稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

しあわせの雨傘

インタビュー

DIAMOND☆DOGS 15周年記念公演シリーズ FINAL『DRAMATIC MUSICAL COLLECTION 2018』 DIAMOND☆DOGS囲み座談会

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今公演をもって充電期間に入ることが発表されているDIAMOND☆DOGS (D☆D)の、15周年記念公演シリーズ FINAL『DRAMATIC MUSICAL COLLECTION 2018』が、6月27日〜7月4日、銀座の博品館劇場で上演される。

『DRAMATIC MUSICAL COLLECTION 』は、ミュージカルの名場面、ビッグナンバーをD☆Dならではのダンスシーンも盛りだくさんに、ミュージカルコンサートを超えたミュージカルショーとして、ゲストを含めた全員で歌い踊るD☆Dのショーステージの中でも、大きな特色のある人気公演。今回のゲストはこの『DRAMATIC MUSICAL COLLECTION 』お馴染みのイ・ヒョン、法月康平、紅一点の木村花代、そして初参加となる泉見洋平で、彼らを迎えてD☆Dのメンバーが躍動するラストステージに向けた、白熱した稽古が進んでいる。


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そんな稽古場で、D☆Dメンバー、東山義久、森新吾、小寺利光、中塚皓平、和田泰右、咲山類、TAKA の7人が揃っての囲み座談会が行われ、7人の公演への意気込み、そして小寺利光とTAKAの卒業、D☆Dのこれからを語り合ってくれた。

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咲山類、和田泰右、中塚皓平、森新吾
小寺利光、 東山義久、TAKA 

 
最後ではなく、新しいスタートとなるステージに

──現有メンバー最後の『DRAMATIC MUSICAL COLLECTION』となりますが、どんな構成に?
 『DRAMATIC MUSICAL COLLECTION』シリーズは今回の「2018」で4回目になります。そしてD☆Dの15周年と、現有メンバーでのファイナルが重なりまして、『DRAMATIC MUSICAL COLLECTION』シリーズ自体も今回で一端お休みするという形になるとは思います。でも最後ということではなくて、このステージがそれぞれのまた新しいスタートになれるように、ゲストもこれまではもっとたくさん出て頂いていたのですが、今回はギュっとコンパクトにして、その代わりにD☆Dメンバー1人ひとりにお客様の記憶に残るような場面を作ろうということでやっています。
──その中で皆さんそれぞれの見どころは?
 僕は全体を俯瞰的な目で見ている部分がありますので、常に真摯に1曲、1曲ずつのすべてが見どころだと思っていますし、更にD☆Dメンバー1人ひとりも見て欲しいし、もちろん全員が板の上に立っている姿をお客様に観て頂きたいなと思います。
咲山 『DRAMATIC MUSICAL COLLECTION』は本当に色々な楽曲の様々な魅力にあふれているので、真面目に楽曲に取り組んで歌えば、感動して頂けると思うんです。ですからガッツリ力を入れて歌いますし、先ほど観て頂いたような皆で楽しくワイワイという場面をはじめとして、ミュージカルの喜怒哀楽すべてが詰まっている舞台になっていますので、それらを幅広く楽しんで頂けたらと思います。
中塚 初演の時はAKANE LIVさん、前回でしたら峰さを理さんが歌われている中で踊りを使って表現をしていたところで、今回は今はまだゲストの方なのかメンバーなのか、ちょっと言えないんですけれど、前回よりも色々な経験をさせて頂いたあとの、ステップアップした表現、新たなアプローチの仕方でできたらなと思います。

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和田 ミュージカルにあまりご縁がない方に、これはどういう作品なのかな?と思って頂ける機会になる舞台だと思っていて、出会いの入り口になるのが『DRAMATIC MUSICAL COLLECTION』であって欲しいなと思っています。
TAKA  今回ソロで歌う曲がたくさんあるのですが、(森)新吾さんとか、構成・音楽監督の(宮崎)誠さんと話して、英語の曲を作詞してみたら?と言って頂いて。それで詞を書かせてもらって、今回卒業という形なのでそういう想いも込めて書いた詞を歌わせてもらえるので、色々届けられればなと思っています。
東山 俺はさっき話したから(※注・泉見洋平、法月康平、木村花代、東山座談会参照)次に行こう!
小寺 『DRAMATIC MUSICAL COLLECTION』は、王道ミュージカルから、ロックミュージカル、ミュージカル映画等、多種多様なところから持ってきた音楽を、演出・振付でD☆Dらしいものに森君が創ってくれているので、唯一無二の作品になっています。個人的なところではまたタップをさせて頂いて、皆も出てきてくれるので楽しくやりたいと思っています。
東山 俺は出てないけどな(笑)。
小寺 D☆D皆で、ちゃんと6人でやっているので(笑)。
TAKA  (東山にポスターを示して)D☆Dじゃないじゃん(爆笑)。
東山 一応ゲストっぽく扱って頂いているだけだろ!(笑)

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キャリアを重ねたならではの選曲の妙

──具体的な曲名で教えて頂けるところはありますか?
 2幕の日替わりのところはお楽しみにさせて頂きたいのですが、他の部分はむしろそれを楽しみにして頂けるのであれば、曲名が出ても構いませんよ!
──では是非、皆さんが楽しみにしている楽曲を教えてください。
 まだ順番は調整中なのですが、2幕にD☆D7人で『ライオンキング』の楽曲をやるので、そこは感情が沸き立つような瞬間になるんじゃないかな?と思っています。7人でこれをやるってすごく良いねと言うシーンもありますね。僕が演出をしているのでワルフザケな部分もあって(笑)。もちろん作品からかけ離れてしまわないように、根底の部分はきちんと残しているのですが、その中で皆がどのくらいふざけられるかを楽しみにして欲しいです。
咲山 前回もやった『イン・ザ・ハイツ』の「ブラックアウト」という曲をもう1回、D☆D6人でお届けしますけれども(爆笑)、あとから追加でやっぱりこれやりたいねと入れた曲で、それぞれの個性が生きていて。しかも久しぶりに歌った時にやっぱりハーモニーが落ち着いていて、TAKAちゃん筆頭に数を重ねたことで成長が見えているので、新しい『イン・ザ・ハイツ』を皆さんにお届けしたいと思います。
中塚 僕は『レ・ミゼラブル』のシーンですね。毎回1幕ラストに「ワン・ディ・モア」は歌っているんですが、どちらかと言うとコーラスで終わるという形だったんですね。でも今回は泰ちゃん(和田)と一緒に踊ったりもしていて、僕は『レ・ミゼラブル』の舞台に出たことはありませんが、より深く楽曲が歌えるのが楽しみです。
 東さん(東山)と泉見さんが実際の舞台でやっているという強みはやはり大きいので、僕らは『レ・ミゼラブル』には出ていませんが、コーラス等で参加することによって作品の中に入っていける実感を持ちながら稽古ができているので、たぶん素敵なナンバーになると思います。

