稽古場見学、記者発表、インタビューなどから、近々公開される作品のおもしろさを探ります。

観劇予報は2019年2月20日に引っ越しました。
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レビュー速報

アーサー王伝説から生まれた、孤独な青年王が生きた時代を描く新たな物語 OSK日本歌劇団『円卓の騎士』

OSK「円卓の騎士」楊&愛瀬

OSK日本歌劇団の男役スター楊琳、娘役筆頭スター舞美りらをはじめとした、精鋭メンバー13名で紡ぐミュージカル『円卓の騎士』が、東京銀座の博品館劇場で上演中だ(27日まで)。

『円卓の騎士』は、5世紀から6世紀にかけ、現在のイギリスにあるブリテン島で多民族の侵攻を撃退したと伝えられるアーサー王伝説を基に、荻田浩一が今回のメンバー構成と、自らの視点とで捉え直した作品。魔法使い、精霊、そして人が交わる神話の時代の終わりを舞台に、自己の存在意義に悩み苦しみながら、未来を切り拓こうとする王の生き様が描かれていく。

【STORY】
時は5世紀の末から6世紀にかけた頃。ローマ帝国は属州であったブリタニアを放棄し、様々な民族がひしめきあうブリテン島では、小国家が乱立し混乱の中にあった。そんなブリテン島に古くから住まう魔術師マーリン(愛瀬光)は、ローマ帝国に屈した一族の復権を願い、辺境の地ドゥムノニアで先王の遺児であるアーサー(楊琳)を育てる。マーリンの悲願と王子の宿命を負ったアーサーだったが、自らが真の王たる者なのかに疑問を抱き、湖の乙女(朝香櫻子)のもとを訪れ「これを引き抜いた者は王となる」と言い伝えられていた聖剣エクスカリバーを見事台座から引き抜く。だが真の王との証を得たはずのアーサーは、エクスカリバーに駆り立てられるが如く、果てることのない多民族との戦に突き進んでいく。すべてはアーサーを旗印として、日に日に魔力の弱まっていく魔術師の一族の王国を創ろうとするマーリンの計略通りに進んでいくかに見えたが、ある日アーサーはキリスト教を信仰し、魔術師の力を闇のものと考える隣国の姫君グウィネビア(舞美りら)に出会い、その闊達な精神と平和を希求する心に惹きつけられ、マーリンが婚姻を強く勧めていた、共にマーリンのもとで育ち、アーサーにとっては姉とも慕う存在だった魔女モルガン・ル・フェイ(城月れい)との婚姻を拒否し、グウィネビアを妃とする。
己の計画に不吉な影が差したことに憤るマーリンは、やはり魔女によって育てられたランスロット(翼和希)をアーサーの元に忠実な騎士として送り込む。それはいずれアーサーの自我がマーリンの思惑に従わなくなった時、アーサーに代わって王をすげ替える為の策略だったが、聡明で磊落なランスロットとアーサーは友情を深め、更に、戦いではなく和議によって国を守るべきとのグウィネビアの進言を得たアーサーは、誰もが身分の差別なく意見を交わせる円卓につく「円卓の騎士」の筆頭にランスロットを据える。アーサーの王としての自覚が強固になり、グウィネビアとランスロットが王の心を占めていくことに、更に焦りを募らせたマーリンは、政略結婚の駒としてだけでなく、真実アーサーを愛していたモルガン・ル・フェイの悲嘆が創り出した「命」モードレッド(実花もも)を円卓の騎士に加える。やがて魔力を自在に弄するモードレッドは、グウィネビアとランスロットに不義の疑いがあるとアーサーに思い込ませようとして……

OSK「円卓の騎士」麗羅、城月 

剣と魔法の物語としての「アーサー王伝説」は、おとぎ話ともファンタジーとも言える世界観の中で繰り広げられる冒険活劇であり、英雄譚であって、劇作家荻田浩一がそもそも誕生した場所である宝塚歌劇団でも、度々上演されてきた題材だ。そこにはもちろん史実としての正解はないし、特に騎士ランスロットとアーサー王の妃グウィネビアとが交わしたとされる不義の話し等は、幻想世界の中にあってはやや生っぽい香りがあり、様々な時代の価値観が重なりながら物語世界が構築されてきたのだろうという想像が容易に成り立つ。

そんな世界を荻田が、女性だけの歌劇団という共通項を持つOSK日本歌劇団で描くと聞いた時には、久々に歌劇の世界に広がる荻田ワールドへの夢が広がったものだが、そこはやはり一筋縄ではいかない鬼才のこと。紡ぎ出されたSTORYの中心になったのは、十分にファンタジーでありながらも、自らに課せられた使命や義務と、現実の自分とのせめぎ合いに悩み、苦悩する、極めて人間的で発展途上の青年王を中心に、次代の趨勢に抗う者と、真実の愛の行方とが複雑に絡み合う重層的な物語だった。ここでは人も、魔術師も、精霊も、誰もが自分の信念のもと、平坦ではない道を突き進んでいる。おとぎ話の「めでたし、めでたし」の展開は誰の上にも訪れないが、それでも誰もが悩み苦しみながら、自分の足で立とうとしている。
と書けばストレートにわかるように、この物語の筋立て自体が「OSK日本歌劇団」というオンリーワンの存在のあり方そのものに通じている。男役も娘役も確かに自立していて、誰かが誰かに寄り添うのではなく、実力真っ向勝負でぶつかり合い、それ故に団結もしている。すでにこの劇団でで大人数の大レビュー作品と、小劇場のレビューとを創っている荻田は、劇団独自の魅力をこの剣と魔法の世界にちゃんと具現して、新たな「アーサー王伝説」を生み出した。主要な登場人物がたっぷりと書き込まれている為、1幕の展開にはやや長さを感じさせるが、張り巡らされた伏線が綺麗に回収されていく2幕に勢いがあって、全体のバランスも良い。

