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松岡昌宏×土井ケイト×藤田俊太郎のタッグで描き出した希望の光『ダニーと紺碧の海』上演中!

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感情が交錯する男女の、ギリギリのバランスと噴出するエネルギーと、他者への憧憬を哀感を込めて描いた二人芝居『ダニーと紺碧の海』。この作品が、今最も注目されている気鋭の演出家・藤田俊太郎の演出、そして、アイドルバンドグループTOKIOの松岡昌宏と、さいたまネクストシアターで蜷川幸雄から絶大な信頼を得ていた土井ケイトの出演で、新宿・紀伊國屋ホールで上演中だ(21日まで。のち兵庫県立芸術文化センター阪急 中ホールで27日〜28日まで上演)。

『ダニーと紺碧の海』は、第60回アカデミー賞で脚本賞を受賞した『月の輝く夜に』をはじめ、幾多の受賞歴を誇るアメリカの劇作家、ジョン・パトリック・シャンリィによって1983年に書かれている。大都会の片隅で、それぞれに深い孤独の中に閉じこもっていた男と女が偶然出会い、互いの魂が共鳴していく様を描いた二人芝居の会話劇となっている。

【STORY】
ニューヨーク、ブロンクスの深夜のバー。1人の男と1人の女が、同じ空間で別々の時間を過ごしている。男の名はダニー(松岡昌宏)。繊細過ぎるが故に傷つきやすく、心の痛みを暴力によってしか吐きだせない彼は、他者と理解し合うことが思うようにできない。
一方、女の名はロバータ(土井ケイト)。日々の生活に疲れ、また過去に犯したある罪の記憶に苛まれ、悔やむあまりに、自分は幸せにはなれない、なってはいけないと心を閉ざしている。
いつか二人は、互いを認め、警戒しながらぎこちない会話を交わしていく。近づいては離れ、離れてはまたわずかに近づきながら、二人互いがどこかに共通するものを持っていることを感じたかのように、その距離を縮めて行く。
やがて、二人のエネルギーはぶつかり合い、傷口をさらけ出し、心の闇を見せあい、「帰らなきゃならないのに、帰る家がない」ダニーを、ロバータは自室に招き入れる。更に深く触れあっていく二人。やがてダニーは、かつて参列した結婚式の幸福を語り、遂にロバータに結婚を申しこむ。一瞬驚いたロバータだったが、すぐさまその申し出を受けいれ、二人は自分たちの結婚式をどう執り行うかを語り合い、かつて経験したことがないほどの安らぎの中で、深い眠りに落ちる。
だが、そんな幸福な夜が明け、孤独から解放されたと歓呼に満ちた朝を迎えたダニーに、ロバータはあれは一晩の夢だったのだと言い、帰って欲しいとダニーを突き離そうとして……。

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舞台に接してまず驚くのは、この作品が30年以上も前に書かれた戯曲だという点だ。おそらく情報として知らされていなかったら、この作品が現在、2017年を描写していると信じて疑わなかっただろう。それほどに、作品に登場するダニーとロバータという二人の男女の発する言葉、抱える心の傷、鬱屈するエネルギーには、「今」を感じさせる生々しいリアリティーがある。いや、むしろSNSを通じて千人を超える「ともだち」がいることが珍しくないのに、心を割って話せる、リアルに目の前で感情をぶつけ合える、たった1人の「親友」がいるのかという問いには答えをためらい、あたかもそうした親友がいないことが気楽なのだと振る舞う現代の風潮の中にこそ、この作品のリアルは更に深まっているように思えるのだ。
その鮮やかな「今」の空気感と生々しさを表出したのは、戯曲に寄り添い、二人の役者が発する言葉、表情、互いの距離を、丁寧に描き出した藤田演出によるところなのは明らかだろう。

舞台はタブロイド新聞の雑多な紙面で埋め尽くされた壁の前にある、深夜のバーからはじまる。あたかもそれは、あらゆる情報に取り巻かれていながら、そのどこにも居場所がないダニーとロバータの心を映し出したかのようだ。そこで、初めは舞台の端と端、遠く離れたテーブルに座り、黙々と飲み食いをしている二人が、少しずつ近づいていく様が、実に危ういバランスの中で示されていく。
それは近づいたかと思うと離れ、更に近づいたかと思うと、自分のテリトリーに入ってくるな!と恫喝するダニーの荒々しい叫びで、また引き離される。けれども、二人はそこを出てそれぞれの家に帰ろうとはしない。なぜなら、ダニーには「帰らなきゃならないのに、帰る家がない」。だからロバータは彼を家に連れて帰る。けれども、連れて帰る家があるロバータにとって、その家は帰りたい家ではない。

この閉塞感と、孤独と、それ故の他者の理解への渇望を、水道の蛇口から静かに流れ続ける水、蝋燭、ウェデングドレスの人形など、細かいしつらえと共に、役者たちの言葉と行動で伝えていく様には、息苦しいまでの濃い空気感がある。だからこそ、タイトルが示す通りに、ダニーが見た深い、深い、紺碧の海が現れる終幕の見事さには、心を鷲掴みにされる力がある。それは、現代人が実は強く求めていて、でも求めていると表明することさえできなくなっている、深い愛と他者との生のつながりの尊さを、示してくれるものに違いなかった。この優しさと、ロマン。それは、数々の賞賛を集めた『ジャージー・ボーイズ』の成果を引くまでもなく、藤田俊太郎の演出作品に常にある美しさに通じている。この人の紡ぎだす作品はいつも、哀しみを湛えるほどに美しく、尊い。

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そう改めて感じて思い返す記憶がある。それは、初めて藤田俊太郎という演出家に出会った時のことで、その端正なマスクに驚き、何故俳優になろうとしなかったのだろう、と反射的に思ったことだ。そして、藤田が初めは俳優を志していたことを知って得心したのと同時に、彼が演出家へと人生の舵を切ったきっかけはなんだったのだろうかと、また考えたものだった。その答えを、この作品に寄せた藤田の言葉が語っている。俳優を志した藤田はこの戯曲を愛し、自分はダニーそのものだとさえ感じて、演じることを切望したが、師である蜷川幸雄から、「この話は難しいから今の藤田には無理だと思う。もっとハードルの低い戯曲を選びなさい」と告げられ、これほど素晴らしい戯曲の言葉を、自分の身体は何一つ語ることはできないと知り、俳優人生の終わりを感じた」と。今思うとそれが彼の演出家としてのスタート地点だったのだそうだ。
蜷川は「今の藤田には無理だ」と言っただけで、それは未来の可能性を閉ざしたものではなかったのだと思う。それでも、演じることへの思いを断念するほどに、この『ダニーと紺碧の海』が藤田に与えた魂の共鳴が大きなものだったからこそ、今、こうして演出家としての藤田が手がけたこの作品を、舞台空間に奇跡のように現れた美しい紺碧の海を、観ることができた。そう理解した時、何か天命のような、深い感慨を覚えずにはいられない。この作品が演出家・藤田俊太郎を生んでくれたことに、一観客として感謝したい。

