稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

えんぶ最新号

インタビュー

人気シリーズ第三弾『伊賀の花嫁 その3「ズルい女」編』2月に三越劇場に登場! 町田慎吾・瀬下尚人・水谷あつしインタビュー

IMGL6034

伊賀忍者の末裔の婚活物語を描いて、捧腹絶倒の舞台を展開している人気シリーズ『伊賀の花嫁』。その第三弾の新作『伊賀の花嫁 その3「ズルい女」編』が、2019年2月2日〜11日まで日本橋の三越劇場で上演される。
伊賀の里を守る為、花嫁さんを探しに東京に出て来た青年・三四郎を中心に、笑い満載、何でもありの”伊賀ワールド”が展開されていく。そんな舞台のレギュラーキャストとして共演を重ねてきた町田慎吾、瀬下尚人、水谷あつしが、新作への期待と意気込み、更に三人の固い絆について語ってくれた。

IMGL6056
 瀬下尚人・町田慎吾・水谷あつし

それぞれが演じる
濃いキャラクターたち

──『伊賀の花嫁』シリーズ待望の第三弾ということですが、これまでの流れとそれぞれのキャラクターをお話し頂けますか?
町田 僕が演じる三四郎は伊賀の里の忍者の末裔で、花嫁さんを探さないと伊賀の里が途絶えてしまうということから東京に出てきたのですが、秋葉原でアイドルオタクになってしまった!というお話です。1作目は幼馴染に対して「これは恋なのか?!」と惑い、前作の2作目は熟女の方に恋をしたんです。で、果たして今回は?というお話です。
水谷 その三四郎と秋葉原で出会ったのが、僕の演じる「TO」と呼ばれているトップオタクです。昔で言うところのアイドルの親衛隊のリーダーで、家庭を顧みずに「追っかけ」をやっていたが為に借金を抱えて。そこでJURIさん(瀬下の愛称)が演じる涼風せいらさんがやっているゲイバー?
瀬下 ショーパブスナックかな?
水谷 そこで働かせて頂いている役です。
瀬下 僕は今お二人の話を聞いていて、よくストーリーを覚えているなと(爆笑)。いや、そんな風に話が飛んでしまうくらい面白い舞台なんですよ!今聞きながら設定を思い出していましたが(笑)、私がママを務める店で(水谷)あつしさんが従業員として働いてくれていて、三四郎君のこともあるところで拾ってしまったんです。大好きな野生児だったので(笑)。でもいくら粉かけてもアイドルオタクだから来ないので、歯がゆくて仕方がなくて「この子をなんとかしたい!」と旅公演にまで出かけて出会いを仕掛けるのですが、なかなか花嫁さんが見つからない…という設定です。

IMGL5921

──その三四郎さんが今回はモテモテになるお話ということなんですね?
町田 そうらしいんです(爆笑)。
水谷 幅広い年齢の女性にモテるみたいだよね。
町田 でも「ズルい女」というタイトルなので、そこは一筋縄ではいかないんだろうなと。
瀬下 ご覧になって頂くとタイトルの真相がわかると思います。 
──そんな新しい展開もとても楽しみですが、これまでの公演を通じて役作りはどのように?
町田 僕は元々忍者なので、忍者の時とオタクの時との空気感がパッと切り換えられたら面白いだろうな!と思ってそこは意識してやっていました。知り合いの本当のオタクの方が観てくださって、「良かった!」と褒めてくださったので、間違っていないんだ!と嬉しかったです。
水谷 僕はオタクと言っても「親衛隊長」で、毎回オタクの歴史を滔々と語る役なんです。とにかく早口で良く喋る感じと、ママの前ではしっとりと見せている。というのも、もう「アキバのオタクは卒業しなさい!」と言われて、表向きは卒業しているように振る舞っているのですが、隠れてコソコソと二人でオタクを続けているので(笑)。
町田 今座っているのと同じくらいの近距離であつしさんとお芝居をすることが多いのですが、汗びっしょりになっていらっしゃる、そのエネルギーを感じて毎回刺激を受けています。
瀬下 町田君は身体能力が高いのですが、僕とあつしさんは変態能力が高くて(笑)。変態というのは、僕の中では褒め言葉で、今回集まった役者さんは皆変態と言いますか(笑)、とにかく濃い方達ばかりなので。僕自身ショーパブ出身で、周りにオネエキャラな方達はたくさんいらっしゃって、新宿二丁目でもよく遊んでいた時代があったんです。そういうところのママさんたちは、まぁ、ママさんと言っても髭が生えているママさんですが、悩みを相談すると皆親身になってくれて、器がとても大きいんです。そういう諸先輩方から役作りのヒントを頂いたり、ある部分ではなぞったりもしています。更に一癖も二癖もある方達ばかりですから、そういう面を面白おかしくやっていこうと、バックボーン作りをたくさんしましたね。


IMGL6069

一見関係ない話が、
見事につながるカタルシス

──その中で今回の第三弾の舞台に期待されていることは?
瀬下 キャストの数が多くて、『伊賀の花嫁』初参加の方々もたくさんいらっしゃるので、それぞれがどう構築していらっしゃるかな?がね。
水谷 楽しみですよね!
町田 オムニバス形式で作られていて、全く違うお話が続いていくように見えて、最後にそれがひとつになって、皆で夏まゆみ先生振付の曲で騒いで踊って終わる、という大きな流れがあるので、今回もオムニバスの部分がどうなっていくのか、凄く楽しみです。
瀬下 一見関係ない話に見えるんだけども。
水谷 しかも観ている方はオムニバスだって特に感じないくらいらしいんだよね。
瀬下 最終的につながるからね。
水谷 それがあまりにも見事だからね。皆が最後に同じ場所で出会って終わるから。
──そこが樫田脚本の妙味なのですね。
水谷 樫田正剛先生の本が本当に面白いんです。しかも初稿からほとんど修正がないくらい完成されているので、安心して乗っかるだけですね。
──演出の面ではいかがですか?
瀬下 役者全員と相談しながらやっていくよね。
水谷 基本的にはまず「好きにやれ」と役者に投げてくれるんです。そこからまとめあげてくださるから。
瀬下 役者の発信するものも柔軟に受け留めてくれるしね。
水谷 それにとにかく稽古します。幸せなくらい稽古を重ねてくれるので、何かに不安を残して舞台に立つことがないんです。だからお客様は「アドリブなのかな?」と思われる台詞も、実はきっちり稽古している。
瀬下 「ここはアドリブで」と日替わりのお任せになっている箇所も、少しあるんだけれども、台本通りのところとの区別がつかないよね。
──町田さんはとても役に入り込む方と伺っていますが、そういう緻密な稽古は助けになりますか?
町田 やることがきちんとわかるまで稽古をするので、後は何も考えないでいられます。
瀬下 基本的に喜劇ですし、役者たち皆振り切って演じているので、これまでの二作もお客様に大声を出して笑って頂けました。もうラストシーンなんて皆で踊っちゃうくらいの、一体感のある作品になっていると思います。

