劇場。つねに新しい創造の場であるこの劇場で、今年は、演劇界注目の劇作家の新作が連続上演される。その第3弾としてTRASHMASTERSの中津留章仁が書き下ろす新作は『断罪』。芸能プロダクションという、演劇と大きく関わる場所を舞台に、壮絶な人間ドラマを描き出す。その公演がいよいよ12月8日から幕を開ける。(17日まで)

【あらすじ】
ある大物俳優が、生放送の番組で現政府を批判し、所属する芸能事務所を去ることになった。
この一件により、事務所幹部は、これまでより更に、所属タレント及び社員の言論と行動に対して厳しく管理していくことになる。
タレントを商品としてではなく一人の人間として見て欲しいと考えるマネージャー岸本亜弓は、過剰な管理体制や排斥行為はタレントの「人権侵害」にあたると上司の蓮見亮介に訴えるが、取り合ってはもらえなかった。
ついに岸本は自分の正義を貫き、業界全体に蔓延する体質の改善を求めるべく、内部告発に踏み切る。そして―――。

この作品で芸能事務所の若手女子社員、千田茜の役を演じる田上唯。まだ入団5年目だが、注目作で次々に大役を演じている期待の女優だ。そんな彼女に、稽古入りしてまもない時期に、この作品への取り組みや、女優としての今について話してもらった。

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それぞれが「生きる」ことに正直であるがゆえにぶつかり合う

──今回の台本を読んだ第一印象から聞かせてください。
まず、個々の人間、それぞれのキャラクターがはっきりしていること、そして、普通の人間の日常にあるようなことが書かれているなと思いました。みんなそれぞれ会社や仕事の中で自分の役割を生きていて、でも、その裏に何かしら抱えている。そういう人たちの本音が、ある事件をきっかけに見えてきます。今、稽古しているところは、その表向きの顔の中から、チラチラッとそれぞれが抱えているものが見えてきているという段階で、これからその部分が絡み合ってきたら、どんどん面白くなっていくだろうなとワクワクしています。
──役は千田茜という事務所の女性スタッフですね。
入社3年目で、まだこの芸能事務所では若手という立ち位置です。電話番をしたりお茶を持ってきたり、ちょっと不器用で、一見、天然っぽい感じなのですが、実は…という女性です。
──中津留さんの作品についての印象は?
10月に上演された『明日がある、かな』を拝見して、それが初めてだったのですが、やはり社会へのメッセージがすごく強いなと感じました。そして、1人1人の人物像が深く描き込まれていて面白かったです。私も今回の『断罪』で、何も考えていなさそうに見えて、実は心の中では色々抱えている女性を演じます。今まではわりと真っ直ぐな人間を演じることが多かったので、こういう役は新鮮です。私は今年27歳になったのですが、やはりこの年齢だからこそ考えることもあって、そういうものが生かせるかなと思っています。
──ほかの登場人物も年齢やキャラクターが様々で、どの人も面白いですね。
一見すると悪者に見える人とか、裏のある人とか、そういう人間ばかりで絡み合っていくような物語ですが、それぞれが「生きる」ということに対して一生懸命で、正直であるがゆえのぶつかり合いもあって、何が正しいとか正しくないとか決められないんですよね。そこが中津留さんの作品らしいし、考えさせられるところだと思います。
──テーマは沢山あって、メディアでの政治問題、芸能事務所とメディアの関係、その中での人間たちの対立なども描かれていて、人ごとではないなと思います。
すごくリアルですね。生活があるから思っていることがあっても言えないとか、会社として存続するために社員を切り捨てるとか、誰もが思い当たることが多い作品だと思います。私が前回出演した『旗を高く掲げよ』という作品もナチスの話で、政治状況と市民の家庭との繋がりがとても具体的に出てきて、私にとっては意識が変わるというか、人生観が変わった作品だったんです。そこからさらに身近で、現代の私たちの生活に重なる作品がきたなという感じです。
──芸能の仕事をしている方にとって本当に切実でしょうね。メディア側である自分へも問いかけられるような話ですから。
有り難いことに青年座では、とても自由にやらせてもらっています。それにまだそういう問題とは直接ぶつかっていないのですが、でも芸能界というのはそういう部分もあるのだなと、他人ごとではないなと思いながら台本を読みました。

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目から鱗だった『旗を高く掲げよ』のリーザ役

──今回のキャストですが、先輩の俳優さんたちも劇団を代表するような精鋭揃いですね。
本当に尊敬する大好きな先輩ばかりで嬉しいです。『旗を高く掲げよ』で父親役だった石母田(史朗)さんが、今回ちょっと悪の匂いがある役で(笑)、大家(仁志)さんが、メディアと良心のあいだで煩悶する役です。大家さんは私の初舞台の『横濱短篇ホテル』(2013年)以来、何度も共演させていただいてます。初めて役をいただいたことですごく緊張していたのですが、「好きなようにやっていいから、何でも受けるから」と言ってくださって。本当に好きなようにやらせていただいて有り難かったです。
──初舞台なのに好きなようにやれる田上さんもすごいですね。
いえ(笑)。入団して1年間は、稽古場付きで色々な舞台の稽古を見せていただける機会があるんですが、そこで、もし私がこの役をやるならとか演じたい思いがふつふつと溢れて、ボルテージがどんどん上がって、早く自分も舞台に立ちたいという思いではち切れそうになっていたので、本当に思いきりやらせていただきました。好き放題やったのを全部受けていただいて楽しかったです。
──田上さんは、役を作っていくことが苦でないというか、楽しそうに見えますね。
たぶん1人の人を深めるとか、そういう作業が好きなんだと思います。今回の千田茜も普段どんなものが好きでどんな音楽を聴いているんだろうとか、そういうところから考えています。私は想像するのが好きで、たとえば何かを買っている人を見たところから、その人の生活を想像したりするんです。そして役を細かいところから膨らませていく、そういう作業がとても好きなんだと思います。
──想像力だけでなく表現力もありますね。『旗を高く掲げよ』の、ナチスを信奉するリーザ役では狂気が漂っていました。
その表現ではとても勉強になったことがありまして、最初、台本を読んで狂信的な印象を受けたので、その狂信的な感じをそのまま表現しようと思っていたんです。でも演出の黒岩(亮)さんが「狂信的というのは、結果としてそう見えるだけで、リーザとしては一生懸命に、少女同盟が世のため人のためになると思ってやっているんだ」と。それが結果、狂信的に見えるのだと言っていただいて、それが目から鱗で、「あ、私はすごい間違いをおかしていた」と。結果を演じるのではなく、そうなっていく過程と中身をどう作るのかなのだとハッとしました。
──こういう少女はあの時期のドイツには沢山いたのだろうなと思わせて、鬼気迫ると同時に痛ましくもありました。
私も役を離れて考えると、10代というのは普通なら一番無邪気に遊んだり恋をしたり、楽しく過ごしている時期なのにと、胸が痛くなりました。

