稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

しあわせの雨傘

レビュー速報

中屋敷法仁演出、桜井玲香・藤間爽子のW主演舞台『半神』上演中!


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中屋敷法仁が演出、乃木坂46のキャプテン桜井玲香と日本舞踏家で女優の藤間爽子がW主演をつとめる、舞台『半神』が、7月11日から天王洲・銀河劇場で上演だ。(16日まで、7月19日から22日まで大阪・松下IMPホールにて上演)
 
劇団夢の遊眠社時代の野田秀樹が、人気漫画家・萩尾望都の短編漫画を原作として、萩尾と共同で舞台脚本化した舞台『半神』は、1986年に劇団夢の遊眠社で初演され、喝采を浴びた。その後、88年、90年に上演され、さらに99年には演出に大幅に手を加えてNODA・MAPで再演され、再び大きな注目を集めた。
今回はその名作戯曲『半神』を、劇団「柿喰う客」代表で舞台「黒子のバスケ」、舞台「文豪ストレイドッグス」シリーズなどの2.5次元作品まで手がける演出家・中屋敷法仁が、新たなキャストで上演する注目の舞台だ。

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醜い姿ながら、物覚えが早く高い知性をもった姉・シュラには桜井玲香、何をしても姉にはかなわないものの、他人の愛を一身に受ける美しい妹・マリアには藤間爽子。この結合双生児姉妹を主人公に、野田戯曲特有の言葉遊びとともに、詩的な美しさが織り込まれ、神話と現実が交差しながら描かれる。
 
その他の出演者も多彩な顔ぶれが登場。姉妹の先生役にはミュージカルから2.5次元舞台まで活躍中の太田基裕。老数学者/老ドクター役にカムカムミニキーナの作・演出家で俳優としても評価の高い松村武。父役に福田転球、母役に「柿喰う客」の七味まゆ味。さらに姉妹や先生を翻弄するユニコーン役永島敬三、スフィンクス役牧田哲也、マーメイド役淺場万矢をはじめ、化け物たちには「柿喰う客」の団員たちがキャスティングされている。

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【あらすじ】
痩せこけて醜い容姿ながら高い知能を持つ姉のシュラと、誰からも愛される美しい容姿だが知能が低く話すこともできない妹のマリア。だが2人の身体はつながっている。結合双生児の姉妹なのだ。醜さを自覚する姉のシュラは、無邪気で愛らしく周りの人々の寵愛を一身に集める妹のマリアを疎ましく思いながらも、マリアを支えつつ2人で生きていた。しかし、10歳を目前にして2人の身体はその負担に耐え切れず衰弱してしまう。救う方法はただ一つ、2人を切り離すこと。果たして、2人の行く先は…?
 
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壁のあちこちにある座れる突起物、そして八百屋舞台、そこを昇り降りしながら駆けめぐる役者たち。飛び交う掛け言葉と託されたメタファー。野田戯曲の持つ豊かな演劇性は損なわずに、だが中屋敷らしい仕掛けでメタ演劇的な面白さと新鮮さを感じさせる舞台だ。
桜井玲香は、知性は高いが愛に飢えているシュラの葛藤を膨大な台詞量の中で、切なく、だがエネルギッシュに表現する。中盤までほとんど台詞のないマリアの藤間爽子は、表情と動きだけで、手のかかる、だが愛らしく憎めない存在を伝えてくる。太田基裕は先生の誠実さと姉妹への優しさを感じさせ、老数学者/老ドクターの松村武が、野田戯曲への深い理解と自在な表現で、全体を牽引する。福田転球と七味まゆ味扮する両親、そして化け物たちは、中屋敷演出ならではの日常感と異物感があり、外枠も含め、ファンタジーには終わらせないという演出家の意図を体現する。
それにしてもこの物語に散りばめられた「問い」は、深く果てしない。美と醜、自由と不自由、生と死、さらに人間と神…分かちがたく、だが、分かたれずにはいない2つの命、命題…その答えの行き着く「果て」とは? 
余韻と想いがどこまでも残る、美しく哀しい物語だ。

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初日を前にしたメインキャストからコメントが寄せられた。

【コメント】
 
桜井玲香
幕が上がってからは、一気に駆け抜けていく、まさにジェットコースターの様な舞台です。最後までしっかりとついてきて頂きたいです!最終的に遊びゴコロを芽生えさせるところまで行くことが目標なので、自分が持つパワーの全てを使って、双子の姉であるシュラを演じたいと思います! 
 