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そんな作品を、自らの身体で構築した二人、松岡昌宏と土井ケイトの、肉体をさらけ出し、魂の慟哭までもを語りつくした演技がまた素晴らしい。
 
ダニーを演じた松岡昌宏は、いうまでもなくバンド形態のアイドルグループ、TOKIOのメンバーだが、ジャーニーズのアイドルグループの中で、まずこの「バンド形態」という形が数少ない上に、担当楽器が力感のあるドラムであること。また大人気番組『ザ!鉄腕!DASH!!』での、身体を張った奮闘ぶりが、彼に与えている骨太な土着の雰囲気が、ダニーという役柄に完璧に生きている。
心の痛みを吐き出す術を、暴力にしか見出せないダニーは、その衝動の強さを制御できず、自らの暴力が人を殺したかも知れないという恐怖に苛まれている。この恐怖を押し隠すために、ハリネズミのように全身で周囲を威嚇し、他者が1歩でも近づいたら叩きのめす、という凶暴性を顕わにしている。そんな男が、一夜にして、内に秘めている幸福な結婚式への憧れを語るのだ。
そのにわかに信じがたいほどのピュアなもの、あまりにも繊細な心を、松岡は乖離させることなく、ダニーという1人の人間の中にある思いとしてきちんと表現してくる。その確かな演技力と存在感が舞台を引き締め、最後に他者のために「赦し」を授ける役柄を、演劇というある意味の幻想空間の中でリアルに息づかせていた。この力量はただならぬもので、舞台出演は4年ぶりということだが、是非、継続して演劇の世界でも活躍して欲しい人材だと改めて感じさせられた。

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対するロバータの土井ケイトは、蜷川幸雄が主宰したさいたまネクストシアター出身で、退団後も蜷川作品を中心に、数々の大役を演じてきた実力派だ。その才能はまず佇まいから表れていて、ロバータがダニーに威嚇されながらもなお近づいていくという、考えればかなり無謀な行動なのだが、冒頭からやむにやまれる衝動が秘められていることを醸し出してみせる。そのことで、見知らぬ、しかもかなりの凶暴性を秘めている男が「帰らなきゃならないのに、帰る家がない」ことを見抜いて、女性が自室に招じ入れるという展開に無理を感じさせない。
更に、最も危険な水域にあると思われたダニーよりも、実はもっと深く危険な淵に、このロバータという女性が立っていることが見えてくる。終盤にかけての、その絶望と孤独が、強い光を放つ印象的な瞳に宿る様は圧巻だ。そして、そんな狂気をも秘めた演じぶりが、終幕の美しさへ帰結し、カタルシスを導いて見事だった。二人芝居を紡いだ二人が、共にこれ以上ないと思える適役だったことは実に幸福なことだ。

何よりも、藤田にとってこの作品が「希望」だったように、またダニーにとってロバータが、ロバータにとってダニーが「希望」だったように、藤田が演出し、松岡と土井が演じた『ダニーと紺碧の海』というこの舞台が、多様性が否定され、格差が広がり、他者とのつながりが希薄になる一方の2017年の日本の現実に、まるで希望の光のように輝いたこと。演劇の奇跡が今ここにあることに、感動せずにはいられない。今、少しでも生きにくさを感じている全ての人に観て欲しい舞台だ。


【囲みインタビュー】

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土井ケイト・藤田俊太郎

通し舞台稽古のあと、囲み取材が行われ、演出の藤田俊太郎、出演の松岡昌宏と土井ケイトがインタビューに答えた。
 
──いよいよ幕が開きますね
松岡 そうですね、稽古を1ヶ月重ねてきまして、二人芝居は初めてで、土井さんと2人、はけることなくぶっ通しで出ています。先ほど皆さんに観ていただいて、こういう感じなのかなという実感を、やっと覚えています。
──準備万端OKですか?
松岡 稽古場でしっかり作り上げてきているので、稽古場で作ってきたものをそのまま本番でも出せればいいかなと。
──ずっと喋りっぱなしですね。
松岡 喋りっぱなしです。もう夫婦漫才のように(笑)。
土井 (笑)。
──人付き合いが悪い男のわりにはよく喋ってますね。
松岡 ははは(笑)。昔から不器用な男というのは意外とよく喋るんです(笑)。
──藤田さんは蜷川さんの弟子ということですが、灰皿投げは?
松岡 ないです(笑)。いや、僕も幼い頃に事務所での演技レッスンを蜷川さんに付けていただいたことがあったし、ちょうど今日は亡くなって1年ということで、色々お話を伺ったりしています。でも藤田さんは藤田さんで、蜷川イズムを受け継いだうえで、こういう新しいご自分なりのレールを作られているわけで、僕らはそのレールに乗せていただいて、引っ張っていただくだけなので。稽古でも色々なアイデアをいただきまして、色々なことをやってみようと。1つのシーンでも、こだわらず何回も変えていくという、それは本番でも変えていきましょうと。そういう姿勢ですので、僕はとても楽しくやらせていただいてます。
──土井さんは藤田さんとは?
土井 私が藤田さんと知り合ったのは蜷川さんの演出助手をしていらした時代で、演出家の藤田さんとは初めましてなのですが、本当にまったく別の顔を見せていただいて、楽しいし、毎日刺激をいただいてます。

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──藤田さん、今の気持ちは?
藤田 松岡さんが言ったようにちょうど一周忌で命日で、その想いを込めて稽古しました。蜷川さんを大尊敬していますが、僕は怒号は飛ばさないので、愛情だけ飛ばしました(笑)。2人を愛して、ダニーとロバータとしてそこにいられるように、愛だけ渡して、あとは自分たちで舞台上で見せてくださいという稽古でした。とても優秀なおふたりなので、自発的に全部やってくれて、才能と優秀さと努力が備わるとこんなに良い役が出来上がるんだと。それぞれ毎日違うアプローチで稽古してきたので、その中できらめきが沢山あって、それが積み重なって、舞台上で改めて見せてもらうと、積み重ねてきたものは確かだったのだなと実感しました。
──ロバータはたいへんな女性ですが、松岡さん本人だったら?
松岡 速攻シカトしますね(笑)。ただ、たいへんな女性って、皆さん好きでしょ?(笑)でも、たいへんなもの同士がくっつくとこういうことになるのかと。だって2、3歳くらいの子供のケンカみたいですから。喜怒哀楽ははっきり出すし、思ったことははっきり言う。そこに隠し事はなく駆け引きもない。そうするとこういうパワーがぶつかるのかという。それを本で感じ、読んで感じ、演じて感じています。でも毎日これだったらたいへんだろうなと(笑)。
──ロバータはダニーに結婚してくれと言われますが、もし松岡さんから言われたら?
土井 もう、即答ですよね(笑)。ぜひ!と。でも私はロバータなので、ロバータは色々複雑なんです。でも、ダニーというキャラクターが、松岡さんが演じるからこそ、本当に愛すべきキャラクターになっていて、心から「え、なにこのひと!」と思わせるものを出されるので、とても感動的です。毎日、本当に勉強になります。
松岡 いや、嬉しいですね(笑)。でもこの役、体にけっこうくるんです。そんなに動いてないけど、やっぱり怒鳴ったりするので力が入ってるのかなと。節ぶしにきます。観るお客様も節ぶしに気を付けてください(笑)。
──藤田さん、改めて蜷川さんへの想いは?
藤田 もちろん観てほしいし、毎回その気持ちで作っています。でも観てくれていると思います。これだけ良い作品を、松岡さんと土井さんと一緒に、世界一の作品を作ったと思っていますから。毎日、蜷川さんのことは思っていますし、一生尊敬しているし、一生手の届かない方なので、これからも一生懸命がんばっていきたいと思っています。
──松岡さん、最後にお客様へのメッセージを。
松岡 40歳になりまして1発目の作品です。自分が経験したことのない扉を開けたいなと思って参加させていただきました。自分自身、毎日勉強になっている作品です。もしよかったら皆さん、ぜひ足を運んでいただければ嬉しいです。