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スポーツで鍛えた少女時代、大学でいきなり演劇の世界へ

──田上さんは、九州大谷短期大学という、演劇で有名な学校の出身ですが、演劇はいつから?
高校までは演劇とは無縁だったんです。スポーツが好きで、水泳と体操は2歳からやっていました。小さい頃からエネルギーが有り余っていた子みたいで(笑)、母が色々な習い事をさせてくれて、ピアノも小学校から始めましたし、体操も小学校から新体操に移行しました。両親が映画好きで、その影響もあって演劇にも興味があったのですが、高校まではスポーツばかりやっていました。中学の陸上部は一番きつい部活で、200メートル10本とか、根性も鍛えられました(笑)。
──運動能力に長けているのは役者としてメリットですね。そして短大で演劇を始めたのですね。
短大で初めて演劇を色々教えてもらいました。日舞とか狂言とか発声とか、すごく身に付きましたし、専用の劇場もあって充実していました。そこで俳優になるための基盤を作ってもらったと思います。ですから上京して1人で暮らしていても、その基盤があったのでがんばれたのかなと。研究所の授業も大学の内容と通ずるものが多かったので、わりとスムーズに馴染めた気がします。
──大学卒業後の進路はどんなふうに決めたのですか?
ちょうど私の学年から青年座の研究所の推薦入試が始まって、ワークショップと面接で夏に早めに入所を決められる制度ができたんです。その青年座のカリキュラムやチラシを見たとき、直感で「あ!行きたい!」と思って決めました。
──すごくスムーズに恵まれた環境でここまできたのですね。
それは有り難いなと思います。大学でも青年座の研究所でも、自分のやりたいことをさせてもらって楽しくて、すごく幸せな演劇生活を送りましたから。
──そして今、期待の女優さんになっているわけですが、役者として心がけていることなどありますか?
日常で大切にしていることがありまして、生きていると楽しいこともありますけど、悲しいことやつらいこともいっぱいあって、そういう時、いわゆるマイナスと言われるようなそういう感情について、母が、「感情は人間だから当たり前。悲しくなったりしたときに、無理にごまかして元気になろうとしないでいい」と。どんな感情も素直に受け止めて、ありのまま受け入れて、その感情に浸かるというか、その感情も大切にして自分を見つめることが大事だと。前はそういう悲しい気持ちになると「元気にならなくちゃ」と思っていたんですが、役者という仕事をしていると、色々な感情の引き出しがあればあるほどいいんです。それが役者という職業の有り難いところで、役者じゃなかったら、そういう自分にとってつらい感情を大切にできなかったかもしれないので。全部の感情を大切にごまかさないで100%で向き合う。何に対しても本気で向き合うことが大事ですし、演じるのではなく、その人物として生きるためには、普段の自分も豊かでないといけない。それは年々感じるようになりました。日常で人間として豊かに深く生きるためにも、全部の自分の感情と素直に向き合おうと思っています。

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あとから考えたら生き生きと苦しんでいたなと

──伺っていると、良い意味でのタフさや芯の強さがあって頼もしいですね。劇団も5年目ですが、青年座の良さというのは?
この作品の話にも通じると思いますが、本当に芝居だけに没頭できるんです。余計なことを考えなくていいという、その環境がどれだけ幸せかと感じます。今年4月の『わが兄の弟』という作品で、小間使いの役をいただいて、出演時間はとても短かったんですけど、それができなくて怒られて、本当に取り憑かれたように自分でも稽古していたのですが、なかなか出来なくて、寝れなかったし苦しみました。でも後から考えると、そんな中でも生き生きと苦しんでいたなと。ある意味、前向きに生き生きと苦しんでいたんです。それはやっぱりお芝居だけを考えていればいい環境にいるからで。その幸せを感じましたし、恵まれているなと。それに、劇団は家族みたいな感覚でホッとする場所なんです。そういう場所があるのは幸せです。
──生き生きと苦しむという言葉は素敵ですね。本当に芝居が好きなのだとわかります。そして、これからどういう女優になっていきたいですか?
観た方の生きるエネルギーになれればと、それは人としてもですが、どういう形であれそうなれたらいいなと思います。その人のお芝居によって、生きるエネルギーが湧いてくるって素晴らしいなと思うので。たぶん日常の小さなことから大きなことまで1つ1つを楽しんで、もがいて、エネルギッシュに向き合っていくことで、そういう人になれるのかなと思いますし、そうなれたら幸せだなと思います。
──そういう人が演じたらどんな役も魅力的になりますね。悪役でも。
やってみたいです。悪役もその人がなぜそうなったのかを考えることが大事だと思いますし。その人の人生や、生きるエネルギーが見えるようになりたいです。
──いつか魅力的な悪役も見せてください。最後にこの『断罪』への意気込みを。
この作品に出てくる人たちは、みんなが一生懸命に生きているので、それぞれちょっとエグイです(笑)。そんな中津留さんならではのエグさが、魅力の作品だと思います。そこも含めてお客様に共感していただいたり、自分と重ねて考えたりしていただければ。そして人間が生きていくエネルギーを、受け取っていただければと思います。