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和田 たくさん好きな曲はあるのですが、毎回のオープニングの「Magic to do」は『DRAMATIC MUSICAL COLLECTION』が始まった!という懐かしい想いと、また今年も新しくという想いが入り混じって、あの曲を聴くと夏を思い出すという気持ちがします。たぶんお客様にも「始まった!」という感覚を持って頂けるのではないかな?と思うので、好きですね。
TAKA  やっていてすごく楽しいのは『CATS』の「スキンブルシャンクス」ですね。リーダーは出てないんだけど(爆笑)。踊って歌ってキャッキャして楽しいです。
 40歳以下の車両の話なので(笑)。
東山 それで俺はいない訳?(笑)、もう俺がいない方がまとまりが良いんじゃないの?(爆笑)。見ていてすごく好きなのは、また俺は出ていないんですけど(笑)『メリー・ポピンズ』の「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」。歌も花ちゃん(木村)にとても合っているし、利(小寺)がすごく張り切って踊ってくれていて、あそこは非常にショーアップされているので楽しんで頂けるんじゃないかなと思います。
小寺 リーダーも最後の方に出るかも知れないですよ?(笑)
東山 2パターン用意してもらって、最後の日に出るかも(笑)。
 最後の最後にね!
東山 4小節だけとか(笑)。
小寺 僕は「明日への道」というナンバーですね。すごくキーが高くて大変なんですけれども、皆で正面を向いて歌う時に気持ちが良いなと思っていたので、それがもう1度できるのは嬉しいです。
 D☆Dも年を重ねるに連れて、選曲もやっぱり大人っぽくと言うか、気持ちに刺さるような曲が多くなってきたんですね。でも構成していてやはりお客様に喜怒哀楽を感じて頂きたいなと思ったところで「ブラックアウト」が戻ってきたりですとか、今やっても大丈夫な曲、敢えて若い曲を大人が歌う妙味などもあるなと。それは4回やってきて僕らの経験値が上がったのもありますし、今回泉見さんに入って頂いたことによって、やはりキャリアがすごい方なのでその効果も加わって『DRAMATIC MUSICAL COLLECTION』自体が年を重ねた、キャリア重ねたステージになっている気がしているので、最初から最後まで楽しんで頂けると思います!

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形が変わるだけで、一生の仲間であり家族である7人

──非常に寂しいのですが、現有メンバーで観られるファイナルステージということなので、この10年を共にされた皆さんから、卒業されるお二人にメッセージを。
咲山 D☆Dは卒業しますけれども、二人共死んでしまう訳ではないので(笑)。
小寺 殺すな!(笑)
咲山 今後も音楽をやる時にゲストで出るとか、ライブで「もう1回ハモりながら歌おうよ」とか、お客様がもし観たいと言って頂けるのであれば、フレキシブルに柔軟にやっていけたらいいかな?と思っています。
中塚 ええ、どうしよう、なんか照れるね。
小寺 いいじゃない普通の感じで!何もかしこまって言うことじゃないでしょう?(笑)
中塚 いや、ちゃんと言わないと(笑)。別に縁が切れる訳じゃないから、たぶんすぐにどこかで会うでしょう。だから二人共身体に気をつけてね!
小寺 ありがとう!もう若くないからね(笑)。
中塚 そう中年だから(笑)、色々気をつけて!
和田 僕はTAKAとはプライベートでも仲が良いので、また遊ぶと思ってますけど。

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──今、小寺さんが「自分は?」というお顔をなさってます!
和田 あぁ、まぁまぁ(爆笑)。利ちゃんには今までも色々と話を聞いてもらってきた兄貴的存在なので、そこもこれからも変わらないと思っています。卒業したとは言っても今後のD☆Dについての相談みたいなものもできたら、お互いに良くなっていくのかな?と思っているので、よろしくお願いします!
小寺 チャス!
 信頼している二人なので、卒業という形にはなりますけれども、たぶん僕から連絡を入れることは多々あると思います。だから僕ら的にはそこまで「二人がいなくなって」ということではなくて。形は変わるけれども向き合い方は同じだと思いますから、そこまで実感もないんです。あまり重い感じではないですね。
東山 まぁ、もう本当に2度と一緒にはやらないので(爆笑)。
TAKA  絶対やらねー!(爆笑)
小寺 まぁ、なんかあった時には4人で頑張れば良いんだから!(笑)協力するから!
東山 いやいや、問題がある。俺がいないと誰もセンターを取れない!(笑)
小寺 じゃあ、センターにゲストをお招きして(爆笑)!

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東山 そうだな(笑)。ええと(笑)、今、利がはじめて来た時のことを思い出していたんですけど。すみだパークのスタジオで、当時のオープニングを振付けていて、オーディションみたいな形だったんです。でもこいつ全くできなくて(笑)。「なんか得意なことある?」って訊いたんだよね?
小寺 「タップシューズは持ってきました」と。
東山 それでタップをはじめたら皆で「おぉ〜!」と。「あ、タップは俺らになかったな」と思ったのがひとつと、当時は王子様みたいだったんで。今は「う」が取れて「おじ様」になってますが(爆笑)。
小寺 立派なおじ様になりましたね!(笑)
東山 あれから14年かと。またTAKAが入って10年。最初は全然俺らと喋らないし、コミュニケーションも取ろうとしないし、2年経ったら辞めると公言するくらいだったのですが、今となっては「僕がいないとD☆Dはできないだろう?」と言うくらいに成長してくれて。曲も創り、コンサートだったら先頭になってやってくれるようになりました。だから確かに感慨深いものはあります。この作品、この7人のD☆Dで『DRAMATIC MUSICAL COLLECTION』をやるという意味では、やっと二人にとっても俺たちにとってもスタートラインに立った、そういう公演なのかな?と思っています。そこから先は今までD☆Dで培ってきたものを、蓄えた技術を、これから1人ひとりがお見せする。ある意味見せつけるというくらいの気持ちの充電期間にしたいです。二人もこれからも変わらず、それぞれに活躍してくれると思います。

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──卒業するお二人はD☆Dにいた時間について改めて振り返ると?
小寺 今リーダーが言いましたけれど、初めての時にはリーダーに振りを教えられて「踊ってみて」と言われたんですが、全然踊れなくて。「これはダメだな」と思っていたのですが、タップをさせてもらったことがアクセントになり、何より元々その前の仕事で森君と一緒にやらせてもらっていたので、新ちゃんが僕のことを「とても良い子ですよ!」と言ってくれた、その一言で全部決まったんです。だから本当にありがたいと思っています。
 いやいや。
東山 俺には?(笑)
和田 思ってるって、ちゃんと!(笑)
小寺 もちろん何年もいる間には紆余曲折色々なことがありましたが、その度に新しいメンバーも含めて、大変なことは7分割して、楽しいことは7倍楽しくてという仲間がいるのは、もう一生の仲間ができたんだと思っているので、皆さん頑張ってください!
TAKA  僕が入った時は確かにね…。
東山 ひどかったよ!(笑)
TAKA  目も見られなかった、直視できなかったから。でもあの時はあれで自分なりにね。
東山 カッコつけてた?
TAKA  うん、カッコ良いと思ってた。でも性格が変わったという訳じゃないけれども、リーダーが言ったみたいに、10年経てば変わるんだなというか、変えてくれたというところもあります。さっき類が言ってくれたように、現場からは離れるけど、また違った形で一緒にさせてもらえるのであれば、やりたいと思うし。だから「ちょっとTAKA来て!」と言ってもらえるような自分でいないといけないし、それ以上に皆に会って恥ずかしくないような自分になっていかないといけないと思っています。だからそういった面では普通に、別れという感じではないです。本当に、これからも存在しますという感じです。
東山 OK!