藤間爽子
中屋敷さんの演出はとにかく動く動く動く! たくさん動きます。観客の皆様をひかせてしまうくらい、とんでもない演出を生み出す方です。大変なこともあったけれど、ピンクパンサーのぬいぐるみに毎日見守られながら笑いの絶えない楽しい稽古場でした。お稽古中、どんな時も一番に役者を信じてくれていたので、私は安心して自由にマリアを演じることができました。私にとって初めての舞台。「緊張や不安でいっぱいです」と言いたいところですが、全く不安はありません! 何故ならシュラがいつも横に一緒にいてくれるから!  

太田基裕
中屋敷さんの稽古場は、僕は二度目だったのですが、相変わらずテンションと発想とが混沌とする稽古でした。『半神』は難解な戯曲ですが、何か人間の根底にあるものがふつふつと湧き上がるような作品だなと思っています。いよいよ初日を迎えます。不安など、未知な部分がたくさんあります。しかしお客様に僕自身の想いや美学が伝えられるように精進していきたいと思います。楽しんでください。
 
中屋敷法仁
『半神』という原作がはらんだ複雑怪奇な迷路。そこにさまよう俳優たちの姿が、醜くも美しい。音楽にDE DE MOUSEさん、振付にスズキ拓朗さんという気鋭のクリエイターをお招きし、演劇らしい魔法と詐術が絡み合う、不思議な亜空間が誕生した。目撃されるすべてのお客様の「人生」という劇世界が、さらに豊かに広がることを願っている。

〈公演情報〉
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『半神』
原作・脚本◇萩尾望都   
脚本◇野田秀樹
演出◇中屋敷法仁
出演◇桜井玲香 藤間爽子/太田基裕/七味まゆ味 永島敬三 牧田哲也 加藤ひろたか 田中穂先 淺場万矢
とよだ恭兵 村松洸希 齋藤明里 エリザベス・マリー/福田転球 松村 武
●7/11〜16◎東京 天王洲 銀河劇場
※プレビュー公演 7月11日(水)
〈料金〉S席 7,800円 A席 6,500円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉イープラス 0570-06-9919(10:00〜18:00)
●7/19〜22◎大阪 松下IMPホール
〈お問い合わせ〉キョードーインフォメーション 0570-200-888 (10:00〜18:00)
〈料金〉7,800円(全席指定・税込)
〈チケット発売日 〉6月10日(日)
〈公式サイト hanshin-stage.jp



【取材・文/榊原和子 写真提供/ゴーチ・ブラザーズ 撮影/田中亜紀】

 

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蓬莱竜太の書き下ろし作品を宮田慶子が演出する『消えていくなら朝』開幕!

2.(左から)鈴木浩介、山中崇、高野志穂、高橋長英、梅沢昌代

時代をつかむ劇作家・蓬莱竜太と芸術監督・宮田慶子がタッグを組み、「現在」を描き出す舞台『消えていくなら朝』が、7月12日、新国立劇場 小劇場で演劇が開幕した。

新国立劇場の芸術監督を8年間務めた宮田慶子が、その最終作品にと熱望したのは、時代をつかむアンテナアイコン、と絶大な信用を寄せる劇作家・蓬莱竜太。とある家族を通して、仕事や日常生活というそれぞれの人生と、家族として断ち切れない絆の中で生きていく幸せを問う、渾身の新作だ。

【ものがたり】
家族と疎遠の作家である定男は、五年ぶりに帰省する。作家として成功をおさめている定男であったが、誰もその話に触れようとしない。むしろその話を避けている。家族は定男の仕事に良い印象を持っていないのだ。定男は切り出す。
「......今度の新作は、この家族をありのままに描いてみようと思うんだ」
家族とは、仕事とは、表現とは、人生とは、愛とは、幸福とは、親とは、子とは、様々な議論の火ぶたが切って落とされた。 本音をぶつけあった先、その家族に何が起こるのか。何が残るのか。

1.(手前)鈴木浩介(奥)高橋長英

主人公の劇作家・定男を演じる鈴木浩介をはじめとした実力派俳優陣が、宮田慶子芸術監督の最後の作品を彩る。家族だからこそ、どうしても言えなかった本音をぶつけ合う蓬莱竜太の衝撃作だ!

