日本一ハゲヅラの似合う女優が集まる劇団“げんこつ団”。その最新作が下北沢・駅前劇場で上演中だ。
女優だけで構成されながら老若男女を演じ分け、映像と舞台を繋ぐというスタイルを変わらずに持つ。
特殊なメイクをしているわけでもなく、同じ役者が同じ顔で、オヤジサラリーマン、ОL、おばさん、お父さん、大学生男子、新入社員、アイドルを次から次へと演じる。それが自然で、もうそうとしか見えないのだから、演技・演出力の魔法だろう。
二人の大学生が登場する場面では、一人(植木早苗)は受け口、もう一方(大場靖子)は出っ歯で通すという演技を超えた演技も見せる。
サ・ラーの教えを広めるサラリーマン上司(大庭智子)と、飛び入りながら優秀な部下サラリーマン(植木早苗)のエロシーンや、オスカル風の人物(高園陽子)、神がかりのサラリーマン(春原久子)とОL(津波恵)など。一度見たら忘れられない奇演・怪演が溢れていた。
ある場では、ベルトコンベアに乗っているように役者が動くことで、場としては繋がっているのだが、オチがあるシーンが連なっているようにみえる。そのテンポは小気味良い。またある時は“場面転換から目を逸らすための登場人物”が現れ、「場面転換を見ないであげて」と訴える。全編をナンセンスで固める、作・演出の吉田衣里は20周年を経て益々軽妙で見ごたえがある。
タイトルのチルディズムはchild(子ども)とchilled(冷却された)から来ていることが分かる。
そして、客席は空調によりリアルにチルドされている。観る者はブランケットを借りたほうがいい。
『チルディズム』
作・演出◇吉田衣里
出演◇植木早苗、春原久子、大庭智子、大場靖子 河野美菜 他
●11/15〜20◎下北沢駅前劇場
〈料金〉前売3000円 当日3300円(全席自由)
〈問合せ〉劇団 03-6759-3740 劇場 03-3414-0019
http://www.genkotu-dan.com/chilledism/CHILLEDISM/CHILLEDISM.html
【文/佐藤栄子】
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