IMGL5901

一生続けていける
三人の出会いと絆

──是非、お互いの魅力についても伺いたいのですが。
町田 僕は全信頼をおいているので、お二人といるとただただ安心です。
水谷 今日の取材の為に各自集まったんですが、全く同じ時間にドアの前にいたっていう(爆笑)。
瀬下 オートロックの建物なので、ほんの10秒もズレたらもう一度扉を開けてもらわないといけないところだったのに、三四郎君がドアを開けて、閉まりかけたところに俺が来て、また閉まりかけたところにあつしさんが来て、1回の開閉で三人が揃ったんだよね!(笑)。
水谷 何かが合っているんだと思う。稽古中で疲れていても、この三人で揃うと元気になれるくらい。お互いに認め合って、それぞれのポジションもわかっているので、そこから膨らましていくのが楽しいですね。
瀬下 最高だよね!
町田 僕はあつしさんとは先にお仕事をさせて頂いて、JURIさんの舞台は一方的に観ていましたけど、共演させて頂いたのは『伊賀の花嫁』が最初で。その初めの時に、自分から話しかけるんじゃなくて、JURIさんから話しかけてもらえるようになろう!を目標にしていたので、「まっちー」(町田の愛称)って言ってもらった時「やったー!」って凄く嬉しかったです。僕の中では相手の方から話しかけてもらうってとても大きなことなので。
瀬下 いや、だって見ていて本当に興味が湧く人だから。例えばお酒の席だったら盛り上がるのも当たり前なんだけど、まっちーはお酒が飲めないでしょう?その中でもこれだけ仲良くなれたというのは、このまま一生続けられる仲なんじゃないかと思います。良い出会いだったと思う。だったって終わってないけど(笑)。
町田 嬉しいです!ありがとうございます!
水谷 最初の舞台の時にシリーズ化されるとは思っていなかったものね。
瀬下 やれたら良いねとは言ってたけどね。
水谷 それが遂に三作品目でしょう?最初が銀座の博品館。次が六本木の俳優座。そして今度が日本橋の三越劇場。ママのお店という設定の舞台が、こうして東京の老舗の劇場を次々に制覇しているのも面白いなと。毎回僕とJURIさん二人の前説から始まるんだけど…って、前説で良いんだよね?(笑)
瀬下 一応フリートークとは書いてあるけど(笑)、前説だね。
水谷 毎公演なんの打ち合わせもせずに「せーの!」で出て行って10分くらい二人で喋っているんですが。

IMGL5896

──10分はかなりの長尺ですね!
瀬下 あつしさんとはお互いに芸人魂があると思うんです。落語家さんの枕ではないけれど、昨日あったことをちょっと取り入れて、ちゃんと時間枠いっぱい話し続けることかできるから。
水谷 その内容が毎回違うのもあって、お客様にも「また観たい」と言って頂ける。もちろん他の様々なシーンもそうですけれども、幕開きにそんな空気を創り出すことができているかな?と。
──それは凄く素敵なライブ感ですね!それが三越劇場の、百貨店がハレの日の場所だった時代を感じさせる劇場に広がるのも楽しみです。
水谷 三越劇場にかかる演目って格式が高い作品が多かったと思うので、そこにこの新宿二丁目的な作品が上演されるというのもね!
瀬下 これまでの空気を打ち壊すようなね。新年ですからおめでたいですし。
町田 初演をご覧になったお客様にこの作品は楽しんで良いんだ!ということが浸透していって、二作品目では最後の方のシーンで皆が立って一緒になって騒ぐのが恒例になったので、三越劇場でもあの光景が見られたら嬉しいなと思います。 
──そうなることを楽しみにしています!では改めて意気込みと公演を楽しみにされている方達にメッセージをお願いします。
瀬下 どんな方がご覧になっても大笑い間違いなしなのは保証します!『伊賀の花嫁』を一度観て頂ければ「演劇ってこんなに面白いの?」という衝撃が走ると思うんです。お金を払って頂いて劇場に足を運んで頂く、その甲斐のある生のライブを観て頂けますし、心の底から笑って頂けるので是非いらしてください!
水谷 今回の出演者はベテランから若手まで幅広い人材が集まっていますし、ハヤテさんという凄い身体能力の方もいらして、ある意味で演劇を越えているとも言えるくらいの面白さがラストシーンまで詰まっています。市川美織さんや加護亜依さん等、元アイドルの方もいらっしゃるので、ファンの方が観ても面白さがたくさんあると思うので、楽しみにしていてください!
町田 同じだなと思って(笑)。とにかくまず観て頂きたい!と強く思っています。きっと新しいものを観た!という感覚になって頂けると思いますし、お客様に喜んでもらえる作品になるように全力を尽くしますので、一緒に楽しんで最後に騒ぎましょう!三越劇場でお待ちしています! 

IMGL6055

■プロフィール
IMGL5924
まちだしんご〇東京都生まれ。94年芸能活動を開始。15年3月よりフリーとなり、同年9月『AZUMI 幕末編』で再スタート。17年『戦国御伽絵巻「ヒデヨシ」』にて紀伊國屋ホール初主演を務める。舞台を中心に活動中。主な主演作品に『伊賀の花嫁』『あちゃらか』『時分自間旅行』『となりのホールスター』『みどり色の水泡にキス』等があり、『プリンス・オブ・ストライド』ではシリーズ全ての振付を手掛けている。 

IMGL5968
せしもなおと〇長野県出身。高校卒業後に上京し、Tap Tipsでダンスやタップダンスなどを身につける。86年、今村ねずみ、石坂勇と共にTHE CONVOYを立ち上げ、初期作品より参加。THE CONVOY SHOWではタップダンスの振付も担当。05年からは、立川談慶と異色ユニット「だんじゅり祭り」を開催。THE CONVOYとしての活動以外に、舞台を中心にソロでとしても活動している。近年の主な舞台作品に『陣内の門 1st ACT』THE CONVOY SHOW『星屑バンプ』『ONE!』方南ぐみ『あたっく No.1』『THE 面接』等がある。