OSK「円卓の騎士」楊&舞美

そんな作品で苦悩する若き王を演じた楊琳の存在感が、更に大きくなっているのが頼もしい。この作品のアーサー王は英雄ではないし、むしろ「自分探し」に苦しむ極めて人間的な人物だ。親友と最愛の妃の不義の噂に心乱され、判断を誤っていく過程は、ある意味ではカッコ悪いとさえ言えるかも知れない。それでも様々な事柄に一喜一憂するアーサーを応援したい気持ちになるのは、楊自身がが十分に魅力的なのはもちろん、確かな演技力を有しているからこそだ。彫りの深い顔立ちからくる華やかさで、アクの強い役柄を演じることも多かった人だが、近年純粋な二枚目役や、ダンディーな大人の男も演じてきた蓄積が生きて、役幅が大きく広がっているのが素晴らしい。OSK次世代を担う期待の星と言われてきたのはもう過去の話で、今や新トップスター桐生麻耶に続く屋台骨の1人である楊が、ここまで大きく成長した姿を東京で見せてくれていることに深い安心感を覚えた。

その妃グウィネビアの舞美りらは、ひたすらに可憐な容姿の純娘役の風情の中にある現代感覚が、一気に生きる役柄に恵まれ、目が離せない魅力がある。勝気で活発で自分の想いを真っ直ぐに口にし、信じる道を王に進言もする「お姫様像」は、「白雪姫」から「アナと雪の女王」へと続いてきたディズニープリンセスの変遷に通じるものがある。つまり、「いつか王子様が」を夢見るのではなく「ありのままの」自分を肯定しようとする、「今の時代に受け入れられるお姫様」が舞美の資質を最も活かしたことは、今後のOSK日本歌劇団全体にとっても、大きな糧になるに違いない。

また前述したように主要な役柄の書き込みが極めて深い中で、ある意味では影の主役とも言える魔術師マーリンの愛瀬光は、登場した刹那から人ではない感を醸し出し、大きな衣装を自在に操る様が、アーサーを操ろうとするマーリンの思惑そのものとも感じさせて舞台に位置していた。楊をはじめ全員よく歌っているが、今回男役が歌うと考えると、相当に高いキーの楽曲が多い中で、持ち前の歌唱力も際立ち、貴重な実力派の本領を発揮していた。

OSK「円卓の騎士」楊・舞美、翼、愛瀬

歌唱力と言えばもう1人の雄がランスロットの翼和希で、抜群の歌声はもちろんだが、アーサーが「僕」と言いかけては「わたし」と言い直すのに対比するように、かなり現代的な話し方や立ち居振る舞いで、騎士の中の騎士を演じていたのが面白かった。仕える主であり親友でもある王の妃を、心の中で思うこともやはり不義と言えるのかどうか、というこの作品のグウィネビアとランスロットの関係は、幾多も編まれている「アーサー王伝説」の中で、非常に今日的でまた切なさもあり、その設定に相応しい騎士としてのスター性も十分。伸び盛りの勢いを感じる。

またモルガン・ル・フェイの城月れいは、一見これまでにも度々回ってきた、色気のあるポジションかな?と思わせて、実際は非常に純で真っ直ぐなアーサーへの愛を抱き続ける役柄を演じ、清心な雰囲気を纏って役幅が決して狭くないことを実証していたし、シルフィードの麗羅リコの、ダンサー揃いのOSK日本歌劇団の中にあって、更に際立つダンス力が、風の精霊の役柄にベストマッチ。重力を全く感じさせない踊りを堪能させてくれた。モードレッドの実花ももは、所謂ラスボスか!?とさえ思わせる役柄を、小柄な実花が演じるという意外性だけに留まらない地力を発揮。アーサーの臣下等の壱弥ゆう、椿りょう、雅晴日も戦士に妖精にと大車輪の活躍。壱弥と椿の1幕ラストの歌唱の確かさは、殊に印象に残った。グウィネビアに付き従う女官や妖精の凜華あい、純果こころの愛らしさも随所で目を引くだけに、女官のスカート丈はもう少し長めでも良かったように思うが、もちろんこれは本人たちの問題ではない。

そして、特別専科の朝香櫻子がはじめ名を隠して「湖の乙女」として登場する、その通り名に相応しい透明感を保っているのは見事の一言。代替わりしたOSK日本歌劇団の中でも、変わらぬ大きな力になっている。総じてOSK日本歌劇団ならではの、荻田浩一ならではのアーサー王の物語『円卓の騎士』になっていたのが嬉しく、短いながらも極めて充実感の高い麻咲梨乃振付によるフィナーレナンバーも含めて、見どころの多い舞台となっている。