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──お二人が観てみたいD☆Dさんの舞台はどんなものですか?
小寺 次には確実に現状じゃない形になっていくと思うので、それを活かした作品や舞台を創ってくれると思いますから、自分が卒業して良かったと思える舞台を創って欲しいです。
TAKA  ライブが観てみたいですね。僕はD☆Dのライブを観たことがないから(笑)。僕の曲は全部置いていくし、これからも追加していくので!
全員 おぉ〜!(拍手)
──D☆Dの充電期間もそんなに長くはないのですよね?
 皆さんが帰ってきて欲しい!と言ってくださるのであれば、すぐにも帰ってこられるように準備はしておきます!
東山 今は7月4日のステージの終わりまでのことしか考えていないのですが、今二人が言ったように皆家族なので、弟二人が出稼ぎに行くというくらいの気持ちでいます。ですから、再始動した時にはD☆Dがひとつ上のステージに行っていないといけないと思っています。「二人がいた時が一番良かったね」と言われないように、これはメンバーが入れ替わる度に思うことなんですが、今以上のD☆Dになる為の、組織としての個としての充電期間を経て、二人が見ても恥ずかしくないようなグループになっていきたい。それが自ずと再始動の時期「よし行ける!」という時期として決まってくると思います。その為にもこのメンバーでやれる『DRAMATIC MUSICAL COLLECTION 2018』を最高の舞台にするので、是非1人でも多くの方にご覧頂きたいと思っています!

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〈公演情報〉
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DIAMOND☆DOGS 15周年記念公演シリーズ FINAL
『DRAMATIC MUSICAL COLLECTION 2018』
構成・音楽監督◇宮誠
演出・振付◇森新吾
出演◇泉見洋平/東山義久、法月康平、イ・ヒョン/木村花代 
DIAMOND☆DOGS (森新吾、小寺利光、中塚皓平、和田泰右、咲山類、TAKA )
●6/27〜7/4◎博品館劇場
〈料金〉9,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉博品館劇場 03-3571-1003
http://theater.hakuhinkan.co.jp/pr_2018_06_27.html



【取材・文・撮影/橘涼香】



ミュージカル『GRIEF7』


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DIAMOND☆DOGS 15周年記念公演シリーズ FINAL 『DRAMATIC MUSICAL COLLECTION 2018』 公開稽古レポート&泉見洋平、法月康平、木村花代、東山義久、囲み座談会

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今公演をもって充電期間に入ることが発表されているDIAMOND☆DOGS (D☆D)15周年記念公演シリーズ FINAL『DRAMATIC MUSICAL COLLECTION 2018』が、6月27日〜7月4日、銀座の博品館劇場で上演される。

リーダー東山義久を筆頭に、男性ダンス&ボーカルユニットとして多彩な活躍を続けて来たD☆Dは、初期にはメンバーの入れ替わりも多かったが、現有メンバー7人が固まって早くも10年近い時が流れた。その間にボーカル2人、ダンサー5人という枠組みもボーダーレスになるほど、個々メンバーが大きな成長を遂げ、ひと時も休まずに走り続けてきたという印象が色濃い。
そのD☆Dがここで一度立ち止まり、充電期間を設け、メンバーのうち小寺利光とTAKAがD☆D卒業という道を選んだのも、その個々の成長故という側面も大きいのだろう。それは非常に寂しいことでもあるのが正直なところだが、きっとD☆Dはこののち更なるステージに飛躍していくに違いないと信じられる。それだけ個々メンバーの輝きが、今のD☆Dを作り育ててきた。
 
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そんなD☆D現有メンバー最後の公演となるのが、D☆Dの人気シリーズのひとつ『DRAMATIC MUSICAL COLLECTION 2018』。ミュージカルの名場面、ビッグナンバーをD☆Dならではのダンスシーンも盛りだくさんに、ミュージカルコンサートを超えたミュージカルショーとして、ゲストを含めた全員で歌い踊るステージだ。今回のゲストはこの『DRAMATIC MUSICAL COLLECTION 』お馴染みのイ・ヒョン、法月康平、紅一点の木村花代、そして初参加となる泉見洋平。彼らを迎えてD☆Dのメンバーが躍動するラストステージに向けて、熱を帯びた稽古場が一部公開され、舞台の片鱗が浮かび上がった。

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稽古場に入った途端聞こえてきたのは『レ・ミゼラブル』のナンバー。泉見洋平マリウスと東山義久アンジョルラスは、実際に帝国劇場の舞台で共に同役を演じた間柄。こう来たか!と思わせられたほど、本格的な場面の再現に胸が高鳴る。D☆Dのメンバー、法月康平も革命を志向する学生たちに扮し、熱いソロ、そしてコーラスが展開されていく。木村花代がファンテーヌのビッグナンバー「夢やぶれて」を切々と歌うなど、場面のつなぎ方も非常に自然で、見応えあるシーンになることは間違いなく、森新吾が自身も場面に入りつつ、また演出家として細かい指示を出していくごとに場面が引き締まっていくのがわかり、ゾクゾクさせられた。

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休憩に入っても振りの確認、演出の確認など全員が止まることはない。和田泰右と法月が実に楽しそうにスマホを覗いているな…と思うと、それは実は振付の確認。和田から法月に振りが伝授されるのだが、まるでちょっとした手遊びをしているようにしか見えないのに「もうバッチリです!」と二人がクルクル踊り出すのにびっくり。中塚皓平が180度の開脚でやはりスマホを見つめているのも、一般人の目から見ると完全に異次元の世界だ。

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こうして稽古は振付を含めて実に真剣に進んでいくのだが、その真剣な場面の只中で、東山が中塚にいきなりパンチを入れて「馬鹿じゃないの?」と中塚が抗議しながら、笑いながら、でも平然と稽古が続いたり、ちょっととてもここでは書けないようなワルフザケが飛び出して、全員が大爆笑になるシーンも。ここにこの二人がいるのも最後なんだな…とこちらがちょっと感傷的にカメラのレンズを向けていると、気づいた小寺利光が満面の笑みでピースサインを送ってくれたり、咲山類とTAKAが並んでいるだけでやっぱり絵になったりと、稽古場自体の雰囲気がまるで高校の部活動のよう。あくまでも自然体で、仲が良くて、稽古自体を楽しんでいて、でもやる時はやる!というメリハリが、D☆Dの舞台の楽しさの秘密を解き明かしてくれるようなひと時になった。

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そんな公開稽古の後で、泉見洋平、法月康平、木村花代、東山義久が、囲み取材の形で公演への抱負を語ってくれた。

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高校の部活動みたいな稽古場

──お稽古たけなわというところですが、今の感触はいかがですか?
東山 このシリーズは4回全部出ていますが、オープニング等毎回共通している部分はあるものの、ほとんどが新曲で、曲数も多く今回は40曲ぐらいありますから、覚えることがとても多いですね。今、1曲、1曲やっていっているので皆さん大変だと思いますが、ご覧になった通り楽しんでやっています。
──高校の教室に入ったような気持ちも少ししました。
東山 男子高の部活みたいでしょう?(笑)花ちゃん(木村)はいるけど。
木村 私は今回2回目なんですけれども、今回はまだ大人しくて(笑)、前回はもっと中学生っぽかったですね(笑)。ちょっと大人になって高校生になりました(笑)。
東山 (笑)今回、紅一点で。
木村 そう、紅一点。女性1人なのは今回初めてだと聞いてびっくりして、こんな私でいいのかな?と思ったのですが、たぶんあまりにも女の子、女の子した人はこのメンバーに入りにくいのでは?(笑)と思うので、結構男っぽい私は普通に馴染めています。(泉見)洋平ちゃんとは『ミス・サイゴン』で一緒でしたし、知っているメンバーばかりの中で和気藹々と、男子高校生たちに混じって(笑)、楽しくやらせて頂いています。