IMGL5948
みずたにあつし〇横浜市出身。18歳で東京キッドブラザーズ入団。看板俳優として全国公演で活躍。在団中萩本欽一氏のバラエティー番組にレギュラー出演。退団後はテレビドラマ、映画と映像作品にも進出している。近年の主な舞台作品に『リア王』『炎の蜃気楼昭和編 紅蓮坂ブルース』『ハムレット』『THE面接』『まっ透明なAsoべんきょ〜』朗読劇 『予告犯』『アクトカンタービレseason1 Smoky Dog』等がある。1月10日〜宮本亜門演出の舞台『画狂人 北斎』に出演。 


〈公演情報〉
伊賀の花嫁その3
 
『伊賀の花嫁 その三「ズルい女」編』
脚本・演出◇樫田正剛
音楽◇三沢またろう
振付◇夏まゆみ
出演◇町田慎吾 瀬下尚人(THE CONVOY)水谷あつし
飛鳥凛 市川美織 岡森諦(扉座) 鶏冠井孝介 加護亜依 高木トモユキ(扉座) 高橋直純 武田知大 
なかじままり 根本正勝 ハヤテ 藤浦功一 松田将希 山元由湖 米花剛史 ワンチョル(Apeace)  
アンサンブル 岡本真奈 大竹口拓海 (五十音順)
●2019/2/2〜11◎三越劇場
〈料金〉前売・当日6800円(全席指定・税込) ※未就学児入場不可
〈お問い合わせ〉三越劇場 TEL:0120-03-9354 (全日10:00-18:30) 
〈方南ぐみホームページ〉https://hounangumi.info



【取材・文/橘涼香 撮影/友澤綾乃】





方南ぐみ企画公演『伊賀の花嫁』


kick shop nikkan engeki 

平成最後の明治座年末恒例「祭シリーズ」まもなく開幕! 演出・板垣恭一×主演・内藤大希 インタビュー

板垣内藤

2011年から続いている、明治座の年末恒例「祭シリーズ」。日本の歴史に題材を求めた芝居と、出演俳優たちのキャラ祭りでもあるオリジナルユニットショーという、3部仕立てで構成された4時間超えの舞台は、「この舞台を観ないと年が越せない!」という多くのファンを生み出し続けている。その公演が12月28日に開幕する。(31日まで。そののち2019年1月19日梅田芸術劇場メインホールで上演)

そんな平成最後の「祭シリーズ」の中の芝居、戦国最強と謳われた武田軍誕生秘話を描いた『風林火山す・る』で、W主演の1人として山本勘助を演じる内藤大希と、演出の板垣恭一が「祭シリーズ」に懸ける想いを語り合ってくれた「えんぶ12月号」のインタビューを、別バージョンの写真とともにご紹介する。 

キック0009
内藤大希 板垣恭一 

ここにしかない面白さの詰まったステージ!

──年末の風物詩ともなりました「祭シリーズ」ですが。
板垣 もう8年になりました。そんなに経ったのか! と思うんですけど。
内藤 僕は去年初参加させて頂いたんですが、お芝居の1幕、2幕があって更にショーがある、3部構成の作品が初めてだったので、とても新鮮でした。板垣さんが役者の持っているスキルを引き出してくださる公演だなと。
板垣 うん、そもそも芝居でも笑いでも良いし、(内藤)大希のように歌が得意なら歌、それぞれのスキル、得意技をマックスに発揮してもらって「面白ければ良いじゃん」を目指したシリーズだからね。というのも、スタートした当時は「2.5次元」なんて言葉も今ほどあまり聞かなくて『テニミュ』出身とか戦隊出身の「イケメン」と呼ばれていた男の子たちが集まったんだけど、これ書いてくれていいんですが、「芝居下手にもほどがある!」という連中が多くて(爆笑)。で、この連中とやるんだったら、自分も彼らも持っているスキルをすべてぶちこみ、これでもかと盛りこもうと。大希が初めてだったと言った3部制にしても、明治座の通常の公演が1幕、2幕芝居、3幕歌謡ショーでトータル4時間というフォーマットだったから、じゃあその形に嵌めましょうと。
内藤 明治座ありきのスタイルだったんですね! 知らなかった!
板垣 そう、そのまま頂いたんだけど(笑)。それによって、どこにもないジャンルというか、ここだけの面白さが詰まったシリーズになったなと思います。

キック0015

ゴリッとした強さが出てくることに期待して

──その舞台で今回主演を務めるにあたっては?
内藤 もしこの企画がなかったら、僕が明治座に立たせて頂く機会自体がそうそうなかったと思うんです。やはりこれだけの大舞台に立てることは自信になりますし、ましてそこで主演をさせて頂けるのは本当にありがたいことだと思っています。 
──先ほど引き出してもらえるという話がありましたが、板垣さんの演出については?
内藤 友人からの前情報としてめちゃくちゃ怖い方と聞いていたんですが(笑)。全然そんなことなくて。
板垣 それは相手による(笑)。
内藤 板垣さんがお持ちの演劇理論をまず教えてくださって、そこにのっとっていれば自由にやらせてもらえるし、自分がなんとなくこの辺りにいた方がいいかな? と感覚でやっていたことも、すべて理論で説明して頂けるのですごく腑に落ちるんです。だから他の人の稽古を観ていても勉強になるし、稽古場がとても濃密です。怖くない(笑)。
板垣 だから相手によるの!(笑)俺は、大希は普段見せないようにしているけど、実はすごく熱いものを持ってると思うから、それが舞台に出るといいなと。当たってる?
内藤 内弁慶ではあります。
板垣 そこが破れると今回の山本勘助のキャラにも合うと思うし、武田晴信の佐奈宏紀君とのコンビとしてもとても良いんじゃないかな。刀で斬るというよりこん棒で殴るような(笑)、ゴリッとした強さが出てくることに期待したいです。
内藤 頑張ります!  これだけの人気シリーズを背負わせてもらうので、まず気持ちだけは絶対に負けないように、佐奈君と二人で昨年を超えるものをお届けできるように全力で臨みますので、年忘れに、是非楽しみに劇場にいらして下さい!