【プロフィール】
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たのうえゆい○福岡県出身、2012年、青年座入団。最近の主な舞台作品は、『旗を高く掲げよ』(2017年)『からゆきさん』(2015年〜17年)『わが兄の弟』(2017年)『見よ、飛行機の高くとべるを』(2014年・17年)『世界へ』(2014年)『地の乳房』(2014年)『夜明けに消えた』(2013年) 『横濱短篇ホテル』(2013年・16年)など。テレビドラマ『いつか陽のあたる場所でスペシャル』(2014年 NHK)『同窓生〜人は、三度、恋をする〜 』第1話(2014年 TBS)『37.5℃の涙』(2015年TBS)など。

〈公演情報〉
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劇団青年座第230回公演
『断罪』
作◇中津留章仁(TRASHMASTERS)
演出◇伊藤大
出演◇山本龍二 大家仁志 石母田史朗/逢笠恵祐 前田聖太 津田真澄/安藤瞳 田上 唯 當銀祥恵 市橋恵(逢笠さんの逢はしんにょうの点が1つになります)
●12/8〜17◎青年座劇場
〈料金〉一般4,200円 U25[25歳以下]3,000円(全席指定・税込)※初日割引(12/8)3,000円
〈お問い合わせ〉劇団青年座 0120-291-481(チケット専用 11時〜18時、土日祝日除く)
〈青年座HP〉http://seinenza.com




【取材・文/榊原和子 撮影/山崎伸康】


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エログロの先に人間の美学を描き出す『艶漢』間もなく開幕! ほさかよう・末原拓馬 インタビュー


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エログロナンセンスな昭和郷愁的アンダーグラウンドの世界、『艶漢』。尚月地の大人気漫画を原作に、2016年3月に浪漫活劇譚『艶漢』として上演。好評を得ての第二夜が12月13日から17日まで、六本木・俳優座劇場で上演される。
メインキャラクターは、ノーフンがちで柳腰の美少年・傘職人の吉原詩郎(櫻井圭登)と、熱血正義感の巡査殿・山田光路郎(末原拓馬)、そして詩郎の兄貴分で無敵な色気を放つ吉原安里(三上俊)。この3人を軸に、愛憎絡まる世界と、それぞれが背負う宿命が、美麗な表現の中で演じられていく。
 
この作品の脚本・演出を手がける空想組曲のほさかよう。そして山田光路郎役を演じる、おぼんろの末原拓馬。アーティスト活動の中で独自の美意識を持つ2人に、再び挑む『艶漢』の世界を語ってもらった「えんぶ12月号」のインタビューを別バージョンの写真とともにご紹介する。

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末原拓馬・ほさかよう

「ほさか節」と手品で物語を仕掛ける演出家

──初演が好評でしたが、独特の美学がある原作を舞台化する苦労もあったのでは?
ほさか まず背景も含めて絵面がとにかく美しいですから、その美しさをどう立体化するかという点が課題でした。特に肉体美。この作品の登場人物達は半裸になるシーンがとにかく多く、「筋肉達磨」とか「柳腰」とか言われるような特徴的な体だったりする。そこは衣装や演出表現だけではごまかしが効かないため、役者には体作りから頑張ってもらわねばならない。逆にそこまで出来ないなら手を出してはいけない領域だなと思いました。
末原 稽古初めに、(ほさか)ようさんが、みんなで腹決めてトレーニングしようと言って、プロテインをどーんと(笑)置いたとき、あ、そういうことなんだなと。あとはキャラ作りでしたが、結局、光路郎のメンタリティは他の人間への接し方から出てくるので、そこがしっくりしはじめると自ずとキャラクターも決まってくる感じがありました。
 
──末原さんの光路郎の魅力は?
ほさか 彼はそもそもの本質は光路郎に似ているけど、表現の出し方が真逆だと思っていて。たとえば自分の思いの丈をぶつけるような時も光路郎がどストレートに全力投球なのに対して、拓馬は無意識に甘噛みを挟んできたりする。そこは思い切り噛みつけと思うときもあり、逆にその甘噛み具合がやらしくて面白かったりもして、結果的により人間臭い人物になった気がしています。人たらしなところは共通してますね(笑)。

──演出家・ほさかようの凄さは?
末原 役者に対する処方箋の出し方が的確です。作品を構築する段階で本人の美学がちゃんとあるから、わからないところはようさんに聞けば全部わかる。だからこちらも工夫しやすい。そして、見た目の美しさをはじめ、作品に入りやすい部分でおいでおいでとしておいて、そこに「ほさか節」が差し込まれる。それは特殊な能力なんじゃないかな。あとは…隠すところと見せるとこを巧妙に計算することで、観る人の心をドキドキと揺さぶり続けるんです。そういったこだわりが、本編から場面転換まで、あらゆるところに散りばめられている。手品師ですね。

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人を信じる信じないの線引きは誰もが抱えるテーマ

──今回の続編はほとんど初演キャストのままで、そこは心強いですね。
ほさか 尚先生の絵を体現できる役者が揃っているうえに原作のお話がそもそも面白いので、これが舞台作品としても面白くなるのはもはや当たり前で、あとはいかに内面部分を掘り下げたり、それを伝えるための表現方法を生み出したりして「すごく面白い」ものにすることが大事だと思っています。第2弾なわけですし。一つでも二つでもレベルを上げたいなぁと。
 