稽古場&コメント動画 

〈公演情報〉
新国立劇場 演劇
『消えていくなら朝』
作:蓬莱竜太
演出:宮田慶子
出演:鈴木浩介 山中 崇 高野志穂 吉野実紗 梅沢昌代 高橋長英
●7/12〜29◎新国立劇場 小劇場
〈料金〉A席 6,480円円 B席 3,240円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-9999



【撮影:谷古宇正彦】



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新橋演舞場『レビュー夏のおどり』千穐楽「高世麻央さよならショー&お見送りセレモニー」レポート

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7月9日、新橋演舞場にてOSK日本歌劇団『レビュー夏のおどり』が千穐楽を迎えた。
本公演がさよなら公演となるトップスターの高世麻央がこの日だけの「さよならショー」を行い、満場の観客に温かく迎えられ、客席からはすすり泣きとともに、「やめないで!」という声が掛かるなど、盛り上がりは最高潮を見せた。
歌劇の男役としての22年間の集大成のステージとなり、「さよならショー」では高世麻央ゆかりの歌に心を込めた。

〈1曲目〉
「歩き続けて」(名倉加代子作詞)
2016年新橋演舞場でのトップお披露目の際のテーマ曲。高世ソロ。
「歌って踊って やがて迎える千穐楽 (中略) あなたと歩き続けよう 果てしないこの夢を どこまで追っていくのだろう あなたと共に感じた喜び悲しみを いつまでも Forever take a dream どこまでも Forever take a dream」 

〈2曲目〉
昼の部では「Teaes」 高世ソロ。
夜の部では「Bright Day 輝く未来へ」(高世麻央作詞)高世ソロ。

〈3曲目〉
「Endless Dream」
2003年、OSK解散公演のテーマ曲を出演者全員で。

〈4曲目〉
「Thanks to all of you〜そうさこれからも〜」高世ソロ。
「終わりじゃない さようならじゃない 始まりの歌を歌おう 覚めない夢 消えない思い 一緒に紡いできたから Thanks to all of you そうさこれからも」

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最後には、涙を浮かべながら観客に最大限の感謝を述べた。
「高世麻央です。私は本日をもってOSKを卒業させていただきます。これまでたくさんの拍手、熱い想いをありがとうございました。男役に憧れ、OSKの群舞のあの一員になりたいと憧れ、歌劇学校へ入学し、OSK日本歌劇団に入団しました。2003年に解散の危機もありました。振り返れば、決して平坦な道のりではありませんでした。でも、私はOSKに出会えて本当によかったです。仲間に出会い、そして皆様と出会うことができました。来るべき100周年に向け、OSKは一歩ずつ前進しています。皆様、どうぞこれからもOSKのことを愛し続けてください。私もこれまでとは違う角度からOSKを愛し続けていきたいと思います。いま、幸せな気持ちでいっぱいです。ありがとうございました!」

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カーテンコールでは、早くも開催の決定した、来年3月新橋演舞場『レビュー春のおどり』、4月大阪松竹座『レビュー春のおどり』と、7月京都南座『レビュー in Kyoto SUMMER SPECIAL』の公演が発表された。

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公演終了後には、新橋演舞場の劇場正面玄関から出てきた高世麻央が、最後までファンに見送られて劇場をあとにした。



【資料提供/松竹】 




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ナイロン100℃結成25周年記念公演第二弾、新作『睾丸』開幕!

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ナイロン100℃の新作舞台『睾丸』が、7月6日、東京芸術劇場シアターウエストにて開幕した。(7月29日まで。のち新潟、宮城、いわき公演あり)
 
劇作家・演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)が率いる劇団、ナイロン100℃は2018年に結成25年を迎え、今春、記念公演第一弾『百年の秘密』(再演)を上演、各地盛況のうちに幕を閉じた。そして早くも記念公演第二弾、新作『睾丸』が開幕した。この舞台は、三宅弘城、みのすけという劇団の看板男優を中心に、劇団員が出演。さらに坂井真紀、根本宗子、安井順平、赤堀雅秋という実力派の客演陣が顔を揃えている。

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物語は、1993年と1968年、ふたつの時代を結ぶ、25年の因縁のドラマ。
1993年、赤本健三(三宅弘城)宅の居間から始まる。健三の妻・亜子(坂井真紀)は深夜に届いた電報を眺めていた。電報は、遡ること25年前、健三や亜子がまだ学生であった頃の仲間の死を知らせるものだった。健三と亜子には、娘の桃子(根本宗子)がおり、さらに亜子の弟・光吉(赤堀雅秋)が健三宅に居候し、光吉の元には別れた元妻の浩子(新谷真弓)が、頻繁に通ってくる。そんな健三宅に、ある日、古い友人の立石伸高(みのすけ)が、「自宅が火事にあい焼け出された」と唐突に転がり込んできた。
健三と立石、そして亜子は、25年前、リーダーの七ツ森豊(安井順平)と共に学生運動をしていた。立石の登場により、忘却の彼方に追いやってきた、25年前のパンドラの箱が開き始める…。