キック0004
内藤大希 板垣恭一 

いたがききょういち〇劇団第三舞台を経て演出家に。小劇場、大劇場、ストレートプレイ、ミュージカルと幅広いジャンルで数々のプロデュース公演を演出し多彩な活躍を続けている。近年の主な演出作品に『フランケンシュタイン』『あさひなぐ』『ゆく年く・る年冬の陣 師走明治座時代劇祭り』『カラフル』『In This House 最後の夜、最初の朝』『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル2018』『カクタス・フラワー』など。 

ないとうたいき〇神奈川県出身・幼少時より現在まで、数々のミュージカル、ストレートプレイ、コンサートなど、幅広い舞台で活躍を続けている。近年の主な舞台出演作に、ミュージカル『Dance withDevils〜Fermata〜』、オリジナル・ミュージカル『DAY ZERO』、『野球〜飛行機雲のホームラン〜』、『若様組まいる〜若様とロマン〜』音楽劇『Love's Labour's Lost』など。来年は、2017年に続き2019年4月からのミュージカル『レ・ミゼラブル』マリウス役(帝国劇場・全国公演)の出演も控える。


〈公演情報〉
歳が暮れ・るYO画像
 
『歳が暮れ・るYO明治座大合戦祭』
演出◇板垣恭一
脚本◇ほさかよう
出演◇佐奈宏紀(W主演) 内藤大希(W主演)/辻本祐樹
泉見洋平貴城けい加藤茶 ほか
●2018/12/28〜31◎明治座 
2019/1/19◎梅田芸術劇場 メインホール
〈お問い合わせ〉東京・明治座チケットセンター03-3666-6666(10時〜17時)、 
        大阪・梅田芸術劇場06-6377-3800(10時〜18時)
〈公演HP〉http://le-himawari.co.jp/releases/view/00752



【取材・文/橘涼香 撮影/岩田えり】



方南ぐみ企画公演『伊賀の花嫁』


kick shop nikkan engeki 

歌舞伎座百三十年「十二月大歌舞伎」で『お染の七役』に挑む! 中村壱太郎インタビュー

【舞台写真】『お染の七役』土手のお六

歌舞伎座百三十年の掉尾を飾る「十二月大歌舞伎」は、坂東玉三郎を中心にした一座。江戸時代から続く歌舞伎の伝統と、発展、深化を進めてきた歌舞伎の革新が揃う魅力的な演目が並び、尾上松緑、市川中車、尾上松也といった人気と実力を兼ね備えた俳優が顔を揃える中、新たな挑戦に挑む若手女方に注目が集まっている。 
これまで玉三郎が得意としていた演目に、昼の部では中村壱太郎、夜の部では中村梅枝、中村児太郎という期待の若手女方を配し、次代の歌舞伎界をも見据えた話題の公演だ。
 
その昼の部で中村壱太郎が挑むのは『於染久松色読販 お染の七役』。油屋の娘のお染、丁稚の久松、奥女中の竹川、久松の許嫁のお光、芸者の小糸、土手のお六、お染の母貞昌という、それぞれ年齢や性格、背景が異なる七役を縦横無尽に行き来し、早替りで見事に演じ分けている。
初日の興奮覚めやらぬ二日目の上演後、壱太郎にインタビュー。作品と役をどのように深めて舞台に立ち上がらせていったか、生き生きと語ってくれた。 
 
壱太郎さんバルコニー

玉三郎さんが徹底的に
稽古を付けてくれた土手のお六役

──『お染の七役』では、初役で七役を演じます。それぞれの役で気をつけたところはどこでしょうか。
七役すべて役柄が違うと言えばそれまでですが、娘役から丁稚、中年の女性などさまざまです。若い娘でもいいところのお嬢様なのか田舎の娘なのかでも役の枠組みが変わってきます。お染とお光は典型的な娘役です。これまでぼくが経験してきた役に属しているので、引き出しがありました。小糸は芸者です。台詞が少なく、少ないながらに役を表すほうが難しい。芸者については自分の引き出しから出せるものと、新しく考えなくてはいけない面の両方があって、それらを合わせて作り出していきました。いちばん難しかったのはお六です。お芝居をじっくりと見せる役で、玉三郎のおじさまが徹底的に教えてくださいました。10月、11月は玉三郎のおじさまは東京にいらして、ぼくは地方公演がありました。現実的に会う時間がとても少ない中で、徹底的にお六の稽古をつけていただきしました。

中村壱太郎_『お染の七役』土手のお六土手のお六
 
──いちばん難しかったというお六は、小梅莨屋の場で喜兵衛と話しているときと瓦町油屋の場とでは別の顔をみせるように、1つの役の中で心情の変化も表されていました。役の背景をどのように捉えたのでしょうか。
お六は、身分のいい竹川に仕え、お屋敷に務めていた過去も考えていきました。その後は芸者に出ていたかもしれないし、四苦八苦の人生を歩んできたかもしれない。いろいろな生き方をしてきた女性像が見えてきます。外面と内面を使い分けることのできる女性なんでしょうね。それは玉三郎さんも「話す相手によって、声色を変えるとは言わないまでも(自然に)変わってくるもの」とおっしゃっていました。お芝居を観る上で、お客様にとって必要な情報ではないけれど、それがお芝居の面白さにつながってくると思います。一方のお染はお嬢様としてだけ生きてきているから、生き方は一面しか出ない。竹川も一面ですよね。

中村壱太郎_『お染の七役』奥女中竹川奥女中竹川

衣裳を着てかつらをつけて
鏡を見ると役のスイッチが

──その変化を早替りで切り替えられていました。
自分でも不思議なことに衣裳を着てかつらをつけると、一瞬にして役の気持ちになります。大事なのは鏡!(笑)。鏡に映った早替り後の自分の姿を見ると、その役に自分が入っていきます。これはやってみて気付いたことです。早替りは「登場の瞬間が勝負」とよく言われるほど、そこが眼目なので、登場の直前は一瞬だけ鏡を見ることでスイッチを入れました。そして、衣裳をつけたときの帯の高さによっても、その役の動きに入れましたし、声も役に合わせて変わります。これは幼い頃から歌舞伎役者をやっていてよかったなと思えることです。
──早替りは瞬きせずに見ていても、いつ変わったのかわからないほどでした。
早替りは1人ではできません。舞台袖に捌けると、かつらを扱う床山さん、そして衣裳を脱がすチームと着せるチームが待ち構え、一気に次のお役にしていただいています。お稽古では大変贅沢なことに玉三郎のおじさまだけではなく、玉三郎のおじさまに以前習われた中村七之助さんも稽古を見てくださったんです。さらに本番では七之助さんのお弟子さん、『お染の七役』をされている猿之助さんのところのお弟子さんも入ってくださっています。早替りというケレンにいちばん強い方たちが集結しています。小道具や他の用事もやってくださるお弟子さんを入れて全員で12人のチームです。ぼくが裏に入ると一気に仕立てていただきます。