──また新たな殺人事件、新たな戦いもあります。
末原 前回は絡めなかった安里とちゃんと絡めるのが嬉しいです。それに事件の真ん中にある湯上先生の考え方が素敵で、あの部分に関しては1本の演劇として見たいくらいの内容が詰まってるなと。普遍性のあるテーマですよね。
ほさか 「人を信じる」というのは言葉にするのは簡単ですけど、たとえ恋人や家族に対してでも、お互いのすべてをさらけ出すというのは不可能に近いくらい難しいことだと思うんです。どこまでを明かし、どこまでなら受け入れるのか。その線引きはたぶん誰にでもあるんです。
末原 尚先生は絵が綺麗で表現もエキセントリックなんですけど、最終的に人間を描いてるところが鋭いなと。
ほさか そうなんだよね、表面的なグロテスクだけではなく、思想でこっちをえぐってくる。
末原 しかもまったくめちゃくちゃな事件ではなくて、物語だから少し過剰になっているけど、確かにあり得ると思えるから。
ほさか 根本にあるものが嫉妬とか憧れとか、誰でも持っているものからきているからこそドキッとさせられるよね。そういう誰もが抱えて生きている問題を、独自の美学で描いている。それをどこまで舞台に落とし込めるかですね。


【プロフィール】

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末原拓馬・ほさかよう

ほさかよう○京都府出身。06年、演劇プロデュースユニット「空想組曲」を結成。主宰を務める。07年、『小さなお茶会』で佐藤佐吉演劇賞・優秀脚本賞を受賞。「空想組曲」外でも精力的に作品作りに参加。最近の作品はミュージカル『八犬伝―東方八犬異聞―』(脚本)、劇団プレステージ第10回公演『Have a good time?』(脚色・演出)、舞台『インナーワールド エボリューション』(脚本)、浪漫活劇譚『艶漢』(脚本・演出)など。
 
すえはらたくま○鹿児島県出身。06年、早稲田大学在学中に劇団おぼんろを旗揚、主宰、脚本を手がける。映画は『さぬき巡礼ツアー』(主演)がさぬき映画祭2011で上映作品・奨励賞受賞、『月の鏡にうつる聲』で最優秀脚本賞を受賞。劇団以外の最近の舞台は、浪漫活劇譚『艶漢』、T FACTORY『愛情の内乱』東京ハートブレイカーズ『サブマリン』クロジ第16回公演『銀の国 金の歌」』など。


〈公演情報〉
あで

浪漫活劇譚『艶漢』第二夜
原作◇尚月地『艶漢』/「ウィングス」連載中(株式会社  新書館)
脚本・演出◇ほさかよう(空想組曲)    
出演◇櫻井圭登 末原拓馬(おぼんろ)  三上 俊/田上真里奈 林野健志 野田裕貴(梅棒)  狩野和馬/村田 恒 加藤良輔  ほか
●12/13〜17◎六本木・俳優座劇場




【構成・文/宮田華子 撮影/友澤綾乃】



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初演から3年、パワーアップしたDramatic super dance theater『サロメ』に挑む! 東山義久・木村咲哉・上田遙インタビュー

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結成15周年を迎え、更に多彩な活動を続けるDIAMOND☆DOGSのリーダーとして、また、卓越したダンサーであり俳優として活躍している東山義久と、常に舞踊界に新しい伝説を生み出し続けるクリエーターの上田遙が、初タッグを組み、2014年に初演され大好評を博したDramatic super dance theater『サロメ』。新たなキャストを得てパワーアップし、DIAMOND☆DOGS 15th Anniversary Seriesのひとつとして、再び上演されることになった(12月8日〜10日、北千住のシアター1010にて)。

オスカー・ワイルドの名作『サロメ』を題材としたこの舞台は、欲望渦巻く大人たちの闇の世界に咲く、純真無垢な一輪の花サロメの、その純真さ故の直情と残酷を妖しくも美しく描き出し、高い評価を得た。今回は、引き続いてサロメを務める東山義久に対して、ヨカナーンに元チャイコフスキー記念東京バレエ団のプリンシパル高岸直樹、エロド王に森新吾、エロディアに法月康平など、新たなキャストが加わり作品を盛り上げる。特に、サロメが寵愛する奴隷の少年に、この夏の話題を浚ったミュージカル『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー』の主人公ビリー役の1人として活躍した、木村咲哉が扮するとあって、高い注目が集まっている。
そんな舞台に挑む、東山義久、木村咲哉、構成・演出・振付・台本の上田遙が、新たに生み出される2017年版『サロメ』への抱負を語ってくれた。