〈公演情報〉
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OSK日本歌劇団
『円卓の騎士』
作・演出◇荻田浩一
出演◇楊琳、舞美りら、愛瀬光、翼和希、城月れい、麗羅リコ、実花もも、壱弥ゆう、椿りょう、雅晴日、凜華あい、純果こころ、朝香櫻子(特別専科)
●1/24〜27◎博品館劇場
〈料金〉SS席7,500円 S席6,000円 U-25(S席5,000円 A席(自由席)4,000円 
 A席学割
自由席2,000円
 はじめて割(1組2名様/S席)2名6,000円
 学生3人割(1組3名様/A席)3名4,500円
※当日券は前売価格に500円加算。各種企画券は要OSK日本歌劇団予約。1月27日(日)は適用なし。
今公演は先着順(各回20名)平日、土曜日限定で「高校生以下」A席(自由席)無料。要OSK日本歌劇団予約。(06-6251-3091、平日10時〜17時)※観劇当日に要学生証提示。
〈問い合わせ〉博品館1階 TICET PARK  03-3571-1003(10時〜20時) 
〈公演HP〉http://www.osk-revue.com/category/schedule#




【取材・文/橘涼香 舞台写真提供/OSK日本歌劇団】 




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新感覚ミステリー舞台『Like A』room[002]開幕!

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歌やダンスはもちろん、ピアノの生演奏やラップといった最高級のエンターテイメントとミステリアスなストーリーで魅せる、新感覚ミステリー舞台『Like A』room[002]が、1月12日、全労済ホール/スペース・ゼロにて開幕した。(20日まで)

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舞台『Like A』は、『Club SLAZY』シリーズで演出・脚本を務めた三浦香、脚本の伊勢直弘、振付の當間里美、楽曲制作のAsu(BMIInc.)、最強タッグのスタッフ陣が送る、完全オリジナル舞台。2018年2月に新宿FACE にて上演され、大きな話題を呼んだ。
海沿いの静かな街 High-Tide[ハイタイド]に立つ、一軒の高級ホテル『PERMANENT(ペルマネント)』そこで巻き起こる物語の行方は・・・・隠し合う感情と、真実を歌い踊る男たちの新感覚ミステリー第2弾だ。

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【Story】
『PERMANENT(ペルマネント)』は、5つ星以上のホテルの格付け最高位にあたるパラスとして認定されている超高級ホテル。それだけ宿泊料金は想像を越えるものとされ、訪れる客を見ることは奇跡と言われている。
それゆえ、そこで働くホテルマンにとっての日常は暇そのもの。しかし何故だか経営が潤っているこのホテルの従業員たちはペルマネントのブランド力を落とすことがないようにと、日夜働いている。
ハイタイドの街に1年に一度の祝いの行事“セレブレートデー”が迫っていた。街を上げての行事の準備のため、ペルマネントは1日だけ、休館となる。
ホテルマンにとっても、過去を思い出す特別な日。苦い思い出にそれぞれ浸る1日がやってきた。

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前作の楽曲に加え、今作も『Club SLAZY』シリーズの楽曲制作を担当したAsuが新曲を書き下ろし!
ストリートテイストな曲からバラードまで、物語を彩る多彩な楽曲の数々に心が躍る!

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俳優はもちろん、ダンス、ボーカル、そしてラップと各方面で活躍する実力派のキャストが勢揃い。今作も平牧 仁演じるFC(エフシー)がピアノの生演奏を披露!

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今作では、海沿いの静かな街 High-Tide[ハイタイド]で巻き起こる幼なじみたち(BB、バトラー、インスペクター、キーパー)と、伝説の先輩(マーマ)、その弟子であったプチとメートルたちの過去の物語が語られる。『Like A』の大きな秘密と真実は、はたして明かされるのか、それとも深まるのか?
 
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【囲み取材コメント】

初日昼に公開ゲネプロとマスコミ向けのフォトセッションが行われた。 

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今井、磔、中谷、SHUN、石賀、辻、平牧、鎌苅、齋藤、岩、橋本 

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辻 凌志朗/BB(ビービー)役 (辻は一点しんにょう)
room[002]ではハイタイドの街を主に物語が進行して行きます。ホテルから出て、また一つ世界観を広げられる事はシリーズ物ならではの魅力です。それに『Like A』という世界に加え演出や楽曲、振り付け、衣裳など隅々までとてもモダンな作りになっていると思います。そう言った魅力を前面に押し出して、演劇界に殴り込んでいきたいと思います。 

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石賀和輝/バトラー役
濃い稽古の時間を過ごしてきたなか、もう初日なんだなと思っていて、みんな全力で稽古初日から突っ走ってきたので、その作品をお客様に届けてどういう反応をするのかすごく楽しみです。頑張ります。
 
