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武田家の遺児・伊那丸が、逞しき仲間たちとともに戦国の世を駆けまわる!

早乙女太一の主演公演『神州天馬侠』が、4月10日から明治座で上演される(27日まで)。
その公演の稽古風景が、3月下旬に都内の稽古場でマスコミに向けて公開された。


本作品の原作は、『三国志』や『宮本武蔵』など、時代小説ファンに限らず日本中で親しまれている作家、吉川英治が昭和初期に発表した冒険小説。和製エンターテインメントの源流とも言えるもので、スピード感溢れる立ち回りやアクションで観客を魅了する太一に、まさにふさわしい世界がそこには描かれている。

演出は岡村俊一、太一が明治座史上最年少の男性座長として初登場した『嗚呼、田原坂』(10年)以来、『新説・天一坊騒動』(11年)、『GOEMON〜孤高の戦士〜』(12年)と、毎回、タッグを組んできた。
 

この熱い舞台に挑む共演者たちも豪華で、太一の伊那丸を囲むメンバーには、『熱海殺人事件』の主役をつとめて人気沸騰中の馬場徹を筆頭に、矢崎広、市瀬秀和、山下翔央、荒井敦史などエネルギッシュで伸び盛りの若手男優たち。また、歌手活動のかたわらミュージカルや朗読劇など演劇分野でも精力的な鈴木亜美や、そうそうたるベテラン俳優の波乃久里子、松村雄基、山崎銀之丞、酒井敏也という面々が、この物語を華やかに、重厚に彩る。

_MG_8502伊那丸の早乙女太一

【あらすじ】
 

戦国末期。武田勝頼が長篠の戦いに破れ、甲斐の国は荒廃していた。そこへ徳川家康(山崎銀之丞)の軍勢に追われてきた少年・伊那丸(早乙女太一)。彼こそ、密かに寺へ預けられていた勝頼の実子だった。
徳川へ寝返った元家臣・穴山梅雪(酒井敏也)に伊那丸を出せと迫られた住職は、守り役・加賀見忍剣(馬場徹)に武田の家宝「御旗楯無」が入った鎧櫃を渡し、命を賭して伊那丸を守れと託す。

富士の裾野まで逃げた2人、伊那丸は突然知った真実に抗うが、忍剣に諭され、2人はひとまず鎧櫃を湖へ隠す。そこで野武士の一団に襲われたが、野武士を束ねる根来小角の娘・咲耶子(鈴木亜美)が2人の前に現れる。
連れていかれた人穴城で、小角に挙兵の協力を頼まれるが、伊那丸は頑なに拒み再び窮地に陥る。そこを救ったのは、鞍馬山の老師に遣わされた木隠龍太郎(矢崎広)だった。
一行は老師の元へ向かう道で、徳川領浜松の城下で巽小文治(山下翔央)、山県蔦之助(荒井敦史)と出会う。ともに戦いの旅を続ける途中で、鞍馬では甲斐流軍師・小幡民部(市瀬秀和)も加わり、再び富士の裾野へと向かう…。

天下を狙う徳川、その手下となって襲いかかる幻術使い・呂宋兵衛(松村雄基)たち、徳川から逃げる道中で出会った武田家の乳母・お藤(波乃久里子)が語る新たな事実とは? 果たして伊那丸たちの運命は?


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【稽古場レポ】
 

床には盆(回り舞台)の形にビニールテープが貼られ、壁際には武田菱や三つ葉葵の紋がついた白旗、鎧櫃、剣や槍などの武器、笈(おい)、脇息(ひじかけ)など戦国物らしい小道具が所狭しと並ぶ稽古場。
 

この日の稽古は1幕から2幕目の初めまで。止めながら、ということではあったが、実際に流れを中断することはほとんどなく、全体を進行させながら必要なら指示を出すという感じの稽古で、仕上がりのよさがうかがえた。

黙ってスタンバイ位置につく俳優陣に、いつも以上の気負いを見たのか、演出の岡村が、「人目があると、ついカッとして早くなるけど(笑)、相手の刀とか自分の刀をきちんと見て。冷静に、熱く、やりましょう」とにこやかに声をかける。それを合図に、壮大なイントロとナレーション(なんと、現場で生声)が流れ、武田家が裏切り者の梅雪たちに襲われる冒頭シーンから稽古がスタート。