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芸術性にエンターテイメント性を加味した新たな『サロメ』

──2014年に好評を博した舞台をまた新たに、ということですが、2017年版としての変化や、目指しているものは?
上田 全体にものすごく大きな変化があります。前回は全体的にかなり重いトーンで追い込んでいく作品でしたので、基本的には大人が鑑賞するものになっていたと思いますが、今回は、10歳の(木村)咲哉の友達が観に来てくれても、十分に観易いようなポップな部分を取り入れています。更に歌が入ることも大きな変化ですね。もちろん楽しい中にも、ちゃんと「サロメ」の世界観は入れ込んでいて、芸術性に、エンターテイメント性を加えることを目指しています。やはり再演と言っても、同じものをやるというのではなくて、初演以上のものを作ろうという目標が、僕と東山君の間になければいけないと思っていますから、如何に新たな『サロメ』を創るか?という枠組みは僕が設定して、それを東山君が引っ張っていく、という風に思っています。
──そうした意図が、この初演とはガラリと変わったキャスティングにも表れているのですね。東山さんは初演と今回では、特にどんな変化を感じますか?
東山 前回はDIAMOND☆DOGSのメンバーも全員は出ていませんでしたし、(上田)遙先生とも初めてご一緒させて頂いた舞台でしたから、新しい舞台を、新しい方たちと創り上げていくという緊張感がありました。でも今回はDIAMOND☆DOGS15周年記念のシリーズの1つということもあって、うちのメンバーも全員出演しますし、先生もおっしゃったように歌も入り、咲哉君も出るということで、良いところは残しつつも、エンターテイメント性を高めているので、もう違う作品と言ってもいいくらいですよね?
上田 そうだね。
東山 先生とのお付き合いも3年を数えて、僕たちの良いところも、また苦手なところも良く知ってくださっているので、『サロメ』という作品を通して、新しいDIAMOND☆DOGSを引き出して頂いていると思います。
──その新しい舞台に木村咲哉君が出演するのも、大注目を集めていますが、とても長い期間主役を務めた『ビリー・エリオット』が大千秋楽を迎えて、間を空けずにこの舞台に臨むことになって、今、お稽古はいかがですか?
木村 『ビリー・エリオット』で、タップとバレエをずっとやらせてもらってきて、今回この舞台でもタップとバレエをやらせてもらえるので、すごく嬉しいし楽しいです。

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皆が咲哉を見て原点に返っている稽古場

──先ほどバレエのレッスンもしていらっしゃいましたが、木村君からはどんな印象を?
上田 やはり彼のような真っ新な人に会うと、自分は何故踊るのか?何故舞台を創るのか?ということを思い出させてもらえます。だから、僕が咲哉にレッスンをしているようでいて、実は僕の方が教わっていますね。
東山 (木村に)先生なんだね!
木村 (違う、違うと首を振る)。
上田 実はまだ二人は1回も一緒に稽古をしていないんです。
──そうだったんですか?
上田 この二人の関係は、できるだけ鮮度が良い方がいいと僕は思っているので、それぞれが役を作り込んでいって、自分のものにした後、ギリギリに合わせた方が良いなと。
──ではまだお二人共、あまりお話もしていない?
東山 今日が二回目だよね。最初に稽古場で挨拶したっきりだから。
木村 はい。
上田 本当に最後までやらないつもりです。
東山 早くしてもらわないと困るんですが!咲哉君は覚えてるかも知れないけど、僕が振りを覚えられない!
木村 (笑)。
上田 今回は、全員男性の素晴らしいダンサーばかりだから、それを見て咲哉が役を作っていった方が良いから。サロメにとって自分がどういう存在なのか、周りができていくのを見ることによって、勘でちゃんとわかってくる。今回、高岸直樹君が急に出ることになって、全員と初共演で、東山君との踊りも実に美しいので、是非皆さんに観て頂きたいんですが、そういう中で咲哉も同等の出演者ですからね。舞台の上では年齢とかは全く関係ないので、役を作るということでは『ビリー・エリオット』で徹底的にやってきたと思いますが、今回は台詞がなく、自分の身体だけでの表現のみなので、新たな発見をしてくれたら嬉しいですね。それにやっぱり、咲哉は皆の精力剤になります。皆が彼を見て原点に返るから。どう?東山君。
東山 僕はもちろん初めて共演させて頂くんですが、咲哉君の『ビリー・エリオット』を観に行って、キャリアが浅いとか、年齢が若いとかではなく、『ビリー・エリオット』という作品に出る為に、彼がどれだけの時間を費やしてきたかが、舞台から見て取れて。上手い下手なら、練習さえすれば、誰でも歌も踊りもお芝居も上手くはなれると思うんです。それはテクニックというかツールの話であって、舞台に賭ける表現者としては、僕らはライセンスがある訳ではありませんから、明日から「僕はプロだ」と言ったら誰でもプロなんです。それは逆に言えば、自分で作っていく作業しか舞台に立つ為のものはないということなので、それを彼はちゃんとタイトル・ロールとして、5人でビリー役をやったんだよね?
木村 はい。
東山 でも1つの舞台に出た時には1人なので、たった1人であの舞台を背負ってやってきたパワーを、赤坂ACTシアターの空間いっぱいに充満させることができていたので。そういう意味で一流のプロですから、僕も咲哉君から勉強させてもらったから、元々の舞台の根源と、素敵さを、僕の年齢はビリーじゃないけど(笑)、ビリーのようなサロメをできるように、頑張りたいと思います。頑張ろうね。
木村 はい!
上田 咲哉には心にパワーがある。それは東山君も同じなんだけど、上手いダンサーならいくらでもいるんです。でももう1回観てみたいと、引き込まれるものがあるのは才能ですね。僕はそういう才能を愛せないと振りも浮かばない方なので、自然体でいられる今の咲哉はとても良いなと思います。
 