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SHUN/インスペクター役
今回から凄くストーリーがグッと進むので、そこを演じるのは僕たちも楽しいですし、来て下さるお客さまをより一歩深いところに引き込めるのでは無いかと思っています。あとは、音楽もダンスもやっぱり『Like A』ならではの良さが凄く詰まっているので、1つのエンターテインメントとして観て頂けたらなと思います。 

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中谷優心/キーパー役
今回『Like A』room[002]という事で、2回目のキーパーを演じるんですけども毎回毎回、前回も1公演重ねる毎にこの役が愛おしくなってきて、それプラス4人組という団結力も前回に増してあると思うので、本当家族のような感覚になります。でも、逆に新たに挑戦できるところもあるのでそういうところに僕も挑戦したいですし、お客様にも観て頂けたらなと思います。 

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磔俊吾/アッシャー役
僕は初演から参加しているカンパニーなので、前回を超えるエンターテイメントをみせるということを、まず第一のハードルとして頑張っていきたいと思いますし、すごく謎が多く、たくさんのファンの方が待望というかすごく謎が気になっているところだと思うので、そういうところも含めてたくさんの人にみにきてもらえるようにみんなで一生懸命頑張っていきたいと思います。 

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岩義人/メートル・ドテール役
この『Like A』という作品は、お芝居やアーティストなどいろんなところで活躍している方が集結しているというのが強みかなと思っておりまして、2作目は他にはないパワーみたいなものが1作目より増して更に素敵になっていると思いますので、『Like A』の応援よろしくお願いいたします。

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齋藤健心/プチ役
今回は『Like A』に初出演という事で、元々『Like A』の世界観を作り上げてきた主演の(辻)凌志朗さんやキャストみなさんの作品への想いや愛をしっかり受け継いで今回の作品に臨めたら良いなと思っております。稽古をしてきてみんなで一丸となれて、この作品が好きだと思いました。この世界観のままお客さまに伝えられたら良いなと思います。 

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今井 稜 橋本有一郎

橋本有一郎/ベル役
初演に引き続き、ベルとしてこの作品に携われて無事に初日を迎えられてとても嬉しいです!お客様に楽しんでもらえるように全力で踊って表現したいと思います。また前作を経て今回でさらにチームワークも強まったと感じるので一体感も味わいながら見ていただければ嬉しく思います。 

今井 稜/ポーター役 
前作に引き続き、また今作も出演させていただき本当に嬉しく思ってます!!自分は台詞が皆さんと比べて少ない分、ダンスで皆と語り合ったり、それをお客様にお届け出来たらと思っているので、そちらの方も注目して頂けますと幸いです。 

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平牧 仁/FC(エフシー)役
『Like A』というのは、極上の音楽と極上のミステリーをこちらが携えて、最上級のおもてなしのその上を目指してお客さまを迎えるという心情で私はやっています。その中で新しいマーマやプチというキャラクターが入り物語が大きく動くところなので、エンターテイメントとしてダンスだったり演出だったり音楽自体がとても素晴らしいのは勿論ですが、舞台として物語が面白く光と影の演出となっていくので、是非そういうところも楽しんで下さい。まるっと五感をフルに使って楽しめる舞台だと思っていますし、席によって全然見えるものが変わってくるのが『Like A』のコンセプトだったりするので、ちょっと覗き見してるような気持ちも持ったりして頂いて、1度のみならず2度3度、全通して下さい! 
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鎌苅健太/マーマ役
僕は今回からの参加ですが、三浦(香)さん、伊勢(直弘)さん、當間(里美)さん、Asuさんがタッグを組んで、その面白いチーム、そしてラグジュアリーで謎多いミステリアスな中にまた僕という爆弾みたいな存在が入ってきますので、爆発を起こせればと思っております。素敵な作品になると思うのでこの時間を一緒に楽しんでください。 

〈公演情報〉

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『Like A』room[002]
脚本・演出◇三浦 香 
脚本◇伊勢直弘 
振付◇當間里美 
楽曲制作◇Asu(BMI Inc.) 
出演◇辻 凌志朗(「辻」は一点しんにょう) 石賀和輝 SHUN(Beat Buddy Boi) 中谷優心 
磔俊吾 岩 義人 橋本有一郎 齋藤健心 
橋本有一郎 今井稜
平牧仁(シキドロップ) 鎌苅健太
●1/12〜20◎全労済ホール/スペース・ゼロ
〈お問い合わせ〉
〈公式Twitter〉@clie_seisaku  

Ⓒ2019LikeA/CLIE
 





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大ヒット児童文学の舞台化! 舞台『妖怪アパートの幽雅な日常』開幕!