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“四半世紀の歴史を持つ劇団の未来を問う新作“と銘打たれた、本作品『睾丸』。二人の男の複雑な過去をめぐる人間ドラマであり、どの登場人物たちも一筋縄ではいかないバックグラウンドが潜んでいて展開に目が離せない。劇団員、客演陣の確かで豊かな演技力もあって、劇団の底力を感じる作品となっている。

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〈公演情報〉
ナイロン100℃ 46th SESSION 『睾丸』
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:
三宅弘城 みのすけ
新谷真弓 廣川三憲 長田奈麻 喜安浩平 吉増裕士
眼 鏡太郎 皆戸麻衣 菊池明明 森田甘路 大石将弘/
坂井真紀 根本宗子 安井順平 赤堀雅秋
●7/6〜29◎東京公演 東京芸術劇場 シアターウエスト
●7/31〜8/1◎新潟公演  りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場
●8/4◎宮城公演 えずこホール(仙南芸術文化センター)
●8/11・12◎いわき公演 いわき芸術文化交流館アリオス 中劇場
〈ナイロン100℃ HP〉http://sillywalk.com/nylon/index.html



【資料提供/キューブ】





チケット全品セール中!


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爽やかに熱く、感動とともに去っていくトップスター高世麻央。OSK新橋演舞場公演『レビュー夏のおどり』上演中!

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涼しげな青がよく似合う爽やかな男役であり、同時に炎のような紅もまた映える熱いスター高世麻央。『レビュー夏のおどり』は、彼女のその2つのカラーを象徴するようなコスチュームと明かりが、鮮やかに心に残る舞台だ。そんな高世麻央のラストステージ、新橋演舞場での初日が7月5日開幕した。(7月9日まで。9日はさよならショーも上演)

OSK日本歌劇団には1996年入団、22年間在籍する中で、解散の危機やその後の苦難も乗り越え、2014年9月、トップスターに就任した。2016年からは3年連続で、この新橋演舞場で『レビュー夏のおどり』の上演を実現させてきた。その思い入れ深い劇場での「さよなら公演」は、高世麻央を送り出すにふさわしいOSKらしいレビュー、エンターテインメント性に富んだクオリティの高い舞台に仕上がった。

第一部はOSKの定番でもある和物レビュー『桜ごよみ 夢草紙』。構成・演出・振付を手がけている西川箕乃助が「高世本人の思い入れのある作品・場面を中心としたレビュー」(パンフレットより)というコンセプトで、オープニングからOSKの象徴とも言うべき桜をモチーフに構成。94期の初舞台生10名の“桜姫”を交えて、東京公演参加の38名が平安朝の優雅な衣裳で舞い踊る、華やかで豪華な「オープニング」で幕を開ける。
 
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次の場面は「鏡の夢」、振付を変えながら何度も繰り返し上演されているもので、楊琳、真麻里都、愛瀬光という若手男役3人が、鏡の中に映る高世の若衆とともに端正に踊る。
 
そのあとは趣を変えて、歌舞伎の所作事で有名な「釣女」、桐生麻耶のコメディセンスが光る。大名に若手の虹架路万、大名が釣りあげる上臈に朝香櫻子、太郎冠者が釣りあげる醜女に緋波亜紀と特別専科のベテランが活躍。

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続いて、高世の女役の美しさが見られる「楊貴妃」、さらに貴公子・高世を堪能できる「光源氏」と、優美な和の世界が繰り広げられる。「楊貴妃」では玄宗皇帝に扮した桐生との別れを思わせるシーンが切なく、「光源氏」では高世源氏を囲むように踊る公家たち、楊、真麻、虹架、愛瀬の姿が頼もしい。

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そこから一気に賑やかな「民謡メドレー」へとなだれ込み、〈浪花小唄〉から〈お江戸日本橋〉までご当地ソングが歌い継がれ、桐生を中心に見事な群舞が繰り広げられる。
終盤に入っての「蝶の道行」は、この公演で高世の相手役をつとめている可憐な舞美りらとデュデット。さらに「葉桜」では白藤麗華を中心に桜の精たちとともに舞う。そのなかで背景の桜が葉桜へと色を変え、移りゆく季節が鮮やかに表現される。

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再び平安朝へと景色が戻るといよいよ「フィナーレ」。風格の朝香櫻子や緋波亜紀、そして初々しい初舞台生までが居並ぶ中に、匂い立つように貴公子の高世麻央が登場。艶やかな総踊りのあと、その美しい姿を隠すように第一部の幕が降りる。