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サロメのピュアな部分を象徴する少年役

──素晴らしい才能があると皆さんが認めてくれていますが、今、この新しい稽古場はどうですか?『ビリー・エリオット』の時とは違うことも多いでしょう?
木村 全然違っていて、遙先生は僕の癖をいっぱい見つけてくれて、それを1つ1つ直してくれます。『ビリー・エリオット』の時も精一杯やっていたんだけど、一番良いポジションには入れていなかったんだなとか、わかることもたくさんあって、一から教えてくれるので、すごいなと思います。
上田 僕は僕の思いを受け取ってくれない人には何も言いません。それは時間の無駄だと思うから。でも咲哉は全部受け取っくれるので、次に咲哉に会える時に、咲哉がどんなに伸びているのか、翻って僕自身もどれくらい次の段階に行けていて、それを咲哉に教えられるのか、どんな新しい仕事ができるのか、ドキドキしていたいんです。だから、今回東山君にまた会う時にもドキドキしましたよ。僕は今60歳で、同年代の友人は皆「社長」とか「常務」とか呼ばれている。でも僕は、これからどこまで伸びていけるか真っ白なキャンパスに立っている10歳の咲哉とも友達になれるし、東山君とも兄弟みたいにしていられる、そういう幸福があるんです。
─その真っ白な、という要素を今回木村君が演じる少年役に求めたのですね。
上田 そうです。まず東山君のサロメ自体が真っ白なピュアな役柄で、それを照射しているのが咲哉の少年ですから。サロメは少年がいることによって安定していられる、ある意味依存しているので、少年を見ればサロメのピュアさがわかる。象徴的な存在ですね。
──そんなサロメを演じるにあたって、今回新たに大切にしていることは?
東山 1回作っているものなので、ある意味出口が見えているので、初演の良い意味ので緊張感や新鮮さをどう超えようかと思っているのですが、咲哉君はじめ新しいキャストの方がいてくれるのは大きいです。初演はヨカナーン役で舘形比呂一さんが出演してくださって、僕にとっては憧れの表現者の方でしたから、彼と一緒にできる喜びと共にやはりどこかで依存していた部分がありました。舘形さんがいてくれるから、僕は頑張るだけで良いというような。でもやっぱり今回は、DIAMOND☆DOGSのリーダーでもある自分が、タイトルロールのサロメをやらせて頂く訳だし、先生のお弟子さんもいらして、やはり僕が先頭に立って引っ張っていかなければならないので、また新しい緊張とドキドキがあります。
──新しい共演者の方たちはいかがですか?
東山 皆さん本当に身体が利くし、あんなに目の前でバク転を見ることもないので(笑)、アクロバテッイクな面も含めて、DIAMOND☆DOGSのメンバーもすごく刺激を受けています。共演が多い(長澤)風海の存在もやはりとても大きな刺激なので、そういう相乗効果で『サロメ』が生まれると思います。

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踊りだけで勝負する大変さと楽しさと

──そんな中で、新しいメンバーの1人として少年役に取り組んでどうですか?
木村 バランスを取らないといけないことがたくさんあって、まだまだできていないので、本番までにちゃんと立てるように、努力して練習して、少年をちゃんとお客さんに見せられるところまで持っていきたいです。
上田 ビリー・エリオットはバレエが上手くなりたい男の子だったけれども、今回はバレエそのものを見せなければならないので。今、咲哉が言ったことを補足すると、確実に5番ポジションに入れて立たなければならない。確実に回らないといけない。その上に少年の表現を乗せないといけないのですが、まだそこには到達していないということです。ジャンプも音をたてずに降りろと言っていますし。彼が「この花を見たらサロメが喜ぶだろうな」と思って花を手に踊るのですが、その踊りそのものがグタグタだったとしたら、それで終わってしまう。その場面に花の香りがふっと立ち上るようにする為には、咲哉の踊りが完璧でないといけない。だから毎日レッスンしています。2幕の頭では真逆の、アカペラで歌ってタップを踊るという、爆発するエネルギーが必要なシーンもあるので、その二つの面を見せられたらと思います。
──そういう新しい課題に取り組むのは大変でしょうけれど、挑戦する楽しさもあるのでは?
木村 はい、あります。『ビリー・エリオット』でも色々新しいことを覚えていくことがあったし、下手に見せる演技もしないといけなくて。
──そうですね。ビリーが、最初は全くバレエを踊れない、という演技もしないといけなかったんですよね。
木村 毎日レッスンしていたから、下手に見せる方が楽だと思っていたんです。でも舞台が傾斜だったから、足がすごく辛くて、下手に見せるのも辛いんだなと思って。
東山 そうなんだ!
木村 はい。だから、今回は『ビリー・エリオット』とは全く違う踊りがやれるので、楽しいです。
──お話を聞いていても、木村君と一緒にやるというのは、新鮮な気持ちを呼び起こされるだろうなと感じます。
東山 僕は元々はじめたのが遅かったんです。(木村に)僕、始めたのが22歳だったの。もう1回生まれ変わるくらいだよね(笑)。だから、あの頃の僕ってどうだっかな?どうだったんだろうと、咲哉がバーレッスンをやっているのを見たりすると思いますね。もちろん経験という意味では積み重ねてきたものは大切なんですが、やはり舞台は慣れちゃダメだなと思えて、新鮮ですね。
上田 だから今回ね、東山君も歌も芝居も実に素晴らしいんだけれども、敢えてそれを一切しないで、踊りだけで表現しなければいけないというところに追い込んでます。その踊りだけで高岸直樹君と渡り合わないといけない。東京バレエ団のトップでヨーロッパツアーを回っている人を相手にする時に、1曲歌ってじゃなくて、踊りだけで勝負している東山君の姿勢は、咲哉にもまた刺激になると思います。
東山 1曲くらい歌わせてくださいよ!
木村 (笑)。
上田 咲哉は1曲歌うね。
東山 みんな歌ってて、いいなと(笑)。