〈公演情報〉
『ダニーと紺碧の海』
作◇ジャン・パトリック・シャンリィ
翻訳◇鈴木小百合
演出◇藤田俊太郎
出演◇松岡昌宏、土井ケイト
●5/13〜21◎紀伊國屋ホール
〈料金〉8.500円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉パルコステージ 03-3477-5858(月〜土11時〜19時、日・祝11時〜15時)
●5/27〜28◎兵庫県立文化センター阪急中ホール
〈料金〉7.500円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉芸術文化センターチケットオフィス 0798-68-0255(10時〜17時 月曜休 ※祝日の場合翌日)
公式ホームページ〉 http://www.parco-play.com/

 

【取材・文・撮影/橘涼香】





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志尊淳・大野いと・栗原類が思春期の葛藤を描く! 白井晃演出『春のめざめ』KAATで開幕!

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KAAT神奈川芸術劇場で名作戯曲『春のめざめ』が、芸術監督白井晃の演出によって5月5日、開幕した。(23日まで、大スタジオにて。京都、北九州、兵庫公演あり)
 
この戯曲は、1891年にドイツの劇作家ヴェデキントによって書かれ、センセーショナルな内容から上演禁止の処分を受けた。2006年にブロードウエイでロックミュージカルとして上演され、第71回トニー賞8部門を受賞。日本では劇団四季が日本語版ミュージカル『春のめざめ』として上演して話題になった。今回はストレートプレイでの上演となる。
 
主人公の14歳のメルヒオールを演じるのは、若手俳優として映像で活躍中の志尊淳。メルヒオールの同級生でヒロインのヴェントラ役に、これが2度目の本格舞台となる大野いと。さらに、映像だけでなく舞台でも活躍の場を広げている栗原類が、オーディションで白井晃の目に留まり、メルヒオールの友人のモーリッツを演じる。
また、クラスメートや感化院の少年役として、小川ゲン、中別府葵、北浦愛らの若手俳優を起用。若者達を抑圧する大人たちに、あめくみちこ、那須佐代子、河内大和、大鷹明良といった話題の舞台に欠かせないベテランが顔を揃えている。
音楽は大人気バンドDragon Ashのボーカルも務める降谷建志。ヴェデキント作『ルル〜破滅の微笑み〜』(2005年)以来、再び白井晃とタッグを組む。
演出を手がける白井晃は、2016年の芸術監督就任以来、近現代戯曲を現代に蘇らせるシリーズに取り組んでいて、今回の『春のめざめ』が2017年度の第1弾となる。200席程の濃密な空間である大スタジオでの、新たな若い才能との出会いが期待されている。
 
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【あらすじ】
ドイツの中等教育機関(ギムナジウム)で学ぶ優等生のメルヒオール(志尊淳)、劣等生のモーリッツ(栗原類)、同級生のヴェントラ(大野いと)は、仲の良い友人だ。ある日の帰り道、メルヒオールはモーリッツに「子供の作り方」を図解で説明する。物語はそこから予期せぬ事態へと発展して行く。成績のさえなかったモーリッツは、学校での過度な競争にたえられず米国への出奔を企てたが果たせず、将来を悲観してピストル自殺をする。
一方、メルヒオールは半ば強姦のようにヴェントラと関係し、ヴェントラを妊娠させてしまう。メルヒオールはヴェントラに謝罪の手紙を書くが、それが親にバレて騒動となる。さらに、自殺したモーリッツの遺品からは「子供の作り方」のメモが見つかり、自殺の原因とされたメルヒオールは親に感化院に入れられてしまい…。

舞台はむき出しの灰色の地面、そして約2メートルの高さのアクリル板のような板が周りを囲んでいるとても狭い空間だ。まるで牢獄に見えるその奥には通路があり、役者が歩く仕掛けになっている。板はライトの加減によって鏡になって、役者や時には観客を写して思春期の複雑な内面を象徴、光源を変えて透明にすれば、こことあそこ、憧れと現実、内と外、生と死を隔てる境界線のように見える。さらに中二階のような場所に通路があり、そこは大人という、子供達にとって抑圧的な存在が、檻の中を見下す刑務官のように闊歩する装置になっている。また、4×4本、計16本の1メートルほどの蛍光灯が天井にぶら下がっており、どこか諦念を帯びた冷めた印象を与えたかと思えば、急に赤色に明滅して、14歳のほとばしる熱情を輝かせるかのようで、子供たちの内面の葛藤を表現する。
 
ほとんどの役者たちは常に狭い空間にいる。学校や家や感化院という大人の作った牢獄に閉じ込められた囚人だ。小道具はほとんどない。客席と近い距離に存在しているアクリル板の高い壁は、抑圧的で支配的であり、言いようのない圧迫感を観客に与える。
 
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若い役者たちは、14歳という思春期の子供たちが抱える苦悩、苛立ち、不安、焦りを透明な板に白いペンキのようなもので塗りつけ、ドラムのように激しく叩いては、内に抱える欲望や怒りを表現する。
主人公のメルヒオールを演じる志尊淳が適役だ。どこかペダンチックであり、性への関心を隠さないメルヒオール。そんな14歳の少年が感じる苛立ちを表情や仕草に託し、衒いなく役柄を生きている。
 
大野いとのヴェントラは、無垢そのもので佇まいから美しい。だが彼女は、次第に大人の社会にある欺瞞に気づくとともに、不満をあらわにしだす。そして、メルヒオールと関係を持ち妊娠してしまうのだが、まだ少女でしかない彼女が背負った苦悩を感性豊かに演じてみせる。
 
モーリッツの栗原類は、いじめられっ子気質の内面の弱さをセリフで繊細に表現。最後には自殺に至る彼の絶望を、その華奢な体躯と独自の動きで生々しく伝えてくれる。
 
そのほかの男優陣は、学校の生徒や感化院の少年を演じていて、思春期の彼らの、性に対する、あるいは欲望に対する貪欲さを感じさせる。女優陣は無垢な存在として、男性陣とのコントラストを際立たせ、それゆえに消費されてしまう性の悲しみを、ダンスや仕草で表現して見せる。
 