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人間より人間らしい妖怪や幽霊たちとの交流によって、両親を事故で亡くした孤独な青年が「人」として成長していく人間ドラマ、舞台『妖怪アパートの幽雅な日常』が、1月11日より紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて開幕した。(27日まで)

原作小説『妖怪アパートの幽雅な日常』は、2003年から2013年までに本編全10巻、外伝1巻を刊行、11年からは漫画家・深山和香によってコミック化され、現在も月刊少年シリウス(講談社刊)誌上にて連載中の妖怪ファンタジー作品であり、シリーズ累計で580万部が刊行され、第51回産経児童出版文化賞フジテレビ賞受賞した児童文学のベストセラー。魅力あるキャラクターと人情味あふれるストーリー展開は時代を越えて愛され、17年にはアニメ版が放送。今もなお新たなファンを増やし続けている。今回の舞台化では、上演台本は谷碧仁、演出は元吉庸泰が手がけている。

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【あらすじ】 
三年前に両親が他界し、伯父の家に引き取られた稲葉夕士16歳。高校からは寮に入り自立して・・・と思った矢先、寮が火事で焼けてしまった! なんとか探し出したアパートは、家賃2万5千円(!)という破格物件。だがそこにはオバケや妖怪が出るという……。
画家、除霊師、自称霊能力者、そして幽霊や妖怪など、人情味あふれる「クセ者」入居者に囲まれて、夕士のフツウの!? 高校生活が始まる。

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妖怪たちとの交流をモチーフにしつつも、人と人との「絆」や「コミュニケーション」をテーマに置いた原作は、利便性の陰で希薄になりつつある人同士の、リアルなつながりの大切さを描いた名作で、夕士の目線で描かれる、妖怪との日常を通して無くしていたものを取り戻していく心の成長物語だ。

【囲み会見】
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谷 佳樹、小松準弥、前山剛久、佐伯 亮

その舞台の公開ゲネプロとキャストの囲み会見が行われ、前山剛久(稲葉夕士役)、小松準弥(長谷泉貴役)、佐伯 亮(龍さん役)、谷 佳樹(一色黎明役)が登壇した。 
 
前山剛久(稲葉夕士 役)
僕が演じる稲葉夕士は高校一年生で、3年前に両親を亡くして伯父の家で育てられています。でも、高校入学と同時に入る予定だった学生寮が火事で焼失し、代わりに見つけたアパートにやってきたところから物語が始まります。いつもなら座長だとみんなを引っ張らないと!と思っているのですが、今回は周りに導いてもらう夕士と同じように、他のキャストに支えてもらったなぁ、と感じています。魂を込めて稽古に臨んできたので、素敵な作品に仕上がりました。この作品を観たあとに考えるのは「普通とは何か?」という事だと思います。僕にとっての普通と皆さんにとっての普通が違うのと同じで、相手のことを完全には理解できません。でも、この作品を観ると、その境界線を踏み越えていく勇気をもらえると思います。ぜひ観に来ていただいて「普通とは何か?」を考えていただけたら嬉しいです。

小松準弥(長谷泉貴 役)
この作品は、妖怪アパートを中心にした稲葉夕士の成長ストーリーで、僕が演じる長谷は、稲葉の親友として彼を見守り支える大切な役どころです。今回の舞台では長谷は舞台上にいるけれど、稲葉や皆には見えていない存在です。二人の手紙のやり取りから稲葉の過去が見えていくので、稲葉が誰からどんな影響を受けて成長していくのかを意識しながら演じたいと思っています。(この作品は、小説・漫画・アニメになっていますが)舞台なので、観に来ていただいた方にも生身の人が演じていることに意味がある、と感じていただけるものになっていると思います。

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佐伯 亮(龍さん 役)
龍さんは夕士くんを一番俯瞰して支えている役どころです。僕とは似ている点が少ないので、どう寄せていくかが一番大変でした。あと、いまの現状に満足しておらず、居場所がない夕士の悩みが全て龍さんにはわかっていて、こうした方がいいんじゃない?と選択肢を与える役なので、夕士くんを導く道筋を作っていくのは大変だなぁと思いました。でも、演じていくうちに時には厳しかったり、信じてあげたり、見守ってあげる龍さんの優しさを感じることができて、そこを大切にしたいなと思っています。登場する妖怪や幽霊がダンサーの三井さんのすごいパフォーマンスで表現されているので、そこは舞台ならではです。みんなで魂込めて作ったので、楽しんでいただけたらと思います。

谷 佳樹(一色黎明 役)
僕が演じる一色は、この作品の中でも、稲葉夕士との関わりが深い役どころです。親友の長谷とは違い、アパートの中で稲葉が悩んだりしたときに親のような目線で見守る役なので、そこを大切に全公演、演じたいと思っています。稲葉役の前山くんとは2年ぶりの共演ですが、久しぶりなので初めはお互いに様子を探りあっているところもあって、稽古では特に話し合うことはなくお互いにやりたいように演じていました。先日「お互いに成長したよね」と言い合ったくらい、前山くんの芝居や座長としての姿に変化を感じて、すごいなと感じています。タイトルにもあるように「日常」が夕士の目線で描かれているので、共感できる部分がたくさんあるんじゃないかなと思います。 

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〈公演情報〉
舞台『妖怪アパートの幽雅な日常』
原作◇香月日輪
漫画◇深山和香
脚本◇谷 碧仁
演出◇元吉庸泰
振付・ステージング◇三井 聡
出演◇稲葉夕士役/前山剛久 長谷泉貴役/小松準弥 龍さん役/佐伯 亮 一色黎明役/谷 佳樹
深瀬 明役/佐々木 崇 久賀秋音役/中村裕香里 佐藤さん役/相川春樹 クリ役/荒井 悠・猪股怜生(ダブルキャスト)
竹中役 他 /室井 響 博伯父さん役 他/石井英明 恵子伯母さん役 他/馬渡亜樹 恵理子役 他/永田紗茅 スペシャル・ダンサー/三井 聡 骨董屋役/細見大輔
●1/11〜27◎紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
〈料金〉7,800円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉公演事務局 0570-200-114(全日10:00〜18:00)
〈公式HP〉https://www.youapa-stage.jp
〈公式ツイッター〉@YouapaStage
 
c香月日輪・深山和香/講談社
c2018 舞台「妖アパ」製作委員会




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キューブ若手俳優サポーターズクラブC.I.A.初のライヴ「C.I.A.presents SUPER LIVE 2018」満員の熱狂レポート到着!