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東山義久と木村咲哉の出会いの化学反応を楽しみに

──演出・振付家としての上田遙さんの魅力はどうですか?
東山 僕も様々なタイプの演出家の方とお仕事をさせて頂いてきましたが、遙先生は演者の自由な表現に、かなり大きく委ねてくださる方です。もちろんディレクターとしてきちんと構築してくださるんだけれども、例えば山を描くなら緻密にデッサンから使う色までを指定して描き込むのではなく、「ここに山を描くから。使う色は白と赤と青だよ。さぁどんな山を描く?」と演者の表現の余地をたくさん残してくださる。それによって個性が出るし、特に僕は、カウントのすべてを指定される形よりも、そういう作り方の方が良さが出るということを理解してくださっているので、僕は先生との仕事はドキドキワクワクして、やりやすいです。
──それはやはり東山さんに対しての信頼があることも大きいですか?
上田 こう踊って、こう演じてと指定するよりも、僕の言ったイメージを東山君がどう捉えてくれるかの方が大切なんです。例えば僕が「右手を握って」と言った時に、東山君が両手を握ったとして、空間的にその方が面白ければもうそれでOKなんです。「違うよ、右手だよ」とは言ったことがない。もちろんそうじゃない振付家もいますが、綺麗に揃えることに腐心するだけなら、別に僕でなくてもいいと思う。僕は東山義久に興味があるんです。こういうシチュエーションでこういうことをやったら、今までにないものが見られるんじゃないか、それが楽しみなんです。そうじゃないと、40年以上も作品を創り切れない(笑)。そして、これから木村咲哉という少年と、東山義久が出会った時に、どういう化学反応が起こるんだろうかが見たいんです。結局、お客様にもその時二人がどんな振りをしたかを覚えていて欲しい訳ではなくて、少年がサロメに花を渡して微笑む、その時二人が醸し出す空気感、その表情が残ればいいなと思っています。だから、映画監督的な創り方かも知れないですね。見たい絵柄がすべて見えていないと振りも浮かんでこない。そういう意味でも今回は、青森山田高校体操部出身の大舌晃平君とか、びっくりするような身体能力を持った人もいてくれるので、皆で刺激し合いながら作っていってます。咲哉に対しては、まだ自由にという段階ではないので、さっきも言ったように、きちんとこのポジションに入れてということをやっていますけれど。
木村 ビリーでやってきた技を強化するのも面白いし、ビリーではやっていない技もやらせてもらえるので楽しみです。
──では、そんな新しい『サロメ』に向けての意気込みと、楽しみにしている方たちにメッセージを。
上田 今回の『サロメ』というキャンパスで、最後に東山君が到達する部分は変わらないのですが、そこに至るまでに散りばめられているものは新しくなっています。今回のダンサーたちには素晴らしい色々な要素があるので、様々な空間を皆様にお見せできると思いますので、是非それを楽しみしていらしてください。
木村 『ビリー・エリオット』の時よりも、もっと成長できたパフォーマンスをお客様に見せられるように頑張りたいです。
東山 こうやって新しくはじめていく方々も何人もいらっしゃるので、そこは責任を持って僕と遙先生で引っ張っていかないと、という意味では新作を作るつもりで、先生を筆頭に取り組んでいます。皆と、そして咲哉君と踊れるのをすごく楽しみにしているので、お互いビビッとくるように。『ビリー・エリオット』じゃないけど「エレクトリィ・シティ」でね(笑)。
木村 はい!
東山 このメンバーで素敵なステージを作れたらいいなと思っています。

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【プロフィール】
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ひがしやまよしひさ○大阪府出身。00年『エリザベート』のトートダンサーで一躍注目を集める。03年に「DIAMOND☆DOGS」を結成、総合演出も手掛けている。また新プロジェクト「BOLERO」など多方面に表現活動を展開中。最近の主な出演作品は、『BOLERO 2016〜モザイクの夢』『ALTAR BOYZ』『エジソン最後の発明』『CLUB SEVEN ZERO』『WILDE BEAUTY〜オスカー・ワイルド、或いは幸せの王子〜』など。

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きむらさくや○東京都出身。小学5年生。13年10月〜14年1月『ポケモンゲットTV』でオープニングダンサー、テレ東音楽祭『ゲラゲラポーのうた』でばっくダンサーを務める。ダンスコンテストの受賞歴も多数。1年を超える長期オーディションを経て17年ミュージカル『ビリー・エリオット〜リトルダンサー』のビリー役に選ばれ、5ヶ月に渡る舞台で主役を務めた。

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うえだはるか○ 1957年生まれ。演出家・振付家。1987年『叫びと囁き』で全国舞踊コンクール第1位文部大臣奨励賞受賞。熊川哲也、川井郁子、真琴つばさ、東山義久、東儀秀樹、早乙女太一などと意欲的な舞台を創り上げ、舞踊界に大きな影響を与え続けている。1988年村松賞、1993年国際振付家コンクール参加、1996年批評家協会新人賞、2002年第20回江口隆哉賞を受賞。

〈公演情報〉
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DIAMOND☆DOGS 15th Anniversary Series
Dramatic super dance theater『サロメ』
構成・演出・振付・台本◇上田遙
音楽◇ la malinconica T-LAYLA
出演 東山義久、木村咲哉、高岸直樹、森新吾、法月康平、長澤風海、橋田康、樹、田佳芳、咲山類、TAKA
小寺利光、中塚皓平、和田泰右、東間一貴、樋口祥久、大舌晃平
●12/8〜10◎シアター1010
〈料金〉全席指定 8,000円
〈お問い合わせ〉THEATRE1010 03-5244-1010
〈チケット〉キョードー東京 0570-550-799(平日:11:00〜18:00 土日祝:10:00〜18:00)
 
  
http://hpot.jp/salome/




【取材・文/橘涼香 撮影/アラカワヤスコ】




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前代未聞のエンターテインメントステージ!ハダカ座公演 vol.1『ストリップ学園』澤田育子・藤原祐規 インタビュー