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大人の役を演じるベテラン勢は実力派役者ばかり。それぞれメルヒオール、ヴェントラ、モーリッツの両親を演じているが、時には学校の先生役やメンターとして存在することになる。
ヴェントラの母・ベルクマン夫人役のあめくみちこは、ヴェントラに対して常に優しい母親でいようとするのだが、彼女が妊娠していると知って、狂気に満ちた行動に出てしまう。そんな大人の罪深さをリアルに見せる。メルヒオールの母、ファニー・ガボール夫人は那須佐代子。常に高圧的で、自分が一番子供のことを理解していると思っている尊大な大人。ある意味ユーモラスでもある存在を余裕ある演技で見せてくれる。
メルヒオールの父ガボールの大鷹明良は、息子のことを考えてはいるのだが、一度も息子ときちんと向き合おうとせず世間体ばかりを気にしている。そんな独善的な人間を説得力ある芝居で演じる。河内大和は、モーリッツの父である医者の役とともに、子供達の内面を映す死神のような不気味な役柄も演じるなど、多彩に活躍する。

小道具はほとんどないこの舞台で、降谷建志の音楽が大きな役割を果たす。14歳の心に抱える激情を、ドラムのブレイクビーツのリズムを交えた激しいロックな曲で表現したかと思えば、時にはランダムに鳴らされるテクノのようなキックの音が心臓の音のようで、不安定な子供達のやり場のない心持ちが伝わってくる。ギターはほとんどの曲でリバーブがかかり、思春期に抱く他者に対する幻想的な憧れを繊細に伝える。また、シンセサイザーによるアンビエントな曲調も緊迫した劇の中で、救いになるような朗らかな表情を与えていた。
 
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演出の白井晃は、この作品で若手の瑞々しいエネルギーとベテラン俳優の成熟した演技を絡ませることで、強い磁場を密な空間の中で作り上げていた。空間に満ちた、怒り、喜び、不安、寂しさ、若さゆえにほとばしる感情を、照明や音楽とともにスピーディーに変化させ、今にも爆発しそうなエネルギーをそこに生み出すことで、観客を舞台に没入させる。
人は子供から大人へと成長する過程で不条理な世界と出会う。その煩悶や苦悩を乗り越えて新たな自己を発見できる大人になれるのか、それに打ち負けてしまうのか、そんな問いかけが聞こえてくるような舞台である。

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【囲みインタビュー】
 
『春のめざめ』の公開稽古前に、囲みインタビューが行われ、志尊淳、大野いと、栗原類、白井晃が登壇した。
──いよいよ初日ですが、意気込みを
志尊 1ヵ月半の稽古を重ねて来ましたが、初日という実感は幕が開くまでないんです。ただ、ゲネプロで、白井さんとみんなで作ってきたものを、最大限に発揮して、公演ではゲネプロの雰囲気を超えるような表現をできたらと思います。
大野 すごく緊張しているんですけど、たくさん稽古もしたし、自分なりにたくさん考えたので、ヴェントラをちゃんと生きられればいいなと思いますし、頑張りたいと思います。
栗原 不安がないといったら嘘になるんですけど、キャストスタッフみんなで、頑張ってこの舞台を一から作って来ました。最後は、今まで白井さんがおっしゃってきたことを、僕らが何を表現するべきなのかを自覚しながら、ゲネプロに挑みたいと思います。
白井 『春のめざめ』という作品は、若い俳優さんを中心に作っておりますが、なかなか難しくて厳しい表現を求められる作品だと思います。私は、ギムナジウムの校長先生のようにみんなを叱咤激励しながらここまでやってきました(笑)。きっと、初日に向かって、私の予想以上のジャンプをしてくれると期待しております。

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――今日までの出来は何%ぐらいでしょうか。
栗原 タブーなことを聞きましたね(笑)。僕らもドキドキするような質問です。
白井 (笑)。まだ、80点ぐらいだと思っています。ゲネプロで90点、初日で100点を出す予定ですよ。
――白井さんは大スタジオでの演出が初めてになります。
白井 そうですね。KAATの芸術監督を務めさせていただくようになってから、大スタジオでやるのは初めてですね。お客さんとも距離が近いので、どのような反応が起こるか楽しみにしています。
――舞台経験の少ない若い役者さんが多いですね。
白井 確かに、ベテランの皆さんから比べると少ないですが、ベテランでは出せないエネルギーがあると思います。技術ではなくて、彼らが頑張って一生懸命舞台と立ち向かおうとしている姿が、我々にとって新鮮だし、そこが見どころじゃないかな。私も若くなったつもりでみんなと一緒に稽古をしてきたので、その良さが出てくれると思っています。

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――志尊さんは初座長ですね。
志尊 そうですね。舞台自体が久しぶりなので、申し訳ないですが、座長という意識はあまりないです。ただ、いろんなことをいろいろな人から吸収できるように柔軟にやってきました。これから初日を迎えて、メルヒオールの抱えるエネルギーを存分に出して、千秋楽までには座長として、ちゃんとしたものができるように頑張って行きたいと思います。
――座長はみんなをご飯に連れて行くというイメージもありますね。
志尊 意図的ではないですが、誰ともご飯に行ってなくて、それよりもメルヒオールを考えることで頭がいっぱいです(笑)。これからみんなでご飯に行きたいと思っています。
――大野さんから見た座長はいかがですか。
大野 稽古に真剣に向き合っている様子を見ると、人一倍プレッシャーを感じているんだろうと思います。私は女の子たちといっぱいおしゃべりをするんですけど、志尊さんは頑張っているねとお話をしているので、座長が一番いろいろなものを抱えているのが伝わって来ます。
栗原 白井さんは、志尊さんだけではなく、みんなに厳しく細かい表現を求めていたので、僕ら全員にそれぞれ課題がありました。最初は白井さんが何を求めているのか、頭をかかえることも多かった。けれど、稽古場から、劇場に移動したことで、何を表現すればいいのか、どのタイミングで動いたり、喋るのかという感覚をつかめた気がします。僕も志尊さんの稽古をずっと見ていて、志尊さんが思うメルヒオールとは何か、白井さんが求めるメルヒオールとは何か、いつもディスカッションしてすり合わせをしていたので、人ごとではないですが、どんな幕が開けるのか楽しみですね。

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――稽古は苦痛でしたでしょうか?
栗原 それはないですね(笑)。
志尊 憤りや、社会に対して納得いかないことを、常に役とリンクさせながら向き合っていたので、経験不足ですけれど、稽古中は辛いから笑顔でやろうと簡単に考えるのではなくて、とにかく真剣に向き合っていくだけでした。
――『春のめざめ』ということですが、目覚めたものはありますか。
志尊 コンビニのおにぎりですね。稽古中、毎日同じことをやるので、唯一の楽しみが帰りの電車か、朝にコンビニでおにぎりを選ぶ時。それ以外はずっと稽古に集中していたので、食べ物にはまっていましたね。みんなコンビニで買って分け合っていましたね。
大野 チークをたくさんつけると可愛い感じになるのに目覚めました(笑)。ヴェントラのメイクはタレ眉で、チークをたくさんつけるようにとメイクさんに指導いただきました。チークをたくさんつけたら、メルヒオールのお母さん役の那須さんや、ヴェントラのお母さんのあめくさんが「いとちゃんすごく可愛いって」と言ってくださって、嬉しい(笑)。

