
三田佳子がクドカンワールドに挑戦するというので、話題を集めている『印獣』の制作発表が行われた。
おりから台風が接近中で、強い風雨にもかかわらず集まった報道陣の多さは、この公演の注目度のバロメーターといえるだろう。
演劇界のチームリーダーである生瀬勝久、池田成志、古田新太の3人が、自分たちらしい芝居作りをするために結集したユニット名が《ねずみの三銃士》。その第一回作品『鈍獣』(2004年)は、この脚本で宮藤官九郎が岸田戯曲賞を受賞、映画化もされるなど大きな成果をもたらした。
今回の『印獣』も脚本は宮藤で、演出は前回と同じく河原雅彦が担当する。キャストは三田佳子と《ねずみの三銃士》のほかに、若手演技派の岡田義徳、お笑いトリオ〈キャラメルクラッチ〉の上地春奈というメンバーで、前回以上に異種格闘技的なバトルが舞台上で繰り広げられそうだ。
物語は、ケイタイ推理小説家と絵本作家そして風俗ルポライターの3人が、編集者に連れられてある屋敷にやってくることから始まる。そこは元大女優である長津田麗子の屋敷で、いきなり地下室に閉じ込められた3人は、麗子に「私の芸能生活45周年を記念して自叙伝を書いてほしい」と頼まれ、印税をエサに共同執筆をすることになる。その過程でサスペンスあり笑いありというクドカンらしい奇想天外なシーンが炸裂するという。
この制作発表に集まった記者と出演者の質疑応答を、まとめて紹介しよう。
生瀬勝久「これは大女優をめぐる話ですが、やはり三田さんは本物の大女優ですね。本の初読み合わせから説得力がありました。僕の役はケイタイ小説家なんですが、大女優の過去を3人が推測する過程でいろんな役で出てきます。親分とか(笑)ほかにもいろいろ」
池田成志「昨日からこの3人には珍しく朝の9時頃から稽古している状態で。自民は負けるし台風は来るしで、なんなんでしょうね(笑)。僕は絵本作家の役なんですが、実際に劇場で笑っていただくためにあまりネタを言いたくないんで、このくらいで(笑)」
古田新太「昨日、松方弘樹先輩と飲んでたんですが、先輩に“三田さんてどんな人ですか?こういう本でどうなんでしょうね?”と聞いたら、“いや僕の方が後輩だから何もいえない”と(笑)。宮藤くんの猿の落書きのような本でも、三田さんが読むと説得力があります(笑)。僕は風俗ルポライター役で、もうすぐ子供が生まれるという設定です」
岡田義徳「ドラマで古田さんと一緒になったとき、出ないかと声をかけてもらって、出演できて嬉しいです。僕は編集者の役なんですが、役の輪郭はまだぼやーっとしてる状態です」
上地春奈「とにかく迷惑をかけないようにがんばります。役は大女優の付き人とマネージャーですが、ほかにもいろいろやるかもしれません」
宮藤官九郎「三田さんが猿の落書きみたいな本を読んでいるのを聞きながら(笑)、ありがとうございますという気持ちだったし、楽しかったです。前回の『鈍獣』は3人が幼なじみの設定だったんで、今回は初対面にしました。彼らが監禁されて“私の小説を書きなさい”というところから始まります。見どころはいろんな三田さんですね(笑)。過去にさかのぼっていくのでいろんなエピソードを見せたり、サスペンス要素もあります」
河原雅彦「現在、鳩山さんのような重責を感じています(笑)。三田さんと一緒に仕事ができることなど想定外でしたから。こちらに飛び込んできてくださったので遠慮せずに、でも気分を害されない程度に好きにやらせてもらいます」
三田「日本の政治も変わるし、アメリカも変わったし、三田佳子も“チェンジ!”していきたいと思ってます(笑)。宮藤さん、河原さんをはじめ、いま最高潮の方々ばかり。私はふだんからあまり考えないほうで、渡れないような橋も気がついたら渡ってたりするんですが、今回ももう渡ってしまったのでやるしかないと。宮藤さんはとにかく才能の固まり。その人にこんなにめちゃくちゃに書いていただけて(笑)。たいへんな内容で目が回りそうです。9歳の少女でも出てきますし、女剣劇もあるので、古田さん立ち回りよろしくね(笑)。ドクマグロ?のかぶりものとか、悪漢のなんとかレンジャーにもなります(笑)」