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アグレッシブなエンターテインメント作品を発表して、作・演出家としても活躍するgood morning N°5の澤田育子。来年の1月、なんと前代未聞のドラマチック&乙女チック&エキセントリックなストリップステージを誕生させる。
博多座ならぬハダカ座という過激な一座を立ち上げ、タイトルも衝撃的な『ストリップ学園』、華麗にセクシーに澤田ワールドを展開しようというのだ。しかもストリップ修業をする女子役は全部イケメン男優たち!
演劇界を震撼させるこの作品の仕掛け人・澤田育子と、若手男優たちに勝るとも劣らないカワイイ女子の1人として活躍する実力派男優・藤原祐規が話してくれた作品世界とは?「えんぶ12月号」でのインタビューを別バージョンの写真とともにご紹介。

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澤田育子・藤原祐規

『豪雪』を観に行ったらとにかく圧倒されて

──今回の発想はどこから?
澤田 ストリップは、もともと観るのも好きですし、自分たちの公演でも肌色多めな感じなので、どうせならもっと派手にやってみたいなという気持ちはありました。でも脱げばいいというわけではなくて、ストリップに関して言えば、脱ぐことに付随するモチベーションやシチュエーションのほうが、セクシーに見えたり面白かったりするので、そこをやりたいわけです。単純に裸を見せるだけだったら、本物のストリッパーさんにはかなわないので。
 
──そんな学園の女子の1人が藤原さんですが、今の気持ちは?
藤原 期待と不安とが綯い交ぜです(笑)。よくわからないまま出演を決めたんですが、9月にあった澤田さんの『豪雪』を観に行ったら、とにかく圧倒されてしまって。途中から、自分だったらどうやるだろうというくらいのめり込んで、とにかく凄いと言うしかなくて、僕も今、裸にならなくてどうするんだと。
 
──女子は、どう演じようと思っていますか?
藤原 ちゃんとした女子をやるのは初めてなんですよ。ふざけた女装はやってますけど。
澤田 でもこれも本気でふざけるわけですからね。藤原くんなりの女性についてのうがった見方とかが、いっぱい入ると面白いですよね。「女子ってさ、こういう感じが可愛く見えるとか思ってるんでしょ」みたいな。
藤原 ああ、なるほど。
澤田 逆に、女子のこういう面はすごいよねというリスペクトもあっていいし。そういう素の部分が出てくると面白い。
藤原 僕は自分が可愛いと思う女子をやりたいなと。
澤田 楽しみですね。へえ?そういう女子を可愛いと思うんだって(笑)。
藤原 女子観が出ちゃうんだ。なんか試されますね。
澤田 付き合った女子の幅広さで女度もあがるから、今からでも300人くらい付き合ったら?(笑)
藤原 とりあえずまだ3ヶ月くらいありますね(笑)。

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お腹いっぱいだけど、それが気持ち良いから

──色々な意味でこの公演は、藤原さんにとってはチャレンジですね。
藤原 そう思います。『豪雪』に出た鳥越裕貴は知り合いなんですが、周りが凄すぎて悔しくて泣いたと。今、『ストリップ学園』のプレ稽古をやっていて、僕はまだなんですが、それに出た古谷大和も、やっぱり悔しかったと。
澤田 プレ稽古というのはワークショップみたいなもので、エチュードとかやるんですが、小林顕作さんとか、藤田記子さんにも出てもらっています。
藤原 そういう凄い方たちに、どこまで付いていけるかですね。
 
──では、改めてこの作品への意気込みを。
藤原 とにかく挑戦者として、今、僕が全力でぶつかってできること全てをやりたいと思ってます。2.5次元舞台を見慣れているようなお客さんは、出会いがしらにびっくりしてしまうかもしれませんが、最後まで観てくれたら、きっとまた別のフィールドに行けるし、良い意味でお腹いっぱいになると思います。僕も『豪雪』でお腹いっぱいになったけど、それが気持ち良かったですから。
澤田 すごい真面目な意気込みを聞かせてもらったので、私も真面目に(笑)。せっかくこういう新しい試みをさせていただけるのですから、自分の感覚を残しつつ新しい作り方ができればいいなと思っています。ストリップは本当に好きなので、その好きなストリップを穢したくないし、できれば本職のストリッパーさんにも観ていただけるような楽しいエンタメにしたい。突き抜けたものにしたいですね。
 
──ストリップ場面は本当にあるのですか?
澤田 ちゃんとあります。どんなシーンになるかは、観るまでのお楽しみということで。

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さわだいくこ○東京都出身。96年より劇団拙者ムニエルにて看板女優として活躍後、08年カムカムミニキーナの看板女優藤田記子とともにgood morning N°5を立ち上げ、出演の他、全作品の脚本と演出を担当。女優として多くの舞台・映像へ出演のほか、脚本家、演出家としても活躍の場を広げている。近年の出演作品は、『ライ王のテラス』舞台版『ドラえもん〜のび太とアニマル惑星』『豪雪』など。

ふじわらゆうき〇三重県出身。主に舞台・声優として活躍中。主な出演作品は、舞台『最遊記歌劇伝』シリーズ、舞台『PERSONA3 the Weird Masquerade』シリーズ、おん・すてーじ『真夜中の弥次さん喜多さん』シリーズ等、アニメ『CHAOS;CHILD』、『アイドル事変』、『曇天に笑う』などに出演。

〈公演情報〉
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(c)2017CLIE

ハダカ座公演 vol.1 『ストリップ学園』
脚本・演出◇澤田育子
出演◇石田 隼 古谷大和 芹沢尚哉 藤原祐規/千代田信一 藤田記子/中村 中(特別出演/歌)/小林顕作 ほか
●2018/1/12〜20◎新宿 FACE
〈料金〉カブリツキシート¥12,000(最前列シート/特典付き・税込/ドリンク代500円含) プレミアムシート¥8,900(特典付き・税込/ドリンク代500円含) 一般席¥6,400(税込/ドリンク代500円含)(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉 http://www.clie.asia/strip/





【取材・文/宮田華子 撮影/友澤綾乃】 



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