中村壱太郎_『お染の七役』後家貞昌後家貞昌

──次の役はどこからどのように出てくるのかが楽しいです。そして急いで次の役になった感じがまったくしません。
「早替り」というくらいですので、人間の心理として、急いで入って急いで出たくなります。それをまず留めることから始めました(笑)。わざとゆっくり入って、出るときも早く出るんですけど、後ろ向きで出てみようとか、逆にぱっと顔を見せようとか、急いで出ないようにしています。玉三郎さんからは「自分で考えていきなさい」と言われました。もっと早く変わろうと思えば、早く変わって舞台に出られるかもしれません。でも、あまりにも早いと今度は逆に、お客さんの頭の中が疑問符ばっかりになっちゃうんですね(笑)。そこのバランスを考えて、あえてゆっくりやるということもしています。面白い視点ですよね。

鶴屋南北は現代的で
リアルな日常会話 

──『お染の七役』は江戸の演目です。作者、鶴屋南北の台詞についてもお聞かせください。
歌舞伎らしい言葉というと「なんとかで、なんとかだから、なんとかで」と七五調のもの、河竹黙阿弥の作品に出てくる台詞がありますよね。『お染の七役』の作者である鶴屋南北にもやはり独特の「節」があるんです。もちろん現代語ではないけれど、現代チックな台詞、言い回しが多いように感じます。リアルさがかなり色濃く出ています。音楽的でもあるけれど、リアルな日常会話でなくてはいけない。そこの微妙なバランスがいちばん難しかったです。
──先輩方との共演になります。
七役を演じるにも周りの役との関係性がないと成り立ちません。そのバランスがとても大事になってきます。踊りの場面も松也さんと梅枝さんとが出てくださって、小糸のときも猿弥さんが手をひいてくださる。ぼくは安心してお芝居をすることができました(笑)。松緑さんも「好きなようにやっていいから」と言ってくださって、ありがたかったです。松緑さんとはこれまで女房役で相手役を何度もやらせていただきました。瓦町油屋の場では、松緑さんの喜兵衛が主役でもあると改めて思い、支えられているということも感じました。

中村壱太郎_『お染の七役』許嫁お光許嫁お光

「狂乱物」の踊りの楽しさと
立ち廻りの難しさ

──踊りについてですが、病鉢巻の姿になってからのお光の踊りも見物です。
まさに大詰めの踊り。ぼくは踊りが大好きなので、とても嬉しいことでした(笑)。お光の踊りは今までの自分のフィールドにある役で、いちばんやりやすかったかもしれません。あの踊りは「狂乱物」と言って、恋に狂ったり、子どもを亡くしてさまよったりする踊りですが、実はやっていて楽しい(笑)。面白いですね、お光は。
──お光の踊りで大事にされていることは。
お光はこの物語の中では脇筋の役です。お光、お染、久松の三角関係があって、本当は本筋の話がある。でも脇筋だけれど、一瞬だけお光は序幕にも出てきます。あそこでどれだけお客様にお光のことを印象付けられるかを大事にしています。そして物語の中では説明がありませんが、お客様の知らぬ間にあそこまでになっているわけだから、それをどう見せられるか。余計な役作りはしていなくて、久松が好きという思いと町中の雑踏の中で「ぱっ!」と誰かの姿を見つけるような、人影にすがるような思い。瞬間みたいなものを大事にしています。

中村壱太郎_『お染の七役』油屋娘お染
油屋娘お染

──役を想像して、嫉妬する相手であるお染をご自身が演じていることも不思議な感覚です。
その場に嫉妬の対象であるお染が居合わせないからできるんでしょうね(笑)。久松にしても松也さん演じる船頭さんや女の猿廻しの梅枝さんがいて、お染を重ねてやるので、やりやすいです。
──お六の船頭たちとの立ち廻りもかっこよかったです。
実はいちばん苦労しました(笑)。立ち廻りで、中心になる人物を「芯(しん)」と呼びますが、これまであまり経験がありません。それに首抜きという浴衣一枚の衣裳なので難しいです。中身の身体は男性ですから(笑)。着物をいっぱい重ねて大仰な格好をしているほうが、それらしく見えますので、浴衣一枚の庶民的な格好で立ち廻りするということは、嘘がつけない分、難しい。玉三郎さんは「動かされている方にならないと駄目」とおっしゃっていました。自分から戦いにいくよりも戦わされている感じです。どれだけ「ドン!」と気合いを入れるかが勝負です。殺陣は流れを覚えなくてはいけませんが、「次こっち」「その後こっちから」と考えてやるとうまくいかない。おかしな話ですが、そのせめぎあいに苦労しました。

中村壱太郎_『お染の七役』丁稚久松
丁稚久松

1か月の中でどれだけ深めていけるか
変化の過程を観ていただければ

──改めて今回の七役を演じられた経験はどのようなものになりそうですか。
歌舞伎は他の演劇と違って毎日、25日間やります。やっぱり人間ですから、さすがに2時間半、休憩を入れて3時間を走り続けるフルマラソンの状態で、集中力が切れそうになることもあります。「ここが悪かったな」「ここはこうしたいな」ということも芝居中に考えていないと終わったときには忘れてしまうので、すぐにメモをしています。自分でメモできないときには、袖に引っ込んだときにすぐ口に出してメモをしておいてもらっています。そうでないと次の日に、気になっていたその場になって「ああ、これだ!」となってしまう(笑)。それはものすごく悔しいことなので、その日に気付いたことは翌日にすぐ活かすようにしています。また、今回は1人で作るというよりも特に裏方さんとのやりとりを大事にしながらみんなで作ってきました。歌舞伎の世界には舞台監督がいないのですが、狂言方という方が同じような役割にいます。そういう方たちと舞台の転換や段取りについて話し合ったり、主役をやるとこれだけやることが多いのかということも今回学びました。これまで主役をやられてきた人たちはどれだけ大変だったことかと・・・。ちょうど今年の6月に、十代目松本幸四郎さんが『伊達の十役』をおやりになりました。十役を早替りでやる演目で、4時間近い世界です。ぼくも出ていましたが、端から見ていて「大変だなあ。すごいなあ」と。それがこんなにも早くくるとは!(笑)とてもいい経験になっていますし、日々変化している実感があります。

中村壱太郎_『お染の七役』芸者小糸芸者小糸
 

──監修の坂東玉三郎さんは『お染の七役』を21歳のときに初めて演じられて、今年の3月にはお六を演じられました。いま、次の世代に伝承されています。 
玉三郎のおじさまには今年は1月の大阪松竹座でも3月の歌舞伎座でもご一緒させていただき、たくさんの教えをいただきました。今回は特に駆け足ながら、何を教えられるのかを厳選して、一気に言っても全部はできないということもわかっていらっしゃるので、今のぼくに何が必要なのかを端的にいちばんわかりやすく削ぎ落として教えてくださったと思います。台詞の音楽的なところや心情のことまでご指導いただきました。これからもご指導いただきたく、この1か月の中で、どれだけ深めていけるかが勝負だと思っています。玉三郎のおじさまにまた見ていただくときに変化をしっかり見せたいですし、その変化の過程をお客様にも見ていただけたら、嬉しいです。