三田の大真面目で正直な話しぶりに会場は笑いの渦に包まれる。そんな大物らしさは、まさにこの物語のヒロインである大女優・長津田麗子そのもの。そんな三田の“大女優らしさ”を、出席者に改めてたずねると。
生瀬「オーラが違いますね。それにどんなふざけたセリフでも、三田さんが真剣に読まれると違うものに聞こえる」
池田「ミステリアスな存在です。いろいろな想像を喚起させられる。それに台本を精読されているのがすごいなと」
古田「生活感がないところがさすが大女優ですね。それにあきらかに僕らと違ういい匂いがするんですよ(笑)」
宮藤「三田さんは、まず稽古場でジャージを着るのか(笑)、着るとしたらどんなジャージなのか(笑)。僕にはそういう存在です」
三田本人にも「大女優というのはどんなイメージだと思いますか?」という質問が投げかけられる。
三田「表面だけじゃなく、中身もあってキャリアもあって、尊敬される存在で、お客様にいいねと言っていただける人かなと思っています」
和やかなうちに進んだ会見の最後は、主演・三田佳子の抱負で締めるはずだったが。
三田「私は精一杯やります! 河原さんも一言」と演出家にむちゃぶり。
河原「もう。断れないですねー(笑)。三田さんが台本に黄色い蛍光ペンであちこち引いてるのを見て、なんだ僕らと同じだと安心しました。そのセリフがお猿さんが書いたようなセリフなのがあれなんですが(笑)。まあ、とくに構えることなく平常心でやれるかなと」
それを聞いて、さらに突っ込む大女優。
三田「演出はどんなふうにしてくださるんですか?」
河原「断れない(笑)。本に書かれているとおりです!(笑)」
三田「演出家っていざとなるとイジメるから(爆笑)。あれやれ、これやれ、飛び降りろ、駆けあがれ、寝っころがれとか(笑)」
河原「(笑)、せめて敬語でいいます」
すっかり“大女優”三田佳子ペースで、会見は大きな笑いの渦のうちに終了した。
この作品は10月から11月までパルコ劇場 、11月中旬から12月中旬まで札幌、大阪、名古屋、新潟、福岡の各地で公演する。
PARCO PRESENTS
《ねずみの三銃士》第2回公演「IN-JU」
『印獣』
作◇宮藤官九郎
演出◇河原雅彦
出演◇三田佳子/生瀬勝久・池田成志・古田新太/ 岡田義徳 上地春奈
●10/13〜11/8
<会場>パルコ劇場
<料金>¥8400(プレビュー公演¥7500)
問い合わせ 03- 3477- 5858 (パルコ劇場)
●11/13〜11
<会場>札幌市教育文化会館
<料金>¥8000
問い合わせ 0570- 00- 3337 (サンライズプロモーション東京)
●11/18〜23
<会場>シアター・ドラマシティ
<料金>S席¥8400、A席¥6300
問い合わせ 06-7732- 8888(キョードーチケットセンター)
●11/27〜29
<会場>名鉄ホール
<料金>¥8400
問い合わせ 052-331- 9966(メ〜テレ・イベント事業部)052-972- 7466(キョードー東海)
●12/3〜5
<会場>新潟市民芸術文化会館(りゅーとぴあ)
<料金>S席¥8400、A席¥7500
問い合わせ 025- 245- 5100(キョードー北陸チケットセンター) 025-281- 8000(TeNy チケット専用ダイアル)
●12/11〜13
<会場>嘉穂劇場
<料金>指定席¥8400、自由席¥6500
問い合わせ 092- 715- 0374(ピクニック)
www.parco-play.com
【取材・文/榊原和子】

