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一昨年12月に結成されたキューブ若手俳優の合同サポーターズC.I.A.。春と夏にファンとの交流イベントを重ね、12月28日〜29日に初のライヴとなる「C.I.A.presents SUPER LIVE 2018」を品川インターシティホールで開催した。2日間で3公演、全席満員の中、総勢18名のメンバーによる熱いライヴパフォーマンスが繰り広げられた。

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オープニング映像では、C.I.A.に指令(mission)を与える”紙袋総裁”が登場。素顔を隠した紙袋総裁から、SUPER LIVEをいかにして盛り上げるかmissionを与えられたC.I.A.メンバー達。ドラマ仕立てのオープニングムービーで、メンバーの俳優としての魅力も垣間見られ、どんなライヴになるのか期待が高まる。
オープニングナンバーは、当日の出演者総勢18人によるダンスパフォーマンス。いつもは映像や舞台で役を演ずる俳優たちの、迫力の群舞に一気に歓声が上がった。

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そこから、川原一馬、冨森ジャスティン、金井成大のユニット「シカク」のオリジナル曲『PEEKABOO』披露、加藤諒と坂口涼太郎を中心とした“個性派たち”によるダンス披露、さらに「テニスvsバレー」と題し、白洲迅、木戸邑弥、川原一馬、冨森ジャスティン、金井成大、永田崇人、井阪郁巳、神田聖司、木村風太による、某テニスと某バレーの舞台の歴代出演者が、卓球対戦をモチーフにしたダンスパフォーマンスを披露、悲鳴に近い歓声が起こった。
ライヴとともに進む、ドラマ映像の謎がどうなるのか先が気になる。

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続いて中谷優心と永田崇人のユニット「nagatani」のオリジナル曲『寝不足』を中谷優心のギター伴奏で披露。この曲は、作曲を中谷、作詞を永田が担当。二人のハーモニーが美しい。
そして木戸邑弥のギターと坂口涼太郎のピアノの弾き語りによる、いきものがかりの楽曲のマッシュアップデュエットメドレー。時にハーモニーが一つになり、また時にそれぞれ別の歌を奏で、一つのうねりをつくっていく、力強い組曲となった。

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畳みかけるように登場したのは、中谷優心、岩橋大、村上貴亮、菊池銀河によるミュージカルナンバーメドレー。4人の伸びの良いハーモニーが響き渡り会場は拍手喝采。

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そこからは一転、夏のイベントで映像出演していた伝説のラッパー“ソンデ金井”(金井成大)が、客席から煽りながら今回満を持して会場に登場。更にソンデ金井の”メル友”と紹介され、幻のボイパー“ニチカアクツ”こと阿久津仁愛が映像出演。今回ミュージカル『テニスの王子様』に越前リョーマ役で出演中のため、SUPER LIVEに欠席となった阿久津が、ラップバトルを盛り上げるボイスパーカッションを映像で披露した。ソンデ金井からの「disるラップではなく、ピースな褒めラップ対戦を」という条件を受け、客席から出たお題ワードを盛り込んだ即興ラップを川原一馬、冨森ジャスティン、永田崇人、神田聖司、林勇輝、市川理矩が披露。ビートに乗せて、即興ながらひねったリリックが飛び出す“褒め合戦”が繰り広げられた。

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続いて永田崇人と川原一馬のオリジナル曲『Try』の歌唱、金井成大のセクシー(?!)パフォーマンスや、冨森ジャスティンが謎の男“ハーフマン”に扮する爆笑の寸劇コント、“マジカルいくみん”こと井阪郁巳のイリュージョンショー、加藤諒のダンスパフォーマンス、永田崇人のオリジナル失恋ソング、白洲迅のギター弾き語り、花塚廉太郎、木村風太ダンスなどルーキー達によるセンターステージの初々しいパフォーマンス、等々…、ダンスあり、歌あり、ネタあり、爆笑ありの、キャストのアイデアが詰まった楽しい企画が続く。客席の中央に設けられたセンターステージに、客席横の通路を抜け次々にやってくるメンバー。間近に見られる距離感にファンはとてもいい笑顔だった。
アニソンや歌謡曲、ダンス曲のノンストップメドレーで客席は総立ちとなり大合唱となった。