壱太郎さん正面

なかむらかずたろう○1990年生まれ。中村鴈治郎の長男。祖父は坂田藤十郎。1991年11月京都・南座〈三代目中村鴈治郎襲名披露興行〉『廓文章』の藤屋手代で初お目見得。1995年1月大阪・中座〈五代目中村翫雀・三代目中村扇雀襲名披露興行〉『嫗山姥』の一子公時で初代中村壱太郎を名のり初舞台。2007年に史上最年少の16歳で大曲『鏡獅子』を踊る。2010年3月に『曽根崎心中』のお初という大役に役柄と同じ19歳で挑む。2014年9月吾妻徳陽として日本舞踊吾妻流七代目家元襲名。現在、女方を中心に歌舞伎の舞台に精進しつつ、ラジオやテレビなどにも活動の場を広げている。大ヒット映画「君の名は。」ではヒロインとその妹が舞う巫女舞の振付をしたことも話題となる。

〈公演情報〉
十二月大歌舞伎特別チラシ_昼の部
十二月大歌舞伎特別チラシ_夜の部

歌舞伎座百三十年
「十二月大歌舞伎」
平成30年12月2日(日)〜26日(水)
[昼の部] 11:00〜 
『幸助餅』
『於染久松色読販 お染の七役』
 [夜の部(Aプロ)] 16:30〜
『壇浦兜軍記 阿古屋』
『あんまと泥棒』
『二人藤娘』
[夜の部(Bプロ)] 16:30〜
『壇浦兜軍記 阿古屋』
『あんまと泥棒』
『傾城雪吉原』
〈料金〉1等席18,000円 2等席14,000円 3階A席6,000円 3階B席4,000円 1階桟敷席20,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉チケットホン松竹 0570-000-489




【取材・文・撮影/今村麻子 スチール・舞台写真提供/松竹】


お得な価格で販売中!『新春浅草歌舞伎』


kick shop nikkan engeki



本格文學朗読演劇シリーズ「極上文學」第13弾『こゝろ』間もなく開幕! 藤原祐規・白石康介・松井勇歩インタビュー

白石藤原松井

日本文學の上質な世界観を、狷匹濟姚瓩鉢犇餮住姚瓩箸いΕ好織ぅ襪芭体的に表現する本格文學朗読演劇シリーズ「極上文學」。第13弾の今作では、夏目漱石の『こゝろ』を取りあげ、12月13日から18日まで、紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA で上演する。
奇妙な友情で結ばれている「先生」と私。ある日、先生から遺書が届いた。「あなただけに私の過去を書きたいのです…。」遺書で明かされる先生の過去とは…。
時代を超えて読み継がれる夏目漱石の最高傑作に挑む、今回の「極上文學」。出演経験の豊富な藤原祐規と、今回初参加の白石康介と松井勇歩が、作品世界を語り合った「えんぶ12月号」のインタビューを別バージョンの写真とともにご紹介する。

IMGL0831
白石康介 藤原祐規 松井勇歩

昼ドラとして捉えると
わかりやすくなる!?

──藤原さんは何度も出演していますが、「極上文學」の特徴というのは?
藤原 朗読劇のくくりで見られがちですが、読むことを100%頑張るのが朗読劇だとすると、「極上文學」は読むだけでなく動きもありますし、立体的に見せていく。朗読演劇と言っていいでしょうね。
白石 僕は同じ事務所の松田凌さんが出演した『銀河鉄道の夜』をDVDで拝見して、普通のお芝居より素に近いかなと。そして台本を持っていることをいかに自然に見せるかが大事なのかなと。
松井 僕は朗読劇だから椅子に座るのかなと思っていたら、フッキー(藤原)さんが「全然座れないよ」と(笑)。確かにDVDを観たら座ってなかったです(笑)。

──台本を見ながらということは、台詞は覚えないほうがいいのですか?
藤原 そうなんです。新鮮に読むのが大事なので。でも台本に目を落とすと次の台詞が嫌でも目に入ってくる。お芝居というのは、相手の台詞で自分の台詞が引き出されることが本当なので、台詞が見えるとそれが難しくなる。だから初参加の役者さんは、つい全部覚えてきちゃって、ダメ出しされてます。
松井 台本を覚えてきちゃダメってあまりないですよね(笑)。でも覚えないからこそ生まれる良さがあるわけですから、それが出来るようにならないと。

──今回の作品は夏目漱石の『こゝろ』ですね。
藤原 たいへんな作品が来たなと。大人な小説で、出てくる人たちが複雑な内面を持っているので。
白石 人間関係も複雑ですよね。結末もハッピーエンドではないし、読むのが難しいんですけど、「極上文學」という形ならわかりやすく届けられるんじゃないでしょうか。
松井 僕は、すごいドロドロしている昼ドラのような話だなと(笑)。
2人 (爆笑)。
松井 昼ドラはどの世代にでもわかるじゃないですか。だからこの小説もずっと読まれているのかなと思いました。

──確かに昼ドラとして見るとわかりやすいですね。ある女性を友人同士で取り合うという。
白石 好きな女性を取り合うのは男性の本能みたいなものですよね。
松井 人間は何故かそういうドロドロを見るのが好きで(笑)。
藤原 誰もが経験するような話で、それをどの立場から観るかで感想も違ってくるでしょうね。

敷居を下げて、間口を広げて、
文学と親しんでもらう

──今回初対面だそうですが、お互いの印象は?
白石 僕は人見知りなんですけど、今回あまり構えずにいられそうです。
藤原 勇歩なんかすでにボケだしてるから(笑)。俺が真面目なこと言って、白石くんも真面目なこと言って、勇歩が最後にちゃんとボケを入れる(笑)。
松井 空気読んじゃいました(笑)。
 
──楽しい雰囲気で取り組めそうですね。では改めて公演への意気込みを。
藤原 漱石の『こゝろ』は観客アンケートで「上演してほしい原作」の1位だったそうです。それだけ有名で現代の若い方にも興味のある作品ということで、気合いもプレッシャーもありますが、難解な作品を良い意味で敷居を下げて、間口を広げて、親しんでいただけるのが「極上文學」なので、作品をよく読み込んでしっかり届けたいです。
白石 僕は2.5次元作品が多かったのですが、今回ストレートプレイをさせていただくことで、これまでと違うお客様と出会えるのを楽しみにしています。昔から読まれている文学作品に正面から取り組んで、自分自身も成長したいです。
松井 個人的には、原作もお芝居の形もキャストの方々も、初めましてばかりですが、初めてだからこそ吸収できることがいっぱいあるはずで、逆に僕だからできることもあるので、それを「極上文學」の世界で生かしていければと思っています。