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泉見 僕は今回初参加させて頂いているのですが、久しぶりに『レ・ミゼラブル』をご一緒させて頂いていて。一緒に帝劇でやってから、9年ぶりくらい?
東山 うん、そうですね。
泉見 それだけの月日が経っているのに、最初の形をつけてもらってから何回も繰り返しているうちに、当時の感覚が戻ってきて。音楽ってすごいな、時間を超えるんだなと感じています。花ちゃんとは『ミス・サイゴン』で一緒だったのですが、今回はクリスを歌わせてもらっているので、違う立場でデュエットをしていて。同じ舞台に立っていて、着替えながらとか(笑)、何百回と聞いた曲なのですが、こんなに難しかったのかなと。
木村 本役でやっていた役もあれば、違う役を歌う場面もありますものね。
泉見 そうそう。『レ・ミゼラブル』の場合は演じていたマリウスだしね。双方面白いですね。
法月 僕は3回目なんですけれど、一番思うのは初めて出た時と違って、D☆Dさんの場面にも「ここノリ出ちゃっても良いんじゃない?」と、おこがましいのですが、D☆Dさんの一員のような感じで出して頂けるようになっているのが、見せ方という意味では成長しているのかな?と自分でも思っています。
木村 ゲストという感覚ではなくなっているのよね?
法月 そうですね。馴染んでます。
東山 もう入っちゃえば?(笑)
法月 それはないんですけど(爆笑)、この世界観に馴染んでD☆Dさんの中に溶け込んでいる感じになったのが、稽古をしていて楽しいです。

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日替わりの場面を含めて盛りだくさんな見どころ

──『レ・ミゼラブル』のシーンはやはりとても盛り上がりますね。
泉見 アイコンタクトしたりすると、あぁ、こうだった!って当時が蘇るね。
東山 そうそう、あぁこうしてたと、どんどん思い出すものがあるので、きっとご覧になるお客様にも楽しんで頂けると思います。
──森新吾さんの演出についてはどうですか?
木村 遊び心がすごくて。こちらが「この曲歌えるかな…」と思っている時にでも、とてもフランクに振り付けてくださるので、楽しんでやれています。
泉見 そう、その振り付けでもD☆Dさんは皆さんすごいじゃないですか。パパパパッとどんどん振りがついていって。僕はそこまでダンスのシーンには出ていないのですが、それでも「右、左、右、左」という感じながら(笑)、ご一緒させてもらって、やはり普段のコンサートとは全然違う感じがするし、現場が面白いです。
法月 僕は今回すごく好きな作品のソロを歌うのですが、その作品の中では踊るシーンではないところで、今回やっぱり踊りながらそのシーンを再現するんですね。でも場面が出来てみると、見せ方が違うだけでちゃんと作品が表現されている。それがやっぱり他にはないものだし、僕の表現の中にダンスの引き出しを増やしてくださったのはD☆Dさんであり森さんなので、すごく感謝しています。
東山 40曲ある中で、皆さんが色々な役になって出てくるので楽しんで頂ける構成になっていますね。皆でワイワイガチャガチャやるシーンもあれば、『レ・ミゼラブル』のコーナーのようにガッツリ場面を再現して、台詞も歌も芝居もする場面もあるので、お客さんに新たな洋平君の一面を見てもらえたり、という発見もたくさんあるように作られています。

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──それぞれご自身の場面で特におススメの見どころは?
東山 本当にいっぱいあるんですけど、やはり洋平君ともう一度という『レ・ミゼラブル』のコーナーはすごく楽しみですし、初めて歌うデュエットがあってとても素敵な歌なので、ちゃんと歌えれば(笑)、素敵なシーンになると思います。
泉見 全然知らない作品のナンバーにも今回チャレンジさせてもらっていて、今まではどちらかと言うと声を張って歌い上げるナンバーを多くやっていたのですが、抑えて歌うなど違う部分を引き出してもらっている気がするので、新たな面をお見せできるように頑張ります。
木村 私は前回に引き続いてイ・ヒョンさんと『オペラ座の怪人』を歌わせて頂きます。やはり自分の中でもとても思い入れのある作品ですし、ファントムを歌ってくださる方がいないと歌えない曲なので、今回の機会に舞台の上で歌わせて頂けるのがとても嬉しいです。この1曲があるだけで、自分の中のプレッシャーは大きいのですが、お客様に楽しんで頂けるように歌いたいです。
法月 このステージは稽古に入る前に「何を歌いたい?」と訊いて頂けて、しかも結構それを採用してもらえるんですよ!
木村 そうなのよね!
法月 それがすごく嬉しいんですが、好きな曲を歌うだけで終わってしまうとカラオケになってしまいますから、この舞台で歌っている意味を見つけて歌っていかないといけないと思っていて。そこが課題でもありますし、僕はイ・ヒョンさんと日替わりですけれども歌わせて頂ける日があるので、それはすごく楽しみです。
──日替わりの場面もあるのですか?
東山 そうですね。2幕に日替わりコーナーがあります。
──では、何回も行かないといけないんですね?
木村 そうなんです!何に当たるかわかりませんから!
東山 毎日来てもらいたいです!

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ゲストではなく、仲の良いメンバーの一員として

──この公演はD☆Dさんが充電期間に入られる前の、現有メンバーでのラストステージという大きな意味合いもある舞台なので、そこに参加されるということも含めて意気込みをお願いします。
法月 僕は本当にこの2年くらい、D☆Dさんとご一緒させて頂く機会が急激に増えて。
東山 メンバーじゃないの?(笑)
法月 メンバーじゃないんですが(笑)。
東山 準メンバーくらい?(笑)
法月 いや「準」でもないんですが(爆笑)、D☆Dさんの舞台があって自分が呼ばれていない時に寂しいなと感じるようになってきていて。D☆Dさんに必要として頂ける意味が自分の中でどんどん明確になってきての今なので、充電前の最後の作品に参加させてもらえるのがとても嬉しいです。自分の魅力を出すというのはもちろんなのですが、その上でD☆Dさんとの時間を大切にしてやっていきたいと思います。
木村 私はD☆Dさんのショーに参加させて頂くだけでなく、観客としてもたくさん観させて頂いていて。舞台上でも魅せますけれども、こうした稽古場でも1人ひとりが本当にマルチで、個性的で、特別な存在の人たちがひとつに集まって、これだけの長い期間よくここまで仲良くいられるなというのが、不思議で仕方がなくて。
東山 リーダーの器ですね(笑)。
木村 あぁ、そういうことにしておきましょう(爆笑)。でも本当に刺々しいところを感じる瞬間が全くないんですね。それがやっぱりこのメンバーが築き上げてきたもの、実績なのかなと思っています。本当に仲の良いこのメンバーで観られるラストということなので、私もゲストという形ではなくて、この舞台の一員としていられるように真摯に向き合っていけたらいいなと思っています。このステージはミュージカルを観たことがない人、ちょっとだけかじった人、ものすごく良く知っている人、どんな方でも楽しんで頂けると思います。それほどたくさんの作品が入っていて、見ても聞いても楽しい場面が目白押しになっています。ミュージカルコンサートはたくさんありますけれども、D☆Dさんの『DRAMATIC MUSICAL COLLECTION』はダンスがたくさん入ったショーの要素が多い、クオリティの高いスパイシーなものなので、今ミュージカルがまたとても盛り上がってきていますから、多くの方に是非観に来て頂いて、今後もこのメンバー1人ひとりを応援して頂けたらと思います。
東山 ありがとうございます。