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栗原 自慢ではないですが、意外とショートヘアが似合うんだな(笑)。30センチぐらい切りましたね。作品に入らないときは髪の毛は伸ばしっぱなしなんです。THE ALFEEの高見沢さんクラスまで伸ばしていたほどです(笑)。いただく役も基本的にロングヘアーが多かったんです。今回はボブっぽくて、稽古のオフショットやポスターを見たら、思った以上に反応が良かったので、『春のめざめ』のようないい作品に巡り会えるチャンスがあれば、またボブにしようかな。
白井 若いみんなと久しぶりに身体を動かしていると体の気分が活性化するということに目覚めました(笑)。
――最後に座長から挨拶を。
志尊 僕たちが演じる14歳の役柄は、みんなが通って来たことでもあります。今の自分たちにリンクする部分があれば、誰しもが持っているものがある作品だと思っています。この作品は観る方によって、捉え方が変わるので、いろいろなものを感じてもらえるような作品です。舞台版でもしっかり原作の意図を伝えて、各々の役どころを存分に発揮できたらなと思っているので、たくさんの方に観ていただきたいです。

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〈公演情報〉
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース 『春のめざめ』
作◇フランク・ヴェデキント
翻訳◇酒寄進一
構成・演出◇白井晃
音楽◇降谷建志
出演◇志尊淳 大野いと 栗原類
小川ゲン 中別府葵 北浦愛
あめくみちこ 河内大和 那須佐代子 大鷹明良 ほか
●神奈川公演5/5〜23◎KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ
〈料金〉プレビュー公演[5/5・6]5,000円(全席指定・税込) / 本公演[5/7〜23]一般:6,500円 / U24チケット(24歳以下)3,250円 / 高校生以下割引(高校生以下)1,000円 / シルバー割引(満65歳以上)6,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉チケットかながわ 0570-015-415(10:00〜18:00)
●京都公演  5/27・28 ◎ロームシアター京都 サウスホール
〈お問い合わせ〉ロームシアター京都 075-771-6051
●北九州公演 6/4◎北九州芸術劇場 中劇場
〈お問い合わせ〉北九州芸術劇場 093-562-2655
●兵庫公演6/10・11◎兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
〈お問い合わせ〉芸術文化センターチケットオフィス 0798-68-0255 (10:00〜17:00/月曜休み ※祝日の場合翌日)
〈公式ホームページ〉https://www.harumeza.jp
 


【取材・文・撮影/竹下力】




扉座『郵便屋さんちょっと 2017』 




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木村了、上原多香子らが登壇!Musical『TARO URASHIMA』上映会レポート到着!

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TOKYO FMホールにおいて、『黄金週間は?るひまの映画祭!』と銘打って、5月3日と4日、る・ひまわり製作の舞台作品を上映するイベントが行われた。その中で、昨年8月に明治座で上演されたMusical『TARO URASHIMA』が、出演者のトークショーと合わせて上映された。
 
お伽話『浦島太郎』を題材に、池田鉄洋が新たな解釈の物語としてリメイク、徹底したキャラクターとそのコミカル且つシュールな世界観で見事なミュージカル作品となった『TARO URASHIMA』。

5月4日の上映の前に登壇したのは、主演の浦島太郎役の木村了、乙姫役の上原多香子、乙姫に一目ぼれをするダイオウグソクムシ参謀役の辻本祐樹、乙姫の兄で甲太子役の滝口幸広。4人が披露する舞台裏でのエピソードに会場から爆笑が起こり、舞台上でのやり取りから出演者たちの仲の良い様子が垣間見えるトークとなった。
 
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滝口幸広、辻本祐樹、上原多香子、木村了

【木村了コメント】

日本全国の皆さんが知っているお伽噺なので、最初に“浦島太郎”を演じると聞いた時は、どうして良いか分からなかったのですが、(脚本の)池鉄さんの台本がぶっ飛んでいてとにかく面白かったので、台本に助けられるなと思いました。今回お芝居は勿論ですが、このカンパニーで出来たことがすごく嬉しかったし、そこで座長をやらせて頂いた事は、自分の財産になりました。また、楽曲も人の心を掴む素晴しい曲が多くて、僕等もその素晴しさを伝える為に頑張りました。


【上原多香子コメント】

思い描いていた乙姫と違って今回の乙姫はかなり卑屈。卑屈でない自分が卑屈な乙姫を演じるのは大変でした。一度観た方も今回の上映会で初めて観る方もいらっしゃると思いますが、私も客席で観たいくらいに楽しい場面が沢山あるので、皆さんにも喜んで頂けると思います。

 
TARO URASHIMA宣伝写真
『TARO URASHIMA』
お伽話『浦島太郎』を題材に、池田鉄洋が新たな解釈の物語としてリメイク、徹底したキャラクターと、そのコミカル且つシュールな世界観で見事なミュージカル作品に仕上がっている。
2016/8/11〜15@明治座で上演された。
出演者◇木村了、上原多香子、斉藤暁、崎本大海、滝口幸広、辻本祐樹、原田優一、土屋シオン、碕理人、森田涼花、竹内寿、中村太郎、月岡弘一、桝井賢斗、相川絢、塩川渉、角島美緒、二瓶拓也、高木稟、大堀こういち、舘形比呂一、坂元健児、和泉元彌(特別出演)/とよた真帆 
 



おん・すてーじ『弥次さん喜多さん』双 




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夏目漱石の名作を3人芝居で演じる!【文劇喫茶】シリーズ第一弾『それから』開幕! 

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夏目漱石の文学作品として有名な『それから』を、3人(プラス日替わりゲスト)で観せる、本格的な舞台【文劇喫茶】シリーズの第1作目が、俳優座劇場で、5月3日から14日まで上演中だ。

原作は明治の終わり頃に、東京朝日新聞、大阪朝日新聞に連載された新聞小説で、『三四郎』(1908年)『それから』(1909年)『門』(1910年)というかたちで漱石の「前期三部作」と呼ばれている。
 
物語の主人公は長井代助(平野 良)という自称「高等遊民」。定職に就かず、毎月1回、本家の父親・長井得に金をもらいに行くという優雅な生活を送っている。その代助が友人である平岡常次郎(今立 進)の妻三千代(帆風成海)と恋に落ち、ともに生きる決意をするまでが描かれている。1985年には森田芳光監督、松田優作主演で映画化もされ、大きな話題となった。
 
今回は、その原作を劇団□字ックの山田佳奈が演出、平野 良、帆風成海、今立 進(エレキコミック)という3人が演じていて、さらにロシア文学に心酔している代助の友人である売れない文学者の寺尾を日替わりゲスト(この日は寿里)が演じる。