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盛り上がりは最高潮に達し、メンバー全員が舞台上に集合。来場のファンに挨拶をし、一人一人が今日の感想を述べた。今回は、“メンバー発信”がテーマ。メンバー本人それぞれがやりたいことを提案し、ショーに作り上げていく作業をしてきたとのこと。普段は一俳優として、それぞれの仕事をするメンバーが、今回のライヴを通して、共にライヴを作り上げた手ごたえやファンとのつながりを感じているようで、年末に各地から集まってくれたファンへの感謝の言葉で溢れていた。最後に、今回、演出プロデューサーとして、メンバーをまとめライヴを率いた川原一馬が挨拶し、ファンへの感謝と皆と共に創ったライヴに感慨無量といった感じだった
最後はC.I.A.恒例のフォトタイムが設けられ、客席通路を通り、後方席の近までメンバーがやってくるシャッターチャンスを逃さないよう、笑顔でシャッターを押すファンの姿が印象的だった。

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ライブのエンディング映像には、missionをクリアしたメンバーの爽快な表情が映し出され、実はそのmissionを紙袋総裁の指示のもと、準備していたのが阿久津仁愛だったという驚きの結末。来場のファンはメンバーとともに、きっと充実の年末を過ごせたに違いない。

C.I.A.は2019年最初のイベントとして、1月14日に、SUPER LIVEを振り返りつつ、ファンと交流する、C.I.A. presents「NEW YEAR EVENT 2019」を開催する。
 

〈公演情報〉
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C.I.A. presents「NEW YEAR EVENT 2019」
出演◇加藤諒、木戸邑弥、川原一馬、冨森ジャスティン(17:30公演のみ出演)、金井成大、永田崇人、阿久津仁愛
坂口涼太郎、花塚廉太郎、市川理矩、岩橋大、村上貴亮、菊池銀河、神田聖司、林勇輝、安田啓人、木村風太
(※出演者は変更になる可能性があります。予めご了承ください。)
●1/14◎品川インターシティホール
〈お問い合わせ〉キューブ 03-5485-2252(平日12:00〜18:00)
〈C.I.A.オフィシャルサイト〉 http://cia.cubeinc.co.jp/



【資料提供/キューブ 撮影/桜井隆幸】





『プリシラ』


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文化庁・日本劇団協議会『Happy Families -A Greek Tragedy in London-』開幕!

12/13より中野 ウエストエンドスタジオにて、舞台『Happy Families -A Greek Tragedy in London-』開幕した。
デボラ・ラヴィンの原作を、河内喜一朗とスタジオライフの翻訳、倉田淳の上演台本・演出で上演している。
初日開幕レポートが到着した。ここに紹介する。

他者を許せない人々へ捧ぐ。あるLGBT カップルと家族たちの24 時間の物語

「HappyFamilies」舞台写真(撮影_沖美帆)-05

不寛容な現代社会を象徴する少年・トビーのエゴイスティックな正義感

許すこと。理解すること。受容すること。それはどれも、人が人と生きていく上で欠かせないものだと思う。許すことができない者は人を憎み続けるしかなく、理解することができない者は不満を抱え続けるしかなく、受容することができない者は差別をし続けるしかない。
そんな人生は、きっと寂しい。

「HappyFamilies」舞台写真(撮影_沖美帆)-01

『Happy Families -A Greek Tragedy in London-』を観て、ふとそんな想いがよぎった。
物語の中心人物は、ロンドンの高級住宅街で生活を共にするアランとメリック。ふたりは同性愛者のカップルだ。
穏やかに暮らしていたふたりの生活に波乱を招いたのは、一通の訃報。アランの元妻・エイミーが亡くなったと言う。
エイミーの死により、アランは離婚以来一度も会っていなかったふたりの子ども、17歳の娘・サフロンと15歳の息子・トビーを引き取ることとなる。しかし、サフロンもトビーも父が同性愛者であることは知らない。大きな秘密を抱えた再会は、やがてそれぞれの人生を変える事件を引き起こす。

「HappyFamilies」舞台写真(撮影_沖美帆)-02

タイトル通り、この作品は家族の絆の物語だ。息子のトビーは、母を不幸せにした父のことを憎んでおり、その一方でアランの恋人であるメリックも自身の父親と絶縁状態にある。家族だからと言って誰もが無条件で愛し合えるわけではない。むしろ家族だからこそ、許せないことの方がきっと多い。9年ぶりの再会は、この複雑な父子関係に雪解けをもたらすのか。
開幕けとともに、そんな目線でドラマの行方を見守った。

「HappyFamilies」舞台写真(撮影_沖美帆)-03

だが、2018 年の今、上演することにより、『Happy Families -A Greek Tragedy in London-』は「家族」という最小のコミュニティにとどまらず、もっと広く、現代における人と人のコミュニケーションについて疑問を投げかけているようにも見えた。

その問いを提起するのは、息子のトビーだ。
トビーはとても潔癖な性格の持ち主。家族を捨てた父だけでく、疑問が生じたこと、納得がいかないことについて、徹底的に追求をする。
その矢継ぎ早の質問は、周囲の大人たちを困らせ、疲弊させる。だが、トビーはそんなことは構いもしない。
白にも黒にもできない「グレー」の部分にこそ、人間のずるさや弱さ、逞しさや優しさが潜んでおり、だからこそ人と人は摩擦を最小限に抑えて、互助的に生きていけるというのに、15 歳のトビーにはそれがわからない。だから、トビーは何でも理詰めで考えて、論理で説明できない事柄に関しては理解も許容もしようとしない。
その完璧主義は、見方によれば独善的で排他的でもある。