IMGL0857
白石康介 藤原祐規 松井勇歩

ふじわらゆうき〇三重県出身。俳優、声優として舞台、アニメ、ゲームで活躍中。主な出演作品は、舞台『最遊記歌劇伝』シリーズ、舞台『ペルソナ3』シリーズ、『Club SLAZY』シリーズ、『インフェルノ』、『バカフキ!』、『極上文學』シリーズ、アニメ『曇天に笑う』、『アイドル事変』、『CHAOS;CHILD』、「おん・すてーじ『真夜中の弥次さん喜多さん』三重」、『ストリップ学園』など。
 
しらいしこうすけ〇埼玉県出身。2016年『朗読劇 雲は湧き、光あふれて』で俳優デビュー。出演舞台は「プリンス・オブ・ストライド THE LIVE STAGE」シリーズ 、『RICE on STAGE ラブ米 〜Endless rice riot〜』』(2017年)、 『イケメン革命◆アリスと恋の魔法 THE STAGE Episode 黒のキング レイ=ブラックウェル』(2018年)など。 
 
まついゆうほ〇兵庫県出身。2012年、劇団Patchの第1期生として入団。舞台や映像で活躍中。最近の出演舞台は、舞台『オサエロ』『うつろのまこと〜近松浄瑠璃久遠道行〜』『野球〜飛行機雲のホームラン〜』、『LADY OUT LAW!』など。11月にPatch stage vol.12『ボクのシューカツ。』(大阪・HEP HALL、東京・銀座 博品館劇場)に出演予定。ABC『おはよう朝日土曜日です』出演中。


〈公演情報〉
image

本格文學朗読演劇シリーズ
極上文學 第13弾『こゝろ』
原作◇夏目漱石
演出◇キムラ真(ナイスコンプレックス) 
脚本◇神楽澤小虎(MAG.net) 
音楽◇橋本啓一
出演◇内海啓貴 櫻井圭登  白石康介 芹沢尚哉 釣本 南(Candy Boy) 東 拓海 平野 良 藤原祐規 松井勇歩(劇団Patch) (五十音順)
●12/13〜18◎紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA 




【構成・文/宮田華子  撮影/友澤綾乃】



『Like A Room 002』


kick shop nikkan engeki 

新たな切り口で描くギリシャ悲劇の傑作『オイディプス王』間もなく開幕! 杉原邦生・中村橋之助 インタビュー

杉原中村


ギリシャ悲劇の傑作『オイディプス王』は、父を殺し、自らの産みの母と夫婦となった若き王が、破滅への道を転がり落ちるまでを描いた物語。
この作品を若手演出家・杉原邦生が新たな切り口で上演する舞台『オイディプス REXXX(レックス)』が、12月12日から24日までKAAT神奈川芸術劇場で上演される。
タイトルロールのオイディプスを演じるのは中村橋之助。八代目中村芝翫を父に持ち、2016年に親子同時襲名で話題を呼んだ注目の若手歌舞伎俳優で、歌舞伎作品以外の舞台は今回が初めてとなる。
オイディプスの母であり妻のイオカステには南 果歩、叔父のクレオンには宮崎吐夢と実力派が集結した公演となる。
この挑戦的な舞台について、杉原邦生と中村橋之助が楽しく語り合った「えんぶ12月号」のインタビューをご紹介する。

杉原中村2
杉原邦生   中村橋之助

若さゆえの未熟さや
浅はかさの結果

──杉原さんは、以前からギリシャ悲劇に興味があったそうですね。
杉原 大学の授業で蜷川幸雄さんの『王女メディア』の映像を観たんです。それまで演劇はあまり観てなかったので、ギリシャ悲劇という言葉のイメージとまったく違うものを観て、演出次第でこんなに届くものになるんだと衝撃を受けました。
橋之助 僕は作品については知っていたのですが、ベテランの俳優さんが演じる芝居だと思っていたので、最初は父への出演依頼かと。
杉原 ははは(笑)。
橋之助 僕にきた話だと知って、すごく嬉しかったです。
──オイディプスを若い俳優でという意図は?
杉原 近親相姦劇ですから、できれば母子のように年の離れた男女のほうが、現代の観客にもリアルに伝わるんじゃないかと。それにオイディプスが権力の絶頂から落ちていくのは、若さゆえの未熟さとか浅はかさの結果でもあって、自分が取った行動が回り回って返ってくる。そういう結果を招いたのは若さゆえで、そのリアリティは若い俳優がやったほうが届きやすいなと思ったんです。
橋之助 すごくわかりやすいです。
杉原 それから、これは1つの国の繁栄と崩壊の話でもあって、王の周りにはつねにコロス、つまり民衆がいて、王の立場の変化とともにコロスの態度も変わるんです。王を歓迎していたはずなのに、落ちていくと一気に引いていく。その変わり身の早さは今の世の中と一緒で、それに翻弄される若い王というイメージはとても現代的だと思ったんです。
──歌舞伎でも、例えば『三人吉三』や『切られの与三』なども、暴走する若者と取り巻く民衆という構図が出てきますね。
橋之助 ただ歌舞伎では、出てくる人間は政治とかお上に翻弄されますが、神とか神託とかそういうものは出てこないんです。 
杉原 親の輪廻とか因果応報はあるけどね。
──とすると今回の上演で、神とか運命はどういう位置づけになりますか?
杉原 日本人の中には絶対的な信仰というものがあまりないですし、そもそも神という存在は人間がつくりだしたものだと僕は思ってるんです。人の力だけでは解決できないこと、例えば死の恐怖とか、そういうものとひとつ結着をつけるためにつくりだしたものだと。だからその存在に翻弄されていくとか、支配されていくという視点は、あまり重要だとは思ってないんです。今回の作品でも、神の意思や運命によって何かが動いてしまうのではなく,はじまりは現実に生きている人間が起こしたことであり、その連鎖によって色々なことが起きていく。そういう視点で演出したいと思ってます。
橋之助 すごくわかります。オイディプスは人を殺したわけで、それは誰のせいでもない自分がやったことだと。それではギリシャ悲劇にならないかもしれませんが、僕の世代などがこの物語を読むと、そういう読み方をするのではないでしょうか。 
杉原 古典を読むとき、これを信じなきゃ、こういうふうに読まなきゃと決めつけるのではなく、「これおかしくない?」とか「わけわかんない」と思ったその感覚から入っていくのが、一番大事だと思っているんです。