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江戸時代の終焉、そして新しい価値観が生まれた明治維新。文明開化とともにもたらされた変革は、生活から文化まで多々あって、欧米からのモダニズムという新しい文化が庶民を賑わす。それは「私、あなた、君、彼」といった、江戸時代にはなかった1人称や2人称という主語の導入に始まり、かつては「惚れた腫れた」で表現されていた概念を「恋愛」という明確な文字で区切る言葉の変革、そして、人間の怒りや喜びといった感情を、研究の対象としてフォーカスさせた哲学の輸入まで、枚挙にいとまがない。
それらの時代を体現し、大衆にアピールしていた文学者たちの代表的な存在として、理知的で批評的な森鴎外や、感情的に心情を表現していた夏目漱石がいた。特に夏目漱石は、西洋文化との対立や、神経衰弱(自身もそうだった)といった人間の内面を、近代人の自我の悩みとしてわかりやすく表現、大衆に幅広く浸透させた人気作家であった。

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そんな時代が、この作品では舞台装置でもわかりやすく表現されている。上手には、モダニズム溢れる鏡台が設置され、主人公の好きな外国のタバコがあり、洋服がかけられた衣装立てがある。中央から下手にかけて、少しずつ傾ぎながら円形に盛り上がった日本古来の畳敷きの代助の部屋は、影絵のように機能する障子、文机のような和家具、薔薇が活けてある小さな花瓶など、シンプルな和洋折衷の舞台装置だ。そして代助の元に、京阪から友人の常次郎が帰ってくるという知らせが届いて、舞台は進行していく。
まず、田中洋子の脚本が優れている。原作の口語体を活かし、「君、わたくし」など時代がかった主語をセリフに盛り込みつつ、2017年の会話としてもスムーズに機能させ、当時の時代背景と、普遍的な恋愛ドラマを観客にわかりやすく伝える。セリフは膨大だが、決して理解しにくいことはなく、かつ当時のモダンな時代を感じさせる絶妙なバランスで成立している。

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とはいえ出演者のセリフは多い。それを見事にこなさなければならないのが、主人公・長井代助役の平野 良。代助は30歳にして定職に就かず親に無心して生活している高等遊民で、今で言えば裕福なニートといったところ。彼はその状態を悲観も楽観もせず、あっけらかんと受け入れている。畳に堂々と寝転がったり、頭をボサボサと掻きむしったりと呑気で、どこか現代にも通じる若者像だ。しかし、そんな様子は、友人の平岡常次郎が妻の三千代とともに東京にやってくることで緊迫感を帯びていく。昔は恋人で、今は夫を持つ三千代と再会し、禁じられた恋に落ちるというのっぴきならない状態になるにつれ、代助の精神状態も追い詰められ、苦悶に満ちた表情が多くなり、声の抑揚も変わっていく。その変化を演じる平野 良の豊かな表現に思わず惹き込まれる。

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代助の対立項として存在するのが、今立 進が演じる平岡常次郎。彼は京阪で銀行マンとして働いていたが、ある事情で退職し、東京で職を探して新聞社に入社する。彼は常に切迫している。生活のこと、生まれてすぐに死んでしまった子供のこと、心臓に疾患を抱える病弱な妻のこと。だが、そんな状況を人には見せず、ひたすら豪胆に見せるという前近代的な男性だ。同時に、そんなやり場のない気持ちを放蕩することで晴らす常次郎の屈託と、近代へドライブする時代への違和感を、今立 進はセリフと表情で丁寧に表現する。
また、この作品の見どころの1つでもある代助と常次郎の掛け合いは凄まじく、お互いに切迫した状況になることで、双子のように切っても切れない関係になっていく。いわば近代と前近代がせめぎ合う時代そのものを表現する平野と今立の対峙が圧巻だ。
 
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三千代の帆風成海は艶やかだ。着物の襟足から色香が匂い立ち、凛とした古風な佇まいの中に、病弱な役どころを繊細な雰囲気で演じている。妖艶さもあり、代助が禁断の恋だと知っていても惹かれてしまう説得力を感じさせる。代助から貰った指輪をつけた細い指の動かし方、番傘の下で見せる暗い表情、エプロン姿の朗らかな笑顔など、それぞれ現実の三千代でありながら、常にどこか遠い幽玄的な存在のようにも見えて、漱石の描く理想の女性の象徴として、透明感のある美しさで強い印象を残す。
 
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この日、ゲストとして登場した寺尾役の寿里は、緊迫した会話劇のコメディリリーフ的な役柄を鮮やかに見せてくれた。ロシア文学に傾倒し、売れない翻訳家として生計を立てている役だが、漱石のカリカチュアにも見えるし、どこかほほんとしているのは、神経質な漱石にとって憧れの存在、つまり代助のメンターのようにも受け取れる。寿里はその自由な演技で楽しませてくれたが、日替わりでのゲストたちが、どういった場面を見せてくれるか期待したい。

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演出は劇団ロ字ックの山田佳奈で、この文学作品を彼女ならではの新しい『それから』を作り上げてみせた。少ない人数での舞台だが、ゲスト出演者も含めて、周辺の人間関係を見せることで、原作世界の奥深さを膨らませる。また役者3人が織りなす三角関係のもつれを表すような淡いブルーやパープルを駆使した照明も、どことなくメランコリックでモダンな風情を感じさせて素晴らしかった。

人は常に何かに憧れ、常に何かに対してコンプレックスを抱いている。コンプレックスと憧れは紙一重で、その両義性を抱えながら人間は生きるしかない。それは現代人にとっても同様で、大切なのは折れない「こころ」を持つこと。『それから』は、西洋化の時代に留学での苦しい体験を経て、日本人としてアイデンティティで屹立しようとした漱石の姿も映し込まれていて、それは、21世紀の現代にも通じる普遍性でもある。もちろん漱石文学など知らなくても、男女3人の人間関係と恋愛ドラマとしても、存分に楽しめる舞台だ。

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【囲みインタビュー】

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 寿里、平野 良、帆風成海、今立 進
 
公開稽古のあと、『それから』の囲みインタビューが行われ、平野 良、帆風成海、今立 進、この回の日替わりゲストである寿里が登壇した。

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平野 良
3人WITHゲストの舞台ですが、基本的には3人芝居なので、濃密な時間が流れる演劇だと思っています。今立 進さんは最初に会った時から、前世で一緒に遊んでいたと錯覚を覚えるほど魂が近いものを感じます。帆風(成海)ちゃんは、おっとりしていて天然系だという前情報があったのですが、初めて会った時は、近寄りがたいぐらい和装が綺麗でした。でも稽古を重ねると、負けず嫌いで、不器用で、一生懸命で、ひたむきな帆風ちゃんで、すぐに仲良くなれました。この舞台は、色々な気をつけなくなければならないこと、役者として細かいところも見逃さないようにお芝居を繊細に積み上げなければ、伝わるものも伝えられない作品だと思っています。3人以外にも、全公演で9人のゲストがいらっしゃいます。その皆さんと稽古したのですが、皆さん味があるので爆発的な効果があります。それぞれの方の出番は少ないかもしれないですが、その場面はこの作品が跳ねて元気が出るので、見どころですね。公演中は体調を崩さずに、最後までいい作品を届けられたらと思います。