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武器を手にした俳優たちがひしめき合うなか、いきなり激しい殺陣が始まる。決して広くない稽古場なのに、ぶつかったりする者がいないのは、これまでの練習の成果なのだろう。武器だけの立ち回りではなく、場面によってロープや棒などさまざまな道具を使い分け、視覚的にも楽しい趣向になっている。
 

身体の大きさに加えてパワフルなのが、伊那丸の守り役・加賀見忍剣の馬場徹。武器の鉄棒は、実物ほどではないにしてもかなり重みがありそうだ。それを自在に操っての立ち回りは、殺陣シーンの見どころの1つ。しかもそんな強い忍剣が、伊那丸相手に「ノリツッコミ」を見せるところが1度ならずたびたび登場、クールに聞き流す伊那丸とのコンビぶりが楽しい。


_MG_8435加賀見忍剣の馬場徹

伊那丸を追う徳川方の手の者が乗り込んでくるシリアスな場面では、出演者の気持ちの入ったセリフにグイグイ引き込まれる。武田家を裏切る酒井敏也の梅雪が、いかにも相手を油断させそうな風貌と極悪非道な言動とのギャップが印象的で、幕開きから観るものの心を掴んでいく。
その後も、物語の流れに沿って、伊那丸が仲間たちそれぞれと出会う場面、人穴城から逃れる場面、浜松城下の場面…とスピーディに物語は進んでいく。


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都合で出席していないキャストの代役以外では、台本を手にしている者はない。時折りつっかえたり、フレーズが抜けたりすることはあっても、古風な言い回しの長ゼリフまでほとんど入っている。伊那丸の早乙女太一は稽古場入りして1週間ということだが、美しくキレのいい太刀さばきで、まさに求心力となる存在だ。一度、出の場所を間違えて、岡村に「太一っちゃん、こっちだよ(笑)」と言われ、照れ笑いする姿に21歳の座長の若さと明るさがこぼれる。


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木隠龍太郎・矢崎広、忍剣・馬場徹

木隠龍太郎に扮する矢崎広は、立ち回り中に槍の刃先がポロッととれるハプニングがあったが、途中で錫杖に持ち替え、流れを止めず稽古は続行。その後、「本番でも起こりうるってことだよね」(岡村)「でも、補強してなかったからで、中を何とかすれば…」(矢崎)と、笈を背負ったままの対策会議。


小休憩が入る。その時間の過ごし方も人それぞれ。台本にじっくり目を通す松村雄基、椅子にかけてひと息つく酒井、ひたすら立ち回りの動きを自主練する矢崎。冒頭で、梅雪一行と豪快な立ち回りを見せた忍剣の馬場徹は、水分補給と入念なストレッチを欠かさない。

 _MG_8455_u呂宋兵衛の松村雄基


休憩が終わる直前、馬場は岡村と2幕目の冒頭の殺陣について相談。忍剣の怪力ぶりをより強調できるように、殺陣のメンバーと手を試しながら現場で臨機応変に作り上げていく。


2幕目開始。インパクトの強い、長い殺陣のシーンからで、「みんな、2分間だけがんばろう! 動きが速いので(カメラマンの)皆さん、ご注意ください(笑)」という岡村の声で、怒涛のような立ち回りがスタート。馬場の見せ場では、さっそく先ほど修正した手に変わっている。

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巽小文治・山下翔央、山県蔦之助・荒井敦史
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胸躍るようなドラマティックな展開に、息もつかせぬハイレベルな殺陣やアクションが盛りだくさん詰まっている『神州天馬侠』。その全貌が観られる初日まで、あと少しである。

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明治座創業140周年記念
一、『神州天馬侠』

原作◇吉川英治

演出◇岡村俊一

脚本◇渡辺和徳

出演◇早乙女太一/馬場徹 鈴木亜美 山崎銀之丞 市瀬秀和/矢崎広/酒井敏也/山下翔央 荒井敦史/松村雄基 波乃久里子 ほか

二、『早乙女太一 舞踊ショー』

●4/10〜27◎明治座

〈料金〉

A席10,500円(1・2階席) B席5,250円(3階席)(税込)

〈問合わせ〉

明治座チケットセンター 03-3666-6666

http://www.meijiza.co.jp/info/info2013_04



【取材・文/塩田史子 撮影/岩村美佳】

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