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泉見 全部言われちゃったのですが(爆笑)。でもD☆Dさんの節目の舞台に初めて呼んで頂けて、共演できることが光栄です。おそらく初めてお目にかかるお客様もたくさんいらっしゃると思うので「なんでこの人が出て来たの?」と言われないようにしないと。
東山 そんなことはない!(笑)
木村 そう、ない、ない!(笑)
泉見 「こんな大事な公演に、なんであなたが出ているの?」ってなったらね。
法月 いやいやいや!(笑)
東山 大丈夫だよ!(笑) 
泉見 ですからこのカンパニーの一員として、1曲1曲心をこめてステージに刻んでいけたらなと思います。
東山 僕らはゲストの皆様と言っていますが、お三方がゲストではなくメンバーの一員と言ってくださるぐらい嬉しいことはありません。本当に15年の歴史の中で色々なセッションをやってきて、これが最後という言い方をするのかどうなのか?ではあるのですが、D☆Dはすごく面白いスタイルを創ってきたとは思うんです。ディナーショー、LIVE、こうしたショー、そして旅行にも行く(笑)。それぞれにファンの方がいらして、色々な提案をしてこられたという気持ちがあります。僕らは皆確かに仲が良いですけれども、新吾が演出をするようになったのをはじめ、個々がそれぞれの役割りを果たしてきて、皆が互いにリスペクトしながら稽古場では遊んでいる(笑)。その今のメンバーでということでは、今回が最後ということになると思えば感慨深いものがあります。でも終わるということははじまることだと思っているので、イ・ヒョン君も含めてこのメンバーとバンドの方達とで、次につながるような素敵なショーを創っていきたいと思っています。劇場でお待ちしています!

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※尚、D☆Dメンバー7人での囲みインタビューも近日公開予定です!お楽しみに!

〈公演情報〉
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DIAMOND☆DOGS 15周年記念公演シリーズ FINAL
『DRAMATIC MUSICAL COLLECTION 2018』
構成・音楽監督◇宮誠
演出・振付◇森新吾
出演◇泉見洋平/東山義久、法月康平、イ・ヒョン/木村花代 
DIAMOND☆DOGS (森新吾、小寺利光、中塚皓平、和田泰右、咲山類、TAKA )
●6/27〜7/4◎博品館劇場
〈料金〉9,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉博品館劇場 03-3571-1003
http://theater.hakuhinkan.co.jp/pr_2018_06_27.html



【取材・文・撮影/橘涼香】



ミュージカル『GRIEF7』


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人気シリーズ おん・すてーじ『真夜中の弥次さん喜多さん』三重(みえ) 間もなく開幕! 藤原祐規・佐藤祐吾 インタビュー

弥次喜多本番3020

しりあがり寿による漫画を原作にした舞台、おん・すてーじ『真夜中の弥次さん喜多さん』シリーズの第三弾、おん・すてーじ『真夜中の弥次さん喜多さん』三重(みえ)が、6月21日からシアターGロッソで上演される。(24日まで)
脚本・演出を川尻恵太が手掛け、奇想天外な世界観を歌あり踊りあり笑いありで見事に再現したその舞台は、毎回好評を博している。
その公演で、初演から弥次郎兵衛役の唐橋充と共にW主演として喜多八を演じている藤原祐規、そして今作が初出演となる佐藤祐吾に、作品への意気込みを語ってもらった「えんぶ6月号」のインタビューを別バージョンの写真とともにご紹介。

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藤原祐規・佐藤祐吾

改めて原作を読み返すと
「これをやっていたのか!」と

──『三重』上演が決まってどう感じましたか。
藤原 次はどうなるんだろう? と思いました。『双(ふたつ)』が決まったときもそうだったのですが、すごく嬉しい半面、どこをどう舞台化するのかなっていう。3作目なので「こういうものができる」というイメージはついていますが、それでも改めて原作を読み返すと「これをやっていたのか!」みたいな感覚もあるので。また挑戦者の気持ちでがんばっていきます。
 
──「こういうものができる」は、初演より『双』のほうが広がりましたか?
藤原 広がった気がします。だから今回はさらに、今までになかった感想も持って帰ってもらいたいな、とも思っていて。全体じゃなく1シーンとかでもいいんですけど、『真夜中の弥次さん喜多さん』の新しい一面を見せたい。そこはがんばっていきたい部分ですね。

──佐藤さんは出演が決まっていかがですか?
佐藤 『真夜中の弥次さん喜多さん』は原作も舞台もすごく好きな世界観なんです。やりっぱなしみたいな部分が面白くて。ただそれをどう演じるのか、現段階ではビジョンが全然浮かばないので(笑)、楽しみ6割・不安4割という感じです。『双』に出ていた(石田)隼くんに連絡したら「何かあったら祐規さんを頼れ!」と言われました。
藤原 連絡はもらいました。「不安がっている」と。
 
──そういうとき、藤原さんはどうするんですか?
藤原 一緒に飲みに行って話を聞いてあげるとかですかね。ただ新キャストは全員同じ不安を抱えていると思います。

──何が求められる現場ですか?
藤原 脚本・演出の川尻さんはアイデアがすごく豊富な方なので、その場で「こうやってみようか」ということも多いんです。だからアイデアを出すことももちろん大切だけど、対応力も求められるんじゃないかな。
佐藤 僕はこういう感じの舞台が初めてなので…どうなるのかな。自分の殻を破るのは楽しみです。

弥次さんと喜多さんが
芯の通った二人でいること

──藤原さんは、これまでの2作はどうやって作ってきたのですか?
藤原 やっぱり最初は「どうやればいいんだろう」っていうのはありましたよ。ただ、初演の途中で、弥次さんと喜多さんが芯の通った二人でいれば、この世界観は構築しやすいんじゃないかと気付いて。二人に軸があるからこそ、周りがどれだけむちゃくちゃやっても耐えられるし、そういうふうにしたいとも思って作りましたね。
佐藤 正直、弥次さん喜多さんのことが原作を読んだときは、よくわからなかったんですよ。でも舞台で観て、「あ、弥次さんと喜多さんがいる」と思いました。
藤原 お、ありがとうございます。
佐藤 そういう意味でも、原作が好きな人もお芝居が好きな人も楽しめる作品なんじゃないかと思います。
 
──そういう作品に初挑戦するのはいかがですか?
佐藤 僕は昨年、OFFICE SHIKA REBORN『パレード旅団』という作品で、「鹿殺し」さんの“劇団魂”をイチから教わって芝居観が変わったばかりで。だから今回、自分がどんなお芝居ができるか楽しみでもありますね。

──藤原さんは楽しみにしていることはありますか?
藤原 今回も唐橋さんとやれることですね。唐橋さんって人間的には弱点だらけな人なんですけど(笑)、演劇が大好きで、経験があって、技術があって、そして魅力があるので、また一緒にやれることがとても幸せです。


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藤原祐規・佐藤祐吾

ふじわらゆうき〇三重県出身。主に舞台・声優として活躍中。主な出演作品は、舞台『最遊記歌劇伝』シリーズ、舞台『PERSONA3 the Weird Masquerade』シリーズ、ミュージカル「しゃばけ」シリーズ、アニメ『CHAOS;CHILD』、『アイドル事変』、『曇天に笑う』などに出演。
 
さとうゆうご〇埼玉県出身。俳優、声優として舞台やアニメで活躍中。主な出演作品は、ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン、ライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』。舞台『弱虫ペダル』〜箱根学園新世代、始動〜、OFFICE SHIKA REBORN『パレード旅団』、舞台『ハンドシェイカー』、アニメ『あめこん!! 雨色コンベンション』、『雨色ココア』、『Promised Town』など。