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帆風成海
最初に台本を読んだ時はセリフが膨大だと思いましたが、言葉の端々に感情や表情をセリフの中に込めていけたらと思っておりました。おふたりの印象は、最初は私が緊張して壁を作っていて、全然会話をしなかったんです。でも稽古に慣れると、みなさん仲良くしてくださって、今立さんは器が大きいからお父さん、平野さんは意地悪なお兄さんみたい(笑)。それぐらい仲良くさせてもらっています。舞台稽古では、照明もついて、セットも加わり、舞台の力で感じることもたくさんありました。毎日変わるゲストの方にも、お力をお借りして、千秋楽までバージョンアップできたらいいなと思っています。

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今立 進
普段はエレキコミックという芸人をやっています。この話をいただいた時に安うけ合いをしたら大変なことになってしまいました(笑)。3人舞台ということで、やるからには一生懸命やろうと思います。これまでの稽古の結果、5キロ減量できました。『それから』ダイエットを日本中に広めていきますよ(笑)。膨大なセリフに追われていたので、稽古開始1週間ぐらいは、台本と個人的に向き合うばかりでした。1週間ぐらい経ってから、演出の山田さんから会話をしませんかということで、みんなでちょっとしたフリートークを始めてから和気藹々と進んでいきましたね。立ち稽古も早くて、山田さんも丁寧に演技をつけてくださいました。繊細な空気感と同時に緊張感を皆さんにお届けしたいと思っています。

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寿里
僕はゲストですが、袖から観ていて、美しい作品だと思いました。約100年前に書かれた本で、その時代を生きた人たちの空気感も前面に出ている作品だと思います。僕は平野 良くんと絡むだけですが、3人とも良い雰囲気を出してくれるので、楽屋に入ってからものんびりとした時間を過ごさせていただきました。本当に仲が良いカンパニーで、今度は客席から観たいですね。ゲストという役どころは、そんな空気を1回壊す役柄だったりするので、楽しみたいと思います。

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〈公演情報〉
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【文劇喫茶】シリーズ第一弾 舞台『それから』
原作◇夏目漱石
脚本◇田中洋子
演出◇山田佳奈(□字ック)
出演◇平野 良、帆風成海、今立 進(エレキコミック)
日替わりゲスト◇:
3日(水・祝) 19:00 寿里
4日(木・祝) 14:00/19:00 水石亜飛夢
5日(金・祝) 19:00 /6日(土) 14:00/18:00 藤原祐規
7日(日) 14:00/18:00 碕理人
9日(火) 19:00 松本寛也
10日(水) 14:00/19:00 加藤良輔
11日(木) 19:00/12日(金) 19:00 佐藤貴史
13日(土) 14:00/18:00 宮下雄也
14日(日)15:00 米原幸佑

●5/3〜14◎俳優座劇場
〈料金〉プレミアムシート 9,500円(前方列/プレミアムシート特典付き)、一般席 6,500円(全席指定・税込)

c文劇喫茶ライブラリー

 

 
【取材・文・撮影/竹下力】




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池田純矢ら20名のレーサーが音速を超えて躍動する!『破壊ランナー』ついに開幕!

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演劇界の常識を覆した伝説的作品、西田シャトナーの名作『破壊ランナー』が、4月21日〜30日、Zeppブルーシアター六本木で上演中だ。
初演は1993年。以降、様々なパワーアップを繰り返し、5演目となる今作。「パワーマイム」というスタイルで演劇界に衝撃をもたらした西田シャトナーが所属していた「惑星ピスタチオ」の代表作の1つ。加えて、シャトナーが自作を発表するプロジェクト、SHATNER of WONDERの第5弾として、台本も全面改稿、さらに新演出での上演となっている。
この名作の主演をつとめるのは、俳優として、また劇作家・演出家としても活躍する池田純矢。『破壊ランナー』に出演したレジェンド俳優・保村大和をはじめとする豪華共演者とともに、シャトナーワールドが展開される。
 
※4/23 訂正を更新しました:西田シャトナー主宰→西田シャトナーが所属

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【あらすじ】
西暦2707年。人類はすでに音速(1秒間に約1300キロ)を超えるスピードを手に入れた。その成果は生身の人間によるレース「ソニックラン」で光り輝く。2707年には、まさに押しも押されぬ国民的スポーツになっている。そこに燦然と輝く8年連続のワールド・チャンプ、前代未聞の99連勝中の勝者がいた。その名も豹二郎ダイアモンド(池田純矢)。
しかし、彼は苦悩していた。1・71音速という自己スピードの限界を達成してすでに2年が経ち、いくらレースをしても、この数字を破られない。自分自身の限界、そして、これ以上走る意味を見つけられないスランプに陥っているのだ。そんな時、自身が所属するチーム・アローヘッドUKのメカニックドッグに、新進気鋭のチーム・アロイのオーナー、黒川フランク(兼崎健太郎)が姿を現し、さらにスピードが出せるようになれるとチームの移籍話を持ちかけるが…。

舞台装置はシンプルだ。真ん中に少しせり上がった相撲の土俵のような舞台。周りを扇形の3枚のたわんだ板のような装置が囲むのみ。まるでサーキット場のような舞台で、20名の役者が熱い演技を繰り返す。小道具はほとんどなし、役者の肉体がすべてだ。

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まず20名の役者が屹立し、薄暗い照明の中、1896年のアテネオリンピックから2700年までの1000年近い人類の走るスピードの歴史をユニゾンで語る。そこからこの舞台のカッコよさが浮き彫りになる。
そして物語が疾走する。走ることのへの意義を見失いかけている豹二郎ダイアモンドは、走ることにさえ飽き飽きしていたが、そこに突如ライバルが現れる。それが1・75音速を出すことができるというチーム・アロイのライデン(河原田巧也)だ。
 
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レーサーたちはシンプルな舞台装置の上で白熱のレースを繰り広げる。まるでスピードスケートのようなフォームでコースを走り、時には足をバタバタと高速で動かすなどメリハリをつけながら、舞台を所狭しと動き回り、そのスピードを表現する。選手に合わせたフォームも個性的で見どころの1つだ。
レース部分は「ローリング」と呼ばれる手法が取られる。これは現在の映画でも主流の360度カメラが被写体の周りを回って撮影したような光景を見せる技術で、足踏みをしながら役者自身が舞台をまわることで、レースを展開しているように見せる。シャトナーが演出を手掛けた大ヒット作・舞台『弱虫ペダル』シリーズでも使われている演出方法が圧巻だ。

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演技も見逃せない。ライデンの河原田巧也は、まさに豹二郎ダイアモンドのライバルという迫力を身体中から発散させ、牙を向いて豹二郎に立ち向かっていく姿は敵ながらかっこいい。つまらないレースはたとえ順位が良くてもやめてしまう「万年リタイヤ男」としてファンに愛されるキャデラック/米原幸佑は陽気で移り気な役どころを剽軽に演じて笑いを誘う。「赤い閃光」の異名をとり、どこのチームにも所属しないクールなケニア出身のサー・カルリシオ/平田裕一郎は、米原とは真逆な性格で唯我独尊のキャラクターを闊達に演じている。