「HappyFamilies」舞台写真(撮影_沖美帆)-04

そんなトビーの潔癖さは、父のアランに向かって牙を剥く。
トビーは、父を許さない。父を罵り、否定することが正義だと決め込んでいるようだ。その獰猛な潔癖さにアランは手を焼き、途方に暮れながらも、これからもう一度家族という関係を築いていくために、ずっと隠し続けていた自らのセクシャリティについて告白することを決める。

だが、独善的で排他的なトビーが、父のセクシャリティを理解するはずも許容するはずもない。
そんな15歳の少年の姿が、今の日本の映し鏡のように見えた。
不寛容な社会と言われて久しい。SNS の浸透により、世の中は、過ちを犯した者、自分とは異質な者を容赦なく叩き誹り嘲るようになった。しかも恐ろしいことに、そこに差別意識などなかったりする。むしろそうした攻撃の炎は、エゴイスティックな正義感を燃料としている場合が多い。
そして、どれだけ謝罪をしても、反省の弁を述べても、その炎は鎮火しない。なぜなら、許さない限り、自らは正義の人でいられるからだ。
トビーも、きっとそうなんじゃないかと思った。そして、父の過去の罪を許すことも受け容れることもできず、自ら縁を絶ち切ることで、均衡を保っているアランの恋人・メリックもきっと――許さないことより、許すことの方が、よっぽど難しい。

「HappyFamilies」舞台写真(撮影_沖美帆)-06

そんな人を許せない人間が、人から許されたときほど心乱されることはない。
最後に訪れたトビーの動揺と錯乱は、人を許すことも理解することも受容することもしない少年に与えられた、大人になるための宿題だ。しかも、その宿題を与えたのが、自らもまた父を許すことのできなかったメリックであるという、この構造が実に面白い。彼はあの激しい葛藤と狼狽を抱えて、どう生きていくのだろうか。それはまた不寛容な今を生きる私たちに与えられた課題でもあるのだ。


伸び盛りの若手と堅実なベテラン勢による上質な会話劇

スタジオライフと言えば、華やかな衣装と麗しき男優たちによる耽美な世界観が代名詞だが、本作はそれらとは一線を画した趣となっている。日本初演は1997年。「The other Life」と銘打ち、いつものスタジオライフとはまた違う顔を覗かせて、評判をとった。
その後、01年の再演を経て約17年ぶり3度目の上演となる本作は、文化庁と日本劇団協議会が主催する“日本の演劇人を育てるプロジェクト”の公演として、若手俳優の育成を目的に実施。十八番である壮大なスケール感や、煌びやかな演出を封印し、7人の俳優たちがひとつひとつの台詞に格闘しながら、丁寧に会話を重ね感情を紡ぎ上げることで、24時間の間に起きる急転直下のドラマに説得力を生んでいる。

「HappyFamilies」舞台写真(撮影_沖美帆)-07

“R.O.Y.チーム” からはトビー役の澤井俊輝、デレック役の鈴木智加寿、コスモ役の相馬一貴が新進演劇人育成公演の育成対象者にあたる。中でも秀逸な演技を披露しているのが、スタジオライフ第11期生(2012年入団)の澤井俊輝だ。まずは舞台に登場した瞬間から15歳の少年役として違和感なく存在できているところがいい。気難しく偏狭とも言えるトビーのキャラクターを硬質な台詞回しで表現し、会話主体の本作に機動力をもたらした。

そして、ベテラン勢が手堅い演技で若手を支えているから、新進演劇人育成公演と言っても脆さはない。
特にメリックの姉であるスベトラーナ役の石飛幸治が、ほぼ出ずっぱりで作品に程良い緩和と深さを与えた。
序盤はいかにも人のいいおばちゃんといった雰囲気。何気ない仕草や間のとり方で笑いを起こす。終盤のトビーとの対峙では場全体の手綱を力強く握って澤井をリード。ベテランの経験値を証明した。
スベトラーナの放った「うまく機能している「ファミリー・ライフ」なんてあるかしら?」という台詞が、作品全体を象徴するメッセージとして強く心に残った。

「HappyFamilies」舞台写真(撮影_沖美帆)-08

『Happy Families -A Greek Tragedy in London-』は12月23日(日)までウエストエンドスタジオにて上演。小空間だから愉しめる繊細な会話劇をぜひ堪能してほしい。

(文◇横川良明 撮影◇沖 美帆)

【公演情報】
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文化庁委託事業 平成30 年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業
日本の演劇人を育てるプロジェクト 新進演劇人育成公演
『Happy Families -A Greek Tragedy in London』
原作◇デボラ・ラヴィン
翻訳◇河内喜一朗 スタジオライフ
上演台本・演出◇倉田 淳
12 /13〜23◎中野 ウエストエンドスタジオ (住所 東京都中野区新井5-1-1)

●公式サイト[劇団スタジオライフ]
http://www.studio-life.com/


『暗くなるまで待って』


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