〈公演情報〉
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おん・すてーじ 『真夜中の弥次さん喜多さん』三重(みえ)
原作◇しりあがり寿
脚本・演出◇川尻恵太(SUGARABOY)
出演◇唐橋 充 藤原祐規/佐藤祐吾 芹沢尚哉 深澤大河 大海将一郎 岩 義人 田代哲哉 コロ(ピヨピヨレボリューション)  松本寛也 湯澤幸一郎 ほか
◎6/21〜24◎東京ドームシティ シアターGロッソ
〈お問い合わせ〉http://www.clie.asia/on_yajikita/



【取材・文/中川實穂 撮影/友澤綾乃】


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劇団青年座『安楽病棟』に看護師役で出演する若手女優 世奈インタビュー

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帚木蓬生の小説を原作に、青年座が本多劇場で『安楽病棟』を上演する。脚本は劇作家・演出家・俳優として大きな注目を集めているシライケイタ。今回、初めて青年座に脚本を提供する。また演出は青年座気鋭の演出家磯村純が手がける。この若い二人をリーダーに、青年座老若男女21名の俳優たちによって演じられる。

【ものがたり】
お地蔵さんの帽子と前垂れをひたすら縫い続ける女性。サーモンしか食べない女性。
深夜引き出しに放尿する男性。老人会の催しでおてもやんを踊る女性。
様々な症状の老人たちが暮らす認知症病棟。人生の終幕を生きる彼らにも輝かしい時があった。
医師や看護師の介護により、日々を懸命に生きるある日、一人の老人がなくなった。その後、相次いで起こる患者の急死。それらの死に疑惑を抱いた若い看護師は、事実の裏に隠された終末期医療に対するある思いを知り、そして・・・。

シライケイタによると「小説の中で描かれている認知症病棟の患者たちの生活空間を軸に、”小説から演劇へ”三次元に立ち上げ、魅力的な演劇作品として転生することを目指す」という。そして本作の最大のテーマである「安楽死問題」に真正面から向き合い、「生と死」について深く考察し、「日本、世界、そして人間のこれから」を観客と共に考える契機になることを望む。
そんな舞台で、若い看護師の役を演じるのが世奈。入団4年目、今年の4月、準劇団員から劇団員に昇格したばかりで、青年座期待の若手女優である。 

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看護の現場を見学
その大変さとやり甲斐を感じて

──世奈さんはこの作品で、看護師の役を演じるのですね。
山口という、まだ看護師になってまもない女性を演じます。山口は、この病棟に来て数ヶ月なので、慣れていなくて、色々なことが初めてで、動揺したりわからないことが出てきたりします。それを先輩に質問したり、教えてもらったりする中で、患者さんの現実の姿や、認知症病棟の日常なども、お客様に伝えられればと思っています。
──認知症の患者さんが沢山出てきますが、まだ20代前半の世奈さんにとっては、どこか遠い話ではないですか?
いえ、すごく実感のある話です。私は祖父母と二世帯住宅で一緒に住んでいて、祖父母はちょうど作品に出てくる患者さんたちと同じ年代なんです。今はとても元気ですが、これから先、この中に登場する患者さんたちのようになるかもしれないと思うと、他人事ではないと思いますし、見ていてすごく切なくなったりします。
──世奈さん自身のそういう気持ちが、新人の山口の新鮮な感受性に、うまく重なりそうですね。
そうなるといいのですが。山口はとにかく素直で真っ直ぐで、感じたことに対して正直なんです。でも、ただ明るいだけではなくて、信念を持って看護師を目指した女性なので、その芯を持って役を作っていきたいと思っています。
──確かに看護するには体力も必要ですし、とくに「認知症病棟」は綺麗事では片づけられないような現実もあると思います。
この作品に出演するにあたって、看護の現場を見学させてもらったんです。想像以上に現場は大変で、私はこの台詞を言っているけど、ちゃんとわかってなくて言っていたなと考えさせられました。ただ、その大変さも含めてやり甲斐を感じて働いていらっしゃるんです。そこに改めて感動しました。私もそのやり甲斐を感じている山口になろうと思いました。
──劇中で、先輩看護師の城野が、患者さんににっこりされたり、喜ばれることで自分も救われているというようなことを口にしますね。
そうなんです。「ケアすることで自分もケアしてもらっている」と。とても素敵な言葉だなと感動しました。それに、これも原作に出てくる言葉で、「患者さんとして接するよりも、一期一会、人と人との出会いとして考えると、すごく愛着が湧く」と。この作品には20人以上の登場人物が出てくるのですが、その1人ひとり、生き方も違いますし、それぞれの人生があるんですよね。そのことをすごく感じさせてくれますし、私自身、この人の人生をもっと知りたいという気持ちにさせられるんです。1人ひとりがとても面白くて、お客様もたぶんご覧になるのに忙しいのではないかと(笑)思うくらいです。
──脚本はシライケイタさんが書かれていますが、「生と死」を捉える中で、年を取っても「恋愛」や「性」とは無縁ではないという話も出てきます。
私の台詞なのですが、「寿命ある限り、命の火を燃やし尽くすぞという執念を感じます」という言葉があって、本当にその通りだと思います。年齢に関係なく人間の中で燃え続けているものだと思います。

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パワフルな大先輩たちに囲まれて
負けていられない日々

──そんな患者さんたちを、今回は青年座の大先輩の方々が演じているわけですが、同じ稽古場で見ていていかがですか?
皆さんすごく生き生きとされていて、すごくパワフルで刺激を受けています。最高齢は児玉謙次さんなのですが、いつもダジャレをおっしゃって楽しませてくださるし、ほとんどの先輩と初めてご一緒するのですが、面白いし、お元気で、この方たちから沢山のことを吸収させていただきたいと思います。負けていられないなと(笑)。
──年齢は違っても俳優同士ということでは対等ですね。
山口がお薬をあげるシーンなどでも、皆さん、毎回違うことを試されたり、「今日はこうしてみましょうか」と一緒に作っていってくださるんです。ですから私もアプローチを変えてみるとか、日々、色々なことを試していけるのが楽しいです。
──山口の上司にあたる看護主任の浅井は津田真澄さんが、先輩看護師の城野は小暮智美さんが演じています。それぞれ青年座を代表する女優さんですね。
津田さんは私の初舞台『天一坊十六番』をはじめ、私が出演した青年座の公演は全部ご一緒して、本当にお世話になっています。小暮さんは今回初めてご一緒するので、すごく楽しみです。お二人ともすごい女優さんで尊敬していますし、思い切り飛び込んでおいでと言ってくださるので、全力でぶつかっていきたいと思っています。

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研究所に入らないまま
準劇団員の試験に合格!