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第二部は洋物レビューの『One Step to Tomorrow!』。作・演出・振付を担当する名倉加代子ならではの格好いいダンスシーンが次々と押し寄せる、パワフルで勢いのあるステージだ。
「オープニング」は高世以下総勢28人によるシャープな群舞。そこから「虹の彼方」へと場面が変わると、高世、桐生、楊、真麻、虹架、愛瀬、華月奏と男役7人が、レインボーカラーをまとって踊る。高世、そして9月に退団が決まっている真麻、今この時しか見られないこの7人の並び、なんとも感慨深いシーンだ。

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次は「ローズファンタジー」、麻咲梨乃の振付でタンゴの名曲〈ジェラシー〉を舞美を中心に白藤麗華、遙花ここ、城月れい、麗羅リコ、実花もも、穂香めぐみが大人っぽく色香を醸しながら踊る。曲の半ばから高世や男役たちも加わり、9組のカップルで踊るタンゴが官能的だ。

続く場面はファンタジー要素のある「ストーム」。桐生扮する砂漠の長者と白藤扮する白い鳥は、嵐の中で迷った若者たち(楊、真麻、虹架)を助け、元の世界へと導いていく。文明と自然というメタファーを含んだ物語で、ストームの猛々しい群舞が見せ場だ。

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場面が変わると、高世にとってとくに思い入れのある曲をモチーフにした「This is the Moment」。黒燕尾の男役たちの一糸乱れぬダンスはトップスター高世の矜持を感じさせ、“今このとき”の心境を歌いあげるような絶唱が心に沁みる。
 
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次の場面は、舞美、白藤、遙花、城月、麗羅、実花がカウガールとなって登場、キュートに歌い踊る。そこから、お待ちかねOSKレビューの華、「ラインダンス」へ。初舞台生10名を交え、総勢19名のロケットは、爪先まで揃って美しい。

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いよいよクライマックスが近づく。赤い衣裳の高世の歌に合わせて、黒のスーツでカチッと決めた男役と娘役たちが踊る「今伝えたいこと」。高世は歌う〈今、旅立ちのとき、わたしに悔いはない〉。
そして、自ら感傷を吹き飛ばすかのように明るく踊り、客席に向かって語りかける。「今、私の心は熱い感謝に思いでいっぱいです。この熱い思いを、熱い熱い仲間たちとともにお届けします! ジャストダンス!」。掛け声とともに始まるジャズ、弾けるパワフルな群舞。仲間たちが次々に踊りながら高世に近づき、笑みを交わし、眼差しを交わし合う。幸せと優しさ溢れる光景なのに涙なしには見られない。全員の熱い思いがほとばしり、この瞬間よ永遠にとばかりダンスに命を注ぎこむ。

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ついに「フィナーレ」が始まる。白いスパンコールの燕尾で大羽根を背負って階段を降りてくる高世麻央。キラキラ光る瞳には、これまで築いてきた絆、託していく未来、そんな想いが浮かんでいるようだ。この素晴らしい公演、『レビュー夏のおどり』を花道に、新しい世界へと踏み出していく高世麻央。そして、その背中を見つめる仲間たちには、4年後、OSK日本歌劇団創立100周年という大きな明日が待っている。

【高世麻央よりコメント】
いつも大変お世話になり、ありがとうございます。
OSKでのラストステージとなります『レビュー 夏のおどり』の公演が本日より新橋演舞場で始まります。
皆様からたくさんのあたたかい応援をいただいて、ここまで頑張って来ることができました。
感謝の気持ちを込めて、メンバーみんなと心ひとつに『レビュー 夏のおどり』を最高のものにしたいと思っています。
一瞬一瞬を心に刻み、有終の美を飾ることができますよう全力で臨みます。
私はこの公演で卒業させて頂きますが、4年後の100周年に向かっているOSKの魅力がたくさん詰まった躍動感あふれる舞台、お一人でも多くの方に観ていただきたいです!!
どうぞよろしくお願い致します。

〈公演情報〉
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OSK日本歌劇団 新橋演舞場公演
『レビュー夏のおどり』
第1部 桜ごよみ 夢草紙
 構成・演出・振付◇ 西川箕乃助
第2部 One Step to Tomorrow!
 作・演出・振付◇名倉加代子
出演◇高世麻央 桐生麻耶 楊琳 真麻里都 舞美りら 白藤麗華 ほかOSK日本歌劇団 
●7/5〜9◎新橋演舞場
〈料金〉S席(1・2階席) 9,500円 A席(3階席) 5,000円(全席指定・税込) 
〈お問い合わせ〉チケットホン松竹0570-000-489(10:00〜18:00 年中無休・年末年始除く)
〈OSK公式サイト〉http://www.osk-revue.com
 

 

【取材・文/榊原和子 撮影/山崎伸康】


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