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子供たちのファンレターが生きがいのビブラート2世/伊万里有は子供達のためならなんでもする、そのためならルール違反ギリギリの行為までする捨て身なレーサーを口跡よく演じ切る。家族の命を救ってもらえると約束されてレーサーになったアマゾン出身のピラニア/天羽尚吾は、家族のためにという切実な想いだけで走っている姿が、個性的なフォームにも現れていて感動を呼ぶ。チャンピオンになって敵国の姫にプロポーズしたいのに優勝できない「サーキットのロミオ」、ランドロン・イグレシアス皇子/竹内尚文は、叶わぬ愛を貫こうとする純粋さとともに、ちょっとおバカな喜劇性もある。

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イタリア出身で貧乏な弟や妹のために金の亡者になった「暗黒の騎士」こと義眼のランナー、トレオ・ブルーナイト/砂原健佑は、ユニークな方法で金を振り込ませるのだが、「誰かのために金の亡者になるのが悪いのか」と宣言する言葉に説得力がある。イギリス出身の大富豪の3兄弟で「ツール・ド・フランス」のように常に長男のリーダーを囲むようにレースをするジョー・リッチモンド/鐘ヶ江洸、ブラッド・リッチモンド/須藤誠、ティム・リッチモンド/堀家一希。3人が寄り添っていれば無敵なのに、誰か1人でも外れれば弱く崩れ去ってしまうという兄弟の感動的なドラマは、レース上という緊迫した状況を一瞬和ませる。

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チーム・アローヘッドUKの監督でかつてはレーサーだったセルゲイ・イワノ・ポドルスキー/山川ありそは、怪我で走れなくなってしまった無念を豹二郎に託す思いを体現。同じく元レーサーで引退をしたアローヘッドのランニングデザイナー(コーチのような存在)として豹二郎を支えるリコ・スカイウィング/村田充は、かつてのランナーとしての誇りを失わずに、豹二郎ダイアモンドを支え続ける真摯な姿勢が胸をうつ。パルスエンジニア(ランナーにつける装置のメンテナンスを行う)のドルビー・セバスチャン/白又敦はリコに追従してチームを移籍したほど、彼以外を信じない頑固な性格なのだが、どこかのほほんとして憎めない。フィジカル・キーパー(ランナーのメディカルケアを行う)のダイクス・オブライハウゼン/加藤ひろたかは、自分の作った機械に誇りを持ちながら、ライバルからの汚くて古いとの一言で落ち込んでしまうギャップが面白い。

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ライバルチームのアロイの監督黒川フランク/兼崎健太郎は、ローズの香水を撒き散らし、フィクサーにかしずく。その姿がどこか滑稽でもあるが敵としての存在感がある。黒川とともに壁となって豹二郎の前に立ちはだかるスパイク・クリムゾン/宮下雄也は、ランニングデザイナーで科学者でもある彼の野心家ぶりを見せつつ、黒川の突っ込み役として笑い部分もきっちりおさえる。

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そして彼らのフィクサーであり中央防衛局で軍を操っているパルテノン・タイベリアス提督/保村大和の存在は大きい。ロックバンドのKISSのポール・スタンレーのように天然パーマで白塗り、ランナーたちを軍事利用しようと画策する悪辣な役どころを、巧みなカリカチュアで面白おかしく演じ、コメディーリリーフぶりを発揮。なかでも兼崎健太郎との丁々発止のやりとりはアドリブ感満載で漫才のようにスピーディ。爆笑の渦を巻き起こしていた。

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また神業の喋りで魅せるのが、1分間に640文字を話せるというスーパー中学生アナウンサー・早井速三/鎌苅健太と、そのライバルで1分間に622文字を話せるホンダヤマハ製のロボットC3-9000/田中穂先。早井の存在を脅かしているロボットの存在という構図はそれだけでも面白いうえに、ストーリーの重要な語り部としても機能。少し舌足らずな口調のマシンガンラップで鎌苅がレース模様を伝えれば、負けじとロボットボイス(本当に機械みたいだった)で田中がまくし立てる、実にスリリングな競い合いを見せてくれた。

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そしてなんといっても豹二郎ダイアモンドの池田純矢は圧巻だ。小柄な体躯ながら全身がバネのようで、セリフを淀みなく発しながら飛び、跳ね、疲れをしらないのではないかというパワフルさ。それを支えているのは彼の肉体、とくに彼の太腿で、まるでプロのスピードスケーターや野球選手、あるいは格闘家といった鍛えられかたをしている。レース場面で重心を低くした時など、膨れ上がった血管まで見えそうで、磨き抜かれたアスリート感とともに、彼の内面から滲み出るようなスーパーレーサーの孤高感が、この作品をリアルなものにするために大きな力となっていた。

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この作品は、小道具を使わずに、パントマイムに膨大なセリフを織り交ぜた「パワーマイム」の手法で衝撃を与えた。1人の俳優がさまざまな役柄を次々と演じる「スイッチプレイ」、また、例えば「自動部屋片付マシン」といった2707年にしか存在しない機械を、俳優たちが組体操のようになって表現したり、巨大ロボットまで表現してしまう。池田が「ある意味、子供時代の遊びの延長を本気でやっている凄さ。自分で擬音をつけながらメカニックな動きをして遊んだりする。あれを高度なレベルで表現にしている」(演劇キックインタビューhttp://kangekiyoho.blog.jp/archives/52024562.html)と語っていたように、まるで子供の遊びを20名が本気で軽々と演じている。そのために積み重ねた稽古は想像以上だろう。

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もちろん役者の力だけでなくスタッフワークも見事で、コインを投げるマイムでは絶妙なタイミングで効果音を入れたり、レーサーの音速を超えた瞬間のマイムは、大量の光と音楽で表現する。まさに役者とスタッフワークの力が生む相乗効果で素晴らしい。そんな舞台を生み出し、作り上げ、いわば映画的な手法を演劇に昇華した西田シャトナーの手腕は天才的だと言えよう。

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この舞台の登場人物はいつも何かと戦っている。自分自身、ライバル、金、ファン、恋人…。肉体と精神を尽くして戦うことでしか結果は得られないという、現実を生き抜くサバイバル術を、この舞台から教わったような気になる。もちろん勝ち負けでは判断できないある種の不条理さも、この作品の通奏低音となっていて、それはシャトナーの哲学なのだろう。だからこそ、拍手喝采のカーテンコールで、汗まみれの顔の池田純矢を中心に横一列に並ぶ20人の姿は、それぞれに清々しく、勝ち負け以上に、戦う勇気や何かに挑戦し続けることの大切さを、真っ直ぐに伝えてくるのだ。

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〈公演情報〉
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キティエンターテインメント×東映プレゼンツ
SHATNER of WONDER #5
『破壊ランナー』
作・演出◇西田シャトナー 
出演◇池田純矢/河原田巧也、米原幸佑、宮下雄也、平田裕一郎、白又敦、伊万里有、天羽尚吾、山川ありそ、竹内尚文、砂原健佑、加藤ひろたか、田中穂先、須藤誠、堀家一希、鐘ヶ江洸、鎌苅健太、兼崎健太郎、村田充、保村大和
●4/21〜30◎Zeppブルーシアター六本木 
〈料金〉7,900円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉 東京音協:03-5774-3030 
http://hakai-runner.com




【取材・文/竹下力 撮影/アラカワヤスコ】


『明治座 五月花形歌舞伎』 




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