──世奈さんは入団してから4年目で、今年4月、正式に劇団員になったそうですが、演劇を志した動機は?
もともと通っていた学校には「スピーチコンテスト」という、朗読や話を覚えて発表するイベントがあったんですが、そこに何回か出たことがあって、自分はこういうことが好きなんだなという気持ちがありました。
──楽しかったのですね?
楽しかったです(笑)。母にも「全然緊張してなかったね」と言われるくらい伸び伸びやれたし、聞いてくれる人たちの反響が良いと嬉しくて。それで、これを続けるためにはどこに入ればいいのかなと迷っていたときに、たまたま母が見たテレビで舞台芸術学院が紹介されていて、直感でここに行きたいと思い決めたんです。
──舞台芸術学院(以下、舞芸)に入ってから、ダンスや歌、お芝居などを勉強したわけですね。
そうです。そこで初めて基本を色々学びました。ダンスも歌も好きでしたが、やはり演技すること、いわゆる「上演実習」が一番好きでした。
──そして舞芸を卒業したあと青年座に入団するわけですが、その経緯は?
青年座に入るためには、まず研究所に入らないといけないと思って、舞芸の方に受験の相談をしたところ、研究所を卒業しなくても準劇団員として入る試験もあると教えていただいたんです。そこで、まず準劇団員の試験も受けてみようと。まさか合格するとは思わなかったので,本当に嬉しかったです。
──研究所を経ずに準劇団員に合格するケースは珍しいそうですね。それだけ期待されての入団ということですが。
もちろんプレッシャーも大きいですが、それ以上にとても光栄なことだと思っています。
──同期には『砂塵のニケ』で主役に抜擢された那須凜さんもいるなど、皆さん優秀ですね。
入団同期は私を入れて6人(演技部5人、演出部1人)で、その中の5人は研究所からでしたから、最初はそこにどうやって入っていこうとドキドキしました(笑)。でもみんな優しくて、すぐ受け入れてくれて、私も知らない人たちだからこそ自分を思い切り出せたところもあって、どんどん仲良くなれました。
──切磋琢磨し合う部分もあるでしょうね。
本当にすごく刺激を受けています。入団1年目は稽古場付きで、いつも一緒にいたのでわからなかったのですが、そのあとはバラバラになって、それぞれ別の公演に出るようになると、お互いのことがすごく気になるんです。がんばっているのを観ると嬉しくなりますし、私もがんばろうと思います。お互いに高め合って一緒に上がっていきたいです。

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この物語の何が正しいとか
間違っているとかではなく

──入団してから青年座では3作品に出ていますが、これまでで印象深い役はありますか?
昨年、演劇鑑賞会の例会で首都圏ブロックを巡演した『からゆきさん』に参加したのですが、その中で演じたモモヨという役が、自分の中ではとても印象に残っています。からゆきさんたちの中でもまだ若くて、明るくて天真爛漫な女の子なのですが、運命は切なくて。あの役は出会えてよかったし、どこか縁を感じながら演じていました。もっともっとやってみたいと思える役です。
──『からゆきさん』は青年座の財産の1つですね。青年座に入ってから観た中で一番好きなもの、あるいは気になっている作品は?
そんなに沢山観ているわけではないのですが、やはり『ブンナよ、木からおりてこい』はすごく好きです。あの作品は青年座だからこそ創られた作品で、青年座の俳優たちだからこそ演じられる作品だと思います。さまざまな生き物の生と死が出てきますが、それは色々な世代の俳優がいる青年座だからこそで、ブンナはネズミの死から命を引き継ぎますが、そこは60年の伝統を次の世代に引き継いでいく青年座の歴史と一緒です。人が受け継いでいくものとか、そこに流れている魂など、観る人の心にすごく伝わるものが多い作品だと思います。
──その青年座で、これから世奈さんはどんな女優さんになっていきたいですか?
引き出しを沢山持っている女優さんになりたいです。今までは明るくて元気のある役を演じる機会の方が多かったのですが、そうでない役も演じる力を身に着けていきたいです。作品ごとに別人のようになれる役者さんをみると格好良いなと。どんな役もできるようになりたいし、それには色々な自分を見つけること、日々起きる感情を覚えておくことが大事かなと。そういう役がきたときにバンと出していけるようにしておきたいです。
──まずはこの『安楽病棟』での、世奈さんの山口に期待しています。では最後に観にくるお客様へのアピールを。
この作品はたぶん、どんな方にとっても他人事ではない話だと思います。何が正しいとか間違っているとかではなく、ご覧になってこの作品に描かれている空気を共有して、それぞれに何かを感じていただければと思います。ぜひ劇場へいらして、一緒に『安楽病棟』を体感していただければ嬉しいです。
 

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せな○東京都出身、2015年入団。主な出演舞台は、2017年『からゆきさん』全国公演(モモヨ役)、2016年『横濱短篇ホテル』全国公演(カオリ役)、2016年『天一坊十六番』 青年座劇場(合唱隊)、以上青年座公演。外部公演は、2017年『僕の東京日記』本多劇場(土橋郁代役)、2016年『フィルメーナ・マルトゥラーノ』青年座劇場(ディアーナ役)。

〈公演情報〉
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劇団青年座232回公演
『安楽病棟』
原作◇帚木蓬生「安楽病棟」(新潮文庫刊)
脚本◇シライケイタ
演出◇磯村純
出演◇児玉謙次、名取幸政、山野史人、永幡洋、長克巳、嶋崎伸夫、堀部隆一、石母田史朗、鹿野宗健、岩倉高子、阪上和子、藤夏子、山本与志恵、吉本選江、五味多恵子、野沢由香里、津田真澄、小暮智美、井口恭子、世奈、橋本菜摘 
●6/22〜7/1◎本多劇場
入場料(全席指定・税込)一般5,500円 初日3,500円
※O65(65 歳以上)5,000円 U25(25 歳以下)3,500円 グループチケット20,000円(同一日5枚)
※青年座のみ取扱い・当日受付精算のみ・O65 割引、U25 割引は身分証提示
〈お問い合わせ〉劇団青年座 0120-291-481(チケット専用 11時〜18時、土日祝日除く)

 


【取材・文/榊原和子 撮影/友澤綾乃】





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「ジョンソン&ジャクソン」の新作『ニューレッスン』まもなく開幕! 大倉孝二・ブルー&スカイ・池谷のぶえ インタビュー

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大倉孝二とブルー&スカイによる演劇コンビネーション「ジョンソン&ジャクソン」が、新作『ニューレッスン』を掲げてみたび登場! 今回はいとうせいこう、池谷のぶえという強力なゲスト俳優2名を招き、ナンセンス演劇ファン待望の公演となる予感が。
「稽古中に出演者4人で話し合う場を設けたい」と語るジョンソン&ジャクソンが目指す「自称・くだらない演劇」とは!? えんぶ6月号に掲載されたスペシャルな座談会をご紹介する!

「僕らの理想に理解がある人」を選びました!

──ゲストのいとうせいこうさん、池谷のぶえさんはどのような経緯で決まったのでしょうか?
大倉 僕もブルー&スカイも「少人数でやりたい」という意見は一致していて、あとは人選。
ブルー 僕らがやっていることをよく知ってくれている人を。
大倉 要は「僕らの理想に理解がある人」を選びました。男2人なので、まず女性を入れたいねということで、僕が「池谷さんが良いと思う」と言ったら、ブルー&スカイも「俺もそう思っていた」と。
池谷 有り難いことです。
大倉 池谷さんが決まり、更に誰を呼ぶか? が悩みどころでした。しばらくして、ブルー&スカイが「せいこうさんが出たいと言っていたのを聞いたことがある」と言いだした。最初は「そんなの絶対ウソだよ」とか話していたけれど、結果引き受けてもらえて。
ブルー ダメもとでした。
──出演オファーを受けた際、池谷さんはどんなお気持ちでした?
池谷 すっごく嬉しかった。嬉しかったのと同時に、前にジョンソン&ジャクソンに出て以来(※14年の『窓に映るエレジー』)、ナンセンスには出ていなかったので、少し怖いというか「……忘れてないかな?」と。この2人が求めるナンセンスはそんじょそこらのナンセンスではないでしょうから。でも日程も大丈夫だったし、これは是非やりたいなと。