名前が一緒だから
シンパシーを感じていた

──杉原さんと歌舞伎の出会いは、木ノ下歌舞伎からですか?
杉原 僕は小学校3〜4年のとき、地元に巡業で来た先代の猿之助(現・猿翁)さんの『獨道中五十三驛』を、最前列で観ちゃったんです(笑)。早替わりとかあって単純に楽しくて、他にも観てみたいと思ったんでしょうね。そのときのパンフレットに猿之助さんの狐忠信が宙乗りしている広告が載っていて。母親に「(歌舞伎座で)これ観たい」と言っていたんですが、お身体を悪くされて、結局観れずじまいでした。
──橋之助さんは、杉原さんが演出した『勧進帳』は?
橋之助 観ました。一昨年の7月にまつもと市民芸術館で、僕らが出ている『四谷怪談』を大きいホールで、『勧進帳』を小ホールで上演していて、(中村)鶴松と一緒に観て、そのあと2人で飲みながら「ヤバイよね!」って。
杉原 (笑)歌舞伎の方々が観にくると聞いていたので、「怒られるかな」とか、ちょっとドキドキしながら劇場にいました。橋之助くんの姿も見えて、前から名前が国生(くにお)で一緒だなとシンパシーを感じていたので(笑)、「あ、観にきてくれたんだ」と。そのあと人伝てに「面白かったと言っていたよ」と聞いて、すごく嬉しかった。
橋之助 最初にお会いしたときも話したのですが、僕はずっと弁慶をやりたいと思っていて、だからずっと義経側を観ていたんですけど、最後、彼らが立ち去ったあと富樫だけ残って、そこにラジオから義経たちが追われているというニュースが聞こえてきて。そのシーンで、ああ富樫もやっぱり人間なんだなと、ここまで表現できちゃうんだ、凄いなと。
──そういう感性の橋之助さんだから、杉原さんもオイディプスをさせたいと?
杉原 襲名を経て顔つきが変わったと思うんです。覚悟を持って舞台に立ってるんだなと。それが伝わるんです。
橋之助 家の名前になったという意識はすごくありますね。祖父(七代目中村芝翫)が亡くなる1週間前、僕と(中村)児太郎の兄が呼ばれて、これからこうして生きていきなさいというような話をしてくれて。だから成駒屋という家に生まれたからには、その名前を背負って公に出る、そこは意識しています。
──その重みとともに、新しい風を吹き込む役割もありますね。お父様の芝翫さんは今回の出演については?
橋之助 すごく喜んでいて、「勉強になるからやりなさい」と。今まで言われたことはなかったんですが。僕はもともと歌舞伎以外のお芝居にも興味があって、色々な舞台を観ていたので、すごく嬉しいし、歌舞伎への風という意味では、僕を通して少しでも歌舞伎に興味をもってもらえればと思っています。

橋之助くんに
壊れてもらいます!

──作品の話に戻りますが、今回も音楽は現代風ですか?
杉原 そうなります。翻訳の河合祥一郎さんが、「コロスは歌うことがアイデンティティだ」と。コロスの歌は演出家がそのギリシャ悲劇を、どう読み解き表現するのかを提示するキーポイントになるんです。僕はこれまで歌舞伎にラップなどの現代音楽を取り入れてきましたけど、今回で封印するくらいの気持ちで、ラップの集大成にしようと(笑)。河合さんにご相談して、歌詞はひとまず僕に預けてもらっています。対するメインの3人の台詞は河合さんの訳で、シンプルにスピーディに物語を進めようと。ただ、橋之助くんに合わせて一人称を「私」から「俺」にしたり、いくつか変えてもらっています。今回、良い意味で橋之助くんに壊れてもらおうと思っているので(笑)。
橋之助 壊されましょう!(笑)
──壊れた橋之助さんは見どころですね。
橋之助 壊れた僕を(笑)ぜひ沢山の方に、その目で確かめていただきたいですね(笑)。
杉原 客席形状も初めての挑戦で楽しみなんです。、ボクシングリングのような正方形の舞台を、それを360度から見下ろす形にしました。僕にとっても初めてが多い公演ですが、今の橋之助くん、今の僕らにしかできない「オイディプス王」をしっかりつくり上げたいと思っています。

杉原中村2
杉原邦生 中村橋之助
 
すぎはらくにお○神奈川県出身。演出家、舞台美術家。KUNIO主宰。04年に自身が様々な作品を演出する場としてプロデュース公演カンパニー「KUNIO」を立ち上げる。代表作に『ハムレット』『更地』『エンジェルス・イン・アメリカ』など。歌舞伎演目上演の新たなカタチを模索するカンパニー「木ノ下歌舞伎」には06−17年まで参加、『黒塚』『東海道四谷怪談-通し上演-』『勧進帳』などを演出。近年では、歌舞伎座『東海道中膝栗毛』で構成を手がけるなど多彩な活動を展開し、演劇界から注目を集め続けている。

なかむらはしのすけ○東京都出身。八代目中村芝翫の長男、祖父は七代目中村芝翫。平成12年(2000)九月歌舞伎座『京鹿子娘道成寺』所化、『菊晴勢若駒』春駒の童で初代中村国生を名乗り初舞台。近年は、平成27年(2015)三月国立劇場『梅雨小袖昔八丈』下剃勝奴、四・五月平成中村座『極付幡随長兵衛』極楽十三、『勧進帳』亀井六郎、八月歌舞伎座『逆櫓』日吉丸又六などを演じる。コクーン歌舞伎や平成中村座などにも出演。2019年1月「新春浅草歌舞伎」の出演が控えている。


〈公演情報〉
オイディプスREXXX画像

KAAT 神奈川芸術劇場プロデュース
『オイディプス REXXX』(オイディプスレックス)
作◇ソポクレス 
翻訳◇河合祥一郎 (光文社古典新訳文庫「オイディプス王」) 
演出◇杉原邦生 
出演◇中村橋之助 南 果歩 宮崎吐夢 ほか
●12/12〜24◎KAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオ 
〈料金〉6,500円(全席指定・税込) 
U24チケット 3,250円 高校生以下割引 1,000円 シルバー割引 6,000円
※割引チケットなどは要問合せ
〈お問い合わせ〉チケットかながわ 0570-015-415 (10:00〜18:00) 




【取材・文/宮田華子 撮影/友澤綾乃】


『Like A Room 002』


kick shop nikkan engeki 
記事検索
演劇キックラインナップ

演劇キック

観劇予報

宝塚ジャーナル

演劇人の活力源

日刊えんぶ

えんぶ情報館

えんぶショップ

えんぶミロクル

えんぶfacebook

広告について