出演者4人で稽古以外の時間を設けたい

──現時点の構想で構いませんので、『ニューレッスン』に関するお話を聞かせて下さい。
ブルー 今回は稽古をするだけでなく「もっとくだらなく出来ないか?」とか、そういう話し合いが出来たらいいなと考えています。出演者4人で稽古以外の時間を設けたい。
大倉 それありきの人選でした。これが面白いかどうかをジャッジしてもらえる人、という意味合いもあります。
池谷 そんな。恐れ多い。
大倉 もちろん人それぞれ好みがあるので、全部ジャッジして欲しいとは思ってないけれど。でもブルー&スカイが言ったような時間は是非作りたい。
ブルー エチュードをやってから台本を書き下ろすのではなく、台本は大倉さんと僕が書きます。それをやってみて「どうかな?」という話し合いをみんなで。
池谷 「見たこともないような“何か”を探せたらいいね」という話は聞いています。これは見たことがあるとか、そういうことはみんなでチェックしていく。
ブルー それを稽古場でやりたいです。

作品全体に「こういう奴もいるんだよ」という空気を

大倉 ブルー&スカイがチラッと言っていたのは、ギャグっぽくしないで、やりとりの面白さでくだらなくしたいという。最近よく言っているよね?
ブルー 今回やるかどうか分からないですけど、いま興味があるのは、台詞のフレーズが面白いとかではなく、不条理劇というか、理屈がオカシイ感じ。それが好き。
大倉 ナンセンスはやりとりが断絶されるんですよ。成立しているけど、ちょっと噛み合っていない、どう考えてもヘンだ、そういうことを狙っていると俺は受け取っているのだけれど。
ブルー そうです。
池谷 実現したら面白そう。
ブルー それは僕の心の隅にあることなので、そうならないかもしれません。
大倉 さっき言った「せいこうさんと池谷さんに僕らを指南して欲しい」みたいなことも含めて、今回、僕らがやりたいことと芝居の内容をだぶらせて考えている節があります。例えば、人に認められなかったり、人と分かち合えないような感覚ってあるじゃないですか。そういうモノを持っている人達がくだらない意思の元に集まって……みたいなイメージ。
池谷 へーえ、面白いね!
大倉 やらないかもしれないけど。
池谷 え、そうなんだ(笑)。
大倉 「くだらない」と言われるものは好き嫌いが分かれるし、面白みの分からない人には「何これ!?」となっちゃう。
池谷 ほんとそうですよね。
大倉 でも僕らはそれしかやりたくない位の勢いだから。それを「どうせ分かってもらえない」みたいにやるとイヤな感じになるけれど、そうじゃなくて「こういう奴もいるんだよ」という空気が作品全体にあったらいいなと。

自分達がやるのであれば、くだらないこと以外やりたくない

大倉 わざわざ自分達がやるのであれば、くだらないこと以外やりたくない。ブルー&スカイは、多分それ自体もやりたくない。
ブルー くだらない芝居はやりたいよ。
大倉 そうなの? やりたくないかと思っていた。
──「ナンセンス」や「くだらない演劇」に対する情熱は、今も昔も衰えていない?
ブルー 衰えていると思いますけど、いざやるとなれば、情熱は変わらないです。
大倉 それに関して、ブルー&スカイは真面目だし熱いです。
ブルー くだらない芝居が一番感動出来る。僕にとって、ですけど。
──池谷さんはどうですか? 情熱。
池谷 ブルー&スカイくんと出会い、旗揚げした劇団がたまたまナンセンスの濃い劇団になっていたので、「本当にそれが好きか?」と問われたら、正直疑わしい部分もあります。あるけれど、他所の公演でバカバカしいお芝居を観た時に、面白かったら悔しいし、ヘタクソだったら怒っちゃう。そういう、何て言うのかな? ナンセンスに対する監視癖(へき)みたいな、「ステキなものにしないと許さないぞ!」という感覚はありますね。ナンセンスを「好き」に置き換えることは難しいけれど、聖域を荒らされたら悔しいという想いは強いです。大好きとは全然思わない。苦しさもありますし。
大倉 こんなにカタルシスのないものは他にないですよ。モヤモヤしながら。
池谷 そう! 全く達成感がない。
大倉 やった感、やりきった感になりづらいものだよね。笑いの性質上、流れがあってドカンみたいなものではないから。やりながら、もやもやモヤモヤ。
──それでも、一番やりたいのはナンセンス。
大倉 僕はそうですね。

それくらい気概のある演劇界であって欲しい

──最後にこの公演の「目標」などを教えて下さい。
大倉 とりあえずチケットが売れたらイイなぁという目標が。あと、観に来てくれる人は「この4人のナンセンスに期待したい」と思うかもしれませんが、その期待に応えるというより、それと全く違うもの、更にひとつ超えるものを、稽古の中から生み出したい。一番やりたいことはそれですね。
ブルー 公演が終わった後に、もっと長く生きたくなるような達成感が……。
大倉 公演が終わると死にたくなっちゃうから?
ブルー それは公演に限らず。「人生って何だろう?」とか。
大倉 やめてくれるかな、そういうの。
ブルー そういう感覚がいまだにあるので、元気が出れば。
池谷 リハビリ公演になっちゃう。
大倉 1人しか得しねぇじゃん(笑)。
池谷 私、「くだらない!」と思った瞬間、何故か泣けてくることがあるんです。どういう涙か分からないのですが、今回も最終的に泣けたらいいなと。お客さんも泣かせるくらい。くだらなすぎて、みんなで泣けばいい。あと、こういう芝居に対して何かしらの立派な賞が貰えると嬉しいです。それくらい気概のある演劇界であって欲しい。
ブルー せいこうさんなら賞が貰えそうですけど。
池谷 え?
ブルー せいこうさん本人が賞を作ってもおかしくない。
大倉 自分が出ている作品に賞をあげるの? 興ざめだよ、そんなの。
池谷 あはははは。


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池谷のぶえ・ブルー&スカイ・大倉孝二

おおくらこうじ○74年生まれ、東京都出身。俳優。95年にナイロン100℃のオーディションに合格。以降、劇団の看板俳優の1人として多くの公演に出演する。劇団外でも様々な舞台作品、映像作品に出演。14年にブルー&スカイと「ジョンソン&ジャクソン」を結成。今作『ニューレッスン』が3度目の公演となる。

ぶるーすかい○73年生まれ、東京都出身。劇作家、演出家、放送作家、俳優。94年に「劇団猫ニャー(後に「演劇弁当猫ニャー」と改名)」を結成、04年の解散まで全作品で作・演出を担う。14年に大倉孝二と「ジョンソン&ジャクソン」を結成、15年に「フロム・ニューヨーク」を結成する。

いけたにのぶえ○71年生まれ、茨城県出身。俳優。94年にブルー&スカイらと共に「劇団猫ニャー(後に「演劇弁当猫ニャー」と改名)」を結成し、看板女優として活躍。劇団解散後も多数の舞台作品、映像作品に出演する。ジョンソン&ジャクソンへの参加は第1回公演『窓に映るエレジー』に続き2度目。

〈公演情報〉
jj2018

ジョンソン&ジャクソン
『ニューレッスン』
作・演出◇ジョンソン&ジャクソン(大倉孝二 ブルー&スカイ) 
出演◇大倉孝二 いとうせいこう ブルー&スカイ 池谷のぶえ
●6/21〜7/1◎CBGKシブゲキ!!
●7/6〜8◎ABC Hall
〈お問い合わせ〉キューブ 03-5485-2252(平日12:00〜18:00) http://cubeinc.co.jp/stage/info/jj2018.html




【取材・文/園田喬し 撮影/大倉英揮】



『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!2018』

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